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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QEZU (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社竹中工務店 研究開発活動 (2022年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、持続的成長と新たなグループブランドの確立に向けて、お客様満足と収益力の向上に貢献する技術開発はもとより、未来のサステナブル社会の実現および社会課題解決を先導する新たなソリューションの創出を目指して研究開発に取り組んでいる。その際、社会から求められる技術の異分野領域への拡大、柔軟なアイデアの獲得を通じた技術力の向上について、オープンイノベーションの活用を推進している。また世界の技術関連機関と連携し、協業するための竹中オープンラボの構築を図っている。
重点的に取り組むべき領域として、建設基盤技術、環境・社会、未来・先端の3つに大別し、全社的に研究開発活動を遂行している
当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は91億円余であり、このうち当社が取り組んだ主な技術開発事例は次のとおりである。
(建設事業)
(1)建設基盤技術領域
①NEDOグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」にコンソーシアムとして提案し採択され活動を推進
鹿島建設㈱、デンカ㈱と共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」のコンクリート分野において、3社を実施予定先とする民間企業44社、10大学、1研究機関によるコンソーシアムを構成して提案を行い採択された。コンソーシアムの総称はCUCO(クーコ、Carbon Utilized Concreteの頭文字から生まれた造語)。本コンソーシアムが進める技術開発は、2030年までにカーボンネガティブコンクリートのCO2排出量の削減・CO2固定量の増大を図るとともに、コスト低減を実現する製造システムの確立に取り組むものである。併せて、確立した技術の品質管理・CO2固定量評価手法に関する技術の開発も行う。
②透光性と断熱性を兼ね備えるエアロゲルガラスパネルを開発・適用
新光硝子工業㈱と共同で、光を通し断熱性の高い半透明のエアロゲル素材を窓部分に適用することで、空調・照明エネルギーを削減する、エアロゲルガラスパネルを開発(特許出願済)し、当社の北海道地区FMセンターに初適用した。本パネルの適用により、ブラインド付き高性能ガラスを採用した場合のオフィスゾーンと比較して10%から20%のエネルギー削減を確認した。本パネルは、通常のガラスと同様の方法で取り付けることが可能なことから、パネルの厚さを一般流通材と合わせることで、市場への訴求を目指す。
③出火場所に応じて進入禁止を表示する避難口誘導灯を開発
東芝ライテック㈱とホーチキ㈱との共同開発によるもの(特許出願済)であり、一般財団法人日本消防設備安全センターのシステム評価を取得した。本システムは2022年6月に竣工した名古屋市国際展示場新第1展示館整備事業に初適用された。本システムを採用することで、火災状況に応じた避難が可能になり、建物利用者の安全性を向上させることができ、また施設スタッフの避難誘導業務をサポートすることが可能である。今後は大規模商業施設や展示場のような不特定多数が利用する施設、大規模倉庫など、避難経路が複雑な施設への適用拡大を目指す。
④中高層木造建築のさらなる普及に貢献する技術を開発
耐火集成木材「燃エンウッド®」の柱および梁の開発において、「国土交通大臣認定 耐火構造部材(3時間)」を取得した。耐火性能を確保するために、燃え止まり層に集成材と石こう系材料を組み合わせた断面構成で開発・実用化した。3時間耐火の「燃エンウッド®」を開発したことにより、階数に制限なく建物に木構造を採用することが可能となる。さらに従来のRC造やS造の架構システムの一部に木を使用することで、遮音・耐震などの性能の一部を補完する設計技術「KiPLUS®(キプラス)」の第1弾として「KiPLUS WALL(キプラス ウォール)」を開発し、第三者機関の構造性能評価を取得した。架構システム全体で地震力に対する必要な効力を発揮することで、従来より柱や梁の断面サイズをスリム化し、計画の自由度が高まるとともに環境負荷の低減に寄与する。

⑤高度な解析による臨場感のある音響と建物の内部空間を同時に疑似体験できる可搬型音場シミュレータを開発
従来の自社開発の室内音場シミュレータ「STRADIA®」の機能に加え、人の頭の動きや向きを常に追跡することで、より高い臨場感を得られる機能「高臨場感可聴化システム」を開発した。バーチャルリアリティ(VR)を用いたシミュレータであり、高品位な音環境が求められる劇場やホールに適している。さらにVR空間内を自由に動き回り、それぞれの場所での音を聞き比べられる「動的可聴化システム」(特許出願済)を開発した。劇場やホールほど高品位な音環境を必要としないオフィスや店舗における人の動きや会話の音の聞こえ方を再現できる。いずれのシステムも、ヘッドホンとディスプレイとノートパソコンをつなぐだけの簡易な構成であることから、持ち運びが可能でどこでも容易に体験することができる。
(2)環境・社会領域
①東京大学社会連携講座「サステナブルなまちの創生」を開設
サステナブルなまちづくりをテーマとする社会的課題の解決と産業の発展に寄与する共同研究を目的とした社会連携講座を開設した。当社の技術・ノウハウに裏付けられた豊富なまちづくりの実績と、東京大学の卓越した学術的知見・技術というお互いの強みを連携し、技術分野における相互の知的・人的・物的資源の交流や、共同研究開発活動の推進による新しい価値の創造を図る。本講座を構成するテーマは「街区単位の省エネ、再生エネルギー活用による脱炭素の技術開発」、「まちづくり環境評価手法の開発と社会実装」、「都市・郊外・農村を繫ぐサーキュラーエコノミーの実現」の3つである。まちづくりのあるべき姿を描くとともに、その実現に向けた技術・事業・サービスの開発に取り組んでいく。
②魅力分析ツール「ソーシャルヒートマップ®」が、渋谷区のシティダッシュボードに初採用
人々が感じたことを自由に投稿するSNSなどのつぶやきから、まちに対する「ひとの想い」を把握し、その想いをまちづくりに活かすためのデータ集積と分析を行うツールである「ソーシャルヒートマップ®」が渋谷区のシティダッシュボード(渋谷区が基本構想に掲げる7つのビジョンのもと、区の置かれている現状を、グラフや地図等で可視化するツール)に初採用された。「ひとの想い」を反映したまちの特徴・特性を定量的に把握できることが、渋谷区内における「アメニティ性や生活の質」の向上につながると期待され採用された。今後はポップアップストア(期間限定店舗)などのイベントにおける反響分析・似た属性ごとのトレンドを掴む商圏分析・エリア間でのまちの特徴・特性に関する比較分析などを積極的に展開していく。
③オフィスビルストック再生のモデルケース「竹中セントラルビル サウス」開業
1999年に竣工した築23年の既存オフィスビルを、当社のグループ会社7社の拠点を集約したビルとして、また近年の脱炭素に対する社会的要請や働き方の多様化に伴うテナントニーズの変化に対応したスマートビルとして改修した。改修にあたっては、当社開発の「ビルコミ®プラス」を軸とする建物の脱炭素化・運用管理に関わるソリューション技術を盛り込んでいる。当社と㈱アサヒファシリティズは、当ビルを様々な先端技術と共に成長し進化するスマートビルと位置付け、関連する技術の開発と実践を継続的に展開し、オフィスビルストック再生のモデルケースとして提案していく。
④愛媛県内子町における「内子龍王バイオマス発電所」を稼働
当社、㈲内藤鋼業、㈱サイプレス・スナダヤ、三洋貿易㈱、大日本コンサルタント㈱の5社からなる㈱内子龍王バイオマスエネルギーが愛媛県内子町に建設した「内子龍王バイオマス発電所」が竣工し、稼働を開始した。発電建屋は地元産材を活用した木造建築である。本事業は、内子町森林組合に出材された原木約3,600t/年の間伐未利用材により製造された木質ペレットを燃料にして330kWの発電を行い、発電時に発生する熱を隣接する内子町龍王公園内の施設へ供給するという熱電併給事業であり、地域連携型の木質バイオマス発電事業の先導モデルとなることを目指している。
(3)未来・先端領域
①建設現場の業務効率化アプリ「位置プラス®」シリーズの開発をさらに推進
「位置プラス®」シリーズは、ビーコンなどの安価なIoT技術で建設現場内の人や資機材の位置情報をリアルタイムに把握する位置認識プラットフォームと建設現場の施工管理業務を効率化する業務アプリから成るサービスであり、2020年から外販を本格化している。㈱L is Bと共同で、建設現場向けチャットアプリとして普及している「direct」上に「位置認識プラットフォーム」で取得した位置情報を通知するサービスを開発した。また㈱リバスタの運営する建設現場の施工管理の基本サービスである「Buildee」との連携機能を開発した。加えて、㈱東海理化、㈱東海理化クリエイト、㈱レンタルのニッケンと共同で、位置プラス®「高車管理」のキーレスシステムを開発した。これら開発技術を当社の建設現場で利用して生産性向上を図るとともに、グループ会社の㈱朝日興産を通じて他社も含めた全国の建設現場に向けて提供していく。
②屋内外のパーソナルモビリティ自律走行の実現に向けたデジタルツインの構築と実証
㈱日立製作所、㈱gluonと共同で、国土交通省が主導する3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化のリーディングプロジェクト「Project PLATEAU(プロジェクト プラトー)」の一環として実施した。本実証では、事前走行なしでの屋内外を連続させたパーソナルモビリティの運用をめざし、Project PLATEAUにて整備された3D都市モデルと3D建物モデルを統合したデジタルツインを構築しその実証を行った。本実証を通じ、都市・建物とパーソナルモビリティのリアルタイム連携や、リアル空間・バーチャル空間のシームレスな連携を実現し、長距離歩行に不安を感じる方への移動手段の提供などを通じ、実社会への普及・展開を目指す。
③建築仕上げ材(ボード材)加工アシスト機「i-Bow2(アイボーツー)」を開発
㈱爽美と共同で、建設現場における生産性及び品質向上を目的として開発した。2020年に開発した「i-Bow(アイボー)」の発展型でボード材等の加工作業の無人化(業務自動化)を実現した。新たに指で容易に作図入力が可能なユーザーインターフェイスのアプリ「YUBI CAD」の開発を行うとともに、高性能なセンサを用いて「i-Bow」からバージョンアップしたたわみ補正機能と、複数端末からの同時接続(Wi-Fi接続)機能を追加した。また可変式によるコンパクト化及びキャスター搭載による可搬性の向上を図った。
④肌と心をうるおす唯一無二のアート&トリート体験建築を開発
Well-beingと向き合う「環境・空間の在り方」と「Beauty&Healthのルーティン」を提案する社会実験的な体験イベントを、㈱ポーラの旗艦店であるポーラ ギンザにて開催した。当社と㈱ポーラの「人に寄り添い、美しく豊かな生き方を探究する」という共通する想いから開発された体験建築である。両社の共同研究によって得られた肌によい環境(温度26℃・相対湿度75%)を立体的で複雑な繭の形をした空間に再現し、映像・音・香り・感触を通してアート体験に没入することで非日常を体験できる。繭の形状は3Dモデリングソフトでデザインした形状データから木材を切り出し組み立てるファブリケーションによって実現している。この建築空間を通じて、「肌も心もその人本来の機能を活かすことが豊かな生き方に繋がる」という気づきやきっかけを提供する。

また、子会社における研究開発の主なものは次のとおりである。
㈱竹中土木
(1)施工の効率化
狭隘箇所における補強工事の安全性向上、省人化のため、補強鋼板の運搬と設置の際に位置合わせガイダンス機能を有するマニピュレータを開発。
(2)技術開発
NEDOグリーンイノベーション基金事業(CUCO)の「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発コンソーシアム」に参画。地盤改良工事への応用に向けて開発を開始。

(開発事業及びその他)

研究開発活動は特段行われていない。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00169] S100QEZU)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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