有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100SZWZ (EDINETへの外部リンク)
ローランド株式会社 研究開発活動 (2023年12月期)
当社グループの研究開発活動は、グループ全体で利用可能な要素技術開発と、製品カテゴリーに特化した技術開発があります。要素技術には、楽音合成、モデリング、音響効果、音響解析、高効率符号化等の理論構築、電子楽器の心臓部である音源とエフェクター用オリジナル・システムLSIやその上で動作するデジタル信号処理システムの開発があります。また、USBやBluetooth、Wireless LAN等の通信規格を利用したオーディオやMIDI(Musical Instrument Digital Interface)の伝送を行う通信技術及び、当社のネットワークサービスであるRoland Cloudのプラットフォームなどの開発も行っています。一方で、製品カテゴリーに特化した技術としては、鍵盤、パーカッションや管楽器などの演奏のためのセンサー技術、ギター関連事業製品のサウンド・エフェクト技術、ビデオ映像機器用の映像処理技術などの開発があります。
当社では要素開発の機能を製品開発の部門に持たせることで両者の距離を縮め、戦略的なテーマもスピード感をもって開発できるようにしています。
当連結会計年度の具体的な研究開発活動は次のとおりです。なお、当社及び連結子会社の事業は、電子楽器の製造販売であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメントとなっており、セグメント情報に関連付けては記載していません。
(a)鍵盤楽器
電子ピアノ製品において、当社は長年モデリング音源技術による表現力向上に取り組んできました。2023年3月には、最新のモデリング音源と新開発した鍵盤、ペダル、再生系を連携した技術「ピアノ・リアリティ・テクノロジー」を搭載したデジタル・グランドピアノ「GPシリーズ」を発表しました。ピアノの発音とホール音響特性をモデリングした臨場感の高い音源、弾き方による音の違いを忠実に再現する鍵盤センシング技術、マルチ・スピーカーと信号処理による立体感のある音場再現技術を搭載し、ピアノ演奏の表現力を高めました。また、当社音源技術「ZEN-Core」(注1)とコード検出技術を組み合わせた自動伴奏機能を搭載したポータブルピアノ「FP-E50」を2023年1月に発売しました。独自アルゴリズムによって、演奏に合わせてアレンジや音量がリアルタイムに変化するインタラクティブな自動伴奏機能を搭載することで、伴奏の臨場感を高めています。
(注1)オリジナル・システムLSIやコンピューター上で動作する拡張及びカスタマイズ可能なシンセサイザー音源をいいます。
(b)管打楽器
デジタル管楽器の製品において、2023年3月には「ZEN-Core」音源とサウンドをコントロールするブレスセンサーやバイトセンサーなどの演奏表現を高める技術を組合せた新製品「AE-20W」を発売しました。同時に、既存製品「AE-30」もソフトウエア・アップデートにより、本体はそのままで新しい機能を追加するなど、Aerophoneシリーズは管楽器ならではの表現力を実現しつつ、演奏の楽しみを広げる進化を続けています。
電子ドラムカテゴリーでは、2023年1月には「Vドラム」のエントリー・モデルとして、コンパクト・サイズながら本格的なサウンドや演奏感を家で楽しめる「TD-02KV」「TD-02K」を発売しました。新規開発された音源「TD-02」には上位モデルから継承したドラム・キット音色を搭載し、幅広いドラム・キットで様々な音楽スタイルに対応しました。別売りのアダプター「BT-DUAL」(BOSS ブランド) によりスマートフォンなどとワイヤレス接続し、手軽に好きな曲と一緒に演奏することを可能にしました。
また、2023年11月には「DW」ブランドからアコースティック・ドラム、電子ドラムどちらでも演奏を楽しめるコンバーチブル・ドラム・キット「DWe」のラインアップを発売しました。DWの高品質なシェルや独自の電子技術に加え、当社の電子ドラムの技術や知見を融合させることで、まったく新しいドラム・キットとして誕生しました。電子ドラムとして使用する際には、ドラム・パッドとPC(ソフトウエア音源)のワイヤレス接続を実現したことでケーブル接続の手間なく電子ドラムの演奏を楽しめます。また、DWドラムの名器サウンドを収録したソフトウエア音源「DW Soundworks」と連携することを可能にしました。
(c)ギター関連機器
2023年はBOSSの前身となるメグ電子の創業(1973年)から50年を迎えました。BOSSブランドでは創業当時からギタリストに愛され続けているアナログ製品の開発とともに、長年にわたるエフェクト/アンプ開発で培ってきた知識と経験を自社システムLSIに実装し、多くの新たな製品提案をしました。
2023年5月には、唯一無二のヴィンテージ・デジタル・ディレイとして今もなお高く評価されている「SDE-3000」を再現した「SDE-3000D」を発売しました。サウンドを忠実に再現するだけでなく、現代のニーズに応える機能をフロア・タイプにまとめることで高い汎用性を得ています。2023年6月には、「SDE-3000」を愛用したギタリストEddie Van Halenが構築したウエット/ドライ/ウエットの独自セットアップによる迫力あるサウンドを再現するバリエーション・モデルとして「SDE-3000EVH」を発売しました。
2023年7月には、最新のテクノロジーをアナログ回路と融合させたディレイ「DM-101」を発売しました。信号経路にはBBDと呼ばれる電子部品を採用し温かく包み込まれるディレイ・サウンド(注2)を実現しながら、回路をCPUで制御することにより多彩なサウンドやメモリー機能、MIDIコントロールへの対応など、現代のギタリストに不可欠な機能を実現しています。
2023年8月には、新方式のギター・シンセサイザー・システムを発売しました。各弦の信号を独立して検出するディバイデッド・ピックアップ「GK-5(ギター用)/GK-5B(ベース用)」は、信号伝送方式を従来のアナログからデジタルに変更することで安定した通信を実現しています。また、システムのコアとなるギター・シンセサイザー「GM-800」は音声信号からMIDI信号へのトラッキング性能を向上させることで自然な弾き心地を実現するとともに、ZEN-Core音源エンジンをこのカテゴリーで初めて採用し、多彩で高品位な音色を提供しています。
2023年8月には、自宅において至高のアコースティック・サウンドを実現するアンプ、「AC-22LX」を発売しました。タッチに対して素直に呼応するアコースティック楽器の豊かなサウンドを余すところなく再現するとともに、高い専門性を備えたサウンド・エンジニアによるマイキング・サウンドを再現するAIR FEEL機能を搭載しました。
2023年10月には、MDP(注3)を駆使することで原音を損なうことなくノイズを取り除くノイズ・サプレッサー「NS-1X」を発売しました。極めて自然にノイズを除去するREDUCTIONモードだけでなく、ハイゲイン・サウンドでの演奏時にキレをよくするGATEモードを搭載することで、新しい演奏表現をギタリスト/ベーシストに提供しています。
(注2)発音のタイミングをずらして、エコーや広がりを持たせる効果を付加した音のことをいいます。
(注3)Multi-Dimensional Processing:入力された音声を瞬時に解析し、時間経過に伴う変化に対し最適な処理をリアルタイムに行うBOSS独自の多次元的信号処理技術をいいます。音楽的な表現力を失うことなく最適な効果を付加することで、従来にはないサウンドが得られる画期的な先進技術です。
(d)クリエーション関連機器&サービス
シンセサイザーカテゴリーにおいて、国産初のシンセサイザー「SH-1000」を1973年に発売してから50周年を迎える節目の年となる中、3つの新製品とフラグシップ・シンセサイザーのアップグレード・キットを発売しました。
2023年3月には、多彩なサウンド作りが可能な11種類のオシレーター・モデルを新規開発し、スタジオやステージはもちろん、外出先でもUSBバス電源で使用できる汎用性の優れたデスクトップ・シンセサイザー「SH-4d」を発売しました。2023年5月には、ポケットサイズで場所を選ばず楽しめるAIRA Compactシリーズの新モデル「S-1」を発売しました。ローランド往年のアナログ・シンセサイザー「SH-101」をデジタルで再現した音源とモーション・センサーを内蔵し、楽器本体を傾けることで音程を変化させたり、音を左右に揺らしたりしてサウンドに効果を加える「D-Motion」を新開発しました。2023年10月には、アナログ・シンセサイザー由来の直感的なサウンド作りプロセスを受け継ぎつつ、これまで表現できなかった先進的なサウンドを可能にし、また、演奏性に優れたフルサイズの37鍵キーボードを搭載したシンセサイザー「GAIA2」を発売しました。当社独自のアナログシンセ・モデリング音源技術やウェーブテーブル音源技術によりスピーディーなサウンド作りを行えるのに加え、新規開発のモーショナル・パッドやシーケンサーにより、ダイナミックな動きをもつ複雑なサウンドやフレーズを簡単に作成することができます。
また、2023年11月に、アップグレード・キットとして、フラッグシップ・シンセサイザー「FANTOM-6/7/8」に当社独自のACB(注4)を新たに追加したことを含む「FANTOM EXアップグレード」をリリースしました。
音楽・メディア制作者向けのクラウドを利用したソフトウエア音源のサブスクリプション・サービスである「Roland Cloud」においては、ネットワーク上のプラットフォームの整備、サービスの拡大を継続して行っています。2023年7月には、ゲーム実況配信時にBGMや効果音が流せるサービス「BGM CAST」を公開しました。ユーザーの嗜好に合わせてBGMを自動的に流し続ける独自の選曲アルゴリズムを搭載し、ゲーム実況配信を盛り上げます。また、2023年11月には、Roland Cloud上の40種以上のソフトウエア音源や20,000種以上の音色を統合的に扱えるアプリケーション・ソフトウエア「Galaxias」をリリースしました。Galaxiasの音作りから音源制御までの統合環境により、新しい音楽制作の可能性が拡大していきます。
(注4)Analog Circuit Behavior:アナログ電子楽器の音色を再現するため、アナログ・パーツの特性、アナログ回路独特の振舞いをデジタルでモデリングする技術をいいます。
(e)映像音響機器
アフター・コロナとなり、ステージのリモートでの演出が一般化した一方で、従来からのライブ演出も復調し、多種多様なイベントが活況です。このような状況において、当社のAVミキサーのVRシリーズや、ビデオ・ミキサーのVシリーズはそれらイベントでの需要に応えています。2023年6月には、4K AVストリーミング・ミキサー「VR-400UHD」を発売しました。「誰にでもプロの演出を行える」をコンセプトにし、ビデオ機器に詳しくないユーザーも簡単に扱えるビデオ・スイッチャーとなっています。従来のVRシリーズで好評を得ている、ビデオ、オーディオ、ストリーミング機能をオールイン・ワンパッケージ化し、4K対応により高画質の映像演出を実現しています。VRシリーズの特徴でもあるUSBストリーミング出力においても4K対応を実現し、コンピューターを用いた高品位な配信が可能です。また新たにプレビュー付シーン機能も搭載しました。合成済みの画像を常に動画として複数プレビュー表示できるシーン機能と大型タッチスクリーンにより、出力したい映像をタッチで選択することを実現しています。
ヘッドホンカテゴリーでは,当社が30年以上にわたり蓄積した電子ドラム開発技術とV-MODAのヘッドホン開発技術を結集させ、独自チューニングで電子ドラムのサウンドを余すところなく引き出し、快適でストレスなく演奏に集中できるヘッドホン「VMH-D1」を2023年2月に発売しました。
以上のような研究開発活動の成果により、当連結会計年度の研究開発費は、5,187百万円となりました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01834] S100SZWZ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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