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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LJOA (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 アンリツ株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。

当連結会計年度売上収益比率
計測事業8,906百万円11.9%
PQA事業1,771百万円8.3%
その他の事業447百万円4.6%
基礎研究開発120百万円-
合 計11,246百万円10.6%

また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。

(1) 計測事業
計測事業は、日本、米国、英国、スロバキア、中国、インド、フィリピンに設置した開発拠点を相互に連動させたグローバルな開発体制により開発を進めております。

1) MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションの機能拡張
MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションは、2018年の販売以来、第5世代通信システム(5G NR)のプロトコル試験、 無線特性試験及びアプリケーション機能試験に対応した、チップセット等のデバイス開発を含むモバイル端末開発用の試験プラットフォームとして活用され、モバイル通信技術の普及と発展に貢献しています。
5G NRは様々な社会課題の解決に役立つ柔軟性の高い移動体通信技術として期待され、2019年から商用サービスが始まっています。現在は、従来のLTEネットワークとの組み合わせで5G技術を活用するNSA(Non Stand Alone)方式が中心ですが、今後は、LTEネットワークに頼らないSA(Stand Alone)方式のサービスが発展してきます。また、周波数も、現在はFR1と呼ばれる比較的低い周波数を利用した5Gサービスが主に展開されていますが、今後はFR2と呼ばれる非常に高い周波数を利用したサービスが拡大することが期待されています。
このような中で、当社は今後の5G技術開発で要求される測定機能を積極的に開発し、MT8000Aに搭載しております。SA対応では、プロトコル試験、無線特性試験に加え、5G端末の機能試験用ツールであるMX800070A SmartStudio NRのSA試験機能を開発し、追加オプションとして販売を開始しました。また、FR2対応では、世界の先端チップセットメーカと協力してFR1+FR2 DC(Dual Connectivity)接続で業界最高速となる7Gbps以上のスループットを実現しています。さらに、FR2での無線特性評価で必須となるETC(Extreme Condition)環境でのOTA(Over The Air)試験への対応に業界として初めて成功しMA8172A CATR Anechoic Chamber ETCオプションとして販売を開始しています。

2) ME7873NR/ME7834NR RF/プロトコル コンフォーマンス試験・通信事業者受入試験システムの機能拡充
コンフォーマンス試験は、モバイル通信サービスの品質を保つための世界的な評価基準で、世界中の通信事業者に広く受け入れられています。また、多くの先進的な通信事業者は、このコンフォーマンス試験に加え、独自の端末品質評価体系を整備し、運用しています。
ME7873NR、ME7834NRは、RFとプロトコルそれぞれのコンフォーマンス試験及び通信事業者受入試験に対応した自動試験システムで、すでに数多くの試験機能がGCF及びPTCRBといった認証団体や大手通信事業者に認証され、実際の5G端末コンフォーマンス認証試験や端末受け入れ試験に使用されています。
コンフォーマンス試験や通信事業者受入試験では、サービスの拡張や通信規格の発展に伴う新たなテストケースの開発が継続的に必要となることから、試験ソリューションの供給には、体系的に十分に整備された品質の高い開発体制が必要となります。当社では、この要件を満たすため、日本を中心に、米国、英国、スロバキア、中国、インド、フィリピンに設置した開発拠点を連動させた強力な開発体制を構築することと合わせて、主要な先端チップセットメーカとの密接な共同検証体制を確立しています。このような活動を通して、2020年度は、RFコンフォーマンス試験におけるミリ波スプリアス試験やミリ波Demodulation/CSI試験、プロトコル コンフォーマンス試験におけるVoNR (Voice over New Radio) 試験等の分野で、業界初となるGCFからの認証を獲得しています。

3) 5G端末製造ソリューションの開発
2020年は、中国市場を中心に5Gスマートフォンの出荷台数が急速に増加し、年間で2億台を超える5Gスマートフォンが製造されました。2021年は5Gの普及が中国市場以外でも加速し、年間5億台以上の5Gスマートフォンが製造されると予想されています。
5Gスマートフォンを含むハイエンドスマートフォンは、高速通信を実現するMIMO(Multi Input Multi Output)技術やキャリアアグリゲーション技術に対応するため多くのアンテナポートを持っています。当社は、製造検査において、これらの多ポート型のスマートフォンを正確に効率よく測定するため、24ポートのRFコネクタを1モジュールに実装した新しい測定モジュールMU887002Aを開発いたしました。当社は、MU887002Aの供給を通して、より安価で高品質なスマートフォンの量産製造に貢献いたします。
4) Connected Vehicleの5G化に向けて機能強化対応したMT8000Aの開発
5G通信技術を活用することで、高速大容量、高信頼・低遅延な通信が可能となり、Connected Vehicleに新たなユーザ体験の創造が可能になります。当社はConnected Vehicleを支える5G車載通信器の開発/実装を行うお客様向けに効率的な評価を行えるSmartStudio Automotive Suiteを開発しました。
5Gで現実する高速大容量通信は、送信/受信マルチアンテナ技術などを用いた高密度データ伝送によって実現されますが、一方で設計技術者の皆様は、複雑な組合せ試験の増加などによって開発期間の長期化、開発費増大などを招いています。当社が開発したSmartStudio Automotive Suiteは、車載通信機が対応する通信機能を自動的に取得し、組合せ試験の自動生成、自動評価を行う業界初のTurn Keyソリューションです。
SmartStudio Automotive Suiteにより、5G車載通信器の品質・信頼性向上に寄与することでConnected Vehicleでの新たなユーザエクスペリエンス創造や自動運転早期実現に貢献いたします。

5) ローカル5G体験施設の開設と、お客様・パートナー企業様とのソリューション共創に向けた取り組み
当社は5Gの効果を体感頂ける施設として「ANRITSU 5G LAB」を本社(神奈川県厚木市)に新設いたします。ANRITSU 5G LABでは実際にローカル5G免許を取得し、基地局および5G端末を導入、当社5Gテストプラットフォームや試験ソリューションを併せて展示し、5G効果を体験頂ける施設となっています。
本施設開設にあたり、当社自身で無線局免許申請からエリア評価を行い、当社無線従事者が運用管理いたします。設置した基地局と利用可能な端末の周波数は28GHz帯と2.5GHz帯に対応しており、ローカル5Gの電波伝搬特性解析・カバーエリア調査、ネットワーク開通・保守、5G端末のR&D・品質保証・キャリア受入検証などの実証実験を行うことで、ローカル5Gのネットワーク品質の確保・向上のための知見を積み重ねてまいります。そこで培った技術と経験をお客様やパートナー企業様と共有することで、新たなソリューションを共創し、ローカル5Gの普及に貢献していきます。

6) MP1900A PCIe 5.0(PCI Express)対応ソリューションの開発
5G(第5世代通信システム)などによる超高速、大容量に対応するネットワークの検討が進んでいます。これらの技術革新によりデータセンターも高速大容量のデータを処理する必要性が高まっています。これにともない、データセンターを構築する伝送装置、サーバ、ストレージなどの内部インタフェースも高速、広帯域化が進み、内部インタフェースに導入されているPCI Expressは、PCIe4.0(16GT/s)が普及期に入り、さらに高速化に向けた次世代規格であるPCIe5.0(32GT/s)対応のチップセットや装置開発が進んでいます。装置のPCIe5.0規格認証の開始が2022年から予定され、装置メーカ各社は2021年から接続検証を始めています。また、PCI-SIG®では、さらに次々世代となるPCIe6.0の規格策定に着手しており、信号速度は64GT/sへ高速化し、その実現に高度な信号生成技術を用いる32Gbaud PAM4(Pulse Amplitude Modulation)の採用が決定しました。
MP1900Aは、自社開発の超高速デバイスの採用により、高品質な信号の送受信を可能にした、市場をリードするビットエラーレートテスタです。PCIe5.0をサポートする信号解析ソリューションを業界最速で2019年後半から2020年初めで市場投入し、多くの先端デバイスや装置開発メーカにご使用いただいています。昨今では、PCIe5.0対応製品開発で設備導入を検討されるお客様は、今後チップセットの開発が始まるPCIe6.0への拡張も見据えた検討をしています。
MP1900Aは、販売開始している64Gbaud PAM4信号を生成可能なPAM4 PPGユニットへのPCIe5.0オプション対応を2021年10月に行い、PCIe 5.0開発及びコンプライアンステスト対応と次世代PCIe 6.0で用いられるPAM4の性能評価を1boxで可能とするソリューションの提供を開始しています。

7) 5Gネットワーク、データセンター増強を支える400GbEテスタMT1040Aの開発
5Gサービスやクラウドサービス普及でネットワークやデータセンターの通信量は大幅に増加しており、通信方式も高速化に対応して進化が進んでいます。400GbEのネットワークやデータセンターへの導入が本格的に立上りはじめています。通信事業者は通信品質を維持、管理するために新たな通信規格への対応が必要となっており、さらにこの測定需要は、通信品質の向上、セキュリティ強化の為にモジュールやネットワークの検証を自ら行うデータセンター事業者にも広がりを見せ始めています。このようなニーズに応えるために、MT1040Aネットワークマスタ プロを2020年7月に販売開始しました。10Mbit/s~400Gbit/sまで1台で対応可能とした400Gマルチレートモジュールを主体に光ファイバー品質測定のOTDRモジュールなどを組み合わせ、様々なお客様にネットワークの建設、保守、及びネットワーク機器の検証を支える測定ソリューションを提供します。特に、400Gマルチレートモジュールでは、400GbEで必要とされるFEC(Foreword Error Correction)の測定機能に対応しました。FECは通信品質を向上させる一方、その訂正限界を超えると突発的な通信品質低下が生じます。MT1040Aの連続的・定量的FEC測定により、その訂正限界エラー発生を検証し、ネットワーク建設や定期保守時に予後保全が可能となります。

8) クラウドベースのリモート制御ソリューションSORA(Site Over Remote Access)の開発
ネットワークの建設・保守の業務効率化を推進するサービスとして、MX109020A Site Over Remote Accessを開発しました。5Gモバイル網(フロントホール、ミドルホール、バックホール)やコアネットワークの建設・保守用測定器であるMT1000A/MT1040Aネットワークマスタ プロを管理センタのエキスパートエンジニアがフィールドエンジニアに代わり遠隔操作することや現場の作業者の操作をモニタして指示することがAWS等のクラウドサービスを介してできるサービスです。ネットワークの建設・保守を行うフィールドエンジニアは、測定器を用いて、不慣れな操作や障害切り分けを行う場合もあり、エキスパートエンジニアのサポートが作業効率を改善します。エキスパートエンジニアは現場に駆け付けることなくオフィスの自席や自宅から測定器を遠隔操作でき、さらに本サービスを介して測定器で作成した測定レポートをお客様の指定するサーバへ格納することも可能です。
5GやIoTなどネットワーク技術の進化に伴って、現場作業者も新たな測定スキルを必要とします。エキスパートエンジニアによる現場サポートの他、実機の遠隔操作でのトレーニングなども有効となります。
このようなクラウド経由のサービスはこれから立ち上がるローカル5G網の設計・敷設・運用・保守においても有効なツールとなります。デジタルトランスフォーメーションによる進化が生み出すネットワーク構築の様々な場面での有効活用をこれからも模索していきます。

9) 標準化活動
計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE、PCI Express(注1)、IOWN等へ参加し、4G/5G、データセンター、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。
特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advanced(4G)/New Radio(5G)の規格策定段階から数多くの寄書を行っています。2020年度は活動に制限を受けながらも海外現地法人と協力しながら前年度同様に国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも積極的にコラボレーション開発を実施継続し、そこで得た経験を活用し5G移動通信システム関連規格を含むリリース16の策定に参加しました。中でも5Gより採用されたミリ波通信周波数帯(注2)における測定方法の策定おいては、オンラインで開催されている会合に参加し、引き続きOTA(Over The Air)(注3)での測定方法検討、測定限界に関する情報の提供、また測定の不確かさ算出に貢献しました。これらの策定にあたっては3GPPに先行して進められていた国内法規策定にも配慮し、国内外の規格間での整合を取る活動にも貢献しています。
この他、データセンター向けサーバなどの内部インタフェースに使われるPCI Expressでは、次世代Gen5、Gen6のコンプライアンス試験に向けた規格会議に参画し、規格化に向けた測定結果の提示や、測定方法の提案などで貢献しました。本PCI Expressは今後コネクテッドカーなど内部インタフェースに使われることが期待されています。また、NTTが主導するIOWN構想は、これまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤として、2024年に仕様確定、2030年の実現を目指して開始されており、この実現に向けた規格化会議に参加しています。今後規格化に向けた提案で貢献していきます。

(注1)PCI Express
PCI ExpressはPCI-SIGによって策定されたコンピュータの拡張バスの標準仕様で、CPUやメモリなどと通信するためのI/Oシリアルインタフェース。Gen5は32GT/s、Gen6は64GT/sのデータ転送速度。
(注2)ミリ波通信周波数帯
3GPPリリース15より採用された移動通信システム用通信周波数帯の一つ。新たに採用されている周波数としては24.25 GHz~29.5 GHz、37.0 GHz~40.0 GHzがある。その周波数帯では既存の6 GHz以下の周波数帯と比較し電波の空間伝送損失が非常に大きいため通信信号の品質劣化が大きい。そのため規格内で求められている端末性能を評価するために、物理的な測定限界付近での試験性能が求められる場合も有る。
(注3)OTA (Over The Air)
物理的にケーブル接続を行い通信するのに対し、無線での通信、電波の測定を行うこと。5Gのミリ波帯通信信号の携帯端末・基地局内における品質劣化を防ぐために回路の集積化が進められた結果、従来は携帯端末や基地局と測定器間は物理的にケーブルを用いて接続がなされていたのに対し、5Gのミリ波帯においては携帯端末・基地局のアンテナ端から送信される無線信号を測定器のアンテナで受信しその品質を評価する形となった。

(2) PQA事業
PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。
「食品ロスの低減」に貢献する品質保証ソリューション
近年、我が国をはじめとする世界各国において、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の実現に向けた機運が高まっています。SDGsの目標12.3では、「世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させる」ことを宣言しており、世界各国の食品産業においては「安全・安心な食品の安定供給」に加えて、「生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる」取組が加速しています。
PQA事業では、食品原材料に混入した金属異物を食品製造の工程内で検出して排除することができる「M6-hシリーズ 落下型金属検出機」を開発し販売を開始しました。
この製品は、新開発の筒状センサーユニットにより高感度かつ安定性に優れた異物検査を実現したほか、防塵・防水性や清掃性を大幅に向上して包装前の検査対象物を衛生的に検査することができます。
また、併せて提供する選別ユニットは、十分な応答性を確保して確実な異物排除を可能にした高信頼設計となっています。コンパクトなセンサーユニットは、狭い空間にも設置が可能で、複数ラインによる生産においては、各々の材料をミックスする前に検査することで、異物を検出した際の廃棄ロスを最小限に抑えることができるなど、食品生産プロセスの歩留まり向上と食品ロスの低減に貢献します。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01774] S100LJOA)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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