シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LJYZ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日新電機株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社グループは、電力システム改革の進展や環境配慮への要請の高まり、持続可能な社会に向けた動きに対応すべく、研究開発に取り組んでおります。
電力機器事業では、コンパクト化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発とともに、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源が導入拡大される社会を支えるための技術研究や製品開発、並びにソリューション開発を進めております。
ビーム・真空応用事業では、新たなコーティング薄膜や用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置など、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、技術研究や製品開発に注力しております。
新エネルギー・環境事業では、太陽光発電の導入などに資するパワーエレクトロニクス応用製品の開発、工場・水処理設備の進化に資する監視制御システム、EMS(エネルギー管理システム)関連やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)関連の技術研究や製品開発、並びにソリューション開発を進めております。
基礎的な研究開発としては、各分野の先の展開を見据え、電力品質の維持・向上や電力設備の保全高度化に寄与する技術、直流給配電システムや定置用蓄電池システムにかかわる研究開発、FPD(フラットパネルディスプレイ)にかかわる半導体薄膜の製造技術、並びに各分野にかかわる材料の評価技術の研究開発等を進めております。
当連結会計年度の研究開発費は売上高の5.1%にあたる6,390百万円で、そのセグメントごとの金額は、電力機器事業642百万円、ビーム・真空応用事業2,406百万円、新エネルギー・環境事業215百万円、ライフサイクルエンジニアリング事業317百万円、全社2,808百万円です。

主な成果は次のとおりです。

(1) 電力機器事業

①腐食検知センサの開発
複合環境センサシリーズのラインアップ機種として、水処理向け設備など腐食性ガス(硫化水素)発生の可能性がある電気設備設置環境における腐食リスクを「見える化」することで電気機器の故障を未然に防ぎ、安心・安全を実現する腐食検知センサを開発しました。
本製品は2021年度以降、当社の水処理向け設備に搭載し、設備の信頼性向上に貢献していきます。
本製品は、腐食性ガスによる銀の変色を光学式に検知することにより、設置環境の腐食ガス(硫化水素)の有無と程度を監視し、電気機器に使用されるプリント基板などの腐食リスクを事前に検知して故障を未然に防ぐとともに、メンテナンス時期の適正化・省力化に貢献します。今後も、複合環境センサのさらなるラインアップ充実と設備異常予知診断技術の開発により、設備メンテナンスの高度化に貢献し、お客様への更なる安心・安全をご提供します。

②生分解性絶縁油適用計器用変成器の開発
2019年度に化成品メーカーと共同開発したコンデンサ用電気絶縁油「パステルLI-B1」を適用した、環境配慮型の計器用変成器を開発しました。「パステルLI-B1」は生分解性に優れ、生態系への影響が小さいエコマーク認定を取得した電気絶縁油(認定番号:16 110 001)であり、今後も環境に配慮した製品の開発を進めてまいります。
※パステルは、化成品メーカーのライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社の登録商標です。

③生分解性絶縁油適用コンデンサ設備の開発、販売
従来同様の絶縁性能で、生態系への影響が小さい生分解性の電気絶縁油「パステルLI-B1」を適用したコンデンサを2020年度に開発完了し、販売開始しました。
2021年度にはコンデンサ設備を構成する直列リアクトルにも生分解性絶縁油を採用する予定で、コンデンサ設備への生分解性絶縁油採用を拡大していきます。

④コンパクトで短工期、環境にもやさしい次世代変電所「A-XAE変電所」の開発、販売
工場やビル向けシェアで国内トップクラスの66/77kV特別高圧変電所において、さらなるコンパクト化と短工期を実現した次世代変電所「Advanced-XAE変電所(A-XAE変電所)」を2020年11月より販売開始しました。
本製品は、工場やビルなどの受電設備や再生可能エネルギー(メガソーラや大規模風力、バイオマス発電所等)の連系設備として電力の安定供給を実現します。
タッチパネル式監視盤や、スーパーユニバールマルチなどを新たに開発・採用するとともに、他の機器も縮小化や高機能化の改良を加え、軽量化、省スペースを実現しました。

工期についても、機器の一括搬入や制御配線へのコネクタケーブルの採用などで現地施工の短縮化を図っています。
66kV、2回線でのGIS受電、変圧器10MVA×2台のモデルケースでは、変電所設置面積で25%、現地工事のべ日数で27%、変電所機器製作時のCO2排出量で13%削減します。
A-XAE変電所は、当社のソリューションSPSS(スマート電力供給システム)の主力として、お客様の様々なニーズを解決していきます。

(2) ビーム・真空応用事業

①ファインコーティング装置 iDS-720の開発、販売
「iDSシリーズ」の新たなラインアップとして、大型の金型、及び一度に多数の処理が見込まれる工具やホブカッターなどを成膜処理可能なiDS-720を開発し、2020年7月に販売開始しました。
「iDSシリーズ」は、従来の「Mシリーズ」の重要部である真空排気系統や加熱ヒータなどを見直すとともに、アーク蒸発源には平滑な膜が成膜できる技術「ステアワン蒸発源」を適用しており、2014年に中型機iDS-500、2017年に超大型機iDS-1000、2018年に小型機iDS-miniと様々なサイズの種々の部品、工具を対象としたラインアップ化を進めてきました。
「iDSシリーズ」は、「Mシリーズ」と比較し、より高性能な薄膜を短時間で成膜でき、ランニングコストも最大1/2の低減が可能であり、ラインアップにより、受託加工事業とともに、装置事業の拡大を図っていきます。

②パワー半導体製造用高温イオン注入装置「IMPHEAT-Ⅱ」の納入開始
電気自動車や情報通信機器などの用途への需要増加が見込まれるSiC(炭化シリコン)パワー半導体市場の拡大を受け、従来装置より生産性を向上させた高温イオン注入装置「IMPHEAT-Ⅱ」の本格的な納入を2020年5月から開始しました。
本装置は、さらなる処理時間短縮による生産性改善を実現するため、SiCウェーハに注入するイオンビーム電流の増大化、自動搬送系でのプロセスや機構の改良を進めてきたもので、1時間当たりのウェーハ処理枚数を従来機「IMPHEAT」の約3倍に向上しました。
ご要望に応じたウェーハ等への注入サービスや性能評価サービスを行うことができる体制を整備しており、さらなる拡販を図っていきます。

(3) 新エネルギー・環境事業

①自己託送機能対応EMS(エネルギー管理システム)の開発、実証完了、販売開始
当社のEMS「ENERGYMATE-Factory」に、自己託送に対応する新開発の機能を追加し、当社研修センターと本社工場間にて実施した実証を経て、販売開始しました。
追加した機能は、自己託送する電力量を予測計画し、計画通り自己託送を行う、同時同量監視制御機能であり、実証では立案した予測計画を自動送信し、予測計画に応じて太陽光発電電力の抑制制御を自動で行い、同時同量が実現できていることを確認できました。
実証により自己託送の有効性を評価し、2020年9月に販売開始しました。SBTやRE100などの目標を掲げ、自己託送に興味を持たれているお客様から多数の商談を含む問い合わせをいただいております。CO2削減やPV余剰電力の有効活用のニーズに応えるEMS製品として拡販活動を行います。
※自己託送:一般電気事業者の保有する送配電ネットワークを利用し、発電設備を保有する電力需要家が発電した電気を他の場所にある工場等に送る、一般電気事業者のサービス

②画像解析処理による自動水流監視システムの開発
貯留施設の運用に関連するトンネルや河川の水流変化を自動で監視する手段として、ITV監視カメラの映像を取り込み、複数の画像解析アルゴリズムを最適な組み合わせで処理する仕組みにより、様々な流水の変化(流入や越流、放流等)を精度よく検知し、自動的に通知することを可能にする自動水流監視システムを開発しました。
台風や大雨時の河川氾濫防止のために設けられた雨水貯留施設への2021年度適用に向け、検証をすすめます。
本システムにて様々な環境条件に応じた運用データを蓄積しながら精度向上及び適用拡大に向けた改良を重ね、水分野市場への展開を狙っていきます。

③新国際無線通信規格Wi-SUN FAN製品の開発、販売
スマートメーターはもちろん、様々なIoT機器に組込み可能な名刺サイズの新国際無線通信規格Wi-SUN FAN(Field Area Network)搭載USB基板型無線機を開発し、2020年6月に販売を開始しました。

次世代スマートメーターでは、各家庭の電力使用量だけでなく、ガス及び水道メーターからの消費量データも集約して契約先事業者に送信することが検討されており、効率的な共同検針が想定されています。
当社は、2016年より京都大学 大学院情報学研究科の原田博司教授の研究グループと、次世代スマートメーター向けの通信規格として期待されるWi-SUN FANの開発を進めてきました。
Wi-SUN FANは、郊外で約1km、都市部においても200m~300mの距離間通信が可能で、多段中継もできることから無線機を網状に配置することで広域エリアをカバーできる特長をもっており、効率的な共同検針を実現することが期待されます。
また、大規模で住宅や建物が密集する都市部を想定した接続試験を行うための試験機も開発し、スマートメーターの実運用に近い環境や通信量を模擬し、無線機100台による多段中継での接続試験を行うことに成功しました。
試験機はB4サイズほどで、USB基板型無線機を100台単位で搭載し統合制御でき、試験用プログラムを用いてリモートで無線出力を抑制制御する事により、実際のフィールドのような無線機を遠方に置いた状態を模擬した試験ができます。
今後、次世代スマートメーター搭載の無線機として、電源電池で20年間稼働可能な低消費電力化や、多数のIoT機器のデータを集約しても遅延がない従来比4倍の伝送レート1.2Mbps対応といった高速通信化を進めていき、内閣府が掲げるスーパーシティ構想の無線通信インフラとなるよう、社会実装を進めていきます。
※Wi-SUN FANは、Wi-SUN Allianceの登録商標です。
※本研究開発の一部は総務省 戦略的情報通信研究開発推進事業 SCOPE(受付番号196000002)の委託を受けたものです。

④高齢者向け地域支援サービス システムの開発、実証
2019年度に開発したICT端末を、高齢者にとって、聞き取りやすい音声、押した実感が得やすいボタンとなるよう、より改善するとともに、一定期間端末利用がない場合、支援者のスマートフォンなどに見守りを促す仕組みをシステムに追加しました。
本システムによる高齢者支援活動の負荷軽減効果検証については、民生委員等300名の方にご参加いただき、黒部市社会福祉協議会(富山県)と5ヶ月間の実証を行いました。
また、ICT端末については、東京都八王子市の北原病院グループ(医療法人社団KNI ・株式会社KMSI)と、同グループの会員様向け生活支援サービスでのインターフェースとして、3ヶ月間の実証実験も行いました。
2019年の人口推計における日本の65歳以上人口/総人口は、既に30%近くであり、特に人口減少、高齢化が進む地方都市においては、支える側の人数不足が生じています。
このような状況においては、支援を受ける高齢者の利便性向上とともに、支援者側の負荷軽減が重要であり、直接対面が困難な状況では、ITを活用した支援のニーズが更に大きくなると考えています。
今後、実証地域の拡大と被災地住宅の見守り・在宅医療・介護等への事業展開を目指してまいります。

(4) 全社

①コンパクトな直流遮断器(DCCB) の開発、実証
太陽光や風力発電所、蓄電池設備、EV(電気自動車)の充電ステーション、及びデータセンター等、直流の電源設備や負荷設備が増加することを想定し、電源から負荷への配電を直流のまま行う直流配電システムの実証を、当社研修センターで進めています。
直流配電システムは、既存の交流配電システムと比較し、太陽電池や蓄電池などの直流電源との親和性が高く、交流へ電力変換する必要がないため、配電ロスが低減できるメリットがあります。
一般に配電システムには、機器の開閉及び故障時の故障電流を遮断する開閉装置が必要です。直流配電システムでは、高電圧の直流を開閉・遮断するのに、交流回路で用いられる一般的な遮断器を用いると、交流と異なり、「+」と「-」の間で電流がゼロになる瞬間がなく、直流を減少させる機構が必要になり、開閉装置が大形になります。
当社は、半導体スイッチを用いた高速遮断技術、および独自に開発した過電圧抑制技術を用いて、故障電流のピーク及び電流遮断時に生じるサージ過電圧を、従来の遮断器に比べ大幅に低減することで、コンパクトな直流遮断器(DCCB)を実現しました。
また、本DCCBを直流配電実証システムに適用し、システム内の短絡事故にも、確実に故障電流を遮断できることを確認しました。
今後、再生可能エネルギーの導入が進むとともに、直流配電システムも普及してくるものと考えています。
DCCBはシステムを構築する上で、必須コンポーネントとして期待されています。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01746] S100LJYZ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。