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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QZX0 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 帝人株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

(1) 研究開発活動
帝人グループは、人を中心に考え、Quality of Lifeを向上させる企業理念のもと、「たゆまぬ変革と挑戦」によって新しい価値を創造し、持続可能な社会の実現に向けてソリューションを提供することで「未来の社会を支える会社」になることを目指しています。「気候変動の緩和と適応」「サーキュラーエコノミーの実現」「人と地域社会の安心・安全の確保」「人々の健康で快適な暮らしの実現」を重要社会課題として設定し、環境貢献に資する自動車・航空機、エネルギー領域におけるソリューション提供を通して「地球環境を守る会社」を、また、希少疾患・難病などのケアが必要な未充足ニーズが高い疾病領域を中心としたソリューション提供を通して「より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決する会社」を目指します。また、事業活動に伴う環境、社会への負の影響を最小限とする取り組みも続けています。

イノベーション創出に向け、研究開発においては、マテリアル、ヘルスケア、繊維・製品及びIT事業を併せ持つ帝人グループの特徴を生かした技術の連携・活用と融合・複合化により、グループとしての総合力・機動力を発揮することを推進しています。加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)についても IoTモニタリング技術、機械学習やAI技術、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)による研究開発力の強化を図ると同時に、スマートプラントの推進などによる製造現場の生産性向上など、多様な事業、分野において積極的に取り組んでいます。さらに、専門領域でのビッグデータやデジタル技術利活用についてアカデミアとの共同研究や企業連携を進めることと並行して、それらの成果に基づくマテリアル領域・ヘルスケア領域・IT領域での新たなサービスやビジネスの創出を目指してDX推進部を設置し、AIやIT等の最先端技術の獲得と活用を進めています。

研究開発体制については、国内12カ所、海外13カ所の拠点からなるグローバルなネットワークを有しており、グループ各社の連携を強化して組織を活性化するとともに、本年4月からは、将来投資の領域となる新規事業関連、事業間の協創によるイノベーションの創出を全社横断的に実施するために、各事業統轄下で育成してきた新事業及びコーポレートビジネスインキュベーション部門をコーポレート新事業本部として統合し、多様な人財が能力を発揮してイノベーション創出を加速する仕組みを取り入れています。

なお、当連結会計年度の研究開発費は319億円(前期比14億円減)でした。
報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。

カーボンニュートラルの社会実現に資する技術開発・研究開発並びに社会実装に向けた検討を行っています。マテリアリティとして取り組む「気候変動の緩和と適応」「サーキュラーエコノミーの実現」については、マルチマテリアル化による製品の軽量化や長寿命化を図るとともに、ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルの技術課題に取り組んでいます。環境対応分野に注力した開発拠点である欧州サステナブル先端技術開発センター(ESTIC)では、サーキュラーエコノミーやバイオマテリアルの開発、水素燃料電池に関する研究などをグローバルに推進しています。「人と地域社会の安心・安全の確保」に向けた取り組みとして、震災対策の一環で構造物の耐震補強材に用いられる高強度と柔軟性を兼ね備えたアラミド繊維や炭素繊維の開発を進めています。「人々の健康で快適な暮らしの実現」に向けた取り組みでは、ヘルスケア事業との融合領域として骨や再生医療などの分野での研究開発を推進しています。さらに、新事業創出に向けて、マテリアルズ・インフォマティクス(Materials Informatics/MI)を積極的に活用し、研究開発力の強化を図るとともに、帝人グループ内の連携のみならず社外を含めた幅広いネットワークを形成し、共同研究や情報交換・人財交流などを進めてイノベーションのスピードアップを図っています。

アラミド事業分野では、その高い機能性を活かして自動車、航空用コンテナ、消防服、ロープやケーブル補強など幅広い分野に使用されており、ライフプロテクション、プロテクティブアパレル、オートモーティブ、エアロスペース、インダストリーの5つを主力テーマとして、アラミド繊維製造技術及び新商品の開発に取り組んでいます。パラ系アラミド繊維である「トワロン」「テクノーラ」の海洋ロープ用途開発では、浮体式洋上風力発電の実証機として、英Marine Power System(MPS)社向け緊張係留式プラットフォーム(Tension Leg Platform : TLP)方式基礎の緊張係留部に、「トワロン」を使用した蘭FibreMax B.V.社の繊維ケーブルが世界初導入されました。また、メタ系アラミド繊維である「コーネックス」においては、その耐久性、難燃性を生かし、帝人グループがMultiyear Partnershipを締結したEnvision Racing Formula EにTeijinconex® neoを用いた軽量レーシングスーツが採用されています。なお、「トワロン」はグローバル市場における需要の拡大に対応するため、生産能力を25%以上増強する工事を完了いたしました。また、社会と企業の持続的な発展を目指すため、リサイクル技術開発により、2030年までにトワロンリサイクル率25%を目指し、長期的な取り組みを継続しています。

樹脂事業分野では、今後成長が見込まれる次世代情報端末、自動車先進化、カーボンニュートラルに対応した高機能材料の研究開発を行っています。ポリカーボネート樹脂では、高度な分子設計技術と重合制御技術を活かして、多様な屈折率要求に対応するスマートフォンカメラレンズ向け樹脂の開発を進めました。コンパウンド製品では、持続可能な社会の実現に向けてリサイクル技術を活用した環境対応材料の開発を進めています。加工製品では多様な用途に適用可能な成形加工用加飾シート、車載ディスプレイ大型化に対応する高機能シート・フィルムの開発を行っています。また、これらの樹脂材料開発全般において、マテリアルズ・インフォマティクスを活用することで研究の加速に役立っています。

炭素繊維事業分野では、高収益・高成長分野での事業拡大を進めるとともに、環境規制の高まりに伴う低燃費化の要請に応え、「軽くて強い」高機能素材の拡大を図っています。特に未来の最新鋭航空機に向けたソリューションとして、炭素繊維原糸から織物基材、熱可塑性及び熱硬化性樹脂を使用した中間材料や工法の開発に積極的に取り組んでいます。また、CO₂排出量削減に向けて製品のライフサイクル全体でのCO₂排出量を可視化するため、炭素繊維フィラメントの製造工程に加え、ショートファイバー、プリプレグ製品におけるCO₂排出量の算出方法を確立し、当社が展開する製品のライフサイクルアセスメント(LCA)への対応を可能としました。また、炭素繊維リサイクル技術の開発、社外との業務提携によるリサイクル炭素繊維を使用した製品の生産・供給体制の構築に向けた取り組みを進めており、幅広い潜在ニーズに応える製品の開発をより一層強化し、革新的な高性能材料とソリューションを提供していきます。

複合成形材料事業分野では、自動車分野におけるカーボンニュートラルの実現に貢献すべく、特に次世代自動車向けに、環境配慮型の材料やソリューション技術の開発に注力しています。素材から加工、成形、リサイクルに至るバリューチェーン全体のライフサイクルにおけるCO₂排出量削減に向けた技術開発や様々な取り組みの強化を続けており、自動車業界が求める軽量化、安全性と耐久性を実現しながら、素材及び製品の開発・設計の段階から環境負荷低減を組み込んでいくことができる世界にも類をみないTier1サプライヤーとしてのポジションの確立を進めています。また、積極的に自動化及びICT技術の導入を進めることで、製品の性能安定性と品質を向上させると同時に、生産効率やコスト効率を高め、顧客が要求する、より軽く、より複雑な形状の高外観製品を、安定して量産供給することを可能にしています。今後は過酷な環境でも長く使えるパーツや、リユース・リサイクルが可能なパーツの供給を通して、地域ごとに異なるサステナブル要求に応え、自動車の製造段階から使用段階の脱炭素化に貢献していきます。

新事業分野では、リチウムイオン二次電池(LIB)に使用される溶剤系コーティングセパレータの製造に関して、エンドユーザーや基材メーカーとの連携による次世代新製品の開発を進めるとともに、ライセンスビジネスの極大化を図っています。また、メンブレン事業については、液体フィルターの最先端用途向けに小孔径かつ高流量を実現する膜の開発を継続しています。

当セグメントに係る研究開発費は132億円です。



骨・関節、リハビリ・脳神経、呼吸器、代謝・循環器の領域を中心に、医薬品と在宅医療のシナジーも生かしながら、患者さんのQuality of Life 向上、新たな治療選択肢の提供につながる医薬品、医療機器、そして付加価値サービスを生み出すために、積極的な研究開発を行っています。また、デジタルヘルスケア、機能性食品素材などの分野で、未病~疾病~介護の全てに対応するヘルスケア事業基盤の構築、情報プラットフォームを活用した新規事業の創出に注力しています。今後は、当社の在宅医療分野で培ってきた事業基盤を活用し、より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決する製品やサービスのパイプラインを提供していきます。

医薬品分野では、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を効能・効果とした「オスタバロ皮下注カートリッジ 1.5mg」について2022年8月に製造販売承認を取得し、PHC株式会社と共同開発した専用の電動注入器「オスタバロⓇインジェクター」とともに2023年1月に販売を開始しました。また、2023年2月に、アクセリード株式会社と創薬研究に関する合弁会社設立の基本合意書を締結しました。設立する合弁会社との提携によって、創薬研究の効率化と、より幅広い研究分野の強化を目指すとともに、国内外の創薬プレイヤーとの協働による創薬研究の強化を図ります。さらに、腎疾患を対象とした自社創製低分子化合物について、2023年3月に全世界における独占的開発・製造・販売権をNovartis AGに供与するライセンス契約を締結しました。なお、2022年4月に共同研究契約締結を公表したIktos社とは、医薬品の候補となる化合物の探索プロセスを人工知能(AI)で効率化する技術についての共同研究開発を継続しています。

在宅医療分野では、高流量でありながら小型軽量な酸素濃縮装置「ハイサンソi7」を2022年11月に上市しました。既に展開中の統合型濃縮器「ハイサンソi」、低濃度処方にお使いいただける「マイルドサンソ 40i」と同様の見やすい液晶表示や通信機能の搭載によって、よりきめ細やかにアドヒアランスの確認をサポートできる製品です。中国では中国国内販売向け医療機器の生産許可証を取得し、携帯型の酸素濃縮装置「silentair」の製品登録を完了、2022年12月に上市しました。引続き、周辺機器を含めた製品ラインナップの充実のため研究開発を進めます。なお、2020年4月に出資した米国ヘルスケアベンチャーキャピタルファンドであるMedtech Convergence Fundでは米国を中心に医療機器のスタートアップ企業に対する投資やインキュベーション活動を継続しており、これらを通じて画期的なヘルスケア領域の新規製品・サービスの獲得を目指します。

当セグメントに係る研究開発費は139億円です。



繊維・製品事業では、環境戦略「THINK ECO®」を掲げ、環境配慮型のタイヤコードや、優れた生分解性によりマイクロプラスチックの削減に貢献するPLA(ポリ乳酸)樹脂を開発するなど、衣料繊維から産業資材までの幅広い用途で環境負荷低減に貢献するソリューションを提供しています。また、自社工場におけるポリエステル繊維製造時のCO2排出量算出システムを確立するとともに、新たな解重合触媒を使用することで、着色されたポリエステル繊維を石油由来の原料と同等品質に再生可能で、再生工程の環境負荷も低減する新リサイクル技術を開発しました。さらに、回収した廃棄衣料品からポリエステル素材を選別して効率的に再生原料を作り出すリサイクルシステム構築の取り組みを開始するなど、サーキュラーエコノミーの実現に向けた事業戦略をさらに強化しています。

当セグメントに係る研究開発費は19億円です。




ネットビジネス分野において、電子コミック配信サービス「めちゃコミック」へのAIの適用について、またITサービス分野において、ヘルスケア領域等でのデータ活用・AI活用に加え、中小企業向けのクラウドサービス開発技術について、調査・研究を行いました。

当セグメントに係る研究開発費は1億円です。

上記セグメントに属さない研究開発活動として、再生医療事業領域において、当社の子会社である(株)ジャパン・ティッシュエンジニアリングが厚生労働省からメラノサイト含有自家培養表皮「ジャスミン」の製造販売承認を取得しました。また、大阪医科薬科大学、福井経編興業(株)との3者で共同開発を進めている心・血管修復パッチ「OFT-G1(仮称)」の臨床試験において、主要評価項目の達成を確認し、国内において製造承認申請しました。2023年度内での上市を目指すとともに、海外での事業化も検討していきます。

この他、グループ共通の基盤技術の向上やエンジニアリング分野に関する研究開発等を行っています。
これに係る研究開発費は28億円です。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00872] S100QZX0)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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