有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100U9OX (EDINETへの外部リンク)
カネコ種苗株式会社 研究開発活動 (2024年5月期)
研究開発に関しましては、常に高付加価値で新規性のあるオリジナル商品の開発をグローバルな視点で取り組んでおります。
種苗事業では「野菜類及び飼料作物類」と「カンショ(サツマイモ)などの栄養繁殖性野菜類」の品種開発、花き事業では「ユーストマ・カーネーションなどの花き類」と「ホームユース向け花き類・野菜類」の品種開発、また施設材事業では「自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場」の開発を行っております。
また、SDGsに関連した取組みとして、農業用廃プラスチックや自動車の廃オイル、廃食油を暖房設備の原燃料として農作物のハウス栽培を行う実証試験も行っております。これらの研究部門が連携をとりながら、持続可能な社会を支える農業システムを構築すべく研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、917,905千円となっております。
セグメント別研究開発の状況は次のとおりであります。
(1)種苗事業
くにさだ育種農場では、野菜類及び飼料作物類の品種開発を行っております。
当期は、一般社団法人日本種苗協会主催の第74回及び第75回全日本野菜品種審査会におきましてタマネギ、チンゲンサイ、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリーで6点が入賞いたしました。そのうち2023年8月25日に岩手県農業研究センターにて開催されました全日本野菜品種審査会におきまして、タマネギ“マルソー”が1位となり農林水産省輸出・国際局長賞を受賞いたしました。また、東京都種苗会主催の第65回東京都野菜・花き種苗改善審査会におきましてコマツナ、スイートコーンで2点が入賞し、東京都種苗研究会会長賞を受賞いたしました。入賞品種につきましては、商品化に向け試験を重ねてまいります。また、すでに販売を開始し好評いただいているスイートコーン“わくわくコーン82”等も入賞しており、品種の優秀性が再確認できております。
野菜類につきましては、関東以西の海岸沿いや九州等暖地の冬どり作型に向くレタス“フォースフル”及びキャベツ“さざなみ”を販売開始いたしました。当社におきまして今まで手薄な作型に向く商品のため、力を注いで普及を図ってまいります。また、前期販売を開始した9品目12品種のうち、特にネギ“白翠”、レタス“チアフル”、タマネギ“ヒーローZ”、トマト“TYイエローミミ”は栽培しやすい・収量が多い・食味に優れるなど、優れた特性を発揮し順調に普及が進んでおります。
飼料作物類では、飼料用トウモロコシ3品種を発表しました。近年、子実のみを利用する飼料用トウモロコシが脚光をあびており、新品種“KD100エポワス”、“KD105リコッタ”、“KD110ラングル”は、子実収量性に優れ国内自給飼料の向上に貢献できる商品です。前期に発表いたしました飼料用トウモロコシ“KD082ゲルセミ”におきましては、すす紋病耐病性と収量性が評価され北海道優良品種に選定され普及が進んでおります。葉ダイコン“KGM1804”につきましては、“シスクリーン”と命名し全国販売を開始しました。栽培することで土壌中の有害センチュウの密度を抑制する効果が高く、農林水産省「みどりの食糧システム戦略」に掲げる環境にやさしい農業に役立つ品種です。引続き新規性のある品種の開発を国内外に向け積極的に行ってまいります。
波志江研究所ではバイオテクノロジー技術を利用して栄養繁殖性作物の品種開発を行っております。2023年に品種登録されたカンショ(サツマイモ)"栗かぐや®"は試験栽培の評価が良く、産地に本格的に導入されました。現在主流のねっとり系とは異なり、ホクホク系で食味が良く焼き芋はもちろん天ぷら等いろいろな場面での利用ができるため今後の展開が期待されます。また、近年の異常気象による栽培環境の変化や重要病害の拡大に伴い、これらに対応できる耐環境性、耐病性品種の開発を開始しました。今後は、遺伝子レベルでの解析を利用し、育種を積極的に行ってまいります。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、724,407千円であります。
(2)花き事業
花き育種研究室では、営利栽培農家向け花き類とホームユース向けの花き類及び野菜類の開発を行っております。一般社団法人日本種苗協会主催の第69回と第70回全日本花卉品種審査会に、ユーストマとスターチス・シヌアータの出品を行い、ユーストマにおいて3点、スターチス・シヌアータにおいて1点が入賞いたしました。また、新品種のコンテストであるジャパンフラワーセレクションにおいて、ユーストマ“エグゼアンティークピンク”が最高賞であるフラワー・オブ・ザ・イヤー(2023年度)を受賞いたしました。2024年(春審査会)はユーストマ2品種とカーネーション1品種の出品を行い、ユーストマ“カフェドレープ”とカーネーション“テルミ”が特別賞を受賞いたしました。さらに、コロンビアで開催された世界最大級の展示会であるプロフローラの品種コンテストにおいて、カーネーション“ウィーン”がスプレーカーネーション部門で1位を獲得いたしました。
当年度は、営利栽培農家向けとして4品目で合計22品種を新発売といたしました。ユーストマでは4品種を新発売し、人気の「エレス」シリーズに“エレスアプリコット”と“エレスアンティークピンク”を、また特に海外で人気が高い「フィーノ」シリーズに“フィーノルージュ”を加え、シリーズの充実化を図りました。カーネーションではスプレー系4品種、スタンダード系6品種を新発売し、その中で“テルミ”は、クリーム地にライラックの覆輪という今までにない特徴的な花色の品種です。デルフィニウムでは4品種を新発売し、その中で“ポーラホワイト”は最近人気が高まってきている白色八重咲き品種で、当社では初めての白色品種となります。引続き、国内はもとより海外でもシェア拡大に貢献できる品種の開発に邁進してまいります。
ホームユース向けでは国内外から花き類と野菜類の品種を多数導入し、花き類で8品目19品種、野菜類で5品目6品種を新発売とし、商品のより一層の充実を図りました。今後は導入だけではなく、より差別化できるオリジナル商品の自社開発も行ってまいります。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、120,337千円であります。
(3)施設材事業
システム開発部では、種苗会社の中で長年培われた栽培技術を生かし、自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場において、他社にはないシステムプラントの開発・普及を行っております。栽培する品目に適したシステムプラントを開発し、これまでも好評を得ております。レタス“マルチリーフ®”、小ネギ、ミツバなどの葉菜類を栽培する“EK式ハイドロポニック®”、トマトやキュウリなどの果菜類を栽培する“スプレーポニック®”、イチゴを栽培する“ココベリーファーム®”など、環境にやさしく省力化が図れ、生産者のニーズに合った養液栽培プラントを提供しております。
当年度は、一般生産者や新規に農業事業に参入する企業・団体に、キュウリのスプレーポニック®、ココベリーファーム®等の提供を行いました。また、SDGsに貢献すべく、従来の重油等の化石燃料型の暖房設備の代替として、自動車の廃オイルを原燃料とした暖房設備を利用した“ココベリーファーム®”を、群馬県内の自動車ディーラーに実証導入を行いました。今後もSDGsに貢献できる養液栽培プラントの開発・普及を行ってまいります。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、73,162千円であります。
種苗事業では「野菜類及び飼料作物類」と「カンショ(サツマイモ)などの栄養繁殖性野菜類」の品種開発、花き事業では「ユーストマ・カーネーションなどの花き類」と「ホームユース向け花き類・野菜類」の品種開発、また施設材事業では「自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場」の開発を行っております。
また、SDGsに関連した取組みとして、農業用廃プラスチックや自動車の廃オイル、廃食油を暖房設備の原燃料として農作物のハウス栽培を行う実証試験も行っております。これらの研究部門が連携をとりながら、持続可能な社会を支える農業システムを構築すべく研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、917,905千円となっております。
セグメント別研究開発の状況は次のとおりであります。
(1)種苗事業
くにさだ育種農場では、野菜類及び飼料作物類の品種開発を行っております。
当期は、一般社団法人日本種苗協会主催の第74回及び第75回全日本野菜品種審査会におきましてタマネギ、チンゲンサイ、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリーで6点が入賞いたしました。そのうち2023年8月25日に岩手県農業研究センターにて開催されました全日本野菜品種審査会におきまして、タマネギ“マルソー”が1位となり農林水産省輸出・国際局長賞を受賞いたしました。また、東京都種苗会主催の第65回東京都野菜・花き種苗改善審査会におきましてコマツナ、スイートコーンで2点が入賞し、東京都種苗研究会会長賞を受賞いたしました。入賞品種につきましては、商品化に向け試験を重ねてまいります。また、すでに販売を開始し好評いただいているスイートコーン“わくわくコーン82”等も入賞しており、品種の優秀性が再確認できております。
野菜類につきましては、関東以西の海岸沿いや九州等暖地の冬どり作型に向くレタス“フォースフル”及びキャベツ“さざなみ”を販売開始いたしました。当社におきまして今まで手薄な作型に向く商品のため、力を注いで普及を図ってまいります。また、前期販売を開始した9品目12品種のうち、特にネギ“白翠”、レタス“チアフル”、タマネギ“ヒーローZ”、トマト“TYイエローミミ”は栽培しやすい・収量が多い・食味に優れるなど、優れた特性を発揮し順調に普及が進んでおります。
飼料作物類では、飼料用トウモロコシ3品種を発表しました。近年、子実のみを利用する飼料用トウモロコシが脚光をあびており、新品種“KD100エポワス”、“KD105リコッタ”、“KD110ラングル”は、子実収量性に優れ国内自給飼料の向上に貢献できる商品です。前期に発表いたしました飼料用トウモロコシ“KD082ゲルセミ”におきましては、すす紋病耐病性と収量性が評価され北海道優良品種に選定され普及が進んでおります。葉ダイコン“KGM1804”につきましては、“シスクリーン”と命名し全国販売を開始しました。栽培することで土壌中の有害センチュウの密度を抑制する効果が高く、農林水産省「みどりの食糧システム戦略」に掲げる環境にやさしい農業に役立つ品種です。引続き新規性のある品種の開発を国内外に向け積極的に行ってまいります。
波志江研究所ではバイオテクノロジー技術を利用して栄養繁殖性作物の品種開発を行っております。2023年に品種登録されたカンショ(サツマイモ)"栗かぐや®"は試験栽培の評価が良く、産地に本格的に導入されました。現在主流のねっとり系とは異なり、ホクホク系で食味が良く焼き芋はもちろん天ぷら等いろいろな場面での利用ができるため今後の展開が期待されます。また、近年の異常気象による栽培環境の変化や重要病害の拡大に伴い、これらに対応できる耐環境性、耐病性品種の開発を開始しました。今後は、遺伝子レベルでの解析を利用し、育種を積極的に行ってまいります。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、724,407千円であります。
(2)花き事業
花き育種研究室では、営利栽培農家向け花き類とホームユース向けの花き類及び野菜類の開発を行っております。一般社団法人日本種苗協会主催の第69回と第70回全日本花卉品種審査会に、ユーストマとスターチス・シヌアータの出品を行い、ユーストマにおいて3点、スターチス・シヌアータにおいて1点が入賞いたしました。また、新品種のコンテストであるジャパンフラワーセレクションにおいて、ユーストマ“エグゼアンティークピンク”が最高賞であるフラワー・オブ・ザ・イヤー(2023年度)を受賞いたしました。2024年(春審査会)はユーストマ2品種とカーネーション1品種の出品を行い、ユーストマ“カフェドレープ”とカーネーション“テルミ”が特別賞を受賞いたしました。さらに、コロンビアで開催された世界最大級の展示会であるプロフローラの品種コンテストにおいて、カーネーション“ウィーン”がスプレーカーネーション部門で1位を獲得いたしました。
当年度は、営利栽培農家向けとして4品目で合計22品種を新発売といたしました。ユーストマでは4品種を新発売し、人気の「エレス」シリーズに“エレスアプリコット”と“エレスアンティークピンク”を、また特に海外で人気が高い「フィーノ」シリーズに“フィーノルージュ”を加え、シリーズの充実化を図りました。カーネーションではスプレー系4品種、スタンダード系6品種を新発売し、その中で“テルミ”は、クリーム地にライラックの覆輪という今までにない特徴的な花色の品種です。デルフィニウムでは4品種を新発売し、その中で“ポーラホワイト”は最近人気が高まってきている白色八重咲き品種で、当社では初めての白色品種となります。引続き、国内はもとより海外でもシェア拡大に貢献できる品種の開発に邁進してまいります。
ホームユース向けでは国内外から花き類と野菜類の品種を多数導入し、花き類で8品目19品種、野菜類で5品目6品種を新発売とし、商品のより一層の充実を図りました。今後は導入だけではなく、より差別化できるオリジナル商品の自社開発も行ってまいります。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、120,337千円であります。
(3)施設材事業
システム開発部では、種苗会社の中で長年培われた栽培技術を生かし、自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場において、他社にはないシステムプラントの開発・普及を行っております。栽培する品目に適したシステムプラントを開発し、これまでも好評を得ております。レタス“マルチリーフ®”、小ネギ、ミツバなどの葉菜類を栽培する“EK式ハイドロポニック®”、トマトやキュウリなどの果菜類を栽培する“スプレーポニック®”、イチゴを栽培する“ココベリーファーム®”など、環境にやさしく省力化が図れ、生産者のニーズに合った養液栽培プラントを提供しております。
当年度は、一般生産者や新規に農業事業に参入する企業・団体に、キュウリのスプレーポニック®、ココベリーファーム®等の提供を行いました。また、SDGsに貢献すべく、従来の重油等の化石燃料型の暖房設備の代替として、自動車の廃オイルを原燃料とした暖房設備を利用した“ココベリーファーム®”を、群馬県内の自動車ディーラーに実証導入を行いました。今後もSDGsに貢献できる養液栽培プラントの開発・普及を行ってまいります。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は、73,162千円であります。
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