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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W0C9 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日清オイリオグループ株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等



当社グループは、長年の植物油脂研究で培った知見をベースに、中長期視点の「技術開発」と、お客さまのニーズにスピーディにお応えする「商品開発」を両輪とした研究開発活動を行っております。油脂の栄養評価技術、おいしさに関する技術(分析・評価技術、官能評価技術)、油脂の製造および加工に関わる技術などを強みとし、社内外での連携や共創の強化、戦略的な知的財産の活用を行うことで、「ビジョン2030」の各重点領域における共有価値を創造し、グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業の実現に貢献しています。


2024年度は、新たな価値創造実現の場として横浜磯子事業場内に研究開発拠点「インキュベーションスクエア」を5月に開設しました。インキュベーションスクエアは、ラボスケールにおける研究開発機能に加えて、パイロットスケールにおける試作機能、小規模での生産機能を有し、共創型のキッチン、フライ室、試作品の分析評価が行える環境を整備しました。「共創」をポイントに、当社起点の価値提案に加え、お客さまとともに手を動かしながらモノづくりと評価を繰り返し、お客さまの課題解決や新たな価値の創造を行っています。また、食品から化粧品・化学品まで異なる専門分野の研究員が同じ場所で研究開発活動を行うことで、新しいシナジーが生まれやすい環境を整備しています。
また、研究開発機能の強化を目的に組織を再編し、中長期の視点から未来の価値創造を目指す「基礎研究所」、所有技術を深化・応用し、価値を創造する「応用研究所」、ニーズとシーズを結びつけ、商品を通して“もっとお客さまの近くへ”を実現する「ホームユース・ウェルネス食品開発センター」を新たに設置しました。食品メーカーや流通の皆さまのニーズに基づきアプリケーション開発や技術提案を行う「ユーザーサポートセンター」、主力製品である「化粧品原料としての機能性エステル油」を中心に、食品・医薬品、工業用分野といった幅広い分野に機能性素材を提供している「ファインケミカル事業部」とともに、多岐にわたる研究開発活動を行っております。

国内のグループ企業においては、大東カカオ株式会社、セッツ株式会社なども研究開発機能を有し、それぞれのグループ会社が強みを活かした取り組みを進めるとともに、グループの総合力を活かして新たな価値の創造に注力しています。
海外においては、パーム油の主要産地であるマレーシアにNisshin Global Research Center及びIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd. (以下、ISF社)の研究開発拠点があります。スペインでは、Industrial Quimica Lasem, S.A.U. (以下、IQL社)と、ファインケミカル事業のグローバル展開を支える基盤を形作るために、エステル油剤開発、品質管理、生産技術などにおいて多面的な技術連携関係を構築しております。中国では、当社グループの日清奥利友(上海)国際貿易有限公司や上海テクニカルサポートセンターとの連携により、当社製品の技術的・品質的な特徴を顧客にアピールする活動や、中国における市場開拓を着実に進めております。国内外の各拠点が連携し、価値創造に向けた取り組みを進めています。
なお、当連結会計年度における研究開発費の合計は4,079百万円(前連結会計年度は3,519百万円)であり、セグメント別の研究開発費については以下のとおりです。

油脂事業加工食品・素材事業ファインケミカル事業合計
2024年度(百万円)2,7456556784,079


〔油脂事業〕

1.油脂・油糧
近年、こめ油市場は生活者の健康意識の高まりとともに拡大しております。当社では、家庭用商品のこめ油のラインアップを強化し、大容量の「日清こめ油」1300gを発売(2025年2月)いたしました。また、あっさりした風味が特長で、環境へのニーズもとらえた商品として「日清あっさりこめ油」450g紙パックを発売(2024年8月)し、より多くの生活者のニーズにお応えしております。
オリーブオイルについては、手に取りやすい価格帯のラインアップを拡充しました。少量使いタイプの「日清さらっと軽~いオリーブオイル」145g(2024年8月)、加熱調理でもオリーブの味・香りをしっかりと楽しめて大量使いのできるMIXタイプのオリーブオイル「日清キャノーラ&オリーブオイル」684g(2024年8月)と800g(2025年2月)をそれぞれ追加発売し、原料のオリーブの歴史的な不作による価格高騰の環境の中でも引き続きおいしさと健康性を楽しんでいただける商品を展開しております。また、当社は、安全で安心な製品をお届けすることはもちろんのこと、国際基準の高度な分析技術を磨き続け、国際オリーブ協会(International Olive Council)の品質国際基準「理化学分析ラボtypeB認証」を2年連続で獲得しました。
環境にやさしい企業活動の取り組みの一環として、容器におけるプラスチック使用量削減のため、フレッシュキープボトルをリニューアル(2024年8月)し、軽量化することで、従来品と比べてプラスチックの使用量を約19%削減しました。また、キャップシール廃止の取り組みを順次開始し、第一弾としてごま油とオリーブオイルの瓶容器の商品を対象に実施しております。さらに、環境対応素材の導入拡大に向け、ボトルに再生PET樹脂を使用した商品を、400g、600g、800gに加えて200gPETにも拡大しました。こうした取り組みを進める中、「日清ヘルシークリア 800g ペットボトル」が「2024 日本パッケージングコンテスト」(公益社団法人 日本包装技術協会主催)で「食品包装部門賞」を受賞しました。今後も、環境や使いやすさに配慮した容器・包装の開発に努めてまいります。
業務用食用油では、オリーブオイル価格高騰を背景に、こだわりのオリーブオイルを独自配合し、オリーブオイルらしい香り立ちと適度な苦み・辛みをお楽しみいただける「日清キャノーラ&オリーブオイル」を発売しました(2024年7月)。また、こめの在庫不足や品質不良など、お客様の炊飯米商品に対する課題解決を目的に炊飯油の品揃えを強化しました。さらに、手軽にプロの味わいが再現できる「素材のオイル」シリーズとして、近年のチーズの価格高騰に対応した商品である「日清素材のオイル 香ばしチーズ風味」を発売しました(2025年3月)。その他、フードロスや環境配慮など多様化するニーズへ対応した炒め油や麺さばき油などの機能性油脂/油剤の開発を行い、お客さまのニーズに応える取り組みを実践しております。


2.加工油脂
菓子・パン・チョコレートなどの加工食品において、油脂は風味、食感、口どけなどおいしさの大事な機能を担っております。当社では「油脂」を究めることで、チョコレート用油脂を中心としたスペシャリティファットやマーガリン・ショートニングなどの製品を開発しております。また、これらの製品の主要原料であるパーム油を生産する当社グループのISF社および、業務用チョコレートを製造・販売する当社グループの大東カカオ株式会社の研究開発部門とも連携することで、油脂製造からアプリケーション開発にわたる領域の研究開発を行っております。世界的なカカオの高騰を受け、当社グループはココアバター代用脂(CBE)の生産能力を2027年度までに2021年度比で1.5~2倍まで伸ばす予定です。これに向けて、ISF社と連携して、製造プロセスの改良やチョコレート用油脂の開発を加速しております。国内市場においては、カカオの高騰を受けてスナップ性と口どけの良さを備えたテンパー型油脂や、特殊な用途に合わせたノーテンパー型油脂の開発を進め、一部を発売しました(2024年10月)。さらに、独自の技術でカカオの風味などを補うことができる商品についても顧客提案を進めております。
また、機能性を有する素材と油脂を組み合わせた製パン用油剤を発売しました(2024年6月)。この製パン用油剤はパンの柔らかさを維持することが可能なため、消費期限の延長や食品ロス削減が期待されております。

〔加工食品・素材事業〕

1.MCT
MCTの優れた健康性に着目して機能開発を進め、これまでの「体脂肪やウエストサイズを減らす」に加え、「日常活動時の脂肪の燃焼を高める」や「運動時の脂肪の燃焼を高める」などの新たな機能性表示食品を消費者庁に届出いたしました。今後は食用油や加工食品へ広く展開することで、マーケットでの認知度向上や価値化を図り、当社の掲げる「すべての人の健康」の実現を推進してまいります。
また、以前より通販用商品として販売しておりました「MCT CHARGE オイル 6g」および「MCT チャージゼリー PRO」を機能性表示食品としてリニューアル発売いたしました(2024年10月)。これら2商品は、「運動時の脂肪の燃焼を高める」機能が消費者庁に受理されており、運動愛好家層への訴求を強化しております。

2.調味料
当社ドレッシング主力商品として多くのお客さまより支持をいただいている「日清ドレッシングダイエット」シリーズに、和風の中でも人気の高いたまねぎ風味「きざみたまねぎ」185mlと400mlを追加発売いたしました(2025年2月)。きざみたまねぎの食感と甘みが特長で、野菜はもちろん、肉との相性も良く、幅広いメニューにご使用いただけます。

3.機能素材・食品
病院・施設向けの高齢者・介護食品で少量でも高密度な栄養成分を含むことを特長とする「ミニタス」シリーズ(たんぱく質、エネルギー、食物繊維)において、たんぱく質ゼリーのラインアップ拡充を目的として新味「パイン味」を追加発売いたしました(2025年3月)。「ミニタス たんぱく質ゼリー」は、これまでオレンジ味1種類のみの展開でしたが、お客さまからの強いご要望にお応えする形で、フレーバーのバリエーションを追加いたしました。本商品の追加により、更なる顧客層の拡大と売上増加を見込んでおります。
当社の独自技術による油脂100%の結晶性油脂「コナファット」は、食感改善、粉末の流動性改善といった機能を中心に食品分野で幅広くご利用いただいております。食品での用途をさらに拡大するため、チョコレートの粘度調整、複合菓子の油脂移行による品質変化の抑制などの新たな価値の提案を進めております。また、食品廃棄の削減に向けて、食品アップサイクルへの利用についても用途提案を実施しております。非食品分野では地球環境課題対応に向けたバイオマス素材として活用する用途開発を進め、従来の油脂の枠を超えた様々な用途での活用方法をご提案することで、市場開拓を進めております。


4.チョコレート
大東カカオ株式会社と連携を取りながら、カカオを中心に、素材にこだわり、配合・物性・製造技術を磨き、他社がまねのできない多様な技術やユーザーの要求にこたえるための高付加価値技術を構築しております。
大東カカオ株式会社の強みであるロースト方法やカカオ産地を組み合わせた味作りを強化するとともに、当社と連携した風味の評価技術や油脂技術を活用したチョコレートの開発を進めております。また、歴史的なカカオ相場の高騰やカカオ豆生産量の不安定な状況に対して、ベースビーンの安定的な確保に向けた新規産地のカカオ豆を導入したほか、特定の地域におけるカカオ豆の生産性向上に向け大学、現地農園と共同研究を開始しました。
さらに、大東カカオ株式会社の独自技術を活用した、長期間保存可能な災害食用チョコレートの開発を進めています。

5.大豆食品素材
近年の加工食品原料の価格高騰を背景に、冷凍食品などの玉子加工食品の原材料に加えることで、食感良くかつ冷凍・解凍後の離水を抑制することができる大豆粉末製剤「ソイプルーブ」を発売しました(2025年1月)。本品は大豆粉に独自の加熱処理を行うことでコクを付与し、玉子製品の風味を損なわないよう設計しています。玉子焼きのほか、炒り玉子など各種玉子加工食品での効果を確認しております。さらに大豆食品素材の栄養・健康機能を訴求し、水への分散性が高く、粘度が低いという特長を持つ粉末状大豆たん白「ソルピーDH-1」を発売し(2024年7月)、植物性の粉末プロテイン飲料などにご利用いただいております。
当社は長年にわたり、大豆たん白・大豆粉末製品をお客さまに販売しており、引き続き商品やアプリケーション開発を通じて、品質やおいしさの維持・向上に貢献してまいります。

〔ファインケミカル事業〕

化粧品領域における開発活動としては、グローバルな視野で化粧品業界に広く展開できる高機能素材や植物由来成分からなる素材の開発に取り組んでおります。
化学品領域における開発活動としては、情報関連分野・潤滑用途の素材を中心に顧客と直結した開発を進めております。
食品領域における開発活動としては、主力であるMCT製品の品質向上を図るとともに、新たな機能性素材の開発に取り組んでおります。
IQL社との間では、同社が製造販売するFSSC22000などの認証を背景とした高品質なMCT「QUOLIO(クオリオ)」について、国内展開を図るとともに、生産設備の改良・品質管理体制の強化を通じて、高品質な化粧品原料のグローバル供給体制の構築に向けた取り組みを進めております。
日清奥利友(上海)国際貿易有限公司とは、中国における技術サービスの充実を目的として設置したラボ機能の有効活用を図るとともに、さらに発展させる形で、現地企業を対象とした原料セミナーを複数回開催し、同社製品の優れた特徴をアピールする活動を行い、中国における市場開拓を着実に進めております。
セッツ株式会社は、食の安全・安心の確保に関する特に優れた事業・研究・社会貢献活動が評価され、2024年度「大阪府食の安全安心顕彰制度大阪府知事賞」を受賞いたしました。商品開発では、微生物制御技術や洗浄技術を融合させ、顧客課題の解決に取り組むとともに、高付加価値商品の開発を進めております。その一環として、厨房廻りの衛生管理に特化した、密着泡が特徴の「セッツ泡ブリーチ」を発売いたしました。また、介護現場の多忙な状況をサポートするため、「これひとつ」(=One)を共通コンセプトとした「介護施設のためのOneシリーズ」4品(バストイレ用など)を発売いたしました。これらを推進して、衛生管理事業の拡大に努めてまいります。

今後とも技術力の一層の充実を図り、新製品・新技術開発、新分野開拓に積極的に取り組んでいく方針であります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00428] S100W0C9)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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