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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QICN (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社レゾナック・ホールディングス 研究開発活動 (2022年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、昭和電工マテリアルズ㈱との統合に向けた「統合新会社の長期ビジョン」に基づき、コア成長事業・次世代事業・安定収益事業・基盤事業の4つの事業群の中で、特に中長期的に当社グループの成長の中心となる事業に研究開発資源を集中し、シナジーの顕現に繋がる新規事業パイプライン創出に重点を置いた施策を進めている。
従来当社グループが保有する川中の素材技術と昭和電工マテリアルズの川下のアプリケーション技術、両社の評価・シミュレーション、構造解析、計算科学の技術の融合によって、現業強化と周辺分野の拡大に向けた研究及び事業開発を強化すると共に、オープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社外からも積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力している。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、47,135百万円である。
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。
(半導体・電子材料)
半導体・電子材料分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進している。
一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体前工程材料(情報電子化学品(電子材料用高純度ガス・機能薬品)、半導体回路平坦化用研磨材料)、半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)、デバイスソリューション(ハードディスク、SiCエピタキシャルウェハー、化合物半導体(LED))等の付加価値を高める開発をした。
半導体前工程分野では、半導体製造プロセス材料として各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。
半導体後工程分野では、プリント配線板用高機能積層材料に関し、低そり性や高耐熱特性を実現する高い技術力が評価された結果、一般社団法人日本電子回路工業会より表彰された。
記録材料については、唯一のハードディスク外販メーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めると共に、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、Seagate Singapore International Headquarters Pte. Ltd.と熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクの共同開発を継続実施した。世界最大の記録容量である第10世代として、シングルド記録方式に対応し、アルミ基板を用いて当社の最新磁性層設計及び結晶微細化技術を導入することで、業界最大となる1枚あたり2.6テラバイトハードディスクの出荷をしている。
世界最大のSiCエピウェハー(以後、SiCエピ)外販メーカーとして、最高水準の品質のSiCエピを提供し、国内外のデバイスメーカーから高い評価を得ている。更なる品質向上や安定供給体制構築の一環として、SiCエピの製造に不可欠なSiCウェハー(以後、SiC基板)の自社生産を検討、複数のお客様の採用を受け、2022年3月に自社製6インチSiC基板を用いたSiCエピの量産を発表した。
さらに、市場ニーズの高まりを受け、2021年より200mm基板の開発を本格化させている。2022年9月には自社製の200mmSiC基板を用いたSiCエピのサンプル出荷を発表した。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に造成されたグリーンイノベーション基金事業の次世代デジタルインフラの構築プロジェクトの研究開発項目の一つである「次世代パワー半導体に用いるウェハ技術開発」に採択され、「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」として研究開発を始めた。この中で、SiCバルク単結晶の高速成長技術開発においては国立研究開発法人産業技術総合研究所と協力して研究開発を実施中である。今後も高性能で高い信頼性の製品を供給することで、SiCパワー半導体の普及に貢献する。
化合物半導体を用いた発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力しているが、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発した。成長する車載センサーや高性能フォトカプラなどの赤外領域の発光デバイスを主ターゲットに業界トップの品質とカスタマイズ力によりお客様の要望に応える製品を提供している。
当連結会計年度における半導体・電子材料セグメントの研究開発費は、25,032百万円であった。
(モビリティ)
モビリティ分野では、CASEの進展などに伴う自動運転化、電動化、軽量化、電装化、冷却性、安全性に関係する市場ニーズに幅広い材料ソリューション力で応えると共に、企業の社会的責任としてカーボンニュートラルへの取り組みをより一層進めるため、リサイクル性、バイオプラの適用検討を開発に取り込み推進している。
現在上市中の樹脂ギヤ、樹脂バックドア、負極材、ブレーキパッド、粉末冶金等の製品は変化する市場動向にいち早く適応するべく開発を継続推進中であるが、それらに加えて新たに自動運転化のためのセンサー対応技術として「ミリ波透過コーティング」、車載デバイスの軽量化と冷却性を両立、向上させた新コンセプト冷却ユニット、「樹脂ウォータージャケット」及び「ラミクーラー」他の開発及び資源循環型材料の開発を進めている。また、顧客である主要カーメーカーやTier1において、自動車システム全体から末端部品の機能や必要性能をモデル上でシミュレートするモデルベース開発手法(MBD)の導入が一般的になっていることから、これに対応するため、社内蓄積のものづくりノウハウを体系的にデータ化、整理、応用し、当社独自のMBDの開発スタイルを構築している。このように一層のDX化を積極的に進め、新たな高効率開発スタイルへ変革中である。
先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、導電助剤である気相法炭素繊維「VGCF®-H」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。
当連結会計年度におけるモビリティセグメントの研究開発費は、5,914百万円であった。
(イノベーション材料)
イノベーション材料分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、光機能材料、高機能ゲル、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギー関連、アルミニウム及びセラミックスの研究開発を推進している。
テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けている。2020年6月に増設を完了した中国においても生産・供給を開始し、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。また、電子材料、光学材料や歯科材料などに使用されるイソシアネートモノマー「カレンズ®MOI」や機能性アクリレート・メタクリレート「ファンクリル®FAシリーズ」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。特に「ファンクリル®FA500シリーズ(脂環式モノマー)」の耐熱透明性の特徴を生かし、車載用光学粘着剤に採用され、事業拡大を図っている。
高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。世界6拠点から収集した営業情報に基づき、分析ノウハウ・技術サービスを的確、迅速にお客様に提供している。また従来にない高速分析と省溶媒を実現した有機溶媒系SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、医薬・バイオ・食品分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラム、抗体タンパク質を高精度で分析可能な水系SEC用充填カラム、水道水や環境水中の陰イオンの高感度分析を実現したIC(イオンクロマトグラフィー)用充填カラム等の市場ニーズに適した新製品を順次発売している。
化粧品原料では、保湿効果及び抗大気汚染物質効果に加え、新たに見出した抗ウィルス効果を持つ糖誘導体「モイストール®」を開発した。また水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、肌荒れ防止に加え、アイケア用途でも注目され出荷も継続して行っている。
インフラケミカルズでは、水力発電向け補修材の試験施工を積極的に実施した。また光硬化タイプの下水管更生用樹脂の技術開発は継続して注力している。
エネルギー関連では、xEV向け高耐熱絶縁ワニスは、電力モーターの高性能化による高電圧・耐サージ性に応じられる製品の技術開発を継続している。
リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性などが認められ、急速充電対応を求められる車載用途に国内外で採用された。またリチウムイオン電池の最大需要地である中国での生産体制を構築し、一部供給を開始した。今後もさらに市場ニーズを見据えつつ研究開発を加速し、車載用途への拡大を推進していく。リチウムイオン電池用セパレーターのセラミック耐熱層用バインダーとして最適化したポリ-N-ビニルアセトアミド「PNVA®」は、電池の安定性向上に寄与し、市場展開を継続している。
アルミニウムでは、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めると共に、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。
素形材関連では、昨今の自動車における軽量化ニーズの高まりを受け、サスペンションや駆動部品を始めとした自動車用部品でアルミ製品の採用が拡大しており、今後も需要は堅調に増加することが見込まれる。また、カーボンニュートラル対応のプロセス技術の量産適用にも取り組んでいる。冷却器関連では、パワーデバイス向けモジュール提案に向けた熱マネジメントシステムの開発・評価を強化し、次世代冷却器の開発に取り組んでいる。
確実な成長が見込まれる半導体市場において、セラミックス関連では、半導体の研磨プロセスに使用されるセラミックス砥粒や、半導体用封止材の誘電率を制御するためのフィラーの研究開発に注力している。昭和電工の分子設計から原料を作る技術と昭和電工マテリアルズの原料を配合し機能を設計する混ぜる技術の融合により、次世代の顧客ニーズに合致した性能を有する複合材料の提供を目指す。
電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料(アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム)の開発を行っている。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めている。
また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の用途では、MLCCの更なる小型化・高容量化に貢献すべく、原料である超微粒子酸化チタンの材料開発に取り組んでいる。
当連結会計年度におけるイノベーション材料セグメントの研究開発費は、4,708百万円であった。
(ケミカル)
ケミカル分野では、石油化学・基礎化学で、さまざまな産業の起点・インフラとなる製品を提供すると共に、製造工場のCO2排出量削減などカーボンニュートラルに向けた技術開発に取り組んでいる。
石油化学においては、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。当社技術を用いた大分の酢酸エチルプラントは、2014年の稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしており、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。
当連結会計年度におけるケミカルセグメントの研究開発費は、1,830百万円であった。
(その他)
計算科学・情報科学の技術力強化と材料開発への適用に積極的に取り組んでおり、半導体材料の最適な配合探索にかかる時間を、量子コンピューティング技術を活用し、従来の数十年以上から数十秒に大幅に高速化可能であることを富士通㈱と協力し実証した。
人工知能(AI)を用いた材料開発においては、機械学習モデルを効率的に運用する仕組みであるMLOps(機械学習オペレーション)を他社に先行して構築し、活用を開始した。これにより、機械学習モデルの開発からシステムの運用までの一連の流れに要する時間を短縮することが可能となり、また常に最新のデータを基に材料の特性予測を行えることで、材料開発の迅速化を実現した。
従来難しかった「配位結合を有する化学物質」を含め、物質の特性を解明するための鍵を握る「最安定構造」の特定を自動で行うことができる新システムをQuantum Simulation Technologies, Inc. と共同で開発した。
電子実験ノートの活用も進めており、実験の生データを入力する電子実験ノートから、データを活用するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)ウェブアプリまでを一気通貫で接続し、MIウェブアプリからAIモデル構築に使用された生データへ容易にアクセスできる機能を実装したデータパイプラインを他社に先駆けて構築した。
長期R&Dの取り組みとして、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」に対し、日本製鉄㈱と共に「革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発」を提案し、採択された。本プロジェクトは2030年までの9年間を想定しており、工場排ガスなどに含まれている低圧・低濃度のCO2を低コストで分離回収するための技術開発及び、回収したCO2を原料に使用した化学品を製造する技術検証に取り組む。これにより、CO2分離回収プラント事業及び分離剤事業の創出・拡大に加え、化石由来資源に依存しない、CO2を活用した化学品事業のビジネスモデルを創出し、カーボンニュートラルの実現に貢献していく。
2018年度に横浜市が実施した京浜臨海部守屋・恵比須地区研究開発拠点施設整備・運営等事業による公募において、当該地区で整備を進めていた研究開発複合施設「共創の舞台」を2022年5月に開所した。「共創の舞台」では、社内外の多様な人々と連携しながら、持続可能な社会実現に貢献する長期の研究開発テーマ「次世代高速通信材料」「プラスチックリサイクル」の研究開発を推進すると共にR&D活動を支援・強化するプラットフォーム、現業も含めた研究開発支援を担う4センター(材料科学解析、計算科学・情報、プロセスソリューション、化学品管理・評価)も活動を行っている。
当連結会計年度における報告セグメントに含まれない「その他」の研究開発費は全社共通を含め9,652百万円であった。

事業等のリスク株式の総数等


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