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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VGXL (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日清紡ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2024年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社グループでは、「モビリティ」、「インフラストラクチャー&セーフティー」、「ライフ&ヘルスケア」に関わる3つの分野を戦略的事業領域に定め、これらの分野において高性能・高品質かつ競争力のある製品・技術の開発に力を注いでいます。そのために、グループ横断的な研究開発活動を行っており、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、化学品といった、多岐にわたる保有技術を融合してイノベーションを創出し、持続可能な社会へ資する新たなバリューを提供していきます。
当連結会計年度の研究開発費は25,330百万円であり、主な研究開発とその成果は次のとおりです。

(1)無線・通信
日本無線グループでは、コア技術であるセンシング、通信ネットワーク、データ分析にAI、DX、IoT等の技術を加え、各種ソリューション技術の研究開発に注力してきました。
モビリティ分野に関しては、船舶の自動運航に関する研究開発において、公益財団法人日本財団の無人運航船プロジェクトMEGURI2040の第2ステージに引き続き参画し、災害時等の緊急事態にも場所を問わず継続して船舶の安全運航を支援することができるよう、車両を使った移動型FOC(Fleet Operating Center)の構築を進めています。さらにこの移動型FOCの利便性向上を目的に航海計画立案から入出港までのモニタリング、状況予測を考慮した運航支援機能等のアプリケーション開発に取り組んでいます。陸上においては自動運転やロボット化が進む建機・農機の安全機能向上を目指し、障害物の位置を正確に特定できるように3次元で分解能を高めたレーダの開発に取り組んでいます。また、遠隔通信技術では世界のどこでもつながるモビリティに向けて、LTE、5G、Wi-Fi、衛星等の多様な通信方式に対応する通信端末や小型アンテナを開発しています。
インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、入川者検知システム、気象レーダ、災害時における通信インフラの確保等の研究開発を進めています。入川者検知システムでは、ドローンで撮影した映像をAI解析して河川に居る人を検出することで、放流前の河川のパトロール業務を支援する機能を開発し実証実験を開始しました。気象レーダでは、世界初となる二偏波気象レーダを用いた南極昭和基地での観測のため、寒冷地に対応したXバンド気象レーダの開発を行いました。また、台風や線状降水帯による大規模気象災害の減災に向けてC帯二偏波フェーズドアレイ気象レーダを開発し、実験無線局を富山県に設置し、気象観測の実証実験を開始しました。災害時の通信路の確保に関しては、Ka帯の静止衛星可搬局向け平面アンテナを開発し、可搬且つ高速化した通信を提供できる点から災害の初期対応用として注目されています。
ライフ&ヘルスケア分野に関しては、超音波センシング技術の高度化に関する研究開発を進めています。血管内超音波装置では、血管分岐部を効率的に検出する機能を実現して経皮的冠動脈形成術の時間を短縮する技術を開発しました。また、排尿ケアプローブや携帯型超音波診断プローブでは、診断部位を鮮明に描写する画像処理技術を開発しました。
国際電気グループでは、コア技術である「センシング」「伝送」「AI解析」を活用して、各分野における現場で働く人を支援するための映像・無線ソリューションや、ソリューションを支える標準化されたプロダクトを提供するための研究開発に注力してきました。
モビリティ分野に関しては、鉄道事業者を支える列車無線の高度化や、映像や3DセンサとAIを組み合わせた監視システムの高度化に重点を置いた研究開発を行いました。ネットワーク監視カメラと組み合わせてAI画像認識を行うAIエッジコントローラに、支援が必要な方や危険行為などを検知するアプリケーションを搭載したモデルを開発し、ワンマン化に向けた運転支援の取組みを推進しています。
インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、防災減災に向けて、災害に関わる情報を収集、一元管理して災害対応時の自治体職員の業務を支援する防災業務支援サービスや、バッテリーと無線伝送機能を搭載し電源やケーブルが浸水しても稼働可能な防災監視カメラを開発しました。製造業のスマート化に向けては、位置情報を活用して現場のリソース管理を行うSaaS型現場最適化ソリューションを開発しました。通信インフラの5G普及に向けては、キャリア5Gとローカル5G両方に対応したアンテナ共用機を開発し、シェアリング事業者向けに提供を開始しました。放送のDX化に向けては、新技術を搭載した双方向FPU(映像伝送装置)の研究開発やコンテンツ制作を効率化する放送カメラ向けのIPによる遠隔制作支援機能の開発に取組みました。
当セグメントに係る研究開発費は10,113百万円です。

(2)マイクロデバイス
マイクロデバイス事業では、電子デバイス製品やマイクロ波製品等の企画、設計から生産技術まで総合的な研究開発を行っています。
モビリティ分野に関しては、沖電気工業㈱と共同し自動運転や高度運転支援システム(ADAS)機器の小型化に貢献する3次元集約技術の開発に成功しました。近年、AI、自動運転や高度運転支援システム(ADAS)において、センシング技術の進化が重要な役割を果たすと同時に、搭載されるアナログICも小型化、高性能化の要求が高まっています。これに対し、両社の技術を融合させ、アナログICの性能を維持したまま、積層により小型化を図る画期的な技術を開発しました。今後、両社は本技術による新たな付加価値をもつ製品開発を進め、パートナーリングやライセンシングも視野に2026年の量産化を目指します。
インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、業界トップレベル※のアイソレーションを実現した5G基地局に最適なSPDTスイッチの量産を開始しました。5G基地局には多くのアンテナがあり、それぞれが強い電波を送信します。電波の相互干渉を防ぐために送信アンプには、非常に高いアイソレーションを有するスイッチが必要です。本製品は長年蓄積したRFデバイス技術により、5Gで使用しているsub-6帯域で60dB以上の高アイソレーションを実現し、隣接する素子間の干渉を低減させる事が可能です。海上やルーラルエリア(非都市圏)等、有線による通信インフラ構築が難しい地域・環境でニーズの高い衛星通信分野では、屋外設置送受信機の高周波化・高出力化を進め、高速化・大容量化といった社会の需要に対応しています。
ライフ&ヘルスケア分野に関しては、ハイエンドオーディオ機器に最適な「MUSES」シリーズのLDOレギュレータの量産を開始しました。本製品は高音質オーディオデバイス「MUSES」シリーズで初となるレギュレータ製品です。これまで「MUSES」シリーズは高音質オペアンプとオーディオ電子ボリュームをご提供しており、お客様から高い評価を得てきましたが、LDOレギュレータが加わることで、さらなる”真実の音”がご提供可能になります。また、マイクロ波・ミリ波センサでは引き続き水洗便座用センサユニットをより多くのラインアップや便座以外の用途に展開するための活動を継続しています。また危機管理型水位計向け60GHzセンサターミナルは、一部顧客向けに量産品供給がスタートしました。今後、他社への展開を進めていきます。その他介護・見守りやセキュリティ・環境モニター用途など幅広い用途向けの開発も進めています。
当セグメントに係る研究開発費は8,174百万円です。
※2024年9月26日 日清紡マイクロデバイス㈱調べ

(3)ブレーキ
ブレーキ事業では、モビリティ分野においてコスト競争力のある差別化商品の提供と技術力の強化を目標に掲げ、自動車用摩擦材の開発に取り組んでいます。
R&D機能では、重要保安部品としての高い信頼性を堅持し、銅規制等に対応した環境負荷物質を低減する製品の開発では、①xEV化で静粛性が高まる新世代車への適合における音・振動事象の撲滅、②効きの安定性、③摩耗粉塵の排出を抑制する優れた摩耗特性等、お客様ニーズへの対応に重点をおいて活動しています。開発した材質は、お客様にご好評を頂いており、国内外の数多くの車両プログラムへの適用が決まり、量産化が進捗しています。
開発シーンでは、従来のモノづくりと評価を主軸としたPDCAサイクルに加え、CAEによる摩擦のシミュレーションや、分子シミュレーション、データマイニングを主体としたデータ駆動型研究開発を加えることにより、開発期間の短縮化、開発品の高性能化、省力化及び開発費の最小化=開発効率の最大化を目指しています。その実現を支えるためにDX専任部署を立ち上げ、データプラットフォームを始めとした開発環境の整備に加え、デジタル人財育成を目指し教育プログラムを実行しています。加えて、2050年にCO2排出量ゼロに向けて独自の目標を掲げ、材質および製造工程の研究開発への取り組みも実行しています。また、当社グループ内のコラボレーションにより車両の安全、自律運転を見据えた足廻りのセンシングに関するマーケティングと研究を推進しています。
当セグメントに係る研究開発費は3,728百万円です。


(4)精密機器
精密機器事業では、新製品開発と上市の加速を重点取組みテーマと位置づけ開発活動を行っています。
モビリティ分野に関しては、射出成形技術、エレクトロニクス技術をベースとした配線機能一体型成形品(IM-E:In Mold -Electronics)の開発を加速していきます。
ライフ&ヘルスケア分野に関しては、医療分野において、優れた生体適合性等の高機能を備えたスーパーエンプラ樹脂を用いた新製品をはじめ、予防・予後・再生医療に貢献する製品の開発・上市を進めます。家電・住設分野においては、快適な居住空間や省エネに向けた空調機器用ファン等の開発に取り組んでいます。
なお、インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、再生可能エネルギーや社会インフラの整備等持続可能な社会に向けた製品の開発を進めており、新たな事業創出に向けた活動に取り組んでいます。
当セグメントに係る研究開発費は182百万円です。

(5)化学品
化学品事業では、地球環境問題の解決に貢献する技術・製品の研究開発に取り組んでいます。
モビリティ分野に関しては、燃料電池事業において、モビリティ用燃料電池に使用されるカーボンセパレータの新生産方法や性能向上を重点に活動しており、新生産方法での量産化に向け開発を進めています。機能化学品事業では、カーボンニュートラルへの貢献を目的とし、自動車塗装工程の低温化を実現する水性架橋剤の開発を進めています。
インフラストラクチャー&セーフティー分野に関しては、断熱事業において、安全安心をテーマに不燃ノンフロンウレタンフォームの実用化を進めています。カーボン事業および機能化学品事業では、次世代・先端半導体向けの製品・添加剤の開発を進めています。
ライフ&ヘルスケア分野に関しては、機能化学品事業において、マイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋環境で生分解性プラスチックの分解を促進する添加剤の開発を進めています。断熱事業では、次世代エネルギーである液化水素の輸送及び貯蔵施設向けの高性能断熱材の開発を進めています。
2025年1月及び4月に、当社の新規事業開発本部で実施している開発の一部を日清紡ケミカル㈱へ移管し、近年の環境規制を背景とした市場拡大の潮流を捉えた早期製品化を実現するべく、機動的な体制の構築及び経営・意思決定のスピードアップを図ります。
当セグメントに係る研究開発費は377百万円です。

(6)繊維
繊維事業では、ライフ&ヘルスケア分野において、環境・健康社会への貢献を重点取り組み事項として掲げ、グループ内外と幅広く連携し、研究開発を進めています。
当連結会計年度はノーアイロンシャツに代表される「アポロコット」シリーズの商品を拡充し、環境配慮型の次世代商品として、防汚、冷感、ノンホルマリンなどの機能加工商品の開発にも注力しています。
また、安心・安全を提供できる防透、抗菌防臭、抗ウイルス、綿100%のストレッチ生地などの健康快適商品の充実を図り、さらに、当社グループ内のマイクロデバイス事業と連携し、胎児見守り腹帯や騒音職場通信デバイスなどのスマートテキスタイルの開発も取り組んでいます。
「サーキュラーエコノミー」の実現を目指した、廃棄シャツから再繊維化し新たなシャツに生まれ変わらせる「シャツ再生プロジェクト」については、当連結会計年度にNEDO※先導研究プログラムが完了し、綿から再生セルロース繊維をつくる基礎技術に目途が付きました。また、当連結会計年度に経産省の資源自律に向けた資源循環システム強靭化実証事業において、綿・ポリエステルなど複合素材からセルロース成分の分離・抽出の基礎技術に関する研究開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費は733百万円です。


(7)全社共通
グループ内の研究開発においては、各事業セグメントを超えた連携によるシナジーにより、地球環境問題・社会課題の解決に貢献する新たな事業の創出に取り組んでいます。
・水素社会実現のための取組み
レアメタルを使用しない燃料電池用触媒や水素生成用触媒などの部材開発に加え、燃料電池活用のためのシステム開発に取組んでいます。これら取組みの一部は、NEDO※事業に採択をされています。
当社グループの持つ超音波技術を活用した水素ガスセンサの開発は、携帯型水素ガス漏れ検知器「MoLeTELL」の試験販売に加え、定置型漏れ検知器や水素濃度測定器など顧客ニーズに合わせた製品開発を進めました。
・地球環境問題への取組み
マイクロプラスチックによる海洋汚染の拡大防止に向けて、海洋生分解性プラスチックの開発に取組んでいます。本取組みの一部は、NEDO※事業に採択をされています。また、開発した微粒子はプラスチック微粒子代替材料として、ユーザーでの評価が進んでいます。
・安心・安全への取組み
食の安心安全・安定供給に向けて、「完全閉鎖型植物工場」「環境センサネットワークによる制御」「画像AIとロボットによる省力化」など、プラントファクトリーのスマート化に取組んでいます。
大容量化するデジタルコンテンツ情報をストレスなく送受信するための高速通信技術を活用した大容量のデータを瞬時に確実に伝送する「ミリ波通信システム」や、センサ及び通信技術を活用した「見守り機器・システム」などの開発、更にはこれらシステムを活用した「データ活用ビジネス」といったサービスへの取組みを強化しています。
なお、研究開発成果の早期製品化に向けて事業会社との連携を強化するとともに、研究開発テーマポートフォリオの見直しを行い、エレクトロニクス関連へのシフトを進めています。さらには、エレクトロニクス分野におけるビジネスイノベーションの創出と事業R&Dの推進を目的として、2025年4月1日付で「フューチャー・イノベーション本部」を発足させます。
全社共通に係る研究開発費は2,019百万円です。
※国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

事業等のリスク株式の総数等


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