有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TQSO (EDINETへの外部リンク)
日本紙パルプ商事株式会社 事業等のリスク (2024年3月期)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
リスク項目は、「特に重要なリスク」、「その他のリスク」に区分しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、現時点では予見できないまたは重要と見なされていないリスクや、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があります。
(1)特に重要なリスク
①市況・市場リスク
イ 主な取扱商品の需要減少、市況及びマクロ経済変動リスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループが取り扱う主な製品及び商品である紙、板紙は、情報媒体の電子化、省包装やパッケージ素材の切り替え等の要因によって構造的に需要が減少するリスクがあります。また、製紙原料である古紙は紙・板紙の生産量及び消費量の減少によって需要、発生ともにより一層減少するリスクがあります。 現に、日本をはじめとする先進国においては、印刷・情報用紙の需要減少傾向は顕在化しており、製紙原料である古紙の需要、発生ともに減少する可能性があります。しかしながら、新興国では経済成長に伴って今後も紙・板紙ともに需要の増加が見込まれるなど、現在のところ当社グループの経営成績に影響を与える可能性は僅少であると認識しております。 また、事業を展開している地域における経済環境の悪化及びそれに伴う需要の減少、または消費動向に影響を及ぼすような不測の事態の発生や他社との厳しい競争による影響を受ける可能性があります。 マクロ経済環境の悪化については、顕在化の時期・影響度について確定的な見積りを行うことは困難と認識しておりますが、当社グループが顧客の求める商品・製品を競争力ある価格により提供できない場合は、市場におけるシェアや顧客との取引関係を喪失する可能性があります。 なお、商品仕入実績及び販売実績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 経営成績の状況 ⑤ 生産、受注及び販売の実績」に記載しております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
国内卸売 | 主力の印刷情報及び包装用途に加え、環境配慮型・高機能素材等の高付加価値品の販売拡大を進めると同時に、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の持つ特性、魅力や環境優位性等を発信していく予定です。 |
海外卸売 | |
製紙加工 | ・製紙加工 段ボール事業、再生家庭紙事業においては、インバウンド需要も含め、今後も比較的安定した需要を見込んでおりますとともに、段ボール事業においては通販用緩衝材、再生家庭紙事業においては高付加価値製品などの開発・生産により、新たな需要の確保にも注力しております。さらに、再生家庭紙事業では、原料古紙の確保と取引先との関係強化に向け、難再生古紙の使用やクローズドループによる資源循環型リサイクル体制の構築に取り組んでおります。 ・環境原材料 古紙調達網の整備等により、古紙調達量を確保し、国内製紙メーカーへの安定供給の維持に取り組んでおります。 ・製紙加工と環境原材料の相互補完 当社グループは、川上である環境原材料セグメントから、川中である製紙加工セグメント、川下である国内卸売及び海外卸売の両セグメントまでの事業ポートフォリオを構築しております。そのため、原材料価格の下落時には、環境原材料セグメントの利益低下を製紙加工セグメントが製造コストの低下として吸収し、原材料価格の高騰時には、製紙加工セグメントの製造コストの増加を、環境原材料セグメントの利益増加として吸収する事業構造を構築しております。 |
環境原材料 |
ロ 不動産市況の影響 | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社は、国内所有不動産の活用による収益基盤の安定化を目的として不動産賃貸事業を行っております。 賃貸用不動産が人口減少等によって供給過剰になるリスクや、所有不動産のうち築年数が進んでいる建物について、大規模な修繕等が必要になるリスクがあります。 しかしながら、当社が保有する賃貸用不動産は東京・大阪・京都等、今後の人口減少社会においても急激な人口の変動が起きにくい地域にあるため、供給過剰による空室率の上昇や賃貸条件の悪化等の影響を受ける可能性は現在のところ僅少であると考えております。ただし、今後New Normal(新しい働き方等)が定着した場合、オフィス需要の減少、賃料水準の低下が顕在化する可能性があります。 なお、賃貸用不動産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (賃貸等不動産関係)」に記載しております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
不動産賃貸 | 人口減少社会においても一定の需要が見込める地域で事業を行っております。 また、当社は短期、中期、長期の所有不動産修繕計画を策定し、当該不動産の状態及び賃貸不動産市場の動向を勘案して必要な修繕を実施する一方、築年数が経過した物件に対しては再開発計画の策定や不動産ポートフォリオの最適化を進めてまいります。 |
②取引関係に係るリスク
イ 取引先の信用リスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、取引先に対して掛売りを行っているほか、前渡しや貸付を行う場合があります。 このため、取引先の信用状況が悪化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 なお、連結会社以外の会社等の銀行借入等に対する債務保証の額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結貸借対照表関係) ※保証債務等」に記載しております。 |
当社グループの対応 |
当社グループでは取引先ごとの信用限度額設定とその定期的な見直しや、与信先の信用状態に応じた担保・保証の設定、信用保険の付保等の債権保全策を講じております。 |
ロ 仕入先メーカーの方針変更リスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループが商品を仕入れている製紙メーカー各社は、生産効率、輸送コスト等を勘案して紙及び板紙を製造しており、需要動向や製造コスト等を理由に既存商品の生産を中止する決断を下すことがあり、その場合は当社グループが失注する可能性があります。 また、需要の減少に対応するため製紙メーカーの寡占化が進んだ場合、仕入先である製紙メーカーの市場に対する影響力が高まり、相対的に当社グループの影響力が低下する可能性があります。 ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 なお、当社は商品仕入総額に対して、王子ホールディングス㈱傘下の王子製紙㈱、王子エフテックス㈱及び王子マテリア㈱からの仕入比率は45.3%、日本製紙㈱からの比率は15.2%と高い比率となっております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
国内卸売 | 調達先のグローバル化など多様化を進め、商品の安定供給ができる体制を構築しております。 また、サプライチェーンの中で主導的な立場に立てるよう、川上、川下双方から評価される機能や付加価値の創造を図ってまいります。 |
海外卸売 |
③その他の重要なリスク
イ 紙販売代理店機能の低下に係るリスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 紙の需要構造の変化や、デジタルトランスフォーメーション等の影響により、当社グループが果たしてきた機能役割を製紙メーカーもしくは顧客が担う可能性があります。その場合、当社グループの主力事業である卸売事業に大きな影響を与える可能性があります。 ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
国内卸売 | ・国内卸売及び海外卸売 以前から主力の印刷情報及び包装用途に加え、環境配慮型・高機能素材等の高付加価値品の販売拡大を進めると同時に、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の持つ特性、魅力や環境優位性等を発信していく予定です。 ・当社グループ全体 製紙加工や環境原材料等の事業を拡大し、事業ポートフォリオの多角化を通じて当該リスクの影響を低下させることを目指しております。 また、人権侵害や環境負荷のリスクに配慮しながらサプライチェーンの中で主導的な立場に立てるよう、川上、川下双方から評価される機能や付加価値の創造を図ってまいります。 |
海外卸売 |
ロ 物流機能に係るリスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 人口減少及び高齢化社会の進展にともない、トラック配送のドライバー等、物流機能を担う人手が不足する状態が徐々に顕在化しており、配送・保管コストの上昇や、人手の確保が困難になることで商品を適時適切に運べない等の機会損失が発生するリスクが高まっております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
国内卸売 | IT等を活用した合理化を徹底し、国内では、同業他社との物流共同化、週間配送量の平準化や委託倉庫における待機時間の削減を推進しております。 家庭紙においては、配送効率の向上とドライバーの作業負担軽減を両立させたノーパレット輸送を推進しております。 |
海外卸売 | |
製紙加工 | |
環境原材料 |
ハ 新たな事業投資に関するリスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、新たな事業展開及び既存事業の拡充・強化等を図り、事業ポートフォリオの最適化を目的として、新会社の設立やM&Aを含めた既存の会社への投資等を経営戦略のひとつとしております。 当社グループが実行した事業投資について、当社グループ及び投資先企業を取り巻く事業環境の変化等により、当初期待していた収益やシナジー効果を得られない可能性があります。 ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
国内卸売 | 新たな投資を行う際は事前にリスクについて十分な検討を行い、経営会議にて審議を重ねるほか、社内規程に基づく審査や、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを実施するなど極力諸リスクを回避するように努めております。 |
海外卸売 | |
製紙加工 | |
環境原材料 |
ニ 関係会社株式及びのれんの減損リスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、保有する関係会社の株式を貸借対照表に関係会社株式として計上しております。 株式の実質価額が取得原価よりも著しく下落し、かつ、実質価額が取得原価まで回復する見込みがない場合、減損損失を計上することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また当社グループは、企業買収に伴って取得した子会社の将来の超過収益力として連結財務諸表にのれんを計上し、その効果の及ぶ期間にわたり償却を行っております。 のれんの回収可能性については、子会社の業績や事業計画等を基に判断を行っておりますが、将来において当初想定した超過収益力が見込めなくなった場合には、のれんの減損損失が計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、のれんの償却方法及び償却期間については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (8) のれんの償却方法及び償却期間」に記載しております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
国内卸売 | 関係会社の財政状態、経営成績、事業計画等について定期的に収集し、減損の兆候が認められるかの判断を定期的に行っております。 |
海外卸売 | |
製紙加工 | |
環境原材料 |
ホ 有形固定資産の減損リスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、国内卸売事業や海外卸売事業における事務所や倉庫、製紙加工事業や環境原材料事業における生産設備並びに、不動産賃貸事業における賃貸用不動産等の固定資産を保有しておりますが、将来の経済状況が悪化し、収益性が有形固定資産の回収可能価額を下回った場合、有形固定資産の減損が発生する可能性があります。 有形固定資産の減損については、兆候の有無を判定し、兆候が認められるかの判断を定期的に行っております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
国内卸売 | 連結子会社の財政状態、経営成績について定期的に収集し、有形固定資産の減損の兆候がないか確認しております。 |
海外卸売 | |
製紙加工 | |
環境原材料 | |
不動産賃貸 | 定期的に物件ごとの回収可能価額を調査し、有形固定資産の減損の兆候がないか確認しております。 |
(2)その他のリスク
①経営環境に係るリスク
イ 法的規制 |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは国内外において、紙、板紙、パルプ、古紙等の卸売や、製紙加工、環境原材料、不動産賃貸等に関する事業を展開し、それぞれの事業分野において、日本及び各国の広範な各種法令・諸規則等の適用を受けていることから、これら法令・諸規則の改正もしくは解釈の変更、法的規制の新設によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このうち、製紙加工事業や環境原材料事業は、大気や土壌及び水質、また、廃棄物処理やリサイクル等さまざまな環境関連の法規制の適用を受け事業活動を行っており、これらの法規制がより厳格化された場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 なお、東京証券取引所に開示いたしましたとおり、当社は、2023年4月に、独立行政法人国立印刷局を発注者とする再生巻取用紙の入札に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして公正取引委員会による立入検査を受け、2024年3月に、独占禁止法第3条(不当な取引制限)の規定に違反する行為を行っていたと認定されました。当社は、本件に関し、公正取引委員会に対して課徴金減免制度の適用申請を行い、過去の違反行為を自主的に申告するとともに、同委員会による調査に全面的に協力してまいりました結果、排除措置命令及び課徴金納付命令のいずれも受けないこととなりました。 |
当社グループの対応 |
当社グループでは、コンプライアンス経営の確立を目指し、全従業員へのeラーニング、セミナー等の研修をはじめ、子会社で取締役等、重要な役職に就く出向者に向けた研修、ガイダンスを行うなど法令遵守に向けた取り組みを強化しております。 2021年4月に「環境・安全推進室」を設置し、グループ各社における環境関連法令・労働安全法令等へのコンプライアンス体制及び安全操業体制の強化に取り組んでおります。また、グループ横断組織である「OVOL環境・安全委員会」を通じ定期的な環境法令の改正情報の発信、及び、各種情報交換を行っております。 なお、公正取引委員会による立入検査に関し、上記命令のいずれも受けておりませんが、本件に関与していた事態を厳粛かつ真摯に受け止め、独占禁止法の遵守を徹底するために策定した再発防止策を着実に実施するとともに、コンプライアンスの一層の徹底を図ってまいります。 |
ロ カントリーリスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、海外の会社との取引や出資において、当該国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延、不能等が発生するカントリーリスクを負っております。 ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
海外卸売 | 当社子会社所在国の政治、経済、社会情勢の変化については、現地勤務者や専門機関、取引先金融機関からの情報を適宜入手し、適切な経営判断や営業取引条件の設定・見直しに努めております。 |
製紙加工 | |
環境原材料 |
②金融市場に係るリスク
イ 資金調達に関するリスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、事業活動及び事業投資等で必要となる資金について、財務の健全性維持を勘案し、国内外の金融機関等からの借入金及びコマーシャル・ペーパー、社債の発行による金融市場からの調達を行っております。 金融市場の混乱や当社格付の引き下げ、或いは金融機関、機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社グループの資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、需給ギャップや原燃料価格・物流費の高騰などによるインフレ懸念に対し、一部の国々・地域をはじめ国内においても、利上げや金融引き締めといった政策転換が発表・実施されており、今後の国内外における動向によっては金融市場が大きく変動する余地があり、中期的に当該リスクが顕在化する可能性があります。 |
当社グループの対応 |
当社グループは、連結会計年度ごとに資金調達方針を定めております。 なお、当社グループの資金調達の方針及び状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) キャッシュ・フローの状況 ② 資本の財源及び資金の流動性」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (金融商品関係)」に記載しております。 |
ロ 為替変動リスク | |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは輸出入及び外国間等の貿易取引において外貨建ての決済を行うことに伴い、日本円に対する外国通貨レートの変動リスクを負っております。なお、当社グループの地域別売上収益の構成比については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 経営成績の状況 ③ 地域別・製品別の売上収益 イ地域別売上収益」に記載しております。 また、当社グループの連結財務諸表には、海外の連結子会社の資産・負債及び損益も組み込まれております。これらの企業はそれぞれ日本円以外の通貨にて財務諸表等を作成しており、各報告通貨を日本円に換算する時点の為替変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 | |
影響を受けるセグメントと対応 | |
国内卸売 | 当社グループは、貿易取引では原則として先物為替予約等によるヘッジ策を講じております。ただし、それによって完全に為替リスクが回避される保証はありません。 |
海外卸売 | |
製紙加工 | |
環境原材料 |
③気候変動・自然災害等に係るリスク
イ 気候変動及び自然災害等に係るリスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 脱炭素社会への移行に伴い、当社グループは、カーボンプライシングの導入、市場ニーズの急速な変化、環境規制等の強化、また、金融市場の投融資基準の見直し等の影響を受ける可能性があります。なお、これらへの対応が不十分あるいは遅れた場合は、温室効果ガス(GHG)排出量が多い製紙加工事業等において、炭素税の引き上げに伴う操業コストの著しい増加により、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。(移行リスク) また、国内において将来発生が懸念されている首都直下型地震や南海トラフ地震、大型台風や洪水等の自然災害により、当社グループの設備が被害を受けた場合、もしくは取引先や物流機能等が被害を受けサプライチェーンの分断など間接的な影響が生じた場合、事業活動が長期間にわたり中断し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(物理的リスク) |
当社グループの対応 |
当社では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同のもと、気候変動に関するリスクが事業や業績に与える影響・対応策について、TCFD提言に基づく定性的なシナリオ分析を実施し、2022年度に開示いたしました。2023年度においては、移行リスク及び物理的リスクの財務インパクトを当社及び国内連結子会社を対象に試算し、開示しております。 また、大型地震や台風、洪水等の大規模災害が発生した際には、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みとして、安否確認システムを導入するとともに、被災地の被害状況を早急に把握するため、緊急時通信体制の強化を進めております。そのうえで、定期的な訓練を実施することにより、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の定着に努めております。また、システム障害に対する耐性の強化やテレワーク環境の整備等を行い、災害等が発生した場合でも事業活動への影響を最小限にする体制の構築に努めております。 |
④その他のリスク
イ 保有する投資有価証券の時価変動リスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、仕入先企業、販売先企業、取引金融機関等、業務上密接な関係にある企業の株式を保有しております。 当社グループが保有する有価証券のうち、時価を有するものについては、金融商品市場の動向等による価格変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、主な株式の保有状況については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5) 株式の保有状況」に記載しております。 |
当社グループの対応 |
当社グループは、これらのリスクを回避するため、定期的に把握された時価が取締役会に報告されており、取引先企業との定量・定性面での関係性を勘案して保有状況を継続的に見直しております。 |
ロ IT・セキュリティに係るリスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピュータウイルスによる攻撃、災害等の不測の事態によって機密情報の漏洩、システムの障害及び通信回線のトラブル等が発生した場合、被害の規模によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 |
当社グループの対応 |
当社グループは、ITインフラ整備と情報セキュリティに関する各種規程を整備し、当社グループが保有するシステムやデータ等の情報資産の適切な管理・保護に努め、ファイアウォールによる外部不正アクセスの防止、ウィルス防御システムの定期更新、システム及び通信回線の二重化等にも努めております。 |
ハ 訴訟に係るリスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟・係争・その他の法律的手続きの対象となるリスクがあります。 当連結会計年度において当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておらず、顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。しかし、今後何らかの訴訟が提起された場合、当社グループの社会的な評判や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループの対応 |
リスク管理委員会を当社内に設置し、法律事務所等の専門家の助言を得ながらリーガルリスクの最小化、コンプライアンス違反の未然防止等に努めております。 |
ニ 人材確保及び労務関連リスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、人材を最大の経営資本と位置付けており、人材こそが企業競争力の源泉であり、当社グループが将来にわたって持続的な成長を遂げていくための原動力であるという考えのもと、従業員一人ひとりが活躍しやすい環境・仕組みづくりを推進しております。 また、当社グループが推進する新たな事業展開及び既存事業の拡充・強化等を図るため、新会社の設立や既存設備への追加投資等を行っており、事業運営には多様な人材が必要となっております。 紙専門商社を起源とし主に国内卸売事業を営む当社と異なり、製紙加工事業や環境原材料事業等を営むグループ各社は工場や作業所等を有しているため、関連法令、設備、操業に精通した経営人材の育成に取り組んでいく必要があります。また、長期ビジョン2030にて当社グループのあるべき姿のひとつとして「世界最強の紙流通企業グループ」を掲げる中、海外卸売事業における在外子会社の経営管理に長けた人材の育成にも取り組んでいく必要があります。 しかしながら、日本における少子高齢化による新卒学生数の減少や、日本を含む一部先進国における労働人口の減少等により、適切で十分な人材の確保が困難となった場合及び従業員の退職により人材が流出した場合には、当社グループの事業継続及び財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、世界的なコロナ禍を契機とした働き方の変容や、女性の活躍促進、高齢者・外国人労働者の雇用促進、企業の生産性向上といった社会の動きによって就業構造や企業の採用環境が変化することも考えられるため、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 |
当社グループの対応 |
当社グループは、事業を展開する各国において法令に基づく適正な労務管理等により、労務関連のリスクの低減に継続的に取り組むとともに、OVOL長期ビジョン2030で掲げる「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」を目指し、従業員の満足度をより高めつつ、多様な人材の確保を強化してまいります。 また当社は、従業員が働きやすい環境や制度の拡充に積極的に取り組んでおります。 ・働き方改革(時間外勤務削減、有給休暇取得促進、時間単位の年次有給休暇制度、シフト勤務・育児短時間勤務拡張(法定以上)・勤務地限定制度等の柔軟な働き方拡張、在宅勤務制度、EAP相談室、育児介護休業法改正への対応推進等) ・採用の多様化・強化(キャリア採用の推進、退職者の再雇用、新卒採用強化(オンライン説明会、1Day仕事体験等)、障がい者雇用の推進等) ・定年延長の実施(65歳定年とする。60歳以降も処遇は59歳以前と変わらず一律の役職定年も設けない制度とし、60歳選択定年も可能(5年間の経過措置)等) ・人材育成(各種研修(階層別、選択型)、海外派遣研修制度、自己啓発支援制度、新入社員指導員制度等) |
ホ 人権問題に関するリスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社グループは、人権尊重は事業活動の基盤であると認識し、当社グループ事業に関わるすべての人々の人権を尊重するとの考え方のもと、私たちのビジネスに関わるすべての人々の人権を尊重する責任を果たすべく「日本紙パルプ商事グループ人権方針」を策定しております。また、人権問題が与える事業リスクへの認識を深めるため、外部有識者による「ビジネスと人権」研修会を当社経営層向けに実施し、2024年5月には「日本紙パルプ商事グループ 持続可能な調達に対する考え方」を策定、公表いたしました。今後はグループ従業員への「ビジネスと人権」教育を実施し、当社グループならびにサプライヤーも含めたサプライチェーン全体での人権尊重への取組みを強化してまいります。 その一方で、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や日本政府「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」で示されている企業の人権尊重責任への要請・関心が高まるなか、当社グループによる人権への取組みが奏功しない、もしくは不十分である場合、顧客や金融機関、株主をはじめとするステークホルダーからの信用失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループ内で人権問題が発生しその対応が不十分とされた場合は、顧客や金融機関等から監査要求や、取引・融資等の見直し要請を受ける可能性があります。加えて、当社グループのサプライヤーや業務委託先で人権問題が発生した場合は、当社グループとして改善・救済措置の対応が顧客や金融機関など市場から要請され、対応が不十分とされた場合は取引中止や信用失墜による業績への影響が想定されます。 |
当社グループの対応 |
当社グループ役職員への「ビジネスと人権」教育を2024年度に実施すべく準備を進めております。また、グループ人権リスク及びサプライチェーンにおける人権リスクの特定等を検討しております。 |
ヘ 繰延税金資産の回収可能性リスク |
・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響 当社及び連結子会社は、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において連結会社間の移転価格取引により最終的な税額の決定に不確実な状況が多く生じております。 また、当社グループは多くの税務管轄において税務当局から継続的な調査も受けております。 当社グループが計上している税金引当額、及び繰越欠損金や繰越税額控除を含む繰延税金資産の帳簿価額の計算には高度な判断と見積り(将来の課税所得の見積りを含む)が必要となっており、それらの変動によって繰延税金資産の回収可能性は影響を受け、将来の税金費用の計上額に影響を及ぼす可能性があります。 一部の税務管轄において、繰越欠損金又は繰越税額控除の使用が、翌期以降の課税所得に対する一定の水準に制限されており、ある特定の要因の所得との相殺にしか使用できない場合があります。その場合、課税所得が発生した税務管轄において、多額の繰越欠損金又は繰越税額控除があるにもかかわらず、税金の支払いが発生するため税金費用を計上する可能性があります。 なお、繰延税金資産の金額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (税効果会計関係)」に記載しております。 |
当社グループの対応 |
当社グループでは当社及び連結子会社が計上する繰延税金資産について、回収可能性を定期的に見直し、必要に応じて増額・減額を行っております。 |
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