有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W1RK (EDINETへの外部リンク)
NTN株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
当社グループは、「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」という企業理念の実践を通じて、世界を取り巻く社会課題の解決に貢献し、持続可能な「なめらかな社会」の実現を目指しています。
2024年4月より中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalが始まり、「DRIVE NTN100」の基本方針である事業構造の変革(Transformation)を加速するため、事業軸から商品軸の新組織に体制変更し、軸受事業ではOEM・補修が一体となり供給能力の強化やソリューション提案を、CVJアクスル事業は、利益拡大と電動化などの新たなニーズへ対応できる体制にしました。
研究開発では、当社の持続的成長を目的に「基盤商品、基盤技術の強化」と「新たな領域の展開」の二軸で活動し、当社のコアコンピタンスを活かした製品開発に取組んでいます。
なお、研究開発は主として当社(日本)で行っており、当連結会計年度における研究開発活動費はグループ全体で19,656百万円です。
1)止めない技術
当社は2035年の姿として、売上高に占める補修事業の売上比率を40%に拡大する目標を掲げています。これを達成するためには、モノ売り(商品提供)だけでなくコト売り(サービス提供)に繋げるビジネスモデルの構築が必要となります。コト売り事例として、風力発電用に軸受状態監視システム(CMS)を開発し、組み込まれている軸受の故障予知診断を行うサービス事業を行っています。日本に設置されている陸上風力発電300機以上に本システムが設置されており、AIも活用し24時間の監視を行っています。
最近では、軸受内部にセンサー、発電ユニットおよび無線デバイスを内蔵した「しゃべる軸受®」の小型化に取組むとともに、工作機用途ではスピンドルの主軸軸受用間座にこれらの機能を内蔵した「センサ内蔵ユニット」を開発中で、軸受の故障予知だけでなく工作機械の加工状態監視にも取組んでいます。今後、更にサービス・ソリューション分野の技術を磨き、モノ売り⇒コト売り⇒モノ売りに繋げる軸受ライフサイクルマネージメントの構築を進めます。
2)長寿命化技術
長寿命化技術として特殊熱処理技術「HA-C」を開発しました。本技術は材料に硬く微細な析出物を多数分散させるなどの手法により、非常に高い表面硬さと高負荷容量化を実現し従来品と同等以上の寿命を確保しながら軸受の外径を約15%、幅寸法を約30%、質量を約55%軽量化することが可能になりました。本技術を適用した転がり軸受は、e-Axleなどの自動車用途での過酷な使用環境に適用することが可能です。
また、電動車のモーター用軸受で生ずる問題に電食があります。バッテリーは車の航続距離延長や充電時間の短縮などを目的に高電圧化が進んでおり、将来的には800Vのバッテリー普及が予想されています。バッテリーが高電圧化すると通電による軸受の電食損傷が拡大すると想定しており、この対策として、既にセラミック球入り軸受を量産納入中ですが、コストダウンを図った樹脂モールド絶縁軸受を新たに開発し、2025年3月から量産を開始しました。
3)エネルギーロスの低減
エネルギーロスの低減では、工作機械主軸軸受用高速・長寿命グリース、およびグリース潤滑軸受への潤滑油給油ユニットを開発しました。工作機械は加工時間の短縮を目的に、主軸の高速回転化が進んでいます。主軸を支える軸受の潤滑方法にはエアオイル潤滑とグリース潤滑があり、一般的にdmn値※1にして140万を超えるとエアオイル潤滑が用いられる傾向にあります。エアオイル潤滑は長期に安定した潤滑が可能である一方、圧縮空気やエアオイルの供給装置が必要となります。当社はグリースの基油と基油を半固体状に保持する増ちょう剤、添加剤を見直してグリース潤滑でdmn190万の高速回転を可能とすることで、圧縮空気の削減によりコンプレッサの使用を廃止しカーボンニュートラルに貢献します。
自動車分野では、タイヤの回転を支えるハブベアリングにおいて軸受内部およびシールに塗布する低フリクショングリースを新たに開発し「低フリクションハブベアリング」シリーズを拡充しました。また、モーターなどのパワートレインユニットの動力をタイヤに伝えるドライブシャフトにおいても高効率・静粛性が求められており、当社は独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造※2」を採用した高効率固定式等速ジョイント「CFJ※3」と、内部部品の傾きを抑え振動につながるスライド動抵抗を従来比で50%削減した、低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」の組み合わせを、EV向けに提案を開始しました。
これからも独自の提案で電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV、PHEV)をはじめとする各種車両の省燃費・電動化に貢献します。
※1.軸受の回転性能を表す指標で、軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)
2.ボールが通る転動溝を内輪・外輪で交差させボールが内部部品を押す力を相殺する構造
3.第74回自動車技術会 技術開発賞受賞
当社が展開している精密機器事業では、業界最速の直進フィーダ「クロスドライブリニアフィーダ」を開発し、その機構の独創性と業界最速の高速搬送速度、および製造現場のコンプレッサのエア使用量削減によるカーボンニュートラルへの寄与が認められ、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する2024年“超”モノづくり部品大賞 奨励賞を受賞しました。
活動の一部として、モビリィリティ・モジュールでは電動車市場の拡大に伴い、電動油圧式ブレーキが伸長し、油圧を送り込む駆動部品としてボールねじの引き合いが増加しています。更に、将来的には電動機械式ブレーキへの移行が想定されており、ボールねじの需要は更なる拡大が予想されています。当社はこの変化に追随すべく、ボールねじの高効率化や小型化の開発に取組んでいます。
ロボットモジュールでは、手首関節モジュール「i-WRIST®」を市場展開しています。自動車の電動化により大型ダイカスト部品の需要が拡大しており、更に部品を集約したギガキャストが将来技術として注目されています。現在、ダイカスト品の外観検査(キズや鋳巣など)は、人手による目視検査が殆どで、労働力不足や生産性の向上を背景に、外観検査の自動化が急務となっています。迅速な動きが特長の「i-WRIST®」は本用途に適しており、多くのお客様から注目を頂き、「i-WRIST®」を搭載した外観検査システムの開発を進めています。
自然エネルギー事業では、当社の移動型独立電源「N3エヌキューブ」が防災ニーズの高まりから、各省庁・自治体から高評価を得ています。2025年3月期には「N3エヌキューブ」レストルームモデルの循環式水洗トイレ(通称:空飛ぶトイレ)が、奈良県五條市から能登半島地震で被害を受けた石川県鳳珠郡能登町へ無償貸与されました。また、国土交通省が選定した「防災道の駅」の一つである徳島県の道の駅「いたの」で災害発生を想定した「N3エヌキューブ」の移動・設置・発電といった一連の動作を実演し検証しました。本検証のほかにも、自治体や防災関連団体と協業の下、「N3エヌキューブ」の提案を行い、自治体や地域住民の方々に防災意識を高めていただく活動に取組んでいます。当社は、国土交通省がガイドラインを制定し推進する、災害時だけでなく平常時でも有効活用可能な高付加価値コンテナとして「N3エヌキューブ」を提供し、再生可能エネルギーの普及および安心で安全な社会の実現に貢献してまいります。
2024年4月より中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalが始まり、「DRIVE NTN100」の基本方針である事業構造の変革(Transformation)を加速するため、事業軸から商品軸の新組織に体制変更し、軸受事業ではOEM・補修が一体となり供給能力の強化やソリューション提案を、CVJアクスル事業は、利益拡大と電動化などの新たなニーズへ対応できる体制にしました。
研究開発では、当社の持続的成長を目的に「基盤商品、基盤技術の強化」と「新たな領域の展開」の二軸で活動し、当社のコアコンピタンスを活かした製品開発に取組んでいます。
なお、研究開発は主として当社(日本)で行っており、当連結会計年度における研究開発活動費はグループ全体で19,656百万円です。
(1) 「基盤商品、基盤技術の強化」
持続可能な「なめらかな社会」実現に向けて当社が提供する付加価値は、1)止めない技術2)長寿命化技術3)エネルギーロスの低減です。1)止めない技術
当社は2035年の姿として、売上高に占める補修事業の売上比率を40%に拡大する目標を掲げています。これを達成するためには、モノ売り(商品提供)だけでなくコト売り(サービス提供)に繋げるビジネスモデルの構築が必要となります。コト売り事例として、風力発電用に軸受状態監視システム(CMS)を開発し、組み込まれている軸受の故障予知診断を行うサービス事業を行っています。日本に設置されている陸上風力発電300機以上に本システムが設置されており、AIも活用し24時間の監視を行っています。
最近では、軸受内部にセンサー、発電ユニットおよび無線デバイスを内蔵した「しゃべる軸受®」の小型化に取組むとともに、工作機用途ではスピンドルの主軸軸受用間座にこれらの機能を内蔵した「センサ内蔵ユニット」を開発中で、軸受の故障予知だけでなく工作機械の加工状態監視にも取組んでいます。今後、更にサービス・ソリューション分野の技術を磨き、モノ売り⇒コト売り⇒モノ売りに繋げる軸受ライフサイクルマネージメントの構築を進めます。
2)長寿命化技術
長寿命化技術として特殊熱処理技術「HA-C」を開発しました。本技術は材料に硬く微細な析出物を多数分散させるなどの手法により、非常に高い表面硬さと高負荷容量化を実現し従来品と同等以上の寿命を確保しながら軸受の外径を約15%、幅寸法を約30%、質量を約55%軽量化することが可能になりました。本技術を適用した転がり軸受は、e-Axleなどの自動車用途での過酷な使用環境に適用することが可能です。
また、電動車のモーター用軸受で生ずる問題に電食があります。バッテリーは車の航続距離延長や充電時間の短縮などを目的に高電圧化が進んでおり、将来的には800Vのバッテリー普及が予想されています。バッテリーが高電圧化すると通電による軸受の電食損傷が拡大すると想定しており、この対策として、既にセラミック球入り軸受を量産納入中ですが、コストダウンを図った樹脂モールド絶縁軸受を新たに開発し、2025年3月から量産を開始しました。
3)エネルギーロスの低減
エネルギーロスの低減では、工作機械主軸軸受用高速・長寿命グリース、およびグリース潤滑軸受への潤滑油給油ユニットを開発しました。工作機械は加工時間の短縮を目的に、主軸の高速回転化が進んでいます。主軸を支える軸受の潤滑方法にはエアオイル潤滑とグリース潤滑があり、一般的にdmn値※1にして140万を超えるとエアオイル潤滑が用いられる傾向にあります。エアオイル潤滑は長期に安定した潤滑が可能である一方、圧縮空気やエアオイルの供給装置が必要となります。当社はグリースの基油と基油を半固体状に保持する増ちょう剤、添加剤を見直してグリース潤滑でdmn190万の高速回転を可能とすることで、圧縮空気の削減によりコンプレッサの使用を廃止しカーボンニュートラルに貢献します。
自動車分野では、タイヤの回転を支えるハブベアリングにおいて軸受内部およびシールに塗布する低フリクショングリースを新たに開発し「低フリクションハブベアリング」シリーズを拡充しました。また、モーターなどのパワートレインユニットの動力をタイヤに伝えるドライブシャフトにおいても高効率・静粛性が求められており、当社は独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造※2」を採用した高効率固定式等速ジョイント「CFJ※3」と、内部部品の傾きを抑え振動につながるスライド動抵抗を従来比で50%削減した、低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」の組み合わせを、EV向けに提案を開始しました。
これからも独自の提案で電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV、PHEV)をはじめとする各種車両の省燃費・電動化に貢献します。
※1.軸受の回転性能を表す指標で、軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)
2.ボールが通る転動溝を内輪・外輪で交差させボールが内部部品を押す力を相殺する構造
3.第74回自動車技術会 技術開発賞受賞
当社が展開している精密機器事業では、業界最速の直進フィーダ「クロスドライブリニアフィーダ」を開発し、その機構の独創性と業界最速の高速搬送速度、および製造現場のコンプレッサのエア使用量削減によるカーボンニュートラルへの寄与が認められ、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する2024年“超”モノづくり部品大賞 奨励賞を受賞しました。
(2) 「新たな領域の展開」
中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalでは、前中期経営計画に引き続き「モビリティ・モジュール」、「ロボットモジュール」、「再生可能エネルギー(自然エネルギー)」、「ライフサイエンス」、「サービス・ソリューション」および「次世代エネルギー(水素など)」の6分野を、新規事業の候補として事業化を検討中です。活動の一部として、モビリィリティ・モジュールでは電動車市場の拡大に伴い、電動油圧式ブレーキが伸長し、油圧を送り込む駆動部品としてボールねじの引き合いが増加しています。更に、将来的には電動機械式ブレーキへの移行が想定されており、ボールねじの需要は更なる拡大が予想されています。当社はこの変化に追随すべく、ボールねじの高効率化や小型化の開発に取組んでいます。
ロボットモジュールでは、手首関節モジュール「i-WRIST®」を市場展開しています。自動車の電動化により大型ダイカスト部品の需要が拡大しており、更に部品を集約したギガキャストが将来技術として注目されています。現在、ダイカスト品の外観検査(キズや鋳巣など)は、人手による目視検査が殆どで、労働力不足や生産性の向上を背景に、外観検査の自動化が急務となっています。迅速な動きが特長の「i-WRIST®」は本用途に適しており、多くのお客様から注目を頂き、「i-WRIST®」を搭載した外観検査システムの開発を進めています。
自然エネルギー事業では、当社の移動型独立電源「N3エヌキューブ」が防災ニーズの高まりから、各省庁・自治体から高評価を得ています。2025年3月期には「N3エヌキューブ」レストルームモデルの循環式水洗トイレ(通称:空飛ぶトイレ)が、奈良県五條市から能登半島地震で被害を受けた石川県鳳珠郡能登町へ無償貸与されました。また、国土交通省が選定した「防災道の駅」の一つである徳島県の道の駅「いたの」で災害発生を想定した「N3エヌキューブ」の移動・設置・発電といった一連の動作を実演し検証しました。本検証のほかにも、自治体や防災関連団体と協業の下、「N3エヌキューブ」の提案を行い、自治体や地域住民の方々に防災意識を高めていただく活動に取組んでいます。当社は、国土交通省がガイドラインを制定し推進する、災害時だけでなく平常時でも有効活用可能な高付加価値コンテナとして「N3エヌキューブ」を提供し、再生可能エネルギーの普及および安心で安全な社会の実現に貢献してまいります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01601] S100W1RK)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。