有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100XTVS (EDINETへの外部リンク)
キリンホールディングス株式会社 研究開発活動 (2025年12月期)
6 【研究開発活動】
当社グループでは、長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)のイノベーションを実現する組織能力の一つとして「確かな価値を生み出す技術力」を掲げてきました。従来から強みを持つ発酵・バイオテクノロジー、パッケージング、エンジニアリングの技術力をより発展させるとともに、知的財産の取り組みにも力を入れています。当社グループの研究開発活動は、酒類事業、飲料事業、ヘルスサイエンス事業においては、キリンホールディングス㈱の5研究所(キリン中央研究所、ヘルスサイエンス研究所、飲料未来研究所、パッケージイノベーション研究所、微生物科学技術研究所(旧バイオプロセス技術研究所))及び各事業会社の研究所で行っています。また、医薬事業においては、協和キリン㈱が中心となりLife-changingな価値の創出を目指して研究開発活動を行い、さらに医薬品にとどまらない価値提供も目指してキリンホールディングス㈱と協働しています。今後も、新たな長期経営構想Innovate2035!のもとで、イノベーションの源泉としての研究開発活動を、より一層推進していきます。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は1,181億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱の研究開発費はに含まれています。
キリンホールディングス㈱は、中長期的な企業価値向上を見据え、当社グループ全体に共通する研究開発活動を推進しています。環境・デジタルをはじめとする基盤技術の強化を通じ、将来の事業成長と社会課題の解決の両立を目指しています。
環境領域では、資源循環の高度化という社会課題に対応するため、PET※1のケミカルリサイクル※2の原料を非食品用途のPET※3へと拡大する際の食品安全性に関する研究※4を進め、業界を超えた連携により工場での製造試験※5を実現しました。製造したケミカルリサイクル樹脂は、キリンビバレッジ㈱にて飲料用ペットボトルの一部に採用しました。本取り組みでは、従来十分に活用されてこなかったプラスチック資源の有効活用を検討しており、プラスチック資源循環の裾野拡大と環境負荷低減に貢献する新たな価値創出が期待されます。
また、気候変動下における持続可能な原料供給を目指し、ホップ苗に高温・乾燥耐性を後天的に付与する技術を開発しました。香味品質を損なわずホップに耐性を付与できる本技術は、安定的な原料調達や農業分野の気候変動適応への貢献が期待されます。
デジタル領域では、嗜好データとAIを活用し、消費者が感じる「おいしさ」に寄与する香味成分を科学的に特定する嗜好AI「FJWLA※6」を独自に開発しました。本技術により、官能評価データや成分分析データなどを統合的に解析することが可能となり、研究開発プロセスの高度化や価値創出の加速が期待されます。さらに、嗜好データとAIを活用した株式会社日立製作所との共同研究を開始し、飲料選択や飲酒行動の要因解明に取り組んでいます。本研究を通じて、酒類にとどまらず飲料事業全般や健康増進など社会課題解決に資する知見の創出と、CSV実現への貢献が期待されます。
研究開発活動を企業価値および競争力の向上につなげる当社の知的財産活動は、事業×R&D×知的財産が三位一体となり、バリューチェーン全体を通じて経営と連携して推進する体制が評価され、2025年度知財功労賞「特許庁長官表彰 知財活用企業(特許)」を受賞しました。知的財産活動との連動により、研究開発活動を社会的価値に繋げ、持続的な企業価値向上を目指しています。
全社(共通)に係る研究開発費は99億円です。
※1 ポリエチレンテレフタラート
※2 PETを化学的に分子レベルまで分解、精製したものを再びPETに合成する方法
※3 具体的には、電子部品を製造する際に使用された工業用PETフィルムの端材、化粧品向けのPETボトルおよび自動販売機用商品サンプルを指す。
※4 非食品用途PETを原料として食品容器へリサイクルする際の食品安全性の考え方や分析手法を整備したことで、従来は飲料用ペットボトルに限られていた食品容器向けリサイクル原料を、非食品用途PETまで拡大した。
※5 ペットリファインテクノロジー株式会社のケミカルリサイクル工場にて実施
※6 Flavor Judgment for Whole Liking Analysis
酒類事業は、キリンビール㈱、メルシャン㈱、LION Pty Ltdが、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。
ビールカテゴリーからは、6月に「キリン一番搾り 糖質ゼロ」をリニューアルしました。「ダブルデコクション製法」※1により原料のコクを引き出し、新たなホップで華やかな香りを向上させました。飲みごたえと飲みやすさを両立した、飽きのこない味わいです。10月に「キリングッドエール」を発売しました。ホップの香り成分のみを抽出した希少Cryo Hop®をキリンビール㈱の工場で初めて採用し、独自の「ブライトアロマ製法」により雑味を抑え、フルーティな香味と後味の良さを両立した満足感のある味わいのビールです。12月には、株式会社日清製粉ウェルナと共同開発した「イタリアンレッド ~トマト&パスタ~」をスプリングバレーブルワリー東京にて数量限定で提供しました。ビールの主原料である大麦の一部を食品ロスとなるパスタに置き換えたアップサイクル※2ビールです。
RTDカテゴリーにおいては、「麒麟特製」ブランドから「麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)」を10月に発売しました。本商品には、当社にて開発した、コーヒー生産過程で未利用となっていたコーヒーチェリー由来の発酵素材を採用しています。当素材は、飲みごたえや香味の向上に加え、コーヒー農園の持続性向上や環境負荷軽減、アルコール関連の社会課題解決への貢献が期待されます。
ノンアルコールカテゴリーからは、9月に「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」を発売しました。キリンビール初※3の脱アルコールによって、麦の旨みとホップの香り・苦味をバランスさせ、飲みごたえがありながら後キレの良い、ビールに近いおいしさを実現しました。
国産洋酒カテゴリーにおいては、5月に「キリン ジャパニーズウイスキー 富士」の通年3品(「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士」「キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士」「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」)が「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2025」のジャパニーズウイスキー部門で3年連続のGOLD(金賞)を受賞しました。
ワインカテゴリーでは、11月に開催された「日本ブドウ・ワイン学会2025年大会」において、「無菌培養植物によるブドウべと病菌の継代培養技術確立」で「技術賞」を受賞しました。薬剤耐性菌が課題の果樹栽培において、無菌ブドウを用いたべと病菌の生物検定法およびべと病菌の凍結保管・継代技術を開発し、圃場特性に応じた精密な農薬選定を可能にしました。
オセアニアについては、LION Pty Ltdが、キリンホールディングス㈱の技術を活用し、オーストラリアおよびニュージーランド市場の嗜好に合わせた商品開発を推進しています。キリンブランド「氷結®」について、2025年にさらなるブランド強化を目的として、フレーバーラインアップを拡充しました。具体的には、定番フレーバーとして「KIRIN HYOKETSU GREEN APPLE」を新たに投入するとともに、従来の「LEMON 6%」の味わいを維持しつつアルコール度数を抑えた「KIRIN HYOKETSU LEMON 4%」を開発しました。今後も共同して、現地市場に適合した商品開発を通じてブランド価値の向上を目指します。
7月に、キリンビールと国立大学法人筑波大学 健幸ライフスタイル開発研究センターは、健康に配慮した科学的根拠のある飲み方に関する総合的な共同研究を開始しました。健康志向が高まる中で「健康に配慮した飲み方」についての科学的根拠を明らかにし、節度ある飲酒文化の醸成と心豊かな社会の実現を目指します。
当事業に係る研究開発費は9億円です。
※1 麦汁の一部を煮沸させる工程を2回繰り返す製法
※2 廃材や規格外の食材等、これまでは捨てざるを得なかった物や不用品に手を加え、より付加価値のある製品へと生まれ変わらせること
※3 キリンビールが発売したノンアルコール商品で初めて
飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。
キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を配合した飲料の開発を進めました。3月に「おいしい免疫ケア」「おいしい免疫ケア カロリーオフ」「おいしい免疫ケア 睡眠」をリニューアルし、「満足感」と「後味の良さ」を両立した味わいに加え、お客様の利便性向上と店頭での効率的な在庫管理のために、賞味期限を9カ月から12カ月に延長しました。
午後の紅茶については、3月に「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズをリニューアルしました。「無糖のアイスティー」として日常的に飲用しやすくなるように、「紅茶のシャンパン」と称されるダージリン茶葉※1を一部使用し、香りのバランスを整えることで、全体のボリューム感は維持しつつ、よりすっきりとした味覚に変更しました。9月には、丸ごと搾った果汁の甘酸っぱさを爽やかな紅茶で仕立てた「キリン 午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」シリーズを発売しました。
また、キリンビバレッジ㈱商品開発研究所が開発した「緑茶飲料の光劣化抑制技術」(特許出願中)を含む「緑茶飲料の光劣化機構の解明」に関する研究成果が、第34回日本清涼飲料研究会(事務局 一般社団法人 全国清涼飲料連合会)において、「全国清涼飲料連合会賞」を受賞しました。緑茶飲料における光劣化臭の生成機構を明らかにするだけでなく、PET緑茶飲料における光劣化臭の発生を抑える光劣化抑制技術も開発しました。
当事業に係る研究開発費は10億円です。
※1 「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖/おいしい無糖 香るレモン」は全茶葉のうち20%、「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」は10%使用
協和キリン㈱グループは、研究開発活動へ経営資源を継続的かつ積極的に投入しています。自社における研究開発が注力する疾患サイエンス領域を骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患に設定し、創薬技術については、先進的抗体技術や造血幹細胞遺伝子治療などの革新的なモダリティを強化することで、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創出することを目指します。また、価値創造のプロセスの一環として、オープンイノベーション活動やパートナーとの連携推進、ベンチャーキャピタルファンドへの出資、コーポレートベンチャーキャピタルも活用します。研究開発においては、Life-changingな価値の創出に重点を置き、自社でグローバルに展開して価値最大化を目指すだけでなく、社外のパートナーとの戦略的な連携で価値最大化を目指すビジネスモデルも活用します。
(注)ロカチンリマブに関する臨床試験の中止について
協和キリン㈱は、2026年1月30日、アトピー性皮膚炎等を対象として開発中のKHK4083(一般名:ロカチンリマブ、以下「ロカチンリマブ」という。)に関するAMGEN INC.(以下「Amgen社」という。)との既存の共同開発・販売契約について、Amgen社の戦略的ポートフォリオの見直しに伴い、当該契約を終了し、協和キリン㈱はロカチンリマブの開発・商業化に関する権利を再取得しました。その後、2026年3月3日に、最新の安全性情報及び総合的なリスク・ベネフィット評価を踏まえ、ロカチンリマブに関する現在実施中の全ての臨床試験を中止することを決定しました。
なお、「」は、2025年12月31日時点の記載であることにご留意ください。
2025年12月31日時点
| 開発番号,一般名 | 対象疾患 | 開発状況 |
| KHK4083/AMG 451, ロカチンリマブ | 中等症から重症のアトピー性皮膚炎 | 第Ⅲ相試験 実施中 |
| 結節性痒疹 | 第Ⅲ相試験 実施中 | |
| 中等症から重症の喘息 | 第Ⅱ相試験 実施中 | |
| ziftomenib | NPM1変異を有する再発・難治性の成人急性骨髄性白血病(AML)(単剤) | 承認取得 第Ⅱ相試験 詳細データ発表 |
| 急性リンパ性白血病(ALL)(単剤) | 第Ⅰ相試験 実施中 | |
| 急性骨髄性白血病(AML)(併用) | 第Ⅰ相試験 実施中 | |
| 第Ⅲ相試験 実施中 | ||
| OTL-203 | ムコ多糖症I型(Hurler症候群) | ピボタル試験(第Ⅲ相試験相当) 実施中 |
| KK8398, infigratinib | 軟骨無形成症 | 第Ⅲ相試験 実施中 |
| 軟骨低形成症 | 第Ⅲ相試験 準備中 | |
| KHK4951,tivozanib | 滲出型加齢黄斑変性(nAMD) | 第Ⅱ相試験 実施中 |
| 糖尿病黄斑浮腫(DME) | 第Ⅱ相試験 実施中 | |
| OTL-201 | ムコ多糖症IIIA型(Sanfilippo症候群A型) | PoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当) 実施中 |
| KK4277 | 全身性エリテマトーデス(SLE) 皮膚エリテマトーデス(CLE) | 第Ⅰ相試験 実施中 |
| KK2260 | 進行性又は転移性固形がん | 第Ⅰ相試験 実施中 |
| KK2269 | 進行性又は転移性固形がん | 第Ⅰ相試験 実施中 |
| KK2845 | 急性骨髄性白血病(AML) | 第Ⅰ相試験 実施中 |
| KK8123 | X染色体連鎖性低リン血症(XLH) | 第Ⅰ相試験 実施中 |
| KK3910 | 本態性高血圧 | 第Ⅰ相試験 実施中 |
| OTL-200, atidarsagene autotemcel | 早期発症型異染性白質ジストロフィー(MLD) | 臨床試験準備中 |
・KHK4083/AMG 451(一般名:ロカチンリマブ)は、病原性T細胞(炎症性疾患において疾患の原因となるT細胞)に発現するOX40(受容体型分子)へ選択的に作用する、T細胞リバランスを実現し得るモノクローナル抗体です。アトピー性皮膚炎などの慢性炎症性疾患の根本的な原因の一つとして、OX40シグナル伝達を介したT細胞の活性化により、病原性T細胞の増加とエフェクター機能が誘導されることが挙げられます。選択的にOX40へ作用するロカチンリマブは、病原性T細胞の機能を抑制すること、さらにその数を減少させることにより、T細胞リバランスを促進します。特にメモリーT細胞に直接作用することにより、疾患の慢性化と再燃の抑制を期待する新規作用機序を有するプロダクトです。これにより、従来のサイトカインブロッカーやJAK阻害薬にはない、少ない投与頻度での症状コントロールを実現できる可能性があります。初期の抗体は協和キリン㈱の米国研究チームとラホヤ免疫研究所の共同研究により見出されました。2021年6月1日、協和キリン㈱とAmgen社はロカチンリマブの共同開発・販売に関する契約を締結しました。本契約に基づき、Amgen社は本剤の開発、製造、及び協和キリン㈱が単独で販売活動を担当する日本を除くグローバルでの販売活動を主導します。両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、協和キリン㈱は米国以外(日本を除く欧州及びアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。現在成人及び青年期(12歳以上)の中等症から重症のアトピー性皮膚炎を対象に8つの試験からなる第Ⅲ相試験(ROCKETプログラム)が進行中です。これまでに3,300名以上の患者さんが試験に参加し、全ての試験で被験者登録を終了しました。2025年6月までにROCKETプログラムのうち、ROCKET-Horizon、ROCKET-Ignite、ROCKET-Shuttle、ROCKET-Voyagerの結果が得られ、全てにおいて主要評価項目と全ての主要な副次評価項目を達成しました。また、ROCKET-Ascendの中間結果のトップラインデータを発表しました。ROCKETプログラムに加え、中等症から重症の喘息を対象とする第Ⅱ相試験及び結節性痒疹を対象とする第Ⅲ相試験も実施中です。
・ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)は、経口メニン阻害薬であり、アンメットニーズの高い特定の遺伝子変異や再構成を有する急性骨髄性白血病(AML)に対する治療薬としてKura Oncology社により開発が進められてきました。2024年11月、協和キリン㈱とKura Oncology社はziftomenibの販売と開発に関するグローバルにおける急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。本契約に基づき、両社は共同でziftomenibの開発と販売を実施し、米国ではKura Oncology社が、米国以外では協和キリン㈱が開発・薬事・販売戦略を主導します。現在AMLを対象に複数の臨床試験を実施中です。2025年3月にKura Oncology社が米国食品医薬品局(FDA)にNPM1変異を有する再発・難治性の成人AMLに対する治療薬としてziftomenibの新薬承認申請を提出し、5月に受理され、11月に正式承認を取得しました。初発AMLに関しては、9月に、NPM1変異又はKMT2A再構成を有する初発AML患者を対象としたziftomenibの併用療法の第Ⅲ相試験(KOMET-017試験)を開始しました。さらに10月には、NPM1及びFLT3変異を有する初発AML患者を対象としたziftomenibの併用療法の第Ⅰ相試験(KOMET-007試験の1コホート)を開始しました。2025年12月に米国血液学会(ASH)年次総会にて、初発及び再発・難治性のAMLにおけるziftomenibとベネトクラクス及びアザシチジンの併用レジメンの中間データを報告しました。
・OTL-203は、ムコ多糖症I型(Hurler症候群)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてOrchard Therapeutics社が北米と欧州でピボタル試験(第Ⅲ相試験相当)を実施中です。
・KK8398(一般名:infigratinib)は、経口FGFR3阻害薬で、骨系統疾患を対象としてBridgeBio Pharma社傘下のQED Therapeutics社により開発が進められてきました。2024年2月に協和キリン㈱とQED Therapeutics社は骨系統疾患を対象とした日本における開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。2025年11月に、日本で軟骨無形成症を対象に第Ⅲ相試験を開始しました。また、日本での軟骨低形成症の第Ⅲ相試験を準備中です。
・KHK4951(一般名:tivozanib)は、協和キリン㈱が創製した血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-1、-2、-3チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるtivozanibを点眼投与により後眼部組織に効率的に送達するように設計した新規のナノクリスタル化点眼剤であり、滲出型加齢黄斑変性症(nAMD)及び糖尿病黄斑浮腫(DME)に対して非侵襲的な新しい治療選択肢となり得る薬剤です。現在第Ⅱ相試験を実施中です。
・OTL-201は、ムコ多糖症ⅢA型(Sanfilippo症候群A型)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてPoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当)を実施中です。
・KK4277は、SBIバイオテック株式会社より導入した抗体をもとに、協和キリン㈱のPOTELLIGENT技術を応用して抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を強化し、それを最適化した抗体です。現在全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデスを対象に第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2260は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEGFR-TfR1バイスペシフィック抗体です。がん細胞選択的な鉄枯渇を実現する抗体として設計されており、非臨床試験において、強い薬効を示し、かつ忍容性も示すことを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2269は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEpCAM-CD40バイスペシフィック抗体です。各種の腫瘍で高発現しているEpCAMと抗原提示細胞のCD40を架橋することで、腫瘍近傍の抗原提示細胞のみ活性化する抗体として設計されており、非臨床試験において、全身性副作用を抑制しながら抗腫瘍免疫による薬効を発揮できることを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK2845は、協和キリン㈱として初の抗体薬物複合体(ADC)です。標的分子はTIM-3で、現在急性骨髄性白血病(AML)を対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK8123は、ヒト型抗FGF23抗体です。現在XLHを対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。
・KK3910は、協和キリン㈱が創製した抗体であり、健康成人及び本態性高血圧を対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。
・OTL-200(一般名:atidarsagene autotemcel, 米国製品名:Lenmeldy, 欧州製品名:Libmeldy)は異染性白質ジストロフィー(MLD)の根本的な遺伝的原因を修正することを目的とした造血幹細胞遺伝子治療法です。2025年10月に早期発症型MLDに対する希少疾病用再生医療等製品指定を日本で取得しました。現在日本における臨床試験準備中です。
・2025年10月に自己免疫疾患に対する新規治療法の開発を目的とする新規化合物をドイツBoehringer Ingelheim社へ導出するライセンス契約を締結しました。
主な申請承認情報
| 開発番号、一般名、製品名 | 対象疾患 | 申請状況 | 2025年に 承認取得した 国・地域 |
| ziftomenib (米国製品名:KOMZIFTI) | NPM1 変異を有する再発・難治性の成人急性骨髄性白血病(AML) | ― | 米国 |
当事業に係る研究開発費は1,008億円です。
キリンホールディングス㈱は、独自素材「プラズマ乳酸菌」を中核に、科学的根拠に基づく研究開発と事業化を一体で推進し、国内外で健康価値の創出を加速しています。
プラズマ乳酸菌を使用した製品シリーズの売上は、2024年通期では230億円を突破※1、2025年通期では280億円を超え※2、堅調に拡大しました。これにより、免疫ケア分野における当社の市場プレゼンスは一段と強化されました。研究面では、プラズマ乳酸菌の経鼻接種によって、自然免疫の中核であるpDC※3の誘引・活性化および抗ウイルス遺伝子の発現上昇を介する、新型コロナウイルスならびにインフルエンザウイルスの増殖抑制に関わる作用機序の一部を解明しました。また、アデノウイルスに対する抗ウイルス応答の迅速な誘導を示唆する成果を得ており、幅広い呼吸器ウイルスに対する応用可能性を探索しています。さらに、医療従事者を対象とした臨床試験において、発熱および倦怠感を感じた日数の減少傾向を確認し、免疫ケア習慣の有用性を裏付けました。加えて、pDCの活性を尿検査で非侵襲的に可視化できる因子を世界で初めて発見し、個別の免疫状態評価に資する新規検査サービスの開発へ着手しました。血液等による免疫指標の定量化と合わせて臨床研究を推進し、2026年以降の実用化を視野に入れています。
協和発酵バイオ㈱が製造・販売を行う脳機能サポート素材「シチコリン」について、富士通㈱との共同研究における創薬DX技術※4(QSPモデル※5)と細胞試験の併用によって、世界で初めて腸脳相関※6に関する新規作用メカニズムを示唆する知見を得ました。
電気刺激により減塩食品の塩味・うま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト」は、2025年度グッドデザイン賞 において金賞を受賞したほか、Well‑being & Age‑Tech 2025 Awardで農林水産大臣賞を受賞するなど、高い社会的評価をいただいています。加えて、「エレキソルトスプーン」は第17回日本マーケティング大賞において奨励賞を受賞しました。今後、食器形態の拡充や自治体・医療・栄養指導の現場との連携を通じ、減塩実践の普及と生活者の健康増進に寄与します。
キリンホールディングス㈱と東京大学大学院農学生命科学研究科との共同研究により、ヒトiPS細胞由来小腸オルガノイド※7を用いて、細胞老化が小腸上皮細胞の糖・アミノ酸吸収を低下させることを世界で初めて確認しました。上皮間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition)進行と吸収機能の消失メカニズムの理解を深めるとともに、老化抑制素材としてヒトミルクオリゴ糖(Human milk oligosaccharide)の有効性検証にも成功し、アンチエイジング領域における食品素材の研究開発を加速しています。
㈱ファンケルグループは、総合研究所において、化粧品、栄養補助食品、発芽米および青汁に係る基盤技術研究ならびに製品開発研究活動を通じて、「安心・安全」を軸とした安全性・機能性研究を推進し、科学的根拠に基づいた製品開発を行っています。特に老化研究に注力し、独自の研究から「キンミズヒキ」及び「キンミズヒキ由来のアグリモール類」に老化した細胞を除去する作用を見出し、機能性表示食品「ウェルエイジプレミアム」を発売しました。また、「ヤギミルク由来エクソソーム」が皮膚細胞の老化を抑制し、コラーゲン及びエラスチンの産生促進作用があることを見出し、これを配合したエイジングケア美容液「アドバンスト ビューティ コンセントレート」を発売 しました。これらの独自素材を配合した製品は、計画を上回る販売数量で推移しており、売上拡大に寄与しています。
グループ横断の商品開発力を活かした連携として、キリンホールディングス㈱とファンケルに加えアクシージアと三社での協業によってプラズマ乳酸菌を配合したサプリメントを共同開発して中国越境ECにおける販売を開始し、海外市場での免疫ケア事業の拡大を推進しました。また、海外グループのBlackmoresとは、アジア地域におけるプラズマ乳酸菌配合製品の販売を展開し、各国の消費者ニーズに沿った商品訴求とブランド浸透を進めています。協和発酵バイオ㈱については、一部事業の譲渡完了に伴い、研究開発・投資資源の重点化を図り、シチコリン等のスペシャリティ素材事業を中核とする体制へ再編しました。研究開発基盤の強化に向けては、Cowellnex㈱がSiolta Therapeuticsと乳児の壊死性腸炎の発症抑制を目的とする生菌製剤の共同研究に着手し、腸内細菌叢を活用した次世代の健康価値創出に取り組んでいます。これらの連携によってシナジーを最大化し、国内外の市場開拓、研究知の融合、供給・販売チャネルの拡張を通じて、ヘルスサイエンス事業全体の持続的成長を下支えしています。
当事業に係る研究開発費は39億円です。
※1 2024年1月~12月 当社販売金額に基づく
※2 2025年1月~12月 当社販売金額に基づく
※3 プラズマサイトイド樹状細胞の略。自然免疫系に属し、ウイルス感染時に大量のⅠ型インターフェロンを産生して抗ウイルス防御を担う免疫細胞。樹状細胞として抗原提示機能も有する。
※4 AIなどのデジタル技術を活用し、疾患に関連する生体システムと創薬シーズの相互作用や体内動態、副作用等を、数理モデルやコンピュータ解析を用いて網羅的に明らかにする手法。膨大な分子データを分析し、効率的に新薬候補物質を絞り込むことができる。
※5 定量的システム薬理学(Quantitative Systems Pharmacology)の略。生理学的・病態学的ネットワークを計算モデルで統合し、薬物の生理活性や治療効果、及び栄養素の全身影響を予測する情報科学的アプローチ。
※6 腸と脳がお互いに影響を及ぼし合う双方向のネットワーク。腸と脳は神経・内分泌・免疫・代謝などを通じて密接に連携している。
※7 オルガノイドとは臓器・組織を模倣した3次元構造体であり「人工臓器」とも呼ばれている。
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