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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100294S

有価証券報告書抜粋 株式会社 東芝 事業等のリスク (2014年3月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動

当社グループの主たる事業領域であるエレクトロニクスとエネルギーの事業は、高度で先進的な技術が事業遂行上必要である上に、グローバルな激しい競争があり、事業等のリスクに対する適切な対応が必要です。当社が認識している当社グループの事業等のリスクのうち主要なものは以下のとおりですが、これらは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見できないリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、以下に記載する事項は、当有価証券報告書提出日(2014年6月25日)現在において入手し得る情報に基づいて当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。当社グループは、このようなリスクを認識した上で、必要なリスク管理体制を整えるとともに、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。

(1)経営方針に係るもの
1)戦略的集中投資
当社グループは、新興経済地域の成長拡大にともなうエネルギー需要の増大や資源価格の高騰、情報の大容量化とセキュリティの確保といった、課題の総合的な解決を図る分野に戦略的集中投資を行っています。限られた経営資源を成長性の高い分野、競争力を有する分野に集中投資することは当社グループの優位性を確保、維持するために必要不可欠ですが、集中投資を行った分野が予測どおりに成長しない可能性や、当社グループが当該分野において競争力を維持又は増強できない可能性、これらの投資に対する収益が十分に生み出されない可能性があります。当社グループは、このような戦略的集中投資に当たり、資本コストを意識しつつ、投資種別ごとの案件の厳選、進捗管理の強化を行うとともに、事業特性に合わせ、関連する投資を全体として管理する包括的投資管理を徹底し、集中と選択に基づく成長と財務基盤の強化との両立を図っています。また、必要に応じて戦略的事業提携を通じて、外部資源の活用も図っています。

2)戦略的提携・買収の成否
当社グループは、研究開発、製造、販売等あらゆる分野において、成長事業、新規事業を含む様々な事業につき、共同出資関係を含む他社との提携や買収を積極的に推進しています。このような提携や買収に当たり、資金調達、技術管理、製品開発等、経営戦略について提携先と不一致が生じ、提携関係を維持できなくなる可能性や、提携や買収が期待どおりの効果を生まない可能性があります。また、提携先の財務状態の悪化、その他の事情により提携事業に対する追加の資金支出や債務保証を供与することにより、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループはこれらを踏まえた上で、事業の特性に応じて最適な事業形態をとれるよう、細心の注意を払っています。

3)事業構造改革
当社グループは、自らの変革を通して環境変化に左右されず、安定的に収益を確保できる企業体質を深化するため、事業構造改革を継続しており、これに伴い事業構造改革費用が発生する可能性があります。また、当社グループでは、グローバル最適生産・調達の拡大、調達先の複数化等により為替変動への抵抗力を高めるとともに、国内外の拠点集約、最適化により、事業構造の合理化に加え、当社グループ内の相乗効果を最大化する体制の構築を図っていますが、想定以上に為替が変動した場合や、これらの施策により期待した効果が出ない場合等には、追加の事業構造改革費用を計上することとなり、その結果、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

4)敵対的買収防衛策
当社は株式の大量取得行為に関する対応策(以下「買収防衛策」という。)を導入しています。当社株式の大量買付を行おうとする者が買収防衛策に定める手続を遵守しない場合等には、買収防衛策に基づく対抗措置として新株予約権の無償割当が実施されることがあります。この買収防衛策は、当社グループの企業価値・株主共同の利益を維持、向上させることを目的としていますが、これにより株主が敵対的買収者に株式を売却する機会が制限されることがあります。

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に係るもの
1)電力・社会インフラ部門の事業環境
電力・社会インフラ部門は、政府、地方公共団体向け等の公共投資、民間設備投資に係る売上が当部門の売上の相当部分を占めています。当部門はこれらの投資動向を見据えて事業を遂行し、新規事業、新規顧客の開拓にも努めていますが、公共投資の減少、遅れや景気後退に伴う民間設備投資の低迷、為替変動が当部門の事業に影響を与える可能性があります。
また、当部門は、世界各国、各地域で大規模案件の推進及び受注を行っていますが、案件の仕様その他の条件の受注後の変更、工程遅延、材料価格の高騰、政策の変更その他による計画変更・凍結・中止や災害発生等が事業遂行に大きな影響を与えることがあります。特に、収益計上が工事進行基準によっている案件では、当初の見積りに過不足があった場合、案件の収益が当初の想定より悪化した場合、案件が何らかの事情により遅延又は中止となった場合等には、当該案件に関して計上した収益を遡って見直して損失として計上する可能性があり、過去においては実際に損失を計上した案件があります。また、条件の変更や工程遅延が生じた場合に追加で発生したコストについて発注元その他に転嫁できず回収不能となる可能性やその負担を巡り係争が生じる可能性があり、実際に訴訟において請求している案件もあります。受注を目的として当該案件を推進する事業者に出資を行う案件については、案件の動向次第によっては出資の減損、資金負担の増加や投資回収の遅れ等が生じる可能性があります。これらに対応するため、市場、案件の動向把握に努める他、投資判断、受注前及び受注後それぞれの段階でリスク管理を徹底するとともに、発注者との間で前払金や出来高払いの合意、仕様変更、工程遅延等の場合の費用填補の合意等を可能な限り行うことにより適切なリスク回避を図っています。現在進行中の案件についても資金拠出者の方針変更等により継続が困難となる可能性がありますが、現時点においては継続中の案件の資金拠出者の獲得に努めています。

2)コミュニティ・ソリューション部門の事業環境
コミュニティ・ソリューション部門は、ビル、工場、住宅等、設備関連のファシリティ事業から都市インフラソリューション事業、リテール事業まで、都市・地域における様々なソリューションの実現を図るべく、複合的なソリューション事業を展開するとともに、スマートコミュニティ事業を強化しています。また、当社グループは、世界各国、各地域のスマートコミュニティ実証実験に参画し、各自治体と連携して複合ソリューションを展開しています。
当部門は、公共投資及び民間設備投資に係る売上が当部門の売上の相当部分を占めているため、世界各国、各地域における、公共投資の減少、遅れや景気後退に伴う民間設備投資の低迷、建築・住宅着工の動向等が、当部門の事業に影響を与える可能性があります。
当部門は、世界各国、各地域で事業展開を図っていますが、案件の仕様その他の条件の受注後の変更、政策の変更その他による計画変更・凍結、規制の変更、材料価格・人件費の高騰や災害発生等が事業遂行に大きな影響を与えることがあります。また、為替変動等も当部門の事業に影響を与える可能性があります。


3)ヘルスケア部門の事業環境
ヘルスケア部門は、メディカル事業が当部門の売上の大部分を占めています。メディカル事業は、新興国の医療インフラ整備が進む中で世界的に市場が拡大・成長していますが、一方で、高齢化が進行する国では、社会保障費の増大が課題となっており、医療費削減政策による影響を大きく受ける事業環境にあります。
医療機関向け製品は、その性質上、新技術・新製品の臨床効果の検証に時間を要し、さらには各国の医療機器規制へ対応し承認・認証等を取得する必要があることから、構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。一方、近年の医療技術の進歩は目覚しいものがあり、各国の先進医療機関と連携した最先端の研究開発がグローバルに展開されています。医療技術革新のスピードについていくためには、継続的な研究開発投資が不可欠です。そのため、詳細な検討及び予測に基づいて投資を行うものの、市場環境及び医療政策等の変化を読みきれず、適時に市場ニーズに合った製品を販売できずに競争力を維持できないことがあり、それに伴い、研究開発投資及び新規ヘルスケア事業領域進出への投資に対して、収益が十分に生み出されない可能性があります。

4)電子デバイス部門の事業環境
電子デバイス部門は、需給の循環的変動傾向が顕著であり、また、海外を中心とした同業他社との厳しい競争下にあります。当部門の業績は、景気変動の影響を受けて大きく変動し、また、為替変動の影響を特に大きく受ける傾向にあります。予期せぬ市場環境の変化に伴い、生産寄与時に需要が変動し、想定した販売規模に合致しない可能性、あるいは供給過剰による製品単価の下落の悪影響を受ける可能性等があります。特に主力製品であるNAND型フラッシュメモリは、価格が急激に変動することがあり、システムLSI等他の半導体製品についても、消費者市場や半導体需要家の動向が需要に影響を与える可能性があります。当部門の業績が変動した場合には当社グループ全体の業績に大きな影響を与える可能性があります。また、市況が下降局面を迎えたり、新商品の立上げが遅れたり、生産が計画どおり進まなかったり、新技術が急速に出現したりすることにより、現在の商品が陳腐化する可能性があります。当部門においては量産効果が大きい製品が多く、新製品の開発競争も激しいため、価格、品質等の競争力を維持、強化するためには、多額の設備投資が必要です。
当部門はこれらに注意を払いながら事業を遂行し、集中と選択を進めるとともに、技術先行性維持によるコスト競争力強化、製品ラインアップの拡充による収益拡大に努めています。また、当部門は、投資種別ごとに案件を厳格に選別するとともに、常に市場の動向を注視し、適時の設備投資の実行に努め、市場の変動に合わせた柔軟な生産、供給の調整、投資管理の徹底を行っています。為替変動の影響を軽減するため、米ドル建てでの海外部材調達を進めています。

5)ライフスタイル部門の事業環境
ライフスタイル部門は、同業他社との厳しい競争下にあります。当部門は為替変動のほか、景気変動や消費税の増税等による消費者の消費動向の影響を大きく受ける可能性があります。当部門は、需給変動に対応するため常に最新の需要動向を見極めながら事業を遂行し、市況変化の影響を最小限に抑えるよう努めていますが、需要動向が急激に変動した場合、商品価格下落や部品価格高騰により悪影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは、ライフスタイル部門の収益改善、事業体質強化を目的に、構造改革を進めています。これに伴い、事業構造改革費用等が発生し、損益に影響を与える可能性があります。


6)財務リスク
当社の連結及び単体の経営成績及び財政状態は、当社又は当社グループの事業活動に影響を受けるほか、主として以下の財務的な要因により、影響を受ける可能性があります。
① 繰延税金資産について
当社グループは、相当額の繰延税金資産を計上しています。当社グループは、入手可能な証拠に基づき実現可能性が低いと判断されるものを対象として、繰延税金資産に対する評価引当金を計上しています。評価引当金の計上は、見積りを含む本質的に不確実な処理です。
今後、さらに評価引当金の計上が必要となる場合があり、将来の当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
なお、繰延税金資産、評価引当金の計上は現行の税制度を前提として行っており、税制の改正が行われた場合には影響を受ける可能性があります。
② 為替変動の影響について
当社グループの事業活動は、世界各地域において様々な通貨を通じて行われているため、為替相場の変動の影響を受けます。
当社グループは、売上外貨と購入外貨のバランス化を図り、為替相場の変動の影響を極小化する対応に努めていますが、セグメント毎の事業規模のバランスが変動すること等により、営業損益が為替変動の影響を受ける可能性があります。また、急激な為替変動により、外貨建ての債権債務の計上時期と決済時期の為替レートの差異から生ずる為替換算差損が発生する可能性があります。
当社グループの保有する外貨建ての資産、負債等を連結財務諸表の表示通貨である円に換算することによって発生する外貨換算調整額は、資本の部の「その他の包括損益累計額」に含めて報告されます。このため、当社グループの株主資本は為替相場の変動により影響を受ける可能性があります。
③ 未払退職及び年金費用
当社グループは、年金制度の積立状況(退職給付債務と年金資産の公正価値の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果控除後、資本の部の「その他の包括損益累計額」に含めて報告しています。この調整の対象は未認識の保険数理上の損失、過去勤務費用及び移行時債務残高であり、適用される会計基準に従い会計処理の上、期間純退職及び年金費用として認識されます。運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少や、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務の増加に伴い年金制度の積立状況が悪化し、その結果、当社グループの株主資本は悪影響を受け、また、売上原価又は販売費及び一般管理費として計上される期間純退職及び年金費用が増加する可能性があります。
④ 長期性資産及びのれんの減損等
長期性資産について、減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合、当該長期性資産について帳簿価額を公正価値まで減額し、当該減少額を損失として計上する可能性があります。当社の連結貸借対照表には、米国会計基準に基づき相当額ののれんが計上されています。のれんについては、1年に1回減損テストを実施しており、減損テストにおいて、のれんの対象となっている事業に関するのれんを含む帳簿価額の合計額が公正価値を上回っている場合、のれんの額を再度算定し直し、現在ののれんの額と再算定したのれんの額の差額を減損として認識することになります。したがって、長期性資産やのれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込みによっては、減損を計上する可能性があります。
また、当社グループが投資有価証券として保有している上場株式の時価が下落した場合、当該株式の評価損の計上や未実現有価証券評価損益に影響を与える可能性があります。

7)資金調達環境の変化等
当社グループは、借入れによる資金調達を行っていますが、欧州債務危機、金利等の市場環境、資金需給の影響を強く受けるため、これらの環境の変化により、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、市場や金融機関から借入れを行っていますが、金融市場が不安定な混乱状況に陥った場合、金融機関が自己資本規制強化に伴い貸出しを圧縮した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、今後新たに同様の条件により借換え又は新規の借入れを行えるとの保証はなく、当社グループが適時に当社グループが必要とする金額の借入れを行うことができない場合には、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が複数の金融機関との間で締結している借入れに係る契約には財務制限条項が定められており、今後当社の連結純資産、連結営業損益又は格付けが財務制限条項に定める水準を下回ることとなった場合には、借入先金融機関の請求により、当該借入れについて期限の利益を喪失する可能性があります。さらに、当社が当該財務制限条項に違反する場合、社債その他の借入れについても期限の利益を喪失する可能性があります。
当社は、事業構造改革と事業構造転換の推進等により業績改善を図るとともに、借入先金融機関の理解を得る努力を行うなど、財務制限条項への抵触及びこれによる期限の利益喪失を回避するための施策を最大限継続的に行っていきますが、万一、当社が上記借入れについて期限の利益を喪失する場合、当社の事業運営に重大な影響を生じる可能性があります。

(3)取引先等に係るもの
1)資材等調達
当社グループの事業活動には、部品、材料等が適時、適切に納入されることが必要ですが、部品、材料等の一部については、その特殊性から外注先が限定されているものや外注先の切替えが困難なものがあります。部品、材料等の供給遅延等が生じた場合には、必要な部品、材料等が不足する可能性又は購入のための費用が増加する可能性があります。また、当社グループが競争力のある製品を市場に供給するためには、競争力のある価格で部品、材料を購入するとともに、外注先を含めたサプライチェーンの最適化が必要です。さらに、当社グループの生産活動をはじめとする事業活動には、電力が安定して供給されることが必要ですが、国内の原子力発電所の稼動停止に伴う電力供給不足と為替変動を受けた燃料費上昇により、電気料金の更なる値上げが行われる可能性があります。このように、主要な外注先からの調達に支障を来たした場合や、電力供給不足、電気料金の更なる値上げが行われた場合には、当社グループの競争力に影響を与えることがあります。また、調達した部品、材料等に欠陥が存在し、仕様が満たされていない場合は、当社グループ及び東芝ブランドの製品の信頼性及び評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)人的資源の確保
当社グループの事業の成否は、開発、生産、販売、経営管理等のすべてのプロセス、分野における優秀な人材の確保に大きく依存しています。特に事業のグローバル展開推進には、人材の確保が必要不可欠です。しかし、各プロセス、分野における有能な人材は限られており、人材に対する需要が高まっているため、人材確保における競争が激しくなっています。このため、在籍している従業員の流出の防止や新たな人材の獲得ができない可能性があります。
また、当社グループは固定費の削減を目的として、強化事業部門への人員シフト、社外への委託業務や有期限雇用社員による業務の取込み、有期限雇用社員の削減、帰休の実施、勤務体系見直しによる時間外勤務削減等の人事上の施策を実施しています。しかしながら、かかる人事施策の実施により期待された固定費削減の効果が得られない可能性や、かかる人事施策の実施により、当社グループの従業員の士気、生産効率又は人材の確保に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4)製品、技術等に係るもの
1)新規事業
当社グループは、新規事業を営む会社に投資をし、新規事業に関して他社と提携し、又は新規事業を自ら積極的に推進しています。
新規事業は不確定要因が多く、事業計画を予定どおり達成できなかった場合は、それまでの投資負担等が、当社グループに影響を与える可能性がありますが、新規事業の遂行過程において、多くの技術的課題を解決し、潜在的な需要を効果的に開拓することにより、リスクの回避に努めています。

(5)取引慣行に係るもの
1)履行保証等
当社は、当社子会社がプラント等の物件を受注する際に、取引先の求めに応じて契約履行保証等の親会社保証を供与することがあります。この親会社保証は、商習慣から経常的に行われているものですが、当社子会社が契約上の義務を履行できない場合には、当社に損失が発生する可能性があります。当社は、定期的に子会社による履行状況を把握し、必要に応じて子会社と連携して対応するなど、適切な管理に努めています。

(6)新製品および新技術に係るもの
1)新商品開発力
先進的で魅力的な商品、サービスを提供することが当社グループの責務です。しかしながら、急激な技術の進歩、代替技術・商品の出現、技術標準の変化等により、新商品を最適な時機に市場に投入することができない可能性、新商品が市場から支持される期間が計画期間を下回る可能性があります。また、技術開発に必要な資金と資源を今後も継続して十分に確保できない場合、新商品の開発、投入に支障を来す可能性があります。
当社グループは、経営資源の集中と選択を高める観点から、研究開発においても販売時期を考慮した上で、当社独自の先端技術の開発に開発テーマを厳選しています。特定の商品、技術分野においては、研究開発対象の厳選により当社グループの技術面における優位性が損なわれる可能性があります。当社グループはプラットフォーム化の推進による開発資産の共有化、システム開発における海外リソースの有効活用等により開発効率を向上させ、このようなリスクの回避に努めています。

(7)法的規制等に係るもの
1)情報セキュリティ
当社グループは、事業遂行に関連して、多数の個人情報を有しています。当社グループは、情報管理に万全を期していますが、予期せぬ事態によりかかる情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用するような事態が生じた場合、当社グループのブランドイメージや社会的評価、事業に悪影響を与え、当社グループが損害賠償責任を負う可能性があります。
また、当社グループは、技術、営業その他事業に関する営業秘密を多数有しています。当社グループは、情報管理体制の整備及び厳重化、社員教育等を通じて、かかる営業秘密のグループ外への漏洩を防ぐ方策を講じていますが、過去には営業秘密の漏洩を疑わせる事態も発生しており、漏洩の結果、第三者がこれを不正に取得、使用するような事態が生じた場合、当社グループの競争力が損なわれ、当社グループの事業や業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
また、当社グループの事業活動において情報システムの役割は極めて重要です。当社グループは、情報システムの安定的運用に努めていますが、コンピュータウイルス、ソフトウェア又はハードウェアの障害、災害、テロ等により情報システムが機能不全に陥る可能性は皆無ではなく、その結果、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。

2)コンプライアンス、内部統制関係
当社グループは、世界各地域において様々な事業分野で事業活動を展開しており、各地域の法令、規則の適用を受けます。当社グループは、コンプライアンス(法令遵守)、財務報告の適正性確保を始めとする目的達成のために必要かつ適切な内部統制システムを構築し、運用していますが、常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はなく、また、内部統制システムは本質的に内在する固有の限界があるため、その目的が完全に達成されることを保証するものではありません。したがって、将来にわたって法令違反等が発生する可能性が皆無ではありません。また、法規制や当局の法令解釈が変更になることにより法規制等の遵守が困難になり、一定の地域又は分野で事業継続が困難となる可能性や、法規制等の遵守のための費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分若しくは損害賠償請求の対象となり、又は当社グループの社会的評価が悪影響を受け、その結果、当社グループの事業や業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

3)環境関係
当社グループは、世界各地域において、大気汚染、水質汚濁、有害物質、廃棄物処理、製品リサイクル、地球温暖化防止、エネルギー等に関する様々な環境関連法令の適用を受けています。当社グループは、これらの規制に細心の注意を払いつつ事業を行っていますが、過失の有無にかかわらず、世界各地に有する製造等の拠点における土地の浄化責任を負うことがあるなど、過去分を含む事業活動に関し、環境に関する法的、社会的責任を負う可能性があります。また、将来環境に関する規制や社会的な要求がより厳しくなり、有害物質の除去や温室効果ガス排出削減等の責任が更に追加される可能性があります。
当社グループは、事業遂行に際し、様々な化学物質、放射性物質、核燃料物質等を取り扱っています。当社グループは、生命・安全を最優先に、安全性確保のための最大限の配慮を払い業務を遂行していますが、自然災害、テロ、事故、その他不測の事態(当社グループがコントロールできないものを含む。)が発生することにより、万一環境汚染が発生し、又はそのおそれが発生した場合には、当社グループに損失が生じ又は当社グループの社会的評価に悪影響を与える可能性があります。

4)品質問題
当社グループは、製品の特性に応じて最適な品質を確保できるよう、全力を挙げて品質管理に取り組んでいますが、これまでも予期せぬ事情によりリコール、訴訟等が発生しており、また、今後もそのような事態に発展する品質問題が発生する可能性は皆無ではありません。

(8)重要な訴訟事件等の発生に係るもの
1)争訟等
当社グループは全世界において事業活動を展開しており、訴訟やその他の法的手続に関与し、当局による調査を受けています。また、今後そのようなことが生じる可能性もあります。地域ごとの裁判制度等の違いやこれらの手続は本来見通しがつきにくいものであることから、通常の想定を超えた金額の支払が命じられる可能性も皆無ではありません。このため、これらについて当社グループに不利益な決定がなされた場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、様々な事情により、支払が命じられる可能性が極めて低いものの訴額の大きな訴訟が提起される可能性も皆無ではありません。
当社グループは、半導体、液晶ディスプレイ、CRT、重電機器、光ディスク装置等の製品について、欧州委員会又はその他の競争法関係当局から調査を受けています。また、北米において集団訴訟等が提起されている製品もあります。
当社は、防衛省との間で締結していたF-15用偵察システムの開発事業に関する契約につき相手方から一方的に解除されたため、その代金の支払等を求める訴訟を2011年7月に東京地方裁判所に提起しました。また、2012年10月、防衛省は当該契約の解除に基づく違約金請求の反訴を提起しました。当社は契約に基づき適正に業務を遂行しており当該契約解除及び違約金請求は不当なものと考えているため、訴訟において当社の考えを主張していきます。
2006年12月以降、米国において、当社グループ等に対し、液晶ディスプレイ関連製品の購入者等から米国競争法違反の疑いを理由に損害賠償を求める訴訟が提起されており、個別企業等との訴訟が係属しています。液晶ディスプレイ事業において当社グループは一切の違反行為を行っていないと考えているため、当社の主張が認められるよう、あらゆる法的手段を用いて対応を進めます。
2012年12月、欧州委員会は、テレビ用カラーブラウン管市場における欧州競争法違反行為があったとして、当社に対し約28百万ユーロ、これに加えてパナソニック㈱及びMT映像ディスプレイ㈱と連帯して約87百万ユーロの課徴金を賦課することを決定しましたが、当社の調査では、当社はかかる欧州競争法違反行為を行っていないため、2013年2月、EU一般裁判所に提訴しました。

(9)役員、従業員、大株主、関係会社等に関する重要事項に係るもの
1)NAND型フラッシュメモリに関する提携
当社グループは、NAND型フラッシュメモリの製造に関する戦略的提携として、米国サンディスク・コーポレーション(以下「サンディスク社」という。)との間で製造合弁会社(持分法適用会社)を設立していますが、合弁契約に基づき、サンディスク社の持分を買い取る可能性があります。また、当該製造合弁会社が保有する生産設備のリース契約に関して、現在当社とサンディスク社が個別に50%ずつの債務保証をしていますが、サンディスク社の業績又は財政状態の悪化により、当社がサンディスク社分の保証債務を承継し又は当該製造合弁会社に対するサンディスク社の持分を買い取る可能性があり、その場合、当該製造合弁会社が当社の連結子会社として扱われる可能性があります。

2)原子力事業に関する提携
当社グループは、2006年10月にウェスチングハウス社グループを買収しました。現時点において、ウェスチングハウス社グループ(持株会社を含む。)における当社の持分割合は87%であり、残りの株式については国内外の2社(以下「少数株主」という。)が保有しています。なお、ウェスチングハウス社グループへの出資については当社が過半数の持分割合を維持することを前提に、新たな出資パートナーを迎え入れることを検討しています。
少数株主は、当社との個別の契約に基づき、当該所有持分の全部又は一部を当社に売却することができる権利(以下「プットオプション」という。)を有しています。他方、当社グループも、一定の条件の下で少数株主からウェスチングハウス社グループ持株会社のそれぞれの所有持分を買い取ることができる権利を有しています。これらの権利は、少数株主の利益を保護するとともに、当社グループに不利益な第三者の資本参加を防止するものです。当社はウェスチングハウス社グループの事業に関して、少数株主と良好な関係維持に努めていますが、少数株主がプットオプションを行使した場合又は当社グループがその保有する当該買取権を行使した場合、当社グループは、新たな戦略的パートナーの出資を求めることとなり、当該出資がなされるまでの間、一定の資金負担が生じる可能性があります。

(10)その他
1)模倣品対策
当社グループは、東芝ブランドの価値の保護、増大に努めていますが、世界各地において、模倣品が多数発生しています。当社グループは模倣品の撲滅に努めていますが、多量の模倣品が流通することにより、東芝ブランドの価値が毀損され、当社グループ製品の売上に悪影響を与える可能性があります。

2)知的財産権保護
当社グループは、知的財産権の確保に努めていますが、地域によっては知的財産権に対する十分な保護が得られない可能性があります。
当社グループは、第三者からの使用許諾を受けて第三者の知的財産権を使用していることがありますが、今後、必要な使用許諾を第三者から受けられない可能性や、不利な条件での使用許諾しか受けられなくなる可能性があります。
また、これまでも当社グループは知的財産権に関する訴訟等を提起され、又は自らの知的財産権を保全するために訴訟等を提起したことがあり、今後もこのような訴訟等が生じる可能性があります。このような訴訟等には、時間、費用その他の経営資源が費やされ、また、訴訟等の結果によっては、当社グループが重要な技術を利用できなくなる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。

3)社会情勢等
当社グループは、全世界において事業を展開していますが、国内外の各地域の政治、経済、社会情勢や政策の変化、投資規制、収益の本国への送金規制、輸出入規制、外国為替規制、税制等を含む各種規制の動向、為替レートの変動が各地の需要、当社グループの事業体制に影響を与える可能性があります。

4)大規模災害等
当社グループの国内生産拠点の多くは京浜地区に集中しており、主な半導体生産拠点は九州、東海、阪神、東北に所在しています。また、当社グループは、アジア地域での生産拠点拡大を図っています。このため、これらの地域において大規模災害、テロ、新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合多大な影響を受ける可能性があります。
また、当社グループの生産、販売拠点において地震、台風等の大規模災害が発生した場合には、生産設備の破損、原材料部品の調達停止、物流販売機能の麻痺等により、生産拠点の操業停止等が生じ、生産販売能力に重大な影響を与える可能性があります。過去においては、東日本大震災及びタイにおける洪水により、当社グループの事業は一定程度の影響を受けました。

対処すべき課題研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01738] S100294S)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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