有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100787L
株式会社アサツーディ・ケイ 業績等の概要 (2015年12月期)
(1)業績の概況
当連結会計年度における我が国経済は、資源価格の下落や中国経済の減速懸念に伴う金融市場の乱高下など、世界経済の動向は不安要素を抱えるものの、政府および日本銀行の継続的な経済対策や金融政策を背景に企業収益が堅調に推移するなど、緩やかな改善傾向となりました。また、雇用環境の改善や賃上げの動きが広がりつつあり、個人消費においても持ち直しの動きが見られた一方で、消費税率引き上げや円安による物価上昇等の影響により、選別消費の傾向が強まりました。広告業界においては、経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、2015年の広告業における売上高実績は、11月までの累計期間で前年同期を上回るなど、概ね堅調に推移しています。
このような環境のもと、当社グループは消費者にメッセージを伝えるだけでなく、具体的に消費者を動かし、クライアントのビジネス成果に貢献する「コンシューマー・アクティベーション・カンパニー」への転換を目指す「VISION 2020」を掲げ、2016年末までを基盤構築・構造改革期、2017年から2020年末までを加速成長期と位置付けております。当連結会計年度においては、当社単体においてソリューション基盤の整備や収益管理体制の強化を継続するとともに、グループ各社において、内製化の推進、インフラの共通化、コストコントロールなど、グループ基盤の構築・構造改革を推し進めました。
これらの結果、当連結会計年度における連結売上高は3,519億56百万円(前年同期比0.3%減)、売上総利益は488億24百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益は49億1百万円(前年同期比19.6%増)となりました。これに受取配当金をはじめとした営業外収益38億98百万円および営業外費用2億9百万円を計上した結果、経常利益は85億90百万円(前年同期比18.5%増)となりました。また、特別利益を12億93百万円計上したことに加え、前期に計上した事務所移転費用が減少し、特別損失を6億95百万円計上した結果、税金等調整前当期純利益は91億89百万円(前年同期比42.8%増)となり、当期純利益は53億62百万円(前年同期比45.1%増)となりました。
当連結会計年度の報告セグメント別の業績の詳細は、以下のとおりであります。
(広告業)
広告業における外部顧客への売上高は3,475億22百万円(前年同期比0.2%減)、セグメント利益は50億18百万円(前年同期比12.4%増)となりました。国内においては、当社においてマーケティング・プロモーションや制作の減少、医療系広告会社の低迷があったことから、国内全体で減収となりました。一方で、当社において引き続き販売費及び一般管理費のコントロールを継続し、また、制作子会社における売上総利益率の改善、さらにはデジタル子会社や新規連結のコンテンツ子会社の貢献などにより、営業増益となりました。
海外においては、欧米子会社や中国圏子会社において厳しい状況が継続しており、構造改革を推し進めている一方で、タイやシンガポールをはじめとしたアジア子会社が堅調に推移し、海外全体で増収増益となりました。なお、当社グループの海外売上高はすべて広告業のものであり、当連結会計年度の売上高の9.3%(前期は8.4%)となりました。
グループの中核である当社単体の業績は以下のとおりであります。
売上高は3,068億1百万円(前年同期比0.0%増)、売上総利益は329億25百万円(前年同期比5.0%減)、営業利益は29億83百万円(前年同期比4.7%減)となりました。売上高は、マーケティング・プロモーションなどの減少をテレビ広告やデジタルメディア広告などの出稿増加でカバーし、若干の増収となりました。一方で、人件費や賃借料をはじめとした販売費及び一般管理費のコントロールに努めたものの、売上総利益率の低下の影響により、営業減益となりました。
業種別売上高では、情報・通信、飲料・嗜好品、ファッション・アクセサリー、不動産・住宅設備、食品などの業種の広告主からの出稿が増加した一方で、金融・保険、化粧品・トイレタリー、流通・小売、趣味・スポーツ用品、外食・各種サービスなどの業種の広告主からの出稿が減少しました。
当社単体の業種別の売上高、その構成比と前年同期増減率は以下のとおりであります。
業種別売上高 | 当期売上高 (百万円) | 構成比 (%) | 前年同期比 (%) |
エネルギー・素材・機械 | 3,792 | 1.2 | 32.4 |
食品 | 26,122 | 8.5 | 4.0 |
飲料・嗜好品 | 24,735 | 8.1 | 9.8 |
薬品・医療用品 | 15,818 | 5.2 | 0.3 |
化粧品・トイレタリー | 30,137 | 9.8 | △7.8 |
ファッション・アクセサリー | 14,236 | 4.6 | 8.8 |
精密機器・事務用品 | 2,635 | 0.9 | 8.2 |
家電・AV機器 | 2,789 | 0.9 | △3.1 |
自動車・関連品 | 18,140 | 5.9 | △1.2 |
家庭用品 | 1,368 | 0.4 | 6.2 |
趣味・スポーツ用品 | 18,501 | 6.0 | △7.5 |
不動産・住宅設備 | 9,374 | 3.1 | 12.5 |
出版 | 2,624 | 0.9 | △9.6 |
情報・通信 | 35,027 | 11.4 | 21.9 |
流通・小売 | 25,726 | 8.4 | △7.8 |
金融・保険 | 25,845 | 8.4 | △12.6 |
交通・レジャー | 8,568 | 2.8 | 5.0 |
外食・各種サービス | 8,709 | 2.8 | △13.2 |
官公庁・団体 | 14,362 | 4.7 | △4.5 |
教育・医療サービス・宗教 | 5,625 | 1.8 | △2.8 |
案内・その他 | 12,659 | 4.1 | △4.1 |
合計 | 306,801 | 100.0 | 0.0 |
区分別売上高では、テレビ広告、デジタルメディア広告、OOHメディア広告、雑誌広告の区分において前年同期比で増収となった一方で、マーケティング・プロモーション、制作、ラジオ広告、その他、新聞広告の区分において前年同期比で減収となりました。
当社単体の区分別の売上高、その構成比と前年同期増減率は以下のとおりであります。
区分別売上高(注) | 当期売上高 (百万円) | 構成比 (%) | 前年同期比 (%) | 主要な増減業種 (上段:増加業種、下段:減少業種) | ||
メ デ ィ ア | 雑誌広告 | 13,261 | 4.3 | 0.4 | 化粧品・トイレタリー、趣味・スポーツ用品、ファッション・アクセサリー | |
飲料・嗜好品、官公庁・団体、情報・通信 | ||||||
新聞広告 | 19,076 | 6.2 | △0.4 | 交通・レジャー、流通・小売、食品 | ||
化粧品・トイレタリー、情報・通信、自動車・関連品 | ||||||
テレビ広告 | 147,424 | 48.1 | 3.1 | 情報・通信、食品、不動産・住宅設備 | ||
金融・保険、化粧品・トイレタリー、趣味・スポーツ用品 | ||||||
うち、タイム | 55,634 | 18.1 | 1.9 | 情報・通信、金融・保険、不動産・住宅設備 | ||
官公庁・団体、家電・AV機器、食品 | ||||||
うち、スポット | 77,991 | 25.4 | 3.7 | 情報・通信、食品、ファッション・アクセサリー | ||
金融・保険、趣味・スポーツ用品、化粧品・トイレタリー | ||||||
うち、コンテンツ | 13,798 | 4.5 | 4.9 | 流通・小売、食品、官公庁・団体 | ||
エネルギー・素材・機械、交通・レジャー、薬品・医療用品 | ||||||
ラジオ広告 | 3,059 | 1.0 | △3.6 | 不動産・住宅設備、化粧品・トイレタリー、情報・通信 | ||
金融・保険、飲料・嗜好品、交通・レジャー | ||||||
デジタルメディア 広告 | 17,195 | 5.6 | 7.1 | ファッション・アクセサリー、情報・通信、薬品・医療用品 | ||
金融・保険、外食・各種サービス、交通・レジャー | ||||||
OOHメディア 広告 | 8,333 | 2.7 | 11.0 | 情報・通信、出版、化粧品・トイレタリー | ||
外食・各種サービス、薬品・医療用品、家電・AV機器 | ||||||
小 計 | 208,351 | 67.9 | 3.1 | 情報・通信、食品、不動産・住宅設備 | ||
金融・保険、化粧品・トイレタリー、趣味・スポーツ | ||||||
メ デ ィ ア 以 外 | マーケティング・ プロモーション | 59,623 | 19.4 | △5.7 | 飲料・嗜好品、エネルギー・素材・機械、教育・医療サービス・宗教 | |
流通・小売、金融・保険、化粧品・トイレタリー | ||||||
制作 | 34,792 | 11.3 | △3.5 | 情報・通信、飲料・嗜好品、家電・AV機器 | ||
食品、自動車・関連品、趣味・スポーツ用品 | ||||||
その他 | 4,034 | 1.3 | △25.3 | 化粧品・トイレタリー、金融・保険、エネルギー・素材・機械 | ||
官公庁・団体、情報・通信、薬品・医療用品 | ||||||
小 計 | 98,450 | 32.1 | △5.9 | 飲料・嗜好品、エネルギー・素材・機械、家電・AV機器 | ||
流通・小売、金融・保険、食品 | ||||||
合 計 | 306,801 | 100.0 | 0.0 | 情報・通信、飲料・嗜好品、ファッション・アクセサリー | ||
金融・保険、化粧品・トイレタリー、流通・小売 |
(注) 1 広告市場の成熟化やメディア環境の多角化に伴い、当社は広告主に統合的ソリューションを提供しており、区分別の売上高を厳密に分別することが困難な場合があります。従って、上記の区分別売上高は、厳密に各区分の売上高を反映していないことがあります。
2 コンテンツには、アニメコンテンツ、文化スポーツマーケティングなどが含まれます。
3 デジタルメディアには、インターネット、モバイル関連メディアなどが含まれます。(WEBサイト制作・システム開発などデジタルソリューションは「マーケティング・プロモーション」に含まれます)
4 OOH(アウト・オブ・ホーム)メディアには、交通広告、屋外広告、折込広告などが含まれます。
5 マーケティング・プロモーションには、マーケティング、コミュニケーション・プランニング、プロモーション、イベント、PR、博覧会事業、デジタルソリューションなどが含まれます。
(その他の事業)
その他の事業における外部顧客への売上高は44億33百万円(前年同期比5.9%減)、セグメント損失は1億18百万円(前年同期は3億68百万円の損失)となりました。主たる事業である雑誌・書籍の出版・販売事業においては、出版市場全体の縮小に伴い、収益確保が困難な状況が継続しており営業損失となりましたが、原価削減や配本数の適正化に加え、販管費の抑制などに努めた結果、前年同期比で赤字幅は縮小しました。
(2) 目標とする経営指標とその達成状況
当社グループが目標とする主な経営目標とその最近の実績は以下のとおりであります。決算年月 | 2012年 12月 | 2013年 12月 | 2014年 12月 | 2015年 12月 | 2016年12月 (当初中期目標) |
連結 営業利益 | 3,175百万円 | 1,383百万円 | 4,097百万円 | 4,901百万円 | 5,400百万円 (7,000百万円) |
連結 売上総利益成長率 | 0.7% | △2.3% | 7.7% | 0.5% | 10.8% (15.0%) (2013年-28年) |
連結 オペレーティング・ マージン(注) | 6.9% | 3.1% | 8.4% | 10.0% | 10.8% (13.0%以上) |
注:(オペレーティング・マージン)=(営業利益)÷(売上総利益)
当連結会計年度については、連結オペレーティング・マージンが10.0%、連結営業利益は49億1百万円と、いずれも2015年2月公表の期初計画値を上回りました。
当社単体においては、テレビおよびマーケティング・プロモーションなどの売上総利益率の低下が影響し、売上総利益は5.0%減となりました。販売費及び一般管理費のコントロールに努め、3.0%減となったものの、営業利益は4.7%減となりました。なお、国内および海外連結会社の配当金によって、経常利益は86.8%増となっております。
一方で、国内および海外連結会社の売上総利益は12.7%の伸張を果たした結果、連結売上総利益は微増、連結営業利益は19.6%の増益を達成しました。今後も、経営計画で掲げた施策を着実かつ迅速に遂行して、さらなる経営効率の向上を図ってまいります。
連結EPSおよび連結ROEの実績
決算年月 | 2012年12月 | 2013年12月 | 2014年12月 | 2015年12月 |
連結EPS(円) | 65.83 | 81.79 | 88.32 | 127.72 |
連結ROE(%) | 2.7 | 2.9 | 2.8 | 4.2 |
(3) 財政状態およびキャッシュ・フローの状況
①資産、負債および純資産の状況
前連結会計年度末(2014年12月31日)と比較した当連結会計年度末の財政状況は以下のとおりです。資産合計は、外貨建投資有価証券の時価上昇を通じて投資有価証券が増加した一方で、保有投資有価証券の一部売却や配当金の支払いなどを通じて余剰資産の圧縮を進めた結果、前連結会計年度末に比べ81億11百万円減少し、2,352億5百万円でありました。負債合計は、支払手形及び買掛金の増加や、前述の投資有価証券の時価上昇に起因する繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末より13億98百万円多い、1,097億16百万円でありました。純資産合計は、その他有価証券評価差額金の増加があった一方で、配当金の支払いに伴う利益剰余金の減少により、前連結会計年度末より95億10百万円減少し、1,254億88百万円でありました。少数株主持分と新株予約権を除く自己資本比率は52.7%(前期比2.4ポイント下落)でありました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。営業活動および投資活動による収入が財務活動による支出を下回り、為替の換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より91億58百万円減少し、259億24百万円でありました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額を30億28百万円計上した一方で、税金等調整前当期純利益が91億89百万円、売上債権が20億46百万円減少、仕入債務が18億70百万円増加したことなどにより、101億92百万円の収入超(前年同期は81億69百万円の収入超)でありました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出が36億68百万円あった一方で、定期預金の払戻による収入が66億58百万円、投資有価証券の売却による収入が18億33百万円、差入保証金の回収による収入が14億96百万円あったことなどにより、50億46百万円の収入超(前年同期は1億77百万円の支出超)でありました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が239億9百万円であったことなどにより、238億3百万円の支出超(前年同期は66億40百万円の支出超)でありました。- 有価証券報告書 抜粋メニュー
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