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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YG81 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 オムロン株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、事業を通じた社会的課題の解決による持続的な企業価値の向上を目指しています。そのための中核的な取り組みが研究開発です。研究開発は、顧客価値の創出および事業競争力の強化に直結する重要な経営基盤であり、CTO(最高技術責任者)のもとで推進しています。

(1)2025年度の当社グループの研究開発への取り組み
①SF 2nd Stageで注力する全社コア技術領域の特定
当社グループは、SF2030の実現に向けSF 2nd Stageロードマップを策定しました。本ロードマップにおいて当社は、顧客視点に立ち返って目指す将来像と成長シナリオを見つめ直し、個別の事業成果に直結する技術にとどまらず、複数の注力13事業間でシナジーを生み出す全社横断的な技術群を抽出し、中長期的な競争力を支える「全社コア技術領域」として体系化しました。全社コア技術領域は「エッジコントロール技術」「エッジセンシング技術」「電力変換・制御技術」に加え、「Agentic AI」「分散・クラウドコンピューティング」「データマネジメント」の全6領域です。
< 全社コア技術領域 >

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全社コア技術領域の特定にあたっては、これまで社会的課題の解決を通じて蓄積してきた、独自の知財・無形資産に関する定量分析を活用しています。全社で52ある事業ユニットを俯瞰的に分析した結果、光電・近接や画像処理などのエッジセンシング(赤色囲み部)やパワコン・蓄電や電源などの電力変換・制御(青色囲み部)などの特定技術領域に全体の5%から10%の特許が集中していること、そしてそれらの技術が単一の事業にとどまらず、複数の事業ユニットにまたがって蓄積されていることが明らかになりました。

< 知財・無形資産の分析例 -オムロン保有特許の技術領域別ヒートマップの活用(注)- >
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(注)オムロンの保有特許の技術領域別ヒートマップの活用:VALUENEX株式会社の提供する俯瞰解析ツール 「VALUENEX Radar」を用い
当社で作成。当社グループの保有特許をテキストマイニングにより分析、類似技術を近い距離となるように配置。密集度が高い
領域を赤色、低い領域を青色で表示。全社コア技術領域以外では、リレー構造や診断計測などが単独で高い密集度を見せている。

当社では、顧客と競合の分析に加え、こうした自社分析の結果を踏まえて、CFO、CTOなどのCxO(特定のコーポレート機能の最高責任者)や事業部門との顧客価値の実現に対する議論を重ね、技術経営の根幹となる注力事業へのR&D投資配分方針を決定しています。今後は、事業と技術を連結させ再定義した全社コア技術領域を、研究開発投資、人財配置、知的財産活動を一体的にマネジメントするための「共通軸」として位置づけます。これにより、研究開発が個別最適に陥ることを防ぎ、全社視点での持続的な価値創出を実現していきます。

②研究開発体制および研究開発投資
当社グループは、研究開発を中長期的な価値創出の源泉と位置付け、注力事業に紐づく6つの全社コア技術領域を重点的に強化します。当社グループは、R&Dへの投資規模を増やす中で、投資効率を高め、より確度の高い持続的成長を実現するため、注力事業への研究開発投資を2030年度に約60%まで高めます。
また、SF 2nd Stageにおいて、研究開発活動を事業戦略と一体で機能させるため、全社的な視点で研究開発を統括する体制を構築しました。
その一環として、オムロンの注力事業で顧客に価値を届け、持続的な競争優位を創出・加速する“全社技術戦略”の立案・実行し、事業成長においてイニシアティブを発揮する組織へと、コーポレートR&D部門の役割を進化させ、名称を「技術・知財本部」から「ストラテジックR&D本部」へ変更しました。
ストラテジックR&D本部は、事業と技術を連結した全社技術戦略の推進や先端技術・基盤技術の創出を通じて、オムロンの中長期的な事業競争優位を牽引します。また、注力事業に結び付き、事業価値を生みだす知財活動もさらに強化し、事業と技術の競争力を知財の面からも継続的に強化していきます。
このような研究開発投資方針と体制により、選択と集中を徹底した研究開発マネジメントを行い、開発生産性を高め、研究開発投資による市場成長率を超える顧客価値の創出を実現していきます。

< 注力事業に対する開発費の割合 >
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(ⅰ)全社的な視点で研究開発を統括する主な体制(全社テクノロジーガバナンス委員会)
全社的な視点で開発生産性を高める施策の立案と実装を行うため、研究開発を統括する体制の中核として、ストラテジックR&D本部長を委員長とする全社テクノロジーガバナンス委員会を設置しました。本委員会は、事業戦略と技術戦略を連結させ研究開発テーマ、研究開発投資を全社横断的で統括します。本委員会は、ストラテジックR&D本部長および各事業における技術責任者で構成され、コーポレート部門と事業部門が一体で注力事業および全社コア技術領域に基づき研究開発テーマの優先順位付けを行います。また、研究開発投資の妥当性や進捗状況を確認することで、研究開発活動の実行力と透明性を高め、経営戦略と整合した研究開発の推進を図ります。

③SF 2nd Stageの研究開発活動でモニタリングする指標
当社グループは、研究開発活動の成果を客観的かつ継続的に把握し、改善につなげるための指標を設定しています。

(ⅰ)開発生産性
研究開発活動の成果を総合的に示す指標として、開発生産性を重要な経営指標と位置付けています。SF 2nd Stageでは、2030年度に開発生産性を2024年度比2.5倍とする目標を掲げました。


開発生産性=営業利益/研究開発費(注)
(注)投資を実行し、研究開発活動を開始してから製品やサービスとなり、営業利益に貢献するまでにはある程度の期間が必要である
ため、その期間を見込み計算している。

また、開発生産性の向上を実効性あるものとするため、研究開発活動の質や構造を把握するための中間指標を設定し、マネジメントに活用しています。これらの指標を通じて、研究テーマの選択集中の度合いや、研究成果が事業および知的財産にどの程度結び付いているかを把握し、研究開発活動の進捗や課題を継続的に確認しています。
(ⅱ)知財投資効率
知財活動の成果を総合的に評価する指標として、「出願件数」といった活動量ではなく、「事業利益への貢献度」で厳格に測るため、新たに知財投資効率という独自の指標を定義しました。これは、人件費や経費を含む知財への総投資額に対して、特許、ブランド、ノウハウといった無形資産が生み出した事業貢献額(利益に対する寄与度)を示す定量指標です。研究開発部門の開発生産性の向上と深く連動させる形で、2030年までにこの知財投資効率を2024年度比2.5倍に引き上げるという意欲的な目標を掲げ、知財活動を「利益を生む戦略的投資」へと転換することで、企業価値の最大化に直結させていきます。

④研究開発活動における取組状況
注力事業の成長を支える全社コア技術領域の強化による顧客価値の創出を行うため、事業部門と連携し研究成果の創出に取り組んでいます。制御機器事業では、成長牽引に向け、測距センサの高精度化、外観検査のユーザビリティ向上、ファクトリーオートメーション用電源の小型化などの技術開発に取り組みました。また、社会システム事業ではパワーコンディショナーの小型化、ヘルスケア事業では血圧計や心電計の高精度化など注力事業の強みを磨き込む技術開発に取り組みました。特に研究開発と知財活動での主要取り組みは、以下のとおりです。

(ⅰ)パワーエレクトロニクスセンタ開設
パワーエレクトロニクス分野における電力変換・制御技術の研究開発体制の強化を目的にパワーエレクトロニクスセンタを2025年10月に京都桂川事業所に開設しました。同センタでは、基盤技術の研究に加え、商品開発やソリューション創出までを視野に入れた研究開発活動を行っています。これらの活動を通じて創出された技術は、蓄電システムやファクトリーオートメーション用電源など、一つの事業だけでなく複数の事業へ展開しています。

(ⅱ)両利きの知財活動
知財活動においては、各事業の特性を加味し、独占排他型と共有共鳴型を最適なバランスで実行する「両利きの知財活動」を推進しています。主力であるIAB(制御機器)等のデバイス事業では、競合の参入障壁となる特許網の構築(独占排他型)に注力し、競争優位性の確保や制御思想の保護を図っています。一方、データ活用を主軸とするソリューションビジネスにおいては、顧客の経営課題改善に直結する提供価値の保護とビジネスモデルの優位性確保を目指し、パートナー企業とのエコシステム形成や協創を促す出願(共有共鳴型)を推進するなど、事業ごとの勝ち筋に同期した戦略的な出願活動を実行しています。

(ⅲ)不確実性への対応
長期的な視点での不確実性を踏まえた技術創出を行うため、技術探索の取り組みを行っています。研究開発における出島組織としての、オムロン サイニックエックス株式会社では研究開発の方向性を「Embodied AI Machines」と設定し、人と機械の新たな関係性や社会実装を見据えた研究活動を継続しています。2025年度も28件の国際学会を中心とした発表を行ったほか、社会実装に向けた展示会への出展や技術検証を実施しました。

(2)事業セグメント別の研究開発活動

セグメントの名称 当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(百万円)
インダストリアルオートメーションビジネス24,700
ヘルスケアビジネス7,494
ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス6,243
データソリューションビジネス126
本社他7,105
合計45,668

①インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
当セグメントは、人を重労働から解放しエネルギー制御と融合させる「①人を超える自働化」、機械が人に寄り添い人の可能性を引き出し、人と機械が共に成長する「②人と機械の高度協調」、前述の2つのコンセプトを支える、現場の商品や人のナレッジ、そしてデータを繋ぎ、価値ある形に擦り合わせる「③デジタルエンジニアリング革新」のモノづくりコンセプトで研究開発に取り組んでいます。
これら3つのコンセプトを基に、デジタルデバイス、環境モビリティ、食品・日用品、医療、物流の5つの業界において、「顧客起点」で価値創造とグローバルの顧客への価値伝達を進めています。従来のモノ視点から、コト視点で俯瞰して顧客課題を捉えるようにシフトし「ソリューション」としての創出・提供に取り組んでいます。6つの全社コア技術領域を含めた様々な先進コア技術やオムロンの幅広いFA商品群を起点にして、機能モジュールやソフトウェア、アプリケーション、サービスを体系的に構成し、各業界の顧客や工程に合わせて提供できるように技術や商品開発を強化しています。また、積極的に特許の出願や活用する取組みも強化しています。
加えて、新規技術獲得には、自社内だけで不足しているものは積極的にグローバルのスタートアップ企業や大学等も含めた産官学でのオープンイノベーションも進めています。

②ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、喘息・COPD患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、慢性痛による日常の活動制限ゼロを目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。
当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、新たに患者の測定時の負担を大幅に軽減する血圧計の開発を進めており、また疾患の早期発見・治療に繋げることを目的として、血圧、脈拍、脈波、心電計測技術を搭載した心機能低下を捉える革新的な血圧計の開発を引き続き進めています。さらにデータマネジメントを活用した遠隔診療サービスのシステム開発・改善にも取り組んでいます。
呼吸器事業においては、粘性の高い薬液にも対応しながらハンディで使用できるポータルネブライザの開発や、喘息やCOPDの潜在患者をスクリーニングする技術開発にも取り組んでいます。
ペインマネジメント事業においては、従来の肩こりや腰痛などのケアに加え、新たにスポーツ後の筋肉疲労をケアする機能、さらには、筋力の維持・強化を目的としたEMS機能を搭載した低周波治療器の開発も進めています。


③ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
当セグメントは、太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのネットワーク保護といった、多岐にわたる端末・システムに対するお客様のニーズに応える商品開発に取り組んでいます。
エネルギーソリューション事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システムおよび太陽光発電用パワーコンディショナーを中心に電力変換・制御技術を用いた高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。
モビリティソリューション事業においては駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサー・システムの開発に取り組んでいます。
また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データマネジメントなどのデータサイエンス分野の技術力強化を進めています。

④データソリューションビジネス(データソリューション事業)
当セグメントは人材やテクノロジーに積極的に投資し、医療ビッグデータを活用した新しい取組みやサービス開発にチャレンジし続けます。ヘルスケアデータの収集のためのサービス開発とヘルスケアデータの利活用方法の開発を目的にアカデミアとの連携を含めた研究開発活動を実施しています。また、ディープラーニングを中心とするAIテクノロジーを用いた診断アシストエンジンを日々の読影の中で活用できるようにする診断アシストプラットフォーム「AI-RAD」の開発に取り組んでおります。


事業等のリスク株式の総数等


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