有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100T3PI (EDINETへの外部リンク)
ソレイジア・ファーマ株式会社 事業等のリスク (2023年12月期)
当社グループの財政状態及び経営成績に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記に記載しています。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の判断において重要と考えられる事項は、積極的な情報開示の観点から記載しています。当社グループは、これら事業等のリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応を図り事業活動を行っていますが、このような諸策の成否には不確実性が存在します。また、当社グループの事業はこれら以外にも様々なリスクを伴っており、下記の記載はリスクを網羅するものではありません。当社グループは、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、すべての開発が成功するとは限りません。特に販売開始前の研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
なお、文中における将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 研究開発の失敗に関する事項
当社グループの開発品は、既に販売開始となったもの、当局により承認を取得したもの、臨床試験の最終段階にあるものもあります。これら開発品には、今後の開発活動等において主に下記のとおりのリスクが付帯しています。
・医薬品等の有効性若しくは安全性に対する、臨床試験等の結果の不確実性
・臨床試験等の開発活動運営の不確実性
・開発活動への投資額や所要期間の不確実性
・法令や規制、規制当局指導の不確実性
・開発品の競合関係の不確実性
・導入や導出、開発委託等の提携関係の不確実性
・開発主体である当社組織の不確実性
・特許侵害等の知的財産権の不確実性
これらリスクが顕在化した場合には、当該開発品の開発方針の変更、開発延期、延長又は中止という事態(以下「開発品の中止等」という。)が生じる可能性があります。
開発品の中止等が生じた場合には、当該開発品に対して計画していた将来収益を失うほか、主に以下の事象を生じせしめ、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。但し、開発品の中止等に起因する下記事象は、それを網羅するものではありません。以下は、これら事象により影響を受けると考えられる勘定科目の、過去の連結財政状態計算書の数値です。
① 棚卸資産の評価損
開発品の中止等が生じた場合、かかる開発品の棚卸資産の一部若しくは全部が評価減されることとなり、連結損益計算書上で評価損が計上され、同額だけ連結財政状態計算書上の利益剰余金及び資本合計が減少することとなります。
② 無形資産の減損
当社グループは、採用する国際会計基準(IFRS)に基づき、開発品への投資のうち資産性を有すると認識される開発費用、導入費用及びかかる資金コストにつき、これを連結財政状態計算書上の無形資産として計上する会計処理を行っています。開発品の中止等が生じた場合、かかる開発品に対して計上された無形資産の一部若しくは全部が減損されることとなり、連結損益計算書上で減損損失が計上され、同額だけ連結財政状態計算書上の利益剰余金及び資本合計が減少することとなります。
(2) 医薬品等の研究開発事業一般に関する事項
① 研究開発の不確実性に関する事項
当社グループは医薬品等の開発を主業務としています。近年の診断理論及び技術、また遺伝子レベルでの病因解析に基づいた新薬の効果安全性を予見する技術の向上にもかかわらず、最終的な効果及び安全性は臨床試験での検討あるいは検証を要することから、その成功の可能性は、他産業に比して極めて低いものとされています。これらのことから、一般的に、医薬品等の研究開発期間は、基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、相当規模の研究開発投資が必要と考えられています。
医薬品等の開発過程においては、臨床試験結果等に起因して、開発方針の変更、開発延期、延長又は中止となる場合があります。このことから、研究開発活動の将来性は不確実性を伴っています。
医薬品等の開発は、主に開発を計画して運営する製薬企業、臨床試験を実施する医師及び医療施設、さらに開発プロセスの監督及び承認権限を有する規制当局の三者によって実施されます。製薬企業が科学的根拠に基づき作成した開発計画あるいは臨床試験計画についても、臨床試験を実施する医師の見解あるいは医療施設側において計画どおりに試験が実施できる可能性等によって計画変更を余儀なくされる場合があります。また、規制当局からの要望又は指導等により、当社グループの方針にかかわらず計画の変更を余儀なくされる場合があります。また、医薬品等業界は規制業種であり、開発をはじめとする医薬品等事業全般には、医薬品医療機器等法や他の法令に基づいて計画・実施することが求められます。法令は定期的又は不定期に変更・改訂される場合があります。これらの要因により、開発方針の変更、開発延期、延長又は中止を招く場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 導入活動の不確実性に関する事項
当社グループは、開発パイプラインの拡充にあたっては導入の手法を活用しています。近年、世界的に新薬や新医療機器の開発候補品が限られてきており、大手製薬企業等も自らの基礎研究から輩出される新薬や新医療機器の開発候補品に加えて、積極的な候補品導入活動を行っていることから、当社グループの目指す疾患領域であるがん領域における有望な開発候補品獲得において、これら世界的製薬企業等との厳しい競合も想定されます。導入における他社との競合に起因する製品候補品導入の不確実性は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
③ 医薬品等業界の競合関係に関する事項
当社グループの属する医薬品等業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による、研究、開発、製造及び販売の各分野で競争が激しい状態にあります。当社グループの開発パイプラインには、同業他社が同じ適応症で開発を進めている競合品が存在するため、競合品の開発進捗状況あるいはその結果によっては、当社グループ製品の優位性を示せない可能性があり、将来の開発品についても同様です。従って、これら競合相手との、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの製品開発や販売が計画どおりに推移しない場合、財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
④ 副作用、製造物責任に関する事項
通常、医薬品は本来期待する治療効果とともに、期待されない副作用の両面を併せ持っています。医薬品の安全性は、動物を用いた非臨床試験の中で十分に検討されますが、ヒトに使用した場合、種の違いによる予期できない副作用が発現する可能性は否定できません。また少数例での臨床試験では検出されなかった発現頻度の低い副作用が、当該医薬品の上市後、より多く使用される段階で検出される可能性もあります。
当社グループでは、これら臨床試験中又は市販後の副作用発生による補償又は賠償に対応するために、想定し得る範囲で治験保険あるいは製造物責任保険に加入していますが、補償範囲外の賠償責任を問われる可能性は否定できません。また、重篤な副作用や死亡例の発現は、製品及び企業イメージを大きく損ねることとなり、当該製品以外の事業への影響も考えられます。重篤な副作用の発現等により、製品の回収、製造販売の中止、薬害訴訟の提起、製造物責任賠償等が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 医薬品医療機器等法その他の規制に関する事項
当社グループの属する医薬品等業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の医薬品医療機器等法、薬事行政指導、医療保険制度及びその他関係法令等により、様々な規制を受けています。
医薬品等は基礎研究から製造販売承認を取得するまでには、多大な開発コストと長い年月を必要とします。品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品等としての有用性を規制当局が認めない場合には、承認が計画どおり取得できず上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出が行えない可能性、導出そのものが困難になる可能性、導出した場合にその契約内容が変更になる可能性若しくは導出契約が解消される可能性があります。また、当社開発品への承認を取得できた際にも、健康保険の対象として保険収載されない場合や、計画どおりの保険価格が付されない可能性があります。このような事象が生じた場合、また、将来各国の医薬品医療機器等法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(3) 当社グループの事業活動に関する事項
① 導出に関する事項
当社グループは、開発品の収益化について、開発品を開発の途中段階で他社に導出し、一時金や導出先の販売高に連動して収益を受領する導出モデルを採用しております。しかしながら、開発の遅延その他の理由により計画どおりの時期に導出ができない場合、導出を行った場合において想定できない状況により導出契約の内容が変更となる場合若しくは導出契約が解消される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。また、導出を予定している開発品に関して、導出そのものが困難になった場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
② 提携関係に関する事項
当社グループは、開発品の導入や導出のほか、研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ最先端技術の取込みを図っています。特に臨床開発部門では、組織の規模拡大を一義とせず、自社では専門性を有する少数の人材を確保するに留め、外部専門家及び外部委託機関との協力・協業によって企業活動を遂行しています。当社グループは、自社の研究開発人員とこれらの提携関係をもって研究開発体制を構築しています。同様に固定費増加の回避等を目的として、将来自社で販売を計画している開発品の販売体制や製品製造・調達体制においても、様々な提携関係を構築しています。これら提携関係のうち、特に重要と考えられる契約は、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向けて、広範な提携関係構築を検討してまいりますが、期待どおりに提携関係が構築できない場合、提携関係に想定し得ない変化が生じた場合、提携の効果が当初の期待を下回る場合、若しくは提携関係が当社グループの意図に反して解消された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
③ 会社組織に関する事項
a 業歴に関する事項
当社は、2006年に創業し、連結子会社である中国法人は2014年に設立されています。当社グループでは、医薬品等業界又はその他専門分野での経験を有する人材の登用と維持に努めていますが、企業体としての経験はいまだ浅く、今後予測できない事業上の問題等が発生し、これに対応する人材の確保もしくは維持ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
b 小規模組織に関する事項
当社グループは、医薬品等を取り扱う企業としては小規模組織であるために、役職員一人一人が担当する業務及び責任範囲は相対的に広範となる場合が多く、退職あるいは休職等に対応する補充要員が十分でない環境にあります。今後の事業拡大に伴い、必要な人員増加を図ってまいりますが、多くの人材流出等があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
c 人材の確保及び育成に関する事項
当社グループの事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員等に強く依存しています。そのため、常に必要とされる人材の確保と育成に努めていますが、このような人材確保又は育成が計画どおりに行えない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
④ 事業地域に関する事項
a 中国固有のカントリー・リスクに関する事項
当社グループ事業は主にアジアを対象としており、その中心は日本及び中国です。中国の医薬品等産業は中国政府の厳しい監督管理下での規制を受けており、政策、規制、法律等に変化が生じた場合には、当社グループの経営戦略や事業活動の制約要因となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
b 中国での雇用に関する事項
当社グループは、中国での事業活動に際し、中国人従業員を採用しています。中国の労働環境は、社会制度の違いにより日本に比べて企業による管理が困難な場合があり、従業員の採用、解雇、退職などに関わる人事問題、また、賃金、残業等に関わる給与問題、不正行為等について、対応が困難な局面が生じる可能性があると考えています。当社グループでは、これら労務管理上の諸問題を事前に回避すべく最大限努力する所存ですが、当該事象が顕在化し解決までに長期間を要す場合、又は多額の費用が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
c 中国の開発活動に関する事項
当社が現在保有している開発品は、中国で開発販売権を有しており、そのうち、SP-01は2018年7月に、SP-03は2019年2月に、中国当局の承認を受けております。一方で、SP-02とSP-04においては、今後も中国での開発活動を推進する可能性があります。医薬品等の開発活動は、前掲「医薬品医療機器等法その他の規制に関する事項」のとおり様々な規制のもとで推進することが必要ですが、中国の規制が日本等の他の国との規制が相違する場合、中国での開発活動がその影響を受けることは否定できません。
⑤ 訴訟等に関する事項
当社グループは、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 知的財産権に関する事項
当社グループは研究開発活動等において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社グループ所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しています。しかしながら、出願中の特許が登録に至らない、若しくは特許の一部のみしか登録に至らない可能性があります。また、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性や、第三者の知的財産権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難であり、こうした結果、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 情報管理に関する事項
当社グループは、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しています。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制についても強化しています。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は存在し、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 業績、財務及び資本政策等に関する事項
① 財務状況について
当社グループは、医薬品等の研究開発とその販売を業としています。医薬品等の研究開発は多額の先行投資を要し、かつその期間は中長期に亘ることから、収益確保、投資資金回収には相当程度の期間を要するものとなります。2018年5月、2019年3月、2019年7月、2022年8月に当社製品の上市を達成しましたが、いずれも現時点で市場浸透度は充分ではありません。このことから、事業全体としても先行投資の段階にあり、研究開発活動の失敗を原因としない損益計算上の損失計上、収支計算上の営業キャッシュ・フローマイナスの計上という状況が継続的に生じています。
これまでの先行投資の結果として、当局承認を経て上市に到達した開発品、医薬品等の事業化プロセスの後期段階にある開発品ポートフォリオを保持するに至り、今後も製品開発、承認獲得及び製品上市を通じ、更なる企業価値向上と中長期視点に基づく財務状況改善を図る計画にあります。このうち、当社開発品SP-03(国内販売名:「エピシル® 口腔用液」)の日本事業化においては2018年5月に、当社開発品SP-01及び当社開発品SP-03の中国事業化では2019年3月、2019年7月に、当社開発品SP-02の日本事業化においては2022年8月にそれぞれ製品上市を達成しております。このことは、これまでの先行投資一辺倒であった財務状況から、一定の経常的な収益を計上しうる事業構造への転換点に到達したものと見込まれ、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象は現時点で存在せず、またそのような状況に現時点で該当しないと判断しております。但し、承認獲得及び製品上市には不確実性を有し、当社グループの計画どおりに製品開発と事業化が進捗しない場合には、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 研究開発の失敗に関する事項
当社グループの開発品は、既に販売開始となったもの、当局により承認を取得したもの、臨床試験の最終段階にあるものもあります。これら開発品には、今後の開発活動等において主に下記のとおりのリスクが付帯しています。
・医薬品等の有効性若しくは安全性に対する、臨床試験等の結果の不確実性
・臨床試験等の開発活動運営の不確実性
・開発活動への投資額や所要期間の不確実性
・法令や規制、規制当局指導の不確実性
・開発品の競合関係の不確実性
・導入や導出、開発委託等の提携関係の不確実性
・開発主体である当社組織の不確実性
・特許侵害等の知的財産権の不確実性
これらリスクが顕在化した場合には、当該開発品の開発方針の変更、開発延期、延長又は中止という事態(以下「開発品の中止等」という。)が生じる可能性があります。
開発品の中止等が生じた場合には、当該開発品に対して計画していた将来収益を失うほか、主に以下の事象を生じせしめ、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。但し、開発品の中止等に起因する下記事象は、それを網羅するものではありません。以下は、これら事象により影響を受けると考えられる勘定科目の、過去の連結財政状態計算書の数値です。
(単位:百万円) | 第15期 2022年12月期 連結会計年度 | 第16期 2023年12月期 連結会計年度 |
決算年月 | 2022年12月31日 | 2023年12月31日 |
棚卸資産 | 14 | 122 |
無形資産 | 1,570 | 1,117 |
負債合計 | 472 | 354 |
資本金 | 1,436 | 1,596 |
資本剰余金 | 1,500 | 1,657 |
利益剰余金 | △223 | △1,336 |
資本合計 | 2,662 | 1,875 |
① 棚卸資産の評価損
開発品の中止等が生じた場合、かかる開発品の棚卸資産の一部若しくは全部が評価減されることとなり、連結損益計算書上で評価損が計上され、同額だけ連結財政状態計算書上の利益剰余金及び資本合計が減少することとなります。
② 無形資産の減損
当社グループは、採用する国際会計基準(IFRS)に基づき、開発品への投資のうち資産性を有すると認識される開発費用、導入費用及びかかる資金コストにつき、これを連結財政状態計算書上の無形資産として計上する会計処理を行っています。開発品の中止等が生じた場合、かかる開発品に対して計上された無形資産の一部若しくは全部が減損されることとなり、連結損益計算書上で減損損失が計上され、同額だけ連結財政状態計算書上の利益剰余金及び資本合計が減少することとなります。
(2) 医薬品等の研究開発事業一般に関する事項
① 研究開発の不確実性に関する事項
当社グループは医薬品等の開発を主業務としています。近年の診断理論及び技術、また遺伝子レベルでの病因解析に基づいた新薬の効果安全性を予見する技術の向上にもかかわらず、最終的な効果及び安全性は臨床試験での検討あるいは検証を要することから、その成功の可能性は、他産業に比して極めて低いものとされています。これらのことから、一般的に、医薬品等の研究開発期間は、基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、相当規模の研究開発投資が必要と考えられています。
医薬品等の開発過程においては、臨床試験結果等に起因して、開発方針の変更、開発延期、延長又は中止となる場合があります。このことから、研究開発活動の将来性は不確実性を伴っています。
医薬品等の開発は、主に開発を計画して運営する製薬企業、臨床試験を実施する医師及び医療施設、さらに開発プロセスの監督及び承認権限を有する規制当局の三者によって実施されます。製薬企業が科学的根拠に基づき作成した開発計画あるいは臨床試験計画についても、臨床試験を実施する医師の見解あるいは医療施設側において計画どおりに試験が実施できる可能性等によって計画変更を余儀なくされる場合があります。また、規制当局からの要望又は指導等により、当社グループの方針にかかわらず計画の変更を余儀なくされる場合があります。また、医薬品等業界は規制業種であり、開発をはじめとする医薬品等事業全般には、医薬品医療機器等法や他の法令に基づいて計画・実施することが求められます。法令は定期的又は不定期に変更・改訂される場合があります。これらの要因により、開発方針の変更、開発延期、延長又は中止を招く場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 導入活動の不確実性に関する事項
当社グループは、開発パイプラインの拡充にあたっては導入の手法を活用しています。近年、世界的に新薬や新医療機器の開発候補品が限られてきており、大手製薬企業等も自らの基礎研究から輩出される新薬や新医療機器の開発候補品に加えて、積極的な候補品導入活動を行っていることから、当社グループの目指す疾患領域であるがん領域における有望な開発候補品獲得において、これら世界的製薬企業等との厳しい競合も想定されます。導入における他社との競合に起因する製品候補品導入の不確実性は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
③ 医薬品等業界の競合関係に関する事項
当社グループの属する医薬品等業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による、研究、開発、製造及び販売の各分野で競争が激しい状態にあります。当社グループの開発パイプラインには、同業他社が同じ適応症で開発を進めている競合品が存在するため、競合品の開発進捗状況あるいはその結果によっては、当社グループ製品の優位性を示せない可能性があり、将来の開発品についても同様です。従って、これら競合相手との、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの製品開発や販売が計画どおりに推移しない場合、財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
④ 副作用、製造物責任に関する事項
通常、医薬品は本来期待する治療効果とともに、期待されない副作用の両面を併せ持っています。医薬品の安全性は、動物を用いた非臨床試験の中で十分に検討されますが、ヒトに使用した場合、種の違いによる予期できない副作用が発現する可能性は否定できません。また少数例での臨床試験では検出されなかった発現頻度の低い副作用が、当該医薬品の上市後、より多く使用される段階で検出される可能性もあります。
当社グループでは、これら臨床試験中又は市販後の副作用発生による補償又は賠償に対応するために、想定し得る範囲で治験保険あるいは製造物責任保険に加入していますが、補償範囲外の賠償責任を問われる可能性は否定できません。また、重篤な副作用や死亡例の発現は、製品及び企業イメージを大きく損ねることとなり、当該製品以外の事業への影響も考えられます。重篤な副作用の発現等により、製品の回収、製造販売の中止、薬害訴訟の提起、製造物責任賠償等が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 医薬品医療機器等法その他の規制に関する事項
当社グループの属する医薬品等業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の医薬品医療機器等法、薬事行政指導、医療保険制度及びその他関係法令等により、様々な規制を受けています。
医薬品等は基礎研究から製造販売承認を取得するまでには、多大な開発コストと長い年月を必要とします。品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品等としての有用性を規制当局が認めない場合には、承認が計画どおり取得できず上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出が行えない可能性、導出そのものが困難になる可能性、導出した場合にその契約内容が変更になる可能性若しくは導出契約が解消される可能性があります。また、当社開発品への承認を取得できた際にも、健康保険の対象として保険収載されない場合や、計画どおりの保険価格が付されない可能性があります。このような事象が生じた場合、また、将来各国の医薬品医療機器等法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(3) 当社グループの事業活動に関する事項
① 導出に関する事項
当社グループは、開発品の収益化について、開発品を開発の途中段階で他社に導出し、一時金や導出先の販売高に連動して収益を受領する導出モデルを採用しております。しかしながら、開発の遅延その他の理由により計画どおりの時期に導出ができない場合、導出を行った場合において想定できない状況により導出契約の内容が変更となる場合若しくは導出契約が解消される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。また、導出を予定している開発品に関して、導出そのものが困難になった場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
② 提携関係に関する事項
当社グループは、開発品の導入や導出のほか、研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ最先端技術の取込みを図っています。特に臨床開発部門では、組織の規模拡大を一義とせず、自社では専門性を有する少数の人材を確保するに留め、外部専門家及び外部委託機関との協力・協業によって企業活動を遂行しています。当社グループは、自社の研究開発人員とこれらの提携関係をもって研究開発体制を構築しています。同様に固定費増加の回避等を目的として、将来自社で販売を計画している開発品の販売体制や製品製造・調達体制においても、様々な提携関係を構築しています。これら提携関係のうち、特に重要と考えられる契約は、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向けて、広範な提携関係構築を検討してまいりますが、期待どおりに提携関係が構築できない場合、提携関係に想定し得ない変化が生じた場合、提携の効果が当初の期待を下回る場合、若しくは提携関係が当社グループの意図に反して解消された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
③ 会社組織に関する事項
a 業歴に関する事項
当社は、2006年に創業し、連結子会社である中国法人は2014年に設立されています。当社グループでは、医薬品等業界又はその他専門分野での経験を有する人材の登用と維持に努めていますが、企業体としての経験はいまだ浅く、今後予測できない事業上の問題等が発生し、これに対応する人材の確保もしくは維持ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
b 小規模組織に関する事項
当社グループは、医薬品等を取り扱う企業としては小規模組織であるために、役職員一人一人が担当する業務及び責任範囲は相対的に広範となる場合が多く、退職あるいは休職等に対応する補充要員が十分でない環境にあります。今後の事業拡大に伴い、必要な人員増加を図ってまいりますが、多くの人材流出等があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
c 人材の確保及び育成に関する事項
当社グループの事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員等に強く依存しています。そのため、常に必要とされる人材の確保と育成に努めていますが、このような人材確保又は育成が計画どおりに行えない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
④ 事業地域に関する事項
a 中国固有のカントリー・リスクに関する事項
当社グループ事業は主にアジアを対象としており、その中心は日本及び中国です。中国の医薬品等産業は中国政府の厳しい監督管理下での規制を受けており、政策、規制、法律等に変化が生じた場合には、当社グループの経営戦略や事業活動の制約要因となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
b 中国での雇用に関する事項
当社グループは、中国での事業活動に際し、中国人従業員を採用しています。中国の労働環境は、社会制度の違いにより日本に比べて企業による管理が困難な場合があり、従業員の採用、解雇、退職などに関わる人事問題、また、賃金、残業等に関わる給与問題、不正行為等について、対応が困難な局面が生じる可能性があると考えています。当社グループでは、これら労務管理上の諸問題を事前に回避すべく最大限努力する所存ですが、当該事象が顕在化し解決までに長期間を要す場合、又は多額の費用が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
c 中国の開発活動に関する事項
当社が現在保有している開発品は、中国で開発販売権を有しており、そのうち、SP-01は2018年7月に、SP-03は2019年2月に、中国当局の承認を受けております。一方で、SP-02とSP-04においては、今後も中国での開発活動を推進する可能性があります。医薬品等の開発活動は、前掲「医薬品医療機器等法その他の規制に関する事項」のとおり様々な規制のもとで推進することが必要ですが、中国の規制が日本等の他の国との規制が相違する場合、中国での開発活動がその影響を受けることは否定できません。
⑤ 訴訟等に関する事項
当社グループは、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 知的財産権に関する事項
当社グループは研究開発活動等において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社グループ所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しています。しかしながら、出願中の特許が登録に至らない、若しくは特許の一部のみしか登録に至らない可能性があります。また、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性や、第三者の知的財産権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難であり、こうした結果、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 情報管理に関する事項
当社グループは、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しています。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制についても強化しています。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は存在し、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 業績、財務及び資本政策等に関する事項
① 財務状況について
当社グループは、医薬品等の研究開発とその販売を業としています。医薬品等の研究開発は多額の先行投資を要し、かつその期間は中長期に亘ることから、収益確保、投資資金回収には相当程度の期間を要するものとなります。2018年5月、2019年3月、2019年7月、2022年8月に当社製品の上市を達成しましたが、いずれも現時点で市場浸透度は充分ではありません。このことから、事業全体としても先行投資の段階にあり、研究開発活動の失敗を原因としない損益計算上の損失計上、収支計算上の営業キャッシュ・フローマイナスの計上という状況が継続的に生じています。
これまでの先行投資の結果として、当局承認を経て上市に到達した開発品、医薬品等の事業化プロセスの後期段階にある開発品ポートフォリオを保持するに至り、今後も製品開発、承認獲得及び製品上市を通じ、更なる企業価値向上と中長期視点に基づく財務状況改善を図る計画にあります。このうち、当社開発品SP-03(国内販売名:「エピシル® 口腔用液」)の日本事業化においては2018年5月に、当社開発品SP-01及び当社開発品SP-03の中国事業化では2019年3月、2019年7月に、当社開発品SP-02の日本事業化においては2022年8月にそれぞれ製品上市を達成しております。このことは、これまでの先行投資一辺倒であった財務状況から、一定の経常的な収益を計上しうる事業構造への転換点に到達したものと見込まれ、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象は現時点で存在せず、またそのような状況に現時点で該当しないと判断しております。但し、承認獲得及び製品上市には不確実性を有し、当社グループの計画どおりに製品開発と事業化が進捗しない場合には、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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