有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R83D (EDINETへの外部リンク)
TOPPANホールディングス株式会社 事業等のリスク (2023年3月期)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 地震、風水害等の自然災害、感染症による人的・物的被害
(リスクの概要)
当社グループでは、地震、台風等の自然災害の発生や感染症拡大の影響により、事業所の設備や従業員等が大きな被害を受け、その一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは災害が発生した際に、従業員の安全を確保し、事業活動への影響を最小限に留めるために、事業継続計画(BCP)を策定しています。また、全社体制と対応手順を「災害対策基本計画」にまとめ、毎年見直しを行っています。事業継続マネジメント(BCM)活動を進めるにあたっては、本社法務本部内に設置されたBCP推進室が中心となり、本社各本部及び全国の事業(本)部に配置したBCP推進担当者と活動を行っております。また、BCPにおけるサプライチェーンの重要性を鑑み、その強化を目的として、外部講師による取引先向けの勉強会を年に1回開催しております。なお、厳格な事業継続が必要とされる事業については、ISO22301の認証を取得し、継続的なPDCA活動に基づき改善を進めております。
(2) 気候変動リスク
(リスクの概要)
「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動」にも示しましたように年々深刻さを増す気候変動の影響は大きく、環境規制の強化・低炭素な事業活動や代替素材利用への要請といった「移行リスク」と、洪水などの激甚災害による事業所罹災・サプライチェーン寸断による調達停滞といった「物理的リスク」それぞれに適切に対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、サステナビリティ推進委員会が対応策のとりまとめを行っています。「移行リスク」については、環境規制の要求水準より高いレベルの温室効果ガス排出抑制に向けてSBT認証を受けた削減目標を設定し、省エネ活動や再生可能エネルギーの導入でPDCAを回しています。「物理的リスク」については、BCP対策として罹災に対する備え、被害の軽減策(防風、防水)、製造と調達のバックアップ体制構築による供給体制の維持継続を行っています。
気候変動リスクでは、長期的な視点でリスクを分析し、対策を進めています。
(3) 市場環境の変化に関するリスク
(リスクの概要)
当社を取り巻く市場環境は、社会のグローバル化や情報技術の革新、ネットワーク化の進展の他、地球環境保全や人権問題などサステナブルな社会の実現に向けたニーズも高まり、大きく変化しております。これらの市場環境変化に対する施策が不十分である場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
既存印刷事業の需要が減少する中、DX事業、国内SX・海外生活系事業、新事業(フロンティア)の3つを成長事業に掲げ、事業ポートフォリオの変革を推進しております。具体的には、DX事業においては、顧客企業のBX(ビジネス・トランスフォーメーション)に貢献するデジタルマーケティングの推進の他、デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたハイブリッドBPOの事業展開及び海外セキュア事業の拡大を図ってまいります。国内SX・海外生活系事業においては、バリアフィルムを活用したサステナブル包材のグローバル事業拡大に加え、SX商材の開発・拡販やプラスチックリサイクルスキームへの実証参画などCO2排出量やプラスチック使用量削減に貢献してまいります。新事業(フロンティア)においては、競争優位を持つテクノロジー・ビジネスモデルを核に、ヘルスケア、メタバース、センサ関連などの領域で、事業化を推進してまいります。
(4) 戦略的提携、投資及び企業買収に関するリスク
(リスクの概要)
当社グループは、他社との戦略的提携、合弁事業、投資を通して、多くの事業を推進しており、将来におきましても、他の企業を買収する可能性があります。このような活動は、新技術の獲得、新製品の発売、新規市場参入のためには重要です。しかし、様々な要因により、提携関係を継続できない場合や、当初期待した効果を得られない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、各投資の実行に際しては、少額出資検討会、投資契約検討会、経営会議等の承認プロセスを経て投資判断を行っており、出資等の実行後も定期的にモニタリングを実施しております。また、特に出資先がスタートアップ企業や海外の企業等の場合は、必要に応じて外部の調査機関も活用し、十分なデューデリジェンスを行った上で投資を実行しております。しかしながら、当初想定通りの効果(回収)が得られないと判断された投資案件は、改善プランを策定し、改めてリスク等の精査に基づく挽回策を実施しておりますが、その上でなお成果が得られないと判断した場合は、株式売却や清算等もやむなく実施してまいります。こうしたケースは知見やノウハウを蓄積するための重要な機会であり、内容の精査・原因分析を通じて次の投資検討案件へのリスク低減と成功確率を高める活動へ繋げてまいります。
(5) 研究開発に関するリスク
(リスクの概要)
当社グループの研究開発活動につきましては、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりであります。当社グループは、各事業分野の新商品開発をはじめ、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての研究開発、さらに産官学との連携を図りながら中長期の収益の柱となる新規事業の創出のための研究開発にも投資をしております。しかしながら、予測を超えた市場の変化、投資先・アライアンス先の業績悪化、事業化や上市のタイミングの遅れなどにより、研究開発投資が十分な成果をもたらさなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に行っております。研究開発テーマに関しては、中長期スケジュールのもと、細かな進捗確認、ステージアップ判断、リスク把握などを行い、課題遂行の遅延の防止を図っております。また、市場環境や技術動向、競合他社特許などの調査・分析を定期的に行い、研究開発テーマの方針変更の要否やテーマ継続の可否を適切に判断し、開発リソースの最適化を図っております。
(6) 事業の発展を支える人材の確保
(リスクの概要)
「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性」にも記載したように、当社グループが将来にわたり事業を発展させていくためには、既存製品における高品質化と、高度な新技術導入による新製品・新サービスの開発が重要であると認識しております。そのためには、高度な技術力・企画提案力を有した優れた人材が不可欠です。当社グループは計画的な人材の採用と育成に向けた教育に注力しておりますが、優秀な人材を確保又は育成できなかった場合には、当社グループが将来にわたって成長し続けていくことができない可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、効果的な採用広報により、当社グループに関心を持つ人材の母集団形成を図るとともに、新卒採用と経験者採用の両面において様々な採用チャネルを構築し、幅広い領域の人材を採用しております。また、社内の人材開発プログラムを常に更新し、基礎的能力から実践的スキルまで一貫して習得する場を提供し、事業を牽引する人材を育成している他、人事処遇や働き方の改革により従業員のエンゲージメント向上に努めています。さらに、成長事業への人材シフトやローテーションにより、人材面からの事業基盤強化を進めております。
(7) 円滑な資金調達
(リスクの概要)
当社グループは、事業の拡大や急速な技術革新に対応するために、事業投資や設備投資を必要としております。これらの投資に向ける資金調達につきましては、事業計画に基づき外部から調達する場合もありますが、金利情勢の大幅な変化等により適正な条件で必要十分な追加資金を調達することができない可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、事業計画に基づく資金調達を円滑に遂行するため、資金調達手段と調達期間を適切に分散しています。
また、有事の際においても事業継続に必要な資金調達を可能とするため、格付けの維持にも資する健全な財務体質の維持・強化に努めています。さらに、金融市場の動向に関する最新の情報と事業環境の分析に基づき、資金計画の見直しを適時に行っております。
(8) グループ統制に関するリスク
(リスクの概要)
当社グループは、国内外に多くのグループ会社を持つことから、グループ統制が重要であると認識しております。そのため、財務報告に係る内部統制を含め、「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、内部統制システムを整備・運用をしておりますが、グループ会社が行なった経営上の意思決定に際し、結果的に法令違反や巨額の損失が発生した場合には、当社グループの社会的信用を失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、グループ会社の事業運営の独立性と自立性を尊重しつつ、グループ会社の取締役の職務執行の適正を確保するため、「関係会社管理規程」において、管理項目ごとに報告等の手続き方法を定め、報告を受けることとしております。
また、当社グループは、コンプライアンス基本規程として「トッパングループ行動指針」を定め、この周知徹底を図ることで従業員の職務執行の適法性を確保しております。そのために、本社法務本部コンプライアンス部を中心に、グループ会社の法務部門等と連携し、グループ全体の法令遵守と企業倫理の確立を図るとともに、行動指針推進リーダー制度を導入し、各職場での浸透活動を展開しております。
さらに、当社の内部監査部門が、定期的に当社各事業部及びグループ会社における業務執行状況を監査し、その結果を代表取締役、取締役会、監査役会及びグループ会社の取締役等に直接報告しております。
(9) 厳しい市場競争及び価格競争
(リスクの概要)
当社グループは、継続的に新製品や新サービスを開発・販売するとともに、既存製品のコストダウンに努めておりますが、競合関係にある企業との製品開発競争や価格競争が近年激しくなっております。当社グループの製品及びサービスが市場における優位性を維持できない場合や、激しい競争によって価格の下落を招いた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
あらゆる分野でデジタル化が加速する中、当社グループはDX事業領域へのリソース投入を進め、当社保有技術の棚卸やアライアンスも含めた開発力を強化してまいります。マーケティングテクノロジーを活用した得意先のビジネス変革支援であるBXの推進、デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたハイブリッドBPOの構築など、得意先のバリューチェーン全体に対して積極的に参入する機会を創出し、市場競争力の維持・向上を図ってまいります。また、世界的なサステナブルニーズの高まりを受け、優位性を保持しているバリアフィルムなど、サステナブル包材のモノマテリアル化を進め、グローバル市場への販路を拡大します。
一方、既存事業や構造改革事業は、AIを活用した自動化・少人化設備の導入などのスマートファクトリーを推進する他、拠点の集約、設備の圧縮などを進めております。また、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)やAIを活用した営業部門、間接部門の業務効率化や、不採算取引の見直し等、総合的な改善活動を進めてまいります。なお、改善が進まないと判断された不採算、低収益事業は、撤退・縮小も見据えた事業ポートフォリオの見直しも行ってまいります。
(10) 資産管理の不備による不良棚卸資産発生・長期在庫化等
(リスクの概要)
環境変化による需要の減少等で市場価格が大きく下落した場合や、経年劣化した場合は、棚卸資産の評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
営業部門、製造部門、管理部門が連携し、販売促進による回転効率の向上及び棚卸資産の品質と管理状況の定期的なチェックによる品質の保持を徹底することで、不良棚卸資産発生と長期在庫化のリスク回避に努めております。
(11) 債権関連事故(不良債権発生・得意先倒産等)
(リスクの概要)
当社グループは、多種多様な業界の得意先と取引をしておりますが、各業界の業況悪化を通じた得意先の経営不振等により、多額の債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、与信管理規程に基づき、取引先ごとに与信限度額を設定するとともに、定期的な与信の見直しを行っております。加えて、回収遅延や信用不安が発生した場合には、迅速に債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めております。
(12) 市場性のある有価証券における時価の変動
(リスクの概要)
当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。従って、株式市場及び金利相場等の変動によっては、有価証券の時価に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスクの対応策)
当社は、保有する政策保有株式について、事業運営面と投資資産としての価値の両面から総合的に分析し、保有の合理性について定期的に検証を行うとともに、保有先の財務状況等を把握することでリスクの低減に努めております。
また、その状況については取締役会へ報告するとともに、取締役会においては検証結果をもとに保有継続、売却の判断を行っており、保有意義の薄れた銘柄については売却を進めるなど縮減を図る方針としております。
(13) 外国為替相場の変動
(リスクの概要)
国内印刷市場の成熟化が進んでいる中、海外市場での事業が拡大しておりますが、海外現地法人において現地通貨で取引されている収支の各項目は、連結財務諸表を作成する際に円に換算されるため、結果として換算する時点での為替相場の変動に影響される可能性があります。
また、為替相場の変動は、当社グループが現地で販売する製品の価格、現地生産品の製造・調達コスト、国内における販売価格にも影響を与えることが想定されます。そのような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、為替相場の変動について、リスク管理のガイドラインを制定し、グループ全体で為替リスクの軽減に努めております。事業の中で発生する為替変動リスクは取引の中で極力吸収することに努めるとともに、為替予約等のヘッジ手段も適宜活用しながら為替変動リスクを最小化することに努めております。
(14) 情報セキュリティにおけるリスク(サイバー攻撃、情報漏洩)
(リスクの概要)
当社グループでは、事業の一環として得意先から預託された機密情報や個人情報の収集・保管・運用を行っております。特に、BPO事業につきましては、政府・地方自治体や企業等のアウトソーシング需要の取り込みにより、取り扱う情報量が増加しております。また、当社グループが推進するDXにおきましては、データの収集・分析を通じた製品・サービスの提供をビジネスモデルとして実施しており、個人情報を含む情報の利活用を進めております。
DXを推進し、得意先の重要情報を取り扱う当社グループにとって、サイバー攻撃、及び当社グループ社員もしくは業務の委託会社等の不正行為等による情報の不適切な取り扱いや情報漏洩の発生は、特に重大なリスクであると認識しております。標的型メールランサムウェア攻撃をはじめとして、最近ではテレワークやオンライン会議の脆弱性をついたサイバー攻撃が急増し、攻撃手法も高度化・巧妙化しております。万一サイバー攻撃や不正行為等により情報漏洩やデータの破壊・改ざん、システム停止、サービス停止などの被害が生じた場合には、当社グループの社会的評価が悪影響を受け、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
機密情報や個人情報を含む重要な情報については、厳重な情報セキュリティ管理体制により管理しております。具体的には、当社グループにおいては、トッパングループ情報セキュリティ基本方針のもと、国内外の法規制及び情報セキュリティに関する規格をもとにした規定を定め、法改正等に合わせた規程類の改定整備や、トッパングループ各社のセキュリティ成熟度の評価・改善指導を適宜行っております。また、従業員等に対しても定期教育により当該規程類の周知を図るとともに、内部監査及び委託先監査による遵守状況の確認、改善指導を行っております。
外部からのサイバー攻撃等による情報漏洩やシステム停止に対する対策としては、端末上におけるウイルス等の振る舞い検知システムの導入やネットワーク監視を実施する等の技術的な対策を実施するだけではなく、標的型攻撃メールや各種インシデントへの対応、開発部門や製造部門等の特定部門での対応力強化のための教育など、全従業員教育に加え、各職種・各階層に合わせた教育を実施し、教育、訓練・演習、診断、教育というサイクルを回しながら定着を図っております。
また、重要情報を取扱うエリアを限定しかつ業務監視を行うなど漏洩対策を実装し、適宜強化・最適化を行っております。さらにサイバー脅威情報を収集・評価・分析し対策に反映させる運用体制を整備するとともに、インシデント対応のためのCSIRT機能(Computer Security Incident Response Team)として「TOPPAN-CERT」(トッパングループ全体を対象)及び「TOPPAN Edge CSIRT」(TOPPANエッジグループを対象)を設置し、他社CSIRTや関係機関と連携してサイバーリスク低減に取り組んでまいります。
(15) ITシステムの停止に関するリスク(生産ライン、デジタルサービス等)
(リスクの概要)
当社グループでは、当初より電子出版をはじめとした印刷のデジタル化を推進してまいりました。そのノウハウをコンテンツ制作に活かし、デジタルとリアルが融合したソリューションの提供や社会インフラのデジタル化など、さまざまなデジタルサービス事業を展開しております。また、製造工程においても、多様な生産装置やIoTデバイスからのリアルタイム情報を分析・活用することでスマートファクトリーを実現し高レベルな品質管理を行っており、ITシステムの役割は極めて重要であると考えております。
当社グループでは、生産ラインを稼働させる重要な環境として、またデジタルサービス事業の提供環境としてITシステムの安定稼働に向けた強化が必要と考えており、万一の障害や事故に備え、システムの冗長化やバックアップ体制の整備などを行っております。しかしながら、安定稼働していたシステムにおいても、機器故障や人的ミスの発生、そのバックアップシステムが正常に稼働しない等により、生産ラインやデジタルサービス事業などの突発的な停止が引き起こされることがあり得ます。万一このような事態が生じた場合には、社会的信頼を失うばかりか、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、重要なITシステム構築時のガイドラインを策定し、システム停止が発生しないよう対策を講じるとともに、停止が発生した際の業務影響範囲の確認、復旧優先度や復旧手順の確認及び訓練の実施など、万一システム停止が発生した際の被害の最小化並びに早期復旧に向けた取り組みを定期的に実施しております。
(16) 製品の品質に関するリスク
(リスクの概要)
生産活動におきましては、品質管理上、十分な注意を払い全ての製品について品質事故やクレームを発生させないための対応を図っておりますが、将来にわたっては品質事故が発生することで業績に影響を及ぼす可能性があります。特に安全性が損なわれた製品が市場に流出した場合、当該製品を販売する得意先と連携し、製品の自主回収を行うこととなります。その場合、多額の回収費用や賠償費用が発生する他、社会的な信用を失い、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、「製品の安全管理についての基本方針」のもと、各事業においてISO9001に基づく品質マネジメントシステムを構築し、品質管理の徹底・継続的改善を行い、製品の品質事故防止に取り組んでまいります。
万一重大な品質事故が発生した場合、本社製造統括本部品質保証センターが中心となり、原因の追究及び対策の指導を全社的に水平展開し、再発の防止に努めております。
また、特に安全衛生面で高い品質保証が求められる食品関連事業・ヘルスケア関連事業に対しては、本社が制定する品質保証ガイドライン及び品質監査チェックシートに基づく監査を実施し、製造を許可する認定制度を採用して、品質事故の未然防止に努めてまいります。
(17) 調達におけるリスク
(リスクの概要)
「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)サプライチェーン」にも記載のとおり、当社グループは、サステナブル調達の取り組みを進めており、事業に使用する用紙、インキ、ガラスといった原材料やエネルギーを外部の取引先から調達しております。事業活動を維持するためには、十分な量の原材料やエネルギーを適正な価格で安定的に確保することが重要ですが、取引先の被災や倒産、事故や人権問題、環境規制違反、地政学リスクによる混乱などにより、供給の中断、供給量の大幅な不足や納期の遅延、原材料やエネルギー価格の高騰などが起こる可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、社会の要請や国際規格などを鑑み、原材料やエネルギーなどの安定した持続可能な調達(サステナブル調達)を行うためのガイドライン「トッパングループ サステナブル調達ガイドライン」を策定しています。サプライヤーの皆さまと密接に連携し、このガイドラインの浸透を図るとともに大規模災害発生時の事業継続の取り組み状況や、人権・労働・環境・腐敗防止への取り組み状況等を定期的に確認し、サステナブル調達を推進しています。
また、エネルギー調達については、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入に向けた取り組みを強化するとともに、複数のエネルギー供給元を確保するなどリスク分散をしています。
さらに、当社グループの調達に関わるサプライヤーからの通報窓口として「サプライヤーホットライン」を当社のコーポレートWebサイト上に設置し、サプライヤーとの信頼関係を構築し安定した調達の実現に努めております。
(18) 有害物質の漏洩・汚染リスク
(リスクの概要)
国内外において、国や地方自治体の法律及び規制により、有害物質の不適切な使用・廃棄やそれに起因する土壌汚染、大気汚染、水質汚染等の環境汚染に関して、重大な責任が発生する可能性があります。当社グループの製造工程及び研究開発におきましては、特定の有害物質を使用し、廃棄物を管理する必要があり、適用される規制を守るために厳重な注意を払っております。しかし、このような物質に起因する偶発的な汚染や放出及びその結果としての影響を完全に予測することは困難であり、万一発生した場合には、近隣など外部への影響及び当社グループの従業員を含め事業活動にも影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
偶発的な汚染や放出の原因となる有害物質の貯蔵タンクの管理、保全を実施しております。日常での運用管理や設備点検を徹底するとともに、自社で設定した管理ガイドラインに基づき、使用年数に応じて劣化診断や計画的な更新を行っております。さらに、貯蔵タンク設置場所には防液堤を設置し、漏洩流出の未然防止を図っております。また、薬液類の給油、貯留、運搬、廃棄等の取扱い時における偶発的な汚染や漏洩流出を想定し、あらかじめ緊急事態対応手順を整備し、その手順に則り定期的に訓練も行うことで、影響を最小限に抑えられるように備えております。これらの管理状況は本社製造統括本部エコロジーセンターによる環境監査の中でも確認し、状況に応じて改善指導も行っております。
(19) 廃棄物に関するリスク
(リスクの概要)
当社グループの廃棄物は、情報コミュニケーションと生活・産業の事業分野を中心とした事業所から出る紙くずが最も多く、総排出量の約60%を占めております。これに生活・産業事業分野の廃プラスチック類、エレクトロニクス事業分野の廃酸が続きます。これらの廃棄物の処理につきましては、廃棄物処理事業者に委託しておりますが、万一これらの委託事業者が不法投棄や不適切な処理を行っていた場合には、排出事業者として当社グループの社名等が公表される他、当社印刷物の得意先商品名がSNS等で拡散され、得意先の社会的信頼を毀損する可能性があるなど、社会的な信用を失い、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、委託事業者による不法投棄や不適切処理対策として、マニュフェスト管理の徹底、自社評価シートによる廃棄物処理事業者の適正処理の評価、本社製造統括本部エコロジーセンター及び各事業所による現地視察などを行っております。
また、廃棄物の適正処理とともに、中長期環境目標に廃棄物の最終埋立量、廃プラスチックのマテリアルリサイクル率を設定、管理することにより、事業活動に伴って生じる廃棄物の排出抑制、並びに排出される廃棄物の再使用・再資源化にも取り組み、近年注目されている海洋プラスチック問題、サーキュラーエコノミーに対しても、対応を強化してまいります。
(20) 人権リスク
(リスクの概要)
「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)人権」にも記載したように当社グループでは「人間尊重」の精神を基本に事業活動を行っており、人権を事業活動やサステナビリティの取り組みを推進するにあたり、最も重要なテーマであると捉えています。
しかしながら、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントをはじめとする人権問題が発生した場合には、職場環境の悪化にとどまらず、労災補償やブランド価値の毀損などが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、「人権方針」を2021年10月に制定するとともに、自社の行動規範である「行動指針」で、人格と個性の尊重、差別行為やハラスメント行為の禁止、児童労働・強制労働の禁止など、基本的人権を尊重することを定めています。また「トッパングループ サステナブル調達ガイドライン」においても人権を重視する姿勢を明示し、サプライチェーン全体で人権に関する取り組みを推進しています。さらに、国内外グループ会社・サプライヤー等の当社グループを取り巻くステークホルダーへの調査・ヒアリングを通じて人権リスクの軽減・是正に向けた取り組みを行っています。
推進体制としては、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」の下部に設置されている「コーポレートESGプロジェクト」における「人権ワーキンググループ」が人権尊重の取り組みを主管し、グループ全体への浸透を進め、あらゆる人権リスクに対する対応基盤の構築を目指します。
また、ハラスメントに対しては、トッパングループ行動指針にハラスメント行為の禁止を定め、研修などを通じて徹底しております。また、総務部門を通じた各職場への啓発活動、各職場の行動指針推進リーダーを中心とした日常業務レベルでの浸透・徹底、各職場の管理職への教育、アンケートによる実態把握などを行っております。各種ハラスメントに関する相談体制を拠点単位で設置するとともに、内部通報制度「トッパングループ・ヘルプライン」にも通報することができるようにし、早期に発見し適切に対処する機能を果たしております。
さらに、労使でハラスメントの問題を認識し、労使協力してその行為を防止し、ハラスメントの無い快適な職場環境の実現に向け、「ハラスメント防止に関する取扱い」の労使協定を締結しております。
(21) 火災及び労働災害
(リスクの概要)
「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性」にも記載したように当社グループは、事業活動を行うにあたり、「安全は全てに優先する」を第一義とする「安全衛生・防火基本方針」を制定し、労使一体となり、安全衛生・防火活動に取り組んでおります。不測の事態により火災及び労働災害が発生した場合、事業所の設備や従業員等が大きな被害を受け、その一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、安全衛生・防火の管理において不備があった場合は、当社グループの社会的評価に悪影響を与える可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループでは、全国の事業所に、安全師範や安全担当者、技術安全推進担当者などを配置するとともに、職場で働く全ての人々に安全意識を浸透させるべく、5S活動、危険予知訓練(KYT)、リスクアセスメントなどの基礎知識、全国の事業所で取り組んでいる安全活動などを紹介する「勉強会」や、グループも横断した製造の各工程で取り組んでいる安全活動の情報を共有する「分科会」活動を推進しています。リスクアセスメントによる設備の本質安全化や職長教育を中心とした各種の階層別教育の徹底なども進めております。また、安全に対する意識と危険に対する感受性の向上を目指すため、「挟まれ・巻き込まれ」や「発火・爆発」などを実際に体感することができる「安全道場」を国内外の主要製造拠点に開場している他、VR技術を活用し、多言語での解説を搭載したバーチャル映像と音を通じて事故の疑似体験をするデジタルコンテンツによる安全教育も国内外のグループ会社に展開しています。
(22) 労務問題に関するリスク(労働法規違反、労務トラブル等)
(リスクの概要)
「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性」にも記載したように当社グループでは、従業員を会社の貴重な財産、すなわち「人財」と捉え、「企業は人なり」という理念のもと、従業員が「やる気」、「元気」、「本気」の3つの「気」を持つことで、従業員がそれぞれの力を十分に発揮することが大切であると考えております。それを実現するために、従業員の労働については、国の政策や法制度の動向を踏まえ、労働組合と協議しながら、様々な施策を展開しております。しかしながら、基準を超える長時間労働が行われたり、規定の有給休暇が取得されないなど、労働法規違反により当局から行政処分などを受けた場合や、労務トラブルが発生した場合には、当社グループ従業員の業務パフォーマンスの低下に加え、当社グループのブランド価値が毀損し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて、各社の労使関係の中で、継続した労働時間短縮に向けた取り組みや、法改正への対応に関して意見交換及び協議を行うとともに、残業実態の分析、新たな勤務制度の導入・活用状況の検証を行っております。今後は長時間労働の撲滅に向けて、各社の労働時間や年次休暇の取得状況を日々把握できる体制・システムを検討し、グループ全体での生産性の向上と労働時間の短縮を目指すとともに、法令順守の体制を構築してまいります。コロナ禍において定着した「リモートワーク制度」による働き方改革を継続し、従業員が自律的かつ効率的に業務を行える環境を整備しております。また、各拠点に労務相談の窓口を設け、ハラスメント相談員の資格を持った担当者が対応に当たるなど、労務トラブルの未然防止にも努めております。
(23) 特許権や著作権等の知的財産権の侵害
(リスクの概要)
当社グループでは、事業戦略と知財戦略をマーケット志向と研究開発活動により、一層密着させ、戦略的な知的財産ポートフォリオの構築に取り組んでおり、創出された知的財産により事業競争力の確保、維持、強化をしております。
しかしながら、当社グループの技術等が、見解の相違等により他者の知的財産権を侵害しているとされる可能性や訴訟に巻き込まれる可能性があります。また、他者が当社グループの知的財産を不正使用することを防止できない可能性や、侵害を防ぐための対応が成功しない可能性があります。
さらに、当社グループは、お客さまに印刷物や商品パッケージのデザインを提案する業務において、著作物を日常的に取り扱っております。そのため、当社グループが取り扱う著作物の権利について、事前かつ十分に処理状況を確認できなかった等の理由により、他者の著作権を侵害しているとされる可能性や訴訟に巻き込まれる可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、新事業や新商品、新技術の研究・開発にあたり、グローバルな視点も含めて、他者の知的財産権を継続的に調査・経過観察することにより、他者の知的財産権を侵害するリスクを未然に防止してまいります。当社グループは、事業展開する国や地域に合わせた権利取得を行い、強固な知的財産ポートフォリオを構築することにより、当社グループの知的財産権が他者に侵害されるリスクを回避しております。
また、知的財産に関する階層別の社内教育を定期的に実施して、他者の知的財産権の尊重とその重要性について社内に周知徹底しています。さらに、著作権教育についても社内をはじめ、委託先である外部デザイナーに向けて定期的に実施し、事前かつ適切な著作権処理を徹底することにより、他者の著作権を侵害するリスクを未然に防止しております。
(24) 不祥事(重大な不正、不適切な行為等)・コンプライアンス違反(談合、贈賄、その他法的規制違反)
(リスクの概要)
当社グループは、国内外で多くの拠点を持ち、多種多様な業界にわたる多くの得意先と取引をしていることから、関連する法令や規制は多岐にわたっております。事業活動を行うにあたり、会社法、金融商品取引法、税法、独占禁止法、下請法、贈賄関連諸法などの法規制に従う他、免許・届出・許認可等が必要とされるものもあります。万一、従業員による重大な不正や不適切な行為等の不祥事があった場合、あるいはコンプライアンス違反があった場合には、法令による処罰、損害賠償の請求だけでなく、社会的信用の失墜、得意先や取引先の離反などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスク対応策)
当社グループは、従業員一人ひとりの遵法精神と企業倫理に基づく行動のあり方を示した「トッパングループ行動指針」を制定し、この行動指針の徹底こそがコンプライアンスの実践であると考えております。そこで、行動指針推進リーダー制度を導入し、各職場の行動指針推進リーダーを中心として、日常業務レベルでの行動指針の浸透・徹底を図っております。
また、談合・カルテル、下請法違反、贈賄などを防止するため、研修や監査を実施するなど、従業員のコンプライアンス意識向上のための施策を実施しております。
当社グループは、法令違反の早期発見と迅速かつ適切な対応を行うため、グループ共通の内部通報制度である「トッパングループ・ヘルプライン」を設置しております。
(25) 海外ビジネスに関するリスク(規制法違反、地政学リスク、訴訟、労働争議、国際税務等、前各項に含まれない事項)
(リスクの概要)
当社グループは、米国をはじめ中国、東南アジア地域、欧州など数多くの国や地域で事業活動を行っております。将来的にも、開発途上国を含む海外の国や地域で新たに事業を展開する可能性があります。事業展開する国や地域における政治及び経済面における不安定さ、疫病及び大規模な災害の発生、労働争議や紛争の発生などにより、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外子会社におけるガバナンス不全や社内管理の不備により、法規制への違反、外国公務員への贈賄や国際カルテルなどの不法行為、現地従業員による着服、不正会計、税制の変更や不適切な税務申告などが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに地政学リスクという観点では、ロシア・ウクライナ情勢を巡る動きをはじめ、世界的に先行きの不透明感が増し、リスクは高まっています。加えて、そのような状況から派生した輸出入規制の強化、資金決済への制限など、当社グループのビジネスにも影響が及んでいます。紛争の長期化や激化、新たな戦闘や抗争による事業停止や撤退など、さらなる影響を受ける可能性があります。
(主なリスク対応策)
海外ビジネスに関するリスクを低減するためには、各海外子会社におけるガバナンス体制の構築と、その実効性の高い運用が重要であると考えております。そこで、当社グループでは、マネジメント全般、コンプライアンス、情報セキュリティ、人事、安全衛生、会計、税務、品質、環境、調達などについて「あるべき姿」を示し、それに基づき各海外子会社で体制・仕組みの構築と遵守・運用・実践を一体となって進めております。また、社内監査や会計監査などを実施し、指摘事項に対する改善指導を行い、より効果的なガバナンス体制の構築に努めております。
さらに海外での事業開始前に、第三者機関が提供する事業環境リスク評価システムを活用したリスク評価を行うなど対応を強化するとともに、海外出張者・海外駐在員に対し、渡航前に安全教育やリスク管理・危機管理研修を実施しております。
地政学リスクについても、情勢の変化を見ながら当社グループへの影響分析、評価を行い、BCP策定などの対策を講じています。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00692] S100R83D)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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