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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VXGZ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 KDDI株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、「サテライトグロース戦略」を推進しております。同戦略は5G通信、データドリブン、生成AIをコア領域とし、コアを取り巻く複数の事業領域をサテライトとして位置づけ、それらの拡大を図ることを目指しています。当社の成長を牽引する事業領域(Orbit1)として、デジタルトランスフォーメーション、エネルギーなどを掲げており、新たな成長に挑戦する事業領域(Orbit2)として、モビリティ、宇宙などを設定しています。当社グループは、これらの領域に対して、必要な技術の研究開発を推進しており、特にコア領域の研究開発を積極的に取り組んでおります。また、2024年4月、先端技術領域における研究開発の戦略策定や事業モデルの推進を担う「先端技術統括本部」を新設し、先端技術によるコア領域、Orbit1領域、Orbit2領域のさらなる事業化を推進するとともに、次世代における事業の萌芽を見出すための研究開発活動も進めております。以下、各領域に対する研究開発活動のトピックスをご紹介します。

(1)コア領域に対応した研究開発活動
当社グループでは、5G通信の次世代に位置づけられるBeyond 5G/6Gについて、その特長を踏まえた研究開発を続けております。以下に例を示します。
・Beyond 5G/6Gでは、高速で大容量の通信に適した電波であるミリ波帯(28GHz帯)の活用が必要不可欠とされています。ミリ波帯は直進性が強くビルや樹木等の影響を受けやすく、連続的な通信エリアの実現には多数の基地局やアンテナを必要とします。そこで2024年12月に京セラ株式会社と共同で、ミリ波の通信エリアを効率的に拡張する無線中継技術の開発に世界で初めて成功し、西新宿ビル街で実施した性能試験において、道路のミリ波カバー率を33%から99%に拡大できることを確認しました。また2025年2月に、株式会社ジャパンディスプレイと共同で、電波の反射方向・範囲を変更できる可搬型ミリ波用液晶メタサーフェス反射板を開発し、ミリ波の電波が届きにくいビル間にピンポイントに電波を反射させてエリア化することに成功しました。
・AI技術の普及と利用拡大に伴うデータトラフィックの増大に対し、バックボーンネットワークの柔軟な容量拡張を実現するクラスタ型ルーターについて、商用バックボーンネットワークへの適用に向けた技術検証を進め、2025年2月に完了しました。
・2025年3月に、Samsung Electronicsと、将来の無線通信におけるAI技術に関する共同研究の覚書を締結しました。複数の無線局が連携してカバレッジ境界エリアでの通信品質を高めネットワーク全域で高い通信品質を提供する分散MIMOシステムにおいて、設計・運用に用いるAI技術の確立を目指します。

また、データドリブン、生成AIについても様々な取り組みを進めております。以下に例を示します。
・2024年4月に、経済産業省「クラウドプログラム」の供給確保計画に認定されました。これを受けて、生成AI開発のための大規模計算基盤整備を開始し、1,000億円規模の投資を行い、国内最高性能の大規模言語モデル(LLM)(※1)や領域特化型LLMの開発を加速していきます。
・アルティウスリンク株式会社及び株式会社ELYZAと、コンタクトセンター業務特化型LLMアプリケーションを開発し、2024年9月から、アルティウスリンクのコンタクトセンター向けサービス「Altius ONE for Support」の標準機能として提供を開始しました。応対内容要約・回答メール草案生成などの業務を効率化し、業務負荷軽減やサービス品質向上に貢献します。
・2025年2月に、AIとの対話から運用者の要求に応じたネットワークを構築・設定・管理するシステムを開発し、当社ネットワーク運用を想定した実証に成功しました。運用者の作業負荷軽減やヒューマンエラー回避を実現し、迅速かつ効率的なネットワーク管理が可能になります。
・2024年7月に、国立研究開発法人情報通信研究機構とLLMに関する共同研究を開始しました。LLMを活用する上で課題となるハルシネーション(※2)の抑制やマルチモーダル(※3)データの取り扱いを可能にする技術について、研究開発を行います。また、2024年9月に、学校法人慶應義塾を中心に設立された「慶應AIセンター」に参画しました。本センターは、慶應義塾大学、米カーネギーメロン大学及び参画メンバー企業が連携して次世代AI技術の創造に貢献する共同研究機関です。本センターへの参画を通じて、自律的に振る舞う次世代AIの開発に取り組みます。
・2025年3月に、LLMを利用してAIのセキュリティに関する情報を分類し、一元化して発信するポータルサイト「AIセキュリティポータル」を公開しました。本サイトでは、AIのセキュリティに関する情報が体系的に整理されており、利用者は最新情報を得ることが可能になります。

(2)Orbit1及びOrbit2領域に対応した研究開発活動
当社グループでは、「サテライトグロース戦略」において定義した各事業領域の強化と拡大を目指し、必要な研究開発を進めています。以下に例を示します。
・DX領域では、当社の技術力を活かして企業や自治体におけるDX実現を加速する取り組みを進めています。
例えば2024年8月に、清水建設株式会社と共同で、同社が建設中の北海道新幹線トンネル建設現場から、Starlinkによるau通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を活用した3D点群データ(※4)のリアルタイム伝送実証に成功しました。本実証で検証した技術を活用することで、施工進捗や壁面のずれ・亀裂などの異常を遠隔からリアルタイムで確認でき、建設現場の定期巡回や施工管理にかかる時間を大幅に短縮することが可能になります。
・エネルギー領域では、企業などの脱炭素化の支援と合わせて当社自身の脱炭素化を推進しています。
例えば2025年1月に、新規に開発した基地局附帯電源設備「Open Power Station」に対する、ドローンからのワイヤレス充電及び基地局に設置した自家発電設備(太陽光発電機器等)からの充電について、検証を開始しました。自家発電やドローンを活用して基地局への電力供給を可能とすることで、災害対応力の向上及び環境負荷の低減を図ります。また2025年3月に、「ペロブスカイト太陽電池を基地局で活用した実証実験を実施」の取り組みで、「第33回地球環境大賞 総務大臣賞」を受賞しました。本取り組みは、次世代の太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池(※5)を電柱型の基地局に設置し、太陽光発電の効率向上や有用性を検証する実証実験です。基地局に設置された円柱状の発電ポールにペロブスカイト太陽電池を巻き付けることで、限られた敷地面積の基地局でも太陽光発電が可能となります。
・モビリティ領域では、災害対策や人手不足などの社会課題の解決に資する最新技術を早期に実用化するため、関係機関と連携した技術実証を積極的に進めています。
例えば2024年12月に、石川県、石川県警察、株式会社ローソンと、ローソン店舗の屋根に設置したAIドローンを用いた「地域防災コンビニ」の実証に成功しました。本実証では、AI制御により障害物を自動回避しながら安全に自律飛行が可能なドローンを、行方不明者捜索現場や交通事故現場と見立てた場所まで飛行させ、AIドローンのカメラ映像を通じて遠隔で初動対応を行い、警察活動への活用の可能性を確認しました。また2024年6月に、アイサンテクノロジー株式会社・株式会社ティアフォーと、位置情報の定義が異なるモビリティ(自動配送ロボット・自動運転車・ドローン)を連携させた協調配送実証に、国内で初めて成功しました。今後、建物内や都心ビルへの配送は自動配送ロボット、都市部からの大規模な配送は自動運転車、陸上からの輸送が困難な地域ではドローンで配送を行うといった、モビリティを組み合わせた全自動荷物配送サービスの社会実装を目指します。
・宇宙領域では、パートナー企業との宇宙での事業共創に取り組んでいます。
例えば2024年5月に、スタートアップと大企業による、宇宙を活用して地球上の課題解決を目指す共創プログラム「MUGENLABO UNIVERSE」を開始しました。また2024年12月に第一弾支援として、株式会社スペースデータと株式会社ギャラクシーズによる「宇宙の物理現象をデジタル空間上に再現する技術の共同開発・事業化」を支援することを決定しました。本取り組みにより構築されるシミュレーション環境の利用者拡大、コンピュータリソースの提供、本取り組みの事業化に対する経済的支援などを実施します。

※1 LLM:
Large Language Models(大規模言語モデル)の略。大量の文章を学習し自然な文章の理解と生成を可能にする、生成AIの基盤技術
※2 ハルシネーション:
AIが誤った情報や無関係な内容を事実のように出力する現象
※3 マルチモーダル:
テキスト、画像、音声、動画など、複数の異なる形式のデータを同時に処理・分析する技術
※4 3D点群データ:
レーザースキャナーなどで物体や地形を計測し、その情報を3次元空間上の無数の点の集合体として表現したデータ
※5 ペロブスカイト太陽電池:
ペロブスカイト構造と呼ばれる結晶構造を持つ化合物を用いた次世代の太陽電池。「薄い・軽い・曲げやすい」という特長がある

(3)次世代の萌芽となる事業に対応した研究開発活動
当社グループでは、将来の事業展開や持続的な成長を見据えた研究開発に取り組んでおります。以下に例を示します。
・2025年2月に、同社、株式会社Jij及び学校法人早稲田大学と、量子コンピューターの技術開発と事業化に関するパートナーシップ締結に合意しました。今後、AIと量子計算をシームレスにつなぐAI・量子共通ビジネスプラットフォームを開発するとともに、このプラットフォームを活用したユースケースの開拓を進めます。
・量子コンピューターの登場で、現在使用されている暗号が短時間で解読されることが懸念されています。そこで、量子コンピューターに耐性を持つ暗号方式(耐量子暗号)について、研究開発を進めています。耐量子暗号の安全性を検証するため、2024年6月に耐量子暗号の解読に関するコンテストで世界記録を達成し、耐量子暗号を量子コンピューターで解く場合は10億年程度が必要であることを確認しました。
・量子コンピューターの登場による暗号の安全性への懸念を受けて、暗号鍵の盗聴が不可能な通信方式である量子鍵配送方式(QKD方式)が注目されています。QKD方式は微弱な光を用いるため専用の光ファイバーが必要ですが、東芝デジタルソリューションズ株式会社と、QKD方式の暗号鍵と大容量データを光ファイバー1心で多重伝送する技術を開発し、2025年3月に、QKD方式の暗号鍵と33.4Tbpsの大容量データ信号を80km伝送することに世界で初めて成功しました。

これらの活動を通じて当連結会計年度における研究開発費の総額は、37,333百万円となりました。なお、当社グループにおける研究開発活動は各セグメントに共通するものであり、各セグメントに関連づけて記載しておりません。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E04425] S100VXGZ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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