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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AFIH

有価証券報告書抜粋 ソニーグループ株式会社 事業等のリスク (2017年3月期)


生産、受注及び販売の状況メニュー研究開発活動

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。なお、当該事項は、本書提出日現在において入手し得る情報にもとづいて判断したものです。

(1) ソニーはエレクトロニクス事業を中心に一層激化する競争を克服しなければなりません。
ソニーのエレクトロニクス事業は、新規参入を含む競合他社と、価格や機能を含む様々な要素で競い合っています。イメージセンサーのように、現在ソニーが強い競争力を持つと考える製品においても競合他社がソニーの技術力に追い付き、その優位性を保てなくなる可能性もあります。また、コンスーマーエレクトロニクス事業においては、変化し一層多様化する消費者の嗜好に訴求する製品を作るため、あるいは、消費者の多くがソニーと同種の製品をすでに所有しているという状況に対処するために、ソニーはより優れた技術を開発し、消費者の嗜好を予測し競争力ある価格と特長を持った、魅力的で差異化された製品を迅速に開発する必要があります。ソニーは、様々なコンスーマー製品において、一層激化する競合企業との価格競争、小売業者の集約化及び製品サイクルの短期化による価格低下圧力の高まりに直面しています。ソニーの業績は、変化し一層多様化する消費者の嗜好に合った製品を、効率的に開発し、様々な販売チャネルを通じて、競争力のある価格で提供し続けるソニーの能力に依存しています。もし、ソニーが技術的、あるいはその他の競争力を持つ分野においてその優位性を保てなくなる場合、ソニーのコンスーマー製品に対して頻繁に影響を及ぼす価格下落について効果的に予測し対応できない場合、既存の事業モデルあるいは消費者の嗜好が変化した場合、又はコンスーマー製品の平均販売単価の下落スピードが製造原価削減のスピードを上回った場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) ソニーは、競争力を維持し消費者の需要を喚起するため、既存の製品、半導体、コンポーネント、及びサービスへの影響を管理しながら、新しい製品、半導体、コンポーネント、及びサービスの頻繁な導入及び切り替えを適切に管理しなければなりません。
ソニーは、非常に変化が激しく厳しい競争環境におかれているコンスーマーエレクトロニクス製品やネットワークサービス、ならびに携帯電話業界において、成熟市場及び成長市場の両方で、製品、イメージセンサーなどの半導体やコンポーネント、サービス、及び技術を導入し、これらを拡充することにより、消費者の需要を喚起し続けていく必要があります。新製品、半導体やコンポーネント、及びサービスの導入及び切り替えの成功は、開発をタイムリーにかつ成功裡に完了させること、市場における認知度、ソニーが効果的なマーケティング戦略を企画・実行する能力、ソニーが新製品や生産立ち上げにともなうリスクを管理できる能力、新製品のためのアプリケーションソフトウェアが入手できること、予測される製品需要に沿って購入契約や在庫水準を効果的に管理できること、予測される需要を満たす適正な数量の製品を確保できること、導入初期における新製品、半導体やコンポーネント、及びサービスの品質その他の問題に関するリスクなど、数多くの要素に依拠しています。加えて、スマートフォンやその中のイメージセンサー、ゲーム機器のような既存の製品やサービスの市場は、顧客の嗜好の変化や、新しい、あるいは競合する技術の導入などにより縮小する可能性があります。このような状況において、ソニーは、魅力的な新しい製品やサービスを提供するとともに、既存の製品やサービスの付加価値向上を継続して図ることで消費者の需要の変化に対応する必要があります。したがって、新たな製品、半導体やコンポーネント、及びサービスの頻繁な導入及び切り替えを適切に管理できない場合、ソニーの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) ソニーは、より高度に専門化した企業や経営資源において優位性を有する企業との競争にさらされています。
ソニーは、業種の異なる複数のビジネス分野に従事しており、さらにそれぞれの分野において数多くの製品・サービス部門を有するため、大規模な多国籍企業から、数少ないビジネス領域に特化し高度に専門化した企業にいたるまで、業界の既存企業や新規参入企業などの多くの企業と競争しています。加えて、ソニーの外部委託生産パートナーが、現在ソニーの供給業者として生産している製品の市場に自社ブランドで参入し、当該市場で競合相手となる可能性もあります。また、既存の及び潜在的な競合他社がソニーより高度な財務・技術・労働・マーケティング資源を有する可能性があり、いくつかの事業領域で競合他社と同程度の資金投入や投資もしくは製品の値下げを行うことができない可能性もあります。このように、既存及び新規参入の競合他社に対して効率的に対応できない場合、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) ソニーの研究開発投資が想定した成果をもたらさない可能性があります。
ソニーは、消費者の嗜好の変化や急速な技術革新という特徴をもつ厳しい市場で競争しています。技術革新が進み、技術的な模倣が比較的に容易になったことにより、新しい製品やサービスが陳腐化するスピードが早まり、熾烈な競争と継続的な価格下落につながる傾向が強まっています。このような環境の下、ソニーは、製品の競争力を強化するため、特にイメージセンサー及びゲーム&ネットワークサービス(以下「G&NS」)分野といった成長分野において、高水準の研究開発投資を継続的に行っている一方で、成熟していると考えられる、あるいは成長余地が限られている市場における費用を抑制する予定です。しかしながら、ソニーが成長市場を特定し、その市場の主たる傾向を成功裡に評価できる保証はなく、このような研究開発投資が革新的な技術を生み出さなかったり、想定した成果を十分迅速にもたらさなかったり、又は競合企業が技術開発に先行する可能性があります。その結果、市場のニーズに合った競争力のある新製品やサービスをタイムリーに商品化できない場合、ソニーの業績及び評判に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) ソニーの事業構造の変革は多額の費用を必要としますが、その目的が達成できない可能性があります。
ソニーは、収益性、事業の自立性、株主価値、事業ポートフォリオ全体の中で明確に定義された各事業の位置づけに焦点を当てた経営体質強化施策を継続して実施しています。ソニーは2014年度、2015年度及び2016年度にそれぞれ980億円、383億円及び602億円の構造改革費用を計上しました。2016年度には、電池事業の譲渡にともなう減損423億円が含まれています。2017年度には、約150億円の構造改革費用を計上する見込みですが、景気後退の影響や、事業売却を含む不採算事業からの撤退などにより、追加的にもしくは将来において多額の構造改革費用を計上する可能性があります。例えば、2016年度においては、当初約120億円にとどまると見込まれていた構造改革費用が、最終的に602億円となりました。これは、電池事業の譲渡の決定にともない追加の構造改革費用を計上したことによるものです。これらの構造改革費用は、主として、売上原価、販売費及び一般管理費、又はその他の営業損益(純額)に計上され、ソニーの営業損益及び当社株主に帰属する当期純損益に悪影響を及ぼします(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『20 構造改革にかかる費用』参照)。ソニーは、製造オペレーションの最適化、外部委託生産の活用、グループ全体の販売費及び一般管理費の削減、間接部門及び情報処理業務の外部委託化、セールス&マーケティング、生産、物流、調達、品質、研究開発などの機能にわたるビジネスプロセスの最適化に向けた取り組みを継続的に行っています。
内的又は外的な要因により、前述の構造改革施策による効率性の向上及びコスト削減が予定どおり実現しない可能性があり、また構造改革による効果が現れたとしても市場環境の予想以上の悪化により、収益性の改善が予定している水準に達しない可能性もあります。構造改革の目的達成を妨げ得る内的な要因には、構造改革計画の変更、利用可能な経営資源を効果的に用いて構造改革を実行できないこと、事業部門間の連携ができないこと、新しい業務プロセスや戦略の実行の遅れ、構造改革実施後のビジネスオペレーションを効果的に管理及び監視できないこと、などがあります。一方、外的な要因には、例えば、許認可等を予定どおりに取得できないことや、労働規制、労働組合との間の協約、及び日本における労働慣行を含む地域ごとの法律や規制上の制約による、追加的又は予期せぬ負担などがあり、これらの影響により、ソニーが構造改革を計画どおりに実行できない可能性があります。構造改革プログラムを完全に成功裡に実行できない場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。加えて、構造改革費用の支出により、営業キャッシュ・フローが減少する可能性があります。例えば、電池事業の株式会社村田製作所(以下「村田製作所」)への譲渡について、当初は2016年度中の取引完了を見込んでいたため、2017年度における電池事業における営業損失及び譲渡にかかる費用の計上を見込んでいませんでしたが、関係当局の審査の進捗状況を踏まえて譲渡に関する日程を変更したため、2017年度においても損失及び費用を計上する見込みです。

(6) ソニーによる買収、第三者との合弁ならびに出資は成功しない可能性があります。
ソニーは、技術獲得や効率的な新規事業開発のため、又は事業の競争力強化のため、買収、第三者との合弁及びその他の戦略的出資を積極的に実施しています。例えば、ソニーは2016年2月に、LTE(Long Term Evolution)技術に特化した製品の開発と販売を行うAltair Semiconductor社を買収しました。また、ソニーは2017年2月に、インド国内外に有力なスポーツネットワークを有するTEN Sports Networkの二段階買収における第一段階の譲渡を完了しました。ソニーは、投下資本の軽減、営業費用の削減、ならびにリスクの第三者との共有による軽減を目的として、これまでに第三者との合弁を実施してきましたが、今後もその可能性があります。さらに、ソニーは、当初の目的を既に達成したなどの理由により、合弁事業の持分を売却したり、合弁パートナーの持分を買収したりすることがあります。例えば、ソニーは、2016年9月に、マイケル・ジャクソン遺産管理財団であるEstate of Michael Jackson(以下「MJ財団」)との音楽出版に関する合弁会社であるSony/ATV Music Publishing LLCにおいてMJ財団が保有する50%の持分を取得し、同社をソニーの完全子会社としました。
ソニーが事業買収を実施し、それを統合するにあたり、多額の費用が生じる可能性があります。加えて、ソニーは、戦略上の目的や予定していた売上増加及び費用削減を実現できない可能性や、買収先事業において核となる人材を確保できない可能性もあります。また、買収した事業に関連する債務を承継することにより、ソニーの業績は悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、現在、いくつかの合弁会社や戦略的パートナーシップに出資を行っており、また、将来新たな出資を行う可能性があります。ソニーと相手企業が競争状況の変化や、戦略や文化の違い、シナジー実現の失敗その他の理由により共通の財務目的を達成できない場合、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、ソニーと相手企業が共通の財務目的を達成する過程にあったとしても、パートナーシップの期間中、ソニーの業績に短期的又は中期的な悪影響を及ぼす可能性があります。これらの合弁や戦略的出資企業について、ソニーが利害の対立に直面するリスクやキャッシュ・フローへの支配権を含む合弁及びその他の戦略的出資に対する支配権を十分に確保できないリスクがあり、またソニー固有の技術やノウハウが漏洩するリスクも増加します。また、ソニーブランドを使用する合弁会社の行為もしくは事業活動により、ソニーの評判が傷つけられる可能性があります。さらに、合弁事業の業績などの結果によっては、ソニーは追加的な出資や債務保証を求められる可能性や、合弁事業の相手企業の買収、売却あるいは、合弁解消に至る可能性もあります。加えて、持分法適用関連会社への投資価値が投資簿価を下回り、それが一時的でないと判断される場合には、ソニーは減損を計上することになり、契約その他の理由によりそれらの会社の株式等を処分できない場合には、損失が膨らむ可能性があります。

(7) ソニーには、生産能力増強のための設備投資もしくは出資を回収できないリスクがあります。
ソニーは、エレクトロニクス事業において、製造設備に対する投資を継続的に行っています。こうした例として、特にスマートフォンに使用するイメージセンサーの需要に対応する目的で行うイメージセンサー製造設備に対する追加投資があげられます。ソニーは、2015年度に株式会社東芝から半導体関連施設、設備及びその他関連資産を190億円で取得する契約を締結し、2017年3月までにほぼ全ての資産を取得しました。ソニーは、イメージセンサーの生産能力増強のために2016年度に約450億円を投資し、2017年度にも約1,100億円を投資する見込みです。しかしながら、市場環境の変化にともない需要が減少し、想定した販売規模を達成できない場合、あるいは供給過剰により製品の単価が下落した場合、ソニーがこうした設備投資もしくは出資の一部又は全部について、回収することができない、あるいは回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。特に、イメージセンサーについては、売上の多くをスマートフォンに依存しており、スマートフォン市場における消費者の需要及び競争環境、あるいは主要顧客の営業方針、業績及び財政状態によっては、想定した販売規模が達成できない可能性があります。これらの場合、当該設備投資もしくは出資を行った資産が減損の対象になり、ソニーの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) ソニーの売上や収益性は卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販売事業者の業績に影響を受ける可能性があります。
ソニーは、卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販売事業者に依存しており、その多くが競合他社の製品を同時に取り扱っています。例えば、ソニーモバイルコミュニケーションズ㈱は多くの国でスマートフォンの販売について携帯電話キャリアを通じた販売に依存しています。多くの卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販売事業者の業績及び財政状態は、オンライン小売業者との競争や低迷する経済環境に悪影響を受けてきました。
ソニーは、卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販売事業者に対して、これらの業者がソニーの製品を市場に導入し、販売を促進するインセンティブを与えるプログラムに資金を投入しています。しかしながら、それらのプログラムによって消費者が競合他社の製品の代わりにソニー製品を買うように促されることで、大きな利益や追加収入を生むことを保証するものではありません。また、携帯電話キャリアを通じて販売されるソニーのスマートフォンは、キャリアからの補助金を受ける場合がありますが、今後もそのような補助金が継続する保証はなく、また、これらのキャリアとの契約更新、あるいは別のキャリアとの契約を締結するにあたって、従来と同額の補助金で合意できる保証はありません。
ソニーは多くの製品を自社のオンラインストアや直営店を通じて消費者に直接販売しています。一部の卸売事業者や小売事業者はソニーの直接販売が、彼らのソニー製品の販売代理店や再販売事業者としての営業上の利害と対立すると受け取る可能性があります。そのような場合には、再販売事業者がソニー製品を取り扱ったり、販売するためにリソースを投入する意欲を阻害したり、ソニー製品の取り扱いを限定的なものにとどめたり、中止したりする可能性があります。
これらの卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販売事業者の財政状態が悪化したり、これらの事業者がソニー製品を取り扱うことを中止したり、ソニー製品に対する需要が不透明になるなどの要因により、これらの事業者がソニー製品の発注やマーケティング、販売奨励金、販売を減少させるような場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(9) ソニーはグローバルに事業を展開しているため、事業を行っている国において広範な法規制の適用を受けるとともに、企業の社会的責任や調達活動に関する消費者の関心の高まりに直面しています。これらの法規制や消費者の関心は大きく変わる可能性があり、かつ、ソニーの費用の増加、事業活動の制約、評判への悪影響につながる可能性があります。
ソニーは、広告、データ保護、消費者保護、輸出入、腐敗防止、反競争的行為、環境保護、労働安全衛生、労働慣行、人権尊重といった様々な観点から、事業に影響を与える広範囲な法規制の適用を受けます。これらの中には、製造事業所・非製造事業所における温室効果ガス排出削減、大気汚染、水質汚染、及び有害物質の使用に関する法規制、一部製品の省エネ、製品や電池・包装材料のリサイクルに関する法規制、原材料調達に関する法規制、いわゆる現代奴隷に関する法規制、個人を識別できる情報(以下「個人情報」)の収集、使用、保有、保全及び移転に関する法規制などが含まれています。例えば、2018年5月に施行予定の欧州連合一般データ保護規則では、欧州域内の居住者の個人情報の取扱いについて、新たに世界規模での広範な規制を課されることが予定されております。なお、多くのケースにおいて、これらの法規制により、顧客の個人情報だけでなく、ソニーの子会社間での従業員の個人情報の移転も制約を受ける可能性があります。
これらの法規制を遵守することは事業活動における負担をともなうもので、費用が発生する可能性があります。これらの法規制は継続的に制定され、その結果、管轄毎に異なるものとなる可能性があり、その遵守や事業遂行にかかる費用が増加する可能性があります。法規制やその解釈の変更によりこれらの費用が将来増加する可能性があり、その結果として、消費者にとってのソニー製品の魅力の低下、新製品の導入の遅延、あるいはソニーの事業慣行の変更や制約に結びつく可能性があります。ソニーは適用を受ける法規制を遵守するための内規や手続を整備していますが、ソニーの従業員、請負業者、及び代理人がそれらの法規制やソニーの内規や手続に違反しないという保証はなく、ソニーが罰金、刑罰、法的制裁の対象になったり、ソニーの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。
加えて、企業の社会的責任や調達活動に対し、全世界的に規制当局や消費者の注目が高まり、また、これらの事項に関する情報開示の法的規制が強化されています。特に、アジア地域で操業する電子部品の製造事業者や製造/設計委託事業者における労働環境を含む労働慣行に対する関心が持たれています。ソニーは製品の製造に多くの部品や材料を使用しており、それらの部品や材料の供給をサプライヤーに依存しているものの、サプライヤーの調達活動や雇用慣行を直接的に管理していないため、これらの領域における規制の強化や消費者の関心の高まりによって、ソニーの法規制の遵守にかかる費用が増加する可能性があります。こうした消費者の関心の高まりに対してソニーが適切に対処していないとみなされた場合には、それが法的に求められているかどうかに関わらず、消費者が他社の製品を選択することにつながり、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(10) 外部のビジネスパートナーへの依存度が高まることにより、ソニーの、財務上のリスク、ブランドイメージや評判を傷つけるリスク、及びその他のリスクが高まる可能性があります。
限られた経営資源の中で迅速な事業展開や業務効率化を図る必要性が高まっていることから、ソニーは部品及びコンポーネント、ソフトウェア、ならびにネットワークサービスに関して、外部の供給業者及びビジネスパートナーへの依存度が高まっています。また、モバイル製品及びテレビ向けのアンドロイドOSなどのソフトウェア技術や、サービスを提供する外部のビジネスパートナーにも依存しています。その結果、ソニーの製品やサービスが、部品及びコンポーネント、ソフトウェア、又はネットワークサービスに関する品質問題の影響を受ける可能性があります。加えて、外部のソフトウェア技術への依存は、ソニーが製品を競合の製品と差異化することをより困難にする可能性があります。また、ソニーの製品及びサービスに使用される外部の部品及びコンポーネント、ソフトウェア、ならびにネットワークサービスが、著作権又は特許侵害で訴訟を受ける可能性があります。さらに、ソニーをとりまく経済環境は、特にエレクトロニクス事業における、競合他社からの価格低下の圧力、一部の主要製品における市場の縮小及び商品サイクルの短期化といった要因によって不透明性が増しています。このような環境において、外部のビジネスパートナーが、ソニー製品やサービスに対するサポートを打ち切ったり、契約条件を変更したり、ソニーの製品やサービスではなく、ソニー以外の競合他社及びエレクトロニクス分野以外の顧客への製品やサービスを優先したりする可能性があります。部品及びコンポーネント、ソフトウェア、ならびにネットワークサービスに関する外部の供給業者及びビジネスパートナーへの依存に起因する問題は、ソニーの業績や、ブランドイメージ又は評判に悪影響を及ぼすことがあります。また、ソニーではコンスーマーエレクトロニクス事業において、製品や部品の供給に関し外部委託生産を活用しています。ソニーがこのような外部委託関係を円滑に運営できない場合、又は自然災害、サイバー攻撃、あるいはその他の事象がソニーのビジネスパートナーに影響を及ぼす場合、ソニーの生産活動に支障を与える可能性があります。また、ソニーは目標生産量や品質水準に到達できない、又はソニー固有の技術やノウハウが漏洩するリスクが生じる可能性があります。加えて、ソニーは、資材調達・物流・販売・データ処理・人事・経理その他のサービスなど広範囲な業務を外部のビジネスパートナーに委託しています。外部のビジネスパートナーが法規制を十分に遵守しなかった場合や、第三者の知的所有権を侵害した場合、もしくは事故、自然災害、サイバー攻撃、あるいは経営破綻によりその事業やサービスが停止した場合には、ソニーの事業に影響を及ぼす可能性もあります。さらに、ビジネスパートナーの情報セキュリティへの侵害があった場合、ソニーの専有情報、知的財産ならびに従業員の情報、及びソニーの顧客、供給業者ならびにその他のビジネスパートナーに関連するデータを含むソニーのビジネス情報への不正なアクセスが行われる可能性があります。
(11) ソニーは市況変動の大きい環境のなか、部品やコンポーネントの調達及び、製品、部品やコンポーネントの在庫管理を効率的に行う必要があります。
エレクトロニクス事業において、ソニーはモバイル製品向けチップセットなどの半導体や液晶パネルなど、大量の部品やコンポーネントを自社製品に使用しています。これら部品やコンポーネントの供給量や価格の変動は、ソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。例えば、部品やコンポーネントの供給不足や、原材料の価格変動が生じた場合、これらの価格が高騰しソニーの製品原価が上昇する可能性があります。また、ソニーが一社に調達を依存している部品やコンポーネントが供給不足になったり、その出荷が遅延した場合や、カスタムコンポーネントの生産能力に限界があったり、新しい技術を使用する製品やコンポーネントの初期生産能力に制約がある場合には、ソニー又はビジネスパートナーの生産事業所での稼動調整又は稼働停止の可能性があります。
ソニーは消費者需要の予測にもとづいて事前に決定した生産量及び在庫計画に沿って部品やコンポーネントを発注していますが、そうした消費者需要の変動は大きく、また予測が難しいものです。不正確な消費者需要予測や不充分な経営管理により在庫不足もしくは過剰在庫が発生し、その結果生産計画に混乱が生じて売上の機会損失や在庫調整につながる可能性もあります。ソニーでは、部品、コンポーネントや製品が陳腐化したり、在庫が使用見込みを上回ったり、もしくは在庫の帳簿金額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。例えば、2014年度においては、PlayStation®TV(以下「PS TV」)の販売台数が当初の想定に達しなかったため、PlayStation®Vita(以下「PS Vita」)及びPS TV用の部品に対する評価減112億円を計上しました。さらに、2016年度においては、半導体分野においてモバイル機器向けの一部のイメージセンサーの製品に関する評価減65億円を計上しました。過去においては自然災害により供給業者が影響を受け、その結果、部品及びコンポーネントの供給不足が発生したことがあり、将来も同様の状況に起因する供給不足が発生する可能性があります。過去にこのような売上機会の損失及び在庫調整、ならびに部品及びコンポーネントの供給不足がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼしたことがあり、今後も及ぼす可能性があります。

(12) ソニーの売上及び収益性は、ソニーの主要市場の経済動向に敏感です。
ソニーの売上及び収益性は、ソニーが事業を営む主要市場の経済、雇用、その他の動向に敏感です。これらの市場が深刻な景気後退に陥り、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。2016年度のソニーの売上高及び営業収入(以下「売上高」)において、日本、米国、欧州における構成比はそれぞれ31.5%、22.0%、21.5%でした。
ソニーの業績は、消費者及び法人顧客の需要や、小売事業者・卸売業者及び再販売事業者の業績に依存しています。ソニーの主要市場における経済状況の悪化や今後悪化するという見通しにより、最終消費者の購買、消費意欲が低下した結果、消費が低迷する可能性があります。また、キャッシュ・フローの不足、資金調達の困難、消費者の需要減などから経営が悪化した法人顧客やそのほかのビジネスパートナーからのソニーの製品やサービスに対する需要が減少する可能性があります。経営が悪化した法人顧客によるソニーに対する義務の不履行も、ソニーの業績やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性もあります。ソニーの外部供給業者も同様の困難を被り、ソニーに対する契約義務の履行能力に影響を受ける可能性があります。その結果、ソニーが競争的な価格で製品やサービスを調達できなくなる場合には、ソニーの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、世界的な景気動向は、その他の様々な影響を与える可能性があります。例えば、構造改革費用の積み増し、年金及びその他の退職給付債務にかかる費用の増加及び追加的な資金拠出、資産の減損の追加的な計上などを通じて、ソニーの業績、財政状態及びキャッシュ・フローに悪影響を及ぼしたことがあり、今後も及ぼす可能性があります。

(13) ソニーの業績及び財政状態は外国為替変動の影響を受ける可能性があります。
ソニーの製品の多くは開発、製造された国・地域と異なる国・地域で販売されるため、ソニーの業績と財政状態は外国為替相場の変動に影響を受けます。例えば、エレクトロニクス事業においては、研究開発費や本社間接費は主に円で、原材料、部品及びコンポーネントの調達や外部委託生産を含む製造費用は主に米ドル及び円で発生しています。売上は日本・米国・欧州・中国・新興国市場を含むその他地域に分散して発生し、それぞれの地域の通貨で計上されています。結果として、特に米ドルに対する大幅な円安及びユーロ安や、ユーロに対する大幅な円高、及び新興国通貨に対する米ドル高はソニーの業績に悪影響をこれまでも及ぼしており、今後も及ぼす可能性があります。また、ソニーの連結損益計算書は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成されていることから、外国為替相場の変動が、かかる換算にともないソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。さらに、近年では中国や新興国市場を含むその他地域におけるビジネス拡大とともに、これら地域の通貨の米ドル及び円に対する為替レートの変動の影響も大きくなっています。中長期的な為替レート水準の変化は、ソニーの経営資源のグローバルな配分を妨げたり、研究開発、資材調達、生産、物流、販売活動を、為替レート変化の影響後でも収益をあげられるように遂行する能力を低下させる可能性があります。
また、ソニーは、輸出入取引により生じる短期の外貨建債権債務(純額)の大部分を取引予定の事前にヘッジしていますが、かかるヘッジ活動によっても、為替レートの変動リスクを完全に取り除くことはできません。
さらに、ソニーの連結貸借対照表は世界中の各子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成されるため、米ドルやユーロならびにその他の外国通貨に対して円高が進行すると、ソニーの自己資本に悪影響を与える可能性があります。

(14) 格付けの低下や国際金融市場における深刻かつ不安定な混乱状況は、ソニーの資金調達や資金調達コストに悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの業績及び財政状態の悪化は、ソニーの信用格付け評価にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。格付けの低下は、資金調達コストの上昇を招き、ソニーのコマーシャルペーパー(以下「CP」)及び中長期債市場からの受諾可能な条件での調達に悪影響を与える可能性があります。
また、国際金融市場が深刻かつ不安定な混乱状況に陥った場合、金融その他の資産価格全般に下落圧力が生じたり、資金調達に影響が生じる可能性があります。従来、ソニーは、営業キャッシュ・フロー、CP及び中長期債などのその他の債券の発行、銀行やその他の融資機関からの借入金などにより資金を調達してきました。しかしながら、将来にわたってこのような資金源から受諾可能な条件でソニーの必要を満たすのに十分な資金調達が可能となる状況が継続するという保証はありません。
その結果、ソニーは弁済期限到来時のCPや中長期債の返済、その他事業遂行上必要ある場合や必要な流動性を賄うために、金融機関と契約しているコミットメントラインや資産の売却など代替的な資金源を活用する可能性がありますが、そのような資金源から受諾可能な条件でソニーの必要を満たすのに十分な資金調達ができない可能性があります。その結果、ソニーの業績、財政状態及び流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。

(15) ソニーは、様々な国で事業を行うことのリスクにさらされています。
ソニーは、世界各地において事業活動を行っており、このような国際的な事業遂行には課題が生じることもあります。例えば、エレクトロニクス事業において、中国やその他のアジアの国々において製品、部品及びコンポーネントを生産、調達しているため、これらの地域外の市場に製品を供給するのに必要な時間が長くなり、変化する消費者需要に対応することがより難しくなる可能性があります。さらにソニーは、複数の国において、ソニーにとって望ましくない政治的・経済的な要因により、事業を企画・管理する上で困難に直面する可能性があります。この例としては、武力紛争、外交関係の悪化、当該国・地域内での文化的・宗教的な摩擦、期待される行動規範からの逸脱、現地の各種法規制や貿易政策及び税法の不遵守、ならびに十分なインフラの欠如などがあります。加えて、特に、主要な市場及び地域における現地部品調達規制・事業及び投資許認可要件・為替管理・輸出入管理・資産国有化・海外での事業及び投資からの利益の本国送金制限などの現地の法規制や貿易政策及び税法の変更は、ソニーの業績に影響を与える可能性があります。例えば、ソニーやパートナーが生産活動を行う中国やその他の国々において、労働争議の発生及び労働法制や政策の変更など労働環境が著しく変化した場合、ソニーの製品及び部品の生産や出荷の妨害、人件費の高騰あるいは優秀な従業員の不足が発生することなどにより、ソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。不安定な国際又は国内政治・軍事情勢が今後生じた場合、ソニーやそのビジネスパートナーの事業活動が阻害されたり、消費者の購買意欲を低下させたりすることにより、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、一部の国において、前述の要因や、自然災害及び疫病などその他の要因による混乱から回復するのに要する時間が長くなる可能性があります。さらに、ソニーの事業活動にとって引き続き重要である一部の新興国市場において前述のリスクの影響を受けやすいことが、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(16) ソニーの成功は、技術やマネジメントなどの分野における有能な人材の採用・確保に依存しています。
ソニーが、ますます競争が激しくなる市場において、ネットワーク関連製品、ゲーム機やソフトウェア、映画、テレビ番組や音楽などのコンテンツ、又は金融商品を含む製品やサービスの開発、設計、製造、マーケティング及び販売において継続的に成功を収めるためには、経営陣やその他のマネジメント、ハードウェアやソフトウェアエンジニアなどクリエイティブで有能な人材を惹きつけ確保することが必要となります。しかしながら、このような有能な人材に対する需要は強く、ソニーが将来の事業に必要な人材を採用・確保できない可能性があります。加えて、事業分離や構造改革ならびにその他の事業構造変革の施策により、経験豊かな人材やノウハウが意図せず喪失してしまう可能性があります。そのような事態が生じた場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(17) ソニーはハードウェア、ソフトウェア、エンタテインメント・コンテンツ、ならびにネットワークサービスの競争力を向上させるための、異なる事業ユニット間の事業戦略及びオペレーションの統合に成功しない可能性があります。
ソニーは、市場における差異化を図り、それにより、売上の拡大及び収益性の向上を図るために、ハードウェア、ソフトウェア、エンタテインメント・コンテンツ、ならびにネットワークサービスの統合を促進させることが不可欠であると考えています。例えば、2016年4月、㈱ソニー・コンピュータエンタテインメントとソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナルは、両社の有する全てのハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ、ネットワークサービスの各事業組織のオペレーションを統合した新会社「ソニー・インタラクティブエンタテインメントLLC」を設立しました。しかしながら、この戦略は、ネットワークサービス技術の継続的な発展(ソニー内外を問わず)、ソニーの様々な事業ユニットや販売チャネルにおける戦略及びオペレーション上の連携と適切な優先順位付け、業界内や、ネットワークに接続可能なソニーの製品や事業ユニット間における技術やインターフェース規格の標準化に依存しています。さらに、新規参入企業も多く、継続的に変化する厳しい競争環境において、消費者にとって革新的で魅力あるユーザーインターフェースをもち、ネットワークプラットフォームにシームレスに接続可能なハードウェアを、より高い性能かつ競争力のある価格で提供し続ける必要があります。また、ソニーは競争力があり差異化された、ソニー自身の、又は主要な映画製作及びテレビ制作会社、音楽レーベル会社やゲーム制作会社などの第三者からライセンスを受けた、音楽・映像・ゲームコンテンツを提供することが不可欠であると考えています。ソニーがこの戦略の実行に成功しない場合、ソニーの評判、競争力及び収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

(18) ソニーのオンライン上の事業活動は、法規制の対象となっており、これによりオペレーションにかかるコストが増加したり活動が制限されたりする可能性があります。
ソニーは、エレクトロニクス及びエンタテインメント製品の販売・マーケティング、エンタテインメント領域に関するネットワークサービス、金融サービス、インターネットプロバイダサービスなど、オンライン上の事業活動を広範囲にわたって行っており、関連する法規制による制約を受けています。この法規制には、プライバシー、消費者保護、重要インフラ保護、侵害の告知、データの保存及び保護、データの越境・移転、コンテンツ及び放送関連規制、名誉毀損、年齢確認その他のオンライン上の児童保護、アクセスのしやすさ、cookieなどのソフトウェアの最終ユーザーのPC又は他の情報端末へのインストール、価格設定、広告(成人及び児童向け)、租税、著作権や商標権、販促、及び課金などに関わるものが含まれています。これらの法規制(オンライン上の事業活動に対処するために制定された法規制やインターネット普及以前に制定されたものを含むその他のオンライン上の事業活動にも適用される法規制)の運用は、各国により異なり、また、多くの場合、法規制そのものが不明確・不確定であったり、今後変更されたりする可能性があります。ソニーはこれらの法規制遵守のために多額の費用を計上する可能性があります。また、これらの法規制を遵守できなかった場合、多額の罰金、その他の法的責任、ソニーの評判への悪影響などが生じる可能性があります。さらに、これらの法規制遵守のために行われるオンライン上の事業活動の変更や制限はソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。加えて、関連する法規制の変更を予測できなかった場合、オンライン上の事業活動を保護する法令の変更が生じた場合、又はこのような保護範囲を狭めるような解釈を裁判所が行った場合、ソニーの法的責任に対するリスクが増加し、法規制遵守のための費用の増加もしくは一部のオンライン上の事業活動に対する制限につながる可能性があります。

(19) ゲームハードウェアをはじめとするコンスーマー製品の売上は特に消費者需要の季節性の影響を受けます。
ソニーのG&NS分野が提供するゲーム用のハードウェアや周辺機器は種類が比較的少ない上に、これら及びその他の製品の需要に占める年末商戦の比率が高くなります。ソニーのその他のコンスーマー製品も年末商戦需要に依存しています。その結果、特にこの時期において、他社との競争状況や市場環境の変化、有力ゲームソフトウェアタイトルを含むコンスーマー製品の発売遅延、ハードウェアや周辺機器の供給不足などが生じた場合、ソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。

(20) G&NS分野の売上及び収益性は主にプラットフォームの普及の成否に依存しており、この普及はソニー及び外部の事業者により制作されるものを含むソフトウェアラインアップの充実度の影響を受けています。
G&NS分野の売上及び収益性には、プラットフォームの普及の成否が重要な影響を及ぼします。この普及は、ソニー及び第三者により制作されたものを含む魅力的なソフトウェアの品揃えと、ネットワーク・ゲーム、クラウド・ゲーム及びデジタルコンテンツの配信を含むオンラインサービスとが消費者に提供されるか否かに影響されます。外部のゲームソフトウェアの開発事業者や開発・販売事業者がソフトウェアの開発や供給を定期的に実施し続ける保証はなく、全く実施されない可能性もあります。ソフトウェア開発の中断や遅れ、又は新しいオンラインサービスの提供の遅れはソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。

(21) ソニーの映画、音楽及びG&NS分野などのコンテンツ事業は、増加し続ける違法デジタルコピーや違法ダウンロードの影響を受けています。
デジタル技術、デジタルメディアの利用、ならびに世界的なインターネットの普及により、ソニーの映画、音楽及びG&NS分野などのコンテンツ(発売前のものも含む)の著作権を違法デジタルコピー及び偽造から保護することが難しくなってきました。特に、コンテンツ著作権者の許可なくインターネットやその他のサービス経由でデジタルメディアファイルの複製、転送やダウンロードが可能なソフトウェア及び技術によって、高品質なデジタルメディアファイルの不正な作成、送信や再配信がより簡単にできるようになってきているため、従来の著作権をベースとするビジネスモデルが逆風を受け、脅かされ続けています。こうしたコンテンツの不正入手が可能であることは、正規製品の売上減少や売価の低下圧力につながり、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。ソニーは、知的財産の保護支援、映画、テレビ番組、音楽、ゲームなどの正規のデジタル配信のための新しいサービスの開発や著作権のあるコンテンツの不正なデジタル配信への対抗のために費用を計上しており、今後も引き続き費用を計上します。こうした動向はソニーの短期的な費用の増加にもつながり、また、想定している効果を達成できない可能性もあります。

(22) 映画及び音楽分野の業績は、消費者に全世界で受け入れられるかどうか、競合作品やその他の娯楽の有無により変動します。
映画及び音楽分野の業績は、作品が消費者に全世界で受け入れられるかどうかという予測が難しい要因に左右され、変動する可能性があります。映画作品やテレビ番組の製作・制作ならびに番組の放送は、それらの作品が消費者にどの程度受け入れられるか分かる前に多額の投資を行わなければなりません。同様に、音楽分野でもアーティスト自身やその作品が消費者にどう受け入れられるか確定する前に多額の投資を行わなければなりません。さらに、映画及び音楽分野における作品の商業的な成功は、同時期もしくは近接した時期に公開された他の競合作品、ならびに、それらに代わり、消費者が享受できる娯楽及びレジャー活動に影響を受ける可能性があります。特に大型期待作品をはじめ、映画作品やテレビ番組の業績が想定を下回った場合、公開もしくは放映した年度の映画分野の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、作品の公開当初の業績と、それに続く映像ソフトやテレビ局など流通市場から得られる収入には高い相関性がみられることから、将来における映画分野の業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。同様に、音楽作品の業績が想定を下回った場合、作品をリリースした年度の音楽分野の業績に対して、悪影響を及ぼす可能性があります。

(23) エンタテインメント・コンテンツの製作・制作、取得ならびにマーケティング費用の高騰は、音楽及び映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。
音楽分野の成功は消費者に長期にわたって受け入れられるアーティスト、ソングライター及び楽曲版権のカタログの発掘及び育成に大きく依存しており、有能な新規アーティストやソングライターを発掘・育成できない場合やすでに有名なアーティストやソングライターとの契約を維持できない場合、音楽分野の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。音楽業界各社間における販売競争の激化に加え、このようなアーティストを発掘し、契約を締結し維持するための競争も激化しています。映画分野では、トップ・タレントに対する高い需要が映画作品やテレビ番組の製作・制作費用の高騰につながっています。映画作品やテレビ番組を獲得するための競争は激しく、映画作品やテレビ番組の取得費用が上昇する可能性があります。映画分野の作品の製作・制作費用及び取得費用の増加は、これらのマーケティング費用の増加とともに、映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。

(24) 新たな技術や配信プラットフォームによる消費行動の受容は、音楽及び映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。
急速な技術変化や消費者による新たな技術の受容は、消費者がエンタテインメント作品を取得し視聴するタイミングや方法に影響を与えています。CD、DVDならびにブルーレイディスクなどのパッケージメディアフォーマットの全般的な成熟化や、音楽・映像コンテンツのデジタル配信への移行、小売事業者の展示スペースをめぐる競争の激化などの業界全体の動向により、音楽及び映像パッケージメディア売上が全地域で減少しており、今後も減少する可能性があります。定額利用によるストリーミング配信やデジタルダウンロードといった、デジタル配信からの収入は、パッケージメディア売上の減少を十分に補完しない可能性があります。このような状況は、音楽及び映画分野、ディスク製造事業の業績に影響を与えてきており、今後も影響を与える可能性があります。例えば、2016年度にソニーは、映画分野における映画製作事業の将来の収益見通しを下方修正したことにともない、映画分野の営業権について1,121億円の減損を計上しました。この下方修正は、主に市場縮小の加速により、ホーム・エンタテインメント(BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売)事業の収益見通しを従来の見通しから引き下げたことによるものです。また、映画製作事業の将来の収益見通しにはその前提となる公開作品の収益性の低下も織り込んでいますが、その影響は映画製作事業における収益改善施策により、大幅に軽減していくことを見込んでいます。さらに、直近の音楽業界において、デジタルダウンロードの売上が年々減少し続けています。ストリーミング配信がこの減少を相殺するのに十分な利用者を獲得できない場合、音楽分野の業績は悪影響を受ける可能性があります。

(25) 広告市場の変化、あるいはテレビ放送契約を更新できないこともしくは更新時における条件悪化により、映画分野の業績が悪影響を受ける可能性があります。
広告市場の景気は特定の広告主や業界の経済的見通し、広告主の支出の優先順位、及び一般的な経済状態によって変動し、映画分野のテレビ事業の収入に悪影響を与える可能性があります。世界的なテレビネットワークを含む映画分野のテレビ事業の売上のかなりの部分は、多様なプラットフォーム上での広告収入が占めています。そのため、広告市場に対する宣伝広告支出額全体が減少した場合、映画分野のメディアネットワーク収入に直接的な悪影響を与える可能性があります。映画分野の売上には、顧客である米国内外のテレビネットワークから得られる映画作品やテレビ番組の放映権収入が含まれます。広告市場の景気が後退した場合、これら外部のテレビネットワークの収入が低迷し、ソニーの映像コンテンツの放映権収入に悪影響を与える可能性があります。
さらに、世界的なテレビネットワークでの放映は、外部のケーブルテレビ、衛星テレビやその他の放送システムに依存しています。これらの放送ネットワーク業者とのテレビ放送契約を更新できないこともしくは更新時における契約条件の悪化は、映画分野における世界的なテレビネットワークからの広告収入や視聴料収入に悪影響を与える可能性があります。

(26) 映画分野の業績はストライキによる影響を特に受ける可能性があります。
映画分野及びその供給業者の一部は、脚本家、監督、俳優、その他のアーティストや専門職・技術スタッフなど、労働協約が適用される、映画作品やテレビ番組の企画・製作に欠かせない専門的技能を有する労働組合員に依存しています。新たな合意や契約締結にいたる見通しが不確実であること、又はそれらが成立しないことによってもたらされる労働組合によるストライキが生じた場合、あるいはストライキ、サボタージュやロックアウトの可能性が生じた場合、製作活動の遅延や停止を招く可能性があります。こうした遅延や停止は、その期間の長さによっては、将来予定されている映画やテレビ番組作品の公開の遅延や中断をもたらす可能性があり、映画分野の業績やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。また、労働協約が合意に至らない場合や好ましくない条件で更新された場合、映画分野における費用が増加し、業績に悪影響を与える可能性があります。

(27) 金融分野は、新しい法令や監督官庁の施策などが、事業遂行の自由度を妨げ、ソニーの金融分野の業績に悪影響を与える可能性があります。
ソニーの金融分野は、日本における保険や銀行といった法規制や監督の厳格な業界で事業を行っています。法規制・政策などの将来における改正・変更や、それが与える影響は予測が不可能であり、また、こうしたことが法規制遵守に対応するための費用の増加や事業活動に対する制約にもつながる可能性があります。ソニーという共通のブランドを用いて各会社が事業を行っているため、ソニーの金融分野のいずれかの事業において法規制違反などが発生した場合には、ソニーの金融分野における事業全体の評判に悪影響を及ぼす可能性があります。また、法規制遵守のための追加費用が生じ、ソニーの金融分野の業績に悪影響を与える可能性もあります。なお、ソニー株式会社は、連結子会社であるソニーフィナンシャルホールディングス㈱(以下「SFH」)から財務支援又は融資ローンの形態による資金を受け取ることに関し、日本の監督官庁の指針による制約を受けています。これらの指針が変更された場合、ソニー株式会社がSFHから資金を受け取り使用することに関しさらに制約を受ける可能性があります。

(28) 金融分野の業績及び財政状態は、金利の変動により悪影響を受ける可能性があります。
ソニーの金融分野においては、生命保険事業及び損害保険事業における保険引受債務、ならびに銀行事業における預金、借入金その他の債務など、各事業の負債の状況に鑑み、運用資産を適切に管理するため、資産負債の総合管理(以下「ALM」)を行っています。ALMは、長期的な資産負債のバランスを考慮しながら、安定的な収益を確保することを目的としています。ソニーの金融分野がALMを適切に遂行できない場合、あるいはALMにより合理的に対処することができるレベルを超えて市場環境に大きな変化があった場合には、ソニーの金融分野の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特にソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)においては、通常、契約者に対して負う債務の期間が、長期日本国債を中心とした運用資産の投資期間よりも長期であるため、低金利又はマイナス金利の状況においては、残存する保険契約の予定利率(保険料計算用)は一般的に変化しない一方で、ソニー生命の投資ポートフォリオからの収益が減少する傾向があります。その結果、ソニー生命の収益性と保険契約債務を履行し続ける長期的な能力に悪影響が生じる可能性があります。さらに、最低毎事業年度に1回、責任準備金及び繰延保険契約費の評価に用いる保険数理上の前提の見直しが求められます。このため、金利の変動によりソニー生命の資産運用利回りが悪化した場合、特に利率変動型終身保険において責任準備金の追加計上や繰延保険契約費の前倒し償却が必要となる可能性もあります。その場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(29) ソニーの業績及び財政状態は、株価の下落により、特に金融分野において悪影響を受ける可能性があります。
金融分野において、ソニー生命では、最低毎事業年度に1回、変額保険の最低死亡保証にかかる責任準備金及び繰延保険契約費の評価に用いる保険数理上の前提の見直しが求められます。このため、株価の下落などでソニー生命の特別勘定の資産運用利回りが悪化した場合には、責任準備金の追加計上や繰延保険契約費の前倒し償却が必要となる可能性もあります。その場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、ソニー生命では、変額保険の最低死亡保証に係る株価下落のリスクに対してヘッジを目的とするデリバティブ取引を実施しております。しかしながら、結果として、想定どおりの効果が得られないことにより、損失の発生・拡大につながる可能性があります。
金融分野以外において、ソニーが保有している株式の公正価値の下落は、現金支出をともなわない減損損失の計上につながることもあります。その場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(30) 金融分野の投資ポートフォリオは、株価及び金利変動リスク以外の様々なリスクにさらされています。
ソニーの金融分野では日本の短期国債や地方債、国内社債、外国公社債、国内株式、貸付金、不動産など、様々な投資資産を保有する一方、安定した投資収益を確保するため、日本の長期国債を中心とした資産ポートフォリオを構成しています。金利及び株価変動リスクに加え、ソニーの金融分野の投資ポートフォリオは、為替リスク、信用リスク及び不動産投資リスクなど、様々なリスクにさらされており、そのようなリスクが金融分野の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)では、2017年3月末において住宅ローンが貸出金の94.3%又は総資産の59.8%を占めており、ソニー銀行の住宅ローンに関して不良債権が増加したり、担保設定されている不動産の価値が減少した場合、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。

(31) ソニーの金融分野において、保険金・給付金の支払い実績が見積りと乖離することにより、将来の責任準備金の積み増しを余儀なくされる場合があります。
ソニーの生命保険事業及び損害保険事業においては、将来の保険金・給付金の支払いに備えた責任準備金を積み立てています。これらの責任準備金は、保険契約の保障対象となる事象の頻度や時期、支払うべき保険金・給付金の額、保険料収入を原資に購入される資産の運用益など、多くの前提と見積りにもとづいて計算されています。これらの前提と見積りは本質的に不確実なものであるため、最終的に支払うべき保険金・給付金の額や支払時期、又は保険金・給付金の支払いより前に、保険契約債務に対応した資産が想定していた水準に達するかどうかを正確に判断することは困難です。保険契約の保障対象となる事象の頻度と時期及び支払う保険金・給付金の額は、以下のようなコントロール困難な多くのリスクと不確実な要素に影響されます。
・ 死亡率、疾病率など、計算の前提と見積りの根拠となる傾向の変化
・ 信頼に堪えるデータの入手可能性、及びそのデータを正確に分析する能力
・ 適切な料率・価格設定手法の選択と活用
・ 法令上の基準、保険金査定方法及び医療費の変化
保険事業における実績が計算の前提条件や見積りよりも大きく悪化した場合、責任準備金の積立てが不足する可能性があります。また、責任準備金の積立水準に関するガイドラインや基準などに変更があった場合には、より厳しい計算の前提や見積り又は保険数理計算にもとづいて責任準備金の積み増しが必要となる可能性があります。これら責任準備金の繰入額の増加は、金融分野における業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
さらに、日本における大地震などの大規模災害や感染症などの疫病の発生により、責任準備金の積み立て前提を超える保険金の支払が生じた場合など、金融分野の業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

(32) ソニーの設備や情報システムは、大規模な災害、停電、違法行為などにより、被害を受ける可能性があります。また、これらの予期できない大惨事にともなうサプライチェーンや生産活動の混乱及び法人顧客からの需要減などがソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの本社及び半導体生産設備のような最先端デバイス製造拠点の多くは、他国よりも地震のリスクが比較的高い日本の国内にあります。日本において大地震が起きた場合、特にソニーの本社がある東京や、完成品の製造事業所が所在する東海地方及び半導体製造事業所が所在する九州地方及び東北地方で起きた場合には、建物や機械設備、棚卸資産や、製造事業所における生産活動の中断などを含めて、ソニーの事業は大きな被害を受ける可能性があります。例えば、2016年4月14日以降に発生した2016年(2016年)熊本地震の影響で、半導体製造事業所の建物や機械装置、棚卸資産に損傷があり、生産活動が中断しました。半導体部品の供給の遅れの結果、半導体分野及びIP&S分野の2016年度の売上高は、地震の前に見込まれていた水準より減少しました。
また、ネットワークや情報通信システムインフラ、研究開発、資材調達、製造、映画やテレビ番組の製作・制作、物流、販売、ならびにオンラインやその他のサービスに使用されるソニーや外部サービスプロバイダ及びビジネスパートナーの世界各地にあるオフィスや設備は、自然災害、伝染病などの疫病、テロ行為、サイバー攻撃、大規模停電、大規模火災などの予期できない大惨事により、破壊されたり、一時的に機能が停止したり、混乱に陥ったりする可能性があります。これらのオフィスや設備のいずれかが前述の大惨事により重大な損害を受けた場合、営業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、オフィスや設備の修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。加えて、ソニーに原材料、部品及びコンポーネントを供給する事業者がかかる大惨事の被害を受けた場合、原材料、部品及びコンポーネントの供給が滞り、それによりソニーの製造拠点は稼働調整や停止を余儀なくされ、出荷が滞り新製品の導入が遅れるなどの影響を受ける可能性があります。また、ソニーは、原材料、部品及びコンポーネントの価格高騰や法人顧客の需要減少の影響を受ける可能性があります。
加えて、ソニーの営業活動においてコンピュータシステムやネットワーク及びオンラインサービスの役割がさらに重要になりつつあるなか、ソフトウェア又はハードウェアの欠陥など、前述のもしくはそれ以外の予測できない出来事から生じるコンピュータシステムやネットワーク及びオンラインサービス停止のリスクが高まっています。例えば、2014年度において、サイバー攻撃によりソニーの映画分野のネットワーク及びITインフラに深刻な障害が生じました。
類似した出来事が発生した場合、主要な事業オペレーションの停止、財務報告あるいは設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、設備やネットワーク及び情報システムのセキュリティ強化や修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性もあり、さらに、ソニーが加入している保険はその結果発生する費用や損失を十分に補填できない可能性があります。また、ソニーが将来、十分な保険契約を維持できない可能性や、支払保険料が増加する可能性があります。これらの場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響がある可能性があります。

(33) ソニーあるいは外部のサービスプロバイダやビジネスパートナーの情報セキュリティに対する侵害又はその他の不正行為があった場合、ソニーのブランドイメージ及び評判や事業への悪影響がある可能性や、ソニーが法的な、あるいは規制当局に対する責任を追及される可能性があります。
ソニーの専有情報、知的財産ならびに従業員の情報を含む、ただしそれらに限定されないソニーのビジネス情報や、顧客、供給業者ならびにその他のビジネスパートナーに関連するデータを含む情報の取得、保管、処理、転送に使用するコンピュータシステムやネットワーク、ならびにオンラインサービスといった情報技術を広範に活用することは、ソニーならびに外部のサービスプロバイダ及びビジネスパートナーにとって業務上不可欠です。ソニーのビジネス情報は、悪意をもった第三者や人為的もしくは自然の事象により侵害を受けたり、ソニーもしくは外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの従業員の故意又は不注意による行為もしくは不作為の影響を受けたりする可能性があります。サイバー攻撃がますます高度化し、悪意をもった第三者がより容易にツールやリソースを利用できるようになりつつあることから、不正な侵入を防止あるいは検知したり、不正な侵入に対応したり、データへのアクセスを制限したり、データの破壊、改変、あるいは流出を防止したり、そういった攻撃の悪影響を抑制したりするためにソニーが行っている対策、セキュリティへの取り組みや管理が、不正アクセスに対して、完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。その結果、ソニーのビジネス情報の消失、破壊、漏洩、悪用、改変、又は承諾を得ない第三者によるアクセスが発生し、ソニー、あるいは外部のサービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの情報システムが破壊される可能性があります。また、悪意を持った第三者が、ソニーに知られることなく、外部のビジネスパートナーのネットワーク、及びその結果として外部のビジネスパートナーの情報にアクセスするためのプラットフォームとして、ソニーのネットワークに不正にアクセスする可能性があります。ソニーは過去に、高度かつ明確に標的を定めた攻撃の対象になったことがあります。例えば、2014年度に、ソニーの映画分野がサイバー攻撃の対象となり、結果的に従業員やその他の情報を含むソニーのビジネス情報が不正にアクセスされ、窃取され、漏洩され、データが破壊されました。加えて、ソニーのネットワークサービス及びオンラインゲーム事業ならびに複数の子会社のウェブサイトが様々な意図や専門性を持つ個人や集団によってサイバー攻撃の対象となり、いくつかの事例においては、顧客情報が不正にアクセスされ、実際に窃取され、又は窃取の可能性が生じ、漏洩されました。
加えて、ソニーあるいはその代理で第三者が保有あるいは管理しているソニーのビジネス情報及びその他のデータは、それらがネットワーク上に保管されていない場合でも、またそれらのデータの保管の場所や形式にかかわらず、悪意をもった第三者や人為的もしくは自然の事象により侵害を受けたり、消失、破壊、漏洩、悪用、改変、又はこれらの情報への不正なアクセスといった形で、ソニーの従業員もしくは外部のサービスプロバイダの故意又は不注意による、行為もしくは不作為の影響を受ける可能性があります。
さらに、ソニーもしくはそのサービスプロバイダやビジネスパートナーが提供するネットワーク製品やオンラインサービスを含む製品やサービスの機密性、完全性ならびに可用性が、悪意を持つ第三者や人為的もしくは自然の事象により侵害を受ける可能性や、ソニーの従業員、外部のサービスプロバイダやビジネスパートナーの故意又は不注意による作為もしくは不作為による影響を受ける可能性があります。例えば、ソニーのオンラインサービスやウェブサイトは、高度な技術を持ち潤沢なリソースを有する第三者などによるDoS(サービス停止)攻撃やその他の攻撃の対象となったことがあります。
こうした情報セキュリティに対する侵害等によって、システムの破損の修復、外部専門家の雇用、新たな人員の配置、従業員の教育、ならびに不正にアクセスされたデータの所有者である第三者に対する補償や報奨金を含む多額の復旧費用がかかる可能性があります。加えて、ソニーのネットワークやオンラインサービスへの破壊行為によって、ネットワーク及びオンラインサービスに依存している事業が重大な打撃を受け、その結果、売上の喪失、ビジネスパートナー及びその他の第三者との関係の悪化、ならびに顧客の維持や顧客の勧誘の失敗に結びつく可能性があります。サイバー攻撃であるか否かにかかわらず、情報セキュリティが侵害又はその他の不正行為をされた場合には、知的財産を含む専有情報の不正漏洩、改変、破壊あるいは悪用による競争力の低下にともなう売上の喪失や、顧客の維持や顧客の勧誘の失敗、重要なビジネスプロセスや情報セキュリティシステムの破壊、あるいはマネジメントの関心や経営資源の分散につながる可能性があります。さらに、これらの破壊や侵害行為がメディアの報道に悪影響をもたらし、ソニーのブランドイメージや評判を傷つける可能性があります。また、ソニーは訴訟、及び規制当局による調査や規制措置を含む法的措置の対象となる可能性や、付帯的な法的費用や将来的な調停、判決、罰金の対象となる可能性があります。ソニーが加入しているサイバー攻撃に対する保険は費用や損失の全額を補填できない可能性があり、したがって、サイバー攻撃がソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。たとえ実際に情報セキュリティへの侵害がなくても、ますます高度化し増加しつつあるサイバー攻撃への対策には、将来、これらの防止、検知、対応、管理のための、あるいはその他の多額の費用がかかる可能性があります。これらの費用には、サイバー攻撃に対する新たな技術の導入、外部専門家の雇用、新たな人員の配置や従業員の教育などが含まれます。これらの費用も、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(34) 現在もしくは将来における訴訟及び規制当局による法的手続が不利な結果に終わった場合、ソニーの事業が悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、様々な国において事業の遂行に関して、訴訟及び規制当局による法的手続に服するリスクにさらされています。訴訟及び規制当局による法的手続は、ソニーに多額かつ不確定な損害賠償や事業活動の制約をもたらすことがあります。その発生の可能性や影響の程度を予測するには相当の期間を要する場合があります。例えば、公正な競争に反する市場慣行に関する政府の監督が、訴訟や規制当局による法的手続につながる可能性があります。多大な法的責任や規制当局による不利な措置が課された場合や、訴訟及び規制当局による法的手続への対応に多大なコストがかかった場合、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(35) ソニーは製品品質や製造物責任による財務上のリスクや評判を損なうリスクにさらされています。
急速な技術の進化や、モバイル製品及びオンラインサービスに対する需要増にともない、コンスーマー製品、ノンコンスーマー製品、部品及びコンポーネント、半導体、ソフトウェア、ならびにネットワークサービスなどのソニーの製品・サービスは一層高機能かつ複雑になっています。ソニーが製品品質を維持しても、技術の急速な進展や、モバイル製品及びオンラインサービスの需要増加に対応できない可能性があり、製造物責任問題に関するリスクが高まる可能性があります。その結果、ソニーの評判に悪影響を及ぼし、製品回収やアフターサービスなどの費用が発生する可能性があります。加えて、既存の製品及びサービスへの販売後のアップグレード、機能の拡充、又は新機能の導入に成功しない可能性や、既存の製品及びサービスを、他の技術及びオンラインサービスと便利かつ効果的に連携させ続けることができない可能性があります。そのため、ソニーの既存の製品及びサービスについて、顧客満足を維持できない可能性や、需要の減少、競争力の低下、あるいは陳腐化を招く可能性があり、その結果、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、根拠のあるなしにかかわらず、ソニーの製品に関連する健康面や安全性の問題に関する申立て又は訴訟は、直接的に、もしくはソニーのブランドイメージや高品質な製品やサービスを提供する企業という評価への影響の結果として、ソニーの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題は、ソニーが製造したか否かに関係なく、ソニーが直接顧客に販売する製品のみならず、半導体を含むソニー製の部品が搭載された他社製品においても生じる可能性があります。

(36) ソニーの業績及び財政状態は退職給付債務により悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、確定給付年金制度に関する会計基準に従い、確定給付年金制度ごとの予測給付債務から年金制度資産の公正価値を差し引いた金額を未積立年金債務として認識しています。年金数理純損益については、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却することにより年金費用に含めています。運用収益の悪化による年金制度資産価値の減少や、割引率の低下、昇給率の増加やその他の年金数理計算前提となる比率の変動による予測給付債務増加にともない未積立年金債務が増加し、その結果、売上原価又は販売費及び一般管理費として計上される年金費用が増加する可能性があります。
ソニーの業績及び財政状態は、国内及び海外年金制度の積立状況から悪影響を受ける可能性があります。特にソニーの年金の大部分を占める国内年金は約30%を持分証券に投資しており、不利な株式市場環境及びクレジット市場のボラティリティが、ソニーの年金制度資産及び将来見積年金負債に対して悪影響を与える可能性があります。その結果として、ソニーの業績及び財政状態は、悪影響を受ける可能性があります。
さらにソニーの業績及び財政状態は、日本の確定給付企業年金法の年金積立要求により悪影響を受ける可能性があります。この確定給付企業年金法により、ソニーは定期的な財政再計算や年次の財政決算を含む年金財政の検証を行うことが求められています。年金制度資産の公正価値に対して法定の責任準備金が超過した場合、また法令もしくは特別な政令などにより猶予された期間内に制度資産の公正価値が回復しない場合には、ソニーは年金制度への追加拠出が必要となり、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。同様に、海外の年金制度資産についても各国の法令にもとづき追加拠出が必要となる場合、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。また、今後、法令が定める掛金の更新にともなって年金制度資産の長期期待収益率などの前提を見直した際、年金への拠出金の水準が引上げられ、ソニーのキャッシュ・フローに対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(37) 繰延税金資産に対して評価性引当金を計上している税務管轄におけるさらなる損失の発生、ソニーが繰延税金資産を最大限に利用できないこと、各国の法令にもとづく繰延税金資産の使用の制限、追加的な税金負債あるいは税率の変動が当社株主に帰属する当期純損益及びソニーの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において最終的な税額の決定が不確実な状況が多く生じ、このような状況が長期間に及ぶ場合もあります。ソニーの税金引当や税金資産、税金負債の帳簿価額の計算は高度な判断と見積り(将来の課税所得の見積りを含む)を必要とします。
繰延税金資産は、税務管轄ごとに評価されます。一部の税務管轄において、ソニーは繰越欠損金及び繰越税額控除に対応するものを含めた繰延税金資産のうち、50%超の可能性をもって回収可能ではないと結論付けられたものに対して評価性引当金を計上しています。2017年3月31日時点において、ソニーは主に(1)日本の当社とその連結納税グループ及び日本の一部子会社の地方税、(2)米国のSony Americas Holding Inc.とその連結納税グループ、(3)スウェーデンのSony Mobile Communications AB、(4)英国のSony Europe Limited、ならびに(5)ブラジルで操業するいくつかの子会社において評価性引当金を計上しています。評価性引当金を計上した税務管轄において損失を計上し続けた場合、税金費用の戻し入れは計上されず、当社株主に帰属する当期純損益及びソニーの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、ソニーが税務戦略を実行できない場合、営業活動や税務戦略から繰越欠損金を使用するために充分な課税所得を適切な税務管轄内で将来に生み出せない場合、繰越欠損金の使用を法的に制限される場合、あるいは各国の税法により繰延税金資産の使用を制限される場合に、繰延税金資産は未使用のまま消滅、又は回収できず、将来において利用可能な税金支出の減額ができなくなる可能性があります。評価性引当金を計上せずに残存している繰延税金資産のいずれかが、50%超の可能性をもって未使用のまま消滅し将来の課税所得と相殺することができない場合や他の理由で回収ができない場合には、ソニーは追加の評価性引当金を認識しなければならず、税金費用が増加します。繰延税金資産が未使用のまま消滅した時点あるいは追加の評価性引当金が計上された期間において、当社株主に帰属する当期純損益及びソニーの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産及び評価性引当金の評価において、連結会社間の移転価格に関して調整される不確実な税務ポジションの決定が重要な要素となります。ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において連結会社間を含む多くの取引がありますが、最終的な税額の決定は不確実です。ソニーは、税務当局から税務申告に対して継続的な調査を受けており、その結果、法人税の引当の妥当性を決定する税務調査の結果を受けて起こり得る悪影響を定期的に評価しています。これらの評価には高度な判断が要求され、翌期以降に追加的な証拠が入手可能になることにより、ソニーの不確実な税務ポジションの最終的な結果とそれにともなう評価性引当金の計上が、当社株主に帰属する当期純損益及びソニーの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
一部の税務管轄において、繰越欠損金の使用は翌期以降の課税所得に対する一定の水準に制限されています。したがって、ソニーは、課税所得が発生した税務管轄において、重要な繰越欠損金があるにも関わらず税金の支払いが発生するため税金費用を計上し、その後も利用可能な繰越欠損金を保有し続ける可能性があります。同様に、一部の税務管轄において、税額控除の使用は、ある特定の要因の所得との相殺にしか使用できない場合があります。したがって、ソニーは、課税所得が発生した税務管轄において、重要な繰越税額控除があるにも関わらず税金の支払いが発生するため税金費用を計上し、その後も利用可能な繰越税額控除を保有し続ける可能性があります。
上記に加え、ソニーの将来における実効税率は、法定税率の変更や異なる法定税率が適用される各国での利益の割合の変化、又は売上原価や利息の損金算入制限、及び繰越欠損金や繰越税額控除の使用制限を含む租税法規の改正やそれらの解釈の変更などにより不利な影響を受ける可能性があります。

(38) ソニーは、営業権、無形固定資産もしくはその他の長期性資産の減損を計上する可能性があります。
ソニーは多くの営業権、無形固定資産及びエレクトロニクス事業における製造施設及び設備を含む長期性資産を保有しています。これらの資産については、業績の悪化や時価総額の減少、減損の判定に用いられる高度な判断を必要とする見積り・前提の変更により、減損を計上する可能性があります。営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産については、年一回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などです。なお、国際的な競争環境の激化や技術動向の急激な変化により、減損の判定に用いられる見積り、前提及び判断が変動し、減損の計上の可能性が増加することがあります。保有しかつ使用する長期性資産及び処分予定の長期性資産の回収可能性は、個々の資産又は資産グループの簿価が回収できなくなる可能性を示す事象や状況(営業権や無形固定資産に関する上記の事象や状況を含む)の変化が生じた場合に検討されます。資産又は資産グループの帳簿価額が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損を認識します。例えば、2014年度において、モバイル・コミュニケーション分野に関連する営業権の減損1,760億円を計上しました。また、2015年度において、半導体分野のカメラモジュール事業で596億円、コンポーネント分野の電池事業で306億円の長期性資産の減損をそれぞれ計上しました。さらに、2016年度において、半導体分野の外販向けの一部の高機能カメラモジュールの開発・製造中止にともなう長期性資産の減損239億円を、映画分野に関連する営業権の減損1,121億円を、それぞれ計上しました。このような減損損失の計上は、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(39) ソニーは第三者の知的財産権の侵害を追及され、重大な損害賠償責任を負う可能性があります。
ソニーの製品は広範囲にわたる技術を利用しています。その技術が第三者の保有する知的財産権を侵害しているという主張がソニーに対してなされており、今後なされる可能性もあります。特に、市場競争が激しくなり、一層多くの知的財産を用いた新規技術やより高度な技術が製品に搭載されることで、自らの製品やサービスを守るため、あるいは競争優位を追求するための事業戦略として、競合他社又はそれ以外の特許権者からかかる主張がなされる可能性があります。かかる主張により、和解やライセンス契約の締結あるいは多額の損害賠償金を支払うことが必要となった場合や、ソニーの製品の一部について一時的又は恒久的に市場での販売が差し止められることとなった場合は、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(40) ソニーは第三者の知的財産権につき必要なライセンスを継続して取得できない可能性があります。また、ソニーの事業遂行に必要な知的財産権につき、継続して十分な保護を受けたり、行使したりできない可能性があります。
多くのソニー製品は第三者の特許その他の知的財産権のライセンス供与を受けて設計されています。過去の経験や業界の慣行により、将来的に必要かつビジネスに有効な様々な知的財産権のライセンスの供与を受け又は更新できるとソニーは考えていますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されない可能性があります。そのような場合には、ソニーは、製品の設計変更や、営業・販売の断念を余儀なくされる可能性があります。さらに、ソニーの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、ソニーの知的財産権が、ソニーの競争力を維持するうえで十分ではない可能性があります。そのような場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

生産、受注及び販売の状況研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01777] S100AFIH)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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