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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100T54H (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社福田組 研究開発活動 (2023年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループの研究開発活動は、「価値創造」の経営理念のもと、生産性向上・品質向上・自然環境の保全に加え、新たな分野への市場参入を目的とした新工法の実証実験等を中心に取り組んでおります。
また、現場に密着した研究開発ニーズと独創的なアイディアの発掘を目的として、広く社員から意見を募り研究開発活動に反映させております。
なお、当連結会計年度は研究開発費として、175百万円を投入しております。
当連結会計年度の主な研究テーマは次のとおりであります。

( 建設事業 )
(1) 当社
① RCS構造に対する取り組み
鉄筋コンクリート柱・鉄骨梁混合構造(RCS構造)は、剛性が高く、高い軸方向支持力を持つRC柱と軽量で曲げ耐力が高く、大スパンが可能な鉄骨梁とのハイブリッド構造であり、近年、大スパンかつ積載荷重の大きな倉庫等の用途でニーズが高まっております。本構造については、試設計やコスト検証などを行い、設計施工での採用に向けて、継続的な取り組みを行っております。

② BIMに対する取り組み
BIMについては、従来からの複雑な形状の建物の取り合いや配筋の納まりの確認、施工ステップの3D化などの施工補助としての活用の他に、モデル現場を設定し、設計段階での活用にも着手いたしました。躯体モデル、意匠モデル、設備モデルをそれぞれ作成し、データを統合することで、干渉箇所や配管ルートの確認、位置変更の可否などを可視化、共有化して作業効率の向上を目指すとともに、BIMの活用のための社内ルールの見直しにも取り組んでおります。また、新たなソフトウェアの導入により、自動配筋や数量拾い、仮設オブジェクトによるより実用性の高い活用も開始いたしました。

③ 既存建築物の改修技術の研究
既存建築物の耐震性向上や、耐久性改善等の長寿命化及びコンバート対応できるリニューアル技術を研究し、ストック価値を高める構・工法の開発を目指しております。

④ 建設RXコンソーシアムへの参画
建設RXコンソーシアムは、作業所における更なる高効率化や省人化を目指し、建設業界全体の生産性及び魅力の向上を推進するために、施工段階で必要となる、ロボット技術やIoT関連アプリケーションにおける技術連携を相互に公平な立場で進めることを目的として設立された団体で、現在、総合建設会社、レンタル会社、ロボット製造業者、ITベンダー、専門工事会社等の約240社以上の企業が参画しております。当社も作業所における生産性の効率化を図るべく、2023年にこの団体に参画いたしました。

⑤ トンネル施工技術
トンネル施工の生産性向上に繋げるため、ICTを活用した技術開発を進めております。以前より開発してきたトンネル掘削時の動画を用いて地山の安定性を判定する「掘削動画AI」は、展示会出展を通じて社外へのアピールを継続しております。LPWA技術を用いて掘削作業を見える化し、業務改善を図る「サイクルタイム算出技術」は特許出願を果たしました。実現場での運用を継続し、実効性を向上させてまいります。トンネル資材の受発注管理とともに、在庫数量やロス率等をクラウド上で一元管理する「受発注管理システム」は、実現場での本格運用を開始いたしました。運用結果のフィードバックにより、さらなる業務効率の向上を図ってまいります。また、トンネル現場における電力消費量の見える化と、主要設備の最適運転により電力消費量を削減する「エネルギーマネジメントシステム」を開発し、実現場での本格運用を開始いたしました。カーボンニュートラルにも寄与することから、SDGsの実現に向けた第一歩としても取り組んでまいります。

⑥ 橋梁維持更新(吊足場)
橋梁における維持管理及び補修においての作業床の敷設施工における作業員の安全性の向上、敷設の円滑化による作業効率の向上を目的とした吊足場を開発してまいりました。「フライングステージを用いたつり棚足場」の名称で、仮設工業会のシステム承認を取得いたしました。当期は、公共工事等における新技術活用システムNETISに登録いたしました(登録番号 SK-230007-A)。加えて、水平状態を保持して昇降する、降機構を具備した吊足場システムの特許を取得いたしました。展示会への出展・受注現場での実用を進め、橋梁維持更新工事に活用してまいります。

⑦ コンクリート構造物の延命化工法
社会経済活動の基盤である土木コンクリート構造物は、高度経済成長期以降に集中的に整備されており、今後、建設から50年以上経過して劣化が進む割合が加速度的に増加することが予想されています。そこで、これらの土木コンクリート構造物を計画的に維持管理することを目的にした、劣化構造物の延命化工法の開発に取組んでおります。長岡工業高等専門学校と他2社との共同研究として取り組んでおり、助成を活用した実験計測が進み、一定の効果を確認できました。

⑧ デュアルシールド工法の自動測量システム
当社はデュアルシールド工法で下水道トンネル工事を行っておりますが、施工精度を確保するために、毎日測量を行って精度確認をしていく必要があります。現状では、2人作業で測量を行っております。加えて、昼夜交代で工事を行う場合には、交代のために1現場で4人の測量人員を確保する必要があります。今後も多くの受注が見込まれることから、複数の工事を同時に行える体制を整えることが急務となっております。そこで、1人の技術者でひとつの工事を進められるようにすることを主目的に、この測量を自動で行えるシステムを開発しました。当期は開発2年目で、実稼働現場で試用検証を行い、実用可能であることを確認いたしました。この自動化システムの完成により、省人化の他、より短時間で必要な時期に測量確認ができることによって、シールド掘進機の適切な操作判断が行え、施工精度の向上に資することができます。

⑨ 地球温暖化防止技術・環境保全技術
工事では多種多様な製品を調達し、燃料や電力を使用しております。再生可能エネルギーの活用に資する取り組みや、環境保全技術として工事における換気粉塵対策技術と騒音対策技術の向上への取り組みを継続しております。

⑩ i-Construction、CIMへの取組
i-Constructionへの取り組みは、受注・契約条件としても必須となります。取り組むための機器・ソフトの運用と検証を進め、一般効率的な業務ツールとなるよう全社への展開を進め、より効率的な運用となる改善を進めております。
当期は、VR技術による現場確認、三次元設計データ作成と、マシンコントロールによる土砂掘削・構造物構築を行っております。

(2) 福田道路㈱
1.技術開発
① アスファルト舗装の長寿命化についての研究(NEXCO総研との共同研究)
一昨年より、長寿命に資する路盤からの打換え工法をNEXCO総研と共同で検討し、本年は実路での試験施工を実施いたしました。今後、経過観察を行う予定であり、今後の評価の目安となる施工直後のたわみ量等のデータ取りを行いました。長寿命化に資する修繕工法の一つとして、引続き検討を進めて行く予定です。

② 寒冷地に適応したひびわれ抑制舗装の検討
北海道開発局より「積雪寒冷地に対応した舗装技術」に関する技術募集があり、低温下でも曲げ性状が優れている舗装技術を提案いたしました。本年は、北海道にて試験施工を実施しており、今後5年間追跡調査を行う予定です。また、本技術はひび割れ抵抗性が優れていることから、寒冷地のみならず、一般地域でも舗装の長寿命化が期待できる技術であり、適用箇所の拡大に向けて検討を進めていく予定です。

③ CO2削減に向けた取り組み
アスファルト合材製造時に発生するCO2を吸着する技術開発に取り組みました。本年は、実験用プラントを用いた予備実験を実施しており、各種のデータ取りを行っております。結果を確認の上、今後は実機での検証を行い、CO2削減効果を確認する予定です。

④ 「ファインPETシリーズ」の開発
廃PETボトルを舗装用添加材として活用するファインPETシリーズは、昨年高耐久舗装として「ファインPET-S」をリリースしましたが、適用箇所が重交通箇所と限定されることから、本年は、汎用商品として適度な強度と耐水性に優れた「ファインPET-Eco」をリリースいたしました。環境に優しい工法として、南魚沼市道で採用されており、今後も普及が期待されております。

⑤ 「マルチファインアイ(画像損傷診断システム)」のシステム改良
マルチファインアイは、AIを用いた舗装診断システムとして実績を積んでおりますが、わだち掘れ量における精度向上のため、深度カメラを用いたシステム改良に取り組みました。本年は、予備実験を行っており、今後テスト走行によるデータ取りと結果の評価を行います。また、ひび割れ、IRIも利便性や精度向上を目的に改良を計画しており、総合的なシステム改良に取り組む予定です。

⑥ 「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)」の取り組み
SIPとは、省庁横断的な戦略的イノベーション創造プログラムであり、金沢工業大学を中心とした北陸SIPの一員として活動いたしました。開発目標は、地方自治体のインフラメンテナンスに資する日常点検と定期点検を融合した総合システムの構築であり、本年は複数の自治体を対象に、舗装の維持管理についての実情をヒアリングしております。今後は、ヒアリング結果を踏まえたシステムの試作版を構築する予定で、点検技術の精査・システムの構築と検証を5年計画で進めてまいります。

⑦ 開発技術の広報活動
開発した技術のアピールと、新たな技術開発の促進を行うために、報文発表や技術フェアに参加して成果を広報しております。
2023年5月 インフラメンテナンス国民会議出展
2023年6月 EE東北出展
2023年9月 土木学会 全国大会参加 報文発表2編
2023年10月 世界道路会議 プラハ大会出展
2023年10月 けんせつフェア北陸出展
2023年11月 建設技術展関東出展
2023年11月 建設技術展近畿出展
2023年11月 ハイウェイテクノ出展
2023年12月 建設技術フェアIN中部出展

(3) ㈱興和
① ICT施工、BIM/CIMへの取組み
2016年に国土交通省でi-Constructionが提唱されました。従前からドローン写真測量等、最新技術の習得に取り組み、ICT工種拡大、3Dデータを活用するBIM/CIMに備えてまいりました。2019年には、国土交通省の「建設現場の生産性を向上する革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(PRISM)」に採択され、3D計測が非常に困難な自然斜面現場でのICT法面工の試行に取り組み、さらに2020年のICT法面工(吹付法枠工)の基準類制定を受け、国土交通省発注法面工事において全国に先駆けてICT施工を実施し、北陸地方整備局主催の現場見学会を開催するなど、技術力をPRしてまいりました。BIM/CIM関連では、国土交通省北陸地方整備局発注業務で3Dモデルを活用した取組みが評価され、地質調査業務では初めてとなる「2020年度i-Construction大賞優秀賞」を受賞いたしました。2023年はLidar(光を用いたリモートセンシング技術)に着目し、更なる生産性向上・業務効率化を目指し、基準類の改定を提案いたしました。

② 集水井点検カメラ
砂防関係施設のうち集水井工は、地すべり深層の地下水排除を目的とした重要施設ですが、従来の点検ではクレーンによる上蓋の取外しや昇降施設の設置、有毒ガスの排除や酸素の供給が必要であり、コストが過大となっておりました。そのため、経済的かつ安全・正確に立坑内の状況や機能の確認が可能な「立坑(集水井工)内の点検装置(集水井点検カメラ)」を開発し、2件の特許を取得いたしました。この技術により、これまで国土交通省の直轄地すべり防止区域及び新潟県所管の地すべり防止区域を中心に、800基超の集水井で、また県外においても岩手、山形、福島、群馬、宮崎で点検を行ってまいりました。この功績が認められ、2021年に砂防分野では初の快挙となる「第4回インフラメンテナンス大賞特別賞」を受賞しました。また受賞をきっかけに、弊社を中心としたコンサルタント業者4社で「集水井点検カメラ研究会」を立ち上げました。2023年度には、当技術がNETISに登録されたことを受け、今後全国的に認知が広まる事が期待されます。今後も現場からの意見を集約しながら改善・改良を進めるとともに、BIM/CIMの活用を念頭に置いた取組を進めることで、効率的且つ効果的な砂防関係施設点検の維持管理を目指してまいります。

③ 下水熱利用への取り組み
下水熱は外気に比べて季節間の温度変化が少ない特長があり、都市部における未利用エネルギーとして注目されております。下水道管の底部に採熱管を設置して、熱を取り出す下水熱利用システムの開発に取り組んでおります。特に融雪分野では、融雪温度(循環水温度)が低くても融雪能力を発揮できることから、循環水温を昇温するヒートポンプ等を用いない融雪システムを開発し、2015年には新潟市のバスターミナルの歩道に融雪設備の施工を行いました。さらに2018年には国土交通省の「2018年度下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」に採択され、車道部に融雪システムを設置し実証研究を行いました。この成果は、国土技術政策総合研究所資料第1158号に導入ガイドライン(案)としてまとめられています。今後も融雪分野のトップランナーとして新潟県内外を問わず、また融雪分野にとどまらず下水熱利用システムの普及に貢献してまいります。

④ 長距離配管気水洗浄工法
上・下水道、工業用水道、温泉送湯管等のパイプラインにおいて、管内面にスケール等が付着し、本来の通水能力が低下した場合、一般には洗浄治具を挿入したり、薬品や研磨剤などを用いたりして管内の洗浄を行いますが、特殊機械の使用や薬品等の大量使用と、廃棄によるコスト増大や洗浄後の薬品等の残留の懸念等の課題がありました。そこで従前より、水と圧縮空気しか使わず1.5km程度までの長距離配管を洗浄可能な本工法を開発し現場実証を続け、2015年にMade in 新潟新技術登録を行いました。本格的なインフラ維持管理の時代に突入し、安価で安全な本工法による洗浄工事の依頼も増えていく中、さらに国内の管更生工事業者等8社で「日本気水洗浄工法研究会」を2021年に立ち上げました。安全・安心な社会インフラを守るため、さらなる普及を目指してまいります。

⑤ 遠隔監視制御機器(ネットワークロガー)
従前より、フィールドでの計測・監視技術で得た省電力の特長を生かした融雪施設の遠隔制御装置を販売しており、さらに下水道流域のマンホールポンプの運転状況や故障、マンホール内水位を管理事務所で監視できる遠隔監視制御装置を開発し、販売を行っております。最近では、光ファイバーや無線通信でのネットワークの構築のノウハウも生かしながら、北陸地整管内の一級河川等の樋門・水門監視にこれら機器の活用が広がっております。これら機器は、2005年からの累計で約1,400台の販売実績があり、今後も融雪や下水道、河川管理関係の他に、農場関係の揚水ポンプや道路排水ポンプ等に販売が見込まれております。

⑥ 消雪パイプノズル調整作業時の誘導ロボット
雪国の冬期道路交通確保に必要な消雪パイプは、降雪シーズンを前に一斉にノズル調整作業を実施してその機能の維持を図っております。調整作業は数名の作業員が隊列を組み、消雪パイプに沿って移動しながら行いますが、車両の流れを止めずに行うため、隊列の前後に交通誘導員を配置し、矢印版や手旗で通行車両への注意喚起を行っております。しかしながら降雪前は繁忙期であることと、昨今の人手不足も相まって、交通誘導員の確保が課題となっております。現在開発中である台車型のロボットは隊列の前後に配置され、先導車は事前に機械学習されたデータをもとに、搭載されたカメラにより消雪ノズルをAIにより検知して、それに沿って自律走行を行います。また、後続車は最後尾の作業員をカメラで検知し追従します。先導・後続車共に矢印版や電光板を搭載し通行車両に注意喚起を促しつつ、衝突回避のためのソフト・ハード的な安全対策も装備しております。この開発は、労働力不足と作業員の安全確保に寄与でき、またAIカメラによる自動ノズル点検・台帳作成等にも発展できる可能性もあり、消雪パイプの維持管理の将来を見据えた有効な技術になり得ると考えております。

(4) ㈱レックス
社会インフラのメンテナンス・老朽化対策や現場生産性向上をはじめとして、当社や建設業界が抱える課題や社会的ニーズを踏まえ、それらに資する新技術や新工法等の開発を進めております。

① 「ハイブリッド・塩害補強工法」の開発
本工法は、塩害を受けた鉄筋コンクリート構造物の補修・補強工法であり、鉄筋腐食抑制効果を有するシラン系含浸材の塗布面に、炭素繊維シート補強材を接着可能とすることで、鉄筋腐食抑制と補強を両立させる技術です。従来技術においては、含浸材施工面への炭素繊維シートの施工は、付着性等の問題から不可能でした。そこで、材料メーカーとの共同研究により、付着性能及び施工性の問題をクリアする専用プライマーを開発し、2018年に新工法として上市致しました。
本技術は、2019年にMade in新潟 新技術普及制度に登録(2019D102)、2021年3月には、特許(特許第6861190号)に登録されました。加えて、2022年11月には国土交通省のNETISにも登録(HR-220007-A)され、塩害が著しい北陸地域にマッチした新技術として今後の活用が見込まれます。
② 高輝度・LED矢印板「TWIN・VISION」の開発
夜間道路工事用のLED矢印板の板面に高輝度反射シートを付加することで、従来品と比較し、あらゆる条件下において視認性・安全性の向上を図った新製品を開発致しました。矢印板全体の視認性が向上する他、故障やバッテリー切れ等によるLED消灯時でも視認性を保持することができます。また、高輝度反射シート面が損傷した際などには、容易に交換が可能となっております。
本製品は、2021年9月にMade in 新潟新技術普及制度に登録(2021D105)され、当社のレンタル事業・販売部門を通じてユーザーに提供され、その高機能な面について好評を頂いております。

③ 蓄光コーンバーの開発
工事現場等の規制材として、カラーコーンと併せて用いられるコーンバーの新製品を開発致しました。
コーンバー端部のリング部材に蓄光材料を混入することで、薄暮時にリング部が発光し、視認性・安全性が向上します。また、パイプ部材にポリカーボーネイトを採用することで、耐久性を確保しながら従来品よりも軽量化が図られ、作業性向上が期待できます。
本製品は、2024年2月にMade in 新潟新技術普及制度に登録(2023D202)され、当社のレンタル事業・販売部門を通じてユーザーに提供され、類のない製品として採用されております。

④ 現場の生産性向上技術の開発
現場の生産性向上や課題解決のため、DX等を活用した技術開発に取り組み始めております。コンクリート構造物補修工事における断面修復工の出来形(体積)測定の効率化や、区画線作業の自動化施工等の技術開発に向けて検討を行っております。

( 不動産事業及びその他 )
研究開発活動は、特段行われておりません。

事業等のリスク株式の総数等


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