有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100T4MC (EDINETへの外部リンク)
オプテックスグループ株式会社 研究開発活動 (2023年12月期)
当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。
センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は3,385百万円であり、対売上高比率は6.0%となっております。
(1) 防犯関連
防犯関連におきましては、ウクライナ情勢の長期化や物価高騰に伴う社会不安の増大、さらには、近年の自然災害の頻発などにより、社会の安全・安心に対するニーズがますます高まっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所などの重要施設のみならず、事業所・商業施設などの民間施設及び一般住宅でも、防犯カメラシステム、侵入警戒システム、遠隔監視システムなどの需要が高まっております。当社はこのような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① レーザースキャンセンサー 「REDSCAN mini Proシリーズ」
データセンター及び発電所などの重要インフラ施設でのスポットエリア警戒を目的とした「REDSCAN mini Proシリーズ」を開発いたしました。このセンサーはレーザー光を照射し、対象物の「大きさ」「速度」「センサーからの距離」を識別できる高機能レーザースキャンセンサーです。2021年に発売いたしました「REDSCAN Proシリーズ」に続き、さらなる進化を遂げラインアップを強化いたしました。警戒エリアは20m/90°のスポットエリア警戒用とし、防犯カメラシステムとの統合への要求に応え、新たに開発した赤外線LED照明照射技術とフルHDカメラを組合せることで、より映像確認がしやすくなり、様々な警戒環境での利用を実現いたしました。夜間や暗所での映像撮影においても、赤外線LED照明が侵入者の位置に応じて自動調整し、鮮明な映像を提供いたします。また、様々な警戒用途、顧客ニーズに対応するため、柔軟な警戒エリア設定や方向判別機能、検知時の映像記録など、高度な機能を搭載いたしました。これにより、屋外問わず通用口や窓以外もくまなく警戒でき、セキュリティ性の向上が期待できます。
② 屋内防犯センサー
一般家庭、小規模店舗などにて電池駆動ワイヤレス型センサーの需要が高まる中、2022年に発売した「FlipXシリーズ」をベースにワイヤレスRF信号送受信機能を搭載した電池駆動モデルを開発いたしました。低消費電流を保ちつつ業界最長クラスの電波到達飛距離を実現いたしました。
また、オフィス、工場などにてシリアルバス通信型センサーの需要も高まっており、同「FlipXシリーズ」をベースにバス通信機能を搭載したモデルを開発いたしました。バス通信にて双方向通信を実現し、アラームコントロールパネルより遠隔でセンサー感度などを調整できる機能も備えております。これらのシリーズラインアップ拡充により、より幅広い顧客ニーズに応え様々な用途に対応することが期待できます。
(2) 自動ドア関連
自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。
現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約6割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と、当社は高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、各地域特性に応じた製品を開発し、北米、欧州、アジア地域での市場シェアも順調に伸長しております。
また、自動ドア関連事業において進めている「モノ売り」から「コト売り」への事業拡大に関しても、システム開発やアプリ開発を積極的に進め、2024年には新たなサービスの立上げを予定しております。
さらに、当社が得意とする光技術に加えて、二酸化炭素排出量削減に寄与できる新しい技術開発を積極的に進め、より快適な社会環境実現に貢献してまいります。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 日本市場向けスライドドア戸袋用センサー「プロセーフFシリーズ」 OA-220CAN(FL)/(FR)
日本市場において2017年3月に自動ドア全般にわたる安全規格「JIS A 4722 歩行者用自動ドアセット-安全性」が制定されました。同規格制定を機にスライドドアの戸袋側安全を実現する手段として防護柵などに加え、センサーによる対策としてご利用頂ける新機種「プロセーフFシリーズ」を開発いたしました。このセンサーは従来機種では設定できなかった戸袋に対応したエリア調整機能を搭載し、様々な設置環境に応じてご利用頂けるセンサーとなっております。
現在、戸袋側の安全対策としては、防護柵の設置が主流となっておりますが、センサーによる戸袋側の安全対策を実現することで、エントランスの美観性や施工性の向上に貢献することが可能となります。
また、センサーによる戸袋側の安全対策は日本における新たなセンサー市場拡大の契機と捉え、さらなる普及を目指してまいります。
② 日本市場向け自動ドア用非接触スイッチ 「Clean Wave™」OMH-100D
食品工場や冷蔵冷凍倉庫、クリーンルームなどの自動ドア向けの非接触スイッチ「Clean Wave™」OMH-100D」を2024年2月より販売開始いたしました。0℃以下の厳しい温度環境下でも使用可能な耐環境性能及び薄型のデザインを特徴とし、これまでセンサーの設置が避けられてきた冷蔵冷凍倉庫などの自動ドアへの普及を目指してまいります。また今後は、自動ドア以外の用途への普及に加え、北米市場への拡販も目指してまいります。
③ OMNICITY新サービス 「スマートエントランス」
2020年より、日本市場において自動ドアセンサーを活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)※」を開始いたしました。その後、Bluetooth機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215シリーズ(以下、OAB-215)」を市場投入し、順調にビジネスを拡大しております。また、「OMNICITY」の新しいサービスとして、マンション共用部における入退室を自動ドアセンサーOAB-215とスマートフォンアプリで実現するシステム「スマートエントランス」を開発いたしました。
従来必要であったアクセスコントロール用の制御器、無線タグなどを使用せず、既存の自動ドアセンサーからBluetooth機能を搭載した自動ドアセンサーOAB-215に交換し、専用のスマートフォンアプリをダウンロードするだけでハンズフリーでの入室や宅配業者の置き配連携が可能になるなど、これまでにない低コストでスマートなマンションエントランスを簡単に実現できるシステム・サービスになります。2024年にはマンションディベロッパー様と連携し、順次サービスを開始する予定です。
※OMNICITY:出入り口に設置された自動ドアセンサーにBluetooth機能を搭載することで、通行者に商品情報やクーポンの配信、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となるプラットフォーム
(3) その他
その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。
また、独自の画像センシング技術による人検知・人数計測など客数情報システムの開発・販売も手掛けております。これまでの客数データによる集客・購買のマーケティング分析での活用に加え、施設利用者の快適性・利便性の向上を目的に、フロアやゾーンの滞在人数・滞在時間といったリアルタイムデータを用いた空調制御・混雑案内などにセンサーを利用する事例が増えております。この様にDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した計測ニーズに対応し、顧客の意思決定の根拠となる高精度なデータを提供するために、様々なセンサー製品の開発に取り組んでまいります。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 水質モニタリングサービス 「WATER it」
水質計測分野におきましては、計測データを含むソリューションを提供する簡易水質測定システム「WATER it」の展開に引き続き注力しております。本サービスは、「水の未来をつくる」をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDXとして現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。
2023年には1台の変換器でより多くの計測器を使用したいというご意見にお応えして、ユニバーサル変換器(SC-U1)に接続できるアナログ拡張ボード(SC-U-EB2)を開発いたしました。これによりアナログ式の計測器も接続が可能となり現場対応力が増しご利用いただきやすくなりました。本サービス「WATER it」において、お客様のご意見、ご要望に寄り添った対応を進め、ご利用満足度の向上を図っております。
② 客数情報カウントシステム
客数情報カウントシステムにおきましては、店舗に来店される客数・属性・購買・混雑など、運営におけるマーケティングデータの取得・活用の課題に対し、センサー及びクラウドサービスにて商品展開を進めております。
新製品として「客数+男女年齢」計測センサー「AIO-FX1」を開発し、売場内の購買行動計測センサー「AIO-CX1」とのラインアップを揃え、クラウドサービスプラットフォームの「パッサークラウド(PASSER-Cloud)」にて、データ集計・分析・遠隔保守などをサブスクリプションにて提供し、小売業界の店舗マネージメントを支援します。
今後は、さらなる客数データの活用を可能とするコンテンツとして、予測分析ツール、リアルタイム混雑案内、センサービーコンによる販促支援など「店舗DXニーズ」に対応したソリューションの提供を拡充してまいります。
(1) FA関連
FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計などのセンサー及び産業IoT(IIoT)※、環境の構築に貢献するIO-Link※製品など、幅広く開発しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
※産業IoT(IIoT):Industrial Internet of Thingsの略で、産業用機械や装置・設備・システムなどをネットワークで相互接続し、現場作業の効率化や見える化などを実現するもの
※IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ
① 高輝度センシングバー照明 「OPB-Xシリーズ」
従来からの独自技術であるセンシング照明を進化させた、新技術「FALUX sensing +」を搭載したセンシングLED照明第一弾を発売いたしました。多機能LED照明コントローラーOPPXシリーズと接続することでモニタリング・フィードバック制御に加え、照明個体の識別が可能で、個体ごとに異なる累積点灯時間などのデータを参照でき、予知保全に利用できます。
さらに、従来のコントローラー、照明では同じ調光値(明るさ)設定でも、ケーブル長が異なることで照明の明るさに違いが発生しておりました。このような課題に対応すべく、新しい調光方式L-INT(照明内調光)を内蔵し、延長ケーブルによる電圧降下に伴う光量低下が発生せず、安定した明るさが得られるようになりました。
② IO-Link拡張ユニット(アナログI/O)「UR-DS4AD/DA」
IO-Linkポート1CHを4CHのアナログI/Oに変換するIO-Link拡張ユニットを新たに機種追加いたしました。
IO-Link拡張ユニットの上位はIO-LinkマスタURシリーズで、IO-Link通信にて1:1で接続いたします。本製品により、IO-Linkポート1CHをアナログ・デジタルI/Oに変換し拡張できるようになり、現場のI/O機器をまとめ、省配線・大幅なコストダウンを実現いたします。
③ マルチプロトコル対応IO-Linkマスタ 「URシリーズ」 e-CON接続対応機種追加
コンパクトなIO-Linkマスタの利便性をさらに向上させるべく、業界で広く普及しているe-CONコネクタ接続が可能な機種を追加いたしました。16チャネルのセンサー接続部分をe-CON化することにより現場での配線工数、メンテナンス工数の削減に貢献いたします。本製品により、IoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることができると考えております。
※Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ
④ IO-Link対応高機能デジタルファイバーセンサー「D4RFシリーズ」高精度タイプ・アナログ出力タイプ追加
超高速応答(16μs)、高機能デジタルファイバーセンサーD4RFシリーズに新たに機種を追加いたしました。
高精度タイプは、受光量飽和の影響を低減し、近距離での微小物体検出、あるいは僅かな受光量の変化を捉える微分検知の検出能力を向上させました。アナログ出力タイプは、OLEDディスプレイ※による操作性・視認性の良さはそのままに、受光量に応じたアナログ電圧あるいは電流値が出力可能になりました。検出物の状態変化のモニターにアナログ入力機器などの従来資産をご活用いただけます。設備導入コストを抑えながら製造品質の監視、簡易フィードバック制御が可能となります。
※OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ
(2) MVL関連
MVL関連におきましては、お客様の困り事を解決するために光を軸としたソリューション提案を磨くことで、お客様の検査品質向上に努めてまいりました。さらに、昨今の人手不足改善へのご要望にお答えするため、カメラ、レンズ、画像処理ソフト、装置、産業ロボットなどを活用した検査・計測のトータルソリューションへ活動の幅を広げております。
そして、高度化・多様化しているお客様の課題を解決すべく、従来からの照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、生成AIなどの先進技術の積極的な利用や、光学・制御に関する研究開発、オプテックスグループ企業間の技術連携によるシナジー効果にも力を入れております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 検査照明の新規アプリケーションへの挑戦
スマートフォン用や車載用のデジタルカメラモジュールの生産工程に用いられ、明るさや色を調整する際に基準となる光源として基準光源「LDF-RLSシリーズ」を開発いたしました。4種類の色温度切替を可能にした「4色温度切替タイプ」と2800K~7600Kの間で任意に色温度を調整可能な「2色混合調色タイプ」の2タイプをラインアップし、複数の色温度が必要となる検査用途に対して1台の基準光源で対応を可能といたしました。これによって課題とされていた光源の変更作業が不要となり、お客様の生産効率向上に大きく貢献しております。
フィルム・半導体・ガラスなどの製造で行われるコーティング工程にて塗装のムラや有無を検出するために、三波長蛍光灯やナトリウムランプなどの代替光源としてレーザー光検査用照明「LDF-NBシリーズ」を開発いたしました。ムラの検出に有効とされる干渉縞を発生させるのに適しているレーザー光を利用すると同時に、レーザー光固有の問題とされるスペックルノイズに対して独自の光学設計によってノイズを低減させ、発光面の均一度も高めております。このように、市場ニーズを敏感に捉え、照明開発によって新規アプリケーションへの挑戦を続けております。
② LED照明用多機能デジタル電源 「CDーVAシリーズ」/PCI Expressボード型照明コントローラー「CXシリーズ」
シーシーエス株式会社及びオプテックス・エフエー株式会社にて、両社の技術を集約しマシンビジョンに不可欠な機能を搭載した照明コントローラーを共同開発いたしました。調光制御は、定番のPWM及び電圧可変のほか、高速生産ラインで必要とされるオーバドライブが可能です。点灯制御のためのシーケンスやレシピ設定機能は、分割発光のパターン制御に適しており、フォトメトリックステレオ法での撮像に便利な機能です。外部制御通信方式は、イーサネット、パラレル通信、USB通信のほかRS-232Cをサポートします。
また、シーシーエス株式会社及びサンリツオートメイション株式会社にてパソコンのマザーボード規格であるPCI Expressに対応する照明コントローラーを共同開発いたしました。照明コントローラーをパソコン内部に組み込めるため、電源を設置するスペースやパソコンとの配線が不要となり、画像処理検査システムの省スペース化、省配線化に貢献します。最大4チャネルの照明を接続でき、出力60W/120Wの2タイプがあるためシーシーエス株式会社の照明の大部分に対応しています。フォトメトリックステレオ法での撮像に便利なシーケンス制御機能も備えています。また、トリガー出力が可能なため、カメラとの同期や次の発光を設定するためのシステム構築工数を削減できます。今後もこのようにグループの総合力を活用し、お客さまに求められる新しい価値を提供できる製品を開発してまいります。
③ AIによる外観検査の取り組み
外観検査にAIを活用するためには、学習用データを作成・検証しAIモデルを作成する「学習」と、AIモデルに検査画像を入力して「推論」を行うプロセスが必要です。2022年には、直感的な操作でAI推論用アプリケーションを構築できる「ソリューション愛(AI)」(ソリューションアイ)の提供を開始いたしました。
AIの活用をさらに加速すべく、2023年は、生成AI技術をコアにした株式会社データグリッドとの業務提携契約を結びました。データグリッド社が保有する生成AI技術は、少量の不良品画像から高品質で多種多様な不良品画像を大量に生成できるため、外観検査システムのAI導入課題とされている学習用データの作成が可能となります。
シーシーエス株式会社では、2018年にAIラボを開設して以降、複数のAIベンダーとパートナーシップを構築し、お客様に最適なAIソフトウェアの提案をするなど、外観検査の「見える」を実現するためのソリューションをグローバルに展開しております。生成AI技術の特徴を組み合わせることで、製造現場へのAI外観検査導入を強力にサポートしてまいります。
(3) IPC関連
IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラー装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、広くお客様のニーズに対応しております。
当連結会計年度では、国立の研究機関・大学と共同で、次の新しい取り組みを始めました。
① 磁歪発電IoT端末の研究
2023年8月に、東北特殊鋼株式会社及び国立大学法人東北大学と共同で磁歪発電IoT端末の研究開発を「宮城県新規参入・新産業創出等支援事業費補助金(グループ開発型)」に応募し、採択されました。
各種データ収集に、IoT端末が利用されますが、往々にして電源確保が課題となります。電池で賄う場合も、意図しない電池劣化で情報収集が出来なくなる、また定期的な電池交換も必要になり、メンテナンスも課題です。
当社では、各課題を解決するメンテナンスフリーの自己発電型IoT端末の研究開発に取り組んでおります。振動で発電する磁歪発電と小電力で稼働するIoT端末で、今まで運用が困難だった場所でのデータ収集に貢献したいと考えております。
② 無線環境モニタリングシステムの研究
2023年11月に、無線環境モニタリングシステムの研究開発が国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の高度通信・放送研究開発委託研究の公募で採択されました。
製造現場では、トータルの導入コスト低減や、作業者の生産性向上を目的に無線機器の活用が増えております。また、医療現場でも、機器の移動に便利な無線機器の活用が増えております。一方、無線通信トラブル発生時、原因が分からず復旧までに時間がかかる事例も多く発生していることが分かって来ました。
本研究で、無線通信トラブルの復旧に向けた具体的な行動示唆を行い、トラブル発生から復旧までの時間を従来の1/2以下にすることを目指した、無線環境モニタリングシステムの研究を行っております。
(4) MECT関連
MECT関連におきましては、電動自動車用などの二次電池製造装置や、電気・電子・医薬品などの多様な産業分野向け自動化装置及び画像処理検査装置を開発・製造・販売しております。高度なメカトロ技術※や画像処理技術により、ものづくりの現場の生産性向上と品質向上に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
※メカトロ技術:メカトロニクス技術の略称で、機械工学(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)を融合させた技術分野のこと
① 立体物(鋳造品・成型品)高速外観検査プラットフォーム
複雑な形状をしたワーク(製品)でも、超高速の駆動機構を用いて様々な撮像方向から自由自在に外観検査をすることができます。また、凹凸に強い独自の照明技術を用いて検出能力を向上させており、良品を不良品と判定してしまう過検出の低減を実現できます。
また多関節ロボットなどを用いて外観検査を自動化する場合、検査所用時間の点で量産品全数検査などに利用できないことがありますが、当社の高速外観検査装置は、スムーズかつ高速に動き、検査の時間を短縮することに成功いたしました。
② 簡単・直感的に設定できる「ラクラクティーチング」アルゴリズム
画像検査装置やロボットの利用経験がない担当者でも、3Dモデルのデータ上から検査したい個所を直感的な操作で指定するだけで、装置が最適な動作をするように自動生成するプログラムを、外観検査装置の全ラインアップに搭載可能といたしました。
今後は、鋳造部品、樹脂成型部品製造や、電子機器組立など、様々な分野の幅広い企業規模の皆様に外観検査ソリューション事業を展開してまいります。
センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は3,385百万円であり、対売上高比率は6.0%となっております。
(1) 防犯関連
防犯関連におきましては、ウクライナ情勢の長期化や物価高騰に伴う社会不安の増大、さらには、近年の自然災害の頻発などにより、社会の安全・安心に対するニーズがますます高まっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所などの重要施設のみならず、事業所・商業施設などの民間施設及び一般住宅でも、防犯カメラシステム、侵入警戒システム、遠隔監視システムなどの需要が高まっております。当社はこのような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① レーザースキャンセンサー 「REDSCAN mini Proシリーズ」
データセンター及び発電所などの重要インフラ施設でのスポットエリア警戒を目的とした「REDSCAN mini Proシリーズ」を開発いたしました。このセンサーはレーザー光を照射し、対象物の「大きさ」「速度」「センサーからの距離」を識別できる高機能レーザースキャンセンサーです。2021年に発売いたしました「REDSCAN Proシリーズ」に続き、さらなる進化を遂げラインアップを強化いたしました。警戒エリアは20m/90°のスポットエリア警戒用とし、防犯カメラシステムとの統合への要求に応え、新たに開発した赤外線LED照明照射技術とフルHDカメラを組合せることで、より映像確認がしやすくなり、様々な警戒環境での利用を実現いたしました。夜間や暗所での映像撮影においても、赤外線LED照明が侵入者の位置に応じて自動調整し、鮮明な映像を提供いたします。また、様々な警戒用途、顧客ニーズに対応するため、柔軟な警戒エリア設定や方向判別機能、検知時の映像記録など、高度な機能を搭載いたしました。これにより、屋外問わず通用口や窓以外もくまなく警戒でき、セキュリティ性の向上が期待できます。
② 屋内防犯センサー
一般家庭、小規模店舗などにて電池駆動ワイヤレス型センサーの需要が高まる中、2022年に発売した「FlipXシリーズ」をベースにワイヤレスRF信号送受信機能を搭載した電池駆動モデルを開発いたしました。低消費電流を保ちつつ業界最長クラスの電波到達飛距離を実現いたしました。
また、オフィス、工場などにてシリアルバス通信型センサーの需要も高まっており、同「FlipXシリーズ」をベースにバス通信機能を搭載したモデルを開発いたしました。バス通信にて双方向通信を実現し、アラームコントロールパネルより遠隔でセンサー感度などを調整できる機能も備えております。これらのシリーズラインアップ拡充により、より幅広い顧客ニーズに応え様々な用途に対応することが期待できます。
(2) 自動ドア関連
自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。
現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約6割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と、当社は高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、各地域特性に応じた製品を開発し、北米、欧州、アジア地域での市場シェアも順調に伸長しております。
また、自動ドア関連事業において進めている「モノ売り」から「コト売り」への事業拡大に関しても、システム開発やアプリ開発を積極的に進め、2024年には新たなサービスの立上げを予定しております。
さらに、当社が得意とする光技術に加えて、二酸化炭素排出量削減に寄与できる新しい技術開発を積極的に進め、より快適な社会環境実現に貢献してまいります。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 日本市場向けスライドドア戸袋用センサー「プロセーフFシリーズ」 OA-220CAN(FL)/(FR)
日本市場において2017年3月に自動ドア全般にわたる安全規格「JIS A 4722 歩行者用自動ドアセット-安全性」が制定されました。同規格制定を機にスライドドアの戸袋側安全を実現する手段として防護柵などに加え、センサーによる対策としてご利用頂ける新機種「プロセーフFシリーズ」を開発いたしました。このセンサーは従来機種では設定できなかった戸袋に対応したエリア調整機能を搭載し、様々な設置環境に応じてご利用頂けるセンサーとなっております。
現在、戸袋側の安全対策としては、防護柵の設置が主流となっておりますが、センサーによる戸袋側の安全対策を実現することで、エントランスの美観性や施工性の向上に貢献することが可能となります。
また、センサーによる戸袋側の安全対策は日本における新たなセンサー市場拡大の契機と捉え、さらなる普及を目指してまいります。
② 日本市場向け自動ドア用非接触スイッチ 「Clean Wave™」OMH-100D
食品工場や冷蔵冷凍倉庫、クリーンルームなどの自動ドア向けの非接触スイッチ「Clean Wave™」OMH-100D」を2024年2月より販売開始いたしました。0℃以下の厳しい温度環境下でも使用可能な耐環境性能及び薄型のデザインを特徴とし、これまでセンサーの設置が避けられてきた冷蔵冷凍倉庫などの自動ドアへの普及を目指してまいります。また今後は、自動ドア以外の用途への普及に加え、北米市場への拡販も目指してまいります。
③ OMNICITY新サービス 「スマートエントランス」
2020年より、日本市場において自動ドアセンサーを活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)※」を開始いたしました。その後、Bluetooth機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215シリーズ(以下、OAB-215)」を市場投入し、順調にビジネスを拡大しております。また、「OMNICITY」の新しいサービスとして、マンション共用部における入退室を自動ドアセンサーOAB-215とスマートフォンアプリで実現するシステム「スマートエントランス」を開発いたしました。
従来必要であったアクセスコントロール用の制御器、無線タグなどを使用せず、既存の自動ドアセンサーからBluetooth機能を搭載した自動ドアセンサーOAB-215に交換し、専用のスマートフォンアプリをダウンロードするだけでハンズフリーでの入室や宅配業者の置き配連携が可能になるなど、これまでにない低コストでスマートなマンションエントランスを簡単に実現できるシステム・サービスになります。2024年にはマンションディベロッパー様と連携し、順次サービスを開始する予定です。
※OMNICITY:出入り口に設置された自動ドアセンサーにBluetooth機能を搭載することで、通行者に商品情報やクーポンの配信、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となるプラットフォーム
(3) その他
その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。
また、独自の画像センシング技術による人検知・人数計測など客数情報システムの開発・販売も手掛けております。これまでの客数データによる集客・購買のマーケティング分析での活用に加え、施設利用者の快適性・利便性の向上を目的に、フロアやゾーンの滞在人数・滞在時間といったリアルタイムデータを用いた空調制御・混雑案内などにセンサーを利用する事例が増えております。この様にDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した計測ニーズに対応し、顧客の意思決定の根拠となる高精度なデータを提供するために、様々なセンサー製品の開発に取り組んでまいります。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 水質モニタリングサービス 「WATER it」
水質計測分野におきましては、計測データを含むソリューションを提供する簡易水質測定システム「WATER it」の展開に引き続き注力しております。本サービスは、「水の未来をつくる」をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDXとして現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。
2023年には1台の変換器でより多くの計測器を使用したいというご意見にお応えして、ユニバーサル変換器(SC-U1)に接続できるアナログ拡張ボード(SC-U-EB2)を開発いたしました。これによりアナログ式の計測器も接続が可能となり現場対応力が増しご利用いただきやすくなりました。本サービス「WATER it」において、お客様のご意見、ご要望に寄り添った対応を進め、ご利用満足度の向上を図っております。
② 客数情報カウントシステム
客数情報カウントシステムにおきましては、店舗に来店される客数・属性・購買・混雑など、運営におけるマーケティングデータの取得・活用の課題に対し、センサー及びクラウドサービスにて商品展開を進めております。
新製品として「客数+男女年齢」計測センサー「AIO-FX1」を開発し、売場内の購買行動計測センサー「AIO-CX1」とのラインアップを揃え、クラウドサービスプラットフォームの「パッサークラウド(PASSER-Cloud)」にて、データ集計・分析・遠隔保守などをサブスクリプションにて提供し、小売業界の店舗マネージメントを支援します。
今後は、さらなる客数データの活用を可能とするコンテンツとして、予測分析ツール、リアルタイム混雑案内、センサービーコンによる販促支援など「店舗DXニーズ」に対応したソリューションの提供を拡充してまいります。
(1) FA関連
FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計などのセンサー及び産業IoT(IIoT)※、環境の構築に貢献するIO-Link※製品など、幅広く開発しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
※産業IoT(IIoT):Industrial Internet of Thingsの略で、産業用機械や装置・設備・システムなどをネットワークで相互接続し、現場作業の効率化や見える化などを実現するもの
※IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ
① 高輝度センシングバー照明 「OPB-Xシリーズ」
従来からの独自技術であるセンシング照明を進化させた、新技術「FALUX sensing +」を搭載したセンシングLED照明第一弾を発売いたしました。多機能LED照明コントローラーOPPXシリーズと接続することでモニタリング・フィードバック制御に加え、照明個体の識別が可能で、個体ごとに異なる累積点灯時間などのデータを参照でき、予知保全に利用できます。
さらに、従来のコントローラー、照明では同じ調光値(明るさ)設定でも、ケーブル長が異なることで照明の明るさに違いが発生しておりました。このような課題に対応すべく、新しい調光方式L-INT(照明内調光)を内蔵し、延長ケーブルによる電圧降下に伴う光量低下が発生せず、安定した明るさが得られるようになりました。
② IO-Link拡張ユニット(アナログI/O)「UR-DS4AD/DA」
IO-Linkポート1CHを4CHのアナログI/Oに変換するIO-Link拡張ユニットを新たに機種追加いたしました。
IO-Link拡張ユニットの上位はIO-LinkマスタURシリーズで、IO-Link通信にて1:1で接続いたします。本製品により、IO-Linkポート1CHをアナログ・デジタルI/Oに変換し拡張できるようになり、現場のI/O機器をまとめ、省配線・大幅なコストダウンを実現いたします。
③ マルチプロトコル対応IO-Linkマスタ 「URシリーズ」 e-CON接続対応機種追加
コンパクトなIO-Linkマスタの利便性をさらに向上させるべく、業界で広く普及しているe-CONコネクタ接続が可能な機種を追加いたしました。16チャネルのセンサー接続部分をe-CON化することにより現場での配線工数、メンテナンス工数の削減に貢献いたします。本製品により、IoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることができると考えております。
※Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ
④ IO-Link対応高機能デジタルファイバーセンサー「D4RFシリーズ」高精度タイプ・アナログ出力タイプ追加
超高速応答(16μs)、高機能デジタルファイバーセンサーD4RFシリーズに新たに機種を追加いたしました。
高精度タイプは、受光量飽和の影響を低減し、近距離での微小物体検出、あるいは僅かな受光量の変化を捉える微分検知の検出能力を向上させました。アナログ出力タイプは、OLEDディスプレイ※による操作性・視認性の良さはそのままに、受光量に応じたアナログ電圧あるいは電流値が出力可能になりました。検出物の状態変化のモニターにアナログ入力機器などの従来資産をご活用いただけます。設備導入コストを抑えながら製造品質の監視、簡易フィードバック制御が可能となります。
※OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ
(2) MVL関連
MVL関連におきましては、お客様の困り事を解決するために光を軸としたソリューション提案を磨くことで、お客様の検査品質向上に努めてまいりました。さらに、昨今の人手不足改善へのご要望にお答えするため、カメラ、レンズ、画像処理ソフト、装置、産業ロボットなどを活用した検査・計測のトータルソリューションへ活動の幅を広げております。
そして、高度化・多様化しているお客様の課題を解決すべく、従来からの照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、生成AIなどの先進技術の積極的な利用や、光学・制御に関する研究開発、オプテックスグループ企業間の技術連携によるシナジー効果にも力を入れております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 検査照明の新規アプリケーションへの挑戦
スマートフォン用や車載用のデジタルカメラモジュールの生産工程に用いられ、明るさや色を調整する際に基準となる光源として基準光源「LDF-RLSシリーズ」を開発いたしました。4種類の色温度切替を可能にした「4色温度切替タイプ」と2800K~7600Kの間で任意に色温度を調整可能な「2色混合調色タイプ」の2タイプをラインアップし、複数の色温度が必要となる検査用途に対して1台の基準光源で対応を可能といたしました。これによって課題とされていた光源の変更作業が不要となり、お客様の生産効率向上に大きく貢献しております。
フィルム・半導体・ガラスなどの製造で行われるコーティング工程にて塗装のムラや有無を検出するために、三波長蛍光灯やナトリウムランプなどの代替光源としてレーザー光検査用照明「LDF-NBシリーズ」を開発いたしました。ムラの検出に有効とされる干渉縞を発生させるのに適しているレーザー光を利用すると同時に、レーザー光固有の問題とされるスペックルノイズに対して独自の光学設計によってノイズを低減させ、発光面の均一度も高めております。このように、市場ニーズを敏感に捉え、照明開発によって新規アプリケーションへの挑戦を続けております。
② LED照明用多機能デジタル電源 「CDーVAシリーズ」/PCI Expressボード型照明コントローラー「CXシリーズ」
シーシーエス株式会社及びオプテックス・エフエー株式会社にて、両社の技術を集約しマシンビジョンに不可欠な機能を搭載した照明コントローラーを共同開発いたしました。調光制御は、定番のPWM及び電圧可変のほか、高速生産ラインで必要とされるオーバドライブが可能です。点灯制御のためのシーケンスやレシピ設定機能は、分割発光のパターン制御に適しており、フォトメトリックステレオ法での撮像に便利な機能です。外部制御通信方式は、イーサネット、パラレル通信、USB通信のほかRS-232Cをサポートします。
また、シーシーエス株式会社及びサンリツオートメイション株式会社にてパソコンのマザーボード規格であるPCI Expressに対応する照明コントローラーを共同開発いたしました。照明コントローラーをパソコン内部に組み込めるため、電源を設置するスペースやパソコンとの配線が不要となり、画像処理検査システムの省スペース化、省配線化に貢献します。最大4チャネルの照明を接続でき、出力60W/120Wの2タイプがあるためシーシーエス株式会社の照明の大部分に対応しています。フォトメトリックステレオ法での撮像に便利なシーケンス制御機能も備えています。また、トリガー出力が可能なため、カメラとの同期や次の発光を設定するためのシステム構築工数を削減できます。今後もこのようにグループの総合力を活用し、お客さまに求められる新しい価値を提供できる製品を開発してまいります。
③ AIによる外観検査の取り組み
外観検査にAIを活用するためには、学習用データを作成・検証しAIモデルを作成する「学習」と、AIモデルに検査画像を入力して「推論」を行うプロセスが必要です。2022年には、直感的な操作でAI推論用アプリケーションを構築できる「ソリューション愛(AI)」(ソリューションアイ)の提供を開始いたしました。
AIの活用をさらに加速すべく、2023年は、生成AI技術をコアにした株式会社データグリッドとの業務提携契約を結びました。データグリッド社が保有する生成AI技術は、少量の不良品画像から高品質で多種多様な不良品画像を大量に生成できるため、外観検査システムのAI導入課題とされている学習用データの作成が可能となります。
シーシーエス株式会社では、2018年にAIラボを開設して以降、複数のAIベンダーとパートナーシップを構築し、お客様に最適なAIソフトウェアの提案をするなど、外観検査の「見える」を実現するためのソリューションをグローバルに展開しております。生成AI技術の特徴を組み合わせることで、製造現場へのAI外観検査導入を強力にサポートしてまいります。
(3) IPC関連
IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラー装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、広くお客様のニーズに対応しております。
当連結会計年度では、国立の研究機関・大学と共同で、次の新しい取り組みを始めました。
① 磁歪発電IoT端末の研究
2023年8月に、東北特殊鋼株式会社及び国立大学法人東北大学と共同で磁歪発電IoT端末の研究開発を「宮城県新規参入・新産業創出等支援事業費補助金(グループ開発型)」に応募し、採択されました。
各種データ収集に、IoT端末が利用されますが、往々にして電源確保が課題となります。電池で賄う場合も、意図しない電池劣化で情報収集が出来なくなる、また定期的な電池交換も必要になり、メンテナンスも課題です。
当社では、各課題を解決するメンテナンスフリーの自己発電型IoT端末の研究開発に取り組んでおります。振動で発電する磁歪発電と小電力で稼働するIoT端末で、今まで運用が困難だった場所でのデータ収集に貢献したいと考えております。
② 無線環境モニタリングシステムの研究
2023年11月に、無線環境モニタリングシステムの研究開発が国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の高度通信・放送研究開発委託研究の公募で採択されました。
製造現場では、トータルの導入コスト低減や、作業者の生産性向上を目的に無線機器の活用が増えております。また、医療現場でも、機器の移動に便利な無線機器の活用が増えております。一方、無線通信トラブル発生時、原因が分からず復旧までに時間がかかる事例も多く発生していることが分かって来ました。
本研究で、無線通信トラブルの復旧に向けた具体的な行動示唆を行い、トラブル発生から復旧までの時間を従来の1/2以下にすることを目指した、無線環境モニタリングシステムの研究を行っております。
(4) MECT関連
MECT関連におきましては、電動自動車用などの二次電池製造装置や、電気・電子・医薬品などの多様な産業分野向け自動化装置及び画像処理検査装置を開発・製造・販売しております。高度なメカトロ技術※や画像処理技術により、ものづくりの現場の生産性向上と品質向上に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
※メカトロ技術:メカトロニクス技術の略称で、機械工学(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)を融合させた技術分野のこと
① 立体物(鋳造品・成型品)高速外観検査プラットフォーム
複雑な形状をしたワーク(製品)でも、超高速の駆動機構を用いて様々な撮像方向から自由自在に外観検査をすることができます。また、凹凸に強い独自の照明技術を用いて検出能力を向上させており、良品を不良品と判定してしまう過検出の低減を実現できます。
また多関節ロボットなどを用いて外観検査を自動化する場合、検査所用時間の点で量産品全数検査などに利用できないことがありますが、当社の高速外観検査装置は、スムーズかつ高速に動き、検査の時間を短縮することに成功いたしました。
② 簡単・直感的に設定できる「ラクラクティーチング」アルゴリズム
画像検査装置やロボットの利用経験がない担当者でも、3Dモデルのデータ上から検査したい個所を直感的な操作で指定するだけで、装置が最適な動作をするように自動生成するプログラムを、外観検査装置の全ラインアップに搭載可能といたしました。
今後は、鋳造部品、樹脂成型部品製造や、電子機器組立など、様々な分野の幅広い企業規模の皆様に外観検査ソリューション事業を展開してまいります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01998] S100T4MC)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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