有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TUNO (EDINETへの外部リンク)
日本パーカライジング株式会社 研究開発活動 (2024年3月期)
当社グループは技術立社として、「金属表面処理技術の経験を活かして自動車・鉄鋼業等を中心に産業に貢献すべく、あらゆる素材の表面改質の分野で市場における技術的な優位性を維持し、世界のリーダーたる」ことを基本方針に掲げ、国内外関係会社の技術開発部門が連携し、表面改質技術を通じて、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に向けた表面処理技術の開発を進め、その地位を確固たるものにするために日々努力しております。特に近年では、金属材料表面に新たな機能を付与するだけではなく、脱炭素社会の実現に向け、金属材料をより長寿命化するための表面改質の開発や、環境負荷の低い表面処理プロセスの開発にも積極的に取り組んでおります。
当社グループの事業領域は、表面処理薬剤の製造販売を中心とする薬品事業領域、防錆加工及び熱処理加工を行う加工事業領域、表面処理及び塗装に関連する設備機器の製造販売を行う装置事業領域の3つに大別されます。これら事業領域を網羅した基礎的な研究開発は総合技術研究所(日本)が中心となり、国内外の開発拠点と緊密に連携しながら推進しております。国内に対しては東日本地区・西日本地区の各技術センター、加工技術開発センター、油性製品技術センターが、海外に対しては海外技術センター(日本)、パーカー表面処理技術(上海)(中国)、パーカー・サーフェス・テクノロジー・アジアパシフィック㈱(タイ)が、顧客により近い立場を生かして応用開発・実用化検討を行っております。このように、市場ニーズの急激な変化に対応するために、シーズ開発から製品開発までを一貫して行うと共に、グローバルな製品展開を視野に入れ、迅速で柔軟な研究開発体制を構築しております。また、自社の持つコア技術を軸とした新技術創生活動にも力を入れております。さらに、製品の製造に関しては、多様化する製品群に対し安定した品質を保証できる製造技術の開発を製造技術センターにおいて推進しております。
主な研究開発の概要及び成果は、以下のとおりです。
薬品事業領域では、従来から対象としてきた鉄鋼材料・自動車車体・塑性加工パーツ・非鉄材料といった主な分野で、環境課題にも積極的に取り組んでおり、性能とコストを両立させ、環境に配慮した新しい表面処理技術・材料の開発を進めております。自動車車体の塗装下地分野では、りん酸亜鉛処理に替わる環境負荷の少ない新規化成処理のグローバル展開を進めており、次世代に向けた応用開発も同時並行で行っております。同じくりん酸亜鉛処理に頼っていた塑性加工用潤滑処理についても、環境対応型の一液型潤滑処理の市場が海外展開を含めて進んでおります。非鉄材料分野では、エアコン用熱交換器に対して新たな機能を付与した皮膜処理剤の開発を進め、家電用エアコンへの市場化を目指しております。ライフサイエンス分野においては、表面改質を通じて人びとの生活と健康に貢献すべく、新規表面改質技術の市場展開を図っています。また、絶縁、断熱、撥水、抗菌など、新たな機能を付与するための表面処理技術を、電子部品、日用品、医療機器などの新規市場分野に積極的に適用しており、今後、更なる市場拡大が期待できます。
装置事業領域では、昨年11月に千葉県船橋市に新たに「技術開発センター」をオープン致しました。本センターでは、新たな塗装技術の開発を行うとともに、新たな溶剤塗料集塵機構を備えたドライキューブブース、近接塗装装置を始め、リニューアルした粉体色替えブースシステム、多目的乾燥炉や洗浄装置を設置し、ユーザー様の要望に合わせた試験を随時実施致しております。また、当実験装置は当社のIoTシステム(PARKER LEAPS)とすべて連携しており、実際に現場にお立会いいただかなくても、塗装テストの状況を遠隔地からリアルタイムに確認が可能な、スマートラボを実現しております。
加工事業領域では、顧客とともに製品の特性を観察し、求められる性能を提供できるよう取り組んでおります。例えば、表面処理が摩擦や摩耗などのトライボロジー特性にどのような影響を与えるか基礎的な評価を繰り返して知見を蓄積し、提案の一助としております。加工事業においては自社製品の取扱いが基本となりますが、生産技術的な開発にも注力しております。従来、主な要求性能であった耐食性や表面硬化においては、主に化成処理や塗装、軟窒化処理などで生産技術的な知見を積み重ねてきましたが、近年では接着性や絶縁性など、従来にない新たな機能を付与する表面処理が求められてきております。これらの分野では、これまであまり扱わなかった複雑形状の部品や微細部品に対する表面処理、製品の特定部位のみにコーティングする選択的表面処理など、顧客から求められる仕様や機能が多岐にわたっており、これらに対応するための生産技術的な開発にも取り組んでおります。さらに、既存技術の複合化による性能向上や、製品使用時の管理法の見直しによる品質の更なる安定化、表面処理工程の効率化による消費エネルギー量の抑制や、廃棄物の削減などにも取り組んでおります。表面処理における品質と環境保護を高い水準で両立させることで、脱炭素社会の実現に貢献することを、加工事業においても目指しております。
当連結会計年度では、総研究開発費として1,982百万円を投入いたしました。なお、セグメントに関連付けての記載は困難であるため省略しております。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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