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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IA96 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社竹中工務店 研究開発活動 (2019年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、持続的成長と新たなグループブランドの確立に向けて、お客様満足と収益力の向上に貢献する技術開発はもとより、未来のサステナブル社会の実現を先導する新たなソリューションの創出を目指して研究開発に取り組んでいる。
重点的に取り組むべき領域として、設計・生産の高度化・効率化、安全・安心で活力・魅力あるスマートコミュニティの実現、まちや建物の環境負荷の低減、成長産業を支える建築の高機能化を設定し、全社的に技術開発活動を遂行している。
当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は93億円余であり、このうち当社が取り組んだ主な技術開発事例は次のとおりである。
(建設事業)
(1)設計・生産の高度化・効率化
①BIMとデジタル測定機器を連携させた設備検査手法を構築
施工管理のデジタル化による施工管理効率の向上の一環として、デジタル測定器とBIMを連携させることで、設備検査業務を効率化する手法を構築した。測定データをBIMに一元的に集約して管理することで、測定の効率化、検査報告書の自動作成による省人化が可能となり、トレーサビリティも向上する。BIMに様々な属性を追加入力できるソフトを使用し、BIM側に測定データを取り込むシステムとユーザーインターフェースを作成した。当社において「水圧・満水試験」、「照度測定」、「風量測定」を対象に、試験準備から検査報告書作成までの検査時間を検証したところ、水圧・満水試験では20%程度の検査効率の向上を確認した。また照度・風量測定においては50%測定人員を削減できた。
②自走式墨出しロボットの建設現場試験導入の実施
自走式の墨出しロボットを建設現場に試験導入し、ローコスト化、軽量化、従来比約3倍の生産性向上を実現した。当社が開発した従来の墨出しロボットは、位置決めロボットの発するレーザにより墨出し地点まで逐一誘導してもらい墨出し作業を行うもので、目的地に到達する時間の観点から生産性に課題があった。また、高機能なセンサや描画装置の搭載、測量機器の利用でロボットが高価格・大型・重量化し、作業現場への普及の障害となっていた。このたび改良し試験導入した墨出しロボットは、安価かつ軽量で、墨出し地点まで直接自走するロボットである。市販のレーザ測量機がレーザで墨出し地点を指定し、その情報をWi-Fi通信で受け取った墨出しロボットが目的地まで自走して墨出し作業を行う。
③「建設現場向けIoT火災報知システム」の実証実験を実施
火災発生時に避難経路を選択して、メールや場内スピーカーで自動通知する、「建設現場向けIoT火災報知システム」の実用化に向けた実証実験および本システムを導入した避難訓練を、竹中工務店東陽3丁目計画作業所にて実施した。当社独自のIoT分電盤、KDDI㈱のIoTクラウドシステム、ヤマトプロテック㈱の火災報知制御モジュールなどの応用により実現したものである。火災報知器をネットワークに繋ぎ、クラウドシステムと連携させることで、火災発生個所に応じて避難経路を選択し、場内スピーカーにより自動でアナウンスする。建設現場の全作業員に向けて一度に火災発生を通知することで、より迅速な初期対応や避難を可能にする。その場にいない作業員や内勤の事務職員へもメールで通知するので、作業所が無人となる夜間などにも有効である。
④ロボットの作業を容易にする新溶接工法を開発
高層建物の鉄骨柱の溶接において、ロボットの作業を容易にする新溶接工法(特許出願済)を開発した。溶接する柱の角に仕切り部分を設け、それぞれのロボットの作業範囲を明確にすることで、従来は熟練溶接技能者が柱と柱の継ぎ目の状態を確認しながら溶接を行う必要があった柱の角の部分も含め、ロボットによる溶接を容易にするものである。これまで人が行っていた溶接作業をロボットが代替することにより、人にかかる負担の軽減、熟練溶接技能者の高齢化や減少への対応、建物の安定した品質確保を実現する。

(2)安全・安心で活力・魅力あるスマートコミュニティの実現
①島根県雲南市と健康なコミュニティを支える事業創出へ向け連携協定を締結
島根県雲南市と雲南市内の地域課題解決と市民の暮らしの豊かさの創造に資するための「連携協定」を2019年4月1日付けで締結した。協定締結を踏まえ、当社は地域と企業の協業と、健康なコミュニティを支える新たな事業創出を目指す。具体的には、住民に負担をかけることのないIoT等を活用したシステムにより、地域自主組織で地域コミュニティの豊かさにかかわる情報を一元化していき、コミュニティ全体の健康を評価し、それに基づくソリューションなどを提供していく事業の創出を目指していく。当社は、「地域おこし企業人」として社員を雲南市に派遣し、「企業チャレンジ」の仕組みづくりから参画し、「雲南ソーシャルチャレンジバレー」を推進していく。
②新型の部屋免震システムを開発
床・壁・天井を部屋ごと一体で免震化する部屋免震システムを開発し、シスメックス㈱のバイオ診断薬拠点「テクノパーク イーストサイト」(神戸市)のクリーンルームに初適用した。地震時に、室内の設備機器の転倒や床・壁・天井の損傷を防ぐことで、安全性の確保に加え、室内の気密性や空気清浄度を維持し、地震時における研究開発や製造等の事業継続を支援する。当社では、すでに、吊り下げ式の部屋免震システム(特許出願済)を2018年に開発しているが、新型システムの追加により、免震化する部屋に合わせた柔軟な提案が可能となった。今後は、気密性や空気清浄度の維持・管理が求められる様々な用途の重要諸室(再生医療、バイオ関連施設等)を中心に、本システムの幅広い展開を目指す。
③「基礎免震+中間階集中制振」を採用した免制振ハイブリッド構造で安全・安心の「プレミアムセイフティ
ビル®」を実現
本技術は、「読売テレビ新社屋」に初適用したものである。「基礎免震+中間階集中制振」(特許出願済)を採用し、最上階の加速度(揺れ)を一般的な基礎免震構造と比べて約40%低減した。大地震時でも、構造体や仕上げ材の損傷を最小限に抑え、高層部の建物の揺れを制御することで家具等の転倒被害を抑制し、ハイグレードな「安全・安心」性能を備える「プレミアムセイフティビル®」を実現している。基礎免震に加えて、低層部と高層部の切り替わり位置に、制振ダンパーにより地震エネルギーを吸収して揺れを抑える集中制振架構を設けた「基礎免震+中間階集中制振」を採用することで、「むち振り現象」による加速度の増加を有効に抑制する。
④従来鋼材の約10倍の疲労耐久性を有する制振ダンパーにブレース型が登場
制振ダンパーの素材として現在一般的に使われている鋼材に比べ、疲労耐久性を約10倍に高めたFe―Mn―Si系耐疲労合金(特許登録済)を用いたブレース型の制振ダンパーを、国立研究開発法人物質・材料研究機構および淡路マテリア㈱と新たに共同開発し、愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」へ初適用した。Fe―Mn―Si系耐疲労合金の大型部材を大量生産できる合金製造方法およびFe―Mn―Si系耐疲労合金と鋼材との異種金属溶接技術の確立により実現した。開発合金は、疲労耐久性だけでなく靭性、耐腐食性も非常に優れている。
⑤放射線遮蔽ボード「RadBoard® ― X」を医療施設に初採用
当社と吉野石膏㈱が2018年に共同開発した放射線遮蔽ボード「RadBoard® ― X」(特許出願済)が、山形大学医学部東日本重粒子センターのCTシミュレーション室に初採用された。従来の遮蔽ボードに比べ、主にγ線、X線に対して優れた遮蔽性能を発揮する内装材で、環境に優しい天然無機材料から構成される無鉛ボードで施工性に優れ、一般のせっこうボードと同様にリサイクルが可能である。
⑥2棟の免震建物を接続するエキスパンションジョイントの開発
2棟の免震建物の大振幅変位に追随できるエキスパンションジョイントを開発し、「国立循環器病研究センター新築工事」に適用した。地震時に2棟間に大きな変位が生じたときにおいても、2棟の中心に常に部材が維持できる機構を適用することで、エキスパンションジョイント部の床・壁を2分割し、支持スパンを2分の1として下地材の重量を減少させ、室内空間の有効スペースを最大化することが可能である。本機構は、仕上げ部材を支持する中心フレームと、それを支持する直材フレームおよび斜材フレームで構成される。直材フレームと斜材フレームにスライド機構を設けることで、地震時に2棟間に大きな変位が生じたときにおいても、中心フレームは常に2棟の中心を維持できる。

(3)まちや建物の環境負荷の低減
①直交集成板CLTを用いた集合住宅「アサヒファシリティズ山門町社宅」が竣工
当社グループの㈱アサヒファシリティズが保有する「アサヒファシリティズ山門町社宅」(名古屋市)において、直交集成板CLTを用いた建替工事を完了した。本建物は1階がRC(鉄筋コンクリート)造で、2~3階に国産スギによる直交集成板CLTパネル工法を採用した。外装にも国産の木材を有効利用することで、社会課題でもある国内の森林資源の活用・循環に貢献している。施工にあたっては、CLTパネルを工場で生産・加工することで、省人化や短工期化につなげ、生産性を向上させた。今後このような木造技術を活用し、更なる国産木材の活用と中大規模木造建築の普及・展開を図り、政府が進める建築物の木造・木質化の施策に寄与していく。
②建物完結型バイオガスシステム「メタファームTM」の適用範囲を拡大
当社が2010年に開発した3t/日規模の生ごみ排出量を対象とする建物完結型バイオガスシステム「メタファームTM」を改良し、1t/日の建物にも適用範囲を拡大した。省動力化やユニット化によるバイオガス設備の設置面積の縮小を図ることで、導入コストや維持に要するコストを低減した。環境への配慮とともに採算性を確保しながら、ショッピングモールや小規模な食品製造工場などの建物への適用を実現した。
③エネルギーマネジメントシステム「I.SEM®」によるオフィス照明の次世代給電を実現
独自開発したエネルギーマネジメントシステム「I.SEM®」を用いて、オフィス照明への直流給電による次世代給電方式を確立し、BCP対応・デマンドレスポンス・直流給電を組み合わせた「I.SEM+DCPS(Direct Current Powered Systemの略)」を、「栗原工業ビル」に初導入した。I.SEM®は、分散電源であるリユース蓄電池、太陽光発電、電気自動車等の電力を直流電力のまま取り込み、電力自由化に対応したエネルギーマネジメント、エネルギーコストの最小化、再生可能エネルギーの利用、BCP等のための合理的なエネルギー利用を可能とする。このI.SEM®と直流電源対応の照明器具とを組み合わせることで、直流電力を直流のまま給電し従来生じていた変換ロスを定格時約10%低減することが可能となった。また非常用発電機とも連携可能であり、BCP対応・デマンドレスポンス・直流給電を組み合わせた全国初のシステムを実現している。
(4)成長産業を支える建築の高機能化
①コラボレーションモビリティとリビングの未来の形を具現化した体験施設「EQ House」をオープン
メルセデス・ベンツ日本㈱と、モビリティとリビングの未来の形を具現化した体験施設「EQ House(イーキュー ハウス)」を、東京・六本木に約2年間の期間限定でオープンした。「EQ House」は、ダイムラー社が2016年に提唱した中長期戦略「CASE」が普及した未来のライフスタイルを、当社の最先端のデザインと技術で具現化した体験施設である。建築にはAIを搭載することで、人とダイレクトに繋がることを可能にしたほか、デジタル情報を活用した最先端の設計・生産技術を採用している。
②まちの状態可視化ツール「ソーシャルヒートマップTM」を開発
AIが位置情報付きのSNS投稿内容を分析し、実際にその場所を訪れた人が思ったこと・感じたことといった質的な評価を可視化するツール「ソーシャルヒートマップTM」(特許出願済・商標出願済)を開発した。本技術の特徴は、位置情報とまちに関する質的な評価をリンクさせたデータの提供と、お客様との打合せの場での分かりやすくタイムリーに可視化した結果の提示がそれぞれ可能であることである。
③宇宙空間での長期滞在に必要な「食」の要素技術に関する基礎研究第1弾
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙探査イノベーションハブに採択された「袋型培養技術を活用した病害虫フリーでかつ緊急時バックアップも可能な農場システムの研究」を、JAXA、キリンホールディングス㈱、国立大学法人千葉大学、東京理科大学スペース・コロニー研究センターと産学連携で実施した。本基礎研究は、将来の宇宙空間で人間が長期滞在するための「衣・食・住」技術のうち、「食」に焦点を当て、宇宙空間での自給自足を実現することを目的としている。本共同研究は、低圧環境下における袋型培養技術を活用した宇宙農場システムの基礎的試験を行い、その成立性を確認したものである。試験作物は、ビタミンC源としてのレタスの植物体、炭水化物源となるジャガイモの種イモ、タンパク質源となるダイズ苗を対象として実証的確認を行った。


また、子会社における研究開発の主なものは次のとおりである。
㈱竹中土木(1)安全安心技術トンネル切羽の変状を計測しその安全性を監視・発信する手法「Face Condition Ⅴiewer(切羽変状可視化システム)」の開発
(2)品質管理技術盛土材料の粒径・水分量を無人で計測し、材料の適否を判別する手法「盛土材料管理システム」の開発


(開発事業及びその他)

研究開発活動は特段行われていない。

事業等のリスク株式の総数等


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