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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W12Z (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日本精工株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


(1)基本方針

当社グループは、企業理念で掲げている「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、社会の変化やお客様のニーズを的確にとらえ、コアテクノロジー(トライボロジー(摩擦・潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術、生産技術)を駆使した製品の研究開発を進めています。高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給することで、より豊かな社会の実現と省エネルギーやCO2排出量削減など地球環境の保全を図り、持続可能な社会の実現に貢献します。
特に研究開発では、『中期経営計画2026』において“Bearings & Beyond”を掲げ、既存製品の商品力強化と新商品の創出・新事業の拡大に取り組んでいます。

(2)研究開発の状況

①コアテクノロジー
カーボンニュートラル社会の実現に向けた低摩擦や小型・軽量化、電動化に伴う高速性や静音性、水素などの特殊環境下も含めた耐久性など、高度化する要求にスピーディに応えていくために、リアルデジタルツイン(注)やオープンイノベーションを活用してコアテクノロジーの強化に取り組んでいます。
これらの取り組みの具体的な成果の一つとして、2023年に世界で初めて確立した「Micro-UT法を用いた高精度寿命予測技術」を2024年に実用化しました。転がり軸受の寿命計算パラメータである基本動定格荷重を向上させることで、基本定格寿命を最大2倍に延長しました。これにより当社軸受の長寿命性能を機械設計に生かして、より高負荷環境下での使用が可能となります。また、小型・軽量な軸受への置き換えも可能となり、軸受や軸受が組み込まれる製品の小型化により製造過程の省エネルギーに繋がるだけでなく、軸受の小型化に伴うフリクション低減により製品使用過程でもCO2排出量の削減に貢献します。
さらに、従来の枠組みを超えた連携として東京科学大学と2023年に設立した「NSKトライボロジー協働研究拠点」では、学士課程から博士課程の学生や研究者と協働して潤滑・材料・力学分野でのトライボロジー現象解明の研究を進めています。2024年は学会発表や論文投稿などを通じて研究成果を積極的に発信し、本研究からの卒業生も輩出しました。潤滑の研究に関しては、潤滑メカニズムに関する様々な理論式の導出から潤滑理論を構築することを進めています。これらを通して、軸受の最適設計や寿命予測に関する技術を強化します。
(注)リアルな現象を再現して詳細に把握し、そのカラクリを推理してデジタル上にモデル化することにより、リ
アルとデジタルの両面から目に見えない本質を理解し、エンジニアの創造性を高め、既成概念を打ち破るよ
うなソリューションを生み出すことを目指す当社独自の取り組み。

事業別の技術開発の状況は以下のとおりです。

②産業機械事業
産業機械の電動化・自動化による生産性向上、状態監視や予知保全から補修・再利用までを組み合わせた循環型社会やカーボンニュートラルなど、持続可能な社会を実現する製品やサービスを開発しています。
生産性向上に関しては、電力消費量が少ないグリース潤滑方式を用いた工作機械主軸用軸受において軸受の交換頻度と軸受交換後の慣らし運転時間を削減する精密単列円筒ころ軸受「ロバストライド™」を開発しました。新開発の「ころ案内保持器」により、グリース寿命を最大60%向上、許容回転数を最大20%向上させるとともにグリース性能を安定させるための慣らし運転時間を1/3に短縮しました。また工作機械の高い位置決め精度と省エネルギーの両立を可能とする工作機械向け低フリクションボールねじ「MT-Frix™」を開発しました。当社の解析技術でボールと溝の接触状態を解明し内部仕様を最適化したことで、寸法を維持したまま剛性を下げることなくボールねじ駆動時のフリクションを低減し、CO2排出量を従来比で最大50%削減することに成功しました。

状態監視に関しては、IoT/DXの進展に伴い一般産業機械でもニーズが高まる中、風力発電や石油化学などの重要インフラで培った診断技術を活かし、従来のワイヤレス型に加えて有線システムとのクラウド連携を開始しました。一般産業機械においてもより高度な状態監視を求めるお客様向けに、当社の高度診断AIと診断エキスパートによる状態監視ソリューションの提供を可能としました。また状態監視で得られたデータを活用して余寿命診断を含めた予知保全サービスへと拡大させ、製品販売後の点検や補修・交換までの製品ライフサイクル全体を最適にするProduct Lifecycle Management(PLM)モデルの確立に取り組んでいます。この取り組みの中で鉱山設備向けにおいては、業界初となる軸受のリコンディショニングに対応した「高負荷容量大形円すいころ軸受」を開発しました。従来比最大2倍の長寿命を達成しつつ、従来不可能であった内輪ところ・保持器を分離可能にしたことで軸受の点検・補修を可能とし、メンテナンスコストの削減やCO2排出量の削減に貢献します。風力発電機向けにおいては、安定稼働とメンテナンス頻度削減に貢献する「風力発電機主軸用高信頼性自動調心ころ軸受」を開発しました。当社のコアテクノロジーを活用した長寿命材料、高硬度被膜、高負荷容量化を適用し、軸受の耐久性を大幅に向上させました。状態監視ソリューションと併せてお客様に提案し、風力発電機の補修市場向けビジネスを拡大します。これら製品ライフサイクル全体での価値提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。
上記に加え新事業への挑戦においては、医師の働き方改革に伴う看護師らの負担軽減に貢献するロボットの実用化が評価され、「医療従事者にも患者にも嬉しい搬送アシストロボット MOOVO™(ムーボ)」が「2024年“超”モノづくり部品大賞」において「日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞しました。そのほか、再生・細胞医療分野の発展に向けたトップランナー企業と協創の結果、新たな3D細胞製品の商業生産を可能とする技術の開発に成功しました。

③自動車事業
自動車の電動化や自動化の進展、モビリティとしての多様化も進む中、自動車の環境性能、安全性、快適性の向上に貢献する製品・技術の開発に全方位で取り組んでいます。
環境性能に関しては、自動車の更なる航続距離延長に貢献する「低フリクションハブユニット軸受」を開発しました。独自のトライボロジー技術や解析技術を駆使し、シール形状、シールグリース、摺動面加工技術を新開発したことで耐泥水性を落とさずに従来比40%減となる業界最高水準の低フリクションを実現しました。また、自動車をはじめ産業機械で使用される電動アクチュエータの小型化や消費電力低減に貢献する「ロッキングクラッチ」を開発しました。これは入力軸からの回転は伝達し、出力軸からの回転は遮断する新たな機構を持つパワーフロー制御クラッチで、当社が長年培ってきた摩擦コントロール技術により電力を必要とせずに高い伝達効率と確実なロック機能を両立します。そのほか、eAxleやハイブリッドシステムなど様々な駆動ユニットの小型・軽量化や電費向上に貢献する「電動車向け小型・軽量化深溝玉軸受」を開発しました。軸受内部諸元の改良に加えて新開発の幅狭保持器を採用することで、強度・耐久性を落とさずに従来比38%の幅寸法の短縮と51%の軽量化をし、25%のフリクション低減も実現しました。
安全性、快適性に関しては、自動車向けに限らず様々なアクチュエータやe-Bikeの駆動ユニットなどにも適用可能な、磁歪式トルクセンサの実用モデル(第3世代センサ)を開発しました。自動車向け製品の研究開発ノウハウを生かして信頼性、小型、低コストの3つを同時に実現させたトルクセンサにより制御性を向上させ、様々なモビリティの故障予知や快適性の向上、航続距離の延長に貢献します。

当連結会計年度の当社グループにおける継続事業の研究開発費は16,251百万円であり、その内訳は、産業機械事業9,868百万円、自動車事業6,079百万円、その他302百万円です。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01600] S100W12Z)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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