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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007RVK

有価証券報告書抜粋 株式会社 東芝 対処すべき課題 (2016年3月期)


生産、受注及び販売の状況メニュー事業等のリスク

以下に記載する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手し得る情報に基づいて当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針(対処すべき課題)
当社に係る会計処理問題により、株主、投資家、お客様、従業員をはじめとするすべてのステークホルダーの方々からの信頼を大きく毀損いたしましたことを改めて深くお詫び申し上げます。
今回の会計処理問題に関連して、当社は、内部管理体制等において深刻な問題を抱えており、当該内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるとして、2015年9月、当社株式を特設注意市場銘柄に指定する旨の処分を東京証券取引所及び名古屋証券取引所から受け、また、2015年12月には、金融庁から73億7,350万円の課徴金納付命令を受けました。当社は、上場廃止に準ずる措置である特設注意市場銘柄指定という処分、過去最高額となる課徴金納付命令を真摯に受け止め、2015年9月に経営刷新推進体制を構築し、コンプライアンスを前提とした誠実な経営に取り組み、コーポレート・ガバナンス改革を進め、2015年12月にコーポレートガバナンス・ガイドラインを制定しました。
そして、全社一丸となって再発防止策の着実な実行を進める中で、2016年3月に「改善計画・状況報告書」を取りまとめました。当社は、日本取引所自主規制法人が公表した「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」を参照し、「改善計画・状況報告書」の起草に当たっては、第三者委員会及び役員責任調査委員会の指摘事項を踏まえながらも、これらの調査結果のみに依拠することなく、歴史的な経緯や背景、構造的な要因等を含め、当社として改めて会計処理問題の原因分析を行いました。その結果、当社としては、歴代社長である西田氏、佐々木氏、田中氏による目標必達へのプレッシャー、そのプレッシャーを生み出した当期利益を重視した業績評価・予算統制制度、財務部担当執行役(CFO)や財務・経理部門等の業務執行部門における牽制機能の不全、内部監査部門の機能不全、取締役会、指名委員会、監査委員会等による歴代社長及び執行役への監督機能の不全、歴代社長及び執行役における適切な財務報告に向けての意識の欠如、歴代社長らの意向を優先したことによる財務・経理部門における適切な財務報告に対する意識の低下等の複合的な要因があいまって、当該事象が生じたものと認識しております。
歴代社長がカンパニー社長らに対して達成困難な損益改善を繰り返し要求した原因として、世界経済の急激な悪化や、既存事業の縮小といった厳しい事業環境の下、財務状態も良好ではなかったことから、高い目標を求めなければ当社が生き残れないという強い危機感を有していたこと等、複合的な要因が作用していたと考えられます。一方、社長の選定基準及び選定プロセスが不明確であり、後継者計画も明確に規定されていなかったため、指名委員会による牽制機能も十分ではありませんでした。
また、当社の事業が多岐に亘るため、社外取締役による取締役会の議案の理解が容易ではないにもかかわらず、社外取締役に対して、取締役会の議案に関する十分な事前説明が行われていなかったこと、加えて、社内取締役が過半数を占め、元社長である会長が議長として議事を進行していたことにより、従来の取締役会では、社内取締役主導による議論が中心で、必ずしも社外取締役による議論が活発に行われている状況ではありませんでした。社外取締役については、財務・経理、監査の特別な知見を有する者を選任することは必須の要件ではなく、実際に会計監査の知見を有する者は選任されていませんでした。さらに、監査委員会は、会計監査は一次的に会計監査人の職責であるとの認識の下、会計処理について監査する必要性の認識が不足しており、会社も会計監査人と積極的に情報を共有する必要性の認識が不足していました。
これらの原因分析の結果を踏まえて、これまで策定・公表したものを含め、再発防止策の検証と取りまとめを行ったほか、当社における適時開示体制の問題点についても分析し、積極的な情報開示に向けた開示体制の整備・運用等の新たな施策も策定しました。
当社は、再発防止策を実行に移していくとともに、強靭な企業体質への転換を図ることにより株主、投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様の信頼回復につなげるべく、「内部管理体制の強化及び企業風土の変革」、「構造改革の断行」、「事業ポートフォリオ及び事業運営体制の見直し」、「財務基盤の整備」を柱とする経営施策「新生東芝アクションプラン」を公表し実施しています。
当社が進めている再発防止策その他の改革の内容は、以下のとおりです。

◎内部管理体制の強化及び企業風土の変革
Ⅰ.コーポレート・ガバナンス改革
1.取締役会の構成、取締役会の機能の強化について
1)取締役会の構成
①実質的かつ充実した審議を可能にするため、取締役の人数を従来の16名(定款上は20名以下)から、10名に減員しました。
②「執行に対する監視・監督」機能の実効性を担保するため、独立社外取締役の比率を過半数に引き上げました。
③経営者、会計専門家、法律専門家、その他有識者を独立社外取締役に選任し、取締役の専門性に配慮した取締役会構成に改めました。
④独立社外取締役を取締役会の議長に選定しました。
2)取締役会による監督機能の強化
①監査委員会室の機能について、独立社外取締役への支援を拡充し、人員も増強しました。また、独立性のある外部専門家(弁護士、公認会計士)を利用するなど、監査委員会室の調査権限を拡充し、独立社外取締役の報告徴求・調査機能も強化しました。
②業績報告会の議事録を独立社外取締役に提出し、その議論の内容を独立社外取締役が把握しています。
③独立社外取締役のみで構成する会議体であるエグゼクティブセッション(取締役評議会)を設置し、独立社外取締役間の情報交換の活性化と、当社の事業等に対する独立社外取締役の理解の更なる深化を図りました。
④取締役会への報告事項にこれまでされていなかった月次業績に関する事項を加えるとともに、従来からの報告事項であった損失の危険の管理、コンプライアンス等に関する項目については、金額基準を設けるなど、より具体的な報告基準に改めました。

2.監査委員会の監査機能の強化について
1)監査委員会の構成
①監査委員会を原則として独立社外取締役のみで構成することとしました。
②監査委員会による報告徴求・調査機能を更に強化するため、常勤の監査委員を設置しました。
③財務・法律・経営について専門性の高い独立社外取締役で監査委員会を構成しました。
2)監査委員会の監査機能の強化
①監査委員会室の人員増強、独立した外部の専門家の利用機会の拡大等により、監査委員会の指示に基づき監査委員会室自体が報告徴求・調査を実行できる体制を整えました。また、監査委員会室長に担当執行役を配置しました。
②執行側に加え監査委員会にも内部通報窓口を設置するとともに、すべての監査委員に、執行側通報窓口へのすべての内部通報にアクセスできる権限を付与しました。
③監査委員会が、監査委員会室長及び監査委員会室の従業員の人事承認権及び解任請求権・解任拒否権も有することとし、監査委員会室の独立性を担保しました。
④経営監査部を廃止し、経営監査部の内部監査機能を執行側から切り離し、監査委員会の直轄組織として内部監査部を創設しました。
⑤内部監査部の業務を、会計監査、適法性監査、妥当性監査及び内部統制監査に限定・集中することにより、執行と監督の機能を明確に分離しました。また、内部監査部長にも担当執行役を配置しました。会計監査については、外部専門家を積極的に活用することで会計監査手法を新たに確立すべく進めており、今後も内部監査の現場に常に社外の視点を持たせるため、継続して外部専門家を内部監査に関与させ、内部監査の実効性を確保していく予定です。
⑥内部監査部長及び内部監査部の従業員が、日常的に執行側の重要会議に参加することにより、最新の経営環境と経営課題を常時把握する体制に改めました。
⑦内部監査の指摘事項の改善状況については、その全件を監査委員会に報告することにより、継続的なフォローアップを徹底しています。
⑧監査委員会が、内部監査部長の人事承認権及び解任請求権・解任拒否権も有することとし、内部監査部の独立性を担保しました。
⑨内部監査部の人員を約60名とし、経営監査部時代に比べ1.5倍に増強しました。また、外部会計専門家の積極的な活用により、その機能強化を図っています。
⑩監査委員会と会計監査人との間の連携が十分ではなかったことに鑑み、会計処理に対する監査の必要性を改めて認識する観点から、従前のとおり会計監査人から監査結果概要に関する報告を受けるだけではなく、監査委員会と会計監査人との間の活発な議論を可能とする議題設定を行い、更なる連携強化を図っています。また、決算前に、CFOと主計部長が会計監査人との間で主要な会計上の論点を整理することとし、その協議内容や決算時の進捗状況についても、決算前の段階から、監査委員会に対して報告を行っています。

3.指名委員会の強化、指名手続の透明性確保について
1)指名委員会の構成
指名委員会を原則として独立社外取締役のみで構成することに改めました。
2)指名手続の公平性確保
①執行役社長の後継者の選定プロセスにおける客観性と公平性を担保するため、後継者計画(サクセッションプラン)を指名委員会が策定することにしました。
②執行役選任の基準は指名委員会が定めるように改めました。また、指名委員会に候補者全員との定期的な面談を実施する権限を付与するとともに、上級管理職による執行役社長の信任に関する調査制度を導入しました。

4.報酬設計の検討について
執行役に対する報酬については、執行役として優秀な人材を確保すること、業績向上に対するインセンティブとして有効に機能させることを主眼に固定報酬・業績連動報酬のバランスを勘案し決定することを基本方針としています。現在、中長期的な業績と直接に連動する報酬制度は導入しておりませんが、執行役は役員持株会に加入しており、このことを通じて株主との価値共有を図るとともに長期的な企業価値に対し責任を持った経営を推進しております。当社としましては、経営陣に対する業績向上に向けた適切なインセンティブのあり方については、引き続き検討してまいります。

Ⅱ.内部統制機能の強化
1.予算統制見直し
当期利益至上主義から脱却し、実力に即した実行可能で合理的な中期経営計画や予算を策定する観点から、中期的視点での予算策定方針を明確化するとともに、カンパニーにおける予算策定プロセスや業績評価制度についても見直しを行いました。予算策定方針の明確化については、事業収益性の定量評価と事業成長性の定性評価に基づき、成長性の高い事業については集中的に投資し、成長が見込めない事業については見直しを検討するなど、事業の集中と選択の方針をより一層明確化するとともに、このような方針を反映した予算策定を徹底することとしました。
また、予算策定プロセスについても、これまでの売上・利益拡大を重視したプロセスから、キャッシュ・フローを重視した、中期的視点による実行可能性を踏まえたプロセスとなるよう見直しました。さらに、カンパニーの業績評価についても、従来の営業利益や予算達成度合いの重視から、キャッシュ・フローを中心とした投資効率重視へと変更しました。具体的には、対予算評価を含む評価項目の見直し、整理を行い、事業ごとの投資効率(定量面)と市場成長可能性・自社優位性等の事業期待性(定性面)に基づき評価する制度へと移行しました。併せて、カンパニーの自主自律経営を促す観点から、カンパニーに対して有利子負債残高の妥当性について事業収益性や投資効率の観点での説明を求めるなど、カンパニー自身が責任を持って事業への投資判断を行います。
上記の見直しに合わせて、短期的な損益に関する数値上の改善見込を議論していた社長月例を廃止し、新たにキャッシュ・フローを中心とした実績値を基に将来の業績改善に向けた討議を行う場として業績報告会を新設しました。また、業績報告会には内部監査部長が出席することとし、提出された資料及び議事録は速やかに社外取締役と共有するよう改めました。

2.CFO・財務・経理部門による牽制機能の強化
1)CFO
原則として独立社外取締役のみで構成される監査委員会とCFOの連携を決算プロセスに織り込むことによって、CFOの牽制機能を強化しました。加えて、CFOの経営トップからの独立性を担保するため、指名委員会にCFOの選解任議案に対する同意権を付与することとしました。
2)財務部門の組織改革
カンパニー経理部門のカンパニー社長からの独立性を担保するため、従来カンパニー社長の直轄組織であったカンパニー経理部を全社スタフとしての財務部門の直轄組織としました。その上で、従来カンパニー社長が有していたカンパニーの財務統括責任者(CCFO)の人事評価権をCFOに移管し、財務会計機能の独立性を担保しました。また、財務会計は、証券市場の健全性を支える厳格なものであると認識し、全社スタフ部門において財務会計と管理会計の各担当を分離し、会計処理に対する内部統制機能を強化するため、財務部を廃止し、「財務管理部」及び「主計部」を新設しました。

3.内部通報制度改革
執行側の内部通報窓口に加え、監査委員会直通の内部通報窓口を設置するとともに、内部通報制度の存在及び匿名性が厳格に担保されることの一層の周知徹底を図るなど、より通報しやすい制度の運用に努めています。また、会計に関する内部通報は、その内容を直ちに会計監査人と共有することに改めました。

4.業務プロセス改革
財務報告に係る内部統制システムに重要な不備があったことに鑑み、重要性の高い4項目(工事進行基準、部品販売取引、経費計上、在庫評価)を主体に、会計処理基準の見直しのため経理規程の改定及び不備の存在が確認された業務プロセスの見直しを図りました。
1)工事進行基準
見積工事収益総額、見積工事原価総額等の見積りに関し、工事進行基準の適用条件でもある信頼性ある見積りとするために、見積りに関しての規程の細目を策定しました。また、会計・業務プロセスのルールが十分に周知されていなかったことに鑑み、会計コンプライアンスの教育を徹底するとともに、経理部門等による会計処理の妥当性(見積工事原価総額等の妥当性)についてのチェック体制を強化しました。さらに、工事進行基準案件及び工事完成基準案件に関する会計処理の妥当性を確保するため、プロジェクト審査部を新設し、案件の受注前審査及び受注後のコスト妥当性のモニタリングを実施しています。
2)Buy-Sell取引等
パソコン事業における構造改革の一環として、当社ブランド製品の設計・製造委託先(ODMメーカー)への開発・生産委託による水平分業を取り止め、問題となったBuy-Sell取引については、新規取扱分から廃止しました。また、廃止までの措置として、ODMメーカーが保有する在庫については、受払表の作成、実地棚卸等により管理を実施し、支給数量・価格における異常値のモニタリングを導入しました。さらに、定期的な棚卸を実施することにより、現物と帳簿上の数量との確認を実施しています。
3)CO(キャリーオーバー)案件
適切な収益・費用認識を行うため、費用処理、グループ間取引におけるルール・プロセスを見直しました。具体的には、経費の申請部門・経理部門等で、経費の管理資料に基づき、推移分析による異常値管理、各種引当金算定結果の確認等のチェック・統制を強化しています。
4)在庫評価
基準製造原価(TOV)改定についても改定時のルールを明確にし、半導体製造における前工程と後工程の標準原価が連動していることを確認するとともに、原価差額の配賦計算方法を工程別に実施することを明確にしました。また、明確でなかった評価の対象となる在庫、評価基準を見直すとともに、会計原則と規程の教育を徹底しています。

5.J-SOX法対応の整備
これまで、J-SOX法対応がカンパニーで適切に実施されていなかった状況に鑑み、今回全社スタフのJ-SOX推進担当(内部管理体制強化プロジェクトチームJ-SOX推進担当)の員数を従来の4名から10名に増強しました。J-SOX推進担当は、カンパニーにおけるJ-SOX法対応が適切に実施されるためのサポートを実施しています。また、J-SOX法に関する体制と仕組み、運用状況に関しては、内部監査部が評価を行うこととしています。
加えて、全社スタフのJ-SOX推進担当者がカンパニー担当者に対して、定期的な研修を実施し、カンパニー担当者の専門性担保に努めています。

6.会計コンプライアンス委員会
執行役社長を委員長とし、監査委員会及び内部監査部がオブザーバーとして参加する会計コンプライアンス委員会を設置することにより、不適切な財務報告につながる端緒を適時かつ的確に把握し、内部統制に脅威を与えるリスクを早期に発見するとともに、対応策を指示・検討する全社的な仕組みを構築しました。

7.財務報告に係る内部統制について
当社は財務報告に係る内部統制について、2014年度に認識した財務報告に係る全社的な内部統制の重要な不備を是正するための改善策についての整備は完了し、おおむね運用も実施しているものの、運用期間の制約から運用状況を確認できていない施策もあり、すべての改善策について必ずしも十分には運用状況が確認できていません。また、決算・財務報告プロセスについては、財務諸表監査において決算の修正事項を含む修正事項が発見されたこともあり、2015年度も開示すべき重要な不備があるものと判断しました。当社としては全社的な内部統制の開示すべき重要な不備の解消を確認するため、予算統制制度の運用状況及び決算・財務報告に関連する従業員の適切な財務報告に対する意識の定着、並びに決算・財務報告プロセスに係る内部統制の開示すべき重要な不備の改善策の遂行に取り組み、今後の四半期決算の状況を追加で確認してまいります。

Ⅲ.マネジメント・現場の意識改革
1.意識改革・コンプライアンス強化
執行役社長から全従業員にメッセージを発信し、経営刷新委員会で議論されたコーポレート・ガバナンス改革案の着実な実行と当社グループ再生のために全力を挙げることを確約しました。また、社会的な信頼回復に向け全社一丸で取り組むべく決意を示すとともに、従業員からも忌憚のない意見を募るため従業員アンケートを実施しました。さらに、経営トップの意識改革のため、役員及び上級管理職を対象とした意識改革研修を2015年10月、12月及び2016年3月に実施し、今後も継続していく予定です。

2.会計コンプライアンス教育の実施
役員及び上級管理職を対象とした意識改革研修に加え、会計コンプライアンスについての実効性を高めるため、従業員に対しても、役職・業務内容に応じた階層別、職能別教育を実施しました。今後も継続的に実施していきます。


◎構造改革の断行
電子デバイス部門の半導体におけるシステムLSI、ディスクリートの各事業部門、ライフスタイル部門のパソコン、映像、家庭電器の各事業部門、全社スタフ部門等において、構造改革を断行しました。
これに伴い、構造改革実施部門において、当社グループ内で再配置を行った約3,000名を含め国内外合わせて約14,000名を減員しました。

◎事業ポートフォリオ及び事業運営体制の見直し
2016年度をスタートとする中期経営計画において、次の項目について検討・改革を進めています。同計画は2016年3月18日に開催した2016年度事業計画説明会にて公表しました。
1.事業ポートフォリオ
1)当社の技術や製品を通じ社会の様々な課題を克服し、豊かで安全・安心な人々の暮らしの実現に貢献できるよう、その基盤を担う、エネルギー事業、社会インフラ事業、ストレージ事業を今後の注力領域とします。
2)ヘルスケア事業については、今後の成長が期待される注力事業の一つでしたが、本来持つポテンシャルを最大限発揮し、企業価値・顧客価値の最大化を図るとともに、財務体質強化を実現するため、2016年3月、東芝メディカルシステムズ㈱の全株式を譲渡しました。
3)家庭電器事業については、歴史と伝統のある当社を代表する事業の一つでしたが、事業運営の更なる効率化を図ると同時に、他社との事業再編も視野に入れ、構造改革を断行しました。具体的には、2016年3月に、当社の連結子会社で家電事業を担当する東芝ライフスタイル㈱の映像事業を分社化した上、家電事業を残した東芝ライフスタイル㈱の株式の80%超を中国家電メーカー大手である美的集団股份有限公司グループに譲渡することに最終合意しました。
4)2016年4月、パソコン事業を分社化し、国内企業向け販売会社と統合し、効率化しました。具体的には、2016年2月にパソコン事業を東芝情報機器㈱(同年4月1日付で東芝クライアントソリューション㈱に商号変更)に会社分割により承継させる吸収分割契約を締結し、同年4月をもって同社に同事業を承継させました。
5)システムLSI事業については、市場の成長が見込まれる、車載用を含むアナログIC、モータ制御ドライバ等、当社グループの技術的優位性が高い注力分野へ経営資源を集中するほか、200mm及び150mmウェハー製造ラインの効率的な一体運営を図るべく、2016年2月、大分工場における同事業の一部を岩手東芝エレクトロニクス㈱(同年4月1日付で㈱ジャパンセミコンダクターに商号変更)に会社分割により承継させる吸収分割契約を締結しました。またCMOSイメージセンサ事業から撤退することとし、2016年3月に同工場の300mmウェハー製造ラインをソニー㈱に譲渡しました。

2.小さく強じんな本社の確立
全社スタフ機能をスリム化し、将来に向けた戦略策定を中心ミッションとする組織体制へ移行すると同時に、カンパニーの自主自律経営を強化することを目的に、事業運営に必要な機能はカンパニーに移管します。これを受け、2016年4月1日付で全社スタフ部門の再編を行いました。その中で、当社グループの事業活動を適時適切に発信し、ステークホルダーとの双方向コミュニケーションを強化するため、「広報・IR部」を社長直下に位置付け、特に株式市場に対する適時適切な情報開示を充実させるため、同部門の下に「情報開示推進室」を新設しました。また、財務会計機能と管理会計機能を分割し会計処理に対する内部統制機能を強化するため、財務部を廃止し、「財務管理部」及び「主計部」を新設しました。

3.カンパニー体制の見直し
エネルギー事業、社会インフラ事業、ストレージ事業の3事業に注力した事業体制構築のため、7カンパニーを4カンパニーへ再編しました。
1)電力システム社、社会インフラシステム社及びコミュニティ・ソリューション社の3カンパニーを、「エネルギーシステムソリューション社」と「インフラシステムソリューション社」の2カンパニーに統合再編しました。
2)セミコンダクター&ストレージ社を「ストレージ&デバイスソリューション社」に改称しました。
3)医用機器子会社である東芝メディカルシステムズ㈱の売却に伴い、ヘルスケア社を廃止し、「ライフサイエンス事業統括部」を新設しました。
4)パーソナル&クライアントソリューション社を廃止しました。パーソナル&クライアントソリューション社管下の青梅事業所を全社スタフ部門に位置付けました。

◎財務基盤の整備
当期利益至上主義に陥った反省を踏まえ、キャッシュ・フロー重視の経営をより一層推進し、構造改革の実施等により悪化した財務基盤を改善させることを最優先の経営課題として取り組んでまいります。
1.財務基盤の整備施策
1)資源投入の上限を厳しく設定し、事業ポートフォリオに基づき、キャッシュを創出する事業領域へ投資を集中します。
この方針に基づき、2016年度設備投資・投融資は、注力領域であるエネルギー事業・ストレージ事業を中心に重点投資し、その他は原則として老朽更新に限定します。また、研究開発についてもキャッシュを創出する技術に集中するとともに、長期的展望に立ち、新たな成長事業創出に向けた研究開発を進めていきます。
2)カンパニー連結ベース有利子負債残高の運用を厳格化し、有利子負債削減へ向けた管理体制を強化します。

2.資産売却
保有する株式及び不動産については聖域なく保有意義を見直し、売却を進めています。実施済みの東芝メディカルシステムズ㈱、昇降機事業のパートナーであるフィンランド法人KONE社、関連会社の㈱トプコン等の株式等売却も含め、2016年度末までに保有資産を見直し1兆円以上の資金を捻出する計画です。

以上のとおり当社は改革を進めているところではありますが、このような事態に立ち至りましたことを改めて深くお詫び申し上げます。株主の皆様からの信頼を取り戻すべく、経営陣以下全社一丸となって全力で取り組んでまいります。

(2)株式会社の支配に関する基本方針
1)基本方針の内容
当社グループが株主の皆様に還元する適正な利潤を獲得し、企業価値・株主共同の利益の持続的な向上を実現するためには、株主の皆様はもちろん、お客様、取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーとの適切な関係を維持、発展させていくことも必要であり、これらのステークホルダーの利益にも十分配慮した経営を行う必要があると考えています。
また、当社株式の買付の提案を受けた場合に、その買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を適切に判断するためには、各事業分野の有機的結合により実現され得るシナジー効果、当社グループの実情、その他当社の企業価値を構成する要素が十分に把握される必要があると考えます。
当社取締役会は、上記の要素に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株式の大量取得行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当ではなく、このような者による当社株式の大量取得行為に関しては、必要かつ相当な手段を採ることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えています。
以上の考え方に基づき、当社は、2006年6月に当社株式の大量取得行為に関する対応策(いわゆる買収防衛策)を導入し、2009年6月及び2012年6月に更新してまいりましたが、経営環境等の変化、金融商品取引法整備の浸透の状況、株主の皆様の意見等を考慮しながら慎重に検討した結果、当該対応策を更新しないことといたしました。
なお、当該対応策終了後も弊社株式の大規模買付を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じるとともに、引き続き企業価値及び株主共同の利益の確保及び向上に努めてまいります。

2)基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、強靭な企業体質への転換を図ることにより株主、投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様の信頼回復につなげるべく、「内部管理体制の強化及び企業風土の変革」、「構造改革の断行」、「事業ポートフォリオ及び事業運営体制の見直し」、「財務基盤の整備」を柱とする経営施策「新生東芝アクションプラン」を実施しています。

生産、受注及び販売の状況事業等のリスク


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