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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100CLF1

有価証券報告書抜粋 株式会社竹中工務店 研究開発活動 (2017年12月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループは、持続的成長と新たなグループブランドの確立に向けて、お客様満足と収益力の向上に貢献する技術開発はもとより、未来のサステナブル社会の実現を先導する新たなソリューションの創出を目指して研究開発に取り組んでいる。
重点的に取り組むべき領域として、設計・生産の高度化・効率化、安全・安心で活力・魅力あるスマートコミュニティの実現、まちや建物の環境負荷の低減、成長産業を支える建築の高機能化を設定し、全社的に技術開発活動を遂行している。
当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は77億円余であり、このうち当社が取り組んだ主な技術開発事例は次のとおりである。
(建設事業)

(1) 設計・生産の高度化・効率化

建設IoTの推進の一環として、建設現場にiBeaconを配置し、携帯端末で撮影した現地の工事写真をデジタル図面上に自動的にプロットして一括管理するシステム「位置プラス® 写(しゃ)」を開発した。建設工事では、品質・安全管理を目的として数多くの工事写真を撮影し、工事記録の整備や協力会社への作業指示等に多大な手間をかけている。本システムを大規模改修工事に導入した結果、作業指示に係る時間を、従来のデジタルカメラと紙図面を用いて行う方法と比べて43%削減、携帯端末の市販野帳アプリを利用する方法と比べて33%削減した。
地下工事で構築するソイルセメント山留め壁造成に伴い排出されるセメント混じりの排泥(産業廃棄物)を大幅に低減することができる工法「TSP-ZERO® 」を竹本油脂㈱と共同で開発した。一般的には山留め壁の構築1.0m3につき約0.7m3という大量の排泥が発生する。本工法では、ソイルセメントスラリーに添加する流動化剤を改良することで、施工性の低下を伴わずに水量の低減を可能とし、排泥量の70%削減を実現した。この工法により、産業廃棄物削減と処理費用削減、CO2排出量削減等の効果が期待される。
作業所や工場等の作業員の負担軽減を目的として、自動的に清掃対象物をかき集めるロボット「TOギャザー」を岡谷鋼機㈱と共同で開発した。本ロボットは、四隅に置かれたカラーコーンをレーザースキャナで検出することで清掃領域を判断し、移動経路を自動生成することで自律走行を実現している。今後は労働環境の改善と建設技能労働者不足の解消を目指して、1日の作業時間の約20%を清掃作業に費やしている耐火被覆工事への適用を進めていく。

(2) 安全・安心で活力・魅力あるスマートコミュニティの実現

地震や火災など建物の災害状況をリアルに再現する災害事象統合VRシステム「maXim/マキシム」を開発した。実際の災害は地震・火災・津波などが連鎖的に発生する複雑な事象であり、災害の予測や対策の検討が困難であった。本システムは、建物のBIMデータを活用し、各災害事象の解析結果を3次元モデル内に時間経過に沿って統合化し、VRデバイスで可視化するシステムであり、複雑な災害事象をリアルに把握した上で防災計画を検討する環境を提供可能である。今後は、建物単体への適用のみでなく、自治体や行政のハザードマップのVR化、災害発生時の避難誘導の個別化・リアルタイム化などまちづくりや都市計画における災害対策への応用も検討していく。
液状化対策技術との組み合わせにより、合理的で耐震性の高い地下構造を実現する「ソイルクラベット® 工法」を開発した。本工法は、基礎底面に凹凸部を設けて摩擦抵抗を増大させることで、液状化対策技術「TOFT工法® 」で構築した改良体へ地震時の水平力を負担させる技術である。杭に作用する水平力を低減することが可能なため、杭径を小さくしたり、杭の耐震安全性を向上させることができる。ささしまライブ24地区「グローバルゲート」に適用し、超高層建物において合理的で高い耐震安全性を実現した。

(3) まちや建物の環境負荷の低減

都市部の大規模木造建築を可能とする耐火集成木材「燃エンウッド® 」について、従来材料のカラマツに加え、スギにおいても建築基準法が定める1時間耐火構造部材の国土交通大臣認定を取得した。これにより、カラマツに加えてスギ材でも、通常の建築確認申請手続きのみで4階建ての木造耐火建築物、もしくは最上階から数えて4階下の階までの木造耐火建築の建設が可能となり、間伐材や伐採適齢期の国産スギの有効活用が期待される。今回開発したスギによる「燃エンウッド® 」の柱では、従来のモルタルに代わり、新開発の流動性の高い石こう材を燃え止まり層に採用している。今後は、流動性の高い石こう材をさらに活用して耐火時間や樹種の部材バリエーションの拡充を図っていく予定である。
ネット・ゼロエネルギービルディング(ZEB)を目指して改修を行った当社の東関東支店の建物において、1年間の運用をとおした効果の検証を行った。建物全体の年間エネルギー収支は、創エネルギー量がエネルギー消費量を上回る「プラスエネルギー」を達成し、全体システムの効果を実証するとともに、本格的な外装の高断熱化、自然エネルギーを最大限活用したパッシブ化、きめ細かな環境制御技術とワークスタイルの変革など、要素技術の効果も確認した。今後は当プロジェクトで得られた知見を活かし、ニーズに応じ多様でお客様にメリットのあるZEB化の提案を行っていく。
冷媒自然循環(VCS® )を利用した放射パーソナル空調システムを開発し、ケイ・オプティコムビルに導入した。本システムは、快適性と省エネルギー性を両立する放射パーソナル空調に、冷媒搬送動力のいらない冷媒自然循環システムを組み合わせることで、省エネルギー性をさらに高めて従来空調方式に対して空調エネルギーを30~40%削減する。今後は本システムの実測検証を行い、オフィスビル等を中心に普及・展開を図っていく。

(4) 成長産業を支える建築の高機能化

鉄骨造建物の床に生じる微細な振動を低減することで、居住性を改善する制振技術「SPADA® (スパーダ)-Floor」を開発した。本技術は、梁の端部に取付けた膜型の圧電セラミックスから成る小型のアクチュエータが、センサーで検知した床振動を打ち消すように梁の動きを制御することで、微細な床振動を低減する仕組みとなっている。施工性に優れ、省スペースで制振機能を発揮できることが特長であり、当社東京本店の一部に適用した結果、歩行などにより生じる建物の床振動を約1/3に低減する効果が実証された。今後は鉄骨造の建物を中心に、使用中のオフィスビル、店舗、病院など、床振動の性能改善が必要となっている既存建物や鉄骨階段などの振動対策に積極的に提案していく。
IoTを活用し、階段を利用しているオフィスワーカーに「階段を昇ることがつい楽しくなる映像」を投影する技術「ta-tta-tta(タッタッタ)」を㈱博報堂と共同で開発した。本技術は、階段に設置されたIoTセンサーと個人が持っているタグが連動し、毎回飽きずに楽しめるよう個人の利用履歴に応じて変化する映像を階段を昇っているタイミングに合わせて投影するシステムである。当社の東京本店オフィスにおける実証の結果、映像投影前に比較して映像投影期間では階段利用量が平均26%増加したことを確認した。今後は「健康オフィス」の具体的ソリューションとして、実用化に向けたさらなる開発を進めていく予定である。
センサーで認識した人の動きに応じて、映像や、音、香り、風などが連動して人の感覚を刺激することで、楽しみながら身体活動を促進できる「五感レスポンス® ・ウェルネス・システム」を開発した。健康寿命の延伸が国の大きな課題となっている中、建物の廊下や休憩スペースなど、人が日常的に利用する空間に当システムを設置することで、継続的に健康を増進することが期待できる。高齢者を対象とした効果検証実験では、当システム体験後のポジティブ感情の増加が確認された。今後は高齢者施設やオフィスでの健康増進、さらには商業施設での集客など、多建種に亘る市場への展開を図っていく。

また、子会社における研究開発の主なものは次のとおりである。
㈱竹中土木(1) 安全安心技術既存宅地の液状化対策「スマートコラム工法® 」の開発
(2) 品質管理技術トンネルの「セントル養生管理システム」の開発


(開発事業及びその他)

研究開発活動は特段行われていない。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00169] S100CLF1)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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