有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TP5S (EDINETへの外部リンク)
株式会社日立製作所 事業の内容 (2024年3月期)
2024年3月31日現在、当社及び関係会社942社(連結子会社573社、持分法適用会社369社)から成る当グループは、「デジタルシステム&サービス」「グリーンエナジー&モビリティ」「コネクティブインダストリーズ」の3つのセクターを成長分野として位置付け、関連するビジネスユニットを各セクターに配置しています。また、「オートモティブシステム」及び「その他」を加えた合計5セグメントにわたって、当グループは、製品の開発、生産、販売、サービスに至る幅広い事業活動を展開しています。
(注)2023年10月16日付で日立Astemo㈱が株式の一部譲渡によって当社の連結子会社ではなくなったことに伴い、2024年4月1日付でオートモティブシステムセグメントは廃止されています。
日立の強みは、高品質・高信頼のプロダクトに加え、製造現場の機器・システムや鉄道、発電所などの社会インフラを動かすOT (Operational Technology:制御・運用技術)、最先端のIT を併せ持ち、顧客や社会の課題を解決するデジタル技術を活用したソリューションを提供できることです。
社会やビジネスが生み出すデータが増え続ける現在、これらのデータから新たな価値を創出し、イノベーションを加速するためのエンジンが日立のLumada(ルマーダ)です。Lumadaとは、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーの総称です。Lumadaという名称は、“illuminate(照らす・輝かせる)”+“data(データ)”に由来しています。これは日立の培ったOTにIT、プロダクトの強みを掛け合わせることで生まれました。日立では、社会やビジネスにおける活動から生み出されるデータを未来の社会における新たな価値の源泉として注目し、大量のデータを活用して世の中に向けてイノベーションを創出するビジネスとして、2016年にLumada事業を立ち上げました。
Lumada事業は、顧客の経営課題を理解した上で、その解決方法を設計・実装し、運用・保守するとともに次の課題解決に取り組むという顧客との価値協創のサイクルを、データ分析やAIといったデジタル技術を活用して構築するビジネスです。具体的には、以下のようなソリューションの提供を進めています。
・稼働データを収集して作成した学習モデルにより、異常に至る予兆を検出して突発故障による機器停止を未然に防止するソリューション
・AIが故障の症状等から設備・機器の修理箇所やその対処方法を素早く提案することにより、設備・機器故障による稼働停止時間を削減し、稼働率を向上させるソリューション
・生産実績データ等のあらゆるデータを一元管理し、作業プロセスの見直しやタイムリーな生産調整に生かし、生産効率及び品質を向上させるソリューション
このように、プロダクトの売り切りで終わるのではなく、フィー収入などソリューションの提供価値に基づく収益モデルを構築するために、「OT×IT×プロダクト」の強みを生かし、様々な業種・業務に関するノウハウを商材化し、複数の顧客に提供可能なデジタルソリューションへと転換することで、Lumada事業の拡大を図っています。
また、日立は、急速に進化する生成AIを成長エンジンとして積極的に活用し、業務の生産性を飛躍的に向上させるとともに、新たな事業機会を創出するAIトランスフォーメーションによって、社会イノベーション事業をさらに加速していきます。日立における主な取組は、次のとおりです。
(1)2023年5月 Generative AI センター設立
生成AIの安全・有効な利活用を推進するための新組織「Generative AIセンター」を設立しました。
生成AIに関する知見を有するデータサイエンティストやAI研究者と社内の各業務のスペシャリストが集結し、生成AIの先端的なユースケースや価値の創出を支援するコンサルティングサービスなどを行っています。
(2)2023年12月 Chief AI Transformation Officer配置
デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズの3つのセクターそれぞれに「Chief AI Transformation Officer」を配置しました。
AIトランスフォーメーションの実行をリードする推進者として、全社戦略の各セクター内での連携、浸透を担います。また、業務の実証結果や技術・ノウハウをセクター間で共有し、ベストプラクティスの蓄積やシナジー創出を促進することで、生成AIによる社内プロセス改革の取組を加速させます。
(3)パートナーシップを通じたAIエコシステムの拡大:NVIDIAとの協業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)加速
日立は、2024年3月に、米国半導体大手のNVIDIA Corporationと生成AIに関する協業を発表しました。日立のOT分野でのリーダーシップ・デジタルソリューションと、NVIDIAの生成AIに関するノウハウを組み合わせることで、DXによる社会イノベーションを加速します。
本協業をはじめ、先端パートナーとのAIエコシステムを今後さらに拡大していきます。
(NVIDIAとの協業の例)
・仮想空間での高度なシミュレーションにより、エネルギーやモビリティ分野の設備や業務プロセスを最適化するソリューションを開発
・日立のLumadaソリューションのライブラリとNVIDIAのプラットフォームを統合し、新たなAIソリューションを創出
・NVIDIAのAI技術・画像処理半導体とHitachi Vantara社のストレージを統合したAIインフラ製品を提供
(4)ユースケース
②生成AIによる社内のプロセス改革
日立グループ内でも、25万人を超える従業員の様々な業務で生成AIの利用を推進し、生産性向上につながるノウハウを蓄積しており、例えば、以下の取組によって、社内プロセス改革を行っています。
・生成AI適用時のコード生成やテスト効率化、安全性の考察など、ソフトウェア開発の生産性を向上
・過去の問合せや業務マニュアルなどを生成AIと連携し、顧客対応のオペレーションを迅速化
社内でのトライアルを積み重ね、顧客との協創活動にも生かしています。
(5)AI利用に伴うリスクへの対応
イノベーションの源泉としてAIの利用には多くの利点がある反面、情報漏えい、著作権やプライバシーの侵害、虚偽情報など、様々なリスクも伴います。
日立では、従来のプライバシー保護の取組に加え、2021年には人間中心のAIを開発・社会実装するためにAI倫理原則を策定しました。さらに、生成AIについても、利用ガイドラインを作成するなど、Generative AIセンターを中心に、リスクを適切にマネジメントしながら、活用を推進しています。
各セグメントにおける主な事業内容と当社のビジネスユニット(BU)及び主要な関係会社の位置付けは、概ね次のとおりです。なお、下表のほか、2024年3月31日現在の主要な持分法適用会社として、日立Astemo㈱及び日立建機㈱があります。
(注)1.㈱日立パワーデバイスは、株式譲渡により、2024年5月2日付で当社の関係会社ではなくなりました。
2.日立Astemo㈱は、株式の一部譲渡により、2023年10月16日付で当社の連結子会社ではなくなり、当社の持分法適用会社となりました。これに伴い、オートモティブシステムセグメントに属する会社はなくなり、2024年4月1日付でオートモティブシステムセグメントは廃止されました。
3.Hitachi America, Ltd.、Hitachi Asia Ltd.、日立(中国)有限公司、Hitachi Europe Ltd.及びHitachi India Pvt. Ltd.は、当グループの米州、アジア、中国、欧州及びインドにおける地域統括会社であり、当グループの製品を販売しています。
(注)2023年10月16日付で日立Astemo㈱が株式の一部譲渡によって当社の連結子会社ではなくなったことに伴い、2024年4月1日付でオートモティブシステムセグメントは廃止されています。
日立の強みは、高品質・高信頼のプロダクトに加え、製造現場の機器・システムや鉄道、発電所などの社会インフラを動かすOT (Operational Technology:制御・運用技術)、最先端のIT を併せ持ち、顧客や社会の課題を解決するデジタル技術を活用したソリューションを提供できることです。
社会やビジネスが生み出すデータが増え続ける現在、これらのデータから新たな価値を創出し、イノベーションを加速するためのエンジンが日立のLumada(ルマーダ)です。Lumadaとは、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーの総称です。Lumadaという名称は、“illuminate(照らす・輝かせる)”+“data(データ)”に由来しています。これは日立の培ったOTにIT、プロダクトの強みを掛け合わせることで生まれました。日立では、社会やビジネスにおける活動から生み出されるデータを未来の社会における新たな価値の源泉として注目し、大量のデータを活用して世の中に向けてイノベーションを創出するビジネスとして、2016年にLumada事業を立ち上げました。
Lumada事業は、顧客の経営課題を理解した上で、その解決方法を設計・実装し、運用・保守するとともに次の課題解決に取り組むという顧客との価値協創のサイクルを、データ分析やAIといったデジタル技術を活用して構築するビジネスです。具体的には、以下のようなソリューションの提供を進めています。
・稼働データを収集して作成した学習モデルにより、異常に至る予兆を検出して突発故障による機器停止を未然に防止するソリューション
・AIが故障の症状等から設備・機器の修理箇所やその対処方法を素早く提案することにより、設備・機器故障による稼働停止時間を削減し、稼働率を向上させるソリューション
・生産実績データ等のあらゆるデータを一元管理し、作業プロセスの見直しやタイムリーな生産調整に生かし、生産効率及び品質を向上させるソリューション
このように、プロダクトの売り切りで終わるのではなく、フィー収入などソリューションの提供価値に基づく収益モデルを構築するために、「OT×IT×プロダクト」の強みを生かし、様々な業種・業務に関するノウハウを商材化し、複数の顧客に提供可能なデジタルソリューションへと転換することで、Lumada事業の拡大を図っています。
また、日立は、急速に進化する生成AIを成長エンジンとして積極的に活用し、業務の生産性を飛躍的に向上させるとともに、新たな事業機会を創出するAIトランスフォーメーションによって、社会イノベーション事業をさらに加速していきます。日立における主な取組は、次のとおりです。
(1)2023年5月 Generative AI センター設立
生成AIの安全・有効な利活用を推進するための新組織「Generative AIセンター」を設立しました。
生成AIに関する知見を有するデータサイエンティストやAI研究者と社内の各業務のスペシャリストが集結し、生成AIの先端的なユースケースや価値の創出を支援するコンサルティングサービスなどを行っています。
(2)2023年12月 Chief AI Transformation Officer配置
デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズの3つのセクターそれぞれに「Chief AI Transformation Officer」を配置しました。
AIトランスフォーメーションの実行をリードする推進者として、全社戦略の各セクター内での連携、浸透を担います。また、業務の実証結果や技術・ノウハウをセクター間で共有し、ベストプラクティスの蓄積やシナジー創出を促進することで、生成AIによる社内プロセス改革の取組を加速させます。
(3)パートナーシップを通じたAIエコシステムの拡大:NVIDIAとの協業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)加速
日立は、2024年3月に、米国半導体大手のNVIDIA Corporationと生成AIに関する協業を発表しました。日立のOT分野でのリーダーシップ・デジタルソリューションと、NVIDIAの生成AIに関するノウハウを組み合わせることで、DXによる社会イノベーションを加速します。
本協業をはじめ、先端パートナーとのAIエコシステムを今後さらに拡大していきます。
(NVIDIAとの協業の例)
・仮想空間での高度なシミュレーションにより、エネルギーやモビリティ分野の設備や業務プロセスを最適化するソリューションを開発
・日立のLumadaソリューションのライブラリとNVIDIAのプラットフォームを統合し、新たなAIソリューションを創出
・NVIDIAのAI技術・画像処理半導体とHitachi Vantara社のストレージを統合したAIインフラ製品を提供
(4)ユースケース
①車両設計と保守・保全を進化させる鉄道メタバース 生成AIを活用して、仮想空間(メタバース)に鉄道の車両や線路を再現することで、車両の最適設計や安全運行、的確な線路の保守を可能とする現場拡張メタバースの技術を開発しました。 例えば、メタバース上に再現した線路の3Dモデルに、運用や保守の情報を追加し、状態を色などで表示します。現場での保全作業支援や完全リモートでの保守、補修要否の判断トレーニングの支援など、安全性と効率性を向上させる技術です。 | メタバース上に再現した線路の3Dモデル |
日立グループ内でも、25万人を超える従業員の様々な業務で生成AIの利用を推進し、生産性向上につながるノウハウを蓄積しており、例えば、以下の取組によって、社内プロセス改革を行っています。
・生成AI適用時のコード生成やテスト効率化、安全性の考察など、ソフトウェア開発の生産性を向上
・過去の問合せや業務マニュアルなどを生成AIと連携し、顧客対応のオペレーションを迅速化
社内でのトライアルを積み重ね、顧客との協創活動にも生かしています。
(5)AI利用に伴うリスクへの対応
イノベーションの源泉としてAIの利用には多くの利点がある反面、情報漏えい、著作権やプライバシーの侵害、虚偽情報など、様々なリスクも伴います。
日立では、従来のプライバシー保護の取組に加え、2021年には人間中心のAIを開発・社会実装するためにAI倫理原則を策定しました。さらに、生成AIについても、利用ガイドラインを作成するなど、Generative AIセンターを中心に、リスクを適切にマネジメントしながら、活用を推進しています。
各セグメントにおける主な事業内容と当社のビジネスユニット(BU)及び主要な関係会社の位置付けは、概ね次のとおりです。なお、下表のほか、2024年3月31日現在の主要な持分法適用会社として、日立Astemo㈱及び日立建機㈱があります。
(2024年3月31日現在) |
セグメント | 主な製品・サービス | BU及び主要な関係会社 |
デジタルシステム& サービス | ・デジタルソリューション(システムインテグレーション、コンサルティング、クラウドサービス) ・ITプロダクツ(ストレージ、サーバ) ・ソフトウェア ・ATM | 〔BU〕 クラウドサービスプラットフォームBU デジタルエンジニアリングBU 金融BU 社会BU 〔連結子会社〕 日立情報通信エンジニアリング 日立チャネルソリューションズ 日立ソリューションズ 日立システムズ GlobalLogic Worldwide Holdings Hitachi Computer Products (America) Hitachi Digital Hitachi Digital Services Hitachi Payment Services Hitachi Vantara |
グリーンエナジー& モビリティ | ・エネルギーソリューション(パワーグリッド、再生可能エネルギー、原子力) ・鉄道システム | 〔BU〕 パワーグリッドBU 原子力BU 鉄道BU 〔連結子会社〕 日立GEニュークリア・エナジー 日立プラントコンストラクション 日立パワーデバイス(注)1 日立パワーソリューションズ Hitachi Energy Hitachi Rail |
コネクティブ インダストリーズ | ・ビルシステム(エレベーター、エスカレーター) ・生活・エコシステム(家電、空調) ・計測分析システム(半導体製造装置、医用分析装置) ・産業・流通ソリューション ・水・環境ソリューション ・産業用機器 | 〔BU〕 ビルシステムBU インダストリアルデジタルBU 水・環境BU 〔連結子会社〕 日立ビルシステム 日立グローバルライフソリューションズ 日立ハイテク 日立産機システム 日立インダストリアルプロダクツ 日立産業制御ソリューションズ 日立プラントサービス 日立電梯(中国) Hitachi Global Air Power US Hitachi Industrial Holdings Americas JR Technology Group 〔持分法適用会社〕 日立国際電気 Arcelik Hitachi Home Appliances Johnson Controls-Hitachi Air Conditioning Holding (UK) |
オートモティブ システム | ・パワートレイン ・シャシー ・先進運転支援 ・二輪車用システム | 〔連結子会社〕 ―(注)2 |
セグメント | 主な製品・サービス | BU及び主要な関係会社 |
その他 | ・不動産の管理・売買・賃貸 ・その他 | 〔連結子会社〕 日立リアルエステートパートナーズ Hitachi America(注)3 Hitachi Asia(注)3 日立(中国)(注)3 Hitachi Europe(注)3 Hitachi India(注)3 |
2.日立Astemo㈱は、株式の一部譲渡により、2023年10月16日付で当社の連結子会社ではなくなり、当社の持分法適用会社となりました。これに伴い、オートモティブシステムセグメントに属する会社はなくなり、2024年4月1日付でオートモティブシステムセグメントは廃止されました。
3.Hitachi America, Ltd.、Hitachi Asia Ltd.、日立(中国)有限公司、Hitachi Europe Ltd.及びHitachi India Pvt. Ltd.は、当グループの米州、アジア、中国、欧州及びインドにおける地域統括会社であり、当グループの製品を販売しています。
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