有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QG3Z (EDINETへの外部リンク)
横浜ゴム株式会社 研究開発活動 (2022年12月期)
当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究先行開発本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足いただくべく努力を重ねています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、16,034百万円であります。
当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。
研究先行開発本部の研究開発費の金額は、898百万円であります。
・炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択
当社と日本ゼオン㈱が実施する「炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」として採択されました。
グリーンイノベーション基金事業は、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国が掲げた目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して、経済産業省により設置された制度です。この目標に経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するものです。
本実証事業では、使用済タイヤやバイオマスなどの再生可能炭素資源から、炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品であるブタジエン、イソプレンを高い収率で製造する、2つの高度な技術を確立し、2030年代に社会実装することを目指します。これにより、タイヤ・ゴム産業における資源循環性の向上、カーボンニュートラル化に貢献していきます。
・タクシー事業者向けタイヤソリューションサービスの実証実験を開始
2022年5月より、当社とタイヤ販売子会社である㈱ヨコハマタイヤジャパンは京都タクシー㈱、興進タクシー㈱の協力を得て、タイヤソリューションサービスとして当社が開発したタイヤ空気圧の遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)の実証実験を開始しました。
「TPRS」はタイヤ内面貼り付け型空気圧センサーが検知したタイヤの空気圧や温度、車両の位置情報を車両管理者やタイヤサービススタッフがリモートで把握することができるシステムで、タイヤ空気圧の始業前点検の大幅な省力化および空気圧情報の記録化、タイヤの空気が徐々に抜けるスローパンクチャーの早期発見、タイヤメンテナンスの適切な実施、点検のバラツキ防止、リアルタイム異常検知による事故防止、適正空気圧維持による燃費向上などに貢献します。
「TPRS」の実証実験はカンパニーカー向けやカーシェアリング事業者向けとして行ってきましたが、今回同じく厳しいタイヤ管理を求められるタクシー事業者向けの実証実験を行うことにより、安全性や経済性の向上に貢献するビジネスモデルの確立を目指します。
・サステナブル資源を用いたゴム材料の研究開発で日本ゴム協会賞を受賞
2022年6月、サステナブル資源を用いたゴム材料の研究開発において、一般社団法人日本ゴム協会の「第34回日本ゴム協会賞」を受賞しました。
本研究開発は国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)との共同研究であり、タイヤ用ゴムをサステナブル資源化するため、トウモロコシやサトウキビなどから作られるバイオエタノール(生物資源)を合成ゴムの材料であるブタジエンに変換する世界最高レベルの高性能な金属酸化物触媒を開発したものです。さらに、同触媒で生成したブタジエンから重合したブタジエンゴムをタイヤのキャップトレッドやサイドウォールに適用したタイヤ試作に成功しました。
なお、今回受賞の対象となった業績は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務として参画した「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」における6年間の研究成果です。
・AIによる配合生成技術を活用したゴムの配合設計システムを独自開発
2022年7月、情報システム開発子会社のハマゴムエイコム㈱の協力を得てAIによる配合生成技術を活用したゴムの配合設計システムを独自に開発し実用を開始しました。目標とするゴムの物性値を満たす配合をAIが提案するもので、これにより人が考え付かなかった配合など新たな知見を得ることができ、開発のさらなるスピードアップやより高性能な商品の開発が期待できます。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1)タイヤ
既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、13,219百万円であります。
1)ミニバン専用低燃費タイヤ「BluEarth-RV RV03」、コンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用低燃費タイヤ「BluEarth-RV RV03CK」を新発売
2022年2月より低燃費タイヤブランド「BluEarth(ブルーアース)」のミニバン専用タイヤ「BluEarth-RV RV03(ブルーアース・アールブイ・アールブイゼロスリー)」を日本およびアジアにて発売しました。また、コンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用タイヤ「BluEarth-RV RV03CK(ブルーアース・アールブイ・アールブイゼロスリー・シーケー)」を2022年2月より日本で発売しました。
「BluEarth-RV RV03」はミニバン専用の低燃費タイヤで、当社のミニバン専用タイヤとしては7年ぶりの新商品となります。従来品「BluEarth RV-02」から高い評価を得ている国内タイヤラベリング制度のウェットグリップ性能最高グレード「a」と転がり抵抗性能「A」※に加え、優れた耐ふらつき性能や耐偏摩耗性能を踏襲しつつ、新たな付加価値として「さらに長持ち、ますます快適なミニバン専用タイヤ」をコンセプトに耐摩耗性能と静粛性を一段と高めました。
「BluEarth-RV RV03CK」はコンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用の低燃費タイヤで、従来品「BluEarth RV-02CK」の発売から5年ぶりの新商品となります。「BluEarth-RV RV03」同様の性能を追求しつつ、全サイズにおいて従来品のウェットグリップ性能「b」を「a」にグレードアップしました。転がり抵抗性能は「A」を獲得しています。
※:全29サイズ中、7サイズは転がり抵抗性能「AA」を獲得しています。
2)高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09」を新発売
2022年2月よりストリートスポーツタイヤの新商品「ADVAN NEOVA AD09(アドバン・ネオバ・エイディゼロキュウ)」を日本、アジア、北米地域で発売しました。
「ADVAN NEOVA AD09」は従来品「ADVAN NEOVA AD08R」の後継モデルとして9年ぶりとなる新商品です。「ADVAN NEOVA」シリーズの特長である“一番速く、一番楽しい”を継承しながら、当社商品中最強のストリートタイヤに相応しいドライグリップ、コントロール性、耐摩耗性能のさらなる進化を追求しました。部材から見直し再設計した新構造や強さとしなやかさを追求した新プロファイルにより、YOKOHAMA史上最高レベル※のケーシング剛性を実現しています。また、緻密に最適化した専用の非対称トレッドパターンと粘弾性のバランスを追求した新コンパウンドを採用。これらにより、ラップタイムの短縮が期待できるドライグリップに加え、アマチュアドライバーを助ける優れたコントロール性、サーキット走行でも長く使用できる耐摩耗性能を実現しています。
※ 市販向け夏用タイヤにおける比較です。
3)グローバルフラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V107」を新発売
2022年3月よりグローバルフラッグシップタイヤの新商品として、ウルトラハイパフォーマンスタイヤ「ADVAN Sport V107(アドバン・スポーツ・ブイイチマルナナ)」を全世界で発売しました。
「ADVAN Sport V107」は「ADVAN Sport V105」の後継モデルとなるグローバルフラッグシップ・ウルトラハイパフォーマンスタイヤです。「プレミアムハイパフォーマンスカー」、「プレミアムハイパフォーマンスSUV」、そして「プレミアムEV」の3つのプレミアムカーカテゴリーをターゲットとし、プレミアムカーメーカーとの共同開発や世界一過酷なテストコースと言われるニュルブルクリンクでのテストで鍛え上げ、すでに昨年よりメルセデスAMGやBMW Mなどのプレミアムカーでもさらに特別なモデルを中心に納入を開始しています。今回この新車用「ADVAN Sport V107」をベースに、市販向けサイズを開発しフルラインアップ化します。
4)タイヤ内のセンシング波形から摩耗状態を推定する技術を開発
2022年4月、アルプスアルパイン㈱と共同開発中のタイヤ内面貼り付け型センサーから得られるセンシング波形を独自の信号処理技術を用いて解析することで、乗用車用タイヤの摩耗状況を検知する技術を開発しました。
今回、タイヤ内面に貼り付けられたセンサーを通じて、走行中のタイヤの繰り返し変形に応じたセンシング波形を取得し、独自の解析手法を用いることで新品と摩耗品の判別が可能となりました。これにより、タイヤ寿命を伸ばす効果のあるタイヤローテーションや、すり減ったタイヤの交換時期をドライバーや車両管理者に通知することで、経済的・環境的負荷の低減や安全性を考慮したタイヤメンテナンスが可能になります。また、自動運転車両では、タイヤの摩耗状態をドライバーや車両管理者が目視で確認する機会が減ってしまうため、摩耗状態をクラウド経由で見える化することで、モビリティサービスの安全かつ持続的な運行に寄与することができます。
5)農業機械用タイヤ「ALLIANCE」がヤンマーのトラクターに装着
2022年6月より、ヤンマーアグリ(株)の農耕用トラクター「YT3R」シリーズの「YT330R」「YT333R」「YT338R」「YT345R」の新車装着(OE)用タイヤとして「ALLIANCE AGRISTAR Ⅱ(アライアンス・アグリスター・ツー)」の納入を開始しました。
「ALLIANCE AGRISTAR Ⅱ」は農業機械用・林業機械用・産業車両用・建設車両用などオフハイウェイタイヤ(OHT)事業を担っているYokohama Off-Highway Tires(ヨコハマ・オフハイウェイタイヤ=YOHT)のブランド「ALLIANCE」の最新農業機械用タイヤ。走行性能とロングライフ性能を高次元で両立するとともにタイヤのラグの上層部と下層部で異なる形状を組み合わせた独自の階層レイヤー技術(Stratified Layer Technology)により、トラクションの持続力を高めました。また、65km/hで走行可能なスピードシンボル「D」を獲得しています。
6)高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09」が「日刊自動車新聞用品大賞2022」の「タイヤ部門賞」を受賞
2022年7月、高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09(アドバン・ネオバ・エーディー・ゼロキュウ)」が、㈱日刊自動車新聞社が主催する「日刊自動車新聞用品大賞2022」の「タイヤ部門賞」を受賞しました。
受賞した「ADVAN NEOVA AD09」は走りやカスタムチューニングを愛するユーザー向けに開発した当社商品中最強のストリートスポーツタイヤ。モータースポーツで培ったレーシング技術を惜しみなく投入し、ドライグリップ、コントロール性、耐摩耗性能を高次元でバランスするとともに、斬新かつ洗練されたパターンやコントラストを鮮明にしたブランドロゴを採用するなど外観も妥協なく追求しました。受賞にあたっては性能のみならず外観も重視し、カスタマイズを楽しめるストリートスポーツタイヤとした点が評価されました。
7)サステナブル素材を33%活用したレーシングタイヤを2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権に供給
2023年から「全日本スーパーフォーミュラ選手権」にサステナブル素材を活用したADVANレーシングタイヤをコントロールタイヤとして供給します。ドライ用はすでに開発が完了し、ウェット用も2023年からの供給を目指し開発を継続しています。
供給するドライ用タイヤは天然ゴム、アブラヤシの実やオレンジの皮から生成したオイルなど各種自然由来の配合剤を活用するとともに、リサイクル鉄や廃タイヤから再生したリサイクルゴム、さらにマスバランス方式※の合成ゴムを採用することで原材料全体の約33%をサステナブル素材としながら、2022年の現行タイヤと同等の性能を維持しています。
※原料から商品への加工・流通工程において、使用したバイオマス由来の原料と同じ重量だけ商品へバイオマス由来という特性を割り当てることができる手法。バイオマス由来の原料を割り当てられた商品については、実際のバイオマス由来原料の含有量とは関係なく、バイオマス由来商品としてみなされる。
1)各種展示会への出展
2022年1月から3月にかけては、世界最大級の屋外農機展であるWORLD AG EXPO(ワールドアグエキスポ)や米国における主要な屋内農機展の一つであるIOWA AG EXPO(アイオワアグエキスポ)への出展、その他各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。
2022年4月から6月にかけては、メキシコで行われる主要な国際工作機械展Expomaq 2022(エキスポマク2022)への出展、その他各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。
2022年7月から10月にかけては、北米最大級の屋外農機展FARM PROGRESS SHOW 2022(ファーム プログレス ショー 2022)への出展や各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。
2)新商品の発売
多くの商品を市場に投入し販売拡大に努めており、当期において次の新商品の発売を行いました。
[GALAXYブランド]
・Earth Pro 102(アースプロ 102):モダンなトレッドパターンを採用し、軟らかい土壌から舗装路まで幅広い路面に適したインプルメント向けタイヤ。(2022年12月発売)
・Earth Pro 104(アースプロ 104):ユニークな深溝トレッドパターンによりトラクション性能、タイヤ寿命に優れ、高いセルフクリーニング性能も併せ持つトラクター向けタイヤ。(2022年10月発売)
・Earth Pro 701(アースプロ 701):オンロード、オフロード両方での使用に適し、土壌圧縮を抑制しつつ、優れたトラクション性能も発揮する中~大型トラクター向けラジアルタイヤ。(2022年12月発売)
(2)MB
「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、1,602百万円であります。
1)工業資材製品へ実装するセンシングシステムのフィールド実証テストを開始 ゴム・樹脂ポリマーアロイを用いて自動車用エアコンホースの大幅な軽量化に成功
2022年5月、国内外ユーザーの協力を得て、RFID※を内蔵したマリンホースとコンベヤベルトのフィールド実証テストを開始しました。マリンホースでは、内部損傷による内圧変化などを検出可能なRFIDタグを内蔵し、そのタグの情報を外部からスキャンして読み取ることで異常を検知することにより、マリンホースの異常を早期に発見し、損傷を予知することでオイル漏れを予防するシステムの実現を目指します。
コンベヤベルトでは摩耗、損傷、温度変化などを検知可能なRFIDタグを内蔵し、そのタグの情報を周囲に設置したアンテナによって自動で読み取り異常を検知し、これらのデータを分析することで、コンベヤベルトの損傷や火災を予知する技術の確立を目指します。
※RFID(Radio Frequency Identification)=電波を用いて情報を非接触で読み書きする自動認識技術
上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品に係る研究開発費が 315百万円あります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、16,034百万円であります。
当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。
研究先行開発本部の研究開発費の金額は、898百万円であります。
・炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択
当社と日本ゼオン㈱が実施する「炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」として採択されました。
グリーンイノベーション基金事業は、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国が掲げた目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して、経済産業省により設置された制度です。この目標に経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するものです。
本実証事業では、使用済タイヤやバイオマスなどの再生可能炭素資源から、炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品であるブタジエン、イソプレンを高い収率で製造する、2つの高度な技術を確立し、2030年代に社会実装することを目指します。これにより、タイヤ・ゴム産業における資源循環性の向上、カーボンニュートラル化に貢献していきます。
・タクシー事業者向けタイヤソリューションサービスの実証実験を開始
2022年5月より、当社とタイヤ販売子会社である㈱ヨコハマタイヤジャパンは京都タクシー㈱、興進タクシー㈱の協力を得て、タイヤソリューションサービスとして当社が開発したタイヤ空気圧の遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)の実証実験を開始しました。
「TPRS」はタイヤ内面貼り付け型空気圧センサーが検知したタイヤの空気圧や温度、車両の位置情報を車両管理者やタイヤサービススタッフがリモートで把握することができるシステムで、タイヤ空気圧の始業前点検の大幅な省力化および空気圧情報の記録化、タイヤの空気が徐々に抜けるスローパンクチャーの早期発見、タイヤメンテナンスの適切な実施、点検のバラツキ防止、リアルタイム異常検知による事故防止、適正空気圧維持による燃費向上などに貢献します。
「TPRS」の実証実験はカンパニーカー向けやカーシェアリング事業者向けとして行ってきましたが、今回同じく厳しいタイヤ管理を求められるタクシー事業者向けの実証実験を行うことにより、安全性や経済性の向上に貢献するビジネスモデルの確立を目指します。
・サステナブル資源を用いたゴム材料の研究開発で日本ゴム協会賞を受賞
2022年6月、サステナブル資源を用いたゴム材料の研究開発において、一般社団法人日本ゴム協会の「第34回日本ゴム協会賞」を受賞しました。
本研究開発は国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)との共同研究であり、タイヤ用ゴムをサステナブル資源化するため、トウモロコシやサトウキビなどから作られるバイオエタノール(生物資源)を合成ゴムの材料であるブタジエンに変換する世界最高レベルの高性能な金属酸化物触媒を開発したものです。さらに、同触媒で生成したブタジエンから重合したブタジエンゴムをタイヤのキャップトレッドやサイドウォールに適用したタイヤ試作に成功しました。
なお、今回受賞の対象となった業績は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務として参画した「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」における6年間の研究成果です。
・AIによる配合生成技術を活用したゴムの配合設計システムを独自開発
2022年7月、情報システム開発子会社のハマゴムエイコム㈱の協力を得てAIによる配合生成技術を活用したゴムの配合設計システムを独自に開発し実用を開始しました。目標とするゴムの物性値を満たす配合をAIが提案するもので、これにより人が考え付かなかった配合など新たな知見を得ることができ、開発のさらなるスピードアップやより高性能な商品の開発が期待できます。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1)タイヤ
既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、13,219百万円であります。
1)ミニバン専用低燃費タイヤ「BluEarth-RV RV03」、コンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用低燃費タイヤ「BluEarth-RV RV03CK」を新発売
2022年2月より低燃費タイヤブランド「BluEarth(ブルーアース)」のミニバン専用タイヤ「BluEarth-RV RV03(ブルーアース・アールブイ・アールブイゼロスリー)」を日本およびアジアにて発売しました。また、コンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用タイヤ「BluEarth-RV RV03CK(ブルーアース・アールブイ・アールブイゼロスリー・シーケー)」を2022年2月より日本で発売しました。
「BluEarth-RV RV03」はミニバン専用の低燃費タイヤで、当社のミニバン専用タイヤとしては7年ぶりの新商品となります。従来品「BluEarth RV-02」から高い評価を得ている国内タイヤラベリング制度のウェットグリップ性能最高グレード「a」と転がり抵抗性能「A」※に加え、優れた耐ふらつき性能や耐偏摩耗性能を踏襲しつつ、新たな付加価値として「さらに長持ち、ますます快適なミニバン専用タイヤ」をコンセプトに耐摩耗性能と静粛性を一段と高めました。
「BluEarth-RV RV03CK」はコンパクトミニバン・軽ハイトワゴン専用の低燃費タイヤで、従来品「BluEarth RV-02CK」の発売から5年ぶりの新商品となります。「BluEarth-RV RV03」同様の性能を追求しつつ、全サイズにおいて従来品のウェットグリップ性能「b」を「a」にグレードアップしました。転がり抵抗性能は「A」を獲得しています。
※:全29サイズ中、7サイズは転がり抵抗性能「AA」を獲得しています。
2)高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09」を新発売
2022年2月よりストリートスポーツタイヤの新商品「ADVAN NEOVA AD09(アドバン・ネオバ・エイディゼロキュウ)」を日本、アジア、北米地域で発売しました。
「ADVAN NEOVA AD09」は従来品「ADVAN NEOVA AD08R」の後継モデルとして9年ぶりとなる新商品です。「ADVAN NEOVA」シリーズの特長である“一番速く、一番楽しい”を継承しながら、当社商品中最強のストリートタイヤに相応しいドライグリップ、コントロール性、耐摩耗性能のさらなる進化を追求しました。部材から見直し再設計した新構造や強さとしなやかさを追求した新プロファイルにより、YOKOHAMA史上最高レベル※のケーシング剛性を実現しています。また、緻密に最適化した専用の非対称トレッドパターンと粘弾性のバランスを追求した新コンパウンドを採用。これらにより、ラップタイムの短縮が期待できるドライグリップに加え、アマチュアドライバーを助ける優れたコントロール性、サーキット走行でも長く使用できる耐摩耗性能を実現しています。
※ 市販向け夏用タイヤにおける比較です。
3)グローバルフラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V107」を新発売
2022年3月よりグローバルフラッグシップタイヤの新商品として、ウルトラハイパフォーマンスタイヤ「ADVAN Sport V107(アドバン・スポーツ・ブイイチマルナナ)」を全世界で発売しました。
「ADVAN Sport V107」は「ADVAN Sport V105」の後継モデルとなるグローバルフラッグシップ・ウルトラハイパフォーマンスタイヤです。「プレミアムハイパフォーマンスカー」、「プレミアムハイパフォーマンスSUV」、そして「プレミアムEV」の3つのプレミアムカーカテゴリーをターゲットとし、プレミアムカーメーカーとの共同開発や世界一過酷なテストコースと言われるニュルブルクリンクでのテストで鍛え上げ、すでに昨年よりメルセデスAMGやBMW Mなどのプレミアムカーでもさらに特別なモデルを中心に納入を開始しています。今回この新車用「ADVAN Sport V107」をベースに、市販向けサイズを開発しフルラインアップ化します。
4)タイヤ内のセンシング波形から摩耗状態を推定する技術を開発
2022年4月、アルプスアルパイン㈱と共同開発中のタイヤ内面貼り付け型センサーから得られるセンシング波形を独自の信号処理技術を用いて解析することで、乗用車用タイヤの摩耗状況を検知する技術を開発しました。
今回、タイヤ内面に貼り付けられたセンサーを通じて、走行中のタイヤの繰り返し変形に応じたセンシング波形を取得し、独自の解析手法を用いることで新品と摩耗品の判別が可能となりました。これにより、タイヤ寿命を伸ばす効果のあるタイヤローテーションや、すり減ったタイヤの交換時期をドライバーや車両管理者に通知することで、経済的・環境的負荷の低減や安全性を考慮したタイヤメンテナンスが可能になります。また、自動運転車両では、タイヤの摩耗状態をドライバーや車両管理者が目視で確認する機会が減ってしまうため、摩耗状態をクラウド経由で見える化することで、モビリティサービスの安全かつ持続的な運行に寄与することができます。
5)農業機械用タイヤ「ALLIANCE」がヤンマーのトラクターに装着
2022年6月より、ヤンマーアグリ(株)の農耕用トラクター「YT3R」シリーズの「YT330R」「YT333R」「YT338R」「YT345R」の新車装着(OE)用タイヤとして「ALLIANCE AGRISTAR Ⅱ(アライアンス・アグリスター・ツー)」の納入を開始しました。
「ALLIANCE AGRISTAR Ⅱ」は農業機械用・林業機械用・産業車両用・建設車両用などオフハイウェイタイヤ(OHT)事業を担っているYokohama Off-Highway Tires(ヨコハマ・オフハイウェイタイヤ=YOHT)のブランド「ALLIANCE」の最新農業機械用タイヤ。走行性能とロングライフ性能を高次元で両立するとともにタイヤのラグの上層部と下層部で異なる形状を組み合わせた独自の階層レイヤー技術(Stratified Layer Technology)により、トラクションの持続力を高めました。また、65km/hで走行可能なスピードシンボル「D」を獲得しています。
6)高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09」が「日刊自動車新聞用品大賞2022」の「タイヤ部門賞」を受賞
2022年7月、高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09(アドバン・ネオバ・エーディー・ゼロキュウ)」が、㈱日刊自動車新聞社が主催する「日刊自動車新聞用品大賞2022」の「タイヤ部門賞」を受賞しました。
受賞した「ADVAN NEOVA AD09」は走りやカスタムチューニングを愛するユーザー向けに開発した当社商品中最強のストリートスポーツタイヤ。モータースポーツで培ったレーシング技術を惜しみなく投入し、ドライグリップ、コントロール性、耐摩耗性能を高次元でバランスするとともに、斬新かつ洗練されたパターンやコントラストを鮮明にしたブランドロゴを採用するなど外観も妥協なく追求しました。受賞にあたっては性能のみならず外観も重視し、カスタマイズを楽しめるストリートスポーツタイヤとした点が評価されました。
7)サステナブル素材を33%活用したレーシングタイヤを2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権に供給
2023年から「全日本スーパーフォーミュラ選手権」にサステナブル素材を活用したADVANレーシングタイヤをコントロールタイヤとして供給します。ドライ用はすでに開発が完了し、ウェット用も2023年からの供給を目指し開発を継続しています。
供給するドライ用タイヤは天然ゴム、アブラヤシの実やオレンジの皮から生成したオイルなど各種自然由来の配合剤を活用するとともに、リサイクル鉄や廃タイヤから再生したリサイクルゴム、さらにマスバランス方式※の合成ゴムを採用することで原材料全体の約33%をサステナブル素材としながら、2022年の現行タイヤと同等の性能を維持しています。
※原料から商品への加工・流通工程において、使用したバイオマス由来の原料と同じ重量だけ商品へバイオマス由来という特性を割り当てることができる手法。バイオマス由来の原料を割り当てられた商品については、実際のバイオマス由来原料の含有量とは関係なく、バイオマス由来商品としてみなされる。
1)各種展示会への出展
2022年1月から3月にかけては、世界最大級の屋外農機展であるWORLD AG EXPO(ワールドアグエキスポ)や米国における主要な屋内農機展の一つであるIOWA AG EXPO(アイオワアグエキスポ)への出展、その他各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。
2022年4月から6月にかけては、メキシコで行われる主要な国際工作機械展Expomaq 2022(エキスポマク2022)への出展、その他各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。
2022年7月から10月にかけては、北米最大級の屋外農機展FARM PROGRESS SHOW 2022(ファーム プログレス ショー 2022)への出展や各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。
2)新商品の発売
多くの商品を市場に投入し販売拡大に努めており、当期において次の新商品の発売を行いました。
[GALAXYブランド]
・Earth Pro 102(アースプロ 102):モダンなトレッドパターンを採用し、軟らかい土壌から舗装路まで幅広い路面に適したインプルメント向けタイヤ。(2022年12月発売)
・Earth Pro 104(アースプロ 104):ユニークな深溝トレッドパターンによりトラクション性能、タイヤ寿命に優れ、高いセルフクリーニング性能も併せ持つトラクター向けタイヤ。(2022年10月発売)
・Earth Pro 701(アースプロ 701):オンロード、オフロード両方での使用に適し、土壌圧縮を抑制しつつ、優れたトラクション性能も発揮する中~大型トラクター向けラジアルタイヤ。(2022年12月発売)
(2)MB
「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、1,602百万円であります。
1)工業資材製品へ実装するセンシングシステムのフィールド実証テストを開始 ゴム・樹脂ポリマーアロイを用いて自動車用エアコンホースの大幅な軽量化に成功
2022年5月、国内外ユーザーの協力を得て、RFID※を内蔵したマリンホースとコンベヤベルトのフィールド実証テストを開始しました。マリンホースでは、内部損傷による内圧変化などを検出可能なRFIDタグを内蔵し、そのタグの情報を外部からスキャンして読み取ることで異常を検知することにより、マリンホースの異常を早期に発見し、損傷を予知することでオイル漏れを予防するシステムの実現を目指します。
コンベヤベルトでは摩耗、損傷、温度変化などを検知可能なRFIDタグを内蔵し、そのタグの情報を周囲に設置したアンテナによって自動で読み取り異常を検知し、これらのデータを分析することで、コンベヤベルトの損傷や火災を予知する技術の確立を目指します。
※RFID(Radio Frequency Identification)=電波を用いて情報を非接触で読み書きする自動認識技術
上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品に係る研究開発費が 315百万円あります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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