有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W28Y (EDINETへの外部リンク)
東洋紡株式会社 事業等のリスク (2025年3月期)
当社グループの経営成績及び財政状態等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりです。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、グループ全体のリスクを一元的に管理する「リスクマネジメント委員会」を2021年に設置しました。本委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括する他、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定し、PDCAサイクルを回すことにより、実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用及び、リスク管理体制の強化に努めています。
サステナビリティ推進体制
当社グループでは、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、従業員が誇りとやりがいをもって働き続けられる会社、持続的に成長できるサステナブルな会社をめざし、2025中期経営計画を策定しています。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2025中期経営計画では2025年度を最終年度とし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学リスクの影響については不確定要素が多く、原燃料価格の高止まり、急激な為替相場の変動など事業環境の不透明な状況が続くことが見込まれます。
加えて、以下の(1)から(15)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているものの、それらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2025中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(1)災害・事故・感染症の発生
当社グループは、国内外の各地で生産活動等の企業活動を行っており、事故防止のため、それぞれの工場や事業所で老朽設備の更新や設備管理の充実をはかるとともに、事故を想定した訓練やオペレータ教育を推進するなど、可能な限り災害・事故の発生や感染症の拡大を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災等の事故および感染症の世界的な流行、原子力発電所の事故等が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害等が発生した場合など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2018年9月発生の敦賀事業所第2火災事故、2020年9月発生の犬山工場火災事故を踏まえ、安全文化の醸成と安全基盤の整備の二側面から再発防止に取り組んでいます。
当社グループは、「安全衛生の確保は企業活動の大前提」とし、当社グループ従業員や協力会社も対象の「東洋紡グループ安全衛生基本方針」を定め、「自分を守る、仲間を守る、気付きを声に出す」をスローガンに掲げ、安全な職場環境づくりに努めています。経営の最重要課題である安全と保安防災の取組みを着実に進めるため、社長直轄の組織として安全防災本部を設置しています。同組織は、各分野の専門家を委員とする安全防災会議を主催し、安全・防災活動の有効性を評価するとともに全社の方針案を策定し、経営会議・サステナビリティ委員会で方針決定をします。進捗については、取締役会に適宜報告します。
また、同組織が中心となって、当社の各事業所・工場およびグループ会社に赴いて安全環境アセスメントを実施し、現地の活動を点検しています。特に火災・爆発リスクについては、第三者の専門家により現地の管理状況を定期的に点検しています。
当社グループは、労働環境のリスク低減のため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証取得を進めています。2025年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場の3拠点が取得しており、犬山工場についても2025年4月10日に取得しています。
「安全」「防災」「環境」に関する東洋紡グループ体制
(2)政治・経済情勢の悪化
当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。米国通商政策の変更および各国の金融政策の見直しや、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学的情勢の変動によって、当社グループおよび仕入先の生産拠点や主要市場等において深刻な政治的混乱や景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小する可能性があります。また、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
販売及び委託加工に際しては、当社グループは与信取引を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻などによる与信リスクを負っています。当社グループでは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、与信管理規定のもと、取引先別の信用度に見合う取引限度額を設定し管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握することに努めています。また、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上することにより、与信リスクの低減を図っています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3)訴訟等
当連結会計年度末において、当社グループの業績に重要な影響を及ぼすことが明らかな訴訟等の事案はありません。
当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。訴訟等において、当社グループの主張が最終的に認められない場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料の購入
当社グループの、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品は、石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などが主要な原材料です。「(1)災害・事故・感染症の発生」および「(2)政治・経済情勢の悪化」にて記載した、自然災害、事故、感染症や、経営破綻、事業撤退、縮小および深刻なサプライチェーンの混乱などが取引先において発生した場合、必要量の原材料が確保できなくなる可能性があります。また、原油価格や為替の変動、当該原材料等の急激な需給バランスの変動などにより、購入価格が高騰し、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、当社グループでは、販売価格への転嫁や製造コストの低減に努めているほか、適正な取引方針を確立し、仕入先の分散による複数社購買等による原材料調達手段の多様化や、植物由来原料やリサイクル原料の使用を進めるグリーン化の取組みなど、持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。また、法令順守、公正な取引、環境配慮、人権尊重などに対応する「CSR調達ガイドライン」および環境配慮のための「グリーン調達ガイドライン」を制定しています。CSR調達ガイドラインは、急速にグローバル化が進む社会情勢に対応するため、定期的に見直し、更新することで、特に人権尊重、環境配慮を強化しています。お取引先さまの選定にあたって人権に関する事項(児童労働・強制労働や、あらゆる属性の人々への差別を禁止するなど)を考慮することを明記し、本ガイドラインをご理解いただくことを取引可否の判断基準の一つとして設定し、本ガイドラインに定める事項の順守を主要なお取引先さまを含むビジネス・パートナーに周知しています。
(5)製品の欠陥等
当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止するため、所定の品質管理規定に基づいて、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不具合が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などにおいて何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながるリスクがあります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しているものの、最終的に負担する損害額は保険によって十分カバーされないリスクがあります。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、PL(Product Liability:製造物責任)およびQA(Quality Assurance:品質保証)を統括する品質保証本部会を設けています。品質保証本部会は品質を統括する役員、各事業本部および品質保証本部の品質を統括する部長で構成され毎月開催しています。また、各事業本部の部長クラスを推進委員としたPL/QA推進委員会を年6回開催しました。
また、事業推進から独立した品質保証本部および他部門の品質保証担当者によるPL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を客観的に確認し、改善の機会としています。さらに、PSとPLのリスク度合いを判定する基準を設け、この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクに事前に対応することで、お客さま等に掛かるリスクの低減に努めています。
なお、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下「UL」といいます)によって認証を受けているエンジニアリングプラスチック製品の一部の品番について、認証に関する確認試験時に、顧客に販売している製品と異なる組成のサンプルを提出していたことや、UL認証を取得している製品を製造する登録を受けていない工場で製造を行っていること等により、2020年10月以降、一部の品番についてUL認証登録を取り消されましたが、2025年3月末時点で2製品を残してUL認証を再取得しています。未取得の2製品についてもお客さまと引き続き相談させて頂きながら再取得を進めています。
(6)人材の確保
当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。
当社グループでは、成長戦略実現への寄与をめざし、次世代経営人材の育成や主体的に学び成長できる環境づくりに力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動、障がい者雇用、LGBTQ+に向けた施策にも積極的に取り組んでいます。
なお、当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。
(7)気候変動
気候変動の進行に伴う物理的リスクとして、台風や集中豪雨等の自然災害による、一時的な事業活動停止等の可能性があります。また、脱炭素社会への移行リスクとして、カーボンプライシングの導入によるGHG排出量や化石燃料の使用に伴うコスト増加等の可能性があります。当社グループはTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)提言にのっとって、パリ協定に基づく気候変動シナリオを前提とした将来リスクと事業機会を分析・整理しています。それらリスクと機会の影響と財務インパクトを特定した上で、対応策とそれに基づく指標・目標を設定し、経営戦略の強靭性(レジリエンス)向上を図ります。なお、当該リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。
(8)環境負荷
当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品の生産等を通じて多くの化学物質を取り扱っており、水質汚濁、大気汚染、土壌汚染や化学物質管理に関する法令や規制の適用を受けています。これらの法令や規制がさらに強化されることで、対応コストの上昇や、収益機会の減退による当社グループの売上減少など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクを最小限にするため、有害物質の使用量・排出量は極小化できるよう製造工程の改善に努めるとともに、流出状況をモニタリングしています。また、管理体制を整備し、「東洋紡グループ化学物質管理区分」を定め、取り扱う化学物質を分類し、区分ごとに管理内容を定め、効率的な使用や代替化を進めています。
(9)情報セキュリティ
当社グループは、DXとデータの利活用によるビジネスイノベーション加速・推進に取り組み、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要な情報資産を管理しています。さらに、世界各国で個人情報・データ保護のための法規制強化が行われており、これらへの対応も求められています。当社グループはこれらの情報資産について様々なセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスや想定を超えるサイバー攻撃、従業員の過誤などが発生した場合、システム障害に伴う事業活動の停止、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などが発生する可能性があります。これらにより、社会的信用の低下や多額の費用負担が発生し、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティポリシー」を定め、情報セキュリティに関する各種規定を整備し、全情報資産の適切な運用・管理・活用に努めています。
また、代表取締役社長が任命した最高情報セキュリティ責任者(CISO)をリーダーとした情報セキュリティ部会(TOYOBO-CSIRT)を設置し、海外法規制対策、技術的対策の継続的な改善、従業員教育による意識レベル向上、セキュリティ人材の育成、ならびに事故発生時の対応体制の強化に取り組んでいます。
(10)法規制およびコンプライアンス
当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報、労働、会計などに関する様々な法令等による規制を受けています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を順守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不順守や違法行為が発生した場合には、当社グループの信用失墜や行政処分など多額の損害が生じる可能性があります。
また、当社グループでは、コンプライアンス活動の核として企業理念である「順理則裕」を掲げ、コンプライアンスを重視した経営を推進していますが、製品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの信用低下や行政処分、損害賠償責任が課されることなどにより、多額の損害が生じるおそれがあります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、内部通報制度やコンプライアンスアンケートを通じた不正事案の早期発見、早期是正や未然防止に加え、コンプライアンスを推進するため、具体的に様々な取組みを実施しています。内部通報制度に関しては、海外グループ会社のナショナルスタッフや日本国内で働く外国人労働者や技能実習生などが当社コンプライアンス部門に使いやすい言語で内部通報ができるように、これまでの日本語・英語に加えて多言語で通報できる窓口を設けました。コンプライアンスの推進に関しては、「東洋紡グループ企業行動憲章」に対応した当社グループの全従業員が守るべきルール「東洋紡グループ社員行動基準」を定め、同基準を具体的に分かりやすく解説した「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」を発行して全社員に配付しています。各職場でのコンプライアンスマニュアルを用いた研修(読み合わせ)などを通して、全従業員に社員行動基準を周知するとともに、海外拠点向けには、グローバル版(英語・中国語)を発行し配布しています。また、各国・地域の法令・慣習に合わせ編集を加えた現地版マニュアルが、海外グループ会社における研修にて活用されています。そのほか、国内グループ会社の管理者層を対象としたコンプライアンス勉強会の実施や、職場で問題となりそうなコンプライアンス違反事例等を元にケーススタディ形式で啓発する「コンプライアンスミニスタディ」を毎月発行するなど、コンプライアンス意識の向上を図っています。
(11)海外での事業活動
当社グループは、米国をはじめ、欧州、中国、東南アジア、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、地球温暖化による気候変動や世界経済全体の動向に加え、各国の法令・規制や政策等の予期しない改定変更、またはテロ、戦争、政変、疫病やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらリスクに対し、グループ各社での情報収集や、公的機関だけにとどまらず外部コンサルタントからの情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前後で具体的かつ適切に対処できるよう、海外グループ会社ごとに「危機管理マニュアル」を策定しています。また、当社グループ全体でのリスクマネジメント活動の中、国内および海外のグループ会社ごとにリスクアセスメントのミーティングを開き、自然災害・安全防災から情報漏洩・法改正などの各種リスクについて、発生した場合の影響度を網羅的に把握し、改善策につなげています。
さらに、当社グループは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行い、各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても適切に対処しています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
(12)為替レートの大幅変動
当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的に著しい変動があった場合は、製造リードタイムが比較的長い製品などは業績に対して影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。
また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13)金利の大幅上昇
当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。これらの有利子負債のうち、金利変動リスクに晒されている借入金の一部は、支払金利の変動リスクを回避するために、金利スワップを主としたデリバティブ取引を利用しています。また、当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」および「純有利子負債のEBITDA(営業利益と減価償却費の和)に対する倍率(Net Debt/EBITDA倍率)」を重視しています。当連結会計年度末ではD/Eレシオは1.37倍、Net Debt/EBITDA倍率は6.1倍となりました。
(14)株価の大幅下落
当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。当連結会計年度において、当社および当社の子会社は、保有する投資有価証券の一部を売却し、1億円の売却益を計上しました。
(15)固定資産の減損
当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、当社および一部の子会社が保有する固定資産のうち、休止予定資産や事業用資産について合計19億円の減損損失を計上しました。
なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、グループ全体のリスクを一元的に管理する「リスクマネジメント委員会」を2021年に設置しました。本委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括する他、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定し、PDCAサイクルを回すことにより、実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用及び、リスク管理体制の強化に努めています。
サステナビリティ推進体制
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当社グループでは、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、従業員が誇りとやりがいをもって働き続けられる会社、持続的に成長できるサステナブルな会社をめざし、2025中期経営計画を策定しています。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2025中期経営計画では2025年度を最終年度とし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学リスクの影響については不確定要素が多く、原燃料価格の高止まり、急激な為替相場の変動など事業環境の不透明な状況が続くことが見込まれます。
加えて、以下の(1)から(15)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているものの、それらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2025中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(1)災害・事故・感染症の発生
当社グループは、国内外の各地で生産活動等の企業活動を行っており、事故防止のため、それぞれの工場や事業所で老朽設備の更新や設備管理の充実をはかるとともに、事故を想定した訓練やオペレータ教育を推進するなど、可能な限り災害・事故の発生や感染症の拡大を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災等の事故および感染症の世界的な流行、原子力発電所の事故等が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害等が発生した場合など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2018年9月発生の敦賀事業所第2火災事故、2020年9月発生の犬山工場火災事故を踏まえ、安全文化の醸成と安全基盤の整備の二側面から再発防止に取り組んでいます。
当社グループは、「安全衛生の確保は企業活動の大前提」とし、当社グループ従業員や協力会社も対象の「東洋紡グループ安全衛生基本方針」を定め、「自分を守る、仲間を守る、気付きを声に出す」をスローガンに掲げ、安全な職場環境づくりに努めています。経営の最重要課題である安全と保安防災の取組みを着実に進めるため、社長直轄の組織として安全防災本部を設置しています。同組織は、各分野の専門家を委員とする安全防災会議を主催し、安全・防災活動の有効性を評価するとともに全社の方針案を策定し、経営会議・サステナビリティ委員会で方針決定をします。進捗については、取締役会に適宜報告します。
また、同組織が中心となって、当社の各事業所・工場およびグループ会社に赴いて安全環境アセスメントを実施し、現地の活動を点検しています。特に火災・爆発リスクについては、第三者の専門家により現地の管理状況を定期的に点検しています。
当社グループは、労働環境のリスク低減のため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証取得を進めています。2025年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場の3拠点が取得しており、犬山工場についても2025年4月10日に取得しています。
「安全」「防災」「環境」に関する東洋紡グループ体制
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(2)政治・経済情勢の悪化
当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。米国通商政策の変更および各国の金融政策の見直しや、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学的情勢の変動によって、当社グループおよび仕入先の生産拠点や主要市場等において深刻な政治的混乱や景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小する可能性があります。また、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
販売及び委託加工に際しては、当社グループは与信取引を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻などによる与信リスクを負っています。当社グループでは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、与信管理規定のもと、取引先別の信用度に見合う取引限度額を設定し管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握することに努めています。また、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上することにより、与信リスクの低減を図っています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3)訴訟等
当連結会計年度末において、当社グループの業績に重要な影響を及ぼすことが明らかな訴訟等の事案はありません。
当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。訴訟等において、当社グループの主張が最終的に認められない場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料の購入
当社グループの、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品は、石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などが主要な原材料です。「(1)災害・事故・感染症の発生」および「(2)政治・経済情勢の悪化」にて記載した、自然災害、事故、感染症や、経営破綻、事業撤退、縮小および深刻なサプライチェーンの混乱などが取引先において発生した場合、必要量の原材料が確保できなくなる可能性があります。また、原油価格や為替の変動、当該原材料等の急激な需給バランスの変動などにより、購入価格が高騰し、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、当社グループでは、販売価格への転嫁や製造コストの低減に努めているほか、適正な取引方針を確立し、仕入先の分散による複数社購買等による原材料調達手段の多様化や、植物由来原料やリサイクル原料の使用を進めるグリーン化の取組みなど、持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。また、法令順守、公正な取引、環境配慮、人権尊重などに対応する「CSR調達ガイドライン」および環境配慮のための「グリーン調達ガイドライン」を制定しています。CSR調達ガイドラインは、急速にグローバル化が進む社会情勢に対応するため、定期的に見直し、更新することで、特に人権尊重、環境配慮を強化しています。お取引先さまの選定にあたって人権に関する事項(児童労働・強制労働や、あらゆる属性の人々への差別を禁止するなど)を考慮することを明記し、本ガイドラインをご理解いただくことを取引可否の判断基準の一つとして設定し、本ガイドラインに定める事項の順守を主要なお取引先さまを含むビジネス・パートナーに周知しています。
(5)製品の欠陥等
当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止するため、所定の品質管理規定に基づいて、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不具合が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などにおいて何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながるリスクがあります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しているものの、最終的に負担する損害額は保険によって十分カバーされないリスクがあります。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、PL(Product Liability:製造物責任)およびQA(Quality Assurance:品質保証)を統括する品質保証本部会を設けています。品質保証本部会は品質を統括する役員、各事業本部および品質保証本部の品質を統括する部長で構成され毎月開催しています。また、各事業本部の部長クラスを推進委員としたPL/QA推進委員会を年6回開催しました。
また、事業推進から独立した品質保証本部および他部門の品質保証担当者によるPL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を客観的に確認し、改善の機会としています。さらに、PSとPLのリスク度合いを判定する基準を設け、この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクに事前に対応することで、お客さま等に掛かるリスクの低減に努めています。
なお、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下「UL」といいます)によって認証を受けているエンジニアリングプラスチック製品の一部の品番について、認証に関する確認試験時に、顧客に販売している製品と異なる組成のサンプルを提出していたことや、UL認証を取得している製品を製造する登録を受けていない工場で製造を行っていること等により、2020年10月以降、一部の品番についてUL認証登録を取り消されましたが、2025年3月末時点で2製品を残してUL認証を再取得しています。未取得の2製品についてもお客さまと引き続き相談させて頂きながら再取得を進めています。
(6)人材の確保
当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。
当社グループでは、成長戦略実現への寄与をめざし、次世代経営人材の育成や主体的に学び成長できる環境づくりに力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動、障がい者雇用、LGBTQ+に向けた施策にも積極的に取り組んでいます。
なお、当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。
(7)気候変動
気候変動の進行に伴う物理的リスクとして、台風や集中豪雨等の自然災害による、一時的な事業活動停止等の可能性があります。また、脱炭素社会への移行リスクとして、カーボンプライシングの導入によるGHG排出量や化石燃料の使用に伴うコスト増加等の可能性があります。当社グループはTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)提言にのっとって、パリ協定に基づく気候変動シナリオを前提とした将来リスクと事業機会を分析・整理しています。それらリスクと機会の影響と財務インパクトを特定した上で、対応策とそれに基づく指標・目標を設定し、経営戦略の強靭性(レジリエンス)向上を図ります。なお、当該リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。
(8)環境負荷
当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品の生産等を通じて多くの化学物質を取り扱っており、水質汚濁、大気汚染、土壌汚染や化学物質管理に関する法令や規制の適用を受けています。これらの法令や規制がさらに強化されることで、対応コストの上昇や、収益機会の減退による当社グループの売上減少など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このリスクを最小限にするため、有害物質の使用量・排出量は極小化できるよう製造工程の改善に努めるとともに、流出状況をモニタリングしています。また、管理体制を整備し、「東洋紡グループ化学物質管理区分」を定め、取り扱う化学物質を分類し、区分ごとに管理内容を定め、効率的な使用や代替化を進めています。
(9)情報セキュリティ
当社グループは、DXとデータの利活用によるビジネスイノベーション加速・推進に取り組み、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要な情報資産を管理しています。さらに、世界各国で個人情報・データ保護のための法規制強化が行われており、これらへの対応も求められています。当社グループはこれらの情報資産について様々なセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスや想定を超えるサイバー攻撃、従業員の過誤などが発生した場合、システム障害に伴う事業活動の停止、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などが発生する可能性があります。これらにより、社会的信用の低下や多額の費用負担が発生し、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティポリシー」を定め、情報セキュリティに関する各種規定を整備し、全情報資産の適切な運用・管理・活用に努めています。
また、代表取締役社長が任命した最高情報セキュリティ責任者(CISO)をリーダーとした情報セキュリティ部会(TOYOBO-CSIRT)を設置し、海外法規制対策、技術的対策の継続的な改善、従業員教育による意識レベル向上、セキュリティ人材の育成、ならびに事故発生時の対応体制の強化に取り組んでいます。
(10)法規制およびコンプライアンス
当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報、労働、会計などに関する様々な法令等による規制を受けています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を順守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不順守や違法行為が発生した場合には、当社グループの信用失墜や行政処分など多額の損害が生じる可能性があります。
また、当社グループでは、コンプライアンス活動の核として企業理念である「順理則裕」を掲げ、コンプライアンスを重視した経営を推進していますが、製品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの信用低下や行政処分、損害賠償責任が課されることなどにより、多額の損害が生じるおそれがあります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、内部通報制度やコンプライアンスアンケートを通じた不正事案の早期発見、早期是正や未然防止に加え、コンプライアンスを推進するため、具体的に様々な取組みを実施しています。内部通報制度に関しては、海外グループ会社のナショナルスタッフや日本国内で働く外国人労働者や技能実習生などが当社コンプライアンス部門に使いやすい言語で内部通報ができるように、これまでの日本語・英語に加えて多言語で通報できる窓口を設けました。コンプライアンスの推進に関しては、「東洋紡グループ企業行動憲章」に対応した当社グループの全従業員が守るべきルール「東洋紡グループ社員行動基準」を定め、同基準を具体的に分かりやすく解説した「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」を発行して全社員に配付しています。各職場でのコンプライアンスマニュアルを用いた研修(読み合わせ)などを通して、全従業員に社員行動基準を周知するとともに、海外拠点向けには、グローバル版(英語・中国語)を発行し配布しています。また、各国・地域の法令・慣習に合わせ編集を加えた現地版マニュアルが、海外グループ会社における研修にて活用されています。そのほか、国内グループ会社の管理者層を対象としたコンプライアンス勉強会の実施や、職場で問題となりそうなコンプライアンス違反事例等を元にケーススタディ形式で啓発する「コンプライアンスミニスタディ」を毎月発行するなど、コンプライアンス意識の向上を図っています。
(11)海外での事業活動
当社グループは、米国をはじめ、欧州、中国、東南アジア、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、地球温暖化による気候変動や世界経済全体の動向に加え、各国の法令・規制や政策等の予期しない改定変更、またはテロ、戦争、政変、疫病やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらリスクに対し、グループ各社での情報収集や、公的機関だけにとどまらず外部コンサルタントからの情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前後で具体的かつ適切に対処できるよう、海外グループ会社ごとに「危機管理マニュアル」を策定しています。また、当社グループ全体でのリスクマネジメント活動の中、国内および海外のグループ会社ごとにリスクアセスメントのミーティングを開き、自然災害・安全防災から情報漏洩・法改正などの各種リスクについて、発生した場合の影響度を網羅的に把握し、改善策につなげています。
さらに、当社グループは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行い、各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても適切に対処しています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
(12)為替レートの大幅変動
当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的に著しい変動があった場合は、製造リードタイムが比較的長い製品などは業績に対して影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。
また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13)金利の大幅上昇
当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。これらの有利子負債のうち、金利変動リスクに晒されている借入金の一部は、支払金利の変動リスクを回避するために、金利スワップを主としたデリバティブ取引を利用しています。また、当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」および「純有利子負債のEBITDA(営業利益と減価償却費の和)に対する倍率(Net Debt/EBITDA倍率)」を重視しています。当連結会計年度末ではD/Eレシオは1.37倍、Net Debt/EBITDA倍率は6.1倍となりました。
(14)株価の大幅下落
当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。当連結会計年度において、当社および当社の子会社は、保有する投資有価証券の一部を売却し、1億円の売却益を計上しました。
(15)固定資産の減損
当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、当社および一部の子会社が保有する固定資産のうち、休止予定資産や事業用資産について合計19億円の減損損失を計上しました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00525] S100W28Y)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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