有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YBFF (EDINETへの外部リンク)
株式会社リコー 研究開発活動 (2026年3月期)
当社グループは、使命と目指す姿を「“はたらく”に歓びを」と定めており、“はたらく”に寄り添い 変革を起こし続けることで、人ならではの創造力の発揮を支え、持続可能な未来の社会をつくります。
研究開発分野においては、技術投資のROI向上を目指し、R&D投資の注力領域への集中と、投資配分のガバナンス強化を図っております。その一環として、価値創造プロセスをマーケットイン型/オープンイノベーション型にシフトし、より市場ニーズに即した成果創出を促進しております。
デジタルサービスの会社としての拡大に向けて、デジタルサービスの開発・運用に必要な基本機能と高い拡張性を備えたクラウドの共通基盤「RICOH Smart Integration(RSI)」を展開しております。RSIは、リコーグループがグローバルで提供するアプリケーションやサービスをつなぐ中核プラットフォームとして進化を続けており、商品開発の効率化とコスト削減を通じて、イノベーション創出を可能にしております。
また、デジタルサービスを創出・加速するデジタル人材に加え、商品・サービスを支えるモノづくりに関わる人材を対象とした、技術者コミュニティを設置し、延べ約6,000人の技術者が各技術分野に登録され、グループ横断で社内外との交流や技術者教育の推進に取り組んでおります。
さらに、スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指すアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」を2019年度より実施しております。7年目を迎えた当連結会計年度においては、当プログラムへの参加を希望する社外255件、社内65件の応募がありました。社内外の審査員によるコンテストを通過したスタートアップ企業と社内メンバーによる新規事業テーマには、当社グループ内に登録されている専門性を有する251名のサポーターをはじめとした様々なリソースを活用し、挑戦する人の支援・育成、新規事業の創出を促進する文化のさらなる醸成を目指しております。
また、BtoB領域における最新のデジタルサービスを牽引するスタートアップへの戦略的な投資を目的としたCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド「RICOH Innovation Fund」を2023年度に設立しました。本ファンド設立以降の累計出資先は国内外10社となりました。これらの出資を通じて、スタートアップの成長を支援するとともに、協業によるお客様への新たな価値提供を進めております。
国際会計基準の適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資は 77,496百万円です。
(1) デジタルサービス
当社グループは、成長領域である「プロセスオートメーション」と「ワークプレイスエクスペリエンス」の提供に注力し、グローバルに均質なサービスを提供します。
プロセスオートメーション領域においては、デジタル技術による業務プロセスの自動化・最適化を通じて、タスクの極小化と生産性の向上を実現するとともに、AI技術を活用し、お客様が保有するデータ価値の最大化を図ります。AI技術を用いて紙や電子データの取り込みからワークフロー運用、データ活用に至る全プロセスを統合・自動化するSaaS型オーケストレーション・プラットフォーム「RICOH Intelligent Automation」は、一部地域でのパイロット導入を経て、展開を加速しております。また、チリのValue Tech社の買収により、中南米地域におけるエンドツーエンドの包括的な価値提供体制を強化しました。
AI技術においては、経済産業省主導の国内生成AI開発力強化プロジェクト「GENIAC」へ2期連続で採択され、第3期において高度な論理的推論性能(リーズニング性能)を備えたマルチモーダルLLM(大規模言語モデル)の開発を完了しました。また、生成AIアプリ開発プラットフォーム「Dify」や自社LLMを包含し、導入・運用を支援する「RICOH オンプレLLMスターターキット」の提供を開始しております。企業向けAIプラットフォーム「Hi.DEEN」の先行提供を通じ、クラウド・オンプレミスの双方で、企業内の「暗黙知」を含む情報資産の利活用に向けたお客様のDX/AXを実現する価値提供を加速します。さらに、お客様の業務課題に寄り添い、AI導入と定着を一貫して支援するために、株式会社ライズ・コンサルティンググループとの合弁会社設立に向けた基本合意に至りました。
ワークプレイスエクスペリエンス領域においては、デジタル技術によりシームレスなコミュニケーションと質の高いコラボレーションを実現し、お客様に最適な環境を提供しております。デスクやスペースの予約管理機能や利用状況に基づく最適化を行うことでワークプレイスのより効率的な活用を目指し、従業員のウェルビーイングやエンゲージメント向上に寄与する「RICOH Spaces」は、サービスを先行展開していた欧州・北米・中南米に加え、当連結会計年度において日本国内での提供を開始しました。また、AVインテグレーションを含むグローバルなワークプレイスサービス提供能力の強化に向けて、ブラジルのGo2neXt社、カナダのET Group社、米国のPPI社の買収に加え、複数のパートナーシップ契約を締結しました。これらの展開加速により、世界中の拠点で統一されたユーザー体験を提供するインテグレーターとして、多様な人材が能力を最大限に発揮できる柔軟な働き方を実現し、お客様の組織全体の創造力と生産性の向上を力強くサポートしております。
また、価値共創拠点「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO」に、AI技術を活用した次世代のはたらき方を先取りし体感できる新たなワークショップルームを開設しました。当社グループは、自社内でのデジタルサービスやAI技術の実践から得られた知見を活かし、DX・GXを通じてお客様の課題解決に向けて伴走し、ESGの観点も踏まえた価値提供を行ってまいります。
当社グループは、デジタル技術によって、業務プロセスの最適化による組織の生産性向上と、コミュニケーションとコラボレーションに最適なワークプレイスの提供を実現し、お客様の創造力の発揮を支援してまいります。
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 13,159百万円です。
(2) デジタルプロダクツ
当社グループは、生産台数世界No.1のA3カラー複合機、販売額世界No.1のドキュメントスキャナーの提供を通じ、お客様の“はたらく”の変革を支えるデバイスを開発・生産しております。さらに、販売額国内No.1の組込コンピューターの提供を通じて産業界の成長に貢献しております。
当連結会計年度においては、環境配慮型商品のラインナップ拡充に取り組みました。複合機では「RICOH IM C6000F CE/C2500F CE」を新たに発売しました。これにより、前連結会計年度に発売した「RICOH IM C4500F CE/C3000F CE」とあわせて、A4ヨコ連続出力速度25~60枚/分まで幅広い業務ニーズに対応したCE(Circular Economy)機を取り揃えております。これらCE機は平均86%(質量比)の部品リユース率を実現し、また、内蔵ソフトウェアをバージョンアップすることで新しい機能を追加できる「RICOH Always Current Technology」の搭載により長期にわたり快適に使用できる設計としております。
周辺機では、業界最大枚数となる針なし綴じ技術を新たに開発し、本技術を搭載した「RICOH IM C8010/C6510」を発売しました。本技術により最大20枚までの用紙を綴じることが可能となり、金属針の使用削減に貢献しております。
さらに素材面では、再資源化を促進する施策として、ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)加盟各社と樹脂コンパウンドメーカーとが共同開発したポリスチレン再生プラスチックを、業界に先駆けて一部複合機のサプライに採用することを決定しました。
これらの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けたモノづくりをさらに前進させました。
ドキュメントスキャナーでは、ScanSnapシリーズの新たなフラッグシップモデルとして「ScanSnap iX2500」を発売しました。本製品には、業務用スキャナー向けに自社開発した次世代SoC(System on a Chip)「iiGA」を搭載しました。本SoCの搭載により、ScanSnap史上最速となる毎分45枚の高速スキャンを実現するとともに、業務用スキャナーで採用されている色ずれ/モアレ低減等の高画質化処理を個人向けスキャナーにおいても実装しました。このような取り組みの結果、株式会社BCNが主催する「BCN AWARD 2026」において、スキャナ部門最優秀賞(年間販売台数シェアNo.1)を16年連続で受賞しました。
産業用コンピュータでは、2025年4月に設立したリコーPFUコンピューティング株式会社から複数の新製品を市場に投入しました。大容量データ処理が求められる半導体製造装置や、システム停止が許されない医療・社会インフラ分野に向けては、拡張性及びセキュリティ対策を備えた組込みコンピュータ「AR8300モデル320P」を発売しました。
また、生産設備やロボット制御等製造現場のDX推進の用途に向け、処理性能、消費電力及び安定稼働に配慮した組込みコンピュータ「iC11000」を発売しました。さらに、熱や振動といった厳しい環境下での使用が想定される工作機械、FA(ファクトリーオートメーション)機器等に向け、安定稼働、高温対応を重視した産業用ボードコンピュータ「IT11」を発売しました。これらの取り組みを通じ、様々な産業分野におけるお客様の用途や要求に対応する産業用コンピュータのプラットフォームを拡充しました。
体制面では、複合機の開発・生産を担うエトリアに2025年10月に沖電気が参画し、当社、東芝テック、沖電気の3社の技術を融合した商品開発を開始しました。また2026年2月には、モノづくり体質の強化を目的として、エトリアが有する日本国内の複合機、プリンター、サプライ、キーパーツ等の生産機能を結集したエトリアマニュファクチャリングジャパン株式会社を発足しました。
今後も、競争力ある商品開発と体質強化を継続し、世界に必要とされ続けるモノづくりのリーディングカンパニーへの歩みを進めていきます。
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 31,445百万円です。
(3) グラフィックコミュニケーションズ
当社グループは、高品質かつ信頼性の高い製品・サービスの提供を通じて、印刷現場のデジタル化を推進しております。これにより、自動化・省人化及びプロセスの可視化を実現し、お客様の収益力の向上に貢献しております。加えて持続可能な社会の実現に向け、事業活動を通じた社会課題解決も積極的に推進しております。
商用印刷分野においては、印刷業のお客様に対して、生産性向上に資する高速インクジェット印刷機、ゴールド・シルバー等の特色トナー等の高付加価値機能の電子写真印刷機、並びに上流から下流までの工程を統合的に管理するワークフローソリューションを組み合わせた提案を行っております。これにより、Offset to Digitalを加速させ、お客様の現場プロセスのデジタル化を牽引していきます。
そのため、インクジェット技術、電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウェア技術の開発を継続して行っております。また、電炉鋼板や再生プラスチックを使用した製品の開発を行い、環境負荷を低減しております。
当連結会計年度においては、カラープロダクションプリンター「RICOH Pro C5410S/C5400S」を発売しました。本製品は、ウォームアップタイムの大幅な短縮、業界初の針なし綴じ、画像位置精度の向上により、様々な販促物の制作ニーズに対応します。また、名刺や領収書等の小サイズ原稿の読み取りにも対応し、DXを促進します。
産業印刷分野においては、産業用インクジェットヘッド技術の開発及び製品化に注力し、製品ラインナップの拡充を進めております。MHシリーズヘッドは高耐久性と幅広いインク対応力でお客様よりご好評を頂いており、主にサイングラフィックス分野で使用されております。また、MEMS技術を活用した小型・高精細印刷に対応するTHシリーズヘッドも新規で採用いただけるお客様が増えております。
欧州地域においては、産業用インクジェットヘッド、テキスタイル印刷機の販売、エンジニアリングサポート等のお客様に対する一貫した専門的サポートをRicoh Printing Solutions Europe Limited (本社:英国)にて開始しております。
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 17,831百万円です。
(4) インダストリアルソリューションズ
サーマル事業分野においては、世界で高いシェアを占める高付加価値サーマルペーパー(感熱紙)をはじめ、高品質の製品・サービスを提供し続けることで、お客様の信頼獲得を目指しております。
高付加価値サーマルペーパーは、近年の環境意識の高まりから、社会課題解決型商品(発色材料の安全性を高めたフェノールフリーラベル)が北米市場をはじめグローバルに浸透してきております。また、剥離紙のないサーマルラベル(SLL)は食品POSラベルに加え、ファーストフード等の用途でも大手ユーザーに価値を認められ、今後の事業成長が大きく期待されております。
一方、スマートパッケージングビジネスの環境負荷を低減する「ラベルレスサーマル*」は省資源化、人手不足緩和を背景とした工程自動化及び現場における食品のロングライフ化等のニーズにより、需要が大きく拡大しています。また、独自技術(マイクロ波により自然に孔が開き、蒸気を逃がす技術)の蒸通フィルムは、お客様のDXにつながるパッケージングの新たな価値提供を実現でき、今後ソリューション提案を進めることでパッケージ業界の変革に貢献します。
*ラベルレスサーマル:印字機能を有する基材へ文字・コードの可変情報を直接印字することで、商品の視認性を高め、業務の効率化、コストダウンを可能にする当社の印字プロセス
産業プロダクト事業分野は、基盤となる生産技術(梱包・搬送・組立技術)とIoT、AI、画像認識等の最先端技術を融合し、医療、素材業界等様々な分野で競争力の高い自動化ソリューションを提供しております。また、現場の安全、少人化、作業負荷低減等のニーズから自動化設備の需要が高まり、車載向けリチウムイオンバッテリー外観検査装置等は安全・信頼性を高める検査ラインとして高く評価され、事業が急速に拡大しております。これからも様々なニーズに応じた最適なラインを提案、構築することで製造現場における価値を提供し続け、導入から運用、その後のサポートまで幅広く現場の効率化に貢献していきます。
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 1,568百万円です。
(5) その他事業
当社グループのもつ技術のさらなる活用と、オープンイノベーションを通じた新規事業創出により社会課題解決に取り組みます。同時に各事業の状況を見極め、メリハリのある経営資源配分と意思決定を行っております。
■デジタルカメラ分野
デジタルカメラ分野を担うリコーイメージング株式会社では、GRとPENTAXの2つのブランド価値をより高め、"デジタル"手法を駆使してお客様とダイレクトにつながり、両ブランドの魅力をより一層研ぎ澄ませて深化させております。
当社グループでは、100年近くに及ぶカメラ開発の歴史で培われた、光学設計、光学部品加工技術を柱に、最先端のデジタル画像処理技術を搭載した画像処理エンジンGR ENGINE7やPRIME Vと、高度なノイズ処理を実現するアクセラレーターユニットのコンビネーションにより、すべての感度域で優れた階調再現や質感描写を実現したデジタルカメラ製品の開発を行っております。また、当社独自のボディ内手ぶれ補正機構SR(Shake Reduction)を搭載し、優れた手ぶれ補正性能を有するとともに、この機構を応用したローパスセレクター機能やリアルレゾリューション機能を開発しております。これらの技術に加え、高度な電子部品集積技術や独自の機構設計により、特にGRシリーズでは高画質や速写性、携帯性というカメラの本質的な価値を追求し、写真に拘りを持つユーザーの皆様へ、これらの技術を搭載したデジタルカメラをシリーズで提供しております。
当連結会計年度は、これらの技術で開発されたコンパクトデジタルカメラ「RICOH GR IV」に加え、当社のインクジェット技術により開発されたハイライト部を拡散するHDF(Highlight Diffusion Filter)を搭載した「RICOH GR IV HDF」、カラーフィルターを排除してモノクローム写真専用構造に像面位相差AFを組み込んだ撮像素子を採用し、圧倒的な解像感と、高速・高精度なピント合わせを両立した「RICOH GR IV Monochrome」を開発し、発売しております。
■スマートビジョン分野
・ワンショットで360度撮影ができるカメラ「RICOH THETA」とクラウドサービスを連携させ、ワークフロー全体の効率化を実現するソリューションを提供
・多様な現場の業務DXと生産性向上を支援する「RICOH360 ビジネスパッケージ」の提供により、建設・不動産分野での実績を軸に他業種展開を進め新規顧客の獲得と事業成長を実現
・ビジネス現場で求められる耐久性・効率性・操作性に優れた様々な機能を搭載した新製品「RICOH360 THETA A1」を発売
■バイオメディカル分野
・当社独自のヒトiPS細胞分化誘導技術を用いたiPS創薬でお客様の新薬開発に貢献
・高品質なmRNAの製造受託サービスにおいて製薬企業やアカデミアからの治験薬案件をさらに獲得することにより新たな革新的医薬品の創出を支援し事業を拡大
・子会社のリコーバイオサイエンシズ株式会社が株式会社東芝及びメディリッジ株式会社と業務提携を行い、mRNA-LNPの国内一貫製造支援を実現
■インクジェット電池分野
・当社の分散技術応用インクと独自のインクジェット技術の組み合わせにより、自由な位置・膜厚・形状での電池材料印刷装置を開発
・革新的な電池製造プロセスにより、材料ロス削減による環境負荷/コストの削減、リチウムイオン電池の性能向上、全固体電池の実用化に貢献
・パートナーとの連携により電池材料印刷製造技術の実用化検証を加速し、本格事業展開に向けた重要技術を獲得
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 4,073百万円です。
(6) 基礎研究分野
当社グループは、商品の差別化につながる基礎研究分野として、お客様の業務革新及び時間・場所に捉われない新しい働き方の実現に向けた研究開発を推進しております。具体的には、当社独自のヘッド技術、機能性材料技術、分析・シミュレーション等の基盤技術を活用したインクジェット技術の研究開発の強化や、画像処理技術、データサイエンス、AIを応用したシステムソリューション開発を行っております。また、将来を見据え、フォトニクス技術及びMEMS技術を活用したセンシング技術・エッジデバイス技術、並びにこれらの技術とAIを融合したAI融合技術及びシステム化技術やデジタルツインの研究開発に取り組んでおります。これらのコア技術を起点に中長期的な事業機会の創出及び社会課題の解決に資する技術の確立を目的として、以下の領域に注力して研究開発を行っております。
・インクジェットヘッドをコアとした領域:インクジェット技術を活用し、カーボンニュートラルの実現に向け、ペロブスカイト太陽電池の低コスト・高生産工法、並びに塗着効率を極限まで高めた自動車塗装工法の研究開発及び実証実験に取り組んでおります。なお、ペロブスカイト太陽電池については、社会実装に向けた技術開発及び実証事業が、NEDOのグリーンイノベーション基金に採択されました。
・ドキュメント・ワークフローを扱う領域:将来を見据えた技術として、人や物の位置情報、人の行動・作業等をセンシングしデジタル化することでワークプレイスのデジタルツインを生成し、働く人それぞれに適した支援を行う技術の研究開発に取り組んでおります。
加えて、分析・シミュレーション等の共通基盤技術については、当社グループの研究・開発・設計・生産の各現場に継続的に展開し、新たな価値提供の創出、開発効率の向上及び品質向上を図っております。これらの技術により、業務の高度化と現場起点の価値創出の両面から、お客様への提供価値の拡大を図ってまいります。
さらに、当社グループはオープンイノベーションを積極的に推進しており、多数の外部パートナーとの共創を進めております。共創は国内にとどまらず、欧州・米国・アジア等の研究機関、大学、企業及びスタートアップ等との間でも展開しております。
このような取り組みの一環として、応用と実現の可能性を高めるための要素技術に関して、インクジェットヘッドをコアとした領域においては、東京科学大学及びアーヘン工科大学と三者合同による共同研究に取り組んでおります。
また、共通基盤技術分野の一つである光学技術領域においては、NHK放送技術研究所と共同で取り組んでいる360度映像技術に関する研究成果を、「映像情報メディア学会 2025年冬期大会」にて発表しました。
一方、ドキュメント・ワークフローを扱う領域においては、国立研究開発法人産業技術総合研究所及び株式会社AIST Solutionsと連携して設立した「知識集約型デジタルサービス創出連携研究室」を、2025年5月に発表しました。同研究室では、多様なワークプレイスにおける知的生産性の革新を目指し、デジタルツイン技術を活用したサービス創出に取り組んでおります。
また、同年9月には、世界最大級のオープンイノベーションプラットフォームであるPlug and Playとパートナーシップ契約を締結し、最先端技術を有するスタートアップとの連携を通じて、ワークプレイス領域を中心とした新たなソリューションの創出を進めております。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 9,420百万円です。
研究開発分野においては、技術投資のROI向上を目指し、R&D投資の注力領域への集中と、投資配分のガバナンス強化を図っております。その一環として、価値創造プロセスをマーケットイン型/オープンイノベーション型にシフトし、より市場ニーズに即した成果創出を促進しております。
デジタルサービスの会社としての拡大に向けて、デジタルサービスの開発・運用に必要な基本機能と高い拡張性を備えたクラウドの共通基盤「RICOH Smart Integration(RSI)」を展開しております。RSIは、リコーグループがグローバルで提供するアプリケーションやサービスをつなぐ中核プラットフォームとして進化を続けており、商品開発の効率化とコスト削減を通じて、イノベーション創出を可能にしております。
また、デジタルサービスを創出・加速するデジタル人材に加え、商品・サービスを支えるモノづくりに関わる人材を対象とした、技術者コミュニティを設置し、延べ約6,000人の技術者が各技術分野に登録され、グループ横断で社内外との交流や技術者教育の推進に取り組んでおります。
さらに、スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指すアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」を2019年度より実施しております。7年目を迎えた当連結会計年度においては、当プログラムへの参加を希望する社外255件、社内65件の応募がありました。社内外の審査員によるコンテストを通過したスタートアップ企業と社内メンバーによる新規事業テーマには、当社グループ内に登録されている専門性を有する251名のサポーターをはじめとした様々なリソースを活用し、挑戦する人の支援・育成、新規事業の創出を促進する文化のさらなる醸成を目指しております。
また、BtoB領域における最新のデジタルサービスを牽引するスタートアップへの戦略的な投資を目的としたCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド「RICOH Innovation Fund」を2023年度に設立しました。本ファンド設立以降の累計出資先は国内外10社となりました。これらの出資を通じて、スタートアップの成長を支援するとともに、協業によるお客様への新たな価値提供を進めております。
国際会計基準の適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資は 77,496百万円です。
(1) デジタルサービス
当社グループは、成長領域である「プロセスオートメーション」と「ワークプレイスエクスペリエンス」の提供に注力し、グローバルに均質なサービスを提供します。
プロセスオートメーション領域においては、デジタル技術による業務プロセスの自動化・最適化を通じて、タスクの極小化と生産性の向上を実現するとともに、AI技術を活用し、お客様が保有するデータ価値の最大化を図ります。AI技術を用いて紙や電子データの取り込みからワークフロー運用、データ活用に至る全プロセスを統合・自動化するSaaS型オーケストレーション・プラットフォーム「RICOH Intelligent Automation」は、一部地域でのパイロット導入を経て、展開を加速しております。また、チリのValue Tech社の買収により、中南米地域におけるエンドツーエンドの包括的な価値提供体制を強化しました。
AI技術においては、経済産業省主導の国内生成AI開発力強化プロジェクト「GENIAC」へ2期連続で採択され、第3期において高度な論理的推論性能(リーズニング性能)を備えたマルチモーダルLLM(大規模言語モデル)の開発を完了しました。また、生成AIアプリ開発プラットフォーム「Dify」や自社LLMを包含し、導入・運用を支援する「RICOH オンプレLLMスターターキット」の提供を開始しております。企業向けAIプラットフォーム「Hi.DEEN」の先行提供を通じ、クラウド・オンプレミスの双方で、企業内の「暗黙知」を含む情報資産の利活用に向けたお客様のDX/AXを実現する価値提供を加速します。さらに、お客様の業務課題に寄り添い、AI導入と定着を一貫して支援するために、株式会社ライズ・コンサルティンググループとの合弁会社設立に向けた基本合意に至りました。
ワークプレイスエクスペリエンス領域においては、デジタル技術によりシームレスなコミュニケーションと質の高いコラボレーションを実現し、お客様に最適な環境を提供しております。デスクやスペースの予約管理機能や利用状況に基づく最適化を行うことでワークプレイスのより効率的な活用を目指し、従業員のウェルビーイングやエンゲージメント向上に寄与する「RICOH Spaces」は、サービスを先行展開していた欧州・北米・中南米に加え、当連結会計年度において日本国内での提供を開始しました。また、AVインテグレーションを含むグローバルなワークプレイスサービス提供能力の強化に向けて、ブラジルのGo2neXt社、カナダのET Group社、米国のPPI社の買収に加え、複数のパートナーシップ契約を締結しました。これらの展開加速により、世界中の拠点で統一されたユーザー体験を提供するインテグレーターとして、多様な人材が能力を最大限に発揮できる柔軟な働き方を実現し、お客様の組織全体の創造力と生産性の向上を力強くサポートしております。
また、価値共創拠点「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO」に、AI技術を活用した次世代のはたらき方を先取りし体感できる新たなワークショップルームを開設しました。当社グループは、自社内でのデジタルサービスやAI技術の実践から得られた知見を活かし、DX・GXを通じてお客様の課題解決に向けて伴走し、ESGの観点も踏まえた価値提供を行ってまいります。
当社グループは、デジタル技術によって、業務プロセスの最適化による組織の生産性向上と、コミュニケーションとコラボレーションに最適なワークプレイスの提供を実現し、お客様の創造力の発揮を支援してまいります。
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 13,159百万円です。
(2) デジタルプロダクツ
当社グループは、生産台数世界No.1のA3カラー複合機、販売額世界No.1のドキュメントスキャナーの提供を通じ、お客様の“はたらく”の変革を支えるデバイスを開発・生産しております。さらに、販売額国内No.1の組込コンピューターの提供を通じて産業界の成長に貢献しております。
当連結会計年度においては、環境配慮型商品のラインナップ拡充に取り組みました。複合機では「RICOH IM C6000F CE/C2500F CE」を新たに発売しました。これにより、前連結会計年度に発売した「RICOH IM C4500F CE/C3000F CE」とあわせて、A4ヨコ連続出力速度25~60枚/分まで幅広い業務ニーズに対応したCE(Circular Economy)機を取り揃えております。これらCE機は平均86%(質量比)の部品リユース率を実現し、また、内蔵ソフトウェアをバージョンアップすることで新しい機能を追加できる「RICOH Always Current Technology」の搭載により長期にわたり快適に使用できる設計としております。
周辺機では、業界最大枚数となる針なし綴じ技術を新たに開発し、本技術を搭載した「RICOH IM C8010/C6510」を発売しました。本技術により最大20枚までの用紙を綴じることが可能となり、金属針の使用削減に貢献しております。
さらに素材面では、再資源化を促進する施策として、ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)加盟各社と樹脂コンパウンドメーカーとが共同開発したポリスチレン再生プラスチックを、業界に先駆けて一部複合機のサプライに採用することを決定しました。
これらの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けたモノづくりをさらに前進させました。
ドキュメントスキャナーでは、ScanSnapシリーズの新たなフラッグシップモデルとして「ScanSnap iX2500」を発売しました。本製品には、業務用スキャナー向けに自社開発した次世代SoC(System on a Chip)「iiGA」を搭載しました。本SoCの搭載により、ScanSnap史上最速となる毎分45枚の高速スキャンを実現するとともに、業務用スキャナーで採用されている色ずれ/モアレ低減等の高画質化処理を個人向けスキャナーにおいても実装しました。このような取り組みの結果、株式会社BCNが主催する「BCN AWARD 2026」において、スキャナ部門最優秀賞(年間販売台数シェアNo.1)を16年連続で受賞しました。
産業用コンピュータでは、2025年4月に設立したリコーPFUコンピューティング株式会社から複数の新製品を市場に投入しました。大容量データ処理が求められる半導体製造装置や、システム停止が許されない医療・社会インフラ分野に向けては、拡張性及びセキュリティ対策を備えた組込みコンピュータ「AR8300モデル320P」を発売しました。
また、生産設備やロボット制御等製造現場のDX推進の用途に向け、処理性能、消費電力及び安定稼働に配慮した組込みコンピュータ「iC11000」を発売しました。さらに、熱や振動といった厳しい環境下での使用が想定される工作機械、FA(ファクトリーオートメーション)機器等に向け、安定稼働、高温対応を重視した産業用ボードコンピュータ「IT11」を発売しました。これらの取り組みを通じ、様々な産業分野におけるお客様の用途や要求に対応する産業用コンピュータのプラットフォームを拡充しました。
体制面では、複合機の開発・生産を担うエトリアに2025年10月に沖電気が参画し、当社、東芝テック、沖電気の3社の技術を融合した商品開発を開始しました。また2026年2月には、モノづくり体質の強化を目的として、エトリアが有する日本国内の複合機、プリンター、サプライ、キーパーツ等の生産機能を結集したエトリアマニュファクチャリングジャパン株式会社を発足しました。
今後も、競争力ある商品開発と体質強化を継続し、世界に必要とされ続けるモノづくりのリーディングカンパニーへの歩みを進めていきます。
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 31,445百万円です。
(3) グラフィックコミュニケーションズ
当社グループは、高品質かつ信頼性の高い製品・サービスの提供を通じて、印刷現場のデジタル化を推進しております。これにより、自動化・省人化及びプロセスの可視化を実現し、お客様の収益力の向上に貢献しております。加えて持続可能な社会の実現に向け、事業活動を通じた社会課題解決も積極的に推進しております。
商用印刷分野においては、印刷業のお客様に対して、生産性向上に資する高速インクジェット印刷機、ゴールド・シルバー等の特色トナー等の高付加価値機能の電子写真印刷機、並びに上流から下流までの工程を統合的に管理するワークフローソリューションを組み合わせた提案を行っております。これにより、Offset to Digitalを加速させ、お客様の現場プロセスのデジタル化を牽引していきます。
そのため、インクジェット技術、電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウェア技術の開発を継続して行っております。また、電炉鋼板や再生プラスチックを使用した製品の開発を行い、環境負荷を低減しております。
当連結会計年度においては、カラープロダクションプリンター「RICOH Pro C5410S/C5400S」を発売しました。本製品は、ウォームアップタイムの大幅な短縮、業界初の針なし綴じ、画像位置精度の向上により、様々な販促物の制作ニーズに対応します。また、名刺や領収書等の小サイズ原稿の読み取りにも対応し、DXを促進します。
産業印刷分野においては、産業用インクジェットヘッド技術の開発及び製品化に注力し、製品ラインナップの拡充を進めております。MHシリーズヘッドは高耐久性と幅広いインク対応力でお客様よりご好評を頂いており、主にサイングラフィックス分野で使用されております。また、MEMS技術を活用した小型・高精細印刷に対応するTHシリーズヘッドも新規で採用いただけるお客様が増えております。
欧州地域においては、産業用インクジェットヘッド、テキスタイル印刷機の販売、エンジニアリングサポート等のお客様に対する一貫した専門的サポートをRicoh Printing Solutions Europe Limited (本社:英国)にて開始しております。
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 17,831百万円です。
(4) インダストリアルソリューションズ
サーマル事業分野においては、世界で高いシェアを占める高付加価値サーマルペーパー(感熱紙)をはじめ、高品質の製品・サービスを提供し続けることで、お客様の信頼獲得を目指しております。
高付加価値サーマルペーパーは、近年の環境意識の高まりから、社会課題解決型商品(発色材料の安全性を高めたフェノールフリーラベル)が北米市場をはじめグローバルに浸透してきております。また、剥離紙のないサーマルラベル(SLL)は食品POSラベルに加え、ファーストフード等の用途でも大手ユーザーに価値を認められ、今後の事業成長が大きく期待されております。
一方、スマートパッケージングビジネスの環境負荷を低減する「ラベルレスサーマル*」は省資源化、人手不足緩和を背景とした工程自動化及び現場における食品のロングライフ化等のニーズにより、需要が大きく拡大しています。また、独自技術(マイクロ波により自然に孔が開き、蒸気を逃がす技術)の蒸通フィルムは、お客様のDXにつながるパッケージングの新たな価値提供を実現でき、今後ソリューション提案を進めることでパッケージ業界の変革に貢献します。
*ラベルレスサーマル:印字機能を有する基材へ文字・コードの可変情報を直接印字することで、商品の視認性を高め、業務の効率化、コストダウンを可能にする当社の印字プロセス
産業プロダクト事業分野は、基盤となる生産技術(梱包・搬送・組立技術)とIoT、AI、画像認識等の最先端技術を融合し、医療、素材業界等様々な分野で競争力の高い自動化ソリューションを提供しております。また、現場の安全、少人化、作業負荷低減等のニーズから自動化設備の需要が高まり、車載向けリチウムイオンバッテリー外観検査装置等は安全・信頼性を高める検査ラインとして高く評価され、事業が急速に拡大しております。これからも様々なニーズに応じた最適なラインを提案、構築することで製造現場における価値を提供し続け、導入から運用、その後のサポートまで幅広く現場の効率化に貢献していきます。
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 1,568百万円です。
(5) その他事業
当社グループのもつ技術のさらなる活用と、オープンイノベーションを通じた新規事業創出により社会課題解決に取り組みます。同時に各事業の状況を見極め、メリハリのある経営資源配分と意思決定を行っております。
■デジタルカメラ分野
デジタルカメラ分野を担うリコーイメージング株式会社では、GRとPENTAXの2つのブランド価値をより高め、"デジタル"手法を駆使してお客様とダイレクトにつながり、両ブランドの魅力をより一層研ぎ澄ませて深化させております。
当社グループでは、100年近くに及ぶカメラ開発の歴史で培われた、光学設計、光学部品加工技術を柱に、最先端のデジタル画像処理技術を搭載した画像処理エンジンGR ENGINE7やPRIME Vと、高度なノイズ処理を実現するアクセラレーターユニットのコンビネーションにより、すべての感度域で優れた階調再現や質感描写を実現したデジタルカメラ製品の開発を行っております。また、当社独自のボディ内手ぶれ補正機構SR(Shake Reduction)を搭載し、優れた手ぶれ補正性能を有するとともに、この機構を応用したローパスセレクター機能やリアルレゾリューション機能を開発しております。これらの技術に加え、高度な電子部品集積技術や独自の機構設計により、特にGRシリーズでは高画質や速写性、携帯性というカメラの本質的な価値を追求し、写真に拘りを持つユーザーの皆様へ、これらの技術を搭載したデジタルカメラをシリーズで提供しております。
当連結会計年度は、これらの技術で開発されたコンパクトデジタルカメラ「RICOH GR IV」に加え、当社のインクジェット技術により開発されたハイライト部を拡散するHDF(Highlight Diffusion Filter)を搭載した「RICOH GR IV HDF」、カラーフィルターを排除してモノクローム写真専用構造に像面位相差AFを組み込んだ撮像素子を採用し、圧倒的な解像感と、高速・高精度なピント合わせを両立した「RICOH GR IV Monochrome」を開発し、発売しております。
■スマートビジョン分野
・ワンショットで360度撮影ができるカメラ「RICOH THETA」とクラウドサービスを連携させ、ワークフロー全体の効率化を実現するソリューションを提供
・多様な現場の業務DXと生産性向上を支援する「RICOH360 ビジネスパッケージ」の提供により、建設・不動産分野での実績を軸に他業種展開を進め新規顧客の獲得と事業成長を実現
・ビジネス現場で求められる耐久性・効率性・操作性に優れた様々な機能を搭載した新製品「RICOH360 THETA A1」を発売
■バイオメディカル分野
・当社独自のヒトiPS細胞分化誘導技術を用いたiPS創薬でお客様の新薬開発に貢献
・高品質なmRNAの製造受託サービスにおいて製薬企業やアカデミアからの治験薬案件をさらに獲得することにより新たな革新的医薬品の創出を支援し事業を拡大
・子会社のリコーバイオサイエンシズ株式会社が株式会社東芝及びメディリッジ株式会社と業務提携を行い、mRNA-LNPの国内一貫製造支援を実現
■インクジェット電池分野
・当社の分散技術応用インクと独自のインクジェット技術の組み合わせにより、自由な位置・膜厚・形状での電池材料印刷装置を開発
・革新的な電池製造プロセスにより、材料ロス削減による環境負荷/コストの削減、リチウムイオン電池の性能向上、全固体電池の実用化に貢献
・パートナーとの連携により電池材料印刷製造技術の実用化検証を加速し、本格事業展開に向けた重要技術を獲得
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 4,073百万円です。
(6) 基礎研究分野
当社グループは、商品の差別化につながる基礎研究分野として、お客様の業務革新及び時間・場所に捉われない新しい働き方の実現に向けた研究開発を推進しております。具体的には、当社独自のヘッド技術、機能性材料技術、分析・シミュレーション等の基盤技術を活用したインクジェット技術の研究開発の強化や、画像処理技術、データサイエンス、AIを応用したシステムソリューション開発を行っております。また、将来を見据え、フォトニクス技術及びMEMS技術を活用したセンシング技術・エッジデバイス技術、並びにこれらの技術とAIを融合したAI融合技術及びシステム化技術やデジタルツインの研究開発に取り組んでおります。これらのコア技術を起点に中長期的な事業機会の創出及び社会課題の解決に資する技術の確立を目的として、以下の領域に注力して研究開発を行っております。
・インクジェットヘッドをコアとした領域:インクジェット技術を活用し、カーボンニュートラルの実現に向け、ペロブスカイト太陽電池の低コスト・高生産工法、並びに塗着効率を極限まで高めた自動車塗装工法の研究開発及び実証実験に取り組んでおります。なお、ペロブスカイト太陽電池については、社会実装に向けた技術開発及び実証事業が、NEDOのグリーンイノベーション基金に採択されました。
・ドキュメント・ワークフローを扱う領域:将来を見据えた技術として、人や物の位置情報、人の行動・作業等をセンシングしデジタル化することでワークプレイスのデジタルツインを生成し、働く人それぞれに適した支援を行う技術の研究開発に取り組んでおります。
加えて、分析・シミュレーション等の共通基盤技術については、当社グループの研究・開発・設計・生産の各現場に継続的に展開し、新たな価値提供の創出、開発効率の向上及び品質向上を図っております。これらの技術により、業務の高度化と現場起点の価値創出の両面から、お客様への提供価値の拡大を図ってまいります。
さらに、当社グループはオープンイノベーションを積極的に推進しており、多数の外部パートナーとの共創を進めております。共創は国内にとどまらず、欧州・米国・アジア等の研究機関、大学、企業及びスタートアップ等との間でも展開しております。
このような取り組みの一環として、応用と実現の可能性を高めるための要素技術に関して、インクジェットヘッドをコアとした領域においては、東京科学大学及びアーヘン工科大学と三者合同による共同研究に取り組んでおります。
また、共通基盤技術分野の一つである光学技術領域においては、NHK放送技術研究所と共同で取り組んでいる360度映像技術に関する研究成果を、「映像情報メディア学会 2025年冬期大会」にて発表しました。
一方、ドキュメント・ワークフローを扱う領域においては、国立研究開発法人産業技術総合研究所及び株式会社AIST Solutionsと連携して設立した「知識集約型デジタルサービス創出連携研究室」を、2025年5月に発表しました。同研究室では、多様なワークプレイスにおける知的生産性の革新を目指し、デジタルツイン技術を活用したサービス創出に取り組んでおります。
また、同年9月には、世界最大級のオープンイノベーションプラットフォームであるPlug and Playとパートナーシップ契約を締結し、最先端技術を有するスタートアップとの連携を通じて、ワークプレイス領域を中心とした新たなソリューションの創出を進めております。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 9,420百万円です。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02275] S100YBFF)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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