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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YD3V (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 三菱電機株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

三菱電機グループは、サステナビリティを経営の根幹に据え、顧客とつながり新たな価値を創出し続ける「循環型 デジタル・エンジニアリング」を本格展開するとともに、リスクを恐れずに新たな発想で価値を創出する「イノベーティブカンパニー」へと変革します。
強みであるコンポーネント技術とデジタル技術を融合・深化させ、基盤技術の強化を通じて持続的な事業成長をけん引する研究開発を推進します。また、デジタル基盤「Serendie」を活用し、顧客課題の解決と事業価値の創出に資するソリューションの提供及び早期実装を加速します。さらに、社会や産業構造の変革に大きなインパクトを与える新技術の獲得と創出に挑戦し、社会課題の根本的な解決を目指します。また、国内外のパートナーとの共創を通じて社会実装を促進し、社会・環境を豊かにしながら事業を持続的に発展させる研究開発を推進します。
当連結会計年度における三菱電機グループ全体の研究開発費の総額は2,359億円(前連結会計年度比103%)であり、事業セグメントごとの主な研究開発成果は以下のとおりです。

(1) インフラ
交通システム、ネットワークソリューション機器、発電機・電動機などの回転機、脱炭素に貢献する高効率な送変電機器や受配電機器、監視制御システム、電力情報システム、防衛関連システム、宇宙関連システム、及びこれらを組み合わせたソリューション(E&Fソリューション、モビリティソリューションなど)の開発を行っています。当該分野における研究開発費は402億円であり、主な成果は以下のとおりです。
① 配車から車両運行までを無人化した自動運転サービス「xAUTO」
配車予約から目的地への車両運行までを一気通貫で無人化し、ドライバー不足の課題解決に向けた自動運転サービス「xAUTO」を開発しました。鉄道・航空分野で培ってきた運行管理や遠隔監視技術を応用した、高度な配車アルゴリズムを備えた運行管理システムにより、複雑な道路環境を含む特定条件下での完全無人による安全な車両運行を実現しました。リゾート、商業施設、スマートシティなどのユースケースに対応した自動運転サービスを展開し、移動時における利便性の向上を通じて、地域活性化や安心・安全で持続可能な社会の実現に貢献します。
② 業界初*1、600メートル先の人や障害物を検知可能な鉄道向け長距離LiDAR*2
業界初となる、高速走行中の列車から600メートル先の人や障害物を検知可能な鉄道向け長距離LiDARを開発しました。ガルバノスキャナ*3を用いた独自のレーザー光照射方式により点群密度を高め、長距離での高精度検知と実運用性の両立を実現しました。本技術を多様な用途に適用拡大し、鉄道のドライバレス運転の実現や、鉄道沿線・高速道路といったインフラ事業における安全性向上に貢献します。
③ 小売電気事業者向け環境価値管理ソリューション
電力供給の脱炭素化を加速させるため、非化石証書等の環境価値を統合的に運用・管理する、小売電気事業者向け環境価値管理ソリューションを開発しました。本ソリューションは、電力需給管理システムとの連携による需給データの自動取込と、需要家ごとの電力使用量に応じた環境価値のリアルタイムなマッチング技術を備えています。これにより、再生可能エネルギー発電量の変動を考慮した環境価値配分が可能となり、RE100や24/7 CFE等の国際的な取組みにも対応できます。グリーン電力の調達及び複雑な管理業務の効率化を実現し、エネルギー市場の活性化とカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
④ 「いぶきGW」搭載の「TANSO-3」及び「AMSR3」が初観測データを取得
当社が宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受注し、2025年6月29日に打ち上げられた温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」に搭載されている「TANSO‑3」及び「AMSR3」の試験電波発射において初観測データを確認しました。「TANSO‑3」は二酸化炭素やメタンに加えて二酸化窒素の観測を実現するとともに、面的な観測により温室効果ガス排出量を広範囲かつ高精度に把握することが可能です。「AMSR3」は地表面を雪や氷に覆われて観測が難しかった極域における降雪量をはじめ、水循環の状態を観測することが可能です。これらの観測により、温室効果ガス排出源の特定や排出量の観測精度の向上、並びに海氷状況の観測精度向上を通じて、地球温暖化対策や気象予測、漁業など多方面への利活用に貢献します。

(2) インダストリー・モビリティ
FAシステム、サーボモーターなどの駆動機器、配電制御機器、メカトロ機器、産業用ロボット、電動パワーステアリングなどの自動車用電装品、予防安全(自動運転)システム、ADAS*4などの競争力強化に向けた開発を行っています。当該分野における研究開発費は522億円であり、主な成果は以下のとおりです。
① FA統合コントローラ「MELSEC MXコントローラ」
製造現場の高度化とIoT化に対応するため、従来の制御技術を1ユニットに統合したFA統合コントローラ「MELSEC MXコントローラ」を開発しました。マルチコアCPUの演算処理を高速・中速・低速の三つの周期に分割し並列実行させる「複数周期混在制御」技術を確立することで、100軸を超える多軸制御と高精度な加工の両立を実現しました。また、情報処理と制御を分離する独自のソフトウェア構造により、堅牢なセキュリティと上位システムとの容易な連携を可能にしました。本開発により、生産ラインにおける生産性向上とIoT化を加速させ、製造現場の変革に貢献します。
② リニアトラックシステム「MTR-Sシリーズ」用位置検出器の高精度化
リニアトラックシステム「MTR-Sシリーズ」専用の高精度位置検出器を開発しました。独自の磁界解析技術による着磁条件及び磁気遮蔽構造の最適化によって、磁気ノイズの影響低減を図り、繰り返し位置精度±5µmを実現しました。本技術は高速かつ高精度な搬送制御を可能とし、生産ラインの効率向上や柔軟な生産体制の構築を通じて、事業競争力の強化に貢献します。
③ 運転中のドライバーの飲酒状態を高精度に検知する技術
運転中のドライバーのわき見や居眠りを検知するドライバーモニタリングシステムの映像から取得した脈拍数・目の動きと、車両制御情報を組み合わせてAIで解析し、運転中のドライバーの飲酒状態を高精度に推定する技術を開発しました。技術の改良や評価検証を進め、欧米での法規・アセスメント化に合わせ2026年以降の実用化を目指します。これにより、飲酒運転による交通事故を削減し、安心・安全な社会の実現に貢献します。

(3) ライフ
昇降機、ビル管理システム、空調機器、調理家電、家事家電、照明機器、電材住設機器などの開発を行っています。当該分野における研究開発費は676億円であり、主な成果は以下のとおりです。
① エレベーターとロボット連携でマンションの部屋まで荷物配送する実証実験を実施
エレベーターとロボットが連携する建物内自律搬送システムを開発しました。スマートシティ・ビルIoTプラットフォーム「Ville-feuille」と株式会社Preferred Roboticsの自律搬送ロボット「カチャカプロ」によって、ロビーと各部屋間の荷物・カート搬送の自動化を実現し、高齢化や物流のラストワンマイル、人手不足といった社会課題の解決に貢献します。
② 全熱交換形換気扇「ロスナイ パーシャルリノベーション」
リニューアル*5時に既設のロスナイを製品全体ごと取り替える場合と比べ、施工コストを約49%削減*6できる「ロスナイ パーシャルリノベーション」を開発しました。大規模工事を不要*7とし、ACモーターを高効率DCブラシレスモーターへ交換するなど、部品を高性能化することで約30%の省エネも可能*8としています。これらの技術が評価され、2025年度省エネ大賞を受賞しました。これからも既設製品含めた省エネ性を高める高度な技術開発によりカーボンニュートラルの実現に貢献します。

(4) デジタルイノベーション
デジタル変革を加速する、DX・ITソリューション技術の開発を行っています。当該分野における研究開発費は15億円であり、主な成果は以下のとおりです。
① 複数の専門AIにより課題を解決する「対話型マルチAIエージェントサービス」
各分野の専門知識を持つAIが連携する「対話型マルチAIエージェントサービス」を開発しました。電力事業やFA事業などの複数の専門家AIエージェントとの対話を通じて、事業領域を横断した課題解決を実現します。本サービスは共創空間「Serendie Street」をはじめとした様々な場での活用を通じて、新たな価値創出に貢献します。
② 複雑化するネットワーク課題を可視化・分析するネットワーク性能分析システム「MINOAR」
ネットワーク性能分析システム「MINOAR」を開発しました。従来のトラフィック解析に、WEB応答とオンライン会議通話に対するユーザーの体感品質を加えることで、障害の予兆検知を高度化し、最適な改善方法を提案します。これにより、お客様の事業を支える高品質で最適なネットワーク環境の実現に貢献します。

(5) セミコンダクター・デバイス
電気自動車、民生機器、産業用機器、再生可能エネルギー、鉄道車両などのパワーエレクトロニクス機器で活用されるパワーデバイス、データセンター、光ファイバー通信などで活用される光デバイス、第5世代移動通信システム(5G)、衛星通信、レーダー(民生・防衛)などで活用される高周波デバイスの開発を行っています。当該分野における研究開発費は192億円であり、主な成果は以下のとおりです。
① 大型産業機器向けHVIGBT*9モジュール
鉄道車両などの大型産業機器向けインバーターのキーデバイスとして、耐電圧3.3kV及び4.5kVの大容量パワー半導体「HVIGBTモジュールXBシリーズ」を開発しました。当社独自構造により、従来製品比で約20倍*10の耐湿性能を達成するとともに、スイッチング損失を低減(耐電圧3.3kVタイプで約15%*11、耐電圧4.5kVタイプで約5%*12)し、インバーターの信頼性向上と高効率化を実現しました。これにより、高い湿度環境などで使用される鉄道車両などの大型産業機器の安定稼働を支えるとともに環境負荷の低減を通じて、カーボンニュートラルの実現に貢献します。

(6) その他・共通(新技術・基盤技術)
社会課題解決、新たな価値の創出・提供に向け、新技術・基盤技術の研究開発を推進しています。当該分野における研究開発費は549億円であり、主な成果は以下のとおりです。
① 従業員同士の言語の壁を解決する「MelBridgeしゃべり描き翻訳」
生産現場における外国籍従業員との円滑なコミュニケーションの実現に向けて、話した言葉をタブレット端末の画面上に翻訳して表示する「MelBridgeしゃべり描き翻訳」を開発しました。画面に表示した画像や書類に、話した言葉を翻訳した「文字」として挿入することで、視覚的に情報伝達をサポートする「しゃべり描き機能」や、話した内容をリアルタイムで翻訳しながらチャット形式で画面に表示する「トランスクリプト機能」などにより、スピーディーで円滑なコミュニケーションを可能とします。これにより、外国籍従業員の理解度向上や作業ミスの予防などに貢献します。
② FA向けサーボシステムのパラメーター調整回数を大幅に削減するAI技術
国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で、FA業界で初めて*13、サーボシステムのパラメーター調整にかかる動作回数を大幅に削減するAI技術を開発しました。サーボシステムから取得した産業機械の物理モデルをベイズ最適化*14に活用することで、サーボシステムのパラメーター調整回数を90%削減し、調整時間の大幅な短縮を実現しました。今後、高速高精度な位置決めが求められるハイエンド向けサーボシステムへの適用を進め、生産現場の生産性向上に貢献します。
③ 次世代データセンターの大容量化/低電力化に貢献する光電融合技術
次世代データセンターの機器内の通信を電気接続から光接続に置き換える光電融合技術として、光電コパッケージ*15に向けた実装技術を開発しました。ワイヤボンディングを用いないフリップチップ技術を用いた電気部品と光デバイスの実装によって、光電コパッケージに求められる高い帯域エッジ密度*16の実現が期待されます。引き続き次世代の光電融合技術に向けた開発に取り組み、次世代データセンターの大容量化/低電力化に貢献します。

④ 生成AIを活用した社内技術文書検索システム
生成AIを活用した社内技術文書検索システムを開発しました。RAG*17を基盤とした検索プラットフォームを、設計・製造・保守などものづくり領域の業務に展開することによって、社内に分散する技術文書や開発ノウハウを横断的に活用可能としました。これにより、情報探索時間の削減や手戻り抑制を実現し、ものづくりプロセスの効率化と開発リードタイム短縮を通じて事業競争力の強化に貢献します。
⑤ 世界初*18、高配向性熱分解グラファイト*19の自己復元特性を確認
高配向性熱分解グラファイト(HOPG)が自己復元特性を持つことを、京都大学との共同研究により世界で初めて確認しました。マイクロレベル試験片の作製及び新たな疲労試験方法の確立によって、繰り返し負荷により低下した機械的強度が時間経過とともに回復する特性を実証しました。本成果は、ファンデルワールス積層材料*20を用いたMEMS*21の長寿命化を可能とし、MEMSを搭載する各種機器の信頼性向上と高付加価値化に貢献します。

*1 2025年11月20日現在(当社調べ)
*2 Light Detection And Rangingの略:レーザー光を照射し、その反射光によって点群データを取得することで対象物までの距離や形を計測する装置
*3 反射鏡を制御することで、レーザー光を任意の方向へ精密に照射する装置
*4 Advanced Driver Assistance Systemの略:先進運転支援システム
*5 リニューアルの対象製品:2008年~2013年に販売していた業務用ロスナイ〈天井埋込形〉(LGH-**RS(X)5(D))。形名末尾Dは単相200V仕様。風量1,500・2,000m3/h機種はロスナイ パーシャルリノベーションの対象外
*6 施工コストはDCリプレースマイコン(LGH-RN15RXV2)、ロスナイ パーシャルリノベーション(PGLP15RX5)それぞれ1台を既設品から更新した場合の当社試算値。試算は一例であり、実際の工事条件によっては異なります
*7 工事工程は現地の状況により異なり、ロスナイ パーシャルリノベーションの実施には必ず現地調査が必要。現地調査の結果、ロスナイ パーシャルリノベーションを実施できない場合があります
*8 空調機 暖房 COP3.6 冷房 COP3.19 を併用。既設製品(LGH-50RX5)の風量、全熱交換効率などの性能は新品時と仮定して算出。また、ロスナイ パーシャルリノベーションの風量、全熱交換効率などの性能は当社で製作したLGH-50RS(X)5の相当品にこの部材を組込んだ結果から算出し、JIS B 8628 2003に規定された全熱交換効率時の室内外空気条件における当社試算値
*9 High Voltage Insulated Gate Bipolar Transistorの略:高耐電圧絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
*10 3.3kV/4.5kV XBシリーズと従来品Hシリーズの耐結露性検証結果
*11 従来製品CM1500HC-66Rと新製品CM1500HC-66XBをEon+Eoff+Erec、Tj=150℃、VCC=1800V、IC=1500Aで比較
*12 従来製品CM1200HC-90Rと新製品CM1200HC-90XBをEon+Eoff+Erec、Tj=125℃、VCC=2800V, IC=1200Aで比較
*13 2026年3月24日現在(当社調べ)
*14 全体の形が未知の関数や微分ができない関数の最大値または最小値を、関数の形を推定しながら探索的に求める手法
*15 電子デバイスと光デバイスを同一基板上に集積したデバイス又は集積する技術
*16 光トランシーバーの単位長さあたりどれくらいの信号が取り出せるかの指標
*17 Retrieval Augmented Generationの略:生成AIが事前に学習していない知識(社内データなど)を検索・参照しながら文章を生成する手法
*18 2026年1月27日現在(当社調べ)
*19 個々のグラファイト微結晶の向きが一致している高純度で配向の良いグラファイト
*20 分子同士の弱い引力により積層構造を形成する材料
*21 Micro Electro Mechanical Systemsの略

事業等のリスク株式の総数等


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