有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TV5J (EDINETへの外部リンク)
信金中央金庫 事業等のリスク (2024年3月期)
本中金および本中金グループの事業その他に関するリスクにつきまして、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、参考になると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。
本中金グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に万遺漏なきを期してまいります。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本報告書の提出日現在において判断したものであります。
以下に記載した各リスクのうち、本中金および本中金グループの財務状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、「(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク」、「(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク」、「(3) 有価証券に関するリスク」、「(4) 貸出金に関するリスク」および「(5) 資金調達に関するリスク」が挙げられます。
「(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク」および「(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク」については、本中金が信用金庫業界の中央金融機関であることに伴う事業上のリスクです。当該リスクについては、本中金が、信用金庫の経営分析や経営相談を通じ、経営悪化の未然防止を図るなど、信用金庫業界のセーフティネットである信用金庫経営力強化制度および信用金庫相互援助資金制度を管理・運営し、業界の信用秩序維持につとめ、リスクの顕在化を未然に防止しております。
「(3) 有価証券に関するリスク」、「(4) 貸出金に関するリスク」および「(5) 資金調達に関するリスク」については、金融機関に共通するリスクであり、当該リスクが顕在化した場合は、本中金の業績・業務運営に影響を与える可能性があると認識しているため、リスクアペタイト・フレームワークの下、収益・リスク・資本のバランスにかかる一体的な議論を行ったうえで、資本に見合った適切なリスクテイクを実施し、健全性の維持と継続的な利益の確保につとめております。
また、「(3) 有価証券に関するリスク」および「(4) 貸出金に関するリスク」については、市場リスクおよび信用リスクをVaRなどの統一的な尺度で計測して合算し、自己資本と対比する統合リスク管理の手法を導入しております。更に、市場環境の急変等を想定したストレスシナリオにかかる損失額を算出し、自己資本への影響を検証・評価しております。
加えて、「(5) 資金調達に関するリスク」については、通貨別および期間別に資金の入出金ギャップにかかるリスク限度額を設定し、日次でモニタリングするとともに、流動性に懸念などが生じた場合においては、調達先確保などの迅速な対応ができる態勢を整えております。
なお、2024年度においては、各国の金融政策が転換点を迎えるなか、日本銀行による金融政策の正常化へ向けた追加利上げが見込まれる一方、粘着質なインフレや地政学リスクの高まり等、先行き不透明感の強い市場環境の継続が想定されることから、リスクアペタイト・フレームワークの下、柔軟なポートフォリオ運営を実施してまいります。
(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク
本中金は、信用金庫法(1951年法律第238号)に基づき、信用金庫が会員となって出資をすることにより設立された協同組織金融機関です。本中金は、信用金庫を基盤としているため、信用金庫の経営成績や財務状態の変動は、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
また、本中金は、信用金庫法に定める信用金庫連合会という特別の法人であり、株式会社形態をとる銀行と比較し、法制面で異なるところがあります。このような法制上の位置づけから、本中金グループの業務は一定の制約を受けております。今後の業務展開の中で、これらの制約によって本中金グループが競争優位を得られない可能性があり、その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。なお、法制面で銀行と異なる主な点は次のとおりです。
① 信用金庫法の認可事項
本中金は、次のいずれかに該当するときは、内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)の認可を受ける必要があります。
a.定款を変更しようとするとき。
b.業務の種類または方法を変更しようとするとき。
② 業務の範囲
本中金の業務は、主に会員である信用金庫に対して行うものであり、会員以外の者からの預金の受入れや会員以外の者に対する資金の貸付けなどの業務については、その取扱いに先立ち内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)の認可を受けております。また、債務の保証、手形の引受、有価証券の貸付けなど一部の業務については、会員のほか内閣府令で定める者に対してのみ取扱いが認められているなど一定の制限があります。
(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク
本中金は、信用金庫業界の信用秩序維持のために、セーフティネットの枠組みとして信用金庫経営力強化制度および信用金庫相互援助資金制度を運営しております。
信用金庫経営力強化制度は、信用金庫業界の経営力の一層の強化を図るため、経営分析、経営相談および資本増強制度により構成されており、信用金庫業界のセーフティネットの主要な柱であります。本中金は、この経営力強化制度に基づいて、信用金庫の経営分析を行い、必要に応じて経営相談を実施するほか、一定の限度内で個別信用金庫に対して資本を供与しております。供与先信用金庫の経営状況の変化等によっては、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
信用金庫相互援助資金制度は、資本増強制度による資本供与に加えて、財政的支援が必要と判断される場合において、信用金庫業界として該当信用金庫に援助を行う制度であります。当該制度を適用して支援を行う必要が生じた場合には、本中金は信用金庫業界の一員として応分の負担を行う可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(3) 有価証券に関するリスク
① 市場リスク
本中金グループは、国内外の債券、株式および投資信託等の様々な有価証券を保有しております。これらの有価証券は、金利リスク、為替リスクおよび価格変動リスク等があるため、金融市場の混乱等により、金利、為替レートおよび価格等が変動した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
② 信用リスク
本中金グループは、有価証券投資に関し国債、地方債および政府保証債を中心としておりますが、社債や投資信託等の保有による一定の信用リスクを抱えております。これが顕在化した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
③ 市場流動性リスク
本中金グループは、市場で取引される様々な有価証券を保有しておりますが、金融市場の混乱等により、保有有価証券の市場流動性が著しく低下し、価格の下落により評価損が発生した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(4) 貸出金に関するリスク
① 不良債権の状況
本中金グループの不良債権比率(信用金庫法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく不良債権額の対総与信残高比率)は、0.24%(2024年3月末現在、連結ベース)と低い水準となっているものの、国内外の事業会社等に対する債権を保有しており、一定の貸倒リスクを抱えております。かかるリスクへの備えとして、所要の貸倒引当金を計上しておりますが、国内外の経済動向、不動産および株式等の市況の変動、個別の融資先の業況悪化等によっては、本中金グループの不良債権および与信関係費用が増加するおそれがあり、その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
② 特定セクターへの集中
本中金グループは、貸出金全体に対し、本邦政府、地方公共団体および政府関係機関に対する貸出金が一定の割合を占める状況にあります。このため、本邦政府等の財政状況や信用力等の悪化、ネガティブな報道、格付会社による格下げなどがあった場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(5) 資金調達に関するリスク
本中金グループは、主として信用金庫から余裕資金として預け入れられた預金と金融債により資金を調達しておりますが、市場からの調達も行っております。信用金庫の資金繰りの状況や経済金融環境の変化等によっては、想定を上回る預金の流出や外貨資金調達が困難になること等により、本中金グループの経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
さらに、本中金は、国内外の格付会社4社から格付けを取得しておりますが、その格付けが引き下げられた場合には、資金調達における取引条件が悪化する、あるいは取引が制約される可能性があります。
(6) オペレーショナル・リスク
本中金グループが多様な業務を遂行していくにあたっては、オペレーショナル・リスクが存在しております。オペレーショナル・リスクとは、業務の過程、役職員の活動もしくはシステムが不適切であることまたは外生的な事象により損失を被るリスクです。具体的には、次のとおりです。
① 事務リスク
本中金グループは、事務にかかる規程・要領等の整備、事務処理のシステム化および本部による事務指導や各種研修等を通じて適正な事務処理および不正の防止につとめておりますが、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等に起因する不適切な事務が行われること等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
② システムリスク
本中金グループは、営業支援やリスク管理等を行う情報システムを利用しているほか、信用金庫間および他業態金融機関との間の内国為替取引データの中継を行うサービスを提供しております。本中金グループでは、セキュリティポリシーに基づき、情報資産の適切な保護につとめているほか、外部からのサイバー攻撃に対するセキュリティ対策等を講じております。
しかしながら、品質不良、人為的ミスおよび災害等の要因により発生するコンピュータシステムの障害のほか、予防策が効果を発揮せず外部からのサイバー攻撃(不正アクセスおよびコンピュータウィルス感染等)に起因する情報漏洩や業務の停止等が発生した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
③ コンプライアンス・リスク
本中金グループは、法令その他諸規則等が遵守されるようコンプライアンス体制および内部管理態勢の強化につとめております。また、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融の防止を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、対策の高度化につとめております。
しかしながら、役職員等が法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、予防策が効果を発揮せず役職員等による不正行為が行われた場合、または高度化する金融犯罪の発生によりマネー・ローンダリング等の不適切な取引を未然に防止できなかった場合には、行政処分や罰則に加え、損害賠償請求等による損失の発生や、顧客または市場からの信頼失墜等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(7) 自己資本比率規制
本中金グループは、連結自己資本比率を、信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第14条の2の規定に基づき、信用金庫及び信用金庫連合会がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第21号)により、国内基準(現時点においては4%)以上に維持する必要があります。
本中金グループの自己資本比率はこれらの基準を大きく上回っておりますが、将来、これらの基準を下回った場合、業務の縮小や新規取扱いの禁止等を含む様々な制約を受ける可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
なお、本中金グループの自己資本比率に影響を与える主な要因は以下のとおりです。
・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下
・ 不良債権処理や債務者の信用力悪化等による信用コストの増加
(8) 各種の規制および法制度等の変更
本中金グループが国内外において業務を行うにあたって適用されている法律、規則、政策、実務慣行、会計制度および税制等が変更された場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(9) 風評リスク
国内外のメディアにより、本中金グループ、信用金庫業界全体や特定の信用金庫に関する否定的な報道が行われた場合には、それが正確であるか否かにかかわらず、または本中金グループに直接関係しない内容であっても、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(10) 競争
金融業への参入規制緩和や業務範囲の拡大などの規制緩和に伴い、金融業における競争は激化する傾向にあります。このような事業環境において、本中金グループは新たな収益機会を得るために、業務範囲を拡大することがあり、新しいリスクに晒される可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(11) 繰延税金資産の取崩し
将来の課税所得見積額および無税化スケジュール等の変更により、繰延税金資産の一部又は全部の回収が困難となり、繰延税金資産の額を減額する必要が生じた場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(12) 退職給付債務にかかるリスク
本中金グループの退職給付費用および債務は、年金資産の期待運用利回りや割引率等の数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。年金資産の時価・運用利回りが下落・低下した場合、または数理計算上の前提条件に変更があった場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(13) 個人情報の漏洩
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)および行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)に基づき、本中金グループは、個人情報取扱事業者や個人番号関係事務実施者として個人情報(特定個人情報を含みます。)の保護にかかる義務等の遵守を求められており、個人情報保護宣言を策定するなど情報管理態勢を整備・運営しております。万が一、外部者による不正なアクセス、役職員の人為的ミスまたは事故などにより、顧客情報が漏洩し、その情報が悪用された場合、顧客に対する損害賠償の費用が発生する可能性があります。また、かかる事件が報道され、顧客または市場からの信頼失墜等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(14) 災害等の発生に伴うリスク
地震等の災害や電力設備等の障害により、本中金グループの店舗等の施設が被害を受ける可能性があります。また、新型インフルエンザ等の感染症の流行により、本中金グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。これら業務遂行に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合に備えて、本中金グループでは、業務継続計画の策定、業務継続訓練の実施およびバックアップ拠点の構築など、業務継続体制を整備しておりますが、被害の程度によっては、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(15) 気候変動リスク
気候関連の規制強化や技術革新といった低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)および気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によりもたらされる物理的な被害に伴うリスク(物理的リスク)が、投融資先の事業・財務に影響を与えることにより、間接的にポートフォリオが影響を受ける可能性があります。
なお、本中金では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しており、同提言を踏まえた情報開示に取り組んでおります。
また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、参考になると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。
本中金グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に万遺漏なきを期してまいります。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本報告書の提出日現在において判断したものであります。
以下に記載した各リスクのうち、本中金および本中金グループの財務状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、「(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク」、「(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク」、「(3) 有価証券に関するリスク」、「(4) 貸出金に関するリスク」および「(5) 資金調達に関するリスク」が挙げられます。
「(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク」および「(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク」については、本中金が信用金庫業界の中央金融機関であることに伴う事業上のリスクです。当該リスクについては、本中金が、信用金庫の経営分析や経営相談を通じ、経営悪化の未然防止を図るなど、信用金庫業界のセーフティネットである信用金庫経営力強化制度および信用金庫相互援助資金制度を管理・運営し、業界の信用秩序維持につとめ、リスクの顕在化を未然に防止しております。
「(3) 有価証券に関するリスク」、「(4) 貸出金に関するリスク」および「(5) 資金調達に関するリスク」については、金融機関に共通するリスクであり、当該リスクが顕在化した場合は、本中金の業績・業務運営に影響を与える可能性があると認識しているため、リスクアペタイト・フレームワークの下、収益・リスク・資本のバランスにかかる一体的な議論を行ったうえで、資本に見合った適切なリスクテイクを実施し、健全性の維持と継続的な利益の確保につとめております。
また、「(3) 有価証券に関するリスク」および「(4) 貸出金に関するリスク」については、市場リスクおよび信用リスクをVaRなどの統一的な尺度で計測して合算し、自己資本と対比する統合リスク管理の手法を導入しております。更に、市場環境の急変等を想定したストレスシナリオにかかる損失額を算出し、自己資本への影響を検証・評価しております。
加えて、「(5) 資金調達に関するリスク」については、通貨別および期間別に資金の入出金ギャップにかかるリスク限度額を設定し、日次でモニタリングするとともに、流動性に懸念などが生じた場合においては、調達先確保などの迅速な対応ができる態勢を整えております。
なお、2024年度においては、各国の金融政策が転換点を迎えるなか、日本銀行による金融政策の正常化へ向けた追加利上げが見込まれる一方、粘着質なインフレや地政学リスクの高まり等、先行き不透明感の強い市場環境の継続が想定されることから、リスクアペタイト・フレームワークの下、柔軟なポートフォリオ運営を実施してまいります。
(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク
本中金は、信用金庫法(1951年法律第238号)に基づき、信用金庫が会員となって出資をすることにより設立された協同組織金融機関です。本中金は、信用金庫を基盤としているため、信用金庫の経営成績や財務状態の変動は、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
また、本中金は、信用金庫法に定める信用金庫連合会という特別の法人であり、株式会社形態をとる銀行と比較し、法制面で異なるところがあります。このような法制上の位置づけから、本中金グループの業務は一定の制約を受けております。今後の業務展開の中で、これらの制約によって本中金グループが競争優位を得られない可能性があり、その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。なお、法制面で銀行と異なる主な点は次のとおりです。
① 信用金庫法の認可事項
本中金は、次のいずれかに該当するときは、内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)の認可を受ける必要があります。
a.定款を変更しようとするとき。
b.業務の種類または方法を変更しようとするとき。
② 業務の範囲
本中金の業務は、主に会員である信用金庫に対して行うものであり、会員以外の者からの預金の受入れや会員以外の者に対する資金の貸付けなどの業務については、その取扱いに先立ち内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)の認可を受けております。また、債務の保証、手形の引受、有価証券の貸付けなど一部の業務については、会員のほか内閣府令で定める者に対してのみ取扱いが認められているなど一定の制限があります。
(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク
本中金は、信用金庫業界の信用秩序維持のために、セーフティネットの枠組みとして信用金庫経営力強化制度および信用金庫相互援助資金制度を運営しております。
信用金庫経営力強化制度は、信用金庫業界の経営力の一層の強化を図るため、経営分析、経営相談および資本増強制度により構成されており、信用金庫業界のセーフティネットの主要な柱であります。本中金は、この経営力強化制度に基づいて、信用金庫の経営分析を行い、必要に応じて経営相談を実施するほか、一定の限度内で個別信用金庫に対して資本を供与しております。供与先信用金庫の経営状況の変化等によっては、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
信用金庫相互援助資金制度は、資本増強制度による資本供与に加えて、財政的支援が必要と判断される場合において、信用金庫業界として該当信用金庫に援助を行う制度であります。当該制度を適用して支援を行う必要が生じた場合には、本中金は信用金庫業界の一員として応分の負担を行う可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(3) 有価証券に関するリスク
① 市場リスク
本中金グループは、国内外の債券、株式および投資信託等の様々な有価証券を保有しております。これらの有価証券は、金利リスク、為替リスクおよび価格変動リスク等があるため、金融市場の混乱等により、金利、為替レートおよび価格等が変動した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
② 信用リスク
本中金グループは、有価証券投資に関し国債、地方債および政府保証債を中心としておりますが、社債や投資信託等の保有による一定の信用リスクを抱えております。これが顕在化した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
③ 市場流動性リスク
本中金グループは、市場で取引される様々な有価証券を保有しておりますが、金融市場の混乱等により、保有有価証券の市場流動性が著しく低下し、価格の下落により評価損が発生した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(4) 貸出金に関するリスク
① 不良債権の状況
本中金グループの不良債権比率(信用金庫法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく不良債権額の対総与信残高比率)は、0.24%(2024年3月末現在、連結ベース)と低い水準となっているものの、国内外の事業会社等に対する債権を保有しており、一定の貸倒リスクを抱えております。かかるリスクへの備えとして、所要の貸倒引当金を計上しておりますが、国内外の経済動向、不動産および株式等の市況の変動、個別の融資先の業況悪化等によっては、本中金グループの不良債権および与信関係費用が増加するおそれがあり、その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
② 特定セクターへの集中
本中金グループは、貸出金全体に対し、本邦政府、地方公共団体および政府関係機関に対する貸出金が一定の割合を占める状況にあります。このため、本邦政府等の財政状況や信用力等の悪化、ネガティブな報道、格付会社による格下げなどがあった場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(5) 資金調達に関するリスク
本中金グループは、主として信用金庫から余裕資金として預け入れられた預金と金融債により資金を調達しておりますが、市場からの調達も行っております。信用金庫の資金繰りの状況や経済金融環境の変化等によっては、想定を上回る預金の流出や外貨資金調達が困難になること等により、本中金グループの経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
さらに、本中金は、国内外の格付会社4社から格付けを取得しておりますが、その格付けが引き下げられた場合には、資金調達における取引条件が悪化する、あるいは取引が制約される可能性があります。
(6) オペレーショナル・リスク
本中金グループが多様な業務を遂行していくにあたっては、オペレーショナル・リスクが存在しております。オペレーショナル・リスクとは、業務の過程、役職員の活動もしくはシステムが不適切であることまたは外生的な事象により損失を被るリスクです。具体的には、次のとおりです。
① 事務リスク
本中金グループは、事務にかかる規程・要領等の整備、事務処理のシステム化および本部による事務指導や各種研修等を通じて適正な事務処理および不正の防止につとめておりますが、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等に起因する不適切な事務が行われること等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
② システムリスク
本中金グループは、営業支援やリスク管理等を行う情報システムを利用しているほか、信用金庫間および他業態金融機関との間の内国為替取引データの中継を行うサービスを提供しております。本中金グループでは、セキュリティポリシーに基づき、情報資産の適切な保護につとめているほか、外部からのサイバー攻撃に対するセキュリティ対策等を講じております。
しかしながら、品質不良、人為的ミスおよび災害等の要因により発生するコンピュータシステムの障害のほか、予防策が効果を発揮せず外部からのサイバー攻撃(不正アクセスおよびコンピュータウィルス感染等)に起因する情報漏洩や業務の停止等が発生した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
③ コンプライアンス・リスク
本中金グループは、法令その他諸規則等が遵守されるようコンプライアンス体制および内部管理態勢の強化につとめております。また、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融の防止を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、対策の高度化につとめております。
しかしながら、役職員等が法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、予防策が効果を発揮せず役職員等による不正行為が行われた場合、または高度化する金融犯罪の発生によりマネー・ローンダリング等の不適切な取引を未然に防止できなかった場合には、行政処分や罰則に加え、損害賠償請求等による損失の発生や、顧客または市場からの信頼失墜等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(7) 自己資本比率規制
本中金グループは、連結自己資本比率を、信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第14条の2の規定に基づき、信用金庫及び信用金庫連合会がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第21号)により、国内基準(現時点においては4%)以上に維持する必要があります。
本中金グループの自己資本比率はこれらの基準を大きく上回っておりますが、将来、これらの基準を下回った場合、業務の縮小や新規取扱いの禁止等を含む様々な制約を受ける可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
なお、本中金グループの自己資本比率に影響を与える主な要因は以下のとおりです。
・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下
・ 不良債権処理や債務者の信用力悪化等による信用コストの増加
(8) 各種の規制および法制度等の変更
本中金グループが国内外において業務を行うにあたって適用されている法律、規則、政策、実務慣行、会計制度および税制等が変更された場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(9) 風評リスク
国内外のメディアにより、本中金グループ、信用金庫業界全体や特定の信用金庫に関する否定的な報道が行われた場合には、それが正確であるか否かにかかわらず、または本中金グループに直接関係しない内容であっても、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(10) 競争
金融業への参入規制緩和や業務範囲の拡大などの規制緩和に伴い、金融業における競争は激化する傾向にあります。このような事業環境において、本中金グループは新たな収益機会を得るために、業務範囲を拡大することがあり、新しいリスクに晒される可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(11) 繰延税金資産の取崩し
将来の課税所得見積額および無税化スケジュール等の変更により、繰延税金資産の一部又は全部の回収が困難となり、繰延税金資産の額を減額する必要が生じた場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(12) 退職給付債務にかかるリスク
本中金グループの退職給付費用および債務は、年金資産の期待運用利回りや割引率等の数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。年金資産の時価・運用利回りが下落・低下した場合、または数理計算上の前提条件に変更があった場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(13) 個人情報の漏洩
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)および行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)に基づき、本中金グループは、個人情報取扱事業者や個人番号関係事務実施者として個人情報(特定個人情報を含みます。)の保護にかかる義務等の遵守を求められており、個人情報保護宣言を策定するなど情報管理態勢を整備・運営しております。万が一、外部者による不正なアクセス、役職員の人為的ミスまたは事故などにより、顧客情報が漏洩し、その情報が悪用された場合、顧客に対する損害賠償の費用が発生する可能性があります。また、かかる事件が報道され、顧客または市場からの信頼失墜等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(14) 災害等の発生に伴うリスク
地震等の災害や電力設備等の障害により、本中金グループの店舗等の施設が被害を受ける可能性があります。また、新型インフルエンザ等の感染症の流行により、本中金グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。これら業務遂行に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合に備えて、本中金グループでは、業務継続計画の策定、業務継続訓練の実施およびバックアップ拠点の構築など、業務継続体制を整備しておりますが、被害の程度によっては、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
(15) 気候変動リスク
気候関連の規制強化や技術革新といった低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)および気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によりもたらされる物理的な被害に伴うリスク(物理的リスク)が、投融資先の事業・財務に影響を与えることにより、間接的にポートフォリオが影響を受ける可能性があります。
なお、本中金では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しており、同提言を踏まえた情報開示に取り組んでおります。
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