有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R1O0 (EDINETへの外部リンク)
積水化学工業株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当社グループは、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカルのそれぞれの事業部門で定めた狙いに対して、基礎研究や応用技術から新規事業の開拓まで、先端技術で際立つための研究・開発を進めた。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、40,471百万円である。また、各セグメント別の研究開発内容及び研究開発費は次のとおりである。
(1) 住宅事業
住宅事業では、「地球環境にやさしく、60年以上安心して快適に住み続けることのできる住まいの提供」という事業ミッションのもと、新築住宅分野では、鉄骨系及び木質系ユニット住宅の新製品開発・要素技術の開発を、リフォーム分野では、ストック型住宅事業の強化に向けたリフォーム技術・メニュー開発を行っている。当連結会計年度の主な成果としては、以下の通りである。
新築住宅分野では、ZEH区分の最高ランクである『ZEH』に標準対応し、環境・防災性能を高めたファミリー向け賃貸集合住宅「Letoit AZ『ZEH-M』モデル」を発売した(4月)ほか、大容量の太陽光発電システムと蓄電池の搭載によりエネルギー自給自足率を高めた木質系ユニット住宅「グランツーユーⅤ(ファイブ) GREENMODEL」を発売した(7月)。
リフォーム分野では、外壁・バス・蓄電池を中心とした商品ラインアップの拡充と対応力の向上、並びに断熱リフォームへの取り組みを行った。
当事業に係る研究開発費は3,356百万円である。
(2) 環境・ライフライン事業
環境・ライフライン事業では、持続経営力の強靱化と事業ポートフォリオの再構築に向けて、汎用品収益性大幅改善、成長エンジンでの勝ちパターン確立、生産性向上施策の発現、ガバナンス体制の強靱化に取り組んでいる。
研究開発部門では、ゆるぎない基盤技術とそれに支えられた社会課題解決に資する新製品開発の両輪で収益拡大に貢献している。
基盤技術確立では、汎用品収益改善および生産性向上施策の発現に資する生産技術革新で11テーマ、成長エンジンとなる新製品開発に必要なKey Technology構築で7テーマ、地球環境貢献に資する資源循環技術構築で1テーマを工場および新製品開発部門に技術移管した。成長エンジンおよびトップライン引き上げに資する新製品開発では17製品を上市した。
パイプシステムズ分野では、高速道路架橋などにおいてサイフォン技術を活用し、ゲリラ豪雨等の大量の雨水を従来と比較して小口径のパイプで排水し、かつ紫外線劣化に強いUVストロング雨水高排水システムを上市した。
住・インフラ複合材分野では、高速鉄道などの騒音を低減する先端型防音壁を上市した。インフラリニューアル分野では、下水道など老朽管リニューアル工法で下水を止めずに施工可能で、当社従来工法と比較してさらに工期が短く工事費を低減するSPR―NX01工法新verを上市した。
当事業に係る研究開発費は6,817百万円である。
(3) 高機能プラスチックス事業
高機能プラスチックス事業では、高機能素材、成形加工品の新製品及び新素材、生産技術の開発を推進している。
当連結会計年度の3戦略分野別の主な成果は以下のとおりである。
エレクトロニクス分野では、次の成長領域と位置づける半導体・実装関連で、工程材(セルファⓇ)や高速通信基盤に必要な層間絶縁フィルムなどの部材を上市済みであり、さらに開発を継続中である。
情報通信分野では、5G電波死角エリア解消を目的とした透明フレキシブル電波反射フィルムの新製品開発を進めている。
また、融合強化領域と位置づけるカーエレクトロニクス部材(分野横断)では、環境対応車のリチウムイオンバッテリー向け放熱材料の拡販、新製品開発を進めている。
モビリティ分野では、自動車の軽量化・省エネ・高度情報化に対応した新製品の開発に注力している。具体的には、自動車用中間膜において高性能遮音・遮熱などの新製品に加えて、搭載が拡大しているディスプレイ用途に向けた最適な製品の開発が進捗中である。また、発泡成形技術を利用した自動車用軽量化部材、薄膜技術を活用したADAS用ミリ波レーダーに用いる電波吸収体などの新製品開発・市場開拓を進めている。
インダストリアル分野では、高齢化社会に向けた介護士の負担を減らすセンサー(商品名ANSIEL®)を開発。介護記録ソフト等の周辺技術との連携を進めており、介護現場でのより一層の負担軽減、安全性向上のソリューションとして市場浸透を図っている。その他、昨今の新型コロナウイルスによる抗ウイルス製品ニーズの高まりを受け、建材市場(壁・床材など)に向けSIAA規格に準拠する製品の開発を進めている。
当事業に係る研究開発費は13,801百万円である。
(4) メディカル事業
メディカル事業では、検査事業と医療事業の研究開発を推進している。
検査事業分野では、新領域への参入と機器ビジネスの更なる伸長のための新プラットフォーム開発に注力している。具体的には、高感度免疫測定技術で「がん」領域の拡大、および、感染症遺伝子POCTシステムによる遺伝子検査市場参入を推進している。
医療事業分野では、新たなペプチド合成法によるペプチド製造技術の開発と独自のPALSAR核酸測定技術を活用した高感度核酸医薬分析の市場開拓を推進している。
当事業に係る研究開発費は8,822百万円である。
(5) その他事業
その他事業では、「新事業創出による新たな社会的価値の創出と社会貢献」を目指し、主に環境・エネルギー分野、ライフサイエンス分野などの社会課題の解決に繫がるイノベーション創出に注力している。
環境・エネルギー分野では、再生可能エネルギーの活用に向け、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の肝といわれる屋外耐久性において10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している。軽量・柔軟という特徴を活かし、東京都、NTTデータや、世界最大級の発電事業者であるJERAとの共同実証実験を開始した。並行してNEDOのグリーンイノベーション基金を活用し、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め、2025年の事業化を目指している。
また、定置型リチウムイオン電池事業では、災害に強いレジリエント住宅用の蓄電池開発に注力し、エネルギー自給自足型の暮らしに特化した大容量蓄電池システムに採用されている。
一方、持続可能な社会への大きな貢献が期待される炭素資源循環システムであるバイオリファイナリー技術(可燃ごみ由来のガスから微生物の力でエタノールを製造)の事業化に向けて、岩手県久慈市に建設した商用1/10規模プラントで実証運転を進めている。さらに製鉄の際に排出されるガスからCO2を分離・回収し、再利用の技術開発にも取り組んでおり、世界をリードする鉄鋼および鉱業会社であるArcelorMittal, S.A.と鉄鋼プロセスに活用するカーボン・リサイクルの国際共同研究開発を推進している。
ライフサイエンス分野では、細胞培養ソリューションとして足場材などの開発を進めている。
当事業に係る研究開発費は7,673百万円である。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、40,471百万円である。また、各セグメント別の研究開発内容及び研究開発費は次のとおりである。
(1) 住宅事業
住宅事業では、「地球環境にやさしく、60年以上安心して快適に住み続けることのできる住まいの提供」という事業ミッションのもと、新築住宅分野では、鉄骨系及び木質系ユニット住宅の新製品開発・要素技術の開発を、リフォーム分野では、ストック型住宅事業の強化に向けたリフォーム技術・メニュー開発を行っている。当連結会計年度の主な成果としては、以下の通りである。
新築住宅分野では、ZEH区分の最高ランクである『ZEH』に標準対応し、環境・防災性能を高めたファミリー向け賃貸集合住宅「Letoit AZ『ZEH-M』モデル」を発売した(4月)ほか、大容量の太陽光発電システムと蓄電池の搭載によりエネルギー自給自足率を高めた木質系ユニット住宅「グランツーユーⅤ(ファイブ) GREENMODEL」を発売した(7月)。
リフォーム分野では、外壁・バス・蓄電池を中心とした商品ラインアップの拡充と対応力の向上、並びに断熱リフォームへの取り組みを行った。
当事業に係る研究開発費は3,356百万円である。
(2) 環境・ライフライン事業
環境・ライフライン事業では、持続経営力の強靱化と事業ポートフォリオの再構築に向けて、汎用品収益性大幅改善、成長エンジンでの勝ちパターン確立、生産性向上施策の発現、ガバナンス体制の強靱化に取り組んでいる。
研究開発部門では、ゆるぎない基盤技術とそれに支えられた社会課題解決に資する新製品開発の両輪で収益拡大に貢献している。
基盤技術確立では、汎用品収益改善および生産性向上施策の発現に資する生産技術革新で11テーマ、成長エンジンとなる新製品開発に必要なKey Technology構築で7テーマ、地球環境貢献に資する資源循環技術構築で1テーマを工場および新製品開発部門に技術移管した。成長エンジンおよびトップライン引き上げに資する新製品開発では17製品を上市した。
パイプシステムズ分野では、高速道路架橋などにおいてサイフォン技術を活用し、ゲリラ豪雨等の大量の雨水を従来と比較して小口径のパイプで排水し、かつ紫外線劣化に強いUVストロング雨水高排水システムを上市した。
住・インフラ複合材分野では、高速鉄道などの騒音を低減する先端型防音壁を上市した。インフラリニューアル分野では、下水道など老朽管リニューアル工法で下水を止めずに施工可能で、当社従来工法と比較してさらに工期が短く工事費を低減するSPR―NX01工法新verを上市した。
当事業に係る研究開発費は6,817百万円である。
(3) 高機能プラスチックス事業
高機能プラスチックス事業では、高機能素材、成形加工品の新製品及び新素材、生産技術の開発を推進している。
当連結会計年度の3戦略分野別の主な成果は以下のとおりである。
エレクトロニクス分野では、次の成長領域と位置づける半導体・実装関連で、工程材(セルファⓇ)や高速通信基盤に必要な層間絶縁フィルムなどの部材を上市済みであり、さらに開発を継続中である。
情報通信分野では、5G電波死角エリア解消を目的とした透明フレキシブル電波反射フィルムの新製品開発を進めている。
また、融合強化領域と位置づけるカーエレクトロニクス部材(分野横断)では、環境対応車のリチウムイオンバッテリー向け放熱材料の拡販、新製品開発を進めている。
モビリティ分野では、自動車の軽量化・省エネ・高度情報化に対応した新製品の開発に注力している。具体的には、自動車用中間膜において高性能遮音・遮熱などの新製品に加えて、搭載が拡大しているディスプレイ用途に向けた最適な製品の開発が進捗中である。また、発泡成形技術を利用した自動車用軽量化部材、薄膜技術を活用したADAS用ミリ波レーダーに用いる電波吸収体などの新製品開発・市場開拓を進めている。
インダストリアル分野では、高齢化社会に向けた介護士の負担を減らすセンサー(商品名ANSIEL®)を開発。介護記録ソフト等の周辺技術との連携を進めており、介護現場でのより一層の負担軽減、安全性向上のソリューションとして市場浸透を図っている。その他、昨今の新型コロナウイルスによる抗ウイルス製品ニーズの高まりを受け、建材市場(壁・床材など)に向けSIAA規格に準拠する製品の開発を進めている。
当事業に係る研究開発費は13,801百万円である。
(4) メディカル事業
メディカル事業では、検査事業と医療事業の研究開発を推進している。
検査事業分野では、新領域への参入と機器ビジネスの更なる伸長のための新プラットフォーム開発に注力している。具体的には、高感度免疫測定技術で「がん」領域の拡大、および、感染症遺伝子POCTシステムによる遺伝子検査市場参入を推進している。
医療事業分野では、新たなペプチド合成法によるペプチド製造技術の開発と独自のPALSAR核酸測定技術を活用した高感度核酸医薬分析の市場開拓を推進している。
当事業に係る研究開発費は8,822百万円である。
(5) その他事業
その他事業では、「新事業創出による新たな社会的価値の創出と社会貢献」を目指し、主に環境・エネルギー分野、ライフサイエンス分野などの社会課題の解決に繫がるイノベーション創出に注力している。
環境・エネルギー分野では、再生可能エネルギーの活用に向け、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の肝といわれる屋外耐久性において10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している。軽量・柔軟という特徴を活かし、東京都、NTTデータや、世界最大級の発電事業者であるJERAとの共同実証実験を開始した。並行してNEDOのグリーンイノベーション基金を活用し、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め、2025年の事業化を目指している。
また、定置型リチウムイオン電池事業では、災害に強いレジリエント住宅用の蓄電池開発に注力し、エネルギー自給自足型の暮らしに特化した大容量蓄電池システムに採用されている。
一方、持続可能な社会への大きな貢献が期待される炭素資源循環システムであるバイオリファイナリー技術(可燃ごみ由来のガスから微生物の力でエタノールを製造)の事業化に向けて、岩手県久慈市に建設した商用1/10規模プラントで実証運転を進めている。さらに製鉄の際に排出されるガスからCO2を分離・回収し、再利用の技術開発にも取り組んでおり、世界をリードする鉄鋼および鉱業会社であるArcelorMittal, S.A.と鉄鋼プロセスに活用するカーボン・リサイクルの国際共同研究開発を推進している。
ライフサイエンス分野では、細胞培養ソリューションとして足場材などの開発を進めている。
当事業に係る研究開発費は7,673百万円である。
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