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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R29T (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社リコー 事業等のリスク (2023年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動



事業の状況、業績の状況等に関する事項のうち、株主・投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりです。
(1) 当社グループの経営上重要なリスク(重点経営リスク)
(2) 事業領域固有の重要なリスク(ビジネスユニットリスク)
(3) その他のリスク(機能別組織リスク)

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響があると経営者が認識しているリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現時点で未知のリスク・重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、事業等のリスクは、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

■「重点経営リスク」の決定プロセス
GMCとリスクマネジメント委員会は、経営理念や事業目的等に照らし、利害関係者への影響を含めて、経営に大きな影響を及ぼすリスクを網羅的に識別した上で、重点経営リスクを決定し、その対応活動に積極的に関与しております。(図1:重点経営リスク決定プロセス)
・重点経営リスクは、その特性から「戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分類し管理しております。戦略リスクについては、短期の事業計画達成に関わるリスクから中長期の新興リスクまで経営に影響を与えるリスクを幅広く網羅しております。
・リスクマネジメント委員会は、GMCの諮問機関として、より精度の高い重点経営リスク候補を提案するため、委員会メンバーそれぞれの専門領域の知見・経験則を活かし、十分な議論のもと、リスクの識別・評価を行っております。
なお、当社グループのリスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会については、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 (Ⅷ) リスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会」を参照ください。

図1:重点経営リスク決定プロセス



■事業等のリスク一覧
(1) 当社グループの経営上重要なリスク

重点経営戦略リスク
リスク項目名:①デジタルサービスの会社としての収益構造の移行
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
44C
リスクの説明:
当社グループは、OAメーカーからデジタルサービスの会社への変革を目指しておりますが、事業構造の転換が進まず、印刷ボリュームの減少による業績影響を受けるリスクがあります。
また事業成長のためのM&A投資の機会を逸し、成長機会を損失するリスクもあります。
リスクの対策:
当社グループでは、デジタルサービスの会社としての収益構造の移行のために、ポートフォリオマネジメントの意思決定に沿い、
・成長事業への投資と、新陳代謝を進め、デジタルサービスの会社への転換を加速します。
・ポートフォリオマネジメントの継続と成長投資実行のモニタリングを行っております。
・財務管理指標のモニタリングの仕組みを強化し、事業構造と収益性の変革に向けたマネジメントを行います。
また、M&A人材の可視化と育成の強化を行います。


重点経営戦略リスク
リスク項目名:②デジタル戦略の推進加速
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
43C
リスクの説明:
当社グループは、デジタル戦略の推進加速に向け、本社機能と各ビジネスユニットが一体となり、デジタル人材の育成・強化、データコンテンツの整備・利活用推進と技術基盤の強化、デジタルを活用した既存事業の深化と価値創出の仕組整備・実践、あらゆるデジタル技術を活用し自らの業務プロセスを改善し続ける活動等、様々な取組みを行っておりますが、
・デジタル戦略推進のための人材の不足
・グローバルで共創プラットフォーム(RICOH Smart Integration)がビジネスの価値創出を促進する基盤として活用されない
等により当社グループの業績、成長に影響を及ぼすリスクがあります。
リスクの対策:
当社グループでは、グローバルでの競争激化の中でレジリエンスを高めていくために、デジタル戦略の推進加速が重要であると考えており、次のような更なる強化に努めております。
・デジタル戦略推進のための人材の確保
・共創プラットフォーム(RICOH Smart Integration)と各事業のエッジデバイス連携の仕組み構築、及び各事業に対する利用支援等。


重点経営戦略リスク
リスク項目名:③先端技術の強化
緊急度影響度リスクマネジメント
レベル
中長期市場への技術対応32C
技術倫理43D
リスクの説明:
当社グループでは社内カンパニー制を導入しておりますが、顧客・市場の理解促進の一方で、技術開発の分散により技術投資効率低下及び中長期的市場への技術対応能力の低下のリスクがあります。
またAI応用等でのELSI*1対応力不足での企業信頼失墜・事業機会損失発生のリスクもあります。
リスクの対策:
当社グループでは、研究開発投資ポートフォリオのモニタリングを継続し、技術戦略に基づく開発実行計画の合意形成を推進してまいります。
技術倫理については、推進体制を整備し、倫理保証機能の一部を試行しております。また、技術倫理感の在り方に関する規定を公開し倫理啓発の実践を進め、更なる強化を図ってまいります。



重点経営戦略リスク
リスク項目名:④情報セキュリティ
緊急度影響度リスクマネジメント
レベル
NIST SP800-171準拠対応53C
セキュリティ対応42C
リスクの説明:
当社グループは、デジタルサービスの会社への転換に向け、様々なデジタルサービスの活用・提供、自社業務のデジタル化の実践等を行ってまいります。その上で、情報セキュリティを確保する体制・運用を重視し取組んでおりますが、以下のようなリスクがあります。

・NIST SP800-171*2未準拠リスク
企業や政府機関へのサイバー攻撃は増加・高度化しており、各組織における防御体制、情報保護強化はより高い水準を求められる状況にある。
この分野で大きくリードしている米国政府はNIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準技術研究所)が策定したセキュリティ要件を礎として、防衛産業をはじめ、連邦政府関係機関との取引先を対象に、より強固で先進的なサイバーセキュリティ対策を求められ始めた。

・プロダクトセキュリティリスク
インターネット公開サイトへのセキュリティ対策の不備や、お客様に納入した当社グループの製品に内在する重大なセキュリティ問題により、意図せず他者への攻撃の踏み台として悪用される等のインシデントの発生。

・コーポレートセキュリティリスク
巧妙化・複雑化するサイバーアタックにより、当社グループ各社の業務システムの停止/誤作動による事業活動の停止や、データの改ざん/漏洩/破壊等の発生。

・ファクトリーセキュリティリスク
従来生産工場は外部との接続が制限されてきたことからリスクは少なかったが、近年DX*3が進んだことで当社グループ各社の業務システムと生産工場との境界が薄れており、生産工場のシステムから侵入され、当社グループ各社の業務システムの停止/誤作動による事業活動の停止や、データの改ざん/漏洩/破壊等の発生。

・個人情報保護等、データプライバシーリスク
各国で個人情報保護に関する法律(改正個人情報保護法やGDPR*4等)が施行され、自国外の事象にまで適用(域外適用)されるようになる中、グローバルでの共同利用にあたり、各国の規制に抵触し制裁金が課せられる等の事象が発生した場合、社会的信用の低下による企業ブランド価値の毀損やビジネス機会の喪失等の事業影響。
リスクの対策:
当社グループは、各国、国策レベルで対策が求められてきている中、変化し続ける情報セキュリティ情勢を常に把握した上で、グローバルに活動拠点のある当社グループにとって適切な対策を検討・推進していくことを、最重要課題の一つと位置づけております。

・NIST SP800-171 未準拠リスク
当社グループは、世界中のお客様に対してセキュアな「製品・サービス」を提供するため、国際基準のセキュリティニーズに応えてまいります。当社グループはワークフローをデジタル化してお客様へ付加価値を提供する等、お客様の情報資産を守ることを目的とした「事業環境」の整備やモノづくりに取り組んでいます。
当社グループのNIST SP800-171への準拠の考え方は、単にNIST SP800-171の要件に対応することだけではなく、お客様の情報資産を守ることを取り組みの目的の本質としております。
お客様の事業環境において、お客様が守りたいと考える情報資産を取り扱う可能性がある当社グループの「製品・サービス」をサイバー攻撃から守るという目的と、その「製品・サービス」をお客様に提供するまでのバリューチェーンにおいて、取り扱う情報資産を守るという目的の2つがあります。
当社グループではデジタルサービスを提供する事業者として、お客様の情報資産を第一に配慮したセキュリティ活動を行い、NIST SP800-171への準拠を目指します。



・プロダクトセキュリティリスク
インターネット公開サイトの構築や製品開発において、情報セキュリティに関わる品質マネジメントを継続的に強化するとともに、公開済みのサイトや発売済みの製品に対しても継続的に脆弱性の確認を行い、リスクが発見された場合に適切に対応いたします。そのために、セキュリティ問題の専用窓口の設置、製品の安全な利用方法の案内、製品の脆弱性対応ガイドラインの整備といった活動を継続的に実施しております。

・コーポレートセキュリティリスク
国際的な情報セキュリティ標準(ISO/IEC*5、NIST等)に基づき、当社グループのサプライチェーン全体の情報セキュリティを意識した体制を構築/強化するとともに、企画・設計・購買・生産・販売・サポートの各フェーズの業務システムに関わるセキュリティリスクを適時想定し、継続的に対策検討及び実施しております。

・ファクトリーセキュリティリスク
当社グループ各社の生産工場においても国際的な情報セキュリティ標準(ISO/IEC、NIST等)に基づき、生産工場システムに関わるセキュリティリスクを適時想定し、継続的に対策検討及び実施しております。

・個人情報保護等、データプライバシーリスク
当社グループ内における個人情報取扱標準の改定検討や個人情報の取扱状況の調査・是正等、整備が進む各国での個人情報保護に関する法律を踏まえた対応方針の策定と対策の検討及び実施を進めております。


重点経営戦略リスク
リスク項目名:⑤人材の確保・育成・管理
緊急度影響度リスクマネジメント
レベル
高度専門性の獲得53C
事業戦略に即した人的資源の再配置43C
リスクの説明:
当社グループがデジタルサービスの会社への事業変革を成し遂げ、中長期的に成長を続けることは、人材に大きく依存し、高度専門性の獲得や事業戦略に即した人的資源の再配置を継続して行わなければ、当社グループの業績、成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。
リスクの対策:
当社グループでは、
・社内外のトレーニングによる人材育成、キャリア採用を行っております。
・働く場としての魅力的な企業イメージを高める取り組みを強化しております。
・高度専門性の獲得や事業戦略に即した人的資源の再配置の計画に対する現状との乖離、課題の明確化並びに対応策を検討及び実施しております。
・リコー式ジョブ型人事制度の運用徹底及び社内公募を実施しております。



重点経営戦略リスク
リスク項目名:⑥ESG/SDGsへの対応
緊急度影響度リスクマネジメント
レベル
人権対応51C
脱炭素活動41B
資源循環43C
リスクの説明:
ESG/SDGsへの対応は、当社グループの事業活動に対して中長期的影響を及ぼす新興リスクであり、特に以下の項目を優先して取り組むべき重要な課題と捉え活動しております。
•商談、政府調達、環境ラベル取得等で求められる国際レベルの人権対応を踏まえたサプライチェーン全体のESGマネジメント体制の構築
•異常気象の激甚化による主要拠点の風水害被害対策及び投資家や顧客からの要求レベルに資する気候変動対策と情報開示
•製品回収・リサイクル体制整備や再生材使用等サーキュラーエコノミーに関する顧客要求や関連法規制・規格への対応
これらの課題への対応を競合に遅れることなく進めていかないと商談機会の損失等ビジネスへの悪影響にとどまらず、社会的信用の失墜、ブランド価値の毀損等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
リスクの対策:
当社グループでは、ESG/SDGsリスクへの対応を強化しており、
•RBA*6ベースのESGリスクアセスメントを全生産拠点に展開及び重要サプライヤーのESGマネジメント強化を進めるなかで人権リスクの低減を進めています。
•社会動向、自社CO2削減状況・エネルギー使用量等から年間再エネ導入戦略とロードマップを策定しSBT1.5℃ライン維持に向けた脱炭素活動を展開しております。
•画像製品における新規資源使用率のシミュレーション・進捗管理等を通じて着地予測を定期的に実施し、新規資源使用率の削減施策の推進に努めています。


重点経営戦略リスク
リスク項目名:⑦地政学リスク
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
44C
リスクの説明:
当社グループはグローバルで事業活動を行っており、各国・各地域における政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりは事業に大きな影響を及ぼします。
また、各国の法規制強化、国家間同士の牽制等の地政学リスクにより、ビジネス機会を損失するリスク等が考えられます。
リスクの対策:
当社グループでは、予防・対応プロセスを強化しております。各国法規制情報収集の強化、重要部品別に複数仕入先の選定等今後も円滑な事業活動を行うため、経営にて審議し、迅速かつ適切な対応に取り組んでまいります。



重点経営オペレーショナルリスク
リスク項目名:①製品の長期供給遅れ・停止
緊急度影響度リスクマネジメント
レベル
感染症22C
地震・噴火・台風32B
リスクの説明:
大規模地震、津波、洪水、感染症の拡大、サプライヤーの供給停止及び地政学リスクによる不測の事態により、
・部品供給の遅延や停止
・製品工場の製造の遅延や停止
・輸送機関の遅延や停止
・販売会社への供給遅延や停止
等が発生し、ビジネス機会を損失するリスクが考えられます。
リスクの対策:
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の急速な世界的拡大と長期にわたる継続を踏まえた予防・対応プロセスを強化しており、
・有事を想定した在庫の確保
・重要部品別に複数仕入先選定又は代替品の選定
・購買、生産等の領域ごとのアラートレベルの設定と運用開始
・リモートワーク等の新しい働き方を想定したBCP訓練
を実施しております。
また、机上訓練のみならず一定の実践を常態的に行い、対応策の有効性の確認と改善を継続的に行ってまいります。


重点経営オペレーショナルリスク
リスク項目名:②国内外の大規模な災害/事件事故
緊急度影響度リスクマネジメント
レベル
国内:地震・噴火13C
国内:風水雪害51C
国外:大自然災害・事件事故31C
リスクの説明:
当社グループでは、国内外で発生する大規模な自然災害・事件・事故において、人的/物的被害が生じ、経営に著しい影響を及ぼすリスクを想定しております。
リスクの対策:
当該リスク対応において、以下のような対策を行っております。
国内
・災害発生時の初期対応(事業所復旧含む)、報告方法及び各対策本部の設置を含めた体制と役割を社内規定に明記することで、災害発生の際に適切な対応が取れるような仕組み(予防策、発生している事案の早期発見/事案発覚後の対応力を高めるための取組み)を構築しております。また、社内外の環境変化に併せて、仕組みの見直しを継続的に行っております。
・災害による被害の発生を防ぎ、万が一災害が生じた場合の被害を最小限に抑えるために、国内グループ合同での災害対応訓練や事業所単位での防災訓練(夜間避難訓練含む)、定期的な設備点検等を継続的に実施しております。このように、体制や運用が機能するか否か各種訓練で検証し改善を重ねる事で、従業員の安全確保と早期に事業復旧に繋げられるよう準備を行っております。
・水害リスク対応は、2020年度より取り組みを強化しており、大規模な水害発生時の復旧行動計画を策定し、計画に基づいた実地訓練を継続的に行っております。また、当社グループ拠点に対する水害リスクの詳細調査結果に基づき比較的高いリスクが想定される拠点に対する必要な工事等を、2021年度から継続的に行っております。さらに当社グループの国内全拠点(約400拠点)の水害リスク情報を可視化できるツールを構築し、2022年度に運用を開始しました。
・噴火リスク対応は、2022年度に富士山噴火の対策見直し、当社グループ拠点に対する影響確認と、新たな対策の策定を行いました。今後、策定した対応策を実施してまいります。
海外
・日本国外において発生する大規模な災害/事件事故対応に迅速に対応するための基本的な考え方、役割及び責任を明確にし、海外各社における対応状況のモニタリングを進めています。



重点経営オペレーショナルリスク
リスク項目名:③グローバル環境の変化に伴う想定外の業績影響
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
53D
リスクの説明:
新型コロナウイルス感染症によるパンデミック、ロシア・ウクライナ情勢、サプライチェーンの混乱、止まらない物価上昇、歴史的な円安等、この3年で想定外・想定以上の事象が現実的に起きております。
予兆感知による事前の対策や、発生時のリカバリー対策は常に打っているものの、今後も想定外の新たな事象が発生した際、グループ業績に影響を及ぼすことは避けられません。
リスクの対策:
当社では、月次業績のモニタリングを毎月の経営会議とビジネスユニットごとの事業運営会議で実施し、予実績の要因把握と挽回の対策検討を経営陣で行っております。
また、コンティンジェンシープラン*7のプロセスを構築しており、プロセスに則った施策判断を実施しております。2022年度は本社資産売却を判断し実行しました。
2023年度以降も現状のプロセスを継続するとともに、環境変化に影響しないレジリエントな生産・供給体制の構築を進めてまいります。


重点経営オペレーショナルリスク
リスク項目名:④人事関連コンプライアンス対応
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
51C
リスクの説明:
当社グループでは、人事関連の各種コンプライアンス違反が発生し、社会的信用を失墜するリスク等が考えられます。
リスクの対策:
当社グループでは、
・コンプライアンス遵守(人権・ハラスメント問題を含む)のための教育を実施しております。
・コンプライアンス違反を発見した際の相談・通報の啓発を行っております。
・マネジャー向けの労務管理教育を実施しております。
・グループ全体での労働関連法規改訂内容と対処の共有をしております。
・グループ全体での人事関連コンプライアンス違反に関する相談窓口の設置及び事例の共有をしております。


重点経営オペレーショナルリスク
リスク項目名:⑤グループガバナンスに関するリスク
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
51C
リスクの説明:
社内外の環境変化が激しい時代において、健全な成長を維持するためにグループガバナンスの強化が非常に重要であると考えています。本社のガバナンスが適切に機能していない場合、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
・新規事業や外部環境の変化に伴う新たなリスクに対し、グループの方針策定や対応が迅速に行われず、倫理やコンプライアンス違反につながる可能性があります。
・グループ会社のガバナンスの整備・運用状況、業務プロセスに対する本社の管理監督が不十分な場合、不正や不祥事等によるブランドイメージや信頼性の低下、そしてグループ全体の持続的な成長や企業価値の向上に対するリスクが高まることになります。
リスクの対策:
グループガバナンスのリスクを低減するために、当社では、本社機能とビジネスユニット、グループ会社のガバナンス体制を再設計しております。再設計にあたっては、迅速な意思決定と一体的な経営、そして実効的なグループ会社管理等の必要性を総合的に勘案し、分権化と集権化の最適なバランスを検討しながら進めています。また、本社主管管理部門によるグループ会社のガバナンスについても、個別事業の特徴やリスクマネジメントの成熟度に応じて、適切な指導及び管理監督が行われるよう検討しております。2023年度からは、テクノロジーを活用し、本社のリスクマネジメント部門にて、グループ全体で発生したコンプライアンス違反や不正行為、内部通報等からの傾向分析を行い、各組織に対しデータに基づく、より効果的な対応アクションを提案できるよう準備をしております。


(2) 事業領域固有の重要なリスク

リスク項目名:①オフィスプリンティング市場における環境変化
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
42C
リスクの説明:
オフィス向け複合機やプリンター市場において、リモートワークの増加やペーパーレス化に伴いプリント出力が減少し、業績に影響を与える可能性があります。
リスクの対策:
オフィスサービス分野においてリモートワークやペーパーレス化を支援するサービス、商品を強化し、本分野でのストック収益を上げることでオフィスプリンティング領域のリスクヘッジを図っております。
プリント出力量の変化に応じた関連人員数の調整等による利益確保に努めております。
他社との協業含めた開発、生産コストの低減に取り組んでおり、利益率の向上によるリスクヘッジを行っております。


リスク項目名:②戦略的買収によるオフィスサービス事業の成長
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
42C
リスクの説明:
当社グループが目指すデジタルサービスビジネスへの事業構造転換の主となるオフィスサービス領域では戦略的買収が中期経営戦略財務目標の達成要件の一つとなっております。
一方で市況の変化や対象企業の業績不振により想定していた投資対効果を得られない可能性や、将来において適切な対象企業を発掘、獲得できず事業戦略遂行に影響を与える可能性があります。
リスクの対策:
GMCの諮問委員会である投資委員会にて、買収企業群の業績及び投資回収進捗状況を常時モニタリングし、想定外状況に対し適切な対策を実施する仕組みを構築しております。
本社経営企画部内にM&Aを専門とする部門を設置しコンサルタント他外部との連携による案件発掘、及び世界各地の地域統括会社での探索活動強化により、対象領域での戦略的買収遂行確度を高めております。


リスク項目名:③商用印刷事業の成長リスク
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
42B
リスクの説明:
高速印刷機で安価に印刷業務を受注するプリントサービスプロバイダへのプリント出力量の集約・統合や文書のデジタル化加速により、商用印刷事業領域における企業内印刷事業の業績が下振れするリスクがあります。
リスクの対策:
企業内印刷事業での業績下振れリスクを低減するために、未開拓の欧米代理店や新興国の開拓を進めるとともに、事業ポートフォリオマネジメントの実施により今後も市場成長が見込まれている商用印刷事業・産業印刷事業へのリソース投入強化、事業構造転換を進めております。



リスク項目名:④サーマル市場の価格競争激化
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
32C
リスクの説明:
サーマル市場は堅調に成長しているものの、コモディティ化が進行しております。当社は、発色感度、印字精細性、画像保存性による品質差別化を図っておりますが、低中グレード需要が高まれば、低価格競争に陥り、市場シェアと収益性を下げ、事業業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクの対策:
低中グレード需要が高まる地域では、製品原価の低減と、社会課題解決への商品ポートフォリオの見直しを実施しております。
また当社の強みである、感熱処方技術、生産技術を活用し、現場(物流・流通・製造等)のお客様へデジタルサービスを提供するビジネス転換を進めております。



(3) その他のリスク

リスク項目名:①のれん、固定資産の減損
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
23B
リスクの説明:
当社グループは、企業買収の際に生じたのれん、事業用の様々な有形固定資産及び無形資産を計上しております。
これらの資産については、今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクの対策:
当社グループは、資産の取得に際して、投資金額及び内容に応じた所定の手続きを実施し、投資対効果の検討等様々な点を考慮し実行の是非を決定しております。
また、外部への投資案件は、GMCの諮問委員会である投資委員会にて、財務、戦略、リスク視点での妥当性を審議し、GMCへ見解を上申しております。決裁された投資案件に関して、同委員会が進捗モニタリングを定期的に行うことによりリスクへの対策を講じていく仕組みを構築しております。


リスク項目名:②繰延税金資産
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
23C
リスクの説明:
当社グループは、税効果会計を適用し、将来減算一時差異及び繰越欠損金等に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、事業計画を基礎とした将来の課税所得に対して回収可能性を検討しております。将来の課税所得の見積りが、現在の課税所得の見積りよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
リスクの対策:
当社グループでは、繰延税金資産の評価にあたり、繰延税金負債の実現予定時期、将来の課税所得の見積り及び税務戦略を考慮しております。将来の課税所得の見積りに関しては事業計画を基礎として、各ビジネスユニットが業績の進捗をモニタリングし、計画の達成を阻む要因があれば、自律的かつ迅速に対応できる体制を構築しております。



リスク項目名:③知的財産権の保護
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
21B
リスクの説明:
当社グループは、知的財産権を重要な経営資源と捉え、現在及び将来の自社事業とそれを支える技術等の保護、差別化とその拡大のために、特許権、意匠権、商標権等の知的財産権を獲得しておりますが、競合他社が同等の技術等を開発して独自性が低下するリスクや、各国特許庁の審査で狙いどおりの権利獲得ができず十分な保護が得られないリスクがあります。
また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害するとして、第三者から、販売の差し止めや損害賠償金の支払い等を求める警告を受けるリスクや、訴訟を提起されるリスクがあります。
更に、当社グループの新規事業立上げで、他社との協業、共同研究や共同開発が活性化していることに伴い、知的財産権に関する契約が増えておりますが、当該契約でトラブル等が発生すると、自社事業に悪影響を与えるリスクが大きくなります。
リスクの対策:
当社グループでは、特許等の出願前に先行技術調査を徹底するとともに、各国の知的財産に係る法律、審査基準やプロセスを把握し、知的財産権獲得の精度向上に努めております。
また、自社製品・サービスを市場に提供する前に、第三者の知的財産権の調査と、自社製品・サービスと第三者の知的財産権との対比検討を徹底しております。第三者の知的財産権を侵害するリスクがある場合、外部の弁護士や弁理士による鑑定、必要であれば設計変更、ライセンス交渉やライセンス取得を行い、第三者との係争リスクを低減しております。
当社グループでは、「知的財産権の保護」を業績に影響を及ぼすリスクとして重要視し、過去に発生した、知的財産権に関する契約トラブル事例を形式知化し、トラブルの予防とリスク低減をしております。


リスク項目名:④製造物責任
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
22B
リスクの説明:
当社グループが製造・販売する製品に、
・重大な安全性問題(人損・焼損)
・安全・環境法規制問題
・品質問題の長期化
等が発生することで、お客様の信頼や社会的信用を失墜させ、企業ブランドや製品ブランドが毀損され事業継続が困難になるリスクが考えられます。
リスクの対策:
当社グループでは、「製造物責任」に対する予防・対応プロセスを強化しております。
・機器の信頼性・安全性の向上に向け、故障、事故が生じるメカニズムの分析精度を高め、問題の再発・未然防止策を開発過程に反映しリスク低減につなげております。
・万が一、問題が発生した際に市場対応が迅速かつ確実に行われるよう体制を整備しております。
・各国における安全・環境法に準拠した製品をお客様に提供するため、現地と密に連携をとり適切な標準・ガイドの制定、定期的な見直しを実施しております。



リスク項目名:⑤公的な規制への対応(輸出入管理)
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
53B
リスクの説明:
当社グループの事業活動を行う中で、
•輸出入関連法違反に対する輸出停止措置等の行政制裁による生産・販売への影響、社会的信用の失墜による取引の機会損失、罰金や刑事罰等
•国際的有事等の外的要因による各国輸出規制法違反
等の要因により会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
リスクの対策:
当社グループでは、
•代表取締役 社長執行役員をトップとし、専任組織である輸出入管理部門を事務局としたグループ輸出入委員会体制によるガバナンスの強化を行っています。
•グループ役員及び社員への定期的な教育、事業部門への輸出入管理に特化した内部定期監査、関連部署への法令改定情報の迅速な周知を行っています。
•専任部隊による輸出前の該非判定・顧客審査含む必要審査の実施による法令の厳格な遵守等を行っています。


リスク項目名:⑥公的な規制への対応(独占禁止法/競争法)
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
52B
リスクの説明:
当社グループの事業活動を行う中で、独占禁止法/競争法の違反が発生した場合、課徴金(行政処分)の負担や刑事罰、官公庁との取引停止、社会的信用の失墜によるビジネスへの悪影響等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
リスクの対策:
当社グループでは、独占禁止法及び各国競争法の遵守徹底のため、各地域の法務部門が主導し教育活動及び発生時対応の強化に努めております。


リスク項目名:⑦公的な規制への対応(環境)
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
52B
リスクの説明:
当社グループの事業活動を行う中で、各種環境・労働安全衛生関連法の違反が発生した場合、行政処分等による生産への影響や課徴金の負担、刑事罰、社会的信用の失墜やブランド価値の毀損によるビジネスへの悪影響等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。
リスクの対策:
当社グループでは、環境マネジメントシステムを構築し、定期的なアセスメントによる環境関連法の遵守徹底とともに、規制変化等のタイムリーな把握・対応に努めています。
加えて、M&Aにおいても環境デューデリジェンスを適切に実施しリスクの未然防止に努めています。
また、環境関連情報の公的な開示要請に対しては、収集している環境パフォーマンスデータを透明性をもって開示すると共に主要データに関しては第三者検証を受ける等信頼性の高い環境情報の積極的な開示を進めています。



リスク項目名:⑧為替レートの変動
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
43C
リスクの説明:
当社グループでは、生産活動及び販売活動の相当部分を日本以外の米国、欧州及び中国等その他地域で行っており、事業活動において為替レートの変動による影響を受けます。
・海外子会社の現地通貨建ての業績が各会計年度の平均レートを用いて円換算されていることによる、連結損益計算書及び連結包括利益計算書への為替レート変動影響
・現地通貨建ての資産・負債が各決算日現在の為替レートを用いて円換算され、連結財政状態計算書に計上されることによる資産・負債額への為替レート変動影響
等がリスクとして考えられます。
リスクの対策:
当社グループでは、
・為替変動に関しては、米ドル、ユーロ及び円等の主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関等と為替予約等のヘッジ取引を実施しております。また、ヘッジ取引を行うことのできる会社又は組織は限定されており、それらは財務ルールとして徹底されております。
・グループ全体として決済におけるネッティングを最大限に行うことにより、為替リスクを最小化しております。
・海外子会社の資産・負債の通貨マッチングを実施しております。


リスク項目名:⑨確定給付制度債務
緊急度影響度リスクマネジメントレベル
22B
リスクの説明:
確定給付制度債務及び年金制度の資産に関し、一定の会計方針に基づいて当社グループはこれらの給付費用を負担し、政府の規制に従って資金を拠出しております。
現時点では、直ちに多額の資金は不要ですが、株式や債券市場等の予測し得ない市況変動により制度資産の収益性が低下すれば、追加的な資金拠出と費用負担が必要になるリスクがあります。
リスクの対策:
当社グループは、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しております。


*1 ELSI(Ethical, Legal and Social Issues):倫理的・法的・社会的課題。
*2 NIST SP800-171:米国国立標準技術研究所(NIST: National Institute of Standards and Technology)が発行するガイドラインの一つ。
*3 DX (Digital Transformation デジタルトランスフォーメーション):企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会ニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
*4 GDPR:General Data Protection Regulation。
*5 ISO/IEC:International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission。
*6 RBA(レスポンシブル・ビジネス・アライアンス):150社以上の大手企業が参加するアライアンスで、サプライヤーに対する統一的な行動規範と監査手順に合意している。
*7 コンティンジェンシープラン(Contingency Plan):不測の事態に備え、事業への影響を最小限にとどめるために実施する施策や行動指針を記した緊急時対応計画。


従業員の状況研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02275] S100R29T)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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