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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IWVZ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 前田建設工業株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当連結会計年度は、建築事業、土木事業及び製造事業を中心に研究開発を行い、その総額は5,531百万円余です。
(建築事業及び土木事業)
当社グループは、建築・土木事業に関わる研究開発を当社が中心に行っています。当社グループは多様化・高度化する社会のニーズに対応するため、生産性や品質の向上など、社会的価値と事業価値の向上を同時に実現する研究開発を推進しています。特に最新のICTやIoT、AI、自動化技術を駆使した革新的な生産性向上技術、環境・エネルギー関連技術、都市インフラ施設の維持管理・高度化技術、ICT社会への対応技術などを、注力して取り組むべき重要な技術分野として設定しています。
これらの多様な技術開発をより効果的に実施するため、従来の組織間の隔たりを無くして多次元的な管理を行うマトリックス組織により技術開発を実施しています。
また、近い将来、建設業は大きな変革を迎えると考えられ、技術開発においても激しい変化に対応できる多様性と迅速性が求められており、大学や公的研究機関・異業種企業との技術協力や共同開発などのオープンイノベーションを積極的に推進しています。
当連結会計年度における研究開発費は5,198百万円余であり、主な研究開発成果は次のとおりです。

①人材開発・深耕の場「ICIキャンプ」をオープン
当社は、創立100 周年の主要施策として「ICI総合センター」を新設しました。「ICI総合センター」は、オープンイノベーションの思想のもと、多様なパートナーとの共創により革新的技術の研究・開発や新ビジネスの実現を目指す場「ICIラボ」と、新たな価値創造に寄与する人材開発と交流の場「ICIキャンプ」の二つの主要施設で構成されます。先行して2019 年2月にオープンした「ICIラボ」は、ベンチャー企業・社会・経済を融合した知のネットワークを核として新たな価値創造を図る拠点を担います。また、同年11月にオープンした「ICIキャンプ」は、それらに地元自治体・大学・企業・住民など文化・芸術を加えたネットワークによる、新たな価値創造に寄与できる人材の開発拠点となります。
当社は、「ICI総合センター」という日本初の総合イノベーションプラットフォームを通して、様々なパートナーとともに社会課題解決に取り組み、新事業の創出、新たな人材の成長を促進することで、次の100年に向けてさらなる成長を目指します。

②オープンイノベーションによるイノベーション創出
当社は、「ICI総合センター」の開所式(2019年2月15日)と同時に開催した「ICIイノベーションアワード」において、ファイナリスト賞を受賞されたセンスウェイ株式会社へ出資いたしました。センスウェイ社が保有するLPWA(Low-Power Wide-Area network:省電力長距離無線通信)の一種であるLoRaWANTMを軸に、安心・安全と豊かな生活を実現する技術として社会インフラの維持管理や交通機関、医療・介護、製造業、農林業、環境問題等、地域の運営や人々の生活に関連する幅広い領域の課題を解決する自治体支援サービスの事業化にともに取り組んでまいります。
また、2019年8月には、建設分野における3Dプリンティング技術を持つ先進ベンチャーのアイデアを募集し、一泊二日の合宿形式で実現に向けたアイデアの磨き上げを行うICIリアルファンタジー営業部1stBootCampを開催いたしました。参加した4社の先進ベンチャーとは、本イベントでブラッシュアップした内容の社会実装を目指し共創活動を継続しています。
高知工科大学とは、昨年度の包括提携に基づき様々な活動に着手しています。各研究室との積極的な技術交流はもちろんのこと、共同開発プロジェクトの立ち上げや学生を対象としたアイデアコンテストの共同開催など連携活動を継続してまいります。

③建設現場の資機材搬送を完全自動化可能な自動搬送システム
建設作業所においては、少子高齢化や担い手不足により生産性向上が叫ばれています。その中でも重労働かつ単純作業である資機材搬送作業の自動化(無人化)は、ニーズも多く各社で開発が進められています。今回開発した自動搬送システムは、現場内に設置した簡単な目印を頼りに、下層階の荷取場で荷取りした資機材をエレベーターに自動で積み込み、目的階に着床するとAGV※がエレベーターから自動で資機材を荷取りし、荷置場まで安全に自律搬送します。現場の作業環境に影響されにくく、煩雑な設定作業を一切行う必要がない。つまり、作業員が感覚的に使用できることを開発コンセプトとしています。今後は作業所への導入を推進するとともに、長尺物や重量物の搬送も実現できるよう改良を重ねてまいります。

※「AVG」とは、Automatic Guided Vehicle の略称であり、自動運転車の一種で人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる無人搬送車です。


④山岳トンネル工事の安全及び生産性を向上する鋼製支保工建込みロボット
鋼製支保工建込みロボットは、自動追尾型トータルステーションなどで構成する「支保工位置ナビゲーションシステム」、支保工位置の微調整が可能な「高性能エレクター」、人力作業を必要としない「自動建込用鋼製支保工」により、支保工の位置合わせなど、従来は人が切羽で行っていた作業を機械化する技術です。2017年10月に当社らが開発し、当社施工の宮崎218号平底トンネル新設工事及び広瀬1号トンネル工事に導入して現場試験・改良を積み重ね、この度、現場施工における生産性や安全性などの導入効果を確認することができました。今後当社は、本技術を核として、トンネル掘削作業の自動化技術構築を推進し、社会的課題である生産性向上と安全性向上に取り組み続けます。

⑤トヨコー社CoolLaser技術の社会実装を目指し、一般社団法人レーザー施工研究会の立ち上げに尽力
「CoolLaser」は、株式会社トヨコーが保有する鋼材の表面処理技術で、高出力のレーザーを高速回転させながら移動することで表面にある錆や旧塗膜を瞬間的に除去することができる画期的な工法です。表面処理の際に二次的な廃棄物が発生しないため環境にも優しいことが特徴です。この工法の普及においては、レーザーを屋外作業で安全に用いるための基準の整備が課題となっており、株式会社トヨコーと当社らが中心となり、2019年5月に一般社団法人レーザー施工研究会を立ち上げました。当研究会では、レーザー施工に関する安全ガイドラインの策定とその公表事業、資格認定制度を通した人材育成事業の検討を進めており、2020年度中の実現を目指しています。当社は、株式会社トヨコーとCoolLaserの技術開発を共同で実施するとともに、維持管理技術として注目されているレーザー施工の普及活動を進め、インフラ構造物の長寿命化の社会課題解決に向けた取り組みを進めてまいります。

⑥ウェアラブルで暑熱環境のリスクを可視化する新技術を開発
ミツフジ株式会社と当社は、学校法人産業医科大学との共同研究により開発された心拍情報から深部体温上昇変化の推定ができるアルゴリズムを使用し、スマートウェアから取得した心拍情報に基づき、暑熱環境下でのリスクを可視化するアプリケーションを開発しました。
日常的に深部体温を測定することは困難といわれています。共同研究では気温35℃、湿度50%の暑熱環境を再現した産業医科大の人工気候室において、被験者に一定運動負荷を与えた状況で、実際の深部体温のほか心拍情報など様々な生体情報を連続して取得しました。この情報を解析する中で、心拍情報と深部体温に存在する関係性を見出し、心拍情報から深部体温の上昇を推測する事に成功しました。
暑熱ストレスが問題視される近年では予防と対策へのニーズが高まり、高温多湿の過酷な環境下で働く従業員の見守りやスポーツ中の暑熱対策が重要な社会課題となっています。当アプリケーションの開発によりスマートウェアだけではなく、様々なウェアラブル機器から心拍情報をセンシングし、スマートフォンなどで体の状態を可視化することにより、自分の体調を把握することや、更なる安全な職場作り、スポーツ環境の構築などが可能となります。

⑦フランスの彫刻作品を木造用ロボット加工機で実体化
「ICI総合センター」にて開発中の大規模木造用ロボット加工機を用いて、日比野克彦氏(東京藝術大学 美術学部長)監修のもと、Tara Océan財団が所有し運営する科学探査スクーナー船タラ号に、「タラ号太平洋プロジェクト」の際、乗船したアーティストであるニコラ・フロック氏の作品「珪藻」「ディノフラゲラート」の2点を制作し、岐阜県美術館で開催されている円空大賞展に出展しました。
大規模木造用ロボット加工機は、当社と千葉大学で共同開発中の木造新生産システムから生まれた、BIM(Building Information Modeling:建築3次元モデル)のデータから木材を自動加工することができる機器です。精密加工や曲線加工も可能な特性を生かし、一般的な構造材の他に伝統建築における精緻な装飾なども再現することが可能です。今回の世界でも稀有と思われる芸術とデジタルファブリケーション※の共創の成功により、芸術がより身近なものとなり、ビジネスとして社会実装される、豊かな暮らしに近づけたと考えています。また建築分野においては本ロボット加工機で、職人の技を使える「人工技能」の実現を目指してまいります。

※デジタルファブリケーションとは、デジタルデータをもとに、コンピュータ制御された工作機械によって製品を製作する技術です。

(製造事業)
連結子会社である(株)前田製作所においては、産業・鉄鋼機械等関連事業において環境負荷の低減、安全制御機能の付加、国内及び海外の市場ニーズに即したクレーンの研究開発に重点的に取り組みました。
当連結会計年度における研究開発費は332百万円余となっています。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00051] S100IWVZ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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