有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R0S2 (EDINETへの外部リンク)
出光興産株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。また、当社グループをとりまく事業環境が大きく変化していく中、マテリアル事業の強化、事業ポートフォリオ転換の加速を目指して、2022年7月に先進マテリアルカンパニーを設立しました。主に高機能材料事業を中心とした事業部と関係会社の研究開発を強化し、技術戦略部では社外の研究開発機関との連携強化に取組んでいます。
なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等102億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比24億円減少の236億円です。
(当社グループの研究開発体制)
当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。
(1)燃料油セグメント
燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。
使用済みプラスチックからの軽質オレフィン化の技術開発、バイオエタノールからのジェット燃料製造の技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化などの環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。
(2)高機能材セグメント
高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、アグリバイオ事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は127億円です。
①潤滑油事業では、カーボンニュートラルの実現に向け、省エネルギーはもちろん、環境・人・安全に配慮した研究開発をグローバルで展開しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・電動車両用トランスアクスルフルード(商品名:IDEMITSU E AXLE FLUID シリーズ)やバッテリー冷却剤の開発、洋上風車潤滑剤開発のNEDOプロジェクトへの参画などエネルギー変革に対応した研究開発に取り組みました。
・サステナブル潤滑剤を活用した製品開発を進めると共に、石油由来の潤滑剤使用量の削減のために水溶性潤滑剤の適用範囲拡大に取組み、これまで実現困難とされていたステンレス圧延工場の研削工程において生産性向上と火災の心配がない安心・安全な操業の両立を実現しました(商品名:ダフニーポリッシングオイル)。
・エンジンオイル開発ではディーゼルパティキュレートフィルターの目詰まりの要因となる灰を出さないオイルを開発し、燃料の消費量やメンテナンスの作業と費用の大幅削減を実現しました(商品名:idemitsu AshFree)。ナノテクノロジーを応用した環境配慮型商品の開発も進めました。
・3つの海外研究開発拠点と連携し、地域特性に応じた様々な環境対応型高機能・省エネルギー型商品の開発を進めており、カーエアコン用冷凍機油、産業ロボット用グリース等の商品ラインアップを拡充しました。
・基礎研究にも力を入れており、トライボロジー学会の論文賞、技術賞(3年連続)を受賞しました。
②機能舗装材(アスファルト)事業では、省資源・省エネルギーや環境に配慮した舗装材料、例えば耐水性を強化し長寿命化を可能にした舗装材などを独自開発しています。また、アスファルトの特性を活かした屋根用防水材や、建物の地盤沈下による損傷を防ぐための基礎杭に塗布するアスファルトなど、工業用製品も開発し日本国内で製造販売しています。特に舗装材の製品開発においては、当社の長年の舗装材開発の実績から、行政機関や施設管理者と、十分連携しながら進めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・高速道路や空港舗装向け機能舗装材においては、スコープ3排出量削減の可能性を視野に入れ、工場から排出されたCO2から合成した炭酸カルシウムを使用した「CO2固定化舗装材」の実用化検討を行いました。また水に起因する道路の損傷を大幅に抑制する舗装の耐水性強化技術について、試験施工を通した実用化検討を行いました。
・建築防水材料においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、作業時の揮発成分を約30%減らした作業環境改善効果の高い材料を実用化しました。
③機能材料分野では、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発及び新機能を有した粘接着基材の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロンTM)では、透明性や流動性に優れた光学グレードの開発、耐久性や耐薬品性、難燃性に優れる共重合グレードの開発を行っています。光学グレードは液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ており、特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの販売がここ数年高い伸び率で拡大を続けています。
・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレックTM)では、成形サイクルや成形時の流動性を改良したグレードを展開し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電波透過性、電気特性が評価され車間距離レーダー部品、電気自動車部品への採用が始まっています。一方、実績分野である家電・日用品分野の増販、高速通信分野向けの材料スペックイン推進、押出・フィルム・繊維分野、アロイ分野のマーケティング強化により、自動車分野以外への新規用途開拓も推進していきます。
・プラスチック複合材料(商品名:カルプTM)では、ポリオレフィン系樹脂コンパウンドにて、植物由来の原料化の検討や主力商品である難燃グレードの環境安全性を高める非ハロゲン化の開発を推進、また、ポリフェニレンサルファイド系樹脂コンパウンドにて、水中・油中において良摺動性を示すグレードの開発や電装部品の新たな用途展開に向けた絶縁熱伝導グレードの開発を推進しました。
④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・昨今の環境問題対応への社会的要求を受け止め、プラスチック包装材の減容化につながるフィルム等の環境対応商品の開発を継続し、成形容器の作製時に発生するシートの端材のリサイクル技術を検討しました。
・顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、成型容器向けのバリアシート(商品名:マルチレイシートTM)の品揃え、無機物を多く含有しプラスチックの使用量を減らしたフィルム(商品名:ユニクレストTM)開発や、誤飲防止につながるチャイルドレジスタンス機能を持つジッパーテープ、電子レンジ加熱で発生する蒸気を逃がす機能を持つジッパー(商品名:プラロックTM)の改良開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。
⑤電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・蛍光型青色材料を用いた有機EL素子において、新発光方式を開発し、世界最高レベルの発光効率と長寿命化に成功しました。本成果はディスプレイ関連の世界最大の学会であるSociety for Information Display主催のシンポジウム「Display Week 2022」の最優秀論文に選定されました。
・㈱ジャパンディスプレイと多様なディスプレイに適用可能な多結晶酸化物半導体「Poly-OS」を開発することに成功しました。また、複数の顧客にサンプル提供を開始し、取組が本格化しました。
⑥農薬・機能性飼料事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。開発した剤は、国内はもとより海外への展開も積極的に行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・米国向け畜産資材の開発を行い、1剤の販売開始に貢献しました。日本国内では、農薬登録の適用拡大に向けた検討により、殺菌剤12件、生物農薬殺菌剤1件、緑地管理用除草剤1件の登録取得に貢献しました。
(3)資源セグメント
石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、排ガス中のCO2を炭酸塩として固定化させる技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりで、特にパリ協定発効を踏まえ、環境と調和した石炭利用技術の開発を強化しました。
・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの製造・販売の事業化に向け、ベトナムでの商業プラントの運転を2023年7月に開始すべく、自社コールセンターでの受入・貯蔵、共に取組む需要家の石炭ボイラでの混焼試験を実施し、より実用的な評価技術を確立してきました。試験結果を踏まえ、木質バイオマスの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。
・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。
・石炭鉱山での植栽を活用した新規事業創出を目的に、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でバイオマス燃料や炭素材料の研究開発を実施しました。
(4)全社共通(コーポレート研究)
中期経営計画(2023~2025年度)に掲げた事業ポートフォリオ転換に向け、社会や技術のトレンドを踏まえた新規事業創出のための研究開発を実施しています。
①次世代技術研究所では、循環型社会の実現に向けて、自社の設備への適用を見越したバイオマスやCO2を出発原料とするクリーンな素材・燃料の開発を実施しています。また高機能材事業の成長に向けて、保有している有機・無機合成、生物変換技術、光・電気化学の要素技術を活かしたモビリティ向け軽量/強靭化素材や環境配慮型農畜産資材、高速通信関連材料等の開発に取り組んでいます。加えて、事業部研究所と一体となって研究開発を加速させるべく、高度な分析・解析技術、計算科学を用いた研究開発のサポートを実施しています。これらを進めるにあたっては、2020年4月に国立大学法人東京工業大学内に設立した「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」に代表されるアカデミアとの共同研究や、国家プロジェクトへの参画等によるオープンイノベーションを積極的に活用し、自社開発にこだわることなく研究開発の早期成果創出に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・NEDO「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」の課題の一つとして採択された、「常温、常圧下アンモニア製造技術の開発」において、新規アンモニア合成技術にて常温・常圧でもアンモニアが合成されるというコンセプトの原理検証に成功しました。
②リチウム電池材料部では、次世代電池として早期の商業化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。材料開発においては自動車メーカー・電池メーカー等のお客様と連携し、固体電解質の更なる性能向上・コスト競争力向上に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・材料開発の加速を目的として、当社内の電池評価設備を拡充し稼働を開始しました。量産に向けた技術開発として、小型実証設備の第1プラント(2009年11月稼働開始)に続き、23年内の稼働を目指し第2プラントの建設を進めています。
・NEDO「グリーンイノベーション基金事業 次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトのテーマの一つとして、「硫化物系固体電解質の量産技術開発」が採択されました。
・将来的な全固体電池バリューチェーンの付加価値向上に向けた取組みとして、正極材料と固体電解質を融合した新しい高性能材料について、Umicore社との共同開発を開始しました。更に、硫黄系正極材の研究開発及び、全固体電池のリサイクル技術の探索やスキーム検討も開始しました。
なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等102億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比24億円減少の236億円です。
(当社グループの研究開発体制)
当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。
(1)燃料油セグメント
燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。
使用済みプラスチックからの軽質オレフィン化の技術開発、バイオエタノールからのジェット燃料製造の技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化などの環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。
(2)高機能材セグメント
高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、アグリバイオ事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は127億円です。
①潤滑油事業では、カーボンニュートラルの実現に向け、省エネルギーはもちろん、環境・人・安全に配慮した研究開発をグローバルで展開しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・電動車両用トランスアクスルフルード(商品名:IDEMITSU E AXLE FLUID シリーズ)やバッテリー冷却剤の開発、洋上風車潤滑剤開発のNEDOプロジェクトへの参画などエネルギー変革に対応した研究開発に取り組みました。
・サステナブル潤滑剤を活用した製品開発を進めると共に、石油由来の潤滑剤使用量の削減のために水溶性潤滑剤の適用範囲拡大に取組み、これまで実現困難とされていたステンレス圧延工場の研削工程において生産性向上と火災の心配がない安心・安全な操業の両立を実現しました(商品名:ダフニーポリッシングオイル)。
・エンジンオイル開発ではディーゼルパティキュレートフィルターの目詰まりの要因となる灰を出さないオイルを開発し、燃料の消費量やメンテナンスの作業と費用の大幅削減を実現しました(商品名:idemitsu AshFree)。ナノテクノロジーを応用した環境配慮型商品の開発も進めました。
・3つの海外研究開発拠点と連携し、地域特性に応じた様々な環境対応型高機能・省エネルギー型商品の開発を進めており、カーエアコン用冷凍機油、産業ロボット用グリース等の商品ラインアップを拡充しました。
・基礎研究にも力を入れており、トライボロジー学会の論文賞、技術賞(3年連続)を受賞しました。
②機能舗装材(アスファルト)事業では、省資源・省エネルギーや環境に配慮した舗装材料、例えば耐水性を強化し長寿命化を可能にした舗装材などを独自開発しています。また、アスファルトの特性を活かした屋根用防水材や、建物の地盤沈下による損傷を防ぐための基礎杭に塗布するアスファルトなど、工業用製品も開発し日本国内で製造販売しています。特に舗装材の製品開発においては、当社の長年の舗装材開発の実績から、行政機関や施設管理者と、十分連携しながら進めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・高速道路や空港舗装向け機能舗装材においては、スコープ3排出量削減の可能性を視野に入れ、工場から排出されたCO2から合成した炭酸カルシウムを使用した「CO2固定化舗装材」の実用化検討を行いました。また水に起因する道路の損傷を大幅に抑制する舗装の耐水性強化技術について、試験施工を通した実用化検討を行いました。
・建築防水材料においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、作業時の揮発成分を約30%減らした作業環境改善効果の高い材料を実用化しました。
③機能材料分野では、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発及び新機能を有した粘接着基材の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロンTM)では、透明性や流動性に優れた光学グレードの開発、耐久性や耐薬品性、難燃性に優れる共重合グレードの開発を行っています。光学グレードは液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ており、特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの販売がここ数年高い伸び率で拡大を続けています。
・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレックTM)では、成形サイクルや成形時の流動性を改良したグレードを展開し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電波透過性、電気特性が評価され車間距離レーダー部品、電気自動車部品への採用が始まっています。一方、実績分野である家電・日用品分野の増販、高速通信分野向けの材料スペックイン推進、押出・フィルム・繊維分野、アロイ分野のマーケティング強化により、自動車分野以外への新規用途開拓も推進していきます。
・プラスチック複合材料(商品名:カルプTM)では、ポリオレフィン系樹脂コンパウンドにて、植物由来の原料化の検討や主力商品である難燃グレードの環境安全性を高める非ハロゲン化の開発を推進、また、ポリフェニレンサルファイド系樹脂コンパウンドにて、水中・油中において良摺動性を示すグレードの開発や電装部品の新たな用途展開に向けた絶縁熱伝導グレードの開発を推進しました。
④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・昨今の環境問題対応への社会的要求を受け止め、プラスチック包装材の減容化につながるフィルム等の環境対応商品の開発を継続し、成形容器の作製時に発生するシートの端材のリサイクル技術を検討しました。
・顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、成型容器向けのバリアシート(商品名:マルチレイシートTM)の品揃え、無機物を多く含有しプラスチックの使用量を減らしたフィルム(商品名:ユニクレストTM)開発や、誤飲防止につながるチャイルドレジスタンス機能を持つジッパーテープ、電子レンジ加熱で発生する蒸気を逃がす機能を持つジッパー(商品名:プラロックTM)の改良開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。
⑤電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・蛍光型青色材料を用いた有機EL素子において、新発光方式を開発し、世界最高レベルの発光効率と長寿命化に成功しました。本成果はディスプレイ関連の世界最大の学会であるSociety for Information Display主催のシンポジウム「Display Week 2022」の最優秀論文に選定されました。
・㈱ジャパンディスプレイと多様なディスプレイに適用可能な多結晶酸化物半導体「Poly-OS」を開発することに成功しました。また、複数の顧客にサンプル提供を開始し、取組が本格化しました。
⑥農薬・機能性飼料事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。開発した剤は、国内はもとより海外への展開も積極的に行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・米国向け畜産資材の開発を行い、1剤の販売開始に貢献しました。日本国内では、農薬登録の適用拡大に向けた検討により、殺菌剤12件、生物農薬殺菌剤1件、緑地管理用除草剤1件の登録取得に貢献しました。
(3)資源セグメント
石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、排ガス中のCO2を炭酸塩として固定化させる技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりで、特にパリ協定発効を踏まえ、環境と調和した石炭利用技術の開発を強化しました。
・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの製造・販売の事業化に向け、ベトナムでの商業プラントの運転を2023年7月に開始すべく、自社コールセンターでの受入・貯蔵、共に取組む需要家の石炭ボイラでの混焼試験を実施し、より実用的な評価技術を確立してきました。試験結果を踏まえ、木質バイオマスの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。
・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。
・石炭鉱山での植栽を活用した新規事業創出を目的に、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でバイオマス燃料や炭素材料の研究開発を実施しました。
(4)全社共通(コーポレート研究)
中期経営計画(2023~2025年度)に掲げた事業ポートフォリオ転換に向け、社会や技術のトレンドを踏まえた新規事業創出のための研究開発を実施しています。
①次世代技術研究所では、循環型社会の実現に向けて、自社の設備への適用を見越したバイオマスやCO2を出発原料とするクリーンな素材・燃料の開発を実施しています。また高機能材事業の成長に向けて、保有している有機・無機合成、生物変換技術、光・電気化学の要素技術を活かしたモビリティ向け軽量/強靭化素材や環境配慮型農畜産資材、高速通信関連材料等の開発に取り組んでいます。加えて、事業部研究所と一体となって研究開発を加速させるべく、高度な分析・解析技術、計算科学を用いた研究開発のサポートを実施しています。これらを進めるにあたっては、2020年4月に国立大学法人東京工業大学内に設立した「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」に代表されるアカデミアとの共同研究や、国家プロジェクトへの参画等によるオープンイノベーションを積極的に活用し、自社開発にこだわることなく研究開発の早期成果創出に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・NEDO「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」の課題の一つとして採択された、「常温、常圧下アンモニア製造技術の開発」において、新規アンモニア合成技術にて常温・常圧でもアンモニアが合成されるというコンセプトの原理検証に成功しました。
②リチウム電池材料部では、次世代電池として早期の商業化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。材料開発においては自動車メーカー・電池メーカー等のお客様と連携し、固体電解質の更なる性能向上・コスト競争力向上に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・材料開発の加速を目的として、当社内の電池評価設備を拡充し稼働を開始しました。量産に向けた技術開発として、小型実証設備の第1プラント(2009年11月稼働開始)に続き、23年内の稼働を目指し第2プラントの建設を進めています。
・NEDO「グリーンイノベーション基金事業 次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトのテーマの一つとして、「硫化物系固体電解質の量産技術開発」が採択されました。
・将来的な全固体電池バリューチェーンの付加価値向上に向けた取組みとして、正極材料と固体電解質を融合した新しい高性能材料について、Umicore社との共同開発を開始しました。更に、硫黄系正極材の研究開発及び、全固体電池のリサイクル技術の探索やスキーム検討も開始しました。
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