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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W0F3 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 パナソニックホールディングス株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは成長戦略に基づき、将来を担う新技術や新製品の開発に注力しました。加えて、「地球環境課題の解決」への貢献と、「社会とくらしのウェルビーイング」へのお役立ちを目指した技術開発にも、積極的に取り組みました。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、4,778億円となりました。主な内訳は、「くらし事業」1,454億円、「オートモーティブ」613億円、「コネクト」1,235億円、「インダストリー」612億円、「エナジー」395億円です。
なお、「オートモーティブ」は、2024年12月2日にパナソニック オートモーティブシステムズ㈱の株式譲渡が完了し非連結化したことに伴い、非連結化した事業の非連結化するまでの期間(当連結会計年度は約8ヵ月分)の実績を表示しています。

各報告セグメント及びその他の事業、部門の主な成果は、以下のとおりです。
(1) くらし事業
主に「くらし」領域において、家電、空調、照明、電気設備や業務用機器など、家庭から店舗、オフィス、街にいたる様々な空間に対応した商品・サービスの研究開発を行っています。
主な成果としては、以下のとおりです。
・クリーンで効率的な、純水素型燃料電池・太陽電池・蓄電池を連携させたエネルギーマネジメントシステムを開発
純水素型燃料電池、太陽電池、蓄電池を統合し、AIとクラウド技術を活用したエネルギーマネジメントシステムで電気や熱を最適に供給することで、環境に優しく、エネルギー効率を向上させ、高い信頼性と柔軟性を提供するシステムを実現しました。これにより、経済的メリットとエネルギーレジリエンス(注)1を実現する持続可能で効率的なエネルギーソリューションの提供が可能となりました。技術の実証実験も行っており、2022年に開始した草津拠点の発電プラントでは、工場需要の98%の電力をカバーしました。また2024年に英カーディフの電子レンジ工場では、脱炭素化、コスト最適化の実証を開始、2025年にはオフィスのエネルギーレジリエンスの実証を独ミュンヘンで開始しました。こうした3電池連携を含めた、環境負荷の少ない水素の本格活用を図るエネルギーソリューション「Panasonic HX」の構築に貢献していきます。
・再生可能エネルギーを含めた電力を無駄なく有効に利用する技術の開発
エネルギー創出技術とともに、電力を無駄なく有効活用する技術の開発も進めています。真空断熱ガラスともう一枚のガラスを複層化した独自構造のガラス扉を搭載した冷凍リーチインショーケースを開発しました。このショーケースは保冷効率が向上したほか、ガラス表面の結露防止のヒーター通電も抑制できるため、従来品と比較して約33%(注)2の省エネを実現し、省エネ大賞を受賞しました(注)3。また、翌日の日射量予測をもとに太陽光パネルの発電量が多い時間帯を中心にお湯を沸かす「日射量シフト」機能を搭載した昼間沸上げ形自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機「おひさまエコキュート」を業界に先駆けて開発・販売しました。「おひさまエコキュート」は、太陽光発電と組み合わせることで、昼間の余剰電力でお湯を沸かし、効率的なエネルギー利用を実現します。さらに、貯湯ユニットやヒートポンプユニットなどの高効率化により、業界最高水準の年間給湯保温効率 3.5(注)4を達成しました。

(2) コネクト
主に「サプライチェーン」「公共サービス」「生活インフラ」「エンターテインメント」分野での企業・法人向けのハードを含むソリューションの研究開発を行っています。
主な成果としては、以下のとおりです。
・製造・物流現場での効率化・最適化に寄与するAI・ロボット技術を開発、主要国際学会でも採択・発表
視覚と言語情報を同時に扱えるAIマルチエージェントシステム、追加のアルゴリズムなしで現場の多様な制約条件に合わせて最適化する多目的最適化技術を開発しました。さらに、現場で動く対象物を光沢などのノイズがあっても高精度かつ1ミリ秒以下で検出するセンシング技術を開発しました。物流や製造現場でAIやロボットを活用したこれらの技術を活用してサプライチェーンの最適化、製造現場の計画立案の効率化、物流の自動化など製造、物流、流通のあらゆる現場の効率化と生産性向上を支援していきます。
・非接触指紋認証における照合精度を向上する技術を開発し、出入国在留管理庁 羽田空港実証実験に採択
指を押し付けて取得した圧着指紋のデータと、非圧着で指の変形が生じない非接触指紋の照合を可能にする技術を開発しました。本技術は出入国在留管理庁が実施する日本初の非接触指紋認証の実証実験にも導入されています。非接触で取得した指紋画像から圧着時の特徴変動を予測する独自のディープラーニング手法により、非接触指紋と圧着指紋の照合精度を大幅に向上させ、従来の圧着指紋データベースとの照合におけるエラー率を、一般的な未変換の非接触指紋と比べ約5分の1以下に抑えることができます。顔認証や非接触指紋認証といった生体認証技術を強みに、お客様やパートナー企業と実証実験を重ねて実現したUX(ユーザー体験)やデザインとを融合させ、引き続きお客様のくらしや現場で貢献していきます。

今後も製造業100年の知見とソフトウェアを組み合わせたソリューションや高度に差別化されたハードウェアの提供を通じて、現場にイノベーションをもたらし多様な人々が幸せに暮らせる、持続可能な社会の実現を目指していきます。

(3) インダストリー
主に電子部品、FA・産業デバイス、電子材料などのBtoB事業を中心とした幅広い技術分野の研究開発を行っています。
主な成果としては、以下のとおりです。
・知見やノウハウとデジタル技術を組み合わせ、開発・実験設備を自動化した「スマートラボ」を進化
大阪府門真市の構内に開設した自動実験室「スマートラボ」にて、導電性高分子コンデンサの開発におけるプロセス条件の最適化に適用することで、連続的な稼働を実現。これまで人手が介在することが多かった開発・実験手法と比較し、開発効率を大幅に加速させることができます。今後はこうした「スマートラボ」でのプロセスを他の開発にも活用することで、人手による単純作業の自動化を進め、技術者はより創造性ある付加価値の高い研究開発業務に集中できる環境を充実させていきます。
今後も、スマートラボを起点にインダストリー事業の技術開発を強化していきます。

(4) エナジー
主に乾電池、二次電池、産業用電池、車載用電池の研究開発を行っています。
主な成果としては、以下のとおりです。
・最新の4680サイズの車載用円筒形リチウムイオン電池セルの量産技術を確立
4680セルは、従来の2170セルと比較して約5倍の容量を持つため、電気自動車(EV)の航続距離の延長に貢献するほか、EVに搭載するセル数の大幅な削減が可能なため、バッテリーパックの組み立て工程の効率化や、EVコストの低減に繫がることなどが期待される新型電池です。1セルあたりの容量が大きくなるため、製造工程において、より高度な技術や工法が求められる中で、当社の30年にわたる円筒形リチウムイオン電池の生産技術開発とノウハウの蓄積により、業界に先駆けて高性能な4680セルの量産技術を確立しました。和歌山工場を4680セル生産のマザー工場と位置付け、ここで得られた実証結果を国内外の工場へ展開するなど、競争力を持つコア拠点の構築を目指します。
今後もリチウムイオン電池の製造基盤の拡充並びに競争力強化に向けて寄与していきます。

(5) その他
エンターテインメント&コミュニケーション
主に、有機ELテレビなどのAV機器、デジタルカメラ、ヘッドホン、電話機、インターホンなどの民生用商品、並びに放送・業務用映像制作システム、業務用音響機器などに関する研究開発を行っています。
主な成果としては、以下のとおりです。
・磁性流体を適用した完全ワイヤレスイヤホンを開発、臨場感あるクリアな音質を実現
昨今、通信環境の発達や映像・音声の配信サービスの拡充、ストリーミングサービスの高音質化の加速に伴い、ワイヤレスイヤホンで高音質に視聴したいというニーズが高まっています。一般的なドライバーユニットは音を伝える振動板をイヤホンの外周部分だけで支える構造となっており、極薄にすると振動板を安定して支えきれず振動板の動きが乱れることで音の歪みの増加原因となり、逆に厚くすると大きな振幅を必要とする低音の振幅範囲が小さくなり低域の再生能力に影響が出る課題がありました。今回磁性流体ドライバーを新たに内周部分に適用し振動板を安定的に支えることで、大きな振幅(低域)から高速で小さな振幅(高域)まで正確な動作を可能とすることで超低歪かつ超低域までの音質を実現しました。
今後も映像・音響・通信の技術で、お客様のウェルビーイングに貢献する商品サービスを提供していきます。

ハウジングシステム
主に住宅設備・建材や技術を活かしたデバイス・ソリューションの研究開発を行っています。
主な成果としては、以下のとおりです。
・AIを活用した住宅間取り図からの自動積算機能を開発
昨今の建設業界を取り巻く環境は、大工の減少や物流2024年問題が顕在化し、労働生産性の向上への取り組みが課題となっています。一部の建材製品の見積り積算においては、居室の数や広さ、部屋の形などの住宅プランが都度変わるため定型化することが困難でした。こうした業界課題の解決に向けて、当社積算システムに2023年には国内住宅CADメーカーとの連携機能を導入し、今回新たに「紙の図面」からも自動で拾い出し可能な「AI積算」機能を開発・導入し、CADソフトに限定することなく、拾い出し業務の効率化を実現しました。また、コーディネートした7つの空間パッケージから仕様を一括選定できる連携機能や活用する住宅会社様の標準仕様呼び出し機能等も追加することで、前述した当社建材製品1棟分の見積り時間を最大で約1/3に短縮できる「間取り図AI積算」の提供を開始しました。

今後も、『くらしの「ずっと」をつくる。』という理念に基づき、人々の「くらし」に寄り添い、人と社会へ新たな価値を提供していきます。

技術部門・共通事項
主に、技術・モノづくりに関わる全社戦略の統括、中長期視点での先端技術開発、生産技術・要素技術・共通技術基盤開発などを行っています。
主な成果としては、以下のとおりです。
・ガラス型ペロブスカイト太陽電池の大面積モジュール(1m×1.8m)試作ラインを稼働
当社は独自の材料技術やインクジェット塗布製法、レーザー加工技術を組み合わせることにより、サイズ、透過度、デザインなどのカスタマイズにも対応可能なガラス型ペロブスカイト太陽電池の技術開発を進めています。当年度は、建材としての実証サイズである大面積(1m×1.8m)の試作ラインを立ち上げ、作製した大面積モジュールをCEATEC 2024、CES 2025に出展しました。また、大阪・関西万博にも出展します。
今後はこの大面積モジュールでプロセス最適化や実装に向けた開発を推進し、再生可能エネルギーの創出と都市景観の調和、さらなるCO2削減に貢献していきます。
・AIの開発期間短縮を図り、信頼性を確保する技術の開発
AI開発においては、事前学習に膨大な時間を要するデータセット構築の効率化や信頼性の確保が課題となります。このような課題に対して、国内最大規模の日本語に特化した自社向け大規模言語モデル「Panasonic-LLM-100b」の開発を他社との協業により進めています。「Panasonic-LLM-100b」は1,000億パラメータを持ち、当社の社内データを追加事前学習させることでビジネス領域における知識を強化し、AIのハルシネーション(注)5を大幅に抑止することが期待できます。さらに、当社開発のマルチモーダル基盤モデル(注)6を進化させることで、開発工数の大幅削減と認識能力の高精度化を両立する技術の開発も行っています。
・AIのくらしや仕事(現場)への実装に向けた技術開発を推進
AI開発の効率化を図るとともに、くらしや仕事への実装も推進しています。くらしへの実装においては、冷蔵庫に搭載したAIカメラでドアを開けた際に庫内の画像を撮影し、在庫を確認できる機能を開発しました。広角と狭角望遠の2つのカメラで、食材を高精度に検出。野菜室の撮影画像からAIが野菜の種類を自動認識し、食材をアプリに登録した入庫日の記録と連携して、早く食べたほうがよい順にリスト化するなど、フードロス削減にも貢献しています。仕事における実装事例としては、生成AIを活用した自社プラットフォームにより、業務生産性の向上や、開発現場での実験自動化による次世代コンデンサ-や基板材料の開発効率化を進めています。特に自動化した実験環境では無人で365日、24時間稼働し、AIやマテリアルズ・インフォマティクス(注)7と組み合わせることで、材料開発プロセスの高度化・短期化を実現しています。

(注)1 エネルギー供給に障害が発生した場合に、被害を最小限に抑え、迅速に復旧する能力
2 「標準扉(トリプルガラス)」搭載機種と「VIG省エネ扉」搭載機種との比較
3 省エネルギーセンター会長賞:真空断熱ガラスを利用した冷凍リーチインショーケース「REシリーズ」
4 年間給湯保温効率=1年間で使用する給湯とふろ保温に係る熱量÷1年間で必要な消費電力量×100
5 事実に基づかない情報を生成する現象
6 画像やテキストなどを同時に解析し、これらの複数の情報間の関係を評価する能力を持つモデル
7 機械学習などの情報科学を用いて材料開発を高速化・効率化する革新的な技術・手法


事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01772] S100W0F3)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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