有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YDXD (EDINETへの外部リンク)
清水建設株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)
当社グループの当連結会計年度における研究開発費は231億円であり、うち当社の研究開発費は221億円であります。研究開発活動は当社の技術研究所と建築総本部、土木総本部、エンジニアリング事業本部等の技術開発部署で行われており、その内容は主に当社事業に係るものであります。
当社は、建築・土木分野の生産性向上や品質確保のための新工法・新技術の研究開発はもとより、多様化する社会ニーズに対応するための新分野・先端技術分野や、さらに地球環境問題に寄与するための研究開発にも、幅広く積極的に取り組んでおります。技術研究所を中心とした研究開発活動は、基礎・応用研究から商品開発まで多岐にわたっており、異業種企業、公的研究機関、国内外の大学との技術交流、共同開発も積極的に推進しております。
各分野単独の研究開発にとどまらず、革新工法や先端材料であると同時に脱炭素や自然共生社会を実現する研究開発にも取り組んでおります。また、脱炭素や自然共生に関する成果の一部は2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)に展示する計画です。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は次のとおりであります。
(1)革新的工法と先端材料に関する技術開発
建築・土木分野における新たな価値創造と課題解決を目指し、革新的な工法や、環境性能・機能性を高めた先端材料の開発・適用を進めております。
①Torch Towerの巨大な斜め鉄骨柱の施工具現化に向けた技術を開発し、高品質で高精度な建方を実現
高さ約385mの超々高層ビル「Torch Tower」。巨大な斜め鉄骨柱と鉄骨梁で構成される難易度の高い構造に対し、施工具現化に向けた技術開発を行ってきました。精緻な事前検討と独自の建方技術により、高い品質と精度を確保した鉄骨柱の建方を実現しました。今後も精緻な施工により確実な品質確保に努めるとともに施工の一層の効率化を図ります。
②工期短縮と環境負荷低減を実現する建て替え工法「Re-GENUS BASE」の実用化
超高層ビルの建て替え工期を大幅に短縮し、環境負荷を低減する新地下工法「Re-GENUS BASE(リジェナス・ベース)」を開発・実用化しました。この工法は、既存の地下構造体を新築工事の仮設として最大限活用することで、従来必要だった大掛かりな杭基礎工事を不要にします。本工法を採用した現場では、地下工事の工期を13ヶ月短縮し、CO₂排出量を9,000t削減しました。また、既存建物の外壁や底盤を残すため、周辺の重要インフラへの影響も低減されます。今後は「Re-GENUS BASE」を積極的に提案し、超高層ビルの建て替え工事の受注優位性を高める方針です。
③環境配慮型コンクリート「SUSMICS-C」を構造材として初適用した東京木工場が竣工
CO₂固定効果を持つバイオ炭を活用した環境配慮型施工技術「SUSMICS」シリーズの開発・展開を進めております。これまで非構造部材に限定されていた「SUSMICS-C」を、品質規格値と適用条件を定めた建築構造材向けの新技術「SUSMICS-Cs」として建設材料技術性能証明を取得しました。2026年2月に竣工した当社東京木工場の門塀へ初適用しており、今後は建築構造材としての採用を積極的に提案し、普及に向けた研究開発を加速させる方針です。
その他、革新的工法と先端材料に関する技術開発の成果は以下のとおりです。
④セメント系固化材、溶融スラグ、バイオ炭を土に混合し、施工時のCO₂排出量を実質ゼロにする脱炭素型地盤改良工法「SUSMICS-G」を開発・初適用し、本工法を採用した現場では43tのCO₂排出削減を実現
(2)建設プロセスのDX・スマート化に関する技術開発
建設現場における生産性、安全性、品質の向上、及び省人化を実現するため、デジタル技術とロボティクスを積極的に導入し、建設プロセス全体のDXを推進する研究開発に取り組んでおります。
①鉄筋入り大型曲面部材の施工に対応した材料噴射型3Dコンクリートプリンティングシステム(以下、3DCPという。)を開発
噴射シミュレータによる事前検証で最適な条件を導出し、高精度な自動造形を実現する材料噴射型3DCPを開発しました。従来の材料噴射型3DCPは造形精度が課題でしたが、開発システムでは高精度に自動造形することができ、造形範囲は奥行6m・幅4m・高さ3mに及びます。実証試験では、ねじれ形状の曲面壁(高さ2.5m)を4時間で造形することに成功しました。今後は、建設3Dプリンティング技術のさらなる高度化に取り組み、コンクリート施工の完全自動化を目指す方針です。
②山岳トンネル工事現場でのオートメーション化(自動化機器・遠隔監視・予測システム等)の導入・拡大を推進
山岳トンネル工事のオートメーション化を実現する次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の要素技術開発を完了し、国内現場への適用を開始しました。本システムは、ロボットによる施工自動化、AI・レーダーを用いた客観的な安全管理、設計から施工までのデータ一元管理(DX)を統合したものです。また、DXにより、リスク評価やCO₂排出量の即時算出も可能になります。今後は各現場へ順次導入し、担い手不足の解消と生産性・安全性の向上を推進します。
③自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」を開発・実証施工し2,400m²を整地
生産性向上や作業員の業務負荷の軽減を目指し、建設機械による省人化施工に取り組んでおります。高度な環境認識センサーとAIを搭載した「自動化レベル3」の技術を備えた自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」を開発しました。実証施工では、土砂山の検知から敷均しまでを自律的に行い、高い施工精度を達成しました。今後は、他の建設機械との協調作業を実現し、土工事全体の自律施工化を目指す方針です。
その他、建設プロセスのDX・スマート化に関する技術開発の主な成果は以下のとおりです。
④7軸ロボットアームを採用し、作業範囲を倍増させた改良版溶接ロボット「Robo-Welder」を開発・実用化し、溶接技能者と同等の品質を確保しつつ、技能者1人あたりの生産性を最大1.75倍に向上
⑤自動走行や位置補正機能を備え、タッチパネルで一連の作業を半自動化できる耐火被覆吹付ロボット「Robo-SprayII」を開発し、手作業と比較して約3倍の生産性を実現
⑥球体ドローンを用いた地下ピットの遠隔検査手法を確立し、作業時間を90%以上削減するとともに作業員の安全確保と検査記録作成の効率化を実現
⑦DXで土木設計・施工計画を自動化・最適化する土木設計プラットフォーム「Shimz DDD」を構築し、大幅な省人化効果を発揮
⑧山岳トンネル工事の「地山予報システム」に地山の変形予測機能を実装し施工データの収集から解析レポート作成までを自動化することで、施工管理の合理化と安全性の向上を実現
⑨自動施工技術基盤(OPERA:Open Platform for Earthwork with Robotics and Autonomy)を活用し、油圧ショベルによる土砂の掘削からダンプへの積載までの一連作業を自動化することに成功しており、異なるメーカーの建設機械を統合制御する自動施工システムの構築が容易になることから、建設現場への実装加速が期待される
⑩BIM/CIMを活用して施工検討から実施工までデータを一元管理するシームレスなフローを構築し、舗装切削工事におけるマシンコントロール施工の自動化や準備工程の効率化によりコストを約25%削減
⑪超高層ビル建設現場における通信障害や混信を解消し、クリアな同時通話を実現するプライベートLTEを活用したクレーン用デジタル合図無線「スマホ無線機『スカイクリア』」を開発
⑫小物物品の検収作業を自動化・効率化する計測装置「クランプカウンター」を自社で開発し、検収時間短縮や作業負荷低減を実現
(3)脱炭素・資源循環・自然共生社会の実現に資する技術開発
脱炭素、資源循環、自然共生により持続可能な社会を実現するため、多方面にわたる研究開発を行っております。
①都市の木質高層建築「第一生命京橋キノテラス」が竣工。木質耐火構造部材「スリム耐火ウッド」の施工性も向上
脱炭素社会の実現と森林資源の循環を目指し、一般的な同規模の鉄骨造ビルと比較してCO₂排出量を約37.5%削減した木造ハイブリッド構造の「第一生命京橋キノテラス」が竣工しました。また、木質耐火構造部材「スリム耐火ウッド」は新工法の開発で製作時間の半減とコスト約20%減を実現し、案件適用が始まっております。今後も、スリム耐火ウッドをはじめとする木材と他素材の木造ハイブリッド技術「シミズハイウッド」の研究開発を進め、中大規模建築への木質構造の導入を拡大していきます。
②既設コンクリートへのCO₂固定化技術「DACコート」を実建物に初適用し社会実装を加速
含浸剤をコンクリート表層に塗布して空気中のCO₂を固定化する技術「DAC(Direct Air Capture)コート」を開発し、CO₂排出削減に取り組んでおります。新築構造物に限られていた従来のCO₂削減技術と異なり、既設構造物をCO₂吸収体として活用できることが特徴で、コンクリートの長寿命化にも貢献します。現在、実建物での初の試験施工を実施し、CO₂固定量の経時変化をモニタリングしております。今後はカーボンクレジット化など社会実装に向けた取組みを加速させ、脱炭素社会の実現を目指します。
その他、脱炭素・資源循環・自然共生社会の実現に資する技術開発の主な成果は以下のとおりです。
③設計時にZEB提案を担う自社開発のAI「ZEB SEEKER」にコスト検討機能を搭載し、省エネ性能と建設コストを両立させた最適なZEB化計画を提案する「脱炭素コンサルティング事業」を開始
④発電所で使用済みとなった太陽光パネルをリユースし、当社の建設現場におけるモニター電源や照明・防犯用目隠しとして活用することで廃棄物削減と環境負荷低減
⑤建設現場から排出される廃プラスチックを雨水貯留槽の部材として再利用するマテリアルリサイクルスキームを構築し、回収した廃プラスチックを自社物流施設の建設現場で循環利用する取組みを開始
⑥建設現場で発生する廃プラスチックを高度分別し再生材として有価売却するマテリアルリサイクルスキームに加え、本再生材を同じ現場のOAフロア部材として再生利用する「Site to Site」型のスキームや別の現場の雨水貯留槽の本体構造物として再生利用するスキームを構築し、資源循環を推進
⑦夜間工事照明が周辺生態系に与える影響を定量評価するシステムを改良し、照明の色温度や気温条件を反映したシミュレーション機能を実装することで、環境保全とコストのバランスを考慮した最適な照明計画の立案を可能にした
(4)AI・デジタルサービスを活用した技術開発
デジタルゼネコンとして、AIや機械学習、デジタルツインなどの先端デジタル技術を積極的に活用し、建設事業における新たなサービス創出と業務効率化に貢献する研究開発を進めております。
①山間部のトンネル掘削現場の安全性と生産性に寄与する「au Starlink Station」とドローンポートを活用した山岳トンネルの遠隔巡回実証に成功
衛星通信「Starlink」とドローンポートを組み合わせ、山岳トンネル坑内でのドローン遠隔巡回実証に成功しました。この取組みにより、従来は作業員が危険な現場へ立ち入って行っていた坑内監視を無人化・遠隔化できるようになり、安全性と生産性が向上しました。今後はこの運用体制を全国の掘削現場へ本格展開し、建設業界の担い手不足解消や安全確保、施工管理の高度化を目指します。
②都市開発がもたらす街の人流変化をシミュレーションし計画の初期段階からまちづくりの効果を検証
都市開発が人流に与える影響をエリア単位で評価するシステム「エリアABS(Area Activity Based Simulation)」を開発しました。このシステムは、アクティビティ型交通行動モデルをベースに、歩行者用道路やビッグデータを活用したきめ細かなパラメータ設定を行うことで、開発計画の初期段階から来訪者数や滞在時間などの回遊行動を可視化できます。今後は、まちづくり計画支援サービス「マチミル」の新メニューとして活用し、より利便性の高いまちづくりと早期の合意形成を支援していく予定です。
その他、AI・デジタルサービスを活用した技術開発の主な成果は以下のとおりです。
③大規模施設の人流を設計初期から属性別に予測・可視化するツール「Shimz DDE Pedex+」を実用化、初適用しており、今後は避難シミュレーション機能を追加する方針
④工事現場や部署で発生する余剰品を社内で再利用し、廃棄物削減とコスト低減を図るための社内専用Webアプリ「ReuseLink」を開発し、順次全社運用を開始
⑤盛土工事のプロセスデータを3次元モデルと紐づけて自動蓄積・管理するシステム「Shimz Smart Earthwork Logs(SSEL:エスセル)」を開発・実用化し、盛土規制法改定に伴うトレーサビリティ管理の効率化と品質確保を実現
⑥独自のRTK-GNSS測位アルゴリズムにより上空視界が制限された環境下でも地盤やインフラ構造物の微小な変位をミリ単位で高精度に検出できる観測システム「GeoLoc(ジオロック)」を開発し、レンタル事業を開始
⑦平常時は製造・物流・建設などの現場で活用し、非常時には被災者検知や救援物資配布などの災害対応に転用できる「フェーズフリーロボット」の研究開発を開始
⑧機械学習を活用し、都市開発エリアの滞在人口を平日・休日や時間帯・来訪者属性別に高精度に予測できるシミュレーションモデルを開発
⑨6GモバイルネットワークにおいてAIを活用しユーザーのニーズに応じた柔軟で信頼性の高い通信を実現する「AIネイティブな無線ネットワーク」の日EU国際共同研究プロジェクトを開始
⑩視覚障がい者向けナビゲーションロボット「AIスーツケース」を2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で実証実験
(5)歴史的建造物の保存・活用技術
貴重な歴史的建造物や重要文化財を未来へ継承するため、保存、修復、そして新たな活用方法に関する研究開発に取り組んでおります。
①軍艦島に56年ぶりの新施設となる研究拠点「72号棟」を建設し運用開始
長崎市の端島(軍艦島)に56年ぶりとなる新施設「72号棟」を建設し、運用を開始しました。この拠点は研究施設及び観光客の緊急避難所として機能し、現地ガレキの再利用や一般流通木材の活用など、アクセス困難な環境下での施設整備技術を実証しております。また、舗装型太陽光発電、衛星通信「Starlink」、循環型トイレシステムを導入し、インフラが制限された環境下での運用性や衛生環境の改善を検証しております。今後は、この拠点を活用して調査研究を高度化させ、世界遺産である端島炭坑の保存・整備及び公開活用を推進していく方針です。
(6)研究開発成果に対する学協会等からの表彰実績
日本建築学会、土木学会、日本コンクリート工学会、空気調和・衛生工学会ほかさまざまな学協会や業界団体、自治体から受賞しております。
①土木学会:環境賞
カーボンネガティブを実現するバイオ炭コンクリート「SUSMICS-C」と千葉県谷津における湿地グリーンインフラの創出が、土木学会環境賞を受賞しました。同賞は環境の保全や持続可能な社会の形成への貢献を評価するもので、前者は技術開発が、後者はプロジェクト運用が高く評価されました。
②日本建設業連合会:BCS賞
当社が開発した技術を活用した「温故創新の森 NOVARE」と「東急歌舞伎町タワー」が、日本建設業連合会の第66回BCS賞を受賞しました。「温故創新の森 NOVARE」には、AIの画像認識技術やIoT制御の消火装置を活用した防災システム「慈雨」を導入しており、「東急歌舞伎町タワー」には、建物基礎に伝わる縦ノリの振動を低減する防振床システム「ダイナミック・ライブ・フロア」が採用されております。
③東京都:Tokyo-NbSアクションアワード最優秀賞
技術研究所の「再生の杜ビオトープ」が、第2回Tokyo-NbSアクションアワードで最優秀賞を受賞しました。同賞は自然の力を活用して社会課題を解決するNbS(Nature-based Solutions)の優れた取組みを東京都が表彰するもので、19年にわたる都市での生態系回復の実証と、地域と連携した環境教育などの共創活動が評価されました。
当社は、建築・土木分野の生産性向上や品質確保のための新工法・新技術の研究開発はもとより、多様化する社会ニーズに対応するための新分野・先端技術分野や、さらに地球環境問題に寄与するための研究開発にも、幅広く積極的に取り組んでおります。技術研究所を中心とした研究開発活動は、基礎・応用研究から商品開発まで多岐にわたっており、異業種企業、公的研究機関、国内外の大学との技術交流、共同開発も積極的に推進しております。
各分野単独の研究開発にとどまらず、革新工法や先端材料であると同時に脱炭素や自然共生社会を実現する研究開発にも取り組んでおります。また、脱炭素や自然共生に関する成果の一部は2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)に展示する計画です。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は次のとおりであります。
(1)革新的工法と先端材料に関する技術開発
建築・土木分野における新たな価値創造と課題解決を目指し、革新的な工法や、環境性能・機能性を高めた先端材料の開発・適用を進めております。
①Torch Towerの巨大な斜め鉄骨柱の施工具現化に向けた技術を開発し、高品質で高精度な建方を実現
高さ約385mの超々高層ビル「Torch Tower」。巨大な斜め鉄骨柱と鉄骨梁で構成される難易度の高い構造に対し、施工具現化に向けた技術開発を行ってきました。精緻な事前検討と独自の建方技術により、高い品質と精度を確保した鉄骨柱の建方を実現しました。今後も精緻な施工により確実な品質確保に努めるとともに施工の一層の効率化を図ります。
②工期短縮と環境負荷低減を実現する建て替え工法「Re-GENUS BASE」の実用化
超高層ビルの建て替え工期を大幅に短縮し、環境負荷を低減する新地下工法「Re-GENUS BASE(リジェナス・ベース)」を開発・実用化しました。この工法は、既存の地下構造体を新築工事の仮設として最大限活用することで、従来必要だった大掛かりな杭基礎工事を不要にします。本工法を採用した現場では、地下工事の工期を13ヶ月短縮し、CO₂排出量を9,000t削減しました。また、既存建物の外壁や底盤を残すため、周辺の重要インフラへの影響も低減されます。今後は「Re-GENUS BASE」を積極的に提案し、超高層ビルの建て替え工事の受注優位性を高める方針です。
③環境配慮型コンクリート「SUSMICS-C」を構造材として初適用した東京木工場が竣工
CO₂固定効果を持つバイオ炭を活用した環境配慮型施工技術「SUSMICS」シリーズの開発・展開を進めております。これまで非構造部材に限定されていた「SUSMICS-C」を、品質規格値と適用条件を定めた建築構造材向けの新技術「SUSMICS-Cs」として建設材料技術性能証明を取得しました。2026年2月に竣工した当社東京木工場の門塀へ初適用しており、今後は建築構造材としての採用を積極的に提案し、普及に向けた研究開発を加速させる方針です。
その他、革新的工法と先端材料に関する技術開発の成果は以下のとおりです。
④セメント系固化材、溶融スラグ、バイオ炭を土に混合し、施工時のCO₂排出量を実質ゼロにする脱炭素型地盤改良工法「SUSMICS-G」を開発・初適用し、本工法を採用した現場では43tのCO₂排出削減を実現
(2)建設プロセスのDX・スマート化に関する技術開発
建設現場における生産性、安全性、品質の向上、及び省人化を実現するため、デジタル技術とロボティクスを積極的に導入し、建設プロセス全体のDXを推進する研究開発に取り組んでおります。
①鉄筋入り大型曲面部材の施工に対応した材料噴射型3Dコンクリートプリンティングシステム(以下、3DCPという。)を開発
噴射シミュレータによる事前検証で最適な条件を導出し、高精度な自動造形を実現する材料噴射型3DCPを開発しました。従来の材料噴射型3DCPは造形精度が課題でしたが、開発システムでは高精度に自動造形することができ、造形範囲は奥行6m・幅4m・高さ3mに及びます。実証試験では、ねじれ形状の曲面壁(高さ2.5m)を4時間で造形することに成功しました。今後は、建設3Dプリンティング技術のさらなる高度化に取り組み、コンクリート施工の完全自動化を目指す方針です。
②山岳トンネル工事現場でのオートメーション化(自動化機器・遠隔監視・予測システム等)の導入・拡大を推進
山岳トンネル工事のオートメーション化を実現する次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の要素技術開発を完了し、国内現場への適用を開始しました。本システムは、ロボットによる施工自動化、AI・レーダーを用いた客観的な安全管理、設計から施工までのデータ一元管理(DX)を統合したものです。また、DXにより、リスク評価やCO₂排出量の即時算出も可能になります。今後は各現場へ順次導入し、担い手不足の解消と生産性・安全性の向上を推進します。
③自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」を開発・実証施工し2,400m²を整地
生産性向上や作業員の業務負荷の軽減を目指し、建設機械による省人化施工に取り組んでおります。高度な環境認識センサーとAIを搭載した「自動化レベル3」の技術を備えた自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」を開発しました。実証施工では、土砂山の検知から敷均しまでを自律的に行い、高い施工精度を達成しました。今後は、他の建設機械との協調作業を実現し、土工事全体の自律施工化を目指す方針です。
その他、建設プロセスのDX・スマート化に関する技術開発の主な成果は以下のとおりです。
④7軸ロボットアームを採用し、作業範囲を倍増させた改良版溶接ロボット「Robo-Welder」を開発・実用化し、溶接技能者と同等の品質を確保しつつ、技能者1人あたりの生産性を最大1.75倍に向上
⑤自動走行や位置補正機能を備え、タッチパネルで一連の作業を半自動化できる耐火被覆吹付ロボット「Robo-SprayII」を開発し、手作業と比較して約3倍の生産性を実現
⑥球体ドローンを用いた地下ピットの遠隔検査手法を確立し、作業時間を90%以上削減するとともに作業員の安全確保と検査記録作成の効率化を実現
⑦DXで土木設計・施工計画を自動化・最適化する土木設計プラットフォーム「Shimz DDD」を構築し、大幅な省人化効果を発揮
⑧山岳トンネル工事の「地山予報システム」に地山の変形予測機能を実装し施工データの収集から解析レポート作成までを自動化することで、施工管理の合理化と安全性の向上を実現
⑨自動施工技術基盤(OPERA:Open Platform for Earthwork with Robotics and Autonomy)を活用し、油圧ショベルによる土砂の掘削からダンプへの積載までの一連作業を自動化することに成功しており、異なるメーカーの建設機械を統合制御する自動施工システムの構築が容易になることから、建設現場への実装加速が期待される
⑩BIM/CIMを活用して施工検討から実施工までデータを一元管理するシームレスなフローを構築し、舗装切削工事におけるマシンコントロール施工の自動化や準備工程の効率化によりコストを約25%削減
⑪超高層ビル建設現場における通信障害や混信を解消し、クリアな同時通話を実現するプライベートLTEを活用したクレーン用デジタル合図無線「スマホ無線機『スカイクリア』」を開発
⑫小物物品の検収作業を自動化・効率化する計測装置「クランプカウンター」を自社で開発し、検収時間短縮や作業負荷低減を実現
(3)脱炭素・資源循環・自然共生社会の実現に資する技術開発
脱炭素、資源循環、自然共生により持続可能な社会を実現するため、多方面にわたる研究開発を行っております。
①都市の木質高層建築「第一生命京橋キノテラス」が竣工。木質耐火構造部材「スリム耐火ウッド」の施工性も向上
脱炭素社会の実現と森林資源の循環を目指し、一般的な同規模の鉄骨造ビルと比較してCO₂排出量を約37.5%削減した木造ハイブリッド構造の「第一生命京橋キノテラス」が竣工しました。また、木質耐火構造部材「スリム耐火ウッド」は新工法の開発で製作時間の半減とコスト約20%減を実現し、案件適用が始まっております。今後も、スリム耐火ウッドをはじめとする木材と他素材の木造ハイブリッド技術「シミズハイウッド」の研究開発を進め、中大規模建築への木質構造の導入を拡大していきます。
②既設コンクリートへのCO₂固定化技術「DACコート」を実建物に初適用し社会実装を加速
含浸剤をコンクリート表層に塗布して空気中のCO₂を固定化する技術「DAC(Direct Air Capture)コート」を開発し、CO₂排出削減に取り組んでおります。新築構造物に限られていた従来のCO₂削減技術と異なり、既設構造物をCO₂吸収体として活用できることが特徴で、コンクリートの長寿命化にも貢献します。現在、実建物での初の試験施工を実施し、CO₂固定量の経時変化をモニタリングしております。今後はカーボンクレジット化など社会実装に向けた取組みを加速させ、脱炭素社会の実現を目指します。
その他、脱炭素・資源循環・自然共生社会の実現に資する技術開発の主な成果は以下のとおりです。
③設計時にZEB提案を担う自社開発のAI「ZEB SEEKER」にコスト検討機能を搭載し、省エネ性能と建設コストを両立させた最適なZEB化計画を提案する「脱炭素コンサルティング事業」を開始
④発電所で使用済みとなった太陽光パネルをリユースし、当社の建設現場におけるモニター電源や照明・防犯用目隠しとして活用することで廃棄物削減と環境負荷低減
⑤建設現場から排出される廃プラスチックを雨水貯留槽の部材として再利用するマテリアルリサイクルスキームを構築し、回収した廃プラスチックを自社物流施設の建設現場で循環利用する取組みを開始
⑥建設現場で発生する廃プラスチックを高度分別し再生材として有価売却するマテリアルリサイクルスキームに加え、本再生材を同じ現場のOAフロア部材として再生利用する「Site to Site」型のスキームや別の現場の雨水貯留槽の本体構造物として再生利用するスキームを構築し、資源循環を推進
⑦夜間工事照明が周辺生態系に与える影響を定量評価するシステムを改良し、照明の色温度や気温条件を反映したシミュレーション機能を実装することで、環境保全とコストのバランスを考慮した最適な照明計画の立案を可能にした
(4)AI・デジタルサービスを活用した技術開発
デジタルゼネコンとして、AIや機械学習、デジタルツインなどの先端デジタル技術を積極的に活用し、建設事業における新たなサービス創出と業務効率化に貢献する研究開発を進めております。
①山間部のトンネル掘削現場の安全性と生産性に寄与する「au Starlink Station」とドローンポートを活用した山岳トンネルの遠隔巡回実証に成功
衛星通信「Starlink」とドローンポートを組み合わせ、山岳トンネル坑内でのドローン遠隔巡回実証に成功しました。この取組みにより、従来は作業員が危険な現場へ立ち入って行っていた坑内監視を無人化・遠隔化できるようになり、安全性と生産性が向上しました。今後はこの運用体制を全国の掘削現場へ本格展開し、建設業界の担い手不足解消や安全確保、施工管理の高度化を目指します。
②都市開発がもたらす街の人流変化をシミュレーションし計画の初期段階からまちづくりの効果を検証
都市開発が人流に与える影響をエリア単位で評価するシステム「エリアABS(Area Activity Based Simulation)」を開発しました。このシステムは、アクティビティ型交通行動モデルをベースに、歩行者用道路やビッグデータを活用したきめ細かなパラメータ設定を行うことで、開発計画の初期段階から来訪者数や滞在時間などの回遊行動を可視化できます。今後は、まちづくり計画支援サービス「マチミル」の新メニューとして活用し、より利便性の高いまちづくりと早期の合意形成を支援していく予定です。
その他、AI・デジタルサービスを活用した技術開発の主な成果は以下のとおりです。
③大規模施設の人流を設計初期から属性別に予測・可視化するツール「Shimz DDE Pedex+」を実用化、初適用しており、今後は避難シミュレーション機能を追加する方針
④工事現場や部署で発生する余剰品を社内で再利用し、廃棄物削減とコスト低減を図るための社内専用Webアプリ「ReuseLink」を開発し、順次全社運用を開始
⑤盛土工事のプロセスデータを3次元モデルと紐づけて自動蓄積・管理するシステム「Shimz Smart Earthwork Logs(SSEL:エスセル)」を開発・実用化し、盛土規制法改定に伴うトレーサビリティ管理の効率化と品質確保を実現
⑥独自のRTK-GNSS測位アルゴリズムにより上空視界が制限された環境下でも地盤やインフラ構造物の微小な変位をミリ単位で高精度に検出できる観測システム「GeoLoc(ジオロック)」を開発し、レンタル事業を開始
⑦平常時は製造・物流・建設などの現場で活用し、非常時には被災者検知や救援物資配布などの災害対応に転用できる「フェーズフリーロボット」の研究開発を開始
⑧機械学習を活用し、都市開発エリアの滞在人口を平日・休日や時間帯・来訪者属性別に高精度に予測できるシミュレーションモデルを開発
⑨6GモバイルネットワークにおいてAIを活用しユーザーのニーズに応じた柔軟で信頼性の高い通信を実現する「AIネイティブな無線ネットワーク」の日EU国際共同研究プロジェクトを開始
⑩視覚障がい者向けナビゲーションロボット「AIスーツケース」を2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で実証実験
(5)歴史的建造物の保存・活用技術
貴重な歴史的建造物や重要文化財を未来へ継承するため、保存、修復、そして新たな活用方法に関する研究開発に取り組んでおります。
①軍艦島に56年ぶりの新施設となる研究拠点「72号棟」を建設し運用開始
長崎市の端島(軍艦島)に56年ぶりとなる新施設「72号棟」を建設し、運用を開始しました。この拠点は研究施設及び観光客の緊急避難所として機能し、現地ガレキの再利用や一般流通木材の活用など、アクセス困難な環境下での施設整備技術を実証しております。また、舗装型太陽光発電、衛星通信「Starlink」、循環型トイレシステムを導入し、インフラが制限された環境下での運用性や衛生環境の改善を検証しております。今後は、この拠点を活用して調査研究を高度化させ、世界遺産である端島炭坑の保存・整備及び公開活用を推進していく方針です。
(6)研究開発成果に対する学協会等からの表彰実績
日本建築学会、土木学会、日本コンクリート工学会、空気調和・衛生工学会ほかさまざまな学協会や業界団体、自治体から受賞しております。
①土木学会:環境賞
カーボンネガティブを実現するバイオ炭コンクリート「SUSMICS-C」と千葉県谷津における湿地グリーンインフラの創出が、土木学会環境賞を受賞しました。同賞は環境の保全や持続可能な社会の形成への貢献を評価するもので、前者は技術開発が、後者はプロジェクト運用が高く評価されました。
②日本建設業連合会:BCS賞
当社が開発した技術を活用した「温故創新の森 NOVARE」と「東急歌舞伎町タワー」が、日本建設業連合会の第66回BCS賞を受賞しました。「温故創新の森 NOVARE」には、AIの画像認識技術やIoT制御の消火装置を活用した防災システム「慈雨」を導入しており、「東急歌舞伎町タワー」には、建物基礎に伝わる縦ノリの振動を低減する防振床システム「ダイナミック・ライブ・フロア」が採用されております。
③東京都:Tokyo-NbSアクションアワード最優秀賞
技術研究所の「再生の杜ビオトープ」が、第2回Tokyo-NbSアクションアワードで最優秀賞を受賞しました。同賞は自然の力を活用して社会課題を解決するNbS(Nature-based Solutions)の優れた取組みを東京都が表彰するもので、19年にわたる都市での生態系回復の実証と、地域と連携した環境教育などの共創活動が評価されました。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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