有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TPU4 (EDINETへの外部リンク)
NSユナイテッド海運株式会社 事業等のリスク (2024年3月期)
当社グループの主要な事業活動である外航事業は、グローバルに展開しており、本有価証券報告書「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、世界各国の経済情勢、政治的または社会的な要因等の様々なリスクに晒されており、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「リスク管理規程」に基づき、各リスクについて、関連部門においてリスクの分析やその対応策を検討した上で、執行役員会、取締役会において協議・決定を行っております。年度末には、社長を委員長とする内部統制・コンプライアンス委員会において、「リスク項目表」に基づき、各リスク項目の見直しや管理執行状況の報告と評価を行い、その結果を、取締役会へ報告しております。
また、一定金額以上の大型投資や、不確実性の高い投資判断を行う場合に執行役員会・取締役会に上程する前に当社に及ぼす影響・リスク等を明らかにすることを目的として、投融資委員会において社内横断的に協議しております。
当社グループの事業継続に重大な影響を与えうる主要なリスクは以下の通りとなります。
① コンプライアンスリスク
ハラスメントや贈賄、不正、インサイダー取引等の法令違反のリスクは、発生した場合、損害賠償だけでなく企業の信用低下や事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは「企業行動規範」において、法令・規則を遵守し、高い倫理観をもって行動することを定めています。さらにコンプライアンス強化を図るため、社長を委員長とする内部統制・コンプライアンス委員会を定期的に開催し、取り組み状況を確認するほか、毎年10月を内部統制・コンプライアンス周知月間と定め、毎回異なったテーマにて啓蒙活動を行っており、全役員・社員、グループ一体でコンプライアンス意識のさらなる徹底とコンプライアンス実践に必要な知識・情報を周知し、コンプライアンスの重要性を再認識する機会としております。
② 人権に関するリスク
人権侵害により国内外の取引先から取引停止や企業の信用低下、賠償、訴訟等が起こるリスクがあり、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、グローバルに事業を展開する企業として、差別・ハラスメント・長時間労働・児童労働等の人権課題解決に取り組むことが、企業活動において一層重要であるとの認識の下、「NSユナイテッド海運グループ人権方針」を策定しております。 当社は、本方針を開示し、当社の取引先やその他のビジネスパートナーにおいて人権侵害が起きないよう当社の人権方針を理解いただくよう努めております。
当社では、関連する取締役および執行役員をメンバーとする人権デューデリジェンス推進チームを設置し、その指揮監督のもと、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に忠実に、人権尊重の取り組みを進めております。取り組みにあたっては専門的知見を有する外部コンサルタント会社からの助言を定期的に受け、人権デューデリジェンスの取り組みの各フェーズにおいての客観性と正当性の担保に努めています。
これらの取り組みは、適時開示を行うことにより、ステークホルダーの皆様にご理解・ご協力が得られるよう努めています。
③ サイバーリスク
当社グループは業務全般においてコンピュータシステム及びITネットワークを活用しております。サイバー攻撃、自然災害、オペレーションミス等に起因する重大なサイバーインシデント(情報システムやネットワーク障害、データ改ざんや情報漏洩等)が発生した場合には、当社の信用や営業活動、経営成績ならびに財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティー管理の重要性を十分認識し、ハード面・ソフト面のサイバー攻撃への対応強化やバックアップ体制の構築、「情報セキュリティー基本方針」等社内規程の整備、従業員に向けた教育の実施等の対策を継続的に行っております。また当社はサイバーインシデントを想定した事業継続計画(BCP)を策定しております。
④ 海難事故リスク
当社グループの主要事業である海運業においては、海難事故が発生した場合、人命・貨物・船舶等の損失・損傷リスクや、燃料油・積荷等流失による海洋汚染のリスクがあります。当社グループは海難事故を防止するために「安全管理マニュアル」や「品質管理マニュアル」を、また環境を保全するために「環境マネジメントマニュアル」を策定するとともに、乗組員の教育・研修を実施し、安全運航に努めております。また「海難及びその他の緊急事態対応に関する規程」、「緊急事態対応マニュアル」を策定し、海難事故を想定した緊急対応演習を行うなど万全な体制をとっております。さらに、万一、海難事故が起きた場合でも保険による損失対策を図っていますが、当社負担となる損失が一部発生することがあります。
安全運航に向けた当社船舶管理の具体的な取り組みとして、以下の施策を実施しております。
a.ニアミスレポートの活用
b.安全キャンペーン
c.管理船への訪船・検船による確認
2023年度は自社による訪船検船に加え、第三者外部検査機関による検査を導入、管理船全船の迅速な状態確認につなげました。今後も同様の取り組みを継続し、良好な保守・整備につなげます。
d.安全運航管理体制
当社の船舶管理は、主として海務技術、船員配乗、教育・訓練等を担当する部門と、主として船体・機関その他の搭載機器の保守管理を担当する部門が協働して、各船の安全運航管理、危機管理を確実に実施しており、これらの取り組みの実施状況は、社長を委員長とする「安全運航・環境保全推進委員会」を定期的に開催してレビューされております。
また、船員研修チームを中心に、船舶の安全管理及び船員教育の強化のため、海外マンニング会社とも連携のうえ業務の効率性と専門性の更なる向上に取り組んでおります。
e.DX推進による事故予防
今後運航データの有効活用がますます重要度を増す中、高速データ通信が可能な低軌道衛星通信システム“Starlink”を管理船全船に導入。今後も航海・機関データの利用による運航状態のモニタリングなど不具合の兆候の早期察知など、運航トラブルの予防保全へ向けて取り組んでおります。
⑤ 公的規制及び環境保全に関するリスク
当社グループの主要事業である海運業では、設備の安全性や船舶の安全運航のために、国際機関及び各国政府の法令、船級協会の規則等の公的規制を受けております。当社グループでは、これらの規制が変更された場合に遵守するための費用が増加する可能性があり、遵守できなかった場合には事業活動が制限され、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループはこれら安全運航に関する規制に適切に対処しております。
また、環境保全に関する規制の強化及び社会における重要性の高まりなどにより、その対策費用が増加した場合や当該法令または規制を遵守することが困難となった場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループは主に以下のような環境規制に対する対応を進めております。これらはいずれも国際連合の海事分野の専門機関である国際海事機関(IMO)が採択し国際条約として制定されているものです。
a.GHG(温室効果ガス:Greenhouse Gas)の排出削減戦略について
IMOは2023年にGHG削減戦略を改定し、2050年ごろまでのGHG排出ネットゼロ目標などを盛り込んだ戦略を策定しました。当社グループもIMOの改定戦略に沿う形で、中期、長期の目標を策定しGHGの排出削減を進めます。
2024年3月に公表した中期経営計画「FORWARD 2030 Ⅱ」において、2030年までにGHG年間排出量を2019年比マイナス25%の150万㌧に削減する中期目標を設定しました。目標の達成に向けて投資計画を進めます。
運航船舶の減速運転の徹底や配船の工夫等によるGHG排出削減努力を継続し、加えてバイオディーゼル燃料活用によるGHG削減を目的に、試験的な利用を2022年から開始しています。
また、メタノール、アンモニア等次世代燃料との二元燃料新造船の実現・建造に向けた検討を積極的に行っています。風力補助推進装置の研究および搭載の検討のほか、燃費改善機器等の搭載やプロペラの換装も運航船舶に順次実施しています。
b.船舶の排出ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)の排出規制について
NOx排出規制は2000年以降に建造された船舶について、その建造年及び航行海域により規制が設定されており、当社グループでは規制対象となる船舶については全て認証された低NOx対応のディーゼルエンジンを搭載しております。
c.船舶の排出ガスに含まれるSOx(硫黄酸化物)の排出規制について
2020年以降は燃料中の硫黄分が0.5%以下の燃料を使用するよう規制されております。当社グループは、SOx排出を抑制するため、規制に適合した硫黄分0.5%以下の燃料油を船舶に使用するほか、当社グループが所有する大型船舶を中心として、エンジンの排気ガスに含まれるSOxを除去する装置(SOxスクラバー)を搭載しております。
d.バラスト水管理条約への対応について
国際航海をする船舶のバラスト水中の海洋生物が船舶の運航に乗じて異国に移動し生態系を乱すことが問題となり、バラスト水処理に関する管理方法が定められ、2017年に施行されております。当社グループは条約の要求に従い運航船へのバラスト水処理装置の搭載を進めております。
当社グループは、上記の対応による費用増に関しては顧客の理解を得ながら運賃等への反映に努めております。
⑥ 気候変動リスク
深刻化する気候変動回避のため、パリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)をはじめとして、世界的にその原因物質とされるGHG排出量削減への取り組みが推進され、企業にも積極的な対応が求められております。当社グループも気候変動を含む環境保全をマテリアリティ(重要課題)に設定しています。
持続的な企業価値の向上を目的としてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明、2022年からTCFD提言に基づく情報開示をHP上で行っています。気候変動に関する将来に向けたシナリオ分析を行う中で、GHG削減のために導入されるであろう政策や規制、燃料転換、新技術導入等による事業コストの増加、化石燃料輸送需要の減少、既存船舶の陳腐化、或いは対応の遅れによる事業機会の喪失といったリスクがあるものと認識しております。
2024年3月に公表した中期経営計画「FORWARD 2030 Ⅱ」において、2030年までの投資計画と共にGHG年間排出量を2019年比マイナス25%の150万㌧に削減する中期目標を設定、環境ロードマップを公表しました。当社グループは「2050年までにカーボンニュートラル実現を目指す」を目標に、今後もGHG排出削減をはじめとする気候変動リスクへの対応能力の向上に努めてまいります。
⑦ 海運市況変動リスク
当社グループの主要事業である海運業の運賃・用船料市況は、世界経済の動向、船腹の需給バランス等の影響を受け、常に変動しております。当社グループは、鉄鋼原料輸送を中心とした長期契約を志向して事業基盤の安定・強化を図っておりますが、市場ニーズに対応するため中短期契約で運航する船舶の比率が一定程度存在するため大幅な市況変動が大きな損失につながる恐れがあり、そのような状況の長期化は当社の事業基盤を損なう可能性があります。
当社グループは、今後も長期契約による事業基盤の安定・強化を図りつつ、適切な船隊ポートフォリオの構築、海外顧客向けビジネスの拡大、内航海運事業との総合力強化等により、市況変動に耐えられるよう不断の体質改善に努めます。
⑧ 為替変動リスク
当社グループの外航海運事業における商取引は、大部分が米ドルその他の外国通貨建てで行われております。
従って、当社グループの業績及び財務状況は外国為替の変動により影響を受けることがあります。当社グループは、為替予約等のヘッジ取引により常に変動する外国為替にかかるリスクの影響を一定程度まで低減する方針ですが、必ずしもこれを完全に回避できるものではなく、大幅な外国為替市場の変動により、影響を被ることがあります。
⑨ 金利変動リスク
当社グループは、船舶取得を中心とした設備投資のため、内部資金を充当する他、借入による資金調達を行っております。この借入による資金には変動金利で調達する部分もあり、当社グループでは金利情勢勘案の上、金利固定化等により、金利変動の影響を軽減するよう努めておりますが、将来の金利変動により資金調達コストが変動し、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、金利固定化により金利変動の影響を軽減することは、一方で市場金利下落の場合に、それにより生じ得た利益を逸失する可能性があります。また、金利固定化の期間中に条件の変更や対象設備の処分等により途中解約を余儀なくされた場合には、解約料を負担することがあります。
⑩ 燃料油価格変動リスク
当社グループで運航する船舶の燃料油価格は、原油市場の動向を反映して変動するため、当社グループの損益は燃料油価格の変動により影響を受けることがあります。当社グループでは燃料油価格調整条項がある輸送契約の締結や、購入価格が割安となる数量契約を推進することに加えて、購入燃料油の一部に対し、燃料油スワップ等による価格の固定化を行い、価格変動の影響を抑えるための対策をとっております。しかしながら、燃料油価格が急騰する局面では価格固定化を行わない部分につき、損失を被ることがあります。その一方、燃料油価格の下落局面においては、価格固定化を行った部分について、精算損が発生することがあります。
⑪ 資金調達に関するリスク
当社グループは、借入による資金調達を行っておりますが、金利等の市場環境や資金需給の影響を強く受けるため、これらの環境の変化及び当社グループの経営成績の悪化等により、資金調達に影響を受ける可能性があります。当社グループは事業活動継続のため、一定程度の資金を確保するとともに金融機関とのコミットメントライン契約により資金調達の柔軟性を確保しております。
⑫ 投資計画の進捗に関するリスク
当社グループは、船隊整備のための投資計画を有しておりますが、今後の海運市況や金融情勢等によって、これらが計画どおりに進捗しない場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、技術革新への対応が遅れることによる事業機会の喪失及び、新技術の台頭による既存船腹の陳腐化のリスクがあります。
当社グループは先進技術導入によりデータやデジタル技術を活用し、輸送の最適化と競争力強化並びに輸送サービスの環境性能を向上させるよう努めております。
⑬ 船舶の売却等にかかる損失に関するリスク
当社グループは、海運市況により、または船舶の技術革新による陳腐化や公的規制の変更等による使用制限等により、当社グループ保有の船舶を売却する場合があります。また、当社グループが用船する船舶の用船契約を中途解約する場合があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑭ 固定資産の減損損失計上に関するリスク
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この基準の適用に伴い、事業環境や市場環境の変動によって保有する船舶等の固定資産について減損損失を計上する場合があり、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑮ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク
当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し将来において繰延税金資産の一部または全部が実現できないと判断した場合、或いは税制の変更等に
よって実効税率が変動した場合、繰延税金資産の一部または全額を取崩し、税金費用を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑯ 世界各地の政治・経済情勢・自然災害等によるリスク
当社グループの事業活動は、日本を含むアジア、欧米その他の地域に及んでおり、各地域に於ける政治・経済状況や、各地で発生する自然災害等により影響を受ける可能性があります。具体的には以下のようなリスクがあります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
a.不利な政治的または経済的要因
b.事業・投資許可、租税、為替管理、独占禁止、通商制限などの公的規制の影響
c.他社との合弁事業・提携事業の動向
d.戦争、暴動、テロ、海賊、ストライキ、その他の要因による社会的混乱
ロシア・ウクライナ情勢や、中東情勢の悪化に伴う紅海・スエズ運河の通航リスク等の今後の動向によって、サプライチェーンの変動や、景気後退により海上荷動きが鈍化し市況軟化等の影響を及ぼす可能性があり、当社としては今後の海上輸送需要の推移を注視し、支配船腹との需給バランスを適切に保つよう注力することで、市況の耐性を高めることに努めております。
e.地震、風水害及び感染症
大規模な災害や感染症の流行等は、当社グループの従業員の生活だけでなく、地域社会や取引先の活動を制限するため、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、これら危機的事象に伴う事業中断による事業への影響の極小化ならびに迅速かつ効率的な事業復旧を図るためのオールハザード型事業継続計画(BCP)を策定しております。
当社グループはこれらのリスクに対して内外からの情報収集等を通じてその予防・回避に努めています。
上記のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループのリスク要因は記載事項に限定されるものではありません。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E04239] S100TPU4)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。