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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100J04Q (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ワコールホールディングス 事業等のリスク (2020年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境及び経営戦略に関わるリスク
①経済環境に関するリスク
当社グループが活動する主要な国内外市場における経済環境は悪化しており、当社グループの売上高や業績及び財政状態に重大な影響を与えると考えられます。例えば、日本国内では2019年10月より消費税が2%アップしたことにより個人消費の萎縮が見られ、当社グループの国内売上高や業績に重大な影響を与えております(当社グループの主要事業会社である㈱ワコールの第3四半期連結会計期間(2019年10月~12月)における売上高前年同期比は、増税の影響があり89%で終了しました)。
②国内事業に関わるリスク
当社グループの主要事業会社である㈱ワコールの売上高の約66%は、百貨店、量販店及びその他の一般小売店への売上によるものであります。しかしながら、近年小売市場の構造変化が進んでおり、小売市場全体における百貨店、量販店及びその他一般小売店の売上シェアは低下していくことと予測されます。当連結会計年度においては、㈱ワコールと取引がある百貨店12店舗、量販店52店舗、その他一般小売店51店舗の店舗閉鎖があり、売上高で7億円減少したと見込んでおります。2021年度には、百貨店6店舗、量販店11店舗の閉鎖が既に発表されております。当社グループはこのようなリスクに対して、業態を跨いだエリア販売体制への移行や直営店・WEB販売の強化を行い対応しております。また、店舗閉鎖や倒産に伴い売掛債権が回収できなくなるリスクに対応するため、常に与信管理を徹底するとともに、店舗における在庫金額を適正な状態にしております。
国内レディスインナーウェア市場は7年連続の減少傾向にあるなか、これまでとは異なる競合企業が存在感を高めております。当社グループは、国内インナーウェア市場において、下着の中高級品の卸売と直営販売を行う会社との競争だけではなく、Eコマースとのチャネル間競争や、ファストファッションとも競争しております(㈱ワコールの自社WEB販売は当連結会計年度前年比117%と好調に推移しました)。今後、新規参入者により更に競争が激しくなる可能性もあります。競争の激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。
これらのリスクに対応するため、グループ中期経営計画の一項目として㈱ワコールの再成長と収益力の向上を掲げ、主要な施策として「ワコール版オムニチャネル戦略」を推進しております。これはワコールが長年培ってきた接客販売の強みを、デジタル技術によりさらに革新させ、店舗とウェブを連携しながらお客様とのつながりを深め、顧客の囲い込みを図るものです。オムニチャネル戦略の中核である次世代ツール「Wacoal 3D smart&try」は百貨店を中心に当連結会計年度は6店舗設置し、今後さらに拡大する予定です。
また、㈱ワコール以外の国内グループ会社の収益力向上にも取り組み、事業の選択と集中、事業構造や人員体制の見直し、グループ内の連携の強化や他社とのアライアンス等、抜本的な改革により、収益性改善に取り組み3~5%の営業利益率確保を必達目標とするなど、グループ全体での収益力向上に取り組んでおります。

③海外事業に関わるリスク
当社グループは海外における事業も展開しており、欧米及びアジア等の海外市場での売上拡大を目指しております。海外事業に関連し次のようなリスクがあります。
グローバル取引が進む中で、米中貿易戦争や英国のEU離脱などによる各国間の規制や新たな関税の付加などが実行されるリスクがあります。当社グループにおいては、米国・中国間の取引は軽微ではありますが、英国に本社を置く子会社㈱ワコールヨーロッパは、2021年度以降、英国とEU諸国間の間で新たに関税が付加される場合、商品原価が上昇し、業績に重大な影響を受けるリスクがあります。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、EU諸国との将来関係の協議が進んでいないことから、引き続き動向を注視していきます。
海外市場における消費者の趣味及び嗜好に対応できずに業績が悪化するリスクや異文化対応の遅れによって、経営及び人事管理を失敗し、当社グループの業績が悪化するリスクがあります。これらリスクに対応するため、米国、欧州、中国の主要3法人での事業の成長に向けた投資を継続しており、米国においてはミレニアル世代の獲得やEC市場での成長機会の創出と競争力の強化を目的に「Intimates Online」社を買収しました。同社の取得価額は86,041千米国ドル(取得時レートで約9,348百万円)で、当該取得価額に加えて、業績の達成度合いに応じて条件付取得対価(アーンアウト対価)を現株式所有者に支払う条項を締結しました。2年後の2022年3月期には営業利益黒字化、4年後の2024年3月期には売上高100百万ドル、営業利益率12~15%の成長シナリオを期待しております。合わせて、欧州、中国においても販路の拡大や、EC事業の継続拡大を図っております。また新興国への事業拡大としてインド事業の拡大にむけ出店加速と積極的な広告宣伝投資を実施します。
製品の調達・製造においては徐々にコストの低いアジアの国々での生産比率を増やしております。また近年は、社会・労働環境の変化に対応して、海外生産の中心を中国からASEANに移行しつつあります。反面、新規に立ち上げた生産拠点のいくつかでは、生産性や損益面での困難に直面しております。そのような中、グループ中期経営計画において、競争力のある製品や材料の供給ができるグローバルな生産体制の構築を目指し、グループ横断での管理体制の確立に向けて取り組んでおります。

(2)経営管理に関わるリスク
①品質、品質表示に関するリスク
高品質な商品をグローバルに提供することができることが、当社グループの強みの一つです。不良品を販売することや商品が健康被害を及ぼすこと等により、商品回収等のコストが発生するとともに、ブランドが毀損し、高品質の商品を提供するというイメージが損なわれ、社会的信用を失い業績に影響を与えるリスクがあります。2014年には子会社の㈱ウンナナクールにおいてパジャマの一部で当社グループの品質基準に適合しない「表面フラッシュ」(着衣発火)が発生する恐れがあることが判明したため、事故防止の観点から自主回収を行いました。また、品質表示等の誤表示に関する法令違反や機能性表示における行き過ぎた表現により社会的信用を失い、商品回収や表示変更作業のコストが発生するとともに、販売機会ロスとなり、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。
これらリスクに対応するため、安全性ガイドラインの整備と製品開発時点の確認ルールの徹底、欠陥商品発生都度の徹底原因追求・再発防止策を策定し、各社が品質の維持向上に向けた取り組みを行うと同時に、当社グループの品質保証活動を推進するため「品質保証審議会」を設置し、その活動を通じグループ会社への水平展開を行い、全体での底上げを図っております。
②コンプライアンスに関するリスク
当社グループは国内外の法令や規制等の適用を受けており、これらの法令等に違反したり社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。当社グループでは「コンプライアンス委員会」の活動を通じて、従業員への啓発活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充することにより、法令違反防止に努めており、また現中期経営計画においては、「ESG課題の取り組み」の中でも重要課題として位置付けております。
特に当社グループの事業領域において注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。実際に人権NPOより、当社グループの発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたこともあり、これを契機に当該課題への取り組みを開始しました。2018年4月から「CSR調達委員会」を立ち上げ、自己評価と現地監査、仕入先一覧の開示等の積極的な活動を行っております。
③個人情報に関するリスク
当社グループは事業活動上顧客等の個人情報を有しております。当社グループの中期経営計画において、主要事業会社である㈱ワコールではワコール版オムニチャネル戦略を成長戦略の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネス戦略を進めております。また、海外子会社各社は、顧客の個人情報を直接取得するWEBサイトを通じた販売を強化し、成長の柱と位置づけております。2014年に、何者かにより自社WEBサイトが改ざんされ1ケ月の販売停止を余儀なくされました。個人情報の保護は当社グループの事業活動上ますます重要性が増しており、専門部門としてITガバナンス部を2020年4月より発足し、個人情報の管理の強化、法規制の変更への対応、社員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るセキュリティ対策に取り組んでおります。しかし、個人情報が外部流出、改ざん、重要データの消去またはシステムに障害が生じた場合は、当社グループの事業運営や戦略に影響を与え、結果、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。
④知的財産権の侵害・被侵害のリスク
当社グループの保有する知的財産権、特に当社グループのブランド及び関連する商標は、当社グループ製品への需要の喚起及び維持、また当社グループの事業価値にとって重要であると認識しております。今後、当社グループは商標その他関連する紛争に直面する可能性があり、また類似商品や他者による商標及び知的財産権侵害により、当社グループの事業に重大な影響を及ぼすリスクがあります。また、当社グループが他者の知的財産権を侵害しているという主張が行われたことがあり、今後も行われるリスクがあります。これらの主張や関連する訴訟が、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与えるリスクがあります。また、越境EC等の拡大によるボーダーレス化に伴い、各国のブランドマネジメントだけでなくグローバルなブランド政策によってコントロールしないと、ブランド棄損に繋がり市場競争力が低下するリスクがあります。これらリスクに対応するため、「知的財産委員会」を設置するとともに、従業員への啓発活動として毎年e-ラーニングの実施、担当者の調査能力向上、社外調査会社の活用や外部契約事務所等の専門家との協業を行っております。
(3)会計・税務に関するリスク
①保有有価証券の価格変動リスク
当社グループは国内公開会社の株式やその他の有価証券を保有しております。当社は米国会計基準を採用しているため、保有有価証券の価格が変動した場合、その変動損益を連結損益計算書で認識する必要があります。これら保有有価証券の大幅な価格変動は、該当する連結会計年度における当社グループの財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。
当連結会計年度においては、有価証券の大幅な価格下落により「有価証券・投資評価損益(純額)」として、3,760百万円の損失を計上しました。
現グループ中期経営計画においては、2022年3月期までに保有する政策保有株式を、2019年3月期の時価ベースで200億円以上の縮減する方針を示しており、当連結会計年度においては152億円(2019年3月期時価ベース136億円)を売却しております。また中長期的な観点から保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を検証し、定期的に取締役会に報告しております。取締役会においては、検証結果を基に当社グループの中長期的な企業価値向上に資するかどうかを見極め、保有の継続、処分の判断を行っております。
②固定資産減損損失のリスク
事業環境の変化や将来の業績見通しが悪化した場合、固定資産の減損損失計上が必要となる場合があります。実際に当連結会計年度においては、㈱ピーチ・ジョンの商標権の減損損失191百万円、㈱Aテックテキスタイルの有形固定資産等の減損損失834百万円、㈱Gテックマテリアルののれんの減損損失217百万円を計上しております。のれんの残存価格は、㈱ワコールヨーロッパで10,800百万円、米国Intimates Online社で11,571百万円となっております。のれんの評価は将来の経営計画を基にしているので、新型コロナウイルス感染症による経済の悪化に加え、㈱ワコールヨーロッパにおいては英国とEU諸国間の間で新たに関税が付加される場合や金利が上昇する場合、Intimates Online社においては事業伸長及びシナジーが投資時の期待を十分に上回らない場合には、公正価値の見積を見直す必要があり減損が発生する可能性があります。なお、少なくとも年に1回または減損の判定が必要となる兆候が発生した場合は減損テストを実施しております。
③退職給付債務等に関するリスク
退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づいて算出しておりますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、又は仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。また、退職給付制度を改定した場合にも、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼすリスクがあります。当社グループは、国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しております。割引率については、3.(2)③「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」を参照ください。退職給付債務の大部分を占める主要事業会社の㈱ワコールでは「年金委員会」を設置し、四半期単位で運用資産の状況を確認し、必要な対策を講じております。
④税務に関するリスク
繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。
一部の多国籍企業による国際的な租税回避行為が政治問題化したことから、税制度の改善を図るべく、G20からの委託を受けたOECDにより、2015年10月にBEPS(税源浸食と利益移転)に関する報告書が公表されました。この報告書を受けて各国において、国内税法や租税条約の改正、見直しが行われております。当社グループは、国際的な課税ルールの制定により重要な影響を受けることはないと考えておりますが、新たに定められた移転価格文書等を通し、各国の税務当局と見解の相違により、追加での税負担が生じるリスクがあります。これらのリスクに対して、税務に関する最新の情報を社内外から入手し、外部専門家の助言も受けながら対応していく体制を整えております。なお、当社は透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることを目的に、2021年度に「税務行動指針」の策定と開示を行う予定です。
(4)人材確保に関するリスク
当社グループにとって、人材確保は国内外を問わず重要な課題です。当社グループの“モノづくり”、店頭販売員、海外経営や最新デジタル分野の人材など、優秀な人材を確保・育成出来ないと、将来の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼすリスクがあります。これらのリスクに対応するため、キャリア採用、アルムナイ・リファイラル等新たな採用手段導入による人材確保と、集団型講義やオンラインなどによる専門知識研修やOJT・海外研修制度などの実地研修の充実を図り、人材の育成を行っております。
(5)自然災害・疫病に関わるリスク
地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等により、当社グループの営業拠点や生産拠点の使用が困難な状況になり、あるいは従業員の多くが被害を受けた場合や交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産や物流の遅延・停止等を受け、事業活動に重大な影響を与えるリスクがあります。また、当社グループ製品の販売が行われている地域において、地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等が起こった場合、消費活動が停滞し、当社グループ製品の売上額が大幅に低下するリスクがあります。
特に「首都直下」「南海トラフ」等の大地震が発生した場合は、当社グループの主たる事業所や店舗が所在する大規模消費地で被害が発生することから、当社グループの事業継続に重大な影響を及ぼすと想定されます。そのため、「事故災害対策委員会」の下部としてBCPプロジェクトを発足し、全体のBCP及びBCM基本計画を作成するとともに、首都直下型地震等の特定災害に係るBCPを順次立案していきます。
また、世界的な流行となった「新型コロナウイルス感染症」は、当社グループの売上や生産に大きな影響を及ぼしております。当連結会計年度においては、当社グループでは、顧客、取引先及び社員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、「企業倫理・リスク管理委員会」の下部に「新型コロナウイルス感染症対策本部」(本部長は取締役副社長)を設置し感染状況に応じた対策を行っております。具体的には、主要子会社である㈱ワコールは、2020年4月1日以降全従業員を対象に週1日の休業日を導入するとともに、内勤者については在宅勤務を推進する体制を取っております。また、4月16日に全国に発令された緊急事態宣言により、都市部を中心とした百貨店をはじめ多くの店舗が閉店する中、全ての店頭販売員について自宅待機としました。
当連結会計年度における「新型コロナウイルス感染症」の影響は、㈱ワコールは20億円、グループ全体で30億円の売上高減少があったと見込まれます。今後事態が長期化または再度感染拡大が進行すれば、当社グループの業績及び財政状態に更なる影響を与えるリスクがあります。これらのリスクに対し、当社は財務基盤を強固なものとするため、金融機関の借入枠を拡大しました。なお、2020年4月の㈱ワコールの売上高は前年から7割近く減少しました。主要海外子会社の店頭での販売高も3割から7割程度減少しております。一方、各国ともWEB販売は好調で、㈱ワコールでは前年に対して7割以上の増加となりました。
コロナ終息後の「新たな生活様式」における個人消費行動の変化を見通し、WEB販売などの顧客の待ち望むサービスの強化や新たな商品の開発に努めるとともに、経費を大幅に削減し新規投資を見直すなど、経営の健全性確保に取り組んでまいります。

従業員の状況研究開発活動


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