シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QIOK (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 アンジェス株式会社 研究開発活動 (2022年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当連結会計年度における研究開発費は10,999百万円(前年同期比2億15百万円(+2.0%)の増加)となりました。
当社グループは、“遺伝子医薬のグローバルリーダー”を目指し、遺伝子医薬を中心に医薬品の開発、実用化に取組んでおります。また、究極の遺伝子治療といわれるゲノム編集は、これまで治療の難しかった疾患を対象とした研究開発が進められていますが、当社グループのEmendo社は、独自のゲノム編集技術の開発を進めており、ゲノム編集の分野でも難易度の高い技術を開発しております。
さらに当社は、国内外の企業と積極的に提携し、有望な医薬品の実用化に向けて共同開発を進めております。
以下に、当社グループの開発品並びに当社提携先の開発状況についてご説明いたします。

当社開発プロジェクト



■HGF遺伝子治療用製品(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド)(自社品)
国内における慢性動脈閉塞症を対象疾患としたHGF遺伝子治療用製品の開発については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」により再生医療等製品の早期実用化を目的とした「条件及び期限付承認制度」を活用し、2019年3月に国内初の遺伝子治療用製品「コラテジェン®」として、慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善の効能効果で条件及び期限付承認を取得し、2019年9月10日より発売を開始いたしました。2021年末に製造販売後承認条件評価のための目標症例数である本品投与120例、比較対照80例の患者登録が完了し、2023年春に予定している本承認に向けた申請の準備を進めております。
一方、HGF遺伝子治療用製品の適応拡大を目的として、国内において臨床試験を進めておりました慢性動脈閉塞症における安静時疼痛については、主要評価項目である「投与12週後の安静時疼痛の投与前値からの変化量」においてプラセボ群に対して有意差を見出せなかったことから、開発の中止を決定いたしました。
米国における開発につきましては、2020年1月より、下肢潰瘍を有する閉塞性動脈硬化症を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験を実施しており、2022年末までに当初目標の60例の投与を完了しております。さらに、脱落例をふまえ、2023年第1四半期に数例の登録追加を予定しております。2023年度においては、投与後の経過観察を実施いたします。
その他、イスラエルにおけるHGF遺伝子治療用製品の販売に向け、当社の提携先企業Kamada社は、2022年、イスラエル保健省に製造販売承認申請を提出し、受理されております。また、トルコにおける当社提携先企業Er-Kim社は、トルコ政府の財政面の問題から、販売に向けた準備が停滞しております。
当社は、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の日本及び米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を田辺三菱製薬と締結しております。

■NF-κBデコイオリゴDNA(自社品)
核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAについては、米国において椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした開発を進めております。2018年2月より実施した椎間板性腰痛症を対象とした後期第Ⅰ相臨床試験は、投与後の観察期間6ケ月間に続き、12ケ月間を経た結果でも、患者の忍容性は高い上、重篤な有害事象も認められず、安全性を確認できました。さらに、探索的にデータを評価したところ、患者の腰痛の著しい軽減とその効果の持続が認められ、有効性も確認できました。
今後の開発計画につきましては、2023年1月30日に開示いたしましたとおり、日本国内において開発を進めてまいります。
NF-κBデコイオリゴDNAのその他の開発については、これまで「キメラデコイ」の開発を進めておりましたが、今後は、薬剤を目的の場所に効率よく届けるためのドラッグデリバリーシステムの開発を含め、NF-κBデコイオリゴDNAの対応疾患領域や対象地域の拡大を目指して進めてまいります。
■高血圧治療用DNAワクチン(自社品)
高血圧治療用DNAワクチンについては、オーストラリアでの第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験は重篤な有害事象はなく、安全性に問題がないことを確認し、アンジオテンシンⅡに対する抗体産生を認めました。分析結果は、論文としてHypertension Researchに掲載し、第43回日本高血圧学会総会Late Breaking Abstractでも発表いたしました。
今後の開発につきましては、プラスミドDNAの発現に関して、新型コロナウイルスのDNAワクチンとは異なる改善策などの検討を進めてまいります。
■新型コロナウイルス感染症DNAワクチン(自社品)
当社は、2020年の新型コロナウイルス感染症(武漢型)の感染拡大を受け、プラスミドDNAの技術を用いたワクチンの開発を開始し、臨床試験を実施いたしました。この結果、安全性において問題はなく、細胞性免疫においてある程度の上昇を確認したものの、液性免疫については期待する効果を得ることができず、これまでのワクチン開発の中止を決定いたしました。
一方、これまでの研究開発の知見を活かし、プラスミドの発現効率や導入効率の向上等、プラットフォームの見直しを行い、並行して、将来発生する可能性のある新たな変異株を視野に入れた改良型DNAワクチン並びにワクチンの経鼻投与製剤の研究を開始いたしました。この新たなDNAワクチンの研究は、米国スタンフォード大学と共同で実施してまいります。
■Tie2受容体アゴニスト(共同開発品)
Tie2受容体アゴニストは、カナダのバイオ医薬品企業であるVasomune社と共同開発契約を締結し、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした医薬品として開発を進めております。2020年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、2020年12月より米国において、Tie2受容体アゴニストを新型コロナウイルス感染症治療薬として健康成人を対象に第Ⅰ相臨床試験を実施し、安全性と忍容性を確認いたしました。2022年1月より前期第Ⅱ相臨床試験を米国で開始しておりましたが、重症化リスクが低いオミクロン株への置き換わりが急速に進んだことにより、対象となる新型コロナウイルス感染症肺炎患者の登録は難しい状況となりました。
そこで、対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に広げるべく米国FDAに申請し、承認を受けることができました。2023年度は、前期第Ⅱ相臨床試験の目標症例数の登録完了を目指してまいります。
■Zokinvy(一般名:ロナファルニブ)(導入品)
当社は、2022年5月10日に米国の医薬品企業であるEiger社と、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群とプロジェロイド・ラミノパチーを適応症とする治療薬であるZokinvyについて、日本における独占販売契約を締結いたしました。当社は、一日も早い薬事承認・薬価収載を目指し、希少疾患治療薬(オーファン・ドラッグ)として国内承認取得の準備を進めております。

Emendo社開発プロジェクト


■ゲノム編集技術による遺伝子治療用製品開発
当社は、究極の遺伝子治療法ともいわれるゲノム編集技術を用いた遺伝子疾患治療に挑むため、2020年12月にゲノム編集における先進技術及びそれを活用した開発パイプラインを持つEmendo社を子会社化しました。Emendo社では、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼ(※1)を探索・最適化するプラットフォーム技術(OMNI Platform)を確立しており、ゲノム編集でしばしば問題視される「オフターゲット効果」(※2)を回避できるなど、新たな特徴をもった新規ヌクレアーゼ(OMNI ヌクレアーゼ)を数多く作出し、特許を出願しております。Emendo社ではOMNI Platformの更なる性能向上、効率化を目指した開発を継続しております。
同時にEmendo社では、様々な遺伝子疾患について、その疾患と遺伝子変異の分子機構の理解に基づき、疾患に応じてゲノム編集戦略を構築し、数多くのOMNI ヌクレアーゼの中から適切なヌクレアーゼを選択し、それをさらに標的配列に対して最適化して、これまでゲノム編集では対象とできなかった疾患を含め、様々な疾患に対する安全で有効な治療の開発を進めております。
なかでも、ELANE(好中球エラスターゼ遺伝子)の異常によるELANE関連重症先天性好中球減少症(※3)では、対立遺伝子(※4)配列の一方のみの変異により発症するため、その治療は、ほとんど同じ配列をもつ対立遺伝子のうち、変異のある遺伝子のみを破壊するという非常に精度の高いゲノム編集が必要となります。
Emendo社では、ELANE関連重症先天性好中球減少症を対象とするゲノム編集治療について、2023年度中に米国での臨床試験開始に向け、FDAと協議を開始し、2022年11月にプレINDミーティングを実施いたしました。



※1 新規CRISPRヌクレアーゼ:ゲノム編集で使用する新たなRNA誘導型DNA切断酵素で、ガイドRNAで規定した塩基配列を識別し、その標的とした塩基配列を切断する。

※2 オフターゲット効果:ゲノム編集で、DNA鎖上の目的とする塩基配列以外の別の領域に、意図せぬ突然変異を引き起こしてしまうこと。

※3 ELANE関連重症先天性好中球減少症:顆粒球系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症で、発症すると細菌感染などが起きやすくなり、中耳炎や気道感染症、蜂窩織炎、皮膚感染症を繰り返し、敗血症などにより死亡することもある。

※4 ヒトの細胞には父親から受継いだ染色体と母親から受継いだ染色体がペアとなって存在しています。それぞれの染色体には基本的に同じ遺伝子が載っており、片方の染色体に載っている遺伝子から見て、もう片方の染色体の同じ場所に載っている遺伝子を対立遺伝子と言います。

検査受託サービス及び提携先における開発状況
■希少遺伝性疾患検査を主目的としたACRLの検査受託
2021年4月に、希少遺伝性疾患検査を主目的とし、川崎生命科学・環境研究センターにACRLを開設いたしました。ACRLでは現在、一般社団法人希少疾患の医療と研究を推進する会(CReARID)が展開する「オプショナルスクリーニング」事業における検査業務を受託しております。今後、各自治体や民間の検査センターとの連携も含め新生児を対象とした追加スクリーニング検査の受託拡大を図るとともに、希少遺伝性疾患の確定検査や治療効果をモニタリングするバイオマーカーの検査など、希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査を実施できる体制の構築を進めてまいります。

■マイクロバイオームを用いた治療薬・サプリメントなどの開発
当社は、腸内細菌叢を利用した疾患治療薬や健康維持のサプリメントを開発しているイスラエルのMyBiotics社と2018年7月に資本提携しております。MyBiotics社では、腸内細菌叢の微生物の構成を再現した培養物(SuperDonor)の製造法を確立しており、クロストリジウム・ディフィシル感染症の治療薬MBX-SD-202の第Ⅰ相臨床試験をイスラエルにおいて完了し、今後の開発を米国で実施するべく、FDAと協議を行っております。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E05301] S100QIOK)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。