有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R8L3 (EDINETへの外部リンク)
大豊建設株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当社の研究開発につきましては、建設費の低減と安全性の向上に加え、DX化やカーボンニュートラルへの取組を強化することで受注の拡大を目指すべく、土木部門におきましては、独自技術の自動化・自律化、デジタル技術の活用、環境負荷低減、リニューアルによる構造物の機能維持と性能強化に関する開発を積極的に進めております。具体的には、施工の無人化・遠隔化、計測・管理技術の高度化、掘削の効率化、浚渫土の減容化、橋脚耐震補強関連などの研究に取り組んでおります。また、建築部門におきましては、CO2の削減と固定、森林資源循環に寄与する建築の木構造・木質化技術の開発の強化、DXの推進・BIM一貫体制導入や、省エネ技術などの研究に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は213百万円であります。各セグメント別の研究開発費の区分は困難であるため、研究開発費は総額で記載しております。主な研究開発成果は以下のとおりです。また、子会社におきましては、株式会社森本組にて環境関連の研究開発活動を進めております。
(土木事業)
1.New DREAM工法の開発
大豊式ニューマチックケーソン工法に多機能型ケーソン掘削機、掘削機メンテナンスシステム、大気圧エレベーター、DHENOXシステム(ヘリウム混合ガスシステム)、遠隔地耐力試験装置等を組み合わせ主要高気圧作業の100%無人化施工を可能とするNew DREAM工法を開発しました。10基のニューマチックケーソン工事に適用され、大断面道路・鉄道トンネルの立坑や雨水貯留施設等の大深度、大断面の地下構造物の建造に貢献しています。今後、掘削自動化の実現に取り組むことにより独自技術としてのさらなる進化を目指しております。
2.ニューマチックケーソン掘削シミュレータの開発
コンピュータグラフィックを駆使して作成したサイバー空間にニューマチックケーソン掘削機を再現し、実機と同様の感覚での掘削操作の体験を可能とするニューマチックケーソン掘削シミュレータを開発しました。本シミュレータは、開発中のニューマチックケーソン自動掘削や長距離遠隔操作の技術開発で必要となるデジタルベースの掘削機を利用して開発したもので、パソコン及び掘削機操作レバー等の周辺機器で構成し、職員・作業員の教育訓練の他、一般の方向けの体験等に活用しています。一般の方向けの活用では、よりニューマチックケーソン工法に親しみをもっていただくための配慮として同工法に関するクイズやゲームなども搭載しており、全国各地の建設技術展やニューマチックケーソン現場で大いに活躍しています。
3.ニューマチックケーソン工法の高度施工管理技術の開発
ニューマチックケーソン工法の適用範囲が拡大する中、大断面・大深度への対応は元より、構造物の高規格化へも対応しつつ効率的に施工を進めることが強く求められております。このような状況の下、施工精度向上及び施工管理の効率化を図るためリアルタイムの自動姿勢計測システム、高気圧作業室内の掘削面形状計測システム、高気圧作業従事者を対象とする減圧管理システムを開発しました。これらのシステムは、高度計測技術に当社開発のソフトを組み込みデータ処理するものであり、現場での試験運用を経て本格運用の段階に至っております。特に、減圧管理システムについては、最新の仕様ではAIによる顔認証機能を追加装備するなどの改良も行っており、既に28基のニューマチックケーソン工事に適用され、施工管理の効率化に多大な貢献をなし得ております。近年、i–constructionの推進に伴う生産性向上や施工管理技術の高度化は喫緊の課題となっており、今後もニューマチックケーソン工事分野への新技術の導入を積極的に図り、施工管理技術の大幅な向上に資するシステム開発を継続します。
4.減圧管理プログラムの開発
ニューマチックケーソン工法が大深度化する中、高気圧作業従事者が大気圧に帰還する際の安全な減圧方法に関する計算プログラムを専門医とタイアップして自社開発しました。本プログラムを使用することにより、ニューマチックケーソンの多種多様な条件下における高気圧作業の安全な減圧工程が、迅速かつ確実に算定可能となり、大深度のニューマチックケーソンを施工する際などの安全性確保と健康管理の徹底を図ります。2015年度の運用開始から現在に至るまで50基のニューマチックケーソン工事に採用し、この間、プログラムの改良も重ね、高気圧作業従事者の減圧症予防に多大な貢献をしています。
5.ニューマチックケーソン健康管理アプリの開発
ニューマチックケーソン工法の高気圧作業従事者の健康状態を迅速・的確に把握し、健康状態に応じた注意喚起、及び健康データのデータベース化などを実現するニューマチックケーソン健康管理アプリを開発しました。本アプリの使用により、近年のニューマチックケーソンの大深度化と、ベテラン技術者の確保が難しい状況下においても現場管理者の経験に過度に依存しない高気圧作業従事者の健康状態の判断と継続・連続的な把握、さらに、健康管理に関する書類作成業務の排除などが可能となります。高気圧作業の実施においては、現場管理者が高気圧作業計画をアプリ上で作成し、併せて高気圧作業従事者が無線通信の健康測定器具で健康状態を測定・送信することにより、加圧~高気圧作業~減圧の各プロセスの健康管理とデータ蓄積が自動的に行われ、高気圧作業従事者の確実な健康管理と管理業務の簡素化・効率化が図られています。
6.硬質地盤掘削システムの開発
ニューマチックケーソン工法の大深度化・大断面化に加え近年では岩盤硬質地盤への適用が増加する中、岩盤硬質地盤の効率的掘削を可能とする硬質地盤掘削システムを開発しました。本システムは、当社保有掘削機DREAMⅡに装着可能なリッパバケットなどの特殊掘削バケットなどから構成し、岩盤硬質地盤の掘削効率の大幅向上を実現します。今後、硬質地盤条件下に施工される大断面大深度の雨水貯留池、ポンプ場や立坑などでの採用が期待されます。
7.シールドⅤR(仮想現実)体験システムの開発
ヘッドマウントディスプレイを装着してVRコンテンツを起動すると、シールド工法を実物大で体験することが可能なシールドⅤR(仮想現実)体験システムを開発しました。本システムは、開発中であるシールド統合管理システムの技術開発で必要となるデジタル技術を利用して開発したもので、実物大のシールドマシンを体感したり架空の工事現場のシールド掘削状況を体験したりすることが可能です。シールド工法を紹介する動画「空間を生む」と併せ、職員向けの教材としてだけではなく、全国各地の建設技術展やシールド現場見学会における一般の方向けの体験等に活用されています。
8.DRES(ドレス)工法の開発
港湾、河川、湖沼等の高含水の浚渫土を効率的に脱水・分級してリサイクルできるシステムを開発しました。本工法は、田子の浦港で浚渫土の減容化に採用され、また、新門司の築堤材製作工事では日本最大規模の処理システムで稼働するなど、浚渫土処理累計は約110万m3に上り、港湾の維持や環境影響の低減に貢献しています。特に田子の浦港では、高濃度ダイオキシン類の浚渫土中間処理にも採用され、環境負荷の低減やコスト縮減に貢献しており、今後さらに湖沼、港湾等での活躍が期待されます。
9.鋼製函体締切工法の開発
既設橋脚の水中部を鋼製函体で仮締切し、ドライな状態で高品質な橋脚耐震補強を安全に行うことのできる鋼製函体締切工法を民間4社で共同開発しました。本工法に用いる函体は、浮力を利用して曳航沈設が可能なため、桁下空間の制限を受けず、フーチング上に設置できます。これまでに河川内の橋脚耐震補強に採用され、当社施工分として完了工事が5件あります。
また、本工法の派生工法として狭隘な場所や浅水深による作業制限がさらに緩和でき、大幅な工費の低減を可能
とする当社独自開発の「複合壁体締切(RECC)工法」と「カプセル壁体締切工法」も併せて開発しており、前
者は8基、後者は4基の施工実績を有します。今後、同様な施工条件下の工事への採用が見込まれ、安全・安心社
会の構築に貢献することが期待されます。
10.遠赤外線触媒還元処理システムの開発
現在、最終処分場の残余量がひっ迫してきており、新たな最終処分場の建設もなかなか進んでおりません。そ
の対策として、ゴミ焼却施設から排出される焼却灰を減容化・再資源化を目的に「遠赤外線触媒還元処理シス
テム」を開発します。遠赤外線触媒還元炉のセラミック壁を加熱し、遠赤外線が発生。遠赤外線と焼却灰由来の
触媒との相乗効果により化学反応が促進され、焼却灰の結晶体を分解し、硫化物化します。これにより焼却灰に
含まれる有害物質重金属が安定化・不溶化し、有害物質が無害化され、2/3の減容化が実現します。また、生
成物から資源化物の製造も可能となります。環境保全の面からCO2の発生は大幅に削減されます。また、この装
置を用いての放射線濃度の高い除去土壌の放射線濃度低減も確認されています。これらの効果を確認するために
遠赤外線還元炉装置の実験機を作製し、実証実験を行い、システムの構築を確立していきます。
(建築事業)
1.木構造・木質化技術の開発
地球温暖化防止にはCO2の削減とともに、CO2の吸収源を確保することが重要であります。吸収源の大部分は森林でありますが、人工林の高齢化とともに森林吸収量は減少傾向にあり、現在の潤沢な森林資源を活用し植林する循環サイクルを加速させることが必要であります。そのため国を挙げて木材の積極利用、都市の木造化が推奨されております。また木材はCO2を固定化することができる第二の森林ともいわれております。木造は鉄骨やコンクリート造に比べ建設に伴うCO2排出量が約6割と少なく、建物が蓄える炭素量は4倍であり、木造化は2050年のカーボンニュートラルに向けた重要な手段であり、優先的に取組む必要があります。
当社における木質材料の活用及び木構造の技術開発に関しましては、茨城県阿見町の技術研究所で試験施工した木構造技術(大断面集成材のラーメン構造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた、立面ハイブリッド工法や、鉄筋コンクリート造架構に組み込んだCLT耐震壁、配筋付き製材型枠)を発展させております。
CLT耐震壁(RCSWs工法)に関しては産学共同研究による実物モデル架構による加力試験や要素試験を実施して、新たな設計法を開発しました(特許取得)。また、設計施工案件や自社案件で木質材料を積極的に採用し、実施物件での施工検証を行っております。
また、新工場建設プロジェクトでは、鉄骨と木質トラスを併用した木トラス鉄骨ハイブリッド構造を採用し、設計・施工法を検証しました。今後更に中大規模木造建築の開発や試設計により、木造木質化を推進します。
2.DXの推進・BIMによる設計施工一気通貫生産システムの構築
働き方改革、生産プロセス改革の為には、建設のデジタル化加速が急務であり建設業界におけるDXの取組が加速しています。生産性向上や効率化のためのITツールの導入や支援ソフトの導入によりDXによる業務改善を推進しております。また、BIM(Building Information Modeling)に関しては導入の基盤整備を完了し、実施物件への適用実践を開始、BIMの設計施工一気通貫体制への移行に取り組みを加速させております。BIM設計の実物件数を増やしながら、コミュニケーションの向上や図面間の整合及び問題点の改善等をフロントローディング、BIM活用技術者育成の為の教育を実施し、生産性の向上や施工プロセスへの展開を図っております。
3.省エネルギー設計技術の研究
建築物に関連するCO2の排出量は非常に多く、建築物の省エネルギー化は大変重要であります。当社技術研究所では省エネ設計技術を研究し、ZEBReady(ZEBとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略で、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロとすることを目指した建物)を取得しました。またZEBプランナー登録を行い昨年度はオフィスビルでのZEBの設計を行いました。また関西のワンルームマンションでは、ZEH-M Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス マンションオリエンテッド)を採用しております。
4.免震・制震工法の開発
各種用途の建築物への免震工法の適用は定着しており、当社でも関東近郊、東海、関西、九州地区等、集合住宅を中心とした多くの実績があります。最近では、首都直下型・南海トラフ等の巨大地震の発生が懸念される中、防災拠点の耐震化や企業のBCP(企業継続計画)対策のひとつとして重要視されております。
免震工法では、基礎免震による共同住宅や中間免震の高層ホテル、杭頭免震でのPC圧着関節工法による大型物流倉庫、免震タワーマンションなどに取り組んでおります。また、制震工法につきましては、超高層住宅での「摩擦ダンパー工法」や、官庁物件における「アンボンドブレース工法」の適用を通じて多くのノウハウを蓄積しており、関連技術を総合的に活用し、免震・制震分野へ継続的に取組んでいきます。
5.プレストレスプレキャスト技術の導入
建設業の就労人口の減少により慢性的な労務不足のなか、工場で製作し、現場で組み立てて接合するプレキャスト工法は、省力化や工程短縮など有効であります。
プレストレスプレキャスト工法(PCaPC工法)は、プレキャストコンクリートに高張力(プレストレス)を加えることで、大スパンが可能でひび割れも発生しない、高品質・高耐久性・高耐震性を備えた優れた工法であります。すでに物流倉庫など複数の工事においてその有効性を確認しており、今後も積極的に推進していきます。
6.耐震補強関連技術の開発
耐震基準を満たさない、いわゆる「既存不適格建築物」への対応は緊急の課題であり、「改正耐震促進法」への対応も求められております。当社では要素技術として「MARS(連続繊維補強)工法」、「鋼管(低騒音・低振動)コッター工法」、「デザインフィット工法(部分アンカー枠付き鉄骨ブレース補強)」、「スマイルパラレル工法」などを保有しており、それらを活用しながら物件の特性に配慮した多くの耐震補強工事を実現してきました。最近の事例としては、東北地区の庁舎改修工事でPCa部材とPC(高強度)鋼棒を使用した外側補強を行っており、前記技術と併せて官公庁物件を含む耐震改修分野への展開を図っていきます。
7.杭・基礎関連技術の開発
当社では、引抜き抵抗力に優れるなどの特徴を持つ中間及び先端に拡径部を有する場所打ちコンクリート杭
工法「Me-A工法」を共同開発し、一般財団法人ベターリビングより一般評定を取得しております。本工法は、
アースドリル工法を用いて、杭軸部の中間及び先端に節状の拡径部(節)を設けて、建物を支える力を増大させ
た場所打ちコンクリート杭を造成する工法であり、この拡径部は地震の時に建物を転倒させようとする力に抵抗す
るため、杭の引抜き抵抗としても有効に働きます。従来の杭より短く、もしくは杭軸部を細くすることが可能にな
り、杭の工事費を低減できます。これまでに、東京の集合住宅6件(109本)で採用されております。また、阪
神・淡路大震災における杭頭破壊の事例を契機に、杭頭の損傷を制御する研究・開発が行われるようになり、多く
の関連技術が実用化されるようになってきました。当社でも「CTP(杭頭半固定接合)工法」の導入を図り、杭
性能の向上とともにコストダウンにも有効なツールとして検討を進めてきた結果、これまでに4件(62本)の高
層集合住宅で採用しております。両工法は汎用性に優れており、今後も全国への積極的な展開を進めていきます。
(その他の事業)
研究開発活動は特段行っておりません。
当連結会計年度における研究開発費の総額は213百万円であります。各セグメント別の研究開発費の区分は困難であるため、研究開発費は総額で記載しております。主な研究開発成果は以下のとおりです。また、子会社におきましては、株式会社森本組にて環境関連の研究開発活動を進めております。
(土木事業)
1.New DREAM工法の開発
大豊式ニューマチックケーソン工法に多機能型ケーソン掘削機、掘削機メンテナンスシステム、大気圧エレベーター、DHENOXシステム(ヘリウム混合ガスシステム)、遠隔地耐力試験装置等を組み合わせ主要高気圧作業の100%無人化施工を可能とするNew DREAM工法を開発しました。10基のニューマチックケーソン工事に適用され、大断面道路・鉄道トンネルの立坑や雨水貯留施設等の大深度、大断面の地下構造物の建造に貢献しています。今後、掘削自動化の実現に取り組むことにより独自技術としてのさらなる進化を目指しております。
2.ニューマチックケーソン掘削シミュレータの開発
コンピュータグラフィックを駆使して作成したサイバー空間にニューマチックケーソン掘削機を再現し、実機と同様の感覚での掘削操作の体験を可能とするニューマチックケーソン掘削シミュレータを開発しました。本シミュレータは、開発中のニューマチックケーソン自動掘削や長距離遠隔操作の技術開発で必要となるデジタルベースの掘削機を利用して開発したもので、パソコン及び掘削機操作レバー等の周辺機器で構成し、職員・作業員の教育訓練の他、一般の方向けの体験等に活用しています。一般の方向けの活用では、よりニューマチックケーソン工法に親しみをもっていただくための配慮として同工法に関するクイズやゲームなども搭載しており、全国各地の建設技術展やニューマチックケーソン現場で大いに活躍しています。
3.ニューマチックケーソン工法の高度施工管理技術の開発
ニューマチックケーソン工法の適用範囲が拡大する中、大断面・大深度への対応は元より、構造物の高規格化へも対応しつつ効率的に施工を進めることが強く求められております。このような状況の下、施工精度向上及び施工管理の効率化を図るためリアルタイムの自動姿勢計測システム、高気圧作業室内の掘削面形状計測システム、高気圧作業従事者を対象とする減圧管理システムを開発しました。これらのシステムは、高度計測技術に当社開発のソフトを組み込みデータ処理するものであり、現場での試験運用を経て本格運用の段階に至っております。特に、減圧管理システムについては、最新の仕様ではAIによる顔認証機能を追加装備するなどの改良も行っており、既に28基のニューマチックケーソン工事に適用され、施工管理の効率化に多大な貢献をなし得ております。近年、i–constructionの推進に伴う生産性向上や施工管理技術の高度化は喫緊の課題となっており、今後もニューマチックケーソン工事分野への新技術の導入を積極的に図り、施工管理技術の大幅な向上に資するシステム開発を継続します。
4.減圧管理プログラムの開発
ニューマチックケーソン工法が大深度化する中、高気圧作業従事者が大気圧に帰還する際の安全な減圧方法に関する計算プログラムを専門医とタイアップして自社開発しました。本プログラムを使用することにより、ニューマチックケーソンの多種多様な条件下における高気圧作業の安全な減圧工程が、迅速かつ確実に算定可能となり、大深度のニューマチックケーソンを施工する際などの安全性確保と健康管理の徹底を図ります。2015年度の運用開始から現在に至るまで50基のニューマチックケーソン工事に採用し、この間、プログラムの改良も重ね、高気圧作業従事者の減圧症予防に多大な貢献をしています。
5.ニューマチックケーソン健康管理アプリの開発
ニューマチックケーソン工法の高気圧作業従事者の健康状態を迅速・的確に把握し、健康状態に応じた注意喚起、及び健康データのデータベース化などを実現するニューマチックケーソン健康管理アプリを開発しました。本アプリの使用により、近年のニューマチックケーソンの大深度化と、ベテラン技術者の確保が難しい状況下においても現場管理者の経験に過度に依存しない高気圧作業従事者の健康状態の判断と継続・連続的な把握、さらに、健康管理に関する書類作成業務の排除などが可能となります。高気圧作業の実施においては、現場管理者が高気圧作業計画をアプリ上で作成し、併せて高気圧作業従事者が無線通信の健康測定器具で健康状態を測定・送信することにより、加圧~高気圧作業~減圧の各プロセスの健康管理とデータ蓄積が自動的に行われ、高気圧作業従事者の確実な健康管理と管理業務の簡素化・効率化が図られています。
6.硬質地盤掘削システムの開発
ニューマチックケーソン工法の大深度化・大断面化に加え近年では岩盤硬質地盤への適用が増加する中、岩盤硬質地盤の効率的掘削を可能とする硬質地盤掘削システムを開発しました。本システムは、当社保有掘削機DREAMⅡに装着可能なリッパバケットなどの特殊掘削バケットなどから構成し、岩盤硬質地盤の掘削効率の大幅向上を実現します。今後、硬質地盤条件下に施工される大断面大深度の雨水貯留池、ポンプ場や立坑などでの採用が期待されます。
7.シールドⅤR(仮想現実)体験システムの開発
ヘッドマウントディスプレイを装着してVRコンテンツを起動すると、シールド工法を実物大で体験することが可能なシールドⅤR(仮想現実)体験システムを開発しました。本システムは、開発中であるシールド統合管理システムの技術開発で必要となるデジタル技術を利用して開発したもので、実物大のシールドマシンを体感したり架空の工事現場のシールド掘削状況を体験したりすることが可能です。シールド工法を紹介する動画「空間を生む」と併せ、職員向けの教材としてだけではなく、全国各地の建設技術展やシールド現場見学会における一般の方向けの体験等に活用されています。
8.DRES(ドレス)工法の開発
港湾、河川、湖沼等の高含水の浚渫土を効率的に脱水・分級してリサイクルできるシステムを開発しました。本工法は、田子の浦港で浚渫土の減容化に採用され、また、新門司の築堤材製作工事では日本最大規模の処理システムで稼働するなど、浚渫土処理累計は約110万m3に上り、港湾の維持や環境影響の低減に貢献しています。特に田子の浦港では、高濃度ダイオキシン類の浚渫土中間処理にも採用され、環境負荷の低減やコスト縮減に貢献しており、今後さらに湖沼、港湾等での活躍が期待されます。
9.鋼製函体締切工法の開発
既設橋脚の水中部を鋼製函体で仮締切し、ドライな状態で高品質な橋脚耐震補強を安全に行うことのできる鋼製函体締切工法を民間4社で共同開発しました。本工法に用いる函体は、浮力を利用して曳航沈設が可能なため、桁下空間の制限を受けず、フーチング上に設置できます。これまでに河川内の橋脚耐震補強に採用され、当社施工分として完了工事が5件あります。
また、本工法の派生工法として狭隘な場所や浅水深による作業制限がさらに緩和でき、大幅な工費の低減を可能
とする当社独自開発の「複合壁体締切(RECC)工法」と「カプセル壁体締切工法」も併せて開発しており、前
者は8基、後者は4基の施工実績を有します。今後、同様な施工条件下の工事への採用が見込まれ、安全・安心社
会の構築に貢献することが期待されます。
10.遠赤外線触媒還元処理システムの開発
現在、最終処分場の残余量がひっ迫してきており、新たな最終処分場の建設もなかなか進んでおりません。そ
の対策として、ゴミ焼却施設から排出される焼却灰を減容化・再資源化を目的に「遠赤外線触媒還元処理シス
テム」を開発します。遠赤外線触媒還元炉のセラミック壁を加熱し、遠赤外線が発生。遠赤外線と焼却灰由来の
触媒との相乗効果により化学反応が促進され、焼却灰の結晶体を分解し、硫化物化します。これにより焼却灰に
含まれる有害物質重金属が安定化・不溶化し、有害物質が無害化され、2/3の減容化が実現します。また、生
成物から資源化物の製造も可能となります。環境保全の面からCO2の発生は大幅に削減されます。また、この装
置を用いての放射線濃度の高い除去土壌の放射線濃度低減も確認されています。これらの効果を確認するために
遠赤外線還元炉装置の実験機を作製し、実証実験を行い、システムの構築を確立していきます。
(建築事業)
1.木構造・木質化技術の開発
地球温暖化防止にはCO2の削減とともに、CO2の吸収源を確保することが重要であります。吸収源の大部分は森林でありますが、人工林の高齢化とともに森林吸収量は減少傾向にあり、現在の潤沢な森林資源を活用し植林する循環サイクルを加速させることが必要であります。そのため国を挙げて木材の積極利用、都市の木造化が推奨されております。また木材はCO2を固定化することができる第二の森林ともいわれております。木造は鉄骨やコンクリート造に比べ建設に伴うCO2排出量が約6割と少なく、建物が蓄える炭素量は4倍であり、木造化は2050年のカーボンニュートラルに向けた重要な手段であり、優先的に取組む必要があります。
当社における木質材料の活用及び木構造の技術開発に関しましては、茨城県阿見町の技術研究所で試験施工した木構造技術(大断面集成材のラーメン構造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた、立面ハイブリッド工法や、鉄筋コンクリート造架構に組み込んだCLT耐震壁、配筋付き製材型枠)を発展させております。
CLT耐震壁(RCSWs工法)に関しては産学共同研究による実物モデル架構による加力試験や要素試験を実施して、新たな設計法を開発しました(特許取得)。また、設計施工案件や自社案件で木質材料を積極的に採用し、実施物件での施工検証を行っております。
また、新工場建設プロジェクトでは、鉄骨と木質トラスを併用した木トラス鉄骨ハイブリッド構造を採用し、設計・施工法を検証しました。今後更に中大規模木造建築の開発や試設計により、木造木質化を推進します。
2.DXの推進・BIMによる設計施工一気通貫生産システムの構築
働き方改革、生産プロセス改革の為には、建設のデジタル化加速が急務であり建設業界におけるDXの取組が加速しています。生産性向上や効率化のためのITツールの導入や支援ソフトの導入によりDXによる業務改善を推進しております。また、BIM(Building Information Modeling)に関しては導入の基盤整備を完了し、実施物件への適用実践を開始、BIMの設計施工一気通貫体制への移行に取り組みを加速させております。BIM設計の実物件数を増やしながら、コミュニケーションの向上や図面間の整合及び問題点の改善等をフロントローディング、BIM活用技術者育成の為の教育を実施し、生産性の向上や施工プロセスへの展開を図っております。
3.省エネルギー設計技術の研究
建築物に関連するCO2の排出量は非常に多く、建築物の省エネルギー化は大変重要であります。当社技術研究所では省エネ設計技術を研究し、ZEBReady(ZEBとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略で、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロとすることを目指した建物)を取得しました。またZEBプランナー登録を行い昨年度はオフィスビルでのZEBの設計を行いました。また関西のワンルームマンションでは、ZEH-M Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス マンションオリエンテッド)を採用しております。
4.免震・制震工法の開発
各種用途の建築物への免震工法の適用は定着しており、当社でも関東近郊、東海、関西、九州地区等、集合住宅を中心とした多くの実績があります。最近では、首都直下型・南海トラフ等の巨大地震の発生が懸念される中、防災拠点の耐震化や企業のBCP(企業継続計画)対策のひとつとして重要視されております。
免震工法では、基礎免震による共同住宅や中間免震の高層ホテル、杭頭免震でのPC圧着関節工法による大型物流倉庫、免震タワーマンションなどに取り組んでおります。また、制震工法につきましては、超高層住宅での「摩擦ダンパー工法」や、官庁物件における「アンボンドブレース工法」の適用を通じて多くのノウハウを蓄積しており、関連技術を総合的に活用し、免震・制震分野へ継続的に取組んでいきます。
5.プレストレスプレキャスト技術の導入
建設業の就労人口の減少により慢性的な労務不足のなか、工場で製作し、現場で組み立てて接合するプレキャスト工法は、省力化や工程短縮など有効であります。
プレストレスプレキャスト工法(PCaPC工法)は、プレキャストコンクリートに高張力(プレストレス)を加えることで、大スパンが可能でひび割れも発生しない、高品質・高耐久性・高耐震性を備えた優れた工法であります。すでに物流倉庫など複数の工事においてその有効性を確認しており、今後も積極的に推進していきます。
6.耐震補強関連技術の開発
耐震基準を満たさない、いわゆる「既存不適格建築物」への対応は緊急の課題であり、「改正耐震促進法」への対応も求められております。当社では要素技術として「MARS(連続繊維補強)工法」、「鋼管(低騒音・低振動)コッター工法」、「デザインフィット工法(部分アンカー枠付き鉄骨ブレース補強)」、「スマイルパラレル工法」などを保有しており、それらを活用しながら物件の特性に配慮した多くの耐震補強工事を実現してきました。最近の事例としては、東北地区の庁舎改修工事でPCa部材とPC(高強度)鋼棒を使用した外側補強を行っており、前記技術と併せて官公庁物件を含む耐震改修分野への展開を図っていきます。
7.杭・基礎関連技術の開発
当社では、引抜き抵抗力に優れるなどの特徴を持つ中間及び先端に拡径部を有する場所打ちコンクリート杭
工法「Me-A工法」を共同開発し、一般財団法人ベターリビングより一般評定を取得しております。本工法は、
アースドリル工法を用いて、杭軸部の中間及び先端に節状の拡径部(節)を設けて、建物を支える力を増大させ
た場所打ちコンクリート杭を造成する工法であり、この拡径部は地震の時に建物を転倒させようとする力に抵抗す
るため、杭の引抜き抵抗としても有効に働きます。従来の杭より短く、もしくは杭軸部を細くすることが可能にな
り、杭の工事費を低減できます。これまでに、東京の集合住宅6件(109本)で採用されております。また、阪
神・淡路大震災における杭頭破壊の事例を契機に、杭頭の損傷を制御する研究・開発が行われるようになり、多く
の関連技術が実用化されるようになってきました。当社でも「CTP(杭頭半固定接合)工法」の導入を図り、杭
性能の向上とともにコストダウンにも有効なツールとして検討を進めてきた結果、これまでに4件(62本)の高
層集合住宅で採用しております。両工法は汎用性に優れており、今後も全国への積極的な展開を進めていきます。
(その他の事業)
研究開発活動は特段行っておりません。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00095] S100R8L3)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。