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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W29I (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 カヤバ株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


(1) 目的

当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、2023年度よりスタートした2023中期経営計画の「品質経営を極める」をスローガンとして、カヤバグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。
現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化、電動化への対応及び軽量化や省エネルギー、CO2削減への貢献、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってカヤバグループの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。

(2) 体制

当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。
研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品及び性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、欧州技術者駐在員事務所(欧州テクニカルセンターと同敷地内)を活用し、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集し、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。
工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。各部門でAIやIoTなどのデジタル技術の全社的活用・推進を行っています。
一方で、従来からの研究開発及び製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも進めております。
まず、持続的成長のための商品開発として、EV化や自動化に対応すべく当社のコア技術である振動制御・パワー制御と電子制御、センサ、電動機・インバータ等の技術を高度に融合させ、BEV、建機、産業用車両の安全・快適性能の追求、エネルギー消費低減、自動運転へ貢献する製品の開発を進めております。基盤技術研究所電動化ユニット先行開発室をはじめとした各技術部門で、建設機械の電動化対応製品の開発加速も図っております。また収益力強化としてShip’30活動としてデジタル技術を軸にしたカヤバ生産方式の追究と進化による次世代革新工場を目指し、生産工程・設備管理革新のためのデジタル技術やAI技術の研究開発も進めております。
製品開発や新サービスの展開、生産工程・設備管理革新により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。
当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売及び製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。
製品の高機能化やシステム化、電動化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。

(3) 成果

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は7,839百万円であります。
① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
四輪車用の油圧緩衝器では、電動化・自動運転化が進む将来において、比例ソレノイド(連結子会社である株式会社タカコとの共同開発による内製)を搭載した電子制御減衰力調整式ショックアブソーバの採用拡大が今後も引き続き見込まれております。上質で滑らかな走りと圧倒的な乗り心地の良さを実現する本製品は、更なる原価低減の取り組みの他、車両への搭載性に優れる減衰力可変機構を内部に配置したショックアブソーバの開発を自動車メーカーと進めており、製品ラインナップの拡充を図ることで今後のお客様の様々なご要求に対応してまいります。一方、アフターマーケット向けには早期の上市を目指し、減衰力調整式ショックアブソーバの技術を応用した電子制御サスペンションシステムActRide®の開発を進めております。センサを内蔵した独自のECUと組み合わせることで車両の挙動を検知し高度な制御を可能にする本製品は、お客様ご自身のスマートフォンに専用アプリをインストールすることで車内から簡単にその日の気分やシーンに応じた「走り」と「乗り心地」を自由に設定いただくことができ、”楽しい・快適”を両立した満足感を提供いたします。また、環境に配慮した業界初の生分解性を有する作動油SustainaLub®(サステナルブ®)については、量産化に向けた造り込みを継続する他、将来的な作動油のリサイクルの実現に向けた取り組みを計画しております。全日本ラリー(カヤバラリーチーム)におけるモータースポーツの過酷な使用環境から回収した作動油を独自の知見に基づき再精製し再び使用する試みを実行に移すことで新たな技術の確立を目指します。今後も魅力ある技術の提案及び新製品の展開を進め、持続可能なモビリティ社会への貢献を果たしてまいります。
欧州テクニカルセンターでは、電子制御減衰力調整式ショックアブソーバを、制御ソフト含めシステムで開発しています。さらなる性能向上として、2つの減衰力可変機構を持つショックアブソーバの開発を行い、量産を開始し順次採用モデルを拡大しております。本製品は、伸び側と縮み側の減衰力を独立に、高速かつ精密な応答で調整可能となっており、お客様に対して、路面状況や好みに合わせて車両挙動を常に最適にコントロールすることで、安全でダイナミックな操縦性とかつてない乗り心地の実現に貢献します。これらの製品を中心とした高付加価値製品の開発を継続し、カヤバグループの一員として、各欧州顧客へのアプローチを推進し、今後さらに高まる電動化・自動運転化に対する要求への対応を進めていきます。
二輪車用の油圧緩衝器では、電動モーターサイクル用に当社製倒立型フロントフォークおよびリアクッションユニットが採用されました。モトクロス用モデルでは倒立フロントフォークに衝撃吸収性を改善したデルタ型バルブ(圧側高速の過度な減衰力発生を抑制するバルブ)を開発し採用されました。またハイエンドスーパースポーツモデルにはSAからの応用であるスウィングバルブを搭載したリアクッションが採用されました。国内の二輪車レースシーンにおいては、全日本ロードレース選手権(JSB1000)及び全日本モトクロス選手権IA1クラスにおいて(いずれも最上級カテゴリー)、当社製のフロントフォークとリアクッションを装着した選手がいずれも総合優勝を収めました。今後も様々な製品開発を行い、多岐にわたって高い技術力をお届けします。
四輪車用電動パワーステアリング機器では、連結子会社である長岡カヤバ株式会社で生産するコントローラ一体型モータ(PowerPack)をベースに、要求が高まる自動運転やステアバイワイヤに対応可能なステアリングアクチュエータを開発しております。機能失陥後も作動が継続可能な冗長機能を有した次世代PowerPackを採用し、2025年に市販される車両向けに2024年後半より製品供給を開始しました。また、将来のステアバイワイヤシステム提供を目指し、海外と日本に評価車両(デモカー)を配置し自動車メーカーとの先行開発や技術提案も進めています。
四輪用オイルポンプ製品では、これまでのトランスミッション用製品で培った高圧領域で静粛性や効率に優れるベーン式に加え、低圧領域での商品性の高い内接ギヤ式をポンプ部分のラインナップに加え、モータと組合せた電動オイルポンプを開発し、2027年から車載機器向けに量産を開始する予定です。並行して、需要が増えているeAxleやバッテリーなどEV基幹部品を始め、幅広く熱マネジメントに貢献する製品供給を目指し、低粘度油(冷媒)への適合開発や展示会への出展などの活動も推進しております。
鉄道車両用製品では、2024年4月にデビューした新型車両の273系特急「やくも」に、オイルダンパ、自動高さ調整弁、および差圧弁が採用されました。また、N700S系新幹線のフルアクティブ制振制御装置には当社のマルチモードアクチュエータが採用されております。
2023年より全日本ラリー選手権に参戦を開始したカヤバ社員チームは、2024年には、社員ドライバーを起用した、オールカヤバ社員チームでの挑戦を開始し、好成績(最高位6位)を獲得しました。また、実践を通じたフィードバック開発により、各クラスにてカヤバサスペンション装着チームが、好成績を獲得しております。2025年は更なる成長を目指し、引き続き、全日本ラリー選手権の最高峰クラスに挑戦しております。実践で得た技術ノウハウをフィードバックし、新たな新商品開発を通じ、人材育成も推進してまいります。
電動化・自動運転の拡大や様々な情報流通インフラ整備を踏まえ、自社製品の作動状況(情報)を活用する道路モニタリングシステムの開発も進めており、電子制御を始めとしたシステム製品を応用することでCASE/MaaSに向けた新用途・新商品開発を推進しています。
当セグメントにおける研究開発費の金額は5,807百万円であります。
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
HC事業では、コア製品である油圧ポンプ、バルブ、シリンダ、モータのラインナップ拡充や省エネ性能向上、コスト低減といった競争力向上に向けた開発と併行し、自動化・遠隔操作・電動化・IoT化等の将来ニーズに対応する電子制御化、省エネシステム、センシング技術、電動ユニット等の新たな付加価値創造に向けた開発を進めています。ショベル向けでは、2022年度にミニ小型クラス用から量産適用を開始した、「電子制御コントロールバルブ(バルブの操作信号を油圧から電気信号へ変更)」について、中型クラス用への適用開発を順調に進めています。オペレータの操作要求に対して高い応答性・安定性を提供することで、母機の自動化対応、操作性・作業効率の向上に貢献します。ミニショベル向けでは、現行品(PSVL-42)に対し大幅な小型化、低コスト化、また最大押しのけ容積と最高使用圧力をUPした3~4tクラス向けロードセンシングシステム用ポンプ「PSVL-50」の量産を開始いたしました。性能向上と環境ニーズを両立した商品としてご採用頂いています。IoTを活用したシステム製品としては、「油状態診断システム」の開発を継続しています。建設機械や工場設備で使用される油圧機器の作動油状態をカヤバ独自の油状態センサでリアルタイムに検知、クラウド上で分析、作動油・機器の劣化異常を診断し、保守・交換の時期を適切なタイミングで提案します。現在、2026年のサービス開始に向け、市場での実証評価を積み重ねております。センサ単体の「モノ売り」に加え、サービスを提供する「コト売り」商品として、機械停止ロスの未然防止、廃油量削減、メンテナンス最適化への貢献を目指します。
当セグメントにおける研究開発費の金額は1,947百万円であります。
③ 航空機器事業
航空機器事業は、事業ポートフォリオの全面的な再検討の結果、経営資源の選択と集中による企業競争力強化を図るべく、2022年2月9日に事業の撤退を公表いたしました。その後、航空機器に関わる製品開発ならびに修理を含めたすべての製販活動を段階的に終了させていきます。そのため当セグメントにおける研究開発費の計上はございません。
④ 特装車両事業及びその他
市場ニーズに応えた製品としてドラムの軽量化や機能・安全性向上を備えたコンクリートミキサ車の開発を進めており、今年度の量産化を目指し開発しています。また、環境的・社会的ニーズに応えるため、EVトラック対応コンクリートミキサ車の研究を開始し、小型EV車両のコンセプトモデルの製作を進めています。
ミキサ車業界以外の新規分野へも進出するための製品開発に取り組んでおります。レジャー分野へ進出する第一弾として欧州車をベースにしたキャンピングカー「VILLATOR」を開発し、2025年1月より受注を開始しました。カヤバの架装技術・油圧技術・サスペンション技術などを取り入れ、快適な乗り心地と操縦安定性に加え、上質な居住空間を提案しています。「VILLATOR」を端緒とし、お客様からご高評いただける製品開発に努めてまいります。
当セグメントにおける研究開発費の金額は84百万円であります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02147] S100W29I)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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