有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TNM6 (EDINETへの外部リンク)
株式会社リクルートホールディングス 事業等のリスク (2024年3月期)
3 【事業等のリスク】
(1) リスクマネジメント体制
① リスクマネジメントに関する規程
当社では、当社グループ全体のリスクマネジメントの体制を体系的に定める「リクルートグループリスクマネジメント規程」や、重大案件の迅速な報告及び情報共有を行うことを目的とした「リクルートグループエスカレーション細則」を制定し、グループ全体のリスクマネジメントを、当社グループの事業の継続及び安定的な発展を確保するために重要なものと捉えて積極的に取組んでいます。
② リスクマネジメント委員会
当社は、取締役会の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置しています。当社のリスクマネジメント委員会は、当社の取締役及び執行役員が参加し、各SBUのリスクマネジメント状況のモニタリングを行い、その状況及び当社におけるリスクマネジメント状況も踏まえてグループリスクマップを基に、当社グループを取り巻くリスクについての包括的な議論を行っています。その上で、当社のリスクマネジメント委員会においてグループトップリスクを選定し、その対応策やモニタリングの方針を決定しています。
③ 当社及びSBUにおけるリスクマネジメント体制
当社は、取締役 兼 常務執行役員を、リスクマネジメント本部担当として配置しています。当社は、リスクへの対応のポイントが日本と海外とで差異があると考えていることから、リスクマネジメント本部配下にJapan担当とInternational担当の執行役員を配置し、それぞれの特性に応じて、グループトップリスクへの対応を行っています。加えて、当社の内部監査所管部署においてグループトップリスクへの対応状況の業務監査を円滑に実施することができるよう、当社のリスクマネジメント所管部署は当社の内部監査所管部署とも適時に情報共有を行い、連携をしています。
また、SBUにおけるリスクマネジメント体制は以下のとおりです。
a. SBU統括会社では、当該SBUにおけるリスクマネジメント担当役員を任命し、当該SBUにおける子会社の事業に関連するリスクマネジメントの状況のモニタリングを行っています。これに加え、SBU統括会社は、それぞれSBUリスクマネジメント委員会を半期に一度開催し、SBUを取り巻くリスクを包括的に確認して議論を行うとともに、SBUのトップリスクの選定と対応策の決定を行い、それらのリスクの状況のモニタリングを行っています。
b. SBUリスクマネジメント委員会には当社のリスクマネジメント本部担当取締役 兼 常務執行役員も参加し、SBUにおけるリスクマネジメント状況を確認しています。各SBUの子会社においては、リスクの洗い出しや重要性の判断、対応策の実施等、リスク管理を実施することとしています。
当社のリスクマネジメント委員会の事務局を担うリスクマネジメント所管部署は、これらのリスクマネジメント活動について、定期的に当社の取締役会に報告し、取締役会が当社グループを取り巻くリスクの状況や対応状況について、適切にモニタリングできる体制を整えています。
当社グループのリスクマネジメント体制図
(2) 当社グループのトップリスクと主な対応策
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」)に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、当社の取締役及び執行役員が特に注力して対応が必要であると認識するグループトップリスクとそれに対する主な対応策は以下のとおりです。
このリスクについての詳細な説明は、本項目「(3) 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク」「 ⑨データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク」をご参照ください。
グループトップリスク | |
データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク | |
リスク認識 | |
当社グループでは、すべてのSBUにおいて、多くの個人ユーザーの情報を含む個人情報を取得、管理、活用をしています。各国法令を遵守することはもちろん、社会からの期待に反せず個人ユーザーのプライバシーを尊重し、保護することが責務であると考えています。 万が一でも個人情報に関する事件事故が生じた際には、個人ユーザーの皆様に多大なご迷惑をかけるだけでなく、当社グループのブランドの価値及び信用やサービスへの信頼を大きく棄損し、又、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受けることや、個人ユーザー又は企業クライアントから訴訟を提起されること等により、当社グループの経営成績等に甚大なダメージが生じかねないと認識をしています。 そのためデータセキュリティ・データプライバシーに関連するリスクの取扱いは、当社リスクマネジメント委員会及び各SBUのリスクマネジメント委員会においてトップリスクと認識し、様々な対策を実施しています。 | |
主な対応策(注) | |
当社グループ全体の対応策として、保有するデータを重要性に応じて分類し、事業内容・国や地域ごとの法規制や保護すべき情報資産の特性に応じて必要な体制や施策を整備しています。例えば、不正アクセスの検知、ウイルス感染の検知と遮断や、調査に備えた通信・アクセスの記録、定期的な脆弱性検査等を実施しています。 ・Internationalにおける対応策例 データプライバシーに関しては、欧州連合(EU)の「欧州連合一般データ保護規則」や米国カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act」をはじめとする各地域・国の法規制への対応をしています。データセキュリティに関しては、SBUごとに事業内容やリスクの特性に応じてNISTやISO、CIS20等、参照する基準を設定し、業界で求められる水準を満たすレベルでの対応策を実施しています。 ・Japanにおける対応策例 データプライバシーに関しては、パーソナルデータ指針の制定やプライバシーセンターの設置等の対応をしています。データセキュリティに関しては、「Recruit-CSIRT」等セキュリティに関する専門部署を設置し、被害の最小化、早期検知、未然防止に関する各施策を実施しています。 なお、当社グループにおいては、上記施策の実施に当たり、会社ごとに導入の是非及び取組みの優先順位を検討の上、進めています。 |
(注) 上記は、本報告書提出日時点において、グループトップリスクによる、当社が想定する当社グループの経営成績等への影響を低減するために有効と判断した対応策のうち主要なものを記載したものです。しかし、人為的なミスや内部者の意図的な行為により情報漏洩が発生する等、上記の対応策が奏功しない可能性があり、また、係る対応策を有効に実施したとしてもリスクが一切消滅することを保証するものではありません。更に、将来データプライバシーの保護に関する法令等が改正され、又は新たな不正アクセス方法やコンピュータウイルスが開発される等により、リスク自体の重要性や内容が変化し、又その対応策の有効性が低下する可能性があります。
(3) 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク
上記の当社グループトップリスクを含む、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があると当社の経営陣が認識するリスクの詳細は以下のとおりです。但し、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク一覧
項番 | リスク名称 | ||
① | 景気の動向等のマクロ環境に関するリスク | ||
② | 競合に関するリスク | ||
③ | 個人ユーザー・企業クライアントのニーズの変化に関するリスク | ||
④ | 技術革新によるリスク | ||
⑤ | 事業戦略に関するリスク | ||
⑥ | 買収・投資活動等に伴うリスク | ||
⑦ | グローバル展開に伴うリスク | ||
⑧ | 人材確保・労務環境リスク | ||
⑨ | データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク | ||
⑩ | 情報システムに関するリスク | ||
⑪ | 当社グループが提供するアプリケーションの欠陥等によるリスク | ||
⑫ | 法規制に関するリスク | ||
⑬ | 訴訟等によるリスク | ||
⑭ | 当社グループのブランド・社会的信用に関するリスク | ||
⑮ | 外部事業者への依存に関するリスク | ||
⑯ | 広告・マーケティング活動に関するリスク | ||
⑰ | 自然災害、感染症の伝染及び有事に関するリスク | ||
⑱ | 資産の減損等に関するリスク | ||
⑲ | 税務に関するリスク | ||
⑳ | 為替変動リスク | ||
資金調達リスク | |||
経営指標、財務方針等に関するリスク | |||
株価変動に関するリスク |
① 景気の動向等のマクロ環境に関するリスク
当社グループの業績は、一般的に日本、米国、欧州及び豪州を中心とする各国の景気等の経済情勢、社会情勢及び地政学的状況に影響されます。特に、HRテクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業で構成される人材マッチング事業は、経済情勢の不透明感又は悪化に伴う企業の雇用環境の変化の影響を受けます。また、マッチング&ソリューション事業の販促領域においても、経済情勢等の変動により個人ユーザーの消費が低迷すること等に伴って、企業クライアントが広告宣伝費を削減する可能性があります。
近時の急激な物価上昇や日本における長期的な少子高齢化及び総人口の減少、長期間にわたった日本銀行によるマイナス金利政策の終了などの金融政策の変更、米中間の政治的経済的対立や大統領選後の米国における移民政策の転換可能性等、当社グループが事業を展開する各国の経済情勢の不確実性が高まっていることや、エネルギー価格の大幅な上昇や金融市場の変動を引き起こしている、ロシア・ウクライナの軍事衝突及びそれに関連して実施されているロシアへの国際的制裁措置の影響とその拡大、中国経済の先行き不透明感の増大、台湾・北朝鮮及びパレスチナ情勢を含む中東諸国の地政学的リスクの増加等、グローバルの経済情勢等に及ぼす影響も懸念されます。
HRテクノロジー事業においては、足元では、米国において、金利の上昇やIT大手企業等における人員削減の発表等により、企業クライアントにおいて景気後退を意識する状況となっている結果、採用意欲が減退し、労働需給の平準化が進む状況になっています。米国外の多くの地域でも同様の傾向が見られ、売上収益は減少しました。今後かかる傾向が継続する場合、長期間に亘り同事業の業績に影響を与える可能性があります。
マッチング&ソリューション事業の人材領域においては、一部の企業クライアントの採用需要の低下が見られ、今後係る傾向が継続する場合、長期間にわたり同事業の業績に影響を与える可能性があります。
また、マッチング&ソリューション事業の販促領域においては、旅行、外食又は結婚式に対する根本的な意識の変化が生じる等、これらのサービスの需要がより長期的に変化する場合に、同事業の業績に影響を与えます。通常の消費行動が制限される状況において、企業クライアントによる広告出稿の停止が継続したり低価格プランへ移行する傾向が継続する等の場合、売上収益が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
日本における人材派遣事業については、当連結会計年度において派遣労働者受入れの需要が増加傾向にありました。一方で、欧州、米国及び豪州については、不透明な経済状況を背景に派遣労働者受入れの需要が低下しており、今後係る傾向が継続したり、日本においても同様の傾向が見られる場合には、売上収益が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
経済情勢等の停滞・悪化や新型コロナウイルス感染症のような感染症の拡大により当社グループのサービスに対する需要が低迷する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
② 競合に関するリスク
当社グループの各事業が事業展開を行う市場には、複数の競合他社が存在する上、参入障壁が必ずしも高くない事業も存在するため、他業種の事業者等を含む新規参入者による市場への新規の参加が比較的容易であり、競争はより激しくなる傾向にあります。これらの市場の中には、テクノロジーの重要性が高く、テクノロジーの進歩が非常に速いものがあるため、当社グループが技術革新に対応できない場合や競合他社が技術革新に成功した場合、業界の動向が一変し、当社グループが大きく市場シェアを失う可能性や当社グループの将来の事業展開が著しく困難となる可能性があります。
これらの市場においては、ブランド・ロイヤリティ、法規制及び大きな資金力や既存の顧客基盤等により競争上の優位性を維持することが必ずしも容易ではありません。当社グループの競合他社の中には、グローバルに事業展開を行う巨大テクノロジー企業を中心に、テクノロジー、ビジネスモデル、資金力、価格競争力、グローバル又は特定の地域における認知度、既存ユーザー層の厚さ、クライアントとの関係、人材の確保、独自のサービス及び営業・マーケティング力それぞれの点において、現在当社グループより優位に立つ事業者も存在します。このような競合環境において当社グループが競争力を維持できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、当社グループが、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズ又は嗜好の変化等に対応できないこと、その提供するサービスの機能向上を図れないこと、当社グループの提供するサービスについて競合他社との十分な差別化を図れないこと、競合他社が当社グループより低い価格で同水準のサービスを提供すること、競合他社が個人ユーザーの嗜好にあったサービスを導入すること、競合他社間が合併・統合等により競争力を高めること及び規制環境の変化等に対応できないこと等によっても、当社グループの競争力を維持できなくなる可能性があります。また、企業クライアントが自らユーザー基盤を確立し、当社グループのサービスを利用しなくなる可能性もあります。
当社グループは、特に日本では、マッチング&ソリューション事業の多くの主要事業において既に高い市場シェアを獲得しているため、それらの領域において更なる成長を達成する難易度は高く、クライアントが当社グループに支払う広告宣伝費を維持又は増加できない場合や、当社グループが過去に取引実績がなかったクライアント等に対する新規開拓が進まなかった場合には、当社グループが持続的な成長を達成することは困難となる可能性があります。仮に当社グループが市場シェアを維持又は増加するために価格を下げ、又は新サービスを導入する場合には、当社グループの事業の収益性が低下する可能性があります。
③ 個人ユーザー・企業クライアントのニーズの変化に関するリスク
当社グループが競争力や市場シェアを維持するためには、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化に対応する必要があります。また、昨今、従来のマスメディアによる情報発信だけでなく、急速に普及したインターネット・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等により、リアルタイムでの情報発信が行われていることや、技術革新により多様なサービスが比較的少額の投資で短期間に個人ユーザーに普及し得ること、新たなデバイスや技術の普及によりユーザー・エクスペリエンスが大きく変わり得ること等により、個人ユーザーのニーズの移り変わりや、これを受けた企業クライアントのニーズの変化は非常に激しくなっています。
また、HRテクノロジー事業やマッチング&ソリューション事業においては、当社グループのオンラインプラットフォームへの広告出稿が売上収益の多くを占めますが、一部のサービスにおいては企業クライアントのニーズに即するために出稿期間を短期に設定することも可能であるため、当社グループのサービスを継続的に使用しない可能性や、他のプラットフォーマーへの乗り換えが容易になる可能性があります。
更に、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後個人ユーザーの生活様式や企業クライアントの事業運営の方法が変わる可能性や、それに伴い個人ユーザー及び企業クライアントのニーズや嗜好が変化する可能性があります。
当社グループがこのような個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化を的確且つ迅速に把握できない場合や、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに対応する当社グループのサービスの適切なタイミングでの改良又は開発及びサービスの提供ができない場合並びにこれらのニーズにより合致したサービスが他社により新たに開発された場合、個人ユーザー及び企業クライアントそれぞれのニーズと利害のバランスの取れたサービスを提供することができない場合には、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの市場シェアの縮小や売上収益の減少、又はそれに対応した値下げ等による利益率の低下、係る利益率の低下に対応するためのビジネスモデルの改良又は開発が成功しないこと等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
④ 技術革新によるリスク
テクノロジー業界においては、技術革新のサイクルが極めて速く、競合他社が使用するテクノロジー、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに影響することから、当社グループが競争力を維持するためには、将来における技術革新を予測して、新たなテクノロジーへの投資と導入・事業化を継続的に行う必要があります。このような技術革新に関しては、以下のような様々なリスクが伴います。
・当社グループが技術革新や業界標準技術のトレンドを正確に予測することができず、結果として当社グループが採用又は開発した新技術等が、そもそも事業化できない、又は使用可能となってもその時点では陳腐化、競争力低下等が生じているリスク
・高度な専門性や斬新なアイデアを創出する技術者又はマネジメントを確保又は育成できない、又は係る技術者の確保又は育成に多額の費用が発生するリスク
・技術革新に対応するために必要なシステム・技術インフラを維持又は更新できない、そのために多額の費用が発生する、又は適切なシステム・技術インフラの取捨選択に失敗するリスク
・5G等の新たな通信技術や端末や業界標準技術の多様化及び進化に対応した改良が適時に行えない、又は既存のシステム又は設備等の改良や新たな開発等により多額の費用が発生するリスク
・AIや機械学習等の新技術を適用した商品又はサービスに、想定していないバグ、欠陥又は不備があるリスク
・AIや機械学習等の新技術をいち早く導入した企業や、新技術をより効果的に利用する企業との間で新たな競争が生じるリスク
これらの各要因により、当社グループが追加の費用の支出を余儀なくされ、又は技術革新に対応することが困難となる場合、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑤ 事業戦略に関するリスク
当社グループは、急速に変化するインターネット事業環境等に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取組むため、SBU単位で事業価値の拡大に取組んでいます。
各SBUにおいては、広範で地理的にも多様な事業ポートフォリオの構築を通じた持続可能な成長を志向していますが、このためには既存事業の拡大に加え、戦略的な提携や買収の慎重な実施を含む新規事業への参入が必要です。しかし、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測や各種施策が有効であるとの保証はなく、また、以下に記載するリスク要因を含む様々なリスク要因が存在するため、当該事業戦略が当社グループの将来の業績の向上につながらない可能性や、将来において当該事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があります。
HRテクノロジー事業
Indeed及びGlassdoorを中心に買収等の成長投資による事業規模の拡大を含め、オンライン求人広告市場での持続的な成長を企図しています。しかし、当社グループの成長は経済全体の成長及び雇用状況に大きく依存しています。加えて、売上収益の成長性は、顧客層の拡大、有料求人広告数の増加、採用プロセスの自動化を通じた収益性の向上に影響されます。また、人材マッチング市場の中で、HRテクノロジー事業が市場シェアを拡大できるかにも影響されます。
また、当社の採用オートメンションに係るサービスは、企業クライアントの採用オートメーションの活用に対する意欲が当社の予想を下回るといった、様々な要因により、当社が現在想定している速度で成長しない可能性があります。
また、当社グループによる新しいテクノロジーへの対応の遅れ、人材市場における個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの急激な変化、新たな法規制の導入、競争環境の激化等により、当社グループが事業機会を捉え収益化することができない可能性があります。
マッチング&ソリューション事業
主に日本国内の企業クライアントを対象に、人材・販促領域において、テクノロジーやデータを駆使したオンラインプラットフォームや業務・経営支援ツールであるSaaSの提供等を行っています。
しかし、当社グループが新規の個人ユーザー及び企業クライアントを獲得できない、又は競合他社よりも魅力的・革新的なサービスを提供できないことにより、当社グループが提供するオンラインプラットフォームやSaaSが個人ユーザー及び企業クライアントに採用されない若しくは採用されるために多額の費用を要する可能性があります。
人材派遣事業
グローバルレベルで事業の収益性の向上を図ります。しかし、当社グループが事業展開する主要な法域における法規制の強化等により、収益性が想定どおりに向上しない又は悪化する可能性があります。
また、人材マッチング市場においては、市場における当社グループの存在感の拡大を目指して投資を行います。現在、当社グループは、HRテクノロジー事業やマッチング&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業において人材マッチング事業を展開していますが、求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、人材派遣市場並びに採用オートメーション市場において、テクノロジーの活用により業務プロセスを自動化・効率化し、これまでとは異なる課金モデルを提供するとともに、より費用対効果が高くより高い生産性をもたらすマッチングソリューションの拡大を続けることを目指しています。
しかし、かかるソリューションの開発や導入ができない可能性や人材市場の急激な変化に対応できない可能性、当社グループのソリューションが市場に受け入れられない可能性、かかるソリューションの提供に必要な投資を回収できない可能性があります。
更に、当社グループは、人材マッチング市場において、従来の人的作業によらずに先端的なテクノロジーや大量のデータを駆使して、企業クライアントの採用活動を自動化するという長期ビジョンを掲げていますが、効率的なソリューションが開発できない、かかるソリューションの収益化のための需要が足りない、又は法令による規制等により、当社グループが当該長期ビジョンを達成できる保証はありません。また、業務プロセスの効率性を高めるソリューションを提供していくことにより、当社グループが運営している人材紹介や人材派遣等の既存事業と、新規に開始又は拡大する事業が競合関係になる場合、当社グループの既存の事業の収益性が低下する可能性があります。
当社は社外の第三者のデータ及び独自の市場調査及び仮定に基づき、当社の事業が展開可能な市場に関する市場規模を推定しています。しかし、いかなる推定も、確実に実現可能であることを示すものではありません。特に、採用オートメーション市場に関しては、社内における開発が初期段階にあるため、係る市場における事業機会を推定することが困難です。その結果、当社事業の成長機会が想定を下回る可能性があり、係る成長機会を追求するために結果として誤った資源配分を行う可能性があります。
加えて、新規事業の展開全般については、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業に対する個人ユーザー及び企業クライアントのニーズが想定を下回り又はその嗜好や需要が変化した場合、新たな国又は事業への参入やそのための人材確保・育成に要する費用が想定よりも増加する場合、当該市場での競争が激化した場合、個人ユーザーに対する訴求力や取引する企業クライアント数を増加させるための施策が不十分である場合等には、既存事業の拡大や新規事業の開発のための投資に見合った収益を得られない可能性があります。
逆に、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業が当初期待していた効果をあげることができなかった場合や当該事業の成長余力が低いと判断した場合には、これらの事業の撤退や事業の縮小を行うことにより、費用又は損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、これらの事業についての撤退や縮小についての判断が遅れた場合には、損失の計上が長期化し、また、撤退等に要する費用や損失が増加する可能性があります。
⑥ 買収・投資活動等に伴うリスク
当社グループでは、長期的な利益成長の実現に向け、海外での事業展開、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、買収や出資、協業・提携を機動的且つ積極的に実行しており、今後も、将来の当社グループの業績や企業価値の向上に貢献すると判断した場合には、これらを実行していきます。
買収や出資における対象会社の選定においては、対象会社の事業計画とそのリスク等を予測して行いますが、これらの予測を誤る場合には、買収した企業が期待された収益やシナジーを生み出さず、当該買収等により生じた投資の回収に想定以上の期間を要する可能性や、投資の回収を図れない可能性があります。
特にテクノロジー企業の買収や出資については、対象会社のテクノロジーが初期段階に留まることや技術革新が急速に発生し得ることから、係る買収・出資においては、上記のリスクはより高まる可能性があります。加えて、適切な対象企業又は合弁パートナーを見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、買収、合弁事業その他の提携行為を行うこと自体ができない可能性があります。
この他、革新的なテクノロジーや人材の獲得等を目的に、社歴が浅く経営管理体制が不十分な企業を買収する場合や、利益を計上していない企業を買収する場合、十分なデューディリジェンスが実施できない場合には、想定していなかった又は想定していた金額以上の債務の存在やコンプライアンス上の問題点が買収後に判明する可能性があります。
また、当社グループが対象企業の支配権を有しない案件においては、出資先の経営に対して十分なコントロール又はモニタリングができない可能性や、事業開始後に経営方針の相違等から期待した収益が得られない可能性があります。
更に、買収や協業・提携の実施には、事業・テクノロジー等の統合や期待したシナジーの実現が困難となる可能性や多額の費用が発生する可能性、協業先・提携先に対して、当社グループの保有するノウハウやマネジメント・人材・取引先が流出する可能性、各国における法規制、労使関係、文化、言語等の違いや政治・経済情勢により買収等の実施又はその後の対象会社の経営が困難となる可能性、買収や投資のために借入が増加する可能性があります。
また、将来的に各合弁パートナーとの間で何らかの理由により協業・提携関係に支障をきたすような事態が発生した場合、当該事業の経営成績等に影響を与え、又は当該事業の継続が不可能になる可能性があります。当社グループのHRテクノロジー事業においては、革新的なテクノロジーや人材の獲得を目的に、比較的社歴の浅く利益を計上していない企業の買収・出資が増加することが見込まれますが、係る買収・出資においては、上記の各リスクはより高まる可能性があります。
⑦ グローバル展開に伴うリスク
当社グループは、米国、欧州、豪州及びアジア諸国等多くの国と地域で事業を展開しています。
当社グループがこれらの多様な国と地域で事業を展開する上では、又は既に事業を展開していた国と地域以外にも新たに事業を展開していく上では、各国・地域の政治情勢、経済情勢、法規制、税制、当局による監督、商慣習及び文化の差異、個人ユーザー及び企業クライアントの嗜好、インターネット・モバイル機器の普及状況、労働問題、言語の差異、国際関係の悪化、訴訟の多発、外資規制、人材確保の困難性、海外における当社グループの知名度の相対的な低さ、多様な国・地域における事業のモニタリングの困難性等、事前に想定することの困難な様々な課題に対応する必要があります。
これらの課題に適時適切に対応できない場合、各国・地域の事業展開において当社グループが期待する成果を上げられず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑧ 人材確保・労務環境リスク
当社グループが、競争上の優位性の確保、事業環境の変化への対応又は持続的な成長を可能とするためには、マネジメント・技術・営業等の様々な分野において優秀な人材を確保し且つ育成する必要があります。近年、特にHRテクノロジー事業及びマッチング&ソリューション事業において、優秀なIT技術者の確保及び育成が重要となってきていますが、係るIT技術者の確保又は育成ができない場合や優秀な人材を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、マネジメントや技術者を含む重要な人材が競合他社等に流出した場合や、当社グループが想定するよりも多くの離職が生じ、新たな人材を確保できない場合には、当社グループの競争力や社会的信用が悪化し、経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが人材の多様性等を確保した良好な職場環境や、特に新型コロナウイルス感染症への対応として増加したリモートワーク等、従業員にとって柔軟な職場環境を整備できない場合には、優秀な人材の採用や確保に影響を及ぼすことやイノベーションを阻害すること等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、当社グループの人材派遣事業においては、当社グループが派遣する社員が安全且つ衛生的に働ける職場環境が派遣先において整備されていない場合、派遣社員の人権が侵害され、当社グループの経営成績等やブランド及び社会的信用に影響を与える可能性があります。
⑨データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク
当社グループは、その事業の運営に際し、個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報及び機密情報を大量に保有しています。当社グループによる個人情報の取扱いについては、日本における「個人情報の保護に関する法律」(以下「個人情報保護法」)、欧州連合(EU)の「欧州連合一般データ保護規則」、米国カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act」(「California Privacy Rights Act」による改正部分を含む)等、各国・地域の個人情報に関する法律が適用されます。
これらの法規制の中には、データセキュリティシステムが不十分であることが判明した場合に、データの流出について重大な制裁金や直接責任を課すものがあります。また、これらの法規制は、法域ごとに異なるものとなる可能性や、近年の個人情報及び機密情報の管理に対する意識の高まりから内容が複雑化しており、その遵守や事業運営のための費用が増加する可能性があります。更に、これらの個人情報等の取扱いに関する法規制には、制定又は施行されてからの期間が短いため当局の解釈及び運用が必ずしも明確でないことがあり、係る解釈や運用によっては、当社グループの従来の情報の取扱いと整合しない可能性があります。
一方で、当社グループの事業において個人情報や機密情報等を含むデータやそれを管理・運用するテクノロジーの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおけるデータの運用が意図せず法規制の違反や個人ユーザー又は企業クライアントの不利益又は不信感を招き、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受ける可能性、個人ユーザー又は企業クライアントから訴訟を提起される可能性や当社グループのブランドの価値及び信用が毀損する可能性があります。
また、個人情報等の取扱いに関する法規制が今後より厳格となる場合又は当社グループが法規制の違反若しくは社会的な意識の高まりその他の理由に基づき個人情報や機密情報等の管理・運用に関する当社グループの方針の変更を余儀なくされる場合には、情報の活用に対する制約が増すことにより、当社グループのサービスの品質が低下し、個人ユーザー又は企業クライアントが減少する可能性や、多種且つ大量の個人情報を用いて事業を展開する当社グループの優位性が失われ若しくは経営戦略の見直しを迫られる可能性があります。
更に、第三者によるセキュリティ侵害、ソフトウエアのバグ、ハッキング、従業員の故意又は過失等によって、当社グループが保有する個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報や機密情報の外部流出又は不正使用等が発生した場合、当社グループは個人ユーザーや企業クライアント等に対する損害賠償責任を負うとともに、当局から業務の停止につながり得る行政処分等を受ける可能性がある等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑩ 情報システムに関するリスク
当社グループでは、システムトラブルの発生可能性を低減するためのシステムやセキュリティの強化等の対策を行っていますが、その事業の運営において情報ネットワーク及びコンピュータシステムを多岐にわたり使用しているため、災害・事故等による通信ネットワークの障害、ハードウエアやソフトウエアの欠陥や事故によるシステム障害、過失や妨害行為、コンピュータウイルスや第三者による不正アクセス等のサイバーアタックが生じた場合、システムや通信ネットワークが使用できなくなることや、当社グループが保存する当社の個人ユーザー又は企業クライアントの個人情報及び機密情報が喪失又は流出することにより、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。更に、業界全体の脆弱性が、当社の事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループのマッチング&ソリューション事業においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、Air ビジネスツールズ等のSaaSソリューションを提供していますが、これらのシステム障害等やサービスの中断等が発生した場合には、当社グループがこれにより個人ユーザー又は企業クライアントに対する損害賠償責任や補償金の支払い等を負担する可能性があることに加え、当社グループが提供するサービスへの信頼喪失を招き、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、システムの運用やメンテナンス等の一部を第三者に委託し、それらへの依存度が増加していくことが予想されるため、システムの不具合等について当社グループ自身で対処できない可能性が高まりつつあります。更に、情報インフラの構築、運用、拡張に係るシステム投資や維持費用が将来大幅に増加する可能性もあります。
⑪ 当社グループが提供するアプリケーションの欠陥等によるリスク
当社グループは、様々なサービスをアプリケーション等のソフトウエア及びデバイスを通じて個人ユーザーや企業クライアントに提供しています。これらの開発過程において検証やテストを実施し、動作確認には万全を期していますが、サービス提供開始後に、ソフトウエアやデバイスに重大なバグや欠陥が発生し、当社グループのサービスの一部又は全部を正常に提供することができない可能性、個人ユーザーや企業クライアントのデータの消滅や書換えその他係るデータを適切に保護できない可能性、第三者によるデータの不正入手、取引停止等が発生する可能性があります。
また、当社グループの提供する一部のサービスにおいては、オンライン上でのユーザー獲得、オンライン予約管理、POSレジ、決済等のクライアントが事業を運営する上での主要な機能全般をカバーするため、アプリケーションの欠陥等が発生した場合、クライアントに重大な損害が生じる可能性や、個人ユーザー又は企業クライアントの機密情報や個人情報が喪失又は流出する可能性があります。
今後当社グループは、マッチング&ソリューション事業において、中小企業を含むクライアントの事業運営の効率化と生産性の向上を企図する包括的なソリューションであるAir ビジネスツールズ等のSaaSソリューションを拡大する方針であるため、係るリスクはより高まることが見込まれます。これらの影響により、当社グループに対する訴訟や損害賠償請求が提起され、又は行政処分が課される等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 法規制に関するリスク
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。個人情報保護、データ保護、電気通信、消費者保護、労働、人権、反贈収賄、税法、独占禁止法等、当社グループに適用される法令等に違反した場合、当社グループの事業運営、業績及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、一定の事業を行う上では各国・地域の許認可等を取得するとともに、当局の監視を受けることがありますが、当社グループがかかる許認可等を失い又は当局から業務停止命令、罰金、その他の処分を受ける場合には、対象事業を営むことができなくなる可能性があります。
更に、将来当社グループに適用される法令等の新設又は改正、司法・行政解釈等の変更がある場合、複雑化する法規制への対応の遅れや、それにより当社グループが事業機会を逸する可能性や、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また、近時、企業と人権問題に関する活発な議論がなされていますが、当社グループが人権に関する法令に関して適切に対応できない場合、当社グループのブランドに影響を与える可能性があります。
当社グループの事業に適用される法令等には、主として以下のものがあります。
HRテクノロジー事業
HRテクノロジー事業は、米国の「Communications Decency Act」、「California Consumer Privacy Act(2023年に効力が発生する「California Privacy Rights Act」による改正部分を含む)」、「Telephone Consumer Protection Act」、「Wiretap Act」、「Stored Communications Act」、「Fair Credit Reporting Act」、その他類似の法規制(バイオメトリクスに関するものも含みます。)、EUの「欧州連合一般データ保護規則」、「デジタルサービス法」、「デジタル市場法」、日本の「個人情報の保護に関する法律」や「職業安定法」、英国や他の国の類似の規制の適用を受け、又は受ける可能性があります。また、EUにおいては、欧州議会が、2024年3月13日、AI法案を採択し、これが施行されればEU市民の人権及び個人データの取扱いに一定の規制が課されることになります。米国においても「AI権利章典」の草案が発表され、2023年10月30日には「The Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence」(人工知能の安全・安心・信頼できる開発と利用に関する大統領令)が発令され、これによって連邦機関はAIに関する新しいガイドラインや指針を導入することを求められます。
これらの法令が施行・改正された場合や法令に関する行政解釈又は司法解釈が変更された場合、また、かかる変更を受けて実務の運用が変更された場合、HRテクノロジー事業の事業内容に制約が生じ、又は当該法令の改正への対応に時間やリソースを要する結果、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。例えば、現在、米国では、プラットフォーマーが取り扱う消費者の個人データについて消費者に広範な権利(AIによってなされた判断からオプトアウトする権利を含みます。)を与える新しい法案(American Privacy Rights Act)が連邦レベルで議論されています。また、EEOC(米国雇用機会均等委員会)は、企業が候補者のアセスメントを実施する場合、場合によっては当該企業が職業紹介事業者としての義務を負う可能性を示唆しており、これは候補者と企業のマッチングを行う当社のビジネスに更なる規制を課すことになる可能性があります。
加えて、「デジタルサービス法」については、Indeedがオンラインプラットフォーム(online platforms)に該当する結果、ユーザーに表示されるオンライン広告の透明性を確保すること等の同法に基づく義務が課されます。また、EUでのユーザー数の増加により、更に重い義務が課される超巨大オンラインプラットフォームに指定された場合には、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があり、現在の傾向が続けば、かかる義務の基準値を超える可能性があります。
更に、個人情報を取り扱う企業に対して新たにデータセキュリティ及びデータプライバシーに関する義務を課す様々な新法や法案の提案が行われており、かかる新法が当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
加えて、立法機関は、Indeedが提供するサーチエンジンのようなデジタル・マーケットプレイスを有する企業を調査研究しており、かかるマーケットプレイスにおいて自己のプロダクトを販売する企業に制約を課す可能性があります。
また、現在、HRテクノロジー事業に適用のある法令以外にも、テクノロジー分野における法令の整備は十分に進んでおらず、欧州や米国においてはテクノロジー分野に関する規制を強化する動きもあり、将来、HRテクノロジー事業に適用される法令が新たに制定され、規制が強化される可能性もあります。例えば、個人ユーザーの行動履歴情報を収集・分析し、広告に反映することを規制する法規制が新たに制定された場合、HRテクノロジー事業を従来どおりに遂行することができなくなり、HRテクノロジー事業の事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。
マッチング&ソリューション事業
マッチング&ソリューション事業においては、個人ユーザー及び企業クライアントの情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」等の各国の個人情報保護法制の適用を受けます。
また、販促領域においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、Airペイを提供していますが、当該サービスについては、「割賦販売法」の適用を受けています。
人材領域における日本での人材紹介事業は、「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業です。当該事業についても、一定の要件を満たさない場合には許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令の対象となる可能性があり、また、関係諸法令の改正により、当社グループが受領する手数料に変更が生じる場合があります。
人材派遣事業
人材派遣事業における国内派遣領域については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を取得して行っています。
また、人材派遣事業の海外派遣領域は、事業展開する各国・地域の規制に従い業務を遂行しています。一例として米国では、派遣事業に関する連邦法の他、州法により規制が行われています。
日本及び海外における人材派遣事業において、当社グループによる法令違反等が発生した場合又は派遣事業者の欠格事由に該当する場合には、許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令等の対象となる可能性があります。また、欧州においては上述のAI法案が暫定的な政治合意に達したことを受け、新たな規制や法対応に時間やリソースを要する結果、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、日本における労働関連法令の改正により、コンプライアンスに係る多額の費用が発生するとともに、規制違反のリスクが高まる可能性があります。
⑬ 訴訟等によるリスク
当社グループは、その事業活動の遂行過程において、個人ユーザー、企業クライアント及び競合他社その他の関係者から、当社グループが提供するサービスの不備、派遣社員も含む労働者の労務管理、個人情報及び機密情報の漏洩若しくは特許又はその他の知的財産の侵害又は当社グループのプラットフォームにおける個人ユーザーの不適切な投稿やクライアントによる違法出品若しくは虚偽誇大広告等に関する訴訟その他の法的手続を提起され、また当局による捜査や処分等の対象となり、これらの法的手続に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたすおそれがあります。
係る法的手続は長期且つ多額となることがあり、また結果の予測が困難となる場合があり、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑭ 当社グループのブランド・社会的信用に関するリスク
当社グループの事業活動において、当社グループのブランドは重要な影響力を有していると認識しています。当社グループの提供サービスに不備がある場合、当社グループの情報セキュリティに問題が生じた場合、当社グループのブランドの価値の維持及び強化のための投資が十分でない場合、競合他社がより競争力のあるブランドを確立した場合に加え、当社グループに不利なメディア報道があった場合、更にはインターネットやSNSで根拠の乏しい風説が流布された場合等に、当該内容が真実か否かにかかわらず、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。
更に、当社グループの従業員による不正行為、当社グループの雇用環境に関する従業員又は派遣社員からのクレーム、当社グループへの訴訟の提起等によっても、当社グループのブランドの価値が毀損されることがあります。更に、当社グループの事業においてテクノロジーやデータの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおいて使用されるAI等のアルゴリズムや、当社グループ又は他社によるデータの運用が予期せぬ結果を招き、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。
また、当社グループ自身による行為だけでなく、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントによって、特に当社グループの提供するオンラインプラットフォームにおいて、不適切な投稿、求人を装ったフィッシング詐欺等、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為及び詐欺その他の法令違反行為が行われた場合、当該行為者だけでなく、当社グループもサービスの提供者として責任を問われ、当社グループに対して損害賠償請求訴訟が提起され、又は当社グループのブランドの価値が著しく毀損される可能性があります。
更に、第三者が無断で当社グループのサービスと同一又は類似の名称を使用してサービスを行った場合にも、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。このようにして当社グループのブランドの価値が毀損された場合、個人ユーザーや企業クライアントによる当社グループのサービスの利用が減少すること等によって、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑮ 外部事業者への依存に関するリスク
当社グループのHRテクノロジー事業及びマッチング&ソリューション事業における一部のサービスでは、主にインターネット上でのユーザー獲得において、グローバルに事業展開する巨大企業が提供する検索エンジンサービスを活用しており、今後、当該検索エンジン運営者による検索に関するアルゴリズムの変更又は競合他社の動向等によって、検索結果の表示が当社グループにとって有利に働かない状況が生じる可能性があります。このような場合には、当社グループが運営するインターネットサイトにおけるユーザー獲得の効率が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、当社グループのサービスを提供するためのアプリケーションを、グローバルに事業展開する大手テクノロジー企業やプラットフォーム運営事業者を通じてユーザーに提供しており、更に、当社グループの一部のサービスについては、当社グループの企業クライアントへの営業活動等に関し、外部の販売代理店を利用しており、また、当社グループのオペレーションにおいては、外部事業者の提供するデータセンターやデータサーバー、クレジットカード会社等の決済処理サービスを利用しています。
しかし、これらの外部事業者において、サービス提供を中断・中止する場合やネットワークの質が低下する場合、これらの外部事業者との関係が終了又は悪化する場合、これらの外部事業者による個人ユーザーや企業クライアントに関するデータの保護が十分でない場合、使用料・手数料の値上げその他当社グループに追加的な費用が発生する場合には、当社グループの事業に影響を及ぼし、営業力が減退する等、当社グループの事業の縮小又は中断、個人ユーザーや企業クライアントの喪失又は減少、競合他社へのノウハウの流出、新たな競合他社の参入等に繋がる可能性があります。
更に、当社グループが事業の一部を委託する外部事業者等に対するモニタリングが不十分であることにより、外部事業者における労務問題その他の法令違反等に対して適時適切に対応できなかった場合には、当社グループの社会的信用を毀損し、又はクライアントとの関係を悪化させ経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの提供するオンライン上のサービスについては、インターネットサービスプロバイダーや通信事業者等の外部事業者に依存しています。これらの事業者が、ネットワークインフラやクッキー等の利用を制限する措置を講じる場合や、当社グループの事業が展開されている法域で政府がインターネットへのアクセスを制限する場合には、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントが減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑯ 広告・マーケティング活動に関するリスク
当社グループは、成長戦略の一環として、新規又は既存のサービスの認知度の維持・向上や、個人ユーザー及び企業クライアントの拡大を目的として、広告・マーケティング活動を積極的に行っています。
特にインターネットユーザーの多くは、検索サイトやスマートデバイス(スマートフォンやタブレット端末等)におけるアプリケーション等を利用して必要な情報を入手しているため、特に当社グループのHRテクノロジー事業やマッチング&ソリューション事業においては、各サービスのユーザー獲得効率は、検索エンジンの表示結果やスマートデバイスのアプリケーションの利用状況等に大きく影響されます。人材派遣事業においても、特に労働者が不足している市場では、派遣労働者の登録者数増加のためのマーケティング活動の成否が重要です。
また、当社グループにとってより有利な検索結果を表示させるために検索エンジン運営者に手数料を支払うこととなる可能性や、テレビ・オンラインでの広告宣伝費等、当社グループが個人ユーザーや企業クライアントとの接点を多く確保するために要する費用が将来更に増加する可能性、係る広告宣伝費の増加が当社グループの事業拡大に有効に機能しない可能性もあります。
⑰ 自然災害、感染症の伝染及び有事に関するリスク
地震、台風及び津波等の自然災害、火災、停電、感染症の伝染並びに違法なサイバー攻撃、戦争及びテロ攻撃等が発生した場合、当社グループのサービスや業務に従事する従業員、業務委託先の従業員、派遣社員が大量に罹災・罹患することや、各国政府における非常事態宣言や外出禁止等の措置に伴う業務の制限、地震等による当社設備の損壊等により、当社グループのサービス提供、その他事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
特に、これらの自然災害又は有事等により、当社グループのITシステムに障害等が生じた場合や、データサーバーが機能不全に陥る場合、インターネット関連サービスの提供が困難となり、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントの満足度が低下し、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらの影響が広範囲にわたる場合には、復旧に相当の時間及び費用を要する可能性があり、また障害が発生した期間やその後において正常なサービスの提供に支障が生じる可能性があります。
また、大規模な自然災害等が発生した場合、当社グループの企業クライアントの事業の中断や休止等並びに個人ユーザーのライフイベント活動の休止や日常消費活動の縮小等の二次的影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑱ 資産の減損等に関するリスク
当社グループは、買収に伴い発生するのれんや無形資産を含む資産を連結財政状態計算書に計上していますが、急激な景況の悪化や事業環境、競合状況の変化、法規制の変更、当社の事業戦略の変更、資産の処分、当社グループの戦略の変更、金利上昇等により当該のれんや無形資産等の資産の価値が下落した場合には、減損損失を計上する可能性があります。
当社グループが買収した又は今後買収する子会社の中には、スタートアップ等事業の収益化が実現していない段階にあり、成長投資の成果が発現し投資に見合うキャッシュ・フローが生じるまでには一定期間を要するものも含まれるため、当該買収に伴い発生するのれんや無形資産等について、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。同様に、当社グループが主として投資目的から非支配株主として保有する関連会社株式についても、当該関連会社の業績によっては、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。
また、当社グループは、長期的・持続的に成長するために、業務提携等、事業戦略上取引関係等の維持・強化の必要性があると考えられる上場会社を含む相手企業の株式を政策保有株式として保有しています。当社グループは、原則として保有するすべての株式を公正価値で評価しており、当該株式の公正価値が著しく下落した場合、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
⑲ 税務に関するリスク
当社グループは、日本をはじめ、事業を展開している各法域において、法人税をはじめとした各種の税制の対象となっています。当社グループの連結ベースでの課税額や実効税率は、これらの法域でその年度に適用される税制、繰延税金資産や負債の評価方法、課税所得の額とその関連法域毎の配分状況等の影響を受けます。
これらの法域での政治経済状況等により税制関連法令の改正や解釈変更が実施された場合に、課税額や実効税率が上昇し、また各国における税制の相違により当社グループが求められる対応が複雑となり、これに対応するためのコストが増加する等、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶリスクがあります。例えば、経済協力開発機構(OECD)は、税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトに取り組んでおり、当社が事業を行っている多くの国において納税義務決定に係る既存の枠組みが様々な点で変更される可能性があります。OECDは現在多国籍企業に対する市場国への課税権の分配(第一の柱(Pillar 1))及びグローバル・ミニマル課税の枠組みに関するモデルルール(第二の柱(Pillar 2))を公表しておりますが、このような枠組みにより当社の納税義務が変更された場合、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループは、グローバルに事業を展開しており、適用される各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
更に、当社グループは、定期・不定期に関連税務当局による税務調査の対象となっており、それらの時期や結果の予測は困難です。
これらの税務上のリスクが発現した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑳ 為替変動リスク
当社グループの海外事業の取引は、主に米ドル、ユーロ及び豪ドル等の外貨建てで行われており、近年は外貨建ての取引が占める割合が増加しています。当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表では、海外子会社の現地通貨建ての資産及び負債を各四半期末日の直物為替レートにより、収益及び費用は、取引日の直物為替レート又はそれに近似するレートにより日本円に換算しています。
これらの要因により、当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表は、為替レートの変動による影響にさらされており、為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループでは為替変動リスクを軽減するため、通貨スワップや為替予約等のデリバティブ契約を締結することがありますが、為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動によっては当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、為替変動により当社グループが事業を営む国・地域におけるマクロ経済環境が悪化する場合や、当社グループによる海外事業の買収・提携等に係るコストが増加する場合等には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
資金調達リスク |
当社グループの事業資金及び投資資金の一部は、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しています。このため、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。
また、金融機関からの借入や社債等には各種コベナンツが規定されている場合もあり、当社グループの業績、財政状態又は信用力の悪化等の要因でいずれかのコベナンツへの抵触が不可避な場合には、これらの条項に基づき残存する債務の一括返済を求められる可能性や、金利及び手数料率の引上げや新たな担保権の設定を求められる可能性があります。
これらの要因により、当社グループが今後資金調達を望ましい条件で実行できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
経営指標、財務方針等に関するリスク |
当社グループは、目標とする経営指標の見込みや財務方針等を掲げる場合がありますが、係る経営指標の見込みや財務方針等は、経済状況の変化、経営環境、個人ユーザーの嗜好の変化、企業クライアントのニーズの変化、他社との競合、技術革新の動向、法規制の変更及び為替変動等に係る多くの前提に基づいて作成されています。
また、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測やそれに対応する各種の施策が有効であるとの保証はなく、当社グループがこれらの経営指標の見込みや財務方針等を達成できない可能性があります。
株価変動に関するリスク |
当社の株価は、過去において急激に変動したことがあり、今後も、本「事業等のリスク」に記載の各リスクの発現をはじめとして、当社グループの業績、業績予想、配当等の株主還元策に関連する変化、更には外部メディアによる報道、当社株式の需給関係に相応の影響を与え得る当社株式の売却等により変動する可能性があります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E07801] S100TNM6)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。