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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QH26 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社クラレ 研究開発活動 (2022年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、カンパニー・グループ会社に所属するディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。
ディビジョナル研究開発は、カンパニー・グループ会社が各事業所に研究開発部署を有しています。
コーポレート研究開発体制としては、研究開発本部において、新事業テーマの企画・提案・推進を目的に、くらしき研究センターとつくば研究センターの2拠点を設置しています。オープンイノベーション推進を目的に、米国にはKAI Corporate R&Dを有しています。事業化段階として、機能製品開発部及びベクスター事業推進部・ベクスター生産開発部を擁しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいてシミュレーション技術を活用した原理原則に基づく生産技術開発を推進しています。また、研究開発テーマの早期設備化を推進するための体制整備も進めています。一方で、デジタル技術を活用した生産効率、及び品質向上への取り組みも着実に進めています。
ディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,016人です。

当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート8,860百万円、イソプレン2,057百万円、機能材料3,418百万円、繊維2,116百万円、トレーディング133百万円、その他535百万円、全社共通(コーポレート研究開発)5,530百万円、合計22,653百万円になります。
セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。
[ビニルアセテート]
・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、(樹脂、フィルム)の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進し、新たな価値を顧客に提案します。また、社会情勢やニーズの変化を成長機会と捉え、地球環境改善や社会貢献につながる製品開発を積極的に行います。
・ポバール樹脂は、当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、これまで培った技術開発力をベースに自消・外販両面で高品質かつ差別化された製品を提供します。日米欧亜の6工場をベースとしたグローバルネットワークを強みとして、世界各地の顧客に対して安定供給を図るとともに、ポバール樹脂の安全かつ環境に優しい特徴に注目し、新たな用途、ビジネス機会を提案します。
・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムの構成部材の一つとして、さらなる高性能化・高品質化に加え、顧客での生産性向上などにも顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについても、顧客からの新たなニーズに応えるべく、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。
・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めており、新たな価値を顧客に提案しています。その一環として、アイオノマー樹脂をシート化したの更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。
・樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地の顧客ニーズや市場動向を把握しながら、バリア材料の新技術開発・用途開発を推進しています。またフィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料については、CO2排出削減効果とガスバリア性を併せ持つ新素材として、用途開発に取り組んでいます。
[イソプレン]
・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーを展開しており、溶剤やウレタン原料、香粧品原料などを中心に新規用途開発を推進しています。また、脱炭素やサステナビリティへの貢献といった社会のニーズに応える機能性ポリマー・化学品の創出にも取り組んでいます。
・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。その一環として、植物由来原料のファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーを開発し、市場開発を推進しています。また液状ゴムは、主力のタイヤ用途で様々なタイプの製品を市場に提案し、高機能タイヤの改質剤として採用が広がっています。
・耐熱性ポリアミド樹脂では、5G通信コネクタ及び高電圧用コネクタ等に適した電気・電子用途向けのグレード開発に注力するとともに、自動車の環境規制強化やCASEの加速に対応するためサーマルマネジメント部品や車載電装部品に適した材料の開発を加速しており、部品メーカー各社で評価が進んでいます。

[機能材料]
・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。
・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント、吸収性骨再生用材料は、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。
・環境ソリューション事業では、「環境(水・大気)・エネルギー」分野を重点戦略領域と位置付け、飲用水浄化材、ガス精製、蓄電において、吸着・脱着にイノベーションを創出、活性炭から成型材まで新たな技術開発と商品群展開を推進しています。また、環境材である活性炭の再生、再利用にも新技術の構築に取り組んでいます。
・アクア事業推進本部では、中空糸水処理膜を用いた様々な水の製造・回収を通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・技術開発に取り組んでいます。
[繊維]
・高強力繊維は、極低温域までの広い温度領域において、高強度、低誘電損失、低線膨張であることに加え、ほとんど吸水することがない特質を有していることから、海洋資材、光ファイバー等の電材など高機能、高性能であることが求められる分野で広がっており、今年度もフル生産が続きました。さらなる用途拡大を目指し、性能向上、構成検討を進めています。
・PVA繊維は、ゴム補強用フィラメントや防護材料、特殊紙分野の拡大に応じた体制整備を行い順調に稼働しています。さらなる成長を目指し、生産技術、製品開発を続けています。
・人工皮革は、環境や健康意識の高まりにより、環境配慮型革新プロセス(CATS)を使ったスポーツ向け製品需要が増加しており、RCS認証を取得した環境配慮銘柄を開発、販売の拡大に取り組んでいます。また欧州ラグジュアリー用途向けに、リサイクル原料を用いた新規環境配慮型製品の投入を開始し、さらにバイオマス原料を使った新規製品開発も進めています。
・不織布は、2020年に新設されたメルトブローンと従来のスパンレース技術を融合した革新プロセスに取り組み新規用途の開拓を目指しています。また液晶ポリマーを用いた不織布の用途拡大や、生活環境向上に寄与する製品開発、新規環境配慮型製品の開発を進めています。
[トレーディング]
・ポリエステル長繊維では、①地球環境に配慮した独自原糸(PETボトル再生樹脂を用いた機能繊維、バイオEGを用いた、ヤシ殻炭練り込み繊維)、②独自の樹脂を用いて糸自体に性能付与した衝撃吸収繊維、③電子部品などへの静電気放電対策としてIEC基準にも対応する導電性繊維などの機能性原糸の開発を推進しています。
[その他]
・クラレプラスチックス株式会社では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド及び同コンパウンドを原料とした不織布やフィルム(コンパウンド二次製品)、をコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術による高気密高断熱住宅向け換気・空調ダクト及び周辺部材、高強力繊維 を使用した土木用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。
[コーポレート研究開発]
研究開発本部では、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。
①新事業の創出:素材事業あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。種々の施策・改革を進め、当社の強み(技術・商流・市場)を活かした新規事業開発テーマの発掘・推進を継続します。
② 既存事業の強化・拡大:カンパニー・グループ会社との協働・支援を強化し、分析・解析・デジタルなど高度な技術を駆使して全社事業の盤石化を図るとともに、既存事業の拡大に貢献します。また当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。
③ 基盤技術の構築・深耕:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深 化・深耕を図ります。
以下、研究開発活動を示します。
・当社基幹原料からの新規化学品開発や新規高分子素材原料の開発に資する触媒開発技術を基盤技術と捉え、これまで長年培った均一系触媒技術のみならず固体触媒技術開発を進めています。これら技術開発を通じ、イソプレン事業、ビニルアセテート事業にかかわる既存事業の強化並びに新規材料開発を展開していきます。
・酢酸ビニルチェーンの更なる業容拡大と新規展開を目指し、保有コア技術と内外から取り込んだ技術で新たな機能を有する素材の開発を進めています。環境親和性の高い酢ビ系高分子の精密な構造制御技術や高機能化プロセスを追及するとともに、酢ビ系高分子の研究開発を通じて獲得した知見や技術を酢ビ系高分子の枠を超えて展開することで顧客ニーズに合致した新素材を提案し続け、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。

・カンパニー・グループ会社との連携を通じて、高分子化合物の設計・重合・変性に関する基盤技術を拡充・深耕し、既存技術の強化・拡大と新事業の創出に資するための新規技術・新規高分子材料を開発します。
・自社素材や高分子材料の成形・加工に関する基盤技術を拡充・深耕し、カンパニー・グループ会社と連携して、成形材料・成形体・シート・フィルムなどの機能性素材・部材に関する研究開発を推進しています。
・リチウムイオン二次電池の高性能化、及び開発が進む次世代電池に向け、植物を原料とした高容量負極材用ハードカーボンの開発を加速します。また、全社の電池材料開発の中心としてカンパニー・グループ会社と連携し、当社独自素材の電池部材への応用展開を進めます。
・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルムは、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価されています。さらにフィルムに加え銅張積層板を事業化しました。需要は今後も伸びると見られ積極的に事業拡大を進めていきます。
・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、独自のポリウレタン設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えることなどで、複数の顧客・複数プロセスで採用されています。今後、各顧客のニーズに合った製品をタイムリーに提案することで、顧客の製品機能と品質の向上、コスト削減に貢献し、半導体市場の発展に寄与していきます。
・先進的かつ豊富な分析・解析技術、及びシミュレーションや機械学習などのデジタル技術を応用し、カンパニー・グループ会社に様々な技術ソリューションを提供することで、クラレグループの業績向上に貢献しています。
[イノベーションネットワーキングセンター]
イノベーションネットワーキングセンター(以下、「INC」という。)は、今中期経営計画「PASSION 2026」施策の一環として、2022年1月、グループ全組織や市場・顧客との有機的連携をグローバルに構築し、イノベーションの継続的創出を実現するために設立されました。顧客様中心主義を尊重し、グループが持つ組織的な能力や強みを市場のアンメットニーズに繋ぐことで、新たな価値を創造すること、そして、そのための仕組み作りや、イノベーションへ向けたチャレンジや失敗を奨励する風土醸成を推進します。
イノベーションはINCが単独で起こすものではなく、全社参加型の活動が求められます。各事業部、各本部、及びお客様やパートナー企業が主役となり、活動の成果は皆さんに還元されていきます。また、INCは「新しい建物」ではありません。27名の正メンバーと、各部署を代表して繋がっている50名余のアンバサダーから成るバーチャルにグローバルで繋がった組織です。この組織が担う仕事は主に以下です。
①仕組作り1(コアケイパビリティープラットフォーム立上げ)…当社の技術開発力、お客様との繋がり、多様な人材といった総合力を、グループ社員で活用し合うためのプラットフォームを立上げ、シナジー創出を加速化します。
②仕組作り2(イノベーションパイプライン立上げ)…社内の新ビジネス開発プロジェクトの優先順位を明確にし、イノベーションを効率よく進めるための戦略とシステムを作り、パイプライン上でのインキュベーションも進めていきます。
③市場セグメント別マーケティング推進…セグメントチームを主体とし全社横断でセグメント別に市場へアプローチし、新規テーマを発見・発掘し、お客様やパートナー企業との協業を進めていきます。
以下、INCの2022年度の成果を示します。
・社内ロードショーやイントラネット等でのコミュニケーションを通し、INCの戦略と進め方をマネジメント層から実務者レベルにまで認知してもらい、協力を受けるための土壌作りを進めました。一方、各事業部や海外の事業所とは、個別にアライメントセッションを開催し、協業テーマの発掘を進めました。
・各事業部に拡散するコア技術及び試作用設備を全社で共有するためのプラットフォームの試行版を小規模で立上げ、仮説検証を進めました。
・セグメントチーム活動の一環として、数百回のビジネスマッチング会をコーディネイトし、発掘されたカスタマーアンメットニーズから10の新たなビジネス開発テーマを立上げました。加えて、国内外10の展示会へ出展し多くの引き合いを受け、フォローアップを継続しています。

事業等のリスク株式の総数等


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