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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VH7L (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 キリンホールディングス株式会社 研究開発活動 (2024年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


6 【研究開発活動】
当社グループでは、長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)のイノベーションを実現する組織能力の一つとして「確かな価値を生み出す技術力」を掲げています。従来から強みを持つ発酵・バイオテクノロジー、パッケージング、エンジニアリングの技術力をより発展させるとともに、知的財産の取り組みにも力を入れています。当社グループの研究開発活動は、酒類事業、飲料事業、ヘルスサイエンス事業においては、キリンホールディングス㈱の5研究所(キリン中央研究所、ヘルスサイエンス研究所、飲料未来研究所、パッケージイノベーション研究所、バイオプロセス技術研究所)及び各事業会社の研究所で行っています。また、医薬事業においては、協和キリン㈱が中心にLife-changingな価値の創出を目指して研究開発活動を行い、さらに医薬品にとどまらない価値提供も目指してキリンホールディングス㈱との協働取り組みを推進しています。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は1,161億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱の研究開発費はに含まれています。

キリンホールディングス㈱は、中長期の研究開発活動や、当社グループの全事業にまたがる研究開発を行っています。
環境領域の研究において、高効率・環境負荷低減を実現する、PET※1ケミカルリサイクル※2技術の開発に取り組みました。国立大学法人静岡大学農学部、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構分子科学研究所および国立大学法人大阪大学蛋白質研究所と共同で、ケミカルリサイクル技術の一つである「酵素分解法」で用いる「PET分解酵素」を改変※3し、PETを高効率で分解できる酵素の開発に成功しました。改変した酵素を用いた検証では、一般的に資源循環が困難とされている混紡繊維中のPETも分解でき、PETとコットンの混紡繊維におけるPETの分解率※4が90%と世界最高値※5となりました。また、ペットボトルにおける評価では改変前の酵素と比較し、PET分解量が28倍に向上※6したことを確認しました。
また、アミノ酸の一種であるN-アセチルグルタミン酸(以下、NAG)が、ビールの原材料であるホップの熱ストレス耐性を高めること、およびそのメカニズムを明らかにしました。NAGはホップだけでなく他の植物でも熱ストレス耐性を強化できることから※7、気候変動に対応する農業資材として活用できる可能性があります。

全社(共通)に係る研究開発費は83億円です。

※1 ポリエチレンテレフタラート
※2 PETの中間原料まで分解、精製したものを再びPETに合成する方法
※3 酵素の構造を変えることで、PETに対しての働き(分解効率)を良くすること。
※4 PET分解酵素により、検証に使用したPET全量のうち、分解できたPET量の割合。
※5 DialogおよびJdream3データベースを用いた、酵素によるポリエチレン含有繊維の分解に関する文献調査に基づく(Dialogデータベースでの調査対象は査読論文に限る)(2024年11月18日(月)調査実施 ナレッジワイヤ調べ)
※6 改変前のPET分解酵素「PET2」と改変後の「PET2-21M」での比較。60℃の温度帯で、それぞれ同量の添加した酵素量と分解対象のPET量で検証した場合の分解量の比較。
※7 Hirakawa et al, Plant Biotech. 2024; 41(1): 71-76
Hirakawa et al, Front Plant Sci. 2023; 14: 1165646

酒類事業は、麒麟麦酒㈱、メルシャン㈱、LION PTY LTDが、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。
ビールカテゴリーからは、17年ぶりにスタンダードビールの新ブランド「キリンビール 晴れ風(以下、晴れ風)」を開発し、4月より全国で発売しました。麦芽100%で、副原料を使用せずに麦のうまみを丁寧に引き出すことで、雑味のないきれいな味わいに仕上げました。また、日本産の希少ホップ「IBUKI」を使用しており、爽やかな柑橘香が特長です。添加タイミングにも工夫を凝らし、ホップの香りが奥ゆかしく、穏やかに香る設計としています。さらに、ビールの飲みづらさにつながる過度な酸味を抑えるために、仕込工程と発酵工程において工夫を凝らし、まろやかな味わいとスムースな口当たりを実現しました。
「キリン一番搾り生ビール」を中味・パッケージともに6月にリニューアルしました。ホップ配合の見直しと、仕込み時の温度変更を行い、バランスの良さはそのままに、より麦のうまみを感じられて、雑味がない味わいに進化しました。
RTDカテゴリーからは、「キリン 氷結®(以下、氷結®)」ブランドから、新シリーズ「氷結®mottainai」の第1弾として「キリン 氷結®mottainai 浜なし(期間限定)」および第2弾として「キリン 氷結®mottainai ぽんかん(期間限定)」を開発し、それぞれ5月と10月から発売しました。「キリン 氷結®mottainai 浜なし(期間限定)」は、おいしいのに規格外という理由で廃棄される予定であった「浜なし」を使用しています。「浜なし」は、木の上で完熟させるのが特長です。「浜なし」のはじけるようなみずみずしい果実感が感じられ、軽やかな炭酸感とスッキリとした後味で、チューハイならではの爽やかさが楽しめる商品として開発しました。「キリン 氷結®mottainai ぽんかん(期間限定)」は、収穫前に温かい雨が降ることで、果実の表面が陥没・褐変してしまう柑橘特有の症状や、傷、大きさ等を理由に、青果として販売できず廃棄予定だった「高知県産ぽんかん」を使用しています。「高知県産ぽんかん」は、南国を思わせるようなオリエンタルな香りと、甘くてみずみずしい果実が特徴です。「ぽんかん」の皮を剥いた時に広がる爽やかな香りと甘くてジューシーな味わいを軽やかな炭酸感とスッキリとした後味で楽しめる商品として開発しました。
国産洋酒カテゴリーからは、「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」を6月より数量限定で発売しました。操業当時の1970年代蒸留の原酒から、3つのタイプ(バーボンタイプ・カナディアンタイプ・スコッチタイプ)のグレーン原酒をすべて使用し、それ以降の1980・1990・2000年・2010年代の各年代の原酒をブレンドしています。長熟原酒由来の甘く複雑な熟成香と、未来を見据えて改良を続けてきた原酒の華やかな香りが見事に調和する美しい味わいをお楽しみいただけます。「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2024」においてジャパニーズウイスキーカテゴリーの最高賞となる「トロフィー」を受賞しました。
ノンアルコールカテゴリーからは、「キリン グリーンズフリー」を中味・パッケージともに7月にリニューアルしました。原料の配合を見直すことで、水っぽさや雑味を抑えて爽快感と飲みごたえを向上させ、「ビールに近い爽やかなおいしさ」にさらに磨きをかけました。また、爽やかに香り高いニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィン」を含む3種類のホップをブレンドしており、麦とホップの香りの良さを引き出す製法を採用しています。
ワインカテゴリーからは、世界の造り手とメルシャンの造り手が日本のお客様のために共に創るワインブランド「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」から、「メルシャン・ワインズ サニーサイド オーガニック スパークリング ロゼ 缶」を開発し、5月より発売しました。スペインのワイナリー「ペニンシュラ」と共創し、赤い果実や柑橘のような香りに加え、華やかなマスカットのニュアンスも感じられ、心地よい酸味のある果実味豊かでバランスのとれたやさしい味わいとなっています。
キリンホールディングス㈱のパッケージイノベーション研究所が開発した、メルシャン史上最軽量となる1500mlワイン用ペットボトルを、7月より「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズなどで採用を開始しました。ワイン瓶の形状(ボルドー型)を維持しながら、従来のボトル重量58gから53.5gへと4.5g軽量化しました。これにより、「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズなどの当社ワイン用ペットボトル全商品※1において、年間約107トンのPET樹脂量と、約346トンのCO2排出量の削減を見込んでいます※2。
2024年における受賞は、フランス・カンヌで開催された「ヴィナリ国際ワインコンクール 2024」において、「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2018」が金賞を受賞しました。また、フランス・ボルドーにて開催された「第48回 チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(Challenge International du Vin)2024」において、「メルシャン・ワインズ サニーサイド オーガニック ホワイト」、「シャトー・メルシャン 北信右岸シャルドネ リヴァリス 2021」、「シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 2022」の3品が金賞を受賞しました。
オセアニアについては、LION PTY LTDが、キリンホールディングス㈱が長年培った技術を活用しながら、オーストラリアおよびニュージーランドの市場およびお客様の嗜好に合った商品開発に取り組んでいます。キリンブランドの「氷結®」に関して、2023年の「KIRIN HYOKETSU LEMON」の現地での発売を皮切りに、2024年は「KIRIN HYOKETSU PEACH」ならびに「KIRIN HYOKETSU PINEAPPLE」を新たに開発し、発売しました。今後も引き続きブランドの拡充に向けた開発を、共同して進めていきます。

当事業に係る研究開発費は8億円です。

※1 2024年終売予定商品を除く
※2 メルシャンが製造・販売する720ml・1500mlのワイン用ペットボトル商品の全てにこのペットボトル容器を採用した際の見込み(2023年販売実績に基づく)

飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。
キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を1,000億個配合した機能性表示食品「キリン おいしい免疫ケア 野菜 1日分」と「キリン おいしい免疫ケア 野菜と果物 1食分」を開発し、9月より全国で発売しました。「キリン おいしい免疫ケア 野菜 1日分」については、1日分の野菜を使用し※1、トマトとにんじんを中心に、31種類の野菜をブレンドすることで、野菜の甘味と酸味を濃く感じられる味わいです。「キリン おいしい免疫ケア 野菜と果物 1食分」については、1食分の野菜と果物を使用し※2、にんじんとりんごを中心に30種類の野菜と2種類の果物をブレンドした、飲みやすい味わいです。また、健康な人の免疫機能の維持に役立つ機能性表示食品「キリン iMUSE(イミューズ)グリーン」を11月より全国で発売しました。「プラズマ乳酸菌」を1,000億個と、1日分のビタミン(B1、B6、C)を配合し、グレープフルーツミックス味のすっきりとした甘さで日常の水分補給やリフレッシュにもぴったりな味わいに仕上げました。
また、2月に発表した花王株式会社(以下、花王)の茶カテキン飲料「ヘルシア」に関する事業譲渡契約に則り、8月より花王のヘルシアブランドの茶カテキン飲料「ヘルシア 緑茶」「ヘルシア 緑茶 うまみ贅沢仕立て」「ヘルシア ウォーター」の3製品6品種を全国で販売開始しました。両社の研究所をはじめとする双方の技術部門が連携して取り組みました。
「キリン 午後の紅茶」から「キリン 午後の紅茶 ストレートティー/ミルクティー/レモンティー」の味覚・パッケージデザイン・容器※3の開発により、2018年以来6年ぶりに大刷新し、6月より全国で発売しました。スリランカ産紅茶葉を15%以上使用し、上品な紅茶の香りと、程よい甘さを追求しました。また500ml手売り用ペットボトルを、ダイヤカットが特長的で、紅茶の液色がよりクリアにおいしそうに見える新容器にリニューアルしました。一部容器を「シュリンクラベル」から「ロールラベル」に変更し、ラベルを薄く面積を小さくしました。今回「ロールラベル」の採用により、年間約116トンのプラスチック樹脂使用量を削減※4でき、これによりCO2排出量を年間838トン削減※4できます。
「キリン 生茶」「キリン 生茶 ほうじ煎茶」を容器、パッケージ※5、味覚の開発により、すべて大刷新し、4月より全国で発売しました。味覚については、生茶葉鮮度搾り製法※6に加え、抽出した茶液を凍結・凝縮することで新茶のようなあまみの成分が生成され、新茶のようなあまみを増幅させる「凍結あまみ製法」※7を新たに採用しました。また、微粉砕茶葉も現行品から約3倍※8に増やすことで、苦渋みを抑え、新茶のような“あまみ”際立つ、生茶史上最高レベル※9のおいしさに進化しました。
物流の2024年問題への対応として、三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)が開発し、三菱重工グループの三菱ロジスネクスト株式会社とともに提供する、ΣSynX(シグマシンクス)※10によって飲料倉庫のピッキング作業を自動化・知能化するソリューション「自動ピッキングソリューション」を、キリンビバレッジ㈱の東日本エリアの物流拠点である海老名物流センター(神奈川県海老名市)に導入完了しました。

当事業に係る研究開発費は8億円です。

※1 厚生労働省 健康日本21、1日の野菜摂取目標量350gより。原料の野菜汁は、野菜の全成分を含むものではありませんが、食生活で不足しがちな野菜を補うためにお飲みください。
※2 厚生労働省 健康日本21、1日の野菜摂取目標量の約1/3:120g、農林水産省 FACT BOOK 果物と健康、1日の果物摂取目標量の約1/3:67gより。原料の野菜汁や果汁は、野菜や果物の全成分を含むものではありませんが、食生活で不足しがちな野菜や果物を補うためにお飲みください。
※3 500ml手売り用ペットボトルのみ
※4 2024年6~12月の販売予定数量に基づく当社試算
※5 アジア包装連盟主催の「アジアスター2024コンテスト」において、「アジアスター賞」を受賞しました。
※6 生茶葉鮮度搾り製法は2016年より導入
※7 原料の一部で使用
※8 対象商品: 280ml/300ml/525ml/555ml/600mlペットボトル
※9 キリン調べ(1948年9月:嗜好調査 N=120)
※10 さまざまな機械システムを同調・協調させる三菱重工の標準プラットフォームであり、機械システムの知能化により最適運用を実現するデジタル・テクノロジーを集約したもの

協和キリン㈱グループは、研究開発活動へ経営資源を継続的かつ積極的に投入しています。自社における研究開発が注力する疾患サイエンス領域を骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患に設定し、創薬技術については、先進的抗体技術や造血幹細胞遺伝子治療などの革新的なモダリティを強化することで、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創出することを目指します。また、価値創造のプロセスの一環として、オープンイノベーション活動やパートナーとの連携推進、ベンチャーキャピタルファンドへの出資、コーポレートベンチャーキャピタルも活用します。研究開発においては、Life-changingな価値の創出に重点を置き、自社でグローバルに展開して価値最大化を目指すだけでなく、社外のパートナーとの戦略的な連携で価値最大化を目指すビジネスモデルも活用します。


2024年12月31日時点
開発番号,一般名対象疾患開発状況
KHK4083/AMG 451, rocatinlimab中等度から重症のアトピー性皮膚炎第Ⅲ相試験 実施中
結節性痒疹第Ⅲ相試験 実施中
中等度から重症の喘息第Ⅱ相試験 実施中
ziftomenib 急性骨髄性白血病(AML)(単剤)第Ⅱ相試験 実施中
急性リンパ性白血病(ALL)(単剤)第Ⅰ相試験 実施中
急性骨髄性白血病(AML)(併用)第Ⅰ相試験 実施中
OTL-203ムコ多糖症I型(Hurler症候群)ピボタル試験(第Ⅲ相試験相当) 実施中
KK8398, infigratinib軟骨無形成症第Ⅲ相試験 準備中
KHK4951,tivozanib滲出型加齢黄斑変性(nAMD)第Ⅱ相試験 実施中
糖尿病黄斑浮腫(DME)第Ⅱ相試験 実施中
OTL-201ムコ多糖症IIIA型(Sanfilippo症候群A型)PoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当) 実施中
KK4277全身性エリテマトーデス(SLE)
皮膚エリテマトーデス(CLE)
第Ⅰ相試験 実施中
KK2260進行性又は転移性固形がん第Ⅰ相試験 実施中
KK2269進行性又は転移性固形がん第Ⅰ相試験 実施中
KK2845急性骨髄性白血病(AML)第Ⅰ相試験 実施中
KK8123X染色体連鎖性低リン血症(XLH)第Ⅰ相試験 実施中


・KHK4083/AMG 451(一般名:rocatinlimab)は、病原性T細胞(炎症性疾患において疾患の原因となるT細胞)に発現するOX40受容体を標的とするモノクローナル抗体です。アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患の根本的な原因の一つとして、OX40シグナル伝達を介したT細胞の活性化により、病原性T細胞の増加とエフェクター機能が誘導され、T細胞のインバランスが生じていることが挙げられます。rocatinlimabは、病原性T細胞の機能を抑制し、またその数を減少させることにより、T細胞リバランスを可能とします。初期の抗体は協和キリン㈱の米国研究チームとラホヤ免疫研究所の共同研究により見出されました。2021年6月1日、協和キリン㈱と米国Amgen社はrocatinlimabの共同開発・販売に関する契約を締結しました。本契約に基づき、米国Amgen社は本剤の開発、製造、及び協和キリン㈱が単独で販売活動を担当する日本を除くグローバルでの販売活動を主導します。両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、協和キリン㈱は米国以外(日本を除く欧州及びアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。現在成人及び青年期(12歳以上)の中等度から重症のアトピー性皮膚炎を対象に8つの試験からなる第Ⅲ相試験(ROCKETプログラム)が進行中です。これまでに3,300名以上の患者さんが試験に参加し、そのうち7つの試験で被験者登録を終了しました。9月にROCKETプログラムの最初の試験ROCKET-Horizonの結果が主要評価項目と全ての主要な副次評価項目を達成したことを発表しました。ROCKETプログラムに加え、中等度から重症の喘息を対象とする第Ⅱ相試験及び結節性痒疹を対象とする第Ⅲ相試験も実施中です。

・ziftomenibは、経口メニン阻害薬であり、アンメットニーズの高い特定の遺伝子変異や再構成を有するAMLに対する治療薬として米国Kura Oncology社(以下「Kura社」という。)により開発が進められてきました。2024年11月、協和キリン㈱とKura社はziftomenibの販売と開発に関するグローバルにおける急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。本契約に基づき、両社は共同でziftomenibの開発と販売を実施し、米国ではKura社が、米国以外では協和キリン㈱が開発・薬事・販売戦略を主導します。現在AMLを対象に複数の試験が進行中です。2024年12月に、両社はziftomenibについて、NPM1変異及び KMT2A再構成のAMLを対象とするシタラビン・ダウノルビシン(7+3療法)やベネトクラクス・アザシチジン(ven/aza)といった標準治療との併用療法に関する良好なデータを発表しました。

・OTL-203は、ムコ多糖症I型(Hurler症候群)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてOrchard Therapeutics社が北米と欧州でピボタル試験(第Ⅲ相試験相当)を実施中です。

・KK8398(一般名:infigratinib)は、経口FGFR3阻害薬で、骨系統疾患を対象として米国BridgeBio社傘下のQED Therapeutics社により開発が進められてきました。2024年2月に協和キリン㈱とQED Therapeutics社は骨系統疾患を対象とした日本における開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。現在日本での第Ⅲ相試験の準備中です。

・KHK4951(一般名:tivozanib)は、協和キリン㈱が創製した血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-1、-2、-3 チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるtivozanibを点眼投与により後眼部組織に効率的に送達するように設計した新規のナノクリスタル化点眼剤であり、滲出型加齢黄斑変性症(nAMD)及び糖尿病黄斑浮腫(DME)に対して非侵襲的な新しい治療選択肢となり得る薬剤です。現在第Ⅱ相試験を実施中です。

・OTL-201は、ムコ多糖症IIIA型(Sanfilippo症候群A型)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。OTL-203と同様に根本治療法となり得る治療法としてPoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当)を実施中です。

・KK4277は、SBIバイオテック株式会社より導入した抗体をもとに、協和キリン㈱のPOTELLIGENT技術を応用して抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を強化し、それを最適化した抗体です。現在全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデスを対象に第Ⅰ相試験を実施中です。

・KK2260は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEGFR-TfR1バイスペシフィック抗体です。がん細胞選択的な鉄枯渇を実現する抗体として設計されており、非臨床試験において、強い薬効を示し、かつ忍容性も示すことを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。

・KK2269は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEpCAM-CD40バイスペシフィック抗体です。各種の腫瘍で高発現しているEpCAMと抗原提示細胞のCD40を架橋することで、腫瘍近傍の抗原提示細胞のみ活性化する抗体として設計されており、非臨床試験において、全身性副作用を抑制しながら抗腫瘍免疫による薬効を発揮できることを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。

・KK2845は、協和キリン㈱初の抗体薬物複合体(ADC)の開発品です。標的分子はTIM-3で、2024年10月に急性骨髄性白血病(AML)を対象とする第Ⅰ相試験を開始しました。

・KK8123は、ヒト型抗FGF23抗体であり、X染色体連鎖性低リン血症(XLH)の新しい治療選択肢となり得る薬剤です。2024年11月に、XLHを対象とした第Ⅰ相試験を開始しました。


・2024年1月に線維化を伴う炎症性疾患治療薬の開発を目的とする化合物の独占的開発権をドイツBoehringer Ingelheim社へ導出するライセンス契約を締結しました。

・2024年2月に骨・ミネラル領域の強化を目的として、米国BridgeBio社傘下のQED Therapeutics社とinfigratinibの骨系統疾患を対象とした日本国内の開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。

・2024年11月に米国Kura Oncology社とziftomenibの販売と開発についてのグローバルな急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。

主な申請承認情報
開発番号、一般名、製品名対象疾患申請状況2024年に
承認取得した
国・地域
KRN125(一般名:ペグフィルグラスチム、日本製品名:ジーラスタ)自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員日本
OTL-200(一般名:atidarsagene autotemcel、欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy)異染性白質ジストロフィー米国
KHK4827(一般名:ブロダルマブ、日本製品名:ルミセフ)掌蹠膿疱症台湾申請中
KHK7580(一般名:エボカルセト、日本製品名:オルケディア)二次性副甲状腺機能亢進症台湾・中国
AMG531(一般名:ロミプロスチム、日本製品名:ロミプレート)再生不良性貧血台湾申請中
重症の再生不良性貧血韓国

KHK4827は全身性強皮症を予定適応症とする日本での承認事項一部変更承認申請を取り下げたため、該当する申請情報を本表から削除しました。

当事業に係る研究開発費は1,028億円です。

キリンホールディングス㈱は、独自素材である「プラズマ乳酸菌」を中心に、ヘルスサイエンス事業の拡大に繋がる研究開発に引き続き注力しています。
プラズマ乳酸菌の発見・事業化について、科学技術に関する研究開発、理解増進において顕著な成果を収めた功績をたたえる「2024年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」で、「科学技術分野 科学技術賞 開発部門 文部科学大臣表彰」を受賞しました。当表彰の受賞はキリングループとしてははじめてです。プラズマ乳酸菌は、キリンビバレッジ㈱が販売する機能性表示食品である「キリン おいしい免疫ケア」シリーズが、2023年3月28日(火)の発売から約1年8か月で累計販売本数1億2千万本※1を突破するなど、好調に推移しています。
プラズマ乳酸菌の研究については、5月に新型コロナウイルスをはじめとする呼吸器ウイルス感染を予防する手段となり得る点が評価され、AMED※2の先進的研究開発戦略センターが公募した「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」へ採択されました。また、キリンホールディングス㈱と国立感染症研究所は、プラズマ乳酸菌の経鼻接種による自然免疫誘導型のワクチン開発を目的とした共同研究により、新型コロナウイルスおよびインフルエンザウイルスへの増殖抑制効果を非臨床実験にて確認したことを11月に報告しました。
協和発酵バイオ㈱が製造・販売を行うヒトミルクオリゴ糖について、2FL(2’-Fucosyllactose)及び3SL(3’-sialyllactose sodium salt)が、欧州連合の欧州委員会により新規食品(Novel Food)として承認されました。また、2FLは、インド食品安全基準局により食品原料として承認されました。尚、協和発酵バイオ㈱のアミノ酸及びヒトミルクオリゴ糖の事業譲渡合意のもと、当該品目の研究開発についても譲渡先へのスムーズな移管を進めるとともに、今後はシチコリンをはじめとしたスペシャリティ素材事業を主軸としていきます。
βラクトリンの発見・事業化について、キリンホールディングス㈱と雪印メグミルク株式会社(以下、雪印メグミルク)は、「2024年度 民間部門農林水産研究開発功績者表彰」にて「農林水産大臣賞」を受賞しました。当賞の受賞はキリングループおよび雪印メグミルクとしては共にはじめてです。「βラクトリン」は、キリンホールディングス㈱の脳科学の研究において、協和キリン㈱との連携の成果として発見された、加齢に伴って低下する記憶力の維持に役立つ乳由来の機能性食品素材です。これまで、サプリメント、乳飲料、ヨーグルトなどに配合し、機能性表示食品としてキリンホールディングス㈱と雪印メグミルクより商品を発売しています。
キリンホールディングス㈱と明治大学 総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室による、電気の力で減塩食の塩味を約1.5倍※3に増強する技術およびその技術を使った「エレキソルト」の開発が、内閣府「日本オープンイノベーション大賞」で「日本学術会議会長賞」を受賞しました。本技術は、ヘルスサイエンス領域の新規事業として、電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト スプーン」として販売を開始しています。また、エレキソルトスプーンは、「CES Innovation Awards® 2025」において、「Digital Health部門」および「Accessibility & AgeTech部門」の2部門で受賞しました。「CES Innovation Awards®」における受賞はキリングループとしてははじめてです。CES®は例年1月に米国ラスベガスにおいて開催される電子機器を中心とした製品やサービスの展示イベントで、1967年の開催から50年以上続く世界最大のテクノロジー展示会であり、「CES Innovation Awards®」は、優れたデザイン・技術を有した製品・サービスを表彰するものになります。
グループ会社との連携として、キリンホールディングス㈱は、㈱ファンケルおよび順天堂大学大学院医学研究科・環境医学研究所との共同研究講座「抗老化皮膚医学研究講座」に参画し、ヒトのiPS細胞※4から炎症応答を制御する免疫細胞「マクロファージ」に安定的に分化※5させる方法を確立しました。また、ヒトiPS細胞由来のマクロファージを組み込んだ3D培養ヒト皮膚モデル※6を世界で初めて作製し、炎症性刺激を与えたときに3D培養ヒト皮膚モデル内のマクロファージが応答することも確認しました。今後も免疫機能と皮膚症状の関係性に着目し、3D培養ヒト皮膚モデル作製をはじめとする、さまざまな皮膚研究を進め、ヘルスサイエンス事業の拡大を目指します。さらに、キリンホールディングス㈱と㈱ファンケルは、環境に配慮した取り組みとして、ビール類製造時の副産物である仕込前モルト粉(以下、モルト粉)を活用したパルプモールド※7製ボックス※8を共同で開発しました。今後もさらにプラスチックの資源循環をはじめとする環境課題の解決について取り組み、環境および地域社会におけるシナジーを創出してまいります。また、Blackmoresとは、アジア太平洋地域をはじめとした海外におけるプラズマ乳酸菌の事業拡大などで、幅広いシナジーを創出するための研究開発を共同して進めています。

当事業に係る研究開発費は27億円です。

※1 当社出荷数量に基づく (2023年3月28日(火)~2024年11月15日(金) 「キリン おいしい免疫ケア/おいしい免疫ケア カロリーオフ/おいしい免疫ケア 睡眠」全容量)
※2 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
※3 一般食品を模したサンプルと、食塩を30%低減させたサンプルでの塩味強度に関する評価の変化値。エレキソルトの技術(電流0.1~0.5mA)を搭載した箸を用いた試験。現在または過去に減塩をしている/していた経験のある40~65歳男女31名に対し、試験用食品を食した際に感じた塩味強度をアンケートしたところ、31名中29名が「塩味が増した」と回答。
※4 ヒトの体細胞を初期化することで、さまざまな組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもった人工多能性幹細胞
※5 iPS細胞などが、特定の性質や機能を持った細胞に変化する現象
※6 ヒト皮膚線維芽細胞とヒト表皮ケラチノサイトを積層させて作った、3D構造を有する人工皮膚モデル
※7 パルプモールドとは、木質繊維(古紙を含む)を水で溶かし絡み合わせ、乾燥させてできる紙成形品。
※8 世界包装機構主催の「ワールドスター2025コンテスト」において、「ワールドスター賞」を受賞しました。

事業等のリスク株式の総数等


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