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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VHC1 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 アサヒグループホールディングス株式会社 事業等のリスク (2024年12月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。

1.アサヒグループのリスクマネジメント体制
アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。この取り組みの中で、グループ理念「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに『中長期経営方針』の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンス等の全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールしています。
ERMを推進するにあたり、代表執行役社長Group CEO以下の執行役、Group CxO及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表執行役社長Group CEOが実行責任を負います。
アサヒグループ各社は、事業単位ごとにERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取り組み内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定し、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取り組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。
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2.アサヒグループ リスクアペタイト
アサヒグループは、ERMを推進するとともに、『中長期経営方針』の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しています。
「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定した、事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取り組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進していきます。
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3.アサヒグループのクライシスマネジメント体制
アサヒグループでは、ERMにおけるグループ全体の重大リスクの中でも、人・モノ・カネ・情報等の経営資源遮断の危機があり「即時対応」する領域を「クライシスマネジメント」の対象としています。
クライシスマネジメントの実効性を上げるため、平時から「事前の想定」を行い、クライシス時に混乱なく速やかに対応できるよう「緊急時の即応体制」を構築しています。事前の想定については、経営資源遮断の危機を想定した「リスクシナリオ」を作成し対応を準備しています。
また、緊急時の即応体制については、クライシス類型に応じた対応主体を予め明確にし、危機発生時の初動における事実確認と重大性の評価を迅速・的確に実施し対応する体制を構築しています。
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4.主要リスク
当社グループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、代表執行役社長Group CEO以下の執行役及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会で、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の「(2)個別戦略リスク」として認識しています。
加えて、それ以外に考えられる当社グループの事業等のリスクについても、「(1)全体リスク」及び「(3)その他リスク」に記載しています。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。
また、前述の、当社グループリスクマネジメントの取り組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(1)全体リスク
1)中長期経営方針について
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、2022年、それに基づいて、また、その後のグループ内外の環境変化も踏まえて中長期経営方針を更新しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、本方針では、3年程度を想定した主要指標のガイドラインや、財務・キャッシュ・フロー方針を示していますが、これらのガイドライン・方針は、策定時に当社グループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「3 事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、当社グループの事業や業績が中期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。

2)事業環境について
当社グループの売上収益において日本の占める割合は約46.4%(2024年12月期決算)となっています。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、原材料・エネルギー価格の高騰やインフレの影響などにより、国内での競争環境がさらに激化することで当社売上数量・金額が低下するとともに、コスト構造の悪化を招き、当社グループ事業の収益性が想定より損なわれる可能性があります。
日本の売上収益のうち、ビール類は4割を超えます。このような状況は、当社グループのビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、当社グループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与していますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは海外での事業領域を拡大しており、2024年12月期決算での売上収益における欧州、オセアニア、東南アジアの占める割合は、約53.2%となっています。今後、欧州、オセアニア地域を中心とする当社グループが事業を展開する各国における景気の悪化、当該各国での競争環境の激化、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向が変化すること等により、当該地域における当社グループの売上収益の低下、利益率の悪化が生じる可能性があります。
当社グループは、中長期経営方針に『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』を掲げ、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルブランドをはじめとした高付加価値ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、今後の環境変化も見据えた収益構造改革を加速することで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類に加えて、RTDなども含めたBACのラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業においては、消費の多様化や健康志向の高まりなどに応え、新たな付加価値提案を行い、事業拡大を図っていきます。
当社グループは、テクノロジーの発展が、人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定しています。そうしたメガトレンドを踏まえて更新した「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」という方針のもと、変化しつつあるWell-beingへの迅速な対応、市場環境の変化を先取りした事業戦略の立案と展開、ならびに新たなオペレーティングモデルの構築を通じて、当社グループの戦略及び事業の競争力を強化していきます。

(2)個別戦略リスク
当社リスクマネジメント委員会は、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを以下の通り認識しています。その中で、中長期的に顕在化が懸念されるリスクを①、短中期的に顕在化が懸念されるリスクを②、及び継続的に顕在化を留意すべきリスクを③、とそれぞれ分類し記載しました。

① 中長期的に顕在化が懸念されるリスク
1)事業拡大について
当社グループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)及びCUB事業の買収(2020年、買収額160億豪ドル)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。2020年6月には、CUB事業を取得する手続きを完了することで、日本、欧州に加え、オセアニア地域での事業を盤石にし、日本、欧州、オセアニアの3極を核としたグローバルプラットフォームを構築、成長基盤の拡大を実現しました。ここ数年は財務基盤の強化を優先し大型の買収は控えていましたが、今後条件が揃えば、成長のために、外部の経営資源を活用していきます。
外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。
当社グループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2024年12月末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の40.8%(22,034億円)及び21.3%(11,504億円)を占めています。
当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えていますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、AGP及び中長期経営方針に基づいた価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』、や『持続的成長を実現するためのコア戦略の推進』とともに、『長期戦略を支える経営基盤の強化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。

2)アルコール摂取に対する社会の価値観
アルコールの摂取は人々の生活を豊かにしてきた一方で、その不適切な摂取は健康面あるいは社会的悪影響が指摘されています。世界保健機関(WHO)においては世界的な規模での酒類販売に関する規制が推奨されており、当社グループの予想を上回る規制強化が行われる可能性があります。将来、不適切な飲酒による酒類業界や当社グループのレピュテーション及びブランド価値を毀損する可能性や、行政による行動規制が重なると、アルコールに対する消費者の需要が縮小する可能性もあります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アルコール飲料を製造・販売する企業としての社会的責任を果たすため、WHOが2022年5月に採択したグローバルアルコールアクションプラン2022-2030の中で掲げたグローバル目標「有害なアルコール使用20%低減」の達成に貢献する戦略の方向性を経営の中で議論し、地域ごとに貢献できる取り組みを進めています。グループ全体では、責任ある飲酒の取り組み促進のためにグループスローガン「Responsible Drinking Ambassador」を打ち出し、不適切な飲酒の撲滅に向けた活動を強化するとともに、社員に対する「責任ある飲酒」の研修の取り組みを推進してきました。今後さらに社会インパクトを創出する取り組みを強化していきます。また、新しい飲用機会の創出に向けた取り組みとして、2030年までにアサヒグループにおけるノンアルコール・低アルコールの販売構成比20%達成を目標に掲げ、アルコール起因の課題解決にも取り組んでいます。アサヒビール株式会社は2020年に「スマートドリンキング宣言」を発表し、商品ごとの純アルコール量の積極的な開示を開始しました。消費者が適正飲酒をスマートに実践できるようにするため、様々な度数の低アルコール飲料やノンアルコール飲料の商品開発とその販促強化を進めています。2022年にはノンアルコールや低アルコール飲料のメニューを100種提供し、飲む人も飲まない人も楽しめる『SUMADORI-BAR SHIBUYA(スマドリバー シブヤ)』を、2023年には、酔わなくても楽しめる新しい大人の嗜好品を提供するバー『THE 5th by SUMADORI-BAR』を展開するなど、新たな飲食店のあり方を提案しています。
アルコールの有害な使用の低減による健康被害の予防をさらに推進するためには産業界が協力し合って課題解決に取り組むことも重要です。酒類事業を行う各地の関連法令遵守のほか、IARD※をはじめとする業界団体や他業種の業界と協力・連携して販売や広告に関する自主基準を設け、責任あるマーケティングに取り組んでいます。2020年1月、IARDは加盟企業のCEOによる未成年者飲酒防止に向けた取り組みを推進する共同声明を発表しました。その中の一つとして、酒類に関するオンラインマーケティングが未成年者に届かないようにするデジタル・ガイディング・プリンシプル(DGP)の遵守率を2024年までに95%以上にすることを目標としました。当社グループは、IARDの目標設定を上回る100%の遵守を独自の目標として掲げ、2024年内にこれを達成しました。今後も当社は未成年者飲酒を防止するために、関連団体と協力しながら様々な取り組みを進めていきます。
※ IARD=International Alliance for Responsible Drinking(責任ある飲酒国際連盟)の略称。不適切な飲酒の撲滅と、責任ある飲酒を促進するという共通の目的のもとに、世界のビール、ワイン、スピリッツの製造業者である大手企業15社の加盟企業で構成される非営利団体。

3)技術革新による新たなビジネスモデルの出現
当社グループが国内外で事業を展開する、酒類・飲料・食品業界は、その製造販売に関して、技術革新による競争環境の変化が比較的少ない安定した業界でしたが、最近では、低アルコール飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料、BACによる新たな飲用シーンの提案ができるようになり、最新デジタル技術を活用して“変化するWell-Being”に応えることで新たな価値の提供、AI活用による各種業務の効率化、あるいはアルコール代替品等、技術革新による新たなビジネスモデルの可能性も示されています。さらに、2020年以降世界中へ拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの急激な普及や、EC等のオンラインチャネル利用の加速等、それまで将来的に発生すると想定されていた変化が前倒しで出現しています。
こうした環境変化や新たなビジネスモデルの出現により、当社グループ事業がコスト構造や顧客体験で劣後し、業界での主導権喪失や競争力の低下につながり、売上収益、事業利益の低下等、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。その一方で、当社グループがこのようなイノベーションを先導することによって、市場優位性獲得や、新規市場創出につなげることが期待できます。
当社グループは、このような状況に対して、単なるリスク対応に留まることなく技術革新を先取りすることを目指して、中長期経営方針において「DX=BX※と捉え、3つの領域(プロセス、組織、ビジネスモデル)でのイノベーションを推進」及び「R&D(研究開発)機能の強化による既存商品価値の向上・新たな商材や市場の創造」を掲げ、領域を特定した戦略的DX及びR&D投資を推進していきます。

DX領域においては、グローバル調達プラットフォーム、グローバルサプライチェーンマネジメント、環境負荷等サステナビリティ情報の見える化といった生産性を向上するグローカル基盤を構築するとともに、新たな消費者データ、多様化・細分化する顧客ニーズの把握と新しい素材や製法による新たなビジネスモデルの開発、及びこれらのイノベーションを実現するためのデジタル技術やデータ活用スキルの習得とアジャイル型働き方の導入によるデジタルネイティブ組織への変革を推進します。
R&Dにおいては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドから策定した未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、変化するアルコールに関する価値観に対応した新たな価値創造、消費者の身体と心の健康の実現、サステナビリティ実現に向けた環境・気候変動リスクの軽減、及び新規事業につながる非凡なシーズの開発を重点領域と位置づけ、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発への投資を推進します。さらに、革新的技術を速やかに製品やサービスに落とし込むためにプロトタイピング機能やアジャイル開発能力の拡充を図り、RHQとの連携をより強化しながら、迅速な成果導出へとつなげていきます。
また、米国サンフランシスコに投資運用会社を設立し、2023年1月から運用を開始したスタートアップ投資ファンドは、低アルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料など、将来大きく成長する可能性のある魅力的なブランドや、新たな販売手法や製造手法につながるテクノロジーを持った米国のスタートアップ企業にマイノリティ出資を行い、当社グループの市場優位性獲得や、新規市場創出につながるイノベーションに貢献することが期待できます。
※ DX=BX:デジタル・トランスフォーメーション = ビジネス・トランスフォーメーション

4)気候変動に関わるリスク
地球温暖化による気候変動は、干ばつや洪水といった異常気象の激化を引き起こし、世界中の人々の生活や多様な生態系に大きな影響を与えています。「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとって、気候変動問題への対策は重要な課題と認識しています。
当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「Beyondカーボンニュートラル」を2050年の世界のあるべき姿として掲げています。脱炭素社会に向けて、事業の枠を超えた社会全体におけるカーボン排出量が削減され、生物多様性が保全された世界を目指すため、バリューチェーンのCO2削減と生態系の保全の両立、CO2の排出量削減・吸収・回収の技術開発・展開などに取り組んでいきます。
将来的な気候変動が業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性がある物理リスクを以下の通り認識しています。海外の生産拠点における干ばつが深刻化し、水需給が逼迫、水価格の高騰による操業コストが上昇する可能性があります。気温上昇(生育環境や労働環境の変化)・天候・自然災害・CO2濃度等が需給バランスや品質に影響し、主要な原材料価格が変動する可能性があります。さらに、必要な水資源が確保できない場合、操業停止による機会損失と工場移転費用が発生する可能性があります。異常気象の激甚化により、深刻な風水害及び土砂災害が発生することで生産ラインや物流が停止し、設備被害や機会損失、製品廃棄による損失が発生する可能性があります。
また、将来的な気候変動を見据えた脱炭素社会への移行リスクを以下の通り認識しています。炭素税が導入され、特にPETボトル等の製品原材料への価格転嫁や生産拠点の操業コストが上昇する可能性があります。水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受けて操業が停止、機会損失が発生する可能性があります。エシカル志向の高まりにより、環境配慮が不十分な製品があった場合、その需要が低下し、当社グループの売上に影響を与える可能性があります。
当社グループは、脱炭素社会の速やかな実現を目指し、CO2排出量ゼロを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。この中期目標として、Scope1,2※においては、2025年に40%削減、2030年に70%削減、Scope3※においても、2030年に30%削減(ともに2019年比)の目標を設定しています。その上で、長期目標として掲げていたScope1,2,3におけるCO2排出量ネットゼロの目標年を2040年へ前倒しし、今後更なる省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用を推進していきます。また、グループ全体で水使用量削減に向けた取り組みを進めて、水リスクに対応していきます。
気候変動によるリスクと機会に関連する事業インパクトの評価及び対応策の立案が、持続可能な社会の実現及び事業の持続可能性に不可欠であると認識し「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言への賛同を表明しています。
※ Scope1は、自社(工場・オフィス・車など)での燃料の使用によるCO2の直接排出、Scope2は、自社が購入した電気・熱・蒸気の使用によるCO2の間接排出、Scope3は、自社のバリューチェーンからのCO2の排出を指します。

5)プラスチック使用
アサヒグループは、環境負荷低減に寄与しない容器包装への規制や、リサイクル素材やバイオ由来の素材の需要増加に伴うコスト増加、素材不足への対応が遅れることによる調達への影響、また、プラスチックに対する消費者の忌避感によって売上が減少する可能性を想定しており、そのリスク軽減に取り組む重要性を認識しています。
当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」において2050年の世界のありたい姿として掲げた「容器包装廃棄物のない社会」の実現に向けて、「3R+Innovation」のもと推進してきたプラスチックの課題への対応を継続し、2030年までにPETボトルを100%、リサイクル素材またはバイオ由来の素材などへ切り替えることを目標とします。また、リデュースの取り組みや、環境負荷低減に寄与する新容器の開発にも取り組んでいきます。缶、びん、樽、紙など、その他の容器包装資材についても、3Rの観点から、省資源・軽量化・リサイクル性向上に努めます。それに基づき、グループ各社において様々な取り組みを進めています。
国内では、アサヒ飲料株式会社がリサイクルPET等リサイクル素材の使用、リデュースの推進、環境への配慮を前提とした新容器開発等に関する目標「容器包装2030」の達成に向けた取り組みを進めています。さらなる「ラベルレスボトル」製品の拡大やリサイクル素材活用拡大のために「ボトルtoボトル」の水平リサイクルを進めています。
業界の枠を超えた連携体制により使用済のプラスチックを再資源化する会社に共同出資も行い、中長期的なPET調達に向けた取り組みも強化しています。
また、2023年には飲料他社と共同で、複数の地方自治体との間で使用済みペットボトルを新たなペットボトルに再生する水平リサイクル「ボトルtoボトル」事業の連携協定を締結しました。各地で2024年から取り組みを開始し、プラスチック資源循環を推進しています。
海外では、オーストラリアの子会社Asahi Beverages Pty Ltdが、業界の枠を超えたパートナーシップ構築を通じて、PETボトルのリサイクルを推進しています。リサイクル大手企業や容器メーカーと合弁会社を設立し、2022年にはニューサウスウェールズ州でリサイクルPET樹脂のさらなる生産と供給のための工場を稼働しました。さらに2023年にビクトリア州で2拠点目のリサイクル工場の操業を開始しました。オーストラリアではミネラルウォーターブランド『Cool Ridge』でキャップとラベルを除いて、100%リサイクルPET樹脂を利用したボトルへ移行しています。
当社グループ全体として、プラスチックのリサイクル素材、バイオ由来の素材等のさらなる活用を推進していきます。

② 短中期的に顕在化が懸念されるリスク
1)主要原材料の調達リスク
当社がグローバルに事業展開する酒類・飲料・食品の製造においては、原材料の調達に関し、市況悪化による価格高騰、気候変動や自然災害及びパンデミック等による納期遅延や供給停止に陥るリスクがあります。このようなリスクに直面した場合、製造コストが上昇し、また製造数量が計画を下回ることで、グループの業績及び財政に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対し、当社では、コモディティリスクマネジメントポリシーを確立し、このポリシーのもと、特定コモディティについては、ガードレールに基づくヘッジを実践する等、グループグローバルで標準化したコモディティ管理の取り組みを行っています。
また、グループグローバル調達組織であるAsahi Global Procurement Pte. Ltd.が、コモディティ価格変動による影響の低減を目的に、グローバルリスクマネジメントコミッティを立ち上げ、グループの調達戦略をリードしています。

2)地政学的リスク
現在、当社グループは20を超える国に拠点を構え、グローバルに事業を展開しています。世界経済全体の動向に加え、当社グループが事業活動を展開する国・地域における政治、経済、社会、法規制、自然災害等の要素が、各事業に影響を与える可能性があります。
さらに、近年は、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性が高まっていると認識しています。例えば、ウクライナ情勢や中東情勢、台湾を巡る緊張の高まり、米国と中国の対立関係、自国第一主義の政策などの要因により、当社グループが事業を展開する複数の国・地域において、輸出入制限、新たな関税導入、差別的な措置、商品不買運動、技術の分断、データに関する規制等の具体的なリスクが想定され、同時に、今後の事業の強化やエリアの拡大を進める上でも影響を与える要素となります。地政学的な要因によりこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの中長期経営方針の実行や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、地政学的リスクに関する動向の情報収集と分析をもとに、リスクシナリオの策定及びリスクの把握を行い、その影響を低減するための適切な対策の検討を進めていきます。また、事業展開国・地域のカントリーリスクの調査、情報収集、評価をもとに、リスクを早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をする取り組みも継続しています。

3)情報セキュリティ
当社グループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しています。停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、あるいはサイバー攻撃によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩、詐欺被害、EU一般データ保護規則(GDPR)等の各国法令違反が発生する可能性があります。
このようなリスクが顕在化した場合、事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、GDPR違反による制裁金等により、当社グループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。
サイバー攻撃リスクの高まりへの対応としては2022年10月にグループ全体で遵守すべきサイバーセキュリティ基準を制定し、運用の徹底を図っています。当基準に準じて国内・海外グループ会社のサイバー攻撃対策状況を評価し、セキュリティ体制の維持及び向上に努めており、本件リスクが顕在化しないようにセキュリティの改善に取り組んでいます。また、当基準内でインシデント発生時の報告ルールを明示することでグループ全体でのインシデント情報を集約し、リスク対応の強化を目的とした体制整備も完了しています。
当社グループは、ビジネスの多様な分野における生成AIの活用を積極的に推進しています。我々は、この技術が企業の競争力を高める重要な要素であると認識しており、その有効な活用を通じて、業務効率の向上とイノベーションの促進を図っています。一方で、生成AIの使用に伴うリスクに対処するため、国内・海外グループ会社に適用される包括的なガイドラインを制定しました。このガイドラインは、生成AIの安全かつ責任ある使用を確実にするための運用基準と注意事項を定めており、リスクの軽減と管理に努めています。
また、オフィスのIT環境は高度なセキュリティ対策が施されていますが、工場などでの機器を制御し運用するシステムやその技術であるオペレーショナルテクノロジー(OT)環境はセキュリティ面で脆弱な場合があり、マルウェア等の攻撃対象となる可能性があります。当社グループは、当リスクの対策を定めた「OTセキュリティガイドライン」を制定、事業を展開している各地の生産拠点に導入しました。

4)多様で有能な人材の確保
中長期経営方針の目標達成には、多様な価値観や専門性を持つ社員の貢献が不可欠です。そのため、当社グループは社員の多様性を尊重し、一人ひとりの成長を支援する人材育成プログラムへの投資を増やし、必要に応じて、経営幹部や一般社員を外部から採用する取り組みを進めています。しかし、グローバルな事業の成長に伴う人材需要の増加や必要なスキルの変化、高度化により、多様で有能な経営幹部や一般社員の確保、育成、定着が難しく、中長期経営方針の戦略実行に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは中長期経営方針で「目指す事業ポートフォリオの構築やコア戦略を支える高度な人的資本の確保」を掲げ、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進を通じて、戦略を支える経営基盤を強化し、従業員のエンゲージメントを高める企業文化を醸成しています。定期的にエンゲージメント調査を実施し、望ましい企業文化の実現度を確認しています。
また、経営者候補の育成を計画的に進めるため、多様な人材の成長と活躍を促進する方針を明文化したグローバルタレントフィロソフィーやグループ全体で共通のコンピテンシーモデルを策定し、将来の経営幹部候補を育成するグローバルリーダーシッププログラムを実施し、人材パイプラインを拡充・強化しています。さらに、各地域の人材を可視化し、国籍や性別に関係なく適材適所で配置するためのタレントレビューを実施し、多様な有能な人材の活用を推進しています。新しいケイパビリティを獲得するために、社外からの人材登用も積極的に行っています。

③ 継続的に顕在化を留意するリスク
1)大規模自然災害
2024年1月に能登半島で発生した地震が甚大な被害をもたらすなど、国内外問わず世界各地で地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、大規模災害が現実のものとなっています。このような大規模自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。さらに、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みを導入するとともに、大規模地震を含め災害リスクが高い日本においては、早急に被災地の被害状況を把握するため、災害時優先電話や災害用無線の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。
また、生産工場では、建物倒壊対策のため、全建物を対象に耐震診断を実施しており、対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施しています。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止する等2次災害のリスク低減対策を進めています。
また、主要グループ会社において、過去の防災対策の実績及び自然災害の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理するサーバーセンターのバックアップセンターを設置する等、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動が継続出来るように備えています。
なお、大規模な災害等が発生した際には、代表執行役社長Group CEOを本部長とした「緊急事態対策本部」を設置して対応する危機管理体制を構築しており、平常時のリスクマネジメントにおいて、顕在化した際に即時対応を要するリスクを抽出し、その影響度と必要な対応を想定することで、危機発生時にクライシスマネジメントへ寸断なく移行できるよう準備しています。あわせて、危機の類型に応じてRHQと当社の役割を明確にするとともに、危機発生時の情報ラインの整流化を図り、グローバルなクライシスマネジメント体制の強化も進めています。
これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。

2)人権尊重に関わるリスク
近年、企業による人権尊重の活動を義務付ける気運は高まり、ステークホルダーからの企業の人権デューデリジェンス活動への期待も一層強まっています。こうした動向を背景に、自社の事業活動に関連する人権リスクに対して適切な対策が講じられない場合は、法令違反や経済的損失などのリスクが増大し中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害する可能性があります。
当社グループは、グローバルな企業グループとして、自社の事業活動が環境や人権に与える潜在的または実際的な影響を十分に認識しており、人権尊重をビジネスの基盤と位置付けています。2023年末には人権に関する最上位方針である「アサヒグループ人権方針」を改訂し、2024年以降、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に準拠する取り組みを推進しています。さらに、人権方針を反映した事業活動の推進や全従業員の人権尊重への理解浸透も不可欠であるという認識のもと、活動を強化しています。
当社グループは、サプライチェーンと自社従業員に関する人権デューデリジェンス、及び人権侵害への被害者への救済の仕組みの構築・運用を優先事項として取り組んでいます。
サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスについては、2023年に、2030年までに原材料一次サプライヤー(年間10万ドル以上取引のある既存の原材料及び包装資材のサプライヤー)へのリスクアセスメントを100%実施する目標を定め、2024年8月に「アサヒグループ責任ある調達プログラム」を策定し、原材料一次サプライヤーへのリスクアセスメントを段階的に進めています。
自社従業員に関する人権デューデリジェンスについては、2030年までにすべての事業展開国(ディストリビューターを通じた輸出事業を除く)においてUNGPsに準拠した活動が実行されており、継続的にPDCAをモニタリングできている状態を目指しています。2024年は高リスク国の全生産拠点におけるリスクアセスメントとその一部で第三者現地監査を実施しました。これらの結果に基づく是正対応も着実に進めています。
人権侵害の被害者への救済の仕組みの構築・運用については、2024年5月に事業展開国の現地語に対応可能な新しい内部通報制度「Speak Up」の運用を開始しました。24時間365日すべてのステークホルダーが通報しやすい環境を整備し、コンプライアンス問題や人権侵害を早期に認識して対応することを目指しています。

3)法規制とソフトローのコンプライアンス
当社グループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループは、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、「Asahi Group Philosophy」で示したステークホルダーに対する5つのPrinciplesに基づき、企業倫理・コンプライアンスを実践するための「アサヒグループ行動規範」を制定し、グループ全体での実践を推進しています。そして、代表執行役社長Group CEOが委員長を務め、代表執行役社長Group CEO以下の執行役、Group CxO及び委員長が任命したFunctionのHeadで構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修等を通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。

④ 個別戦略リスクのヒートマップ
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⑤ 個別戦略リスクの経営方針・戦略との関連性
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(3)その他リスク
1)品質について
当社グループは、研究開発、調達、生産、物流、販売、お客様とのコミュニケーションに至る全てのプロセスにおいて、お客様の期待を超える商品・サービスを提供することで、お客様の満足を追求することをグループ品質基本方針とし、いずれのグループ会社も品質を通して、お客様との信頼関係を築くことに不断の努力を続けています。お客様の健康に密接に関連する事業を展開しているため、万一、不測の事態により、お客様の健康を脅かす可能性が生じたときは、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応します。
しかしながら、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があります。このような事象が発生した場合、中長期経営方針に掲げた「既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大」の未達を含む、当社グループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、品質リスク低減を目的とした品質保証レベル向上の取り組みとして、サプライチェーンの全てのプロセスにおいて、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正による改善のPDCAサイクルをグローバル共通の仕組みとして展開しています。
また、食の安全に関わる分野においては、研究開発部門を中心に微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質等多岐にわたる最新の分析技術を開発しており、グループ内の連携によりグローバルでの品質保証活動を展開する体制・仕組みを通じて、技術面からグループ全体をサポートしています。
さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。

2)財務リスク
為替変動: 当社グループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをする等の施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間等の貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。
金利変動: 当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用することがあります。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。
格付低下: 当社グループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
保有資産の価格変動:当社グループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3)税務リスク
当社グループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめとする、各国の税制による適用を受けており、予期し得ない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、大幅なコストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等が懸念され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4)訴訟リスク
当社グループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

従業員の状況研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00394] S100VHC1)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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