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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YEWN (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 不二製油グループ本社株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、植物性の油脂とたん白を基盤とする新しい機能を持つ食品素材の開発に取り組んできました。長年積み重ねてきた研究成果と先進の技術力を生かし、不二製油グループ憲法のビジョン「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します。」に向けて、新技術・新素材の開発による事業シナジーの最大化や新たなビジネスモデルの創出を目指した研究開発活動を実施しています。世界中の人びとの食べることの歓びと健康に貢献することをモットーに、「社会になくてはならない会社」になるための研究開発活動に努めています。
日本国内の「不二サイエンスイノベーションセンター」と「つくば研究開発センター」を研究開発の中核拠点とし、顧客との共創の場である「フジサニープラザ」、オランダのフードバレーの中心となるワーヘニンゲン大学キャンパス内に2021年度に開設した「フジグローバルイノベーションセンターヨーロッパ」、そして各グループ会社の研究開発部門が連携し、事業戦略と一体となったグローバルな研究開発を推進しています。2025年度からは事業軸での研究開発部門のグローバル連携をさらに深めることを意識して、事業毎にグローバルミーティングを開催してコミュニケーションを活性化しています。また、イノベーションを推進するため、国内外の大学や研究機関とのオープンイノベーションや顧客との共創活動を強化しています。

知的財産部では、各研究開発部門の活動成果を特許ポートフォリオとして戦略的に構築してきました。市場優位性や価格決定力に影響し得る指標である重要特許シェア率(注1)において、油脂・チョコレート関連及びPBF関連分野のいずれにおいても、国内外の競合企業と比較して上位水準を維持しています。特に国内の競合企業と比較した場合において、その傾向は顕著です。
また、将来の重要特許を継続的に創出するための人材投資として、知財教育の実施や発明報酬制度の整備とともに、社長をはじめとする経営幹部に、創造性の高いアイデアを披露する、アイデアコンテストを実施するなど、発明者の育成に継続的に取り組んできました。その結果、国内外においてもトップレベルの新規発明者数(注2)を維持しています。今後は、海外グループメンバーに対してもeラーニングを活用した知財教育を実施し、グループ全体で特許を創出する体制を一層推進することで、グローバル市場における競争優位性の更なる向上を目指してまいります。
(注)1.過去10年(2016年以降)における、特許分類・キーワードに基づき抽出した各母集団を対象とし、被引用数上位5%に該当する特許を重要特許と定義した上で、(各社の重要特許件数)÷(全重要特許件数)により算出した割合(%)です。
2.過去10年(2016年以降)に出現した発明者の人数を集計したものです。

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技術開発部では、「安全、品質、環境」にこだわり、コア技術の強化・革新に関する研究開発を進めております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は7,077百万円です。

研究開発活動の概要は次のとおりです。

(植物性油脂事業)
安全・安心で環境に配慮した油脂の製造技術、新機能を有する油脂製品、及びその最適な応用法に関する研究開発を通して、顧客の要望を形にし、新しいおいしさの創造に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果としては、価格高騰が続く国内外のココアバターの代替需要への対応策として、チョコレート規格の変更にも対応する、多様なCBE(注1)及び風味強化素材を開発し、その利用方法等も含めて顧客へ提案し、チョコレート菓子市場の安定化に対応しました。また、今期は動物性油脂が主流の惣菜・加工食品などの用途において、新たな価値コンセプトを謳った植物性油脂の新ブランド「Melavio®」を立ち上げ、多様化する食市場に対応する選択肢をよりわかりやすく、市場に伝える基盤を構築しました。
当社独自技術の分散技術であるDTR®技術(注2)を利用した、風味の満足感の付与に加え、加工食品メーカーでの加工適性向上に寄与する形態改良も行い、冷凍食品や加工食品用途での実績化が進んでいます。
従来の油脂結晶制御技術や酵素応用技術の深掘も継続して技術革新を進めております。酵素技術を活用した品質改良法の導入によるココアバター代用脂の機能性向上を図る等、事業基盤を強化する技術開発にも取り組んでいます。欧州を中心に規制が強化されているプロセスコンタミナント(グリシドール脂肪酸エステル等)除去につながる製造技術開発に一層注力し、国内及びグローバルの市場環境にも対応可能な油脂素材として提案を継続しております。
また、栄養健康分野においては、消費者への認知をさらに拡大し、健康油脂素材需要の潜在需要開拓のため、健康関連油脂の摂り方を伝える動画配信やウェブ配信記事など、デジタルを活用した情報発信基盤を拡充しました。

当事業の研究開発費は1,186百万円です。
(注)1.CBE:Cocoa Butter Equivalentの略。ココアバターと同等の物性を持ったチョコレート用油脂。
2.DTR®技術:水溶性成分を油脂に微分散させる技術で、素材の呈味(塩味、旨味、辛味等)や保存安定性を付与増強する技術。

(業務用チョコレート事業)
チョコレートを通じた社会課題の解決を目指し、新技術の開発や原料選定に取り組むとともに、それらを具現化したアプリケーションと組み合わせたソリューション提案を行っています。
カカオ不足及び価格高騰の影響が継続した2025年度において、日本国内では挑戦領域として、「カカオ原料に依存しないものづくり方針」に基づく課題解決型製品の導入を進めました。具体的には、溶かすだけで簡単に使用でき、室温で安定して固まり、チョコレートのようなパリッとした食感と滑らかな口溶けを特長とするコンパウンドチョコレート製品「パータグラッセ」を上市しました。
また、成型新製品として、ベーカリー製品向けに焼成後の新たな食感を付与する「じゅわっとキューブ」を開発しました。さらに、カカオ原料を使用しない「アノザ®M」については、積極的なプロモーション活動を通じて市場認知の拡大を図りました。
一方、カカオ原料価格が高騰する環境下においても、「高品質なチョコレートをもっと身近に」という価値提案のもと、「カカオクオリー®」シリーズに新たなラインナップとして「カカオクオリー ベーシックTM58%」を上市しました。加えて、2026年度稼働予定の新工場での生産を見据えた新製品開発にも取り組みました。これらの取り組みを通じ、「課題解決型製品の創出」と「新市場への拡販」を推進し、2026年度には新製品の上市を予定しています。
海外市場においても、カカオ原料価格の高騰を背景に、各グループ会社が市場特性に応じた提案を進めました。米国のBlommer Chocolate Company, LLCでは、ココアバター価格の上昇に対応するため、CBEコンパウンド製品の拡販を推進しました。加えて、2026年度下期に稼働予定のキャンベルフォード工場の新ラインでは、付加価値型コンパウンド製品の増産を計画しています。
ブラジルのHARALD INDÚSTRIA E COMÉRCIO DE ALIMENTOS LTDAでは、カカオ相場の高騰により比例費が増加する事業環境の中、植物性油脂の機能特性や原材料選択の最適化を通じて、コンパウンドチョコレートにおける「おいしさ」と「課題解決」の両立を追求してきました。その結果、需要の高いブラジルのチョコレート菓子市場において、チョコレート製品からコンパウンドチョコレート製品への需要シフトを加速させることができました。これは、機能訴求型レシピの展開やフードサービス向けキャンペーンの実施、アプリケーション提案を通じた拡販活動が寄与したものです。

当事業の研究開発費は1,720百万円です。


(乳化・発酵素材事業)
ホイップクリーム、調理用クリーム、ドリンクベース、マーガリン、フィリング、チーズ風味素材等の開発、弊社独自のUSS®製法による豆乳素材を活用した新技術・新製品開発、及びアプリケーション開発を通し、美味しさにこだわりながら社会課題のソリューションの提供を目指して活動しております。
近年は、地政学的な影響や人口動態の変動などにより、あらゆる原料の価格が高騰しているだけではなく、供給そのものも不安定になるなど、原料調達事情や市場の変化が激しくなっており、弊社並びにお客様への影響がますます大きくなってきています。本事業の強みとする、乳化・発酵の技術を駆使し、原料に依存せず、高品質でリーズナブル、お客様の原料調達の安定に貢献できる新製品開発を推進し、顧客貢献を高めることを目指しています。
昨年上市したチーズ風味素材の「本熟フロマージュ®P」は、新しい発酵技術により、輸入中心で高価な熟成チーズに依存せずとも、濃厚で本格的な風味を提供できます。熟成チーズは物性面でも使用方法の制約が多いのですが、滑らかで使いやすい物性は、今までにない用途でもご活用いただくことができ、お客様の品質向上や新商品のアイデアの幅を広げるなどに貢献し、製菓製パンのみならず、外食、加工食品等幅広い市場のお客様から多くの支持をいただいています。また、本発酵技術は乳風味を増強する効果があり、チーズ関連製品のみならず、ホイップクリーム製品やマーガリン製品の乳風味向上に活用し、お客様のメイン商品にご採用いただくなど、その価値をご評価いただいております。
弊社乳化技術の代表となる、独自のUSS®製法で生み出す豆乳クリームは、従来にないクリーミーさ、濃厚さが特徴です。豆乳クリームを活用した、豆乳クリームバター「ソイレブール®」はバターのようなクリーミーさ、ジューシーさを持ちながらも、バターとは異なる他素材との相性の良さという特徴でお客様の商品の幅を広げ、高い評価をいただいております。洋菓子向けに塩味を抑えた「ソイレブールラフィーネ®」、パイ・デニッシュなどに活用いただけるシートタイプの「ソイレブール®シート」とともにお客様より好評をいただいており、年々実績を伸ばしています。豆乳クリームは調理用クリーム、ドリンク、冷菓やチルド洋菓子などにも幅広くご利用いただいており、時短ニーズの高まっている調理加工市場、好調な外食・カフェなどでの採用も増えています。
日本のパンや洋菓子のトレンドは、中国や東南アジア地域で非常に注目されています。日本で実績のある製品の横展開を積極的に行い、海外のベーカリーや洋菓子マーケット向けに日本のトレンドと合わせて紹介することで、マーガリンやフィリング、ホイップクリームの採用につながっております。

当事業の研究開発費は1,212百万円です。

(大豆加工素材事業)
大豆たん白質や大豆たん白食品、大豆ペプチド、大豆多糖類等による、お客様の課題解決を目指した製品の開発を進め、これまで上市した新製品の拡販、改良に取り組んでいます。
粉末状大豆たん白素材では、「サンラバー®SY2000」は、粉体の分散性と物性に優れ、従来製品では対応できなかったミキサー攪拌機での乳化生地生産が可能となり、生産現場の作業効率化や省人化を可能とする点が高く評価され、従来からの主要市場である食肉加工、総菜加工市場での採用が進みました。栄養健康市場用途では、「プロリーナ®23LG」のプロテイン飲料市場での採用、また新製品として分散性、粉立ちをより改良した「プロリーナ®CLHG」を上市、早速海外市場で粉末飲料への採用が進みました。高騰する卵素材への対応として、スポンジケーキ等の洋菓子利用に特化した大豆たん白製剤の「ウフリー®」は、全卵の一部置き換え利用や、卵を使わないプラントベースのスポンジケーキへの採用が進みました。
大豆多糖類素材では、従来と異なる高pH領域で安定特性を持つ酸性乳飲料用途向け「ソヤファイブ®HP100」の採用が進みました。高たん白飲料において飲料設計に自由度を与える素材として認知が進んでいます。また、副産物のオカラを原料として開発した機能性食物繊維素材の「ソヤセル®」は、小麦粉加工製品や、ソース類等での採用が国内のみならず海外市場でも進みました。粘度安定性に優れた特性を有しながらも食品添加物扱いではなく、食品としての表示が可能です。
粒状大豆たん白素材では、従来からの主要市場である総菜加工用途で、吸水力が高く風味が良好な「ニューフジニック®90」を上市し、お客様に高く評価され、早速採用されております。「プライムソイ®国産大豆」はホテルメニューや流通PBのワンハンドスナック、また製菓市場で採用されました。「プライムソイミート」シリーズは、焼き肉にも使えるスライス肉タイプや、外食・中食のお客様向けに小袋タイプが健康コンセプトのメニュー等でお客様から、従来の大豆ミート素材とは一線を画した品質との評価を戴いております。栄養スナック、バー市場では、プロテインのコンセプトをうたう商品の多様化が進んでいます。「ソヤパフ®10」は大豆の美味しさを活かした製品として発売し、たん白質訴求スナックで採用されております。またペットフード市場はプレミアム化が進んでおり、本市場向けにも新製品を開発、大豆の栄養価に着目し高い評価を戴いております。

当事業の研究開発費は1,162百万円です。
(中長期視点での研究活動)
中長期視点の研究開発活動としては、大きくは、社会課題に対する研究開発及び新規事業につながる技術開発を行っています。
未来創造研究所では、人口・経済・環境・食糧・ヘルスケアに関する定量情報を用いて2050年までの未来年表を作成し、社会課題起点で研究テーマを創出・推進しています。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)『バイオものづくり革命推進事業』において「未利用原料を用いた油脂産業構造転換に寄与するバイオものづくり技術の開発と実証」が採択され、国内の廃棄バイオマス等の原料化、高付加価値な酵母油(イーストオイル)を生産する酵母株及び商業生産プロセスの開発、並びに市場展開に必要な規格・標準化の検討を進めています。2025年度は、CO2を活用した大豆栽培の検証(たん白質含量向上条件の確認、特許出願等)を行うとともに、大豆ペプチドのエビデンスを基にeスポーツ等の領域で用途提案を進め、将棋名人戦(2025年5月・大阪府泉佐野市)において大豆ペプチド配合飲料を提供しました。さらに、安定化DHA油脂素材では、DHA強化乳飲料の継続摂取に関する論文採択等により科学的根拠取得を進め、機能性表示に関する再申請に向けた対応を行いました。
植物性の風味創成技術MIRACORE®は、未来創造研究所における基盤研究から生まれた技術です。植物性油脂とたん白に関する長年の研究蓄積を基に、動物性食品特有の「満足感」を植物性素材で表現することを目的として研究開発を進めてきました。当該技術を活用した製品群については、研究開発部門と事業部門が連携し、社会実装を見据えた開発を推進しています。2025年度には、植物性で貝の風味を表現する「MIRA‑Dashi®貝タイプ」と、粉末状・白湯タイプの「MIRA‑Dashi® C820P」を展開するなど、製品形態の拡張を進めています。これらの新製品は、魚介類のダシ資源に関する将来的な供給不安への対応や、常温流通による海外輸出への適応、加工食品分野での幅広い活用を視野に入れたものであり、ビーガン・ベジタリアン対応にとどまらない多様なプラントベース需要への対応を目指しています。
また、未来創造研究所は、当社グループの将来の事業創出を見据え、国内外の大学を含む公的機関や企業とのコラボレーション、並びに研究員の派遣等を通じたオープンイノベーションに取り組んでいます。2025年度は、オーフス大学との共同研究を継続するとともに、コペンハーゲン大学の学生受入を実施しました。研究成果の一部は学術誌に掲載されており、油脂分野では「Journal of Oleo Science, 74, 1057-1065 (2025)」、「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 90, 76–87 (2026)」及び「サステナブルな食の未来の実現に向けた油脂酵母を用いた持続可能な油脂生産技術の構築」(Bioscience and Industry, 83, 491-493 (2025))、たん白分野では「Journal of Agriculture and Food Research, 24, 102447 (2025)」、「Food Science & Nutrition, 13, e70319 (2025)」及び「Experimental Gerontology, 213, 112995 (2026)」が掲載されました。

当事業の研究開発費は1,796百万円です。


事業等のリスク株式の総数等


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