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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YBO0 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ダイセル 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、25,559百万円であります。
なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

セグメント別の活動状況は以下の通りです。

(1) メディカル・ヘルスケア事業

当事業に係る研究開発費は2,971百万円であります。
[ヘルスケアSBU]
ヘルスケアSBUでは、ヘルスケア分野において、特徴ある素材や技術の開発ならびに事業展開を進めております。
コスメ事業領域では、天然原料を用いた酢酸セルロースの真球状微粒子「BELLOCEAⓇ」を中心に、サステナブルな化粧品原料の提供を行っております。マイクロプラスチック規制に対応可能な高い生分解性と感触を両立する粒子「BELLOCEAⓇBS7」や、独自の製造技術を活かした高純度クレンジング製剤向け界面活性剤「P-PGLE MO04/MO06」(オレイン酸ポリグリセリル)など、新規製品の用途提案や顧客開拓を進めるとともに、市場ニーズを踏まえた製品開発に取り組んでおります。
健康食品事業領域では、腸内細菌によって体内で生成される成分(腸内細菌代謝物)に着目した研究開発を継続しております。既存の機能性食品素材について、科学的エビデンスの蓄積や用途提案を通じて付加価値を高め、健康食品市場におけるプレゼンス向上に取り組んでおります。

[ライフサイエンスSBU]
ライフサイエンスSBUでは、医薬・バイオ分野を中心に、高度化・多様化する創薬および製剤ニーズに対応したソリューションの提供を進めております。
ファーマテックBUでは、キラル事業が主にターゲットとする低分子合成医薬に加え、成長が見込まれる中・高分子医薬およびバイオ医薬市場において、分析・分離技術を中核としたソリューションを提供しております。光学分割用カラム事業では、新規製品の継続的な開発とテクニカルサービスの強化により、引き続き高い競争力を維持しております。また、当社独自の一般分析用(アキラル)カラムについても、既存汎用製品との差別化を図りながら、ペプチドや核酸医薬などの中分子医薬分野に加え、糖などの食品分野に向けたアプリケーション開発および新規製品開発を進めております。
バイオテック製品事業では、再生医療分野を中心に、エクソソームの単離・精製装置の開発に取り組んでおります。社外協業先との検証結果を反映した試作機の製作を進めるなど、実用化・事業化を見据えた開発活動を継続しております。
メディカル事業開発部では、「One Time EnergyⓇ」を基盤とするエネルギー制御技術を応用した医療機器の開発を進めております。2025年10月には、当社グループ会社である株式会社ダイセルメディカルが、ガス式針なし医薬品・ワクチン用注入器「ダイセルインジェクター P1 SC」について、医療機器製造販売承認を取得しました。本製品は、自動車用エアバッグのガス発生技術を応用し、注射針を使用せずに医薬品やワクチンを皮下に投与することを可能とするものです。現在、承認取得を受け、製造販売に向けた準備を進めており、医療現場での実用化を見据えた取り組みを推進しております。また、本技術を活用した新たな投与デバイスについても、国内外の製薬企業や研究機関と連携しながら、評価・検討を進めております。

(2) スマート事業

当事業に係る研究開発費は4,018百万円であります。
スマートSBUでは、快適なスマート社会の実現に貢献する技術・製品を通じて、各種産業分野に対するソリューション提供を進めております。半導体、液晶パネル、エレクトロニクス、モビリティ向け材料市場に加え、車載用およびモバイル端末向けを中心とした光学フィルム市場を主要ターゲットとし、研究開発および事業展開を行っております。
ファンクショナルプロダクツBUでは、脂環式エポキシ樹脂やポリカプロラクトンなどの高機能材料を中心に、市場拡大が見込まれる有望なアプリケーションを選定し、引き続きシェア向上に向けた取り組みを進めております。
アドバンストテクノロジーBUでは、車載ディスプレイ向け表面フィルムの新規製品上市を継続するとともに、EUV向けフォトレジスト材料のユーザー展開や、半導体製造後工程向け樹脂材料の検討を進めております。また、電子材料用溶剤についても、半導体製造プロセスにおける品質・生産性向上に資するソリューション提案を行い、顧客ニーズに即した技術開発を推進しております。

(3) セイフティ事業

当事業に係る研究開発費は7,601百万円であります。
セイフティSBUでは、「一度だけ、瞬時に、安全に、確実にエネルギーを生み出す」独自技術である One Time EnergyⓇ/DAISIⓇと、自動車安全分野で培ってきた技術・ノウハウを基盤に、社会に新たな安全・安心を提供する製品・ソリューションの創出に取り組んでおります。
自動車安全分野においては、エアバッグ用インフレータおよびそれに使用されるガス発生剤、イニシエータの開発・改良を継続しております。また、EV化の進展を背景とした車載用高速電流遮断装置については、2025年8月の量産開始に向けた研究開発を進めております。さらに、eVTOLや定置型蓄電池向けなど、自動車用途以外の分野においても、エネルギー制御技術を活用したサンプルワークを実施しております。
加えて、One Time EnergyⓇ技術の応用展開として、人の安全を直接守る新たな安全デバイスの開発にも取り組んでおります。具体的には、事故や転倒時の衝撃を緩和・抑制する着用型の安全デバイス(腰部等の保護を目的としたデバイス)について、実用化を見据えた技術検証および実証評価に向けた開発を進めております。
セイフティSBUでは、自動車分野を中核としつつ、モビリティ、エネルギー分野、さらには人の安全確保に資する領域へと技術の適用を進め、社会課題の解決に貢献してまいります。

(4) マテリアル事業
当事業に係る研究開発費は3,438百万円であります。
マテリアルSBUは、ダイセルの原点である素材事業で培ってきた技術を基盤として、地球規模の多様なニーズに対応するソリューションを提供しております。
アセチルBUでは、アセテート・トウなどのセルロース誘導体について、品質および生産性の向上に継続して取り組んでおります。また、環境対応素材として、海洋生分解性を有する酢酸セルロース樹脂 CAFBLOⓇ(キャフブロ、Cellulose Acetate for Blue Ocean)を開発し、汎用プラスチックの代替を目指して、各用途に応じたグレード開発を進めております。
加えて、顧客ニーズへの対応力および技術提案力のさらなる強化を目的として、マテリアルSBU内にテクニカルソリューションセンター(TSC)を設置し、素材技術と用途開発を一体化した取り組みを進めております。これにより、セルロース材料を中心とした技術サービスおよび用途提案の強化を図っております。

(5) エンジニアリングプラスチック事業

当事業に係る研究開発費は7,310百万円であります。

[ポリプラスチックス㈱]
ポリプラスチックス㈱は、高機能エンジニアリングプラスチック分野において長年培ってきた材料設計、評価および加工技術を強みとして、グローバルに多様な産業分野へソリューションを提供しております。自動車、エレクトロニクス、産業機器分野を中心に、顧客の高付加価値化ニーズに対応した材料開発および用途提案を進めております。
研究開発においては、次世代自動車システムや Post 5G/6G に代表される最先端通信分野など、今後エンジニアリングプラスチックの需要拡大が期待される市場を重点ターゲットとし、材料単体の提供にとどまらない価値提供型ビジネスの高度化に取り組んでおります。あわせて、医療分野、ファインパウダー、3Dプリンター用途といった新たな市場領域の開拓も進めております。
また、長繊維強化材料や PEEK 等の高機能材料をはじめとする新規事業分野においても市場展開を進めるとともに、ダイセルグループ内の材料技術・プロセス技術とのシナジーを活かした新技術の開発に取り組んでおります。
環境対応の面では、カーボンニュートラルおよびサーキュラーエコノミーに関するニーズの高まりを踏まえ、バイオ原料の活用、エンジニアリングプラスチックのリサイクルチェーン構築、低エネルギープロセスの創出など、環境負荷低減に資する技術開発を重点的に進めております。
グローバル市場への展開においては、海外5拠点のテクニカルソリューションセンター(TSC)を活用したネットワーク体制のもと、地域に根差した技術サービスおよび用途提案力の強化を図っております。特に中国市場を中心に、新規市場開発案件の創出やコンセプト提案を継続しております。
これらの取り組みに加え、㈱ダイセルとの経営統合を通じて、材料、プロセスおよびシステム各技術の融合を進め、グループ一体での技術開発力およびソリューション提案力のさらなる強化を図っております。

[ダイセルミライズ㈱]
ダイセルミライズ㈱では、社会や顧客の課題解決に資する製品開発を進めております。研究開発においては、顧客ニーズに即したリチウムイオン電池向けカルボキシメチルセルロース(CMC)製品の開発および改良に取り組んでおります。
また、環境配慮型ソリューションとして、モノマテリアル化を訴求可能な食品包装用新規バリアフィルムの開発を進めているほか、金属/異種材料接合技術「DLAMPⓇ」についても、用途拡大に向けた技術開発および用途開拓を行っております。
これらの取り組みを通じて、電池材料分野、包装材料分野をはじめとする各種用途において、付加価値の高い製品・技術の提供を目指しております。

(6) その他事業

当事業に係る研究開発費は219百万円であります。
[ダイセン・メンブレン・システムズ㈱]
ダイセン・メンブレン・システムズ㈱では、分離膜および膜装置システムに関する研究開発を進めております。水処理および医薬分野を中心に、新規分離膜の開発に注力しており、特に排水再利用、有価物回収、食品濃縮といった用途に適した新規チューブラー膜の開発を進めております。
これらの取り組みを通じて、水資源の有効活用やプロセス効率の向上に貢献する技術・製品の提供を目指しております。

(7) コーポレート

当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。なお、コーポレート部門に係る研究開発費は、全報告セグメントに配賦しております。
[事業創出センター]
事業創出センターでは、お客様に密着したカスタマーインの取り組みを通じて顕在化したニーズに対し、ダイセルグループが保有するコア技術や製品を応用することで、新事業創出につながる企画立案および研究開発に取り組んでおります。
中でも、爆轟技術により得られるナノダイヤモンドを活用した二酸化炭素(CO₂)の一酸化炭素(CO)への還元技術(太陽光超還元Ⓡ)においては、大学や外部研究機関との共同研究を通じて、CO₂を資源として再活用するための重要な技術的ブレイクスルーを達成しました。現在は、カーボンネガティブの実現に資する技術として、社会実装を見据えた検討を進めております。
また、セルロース材料に関しては、酢酸セルロースを中心とした機能化や新規用途展開の可能性について検討を継続しており、用途探索やサンプルワークを通じて、事業化に向けた基礎的な検討を進めております。

[リサーチセンター]
リサーチセンターでは、大学や公的研究機関との産学連携を積極的に進め、有識者との共同研究等により、中長期で求める新しい技術、機能、素材の基礎研究を進めております。ワンタイムエナジー利用技術に関する研究においては、熊本大学との包括連携協定に基づき、従来の「安全・安心」分野に加え、「健康」「便利・快適」「環境」分野へと研究対象を拡張し、社内の他部門も参画した分野横断型の共同研究を継続しております。これにより、基礎研究段階における知見の蓄積と、将来的な応用可能性の検討を進めております。

[バイオマスイノベーションセンター]
バイオマスイノベーションセンターでは、2050年のカーボンニュートラル達成にむけ、地球環境に優しいプロセスで、日本の豊富な森林資源、農業廃棄物などの余剰バイオマスから高機能・高付加価値な製品の創出に向けた基盤技術の構築に取り組んでおります。また、これらの技術を基に、地域における地産地消型のモノづくりによる地域創成や一次産業の活性化を目指し、大学や自治体等との連携を継続して検討しております。

[無機複合実装研究所]
無機複合実装研究所では、スマート社会の実現に貢献する新素材の創出を目指し、今後の大きな成長が見込まれる次世代パワーデバイスや次世代通信規格6G向け材料として、無機有機複合材料に着目した研究開発に取り組んでおります。探索・基礎研究から、顧客ニーズに基づく応用研究・開発まで、幅広い研究テーマを推進しております。
特に、パワーデバイス分野を中心に、無機有機複合材料を活用した接合材料や実装材料について、顧客での評価を含む開発段階へと進展させるなど、実用化を見据えた研究開発を継続しております。

[評価解析センター]
評価解析センターでは、微量有機成分の絶対構造解析技術として結晶スポンジ法を獲得し、研究開発および将来的な事業活用を視野に入れた取り組みを進めております。あわせて、電子顕微鏡、X線CT、放射光施設を活用したミクロ・ナノ構造解析技術の強化にも取り組んでおります。

[ビジネスアクセラレーターセンター]
成長市場における新事業創出を目的に、2025年4月にビジネスアクセラレーターセンターを設置しました。同センターでは、社内外の技術シーズやスタートアップ、研究機関との共創を通じて、従来の研究開発の枠にとらわれないビジネスモデルの検討および事業化の加速に取り組んでおります。複数のテーマにおいてPoC(概念実証)や共同研究、特許共同出願、事業シナリオ検討が進展しており、2026年度以降の事業化を前提とした経営提案に向けた検討を進めております。

[生産本部生産技術センター]
生産本部生産技術センターでは、当社グループ横断的な体制のもと、新事業の工業化、既存製品の品質改善、プロセス改善、増産検討をはじめ、プロセス革新による新規プロセス・技術構築の推進を加速し、地球環境と共生する循環型プロセスの構築に取り組んでおります。特に、酢酸セルロースおよび有機主力製品を対象として、プロセス革新による大幅なコストダウンおよび省エネルギー化を実現するための技術開発を進めております。
また、マイクロ流体技術を用いた化学プロセス革新については、主力製品プラントへの実装を視野に入れた検討が進展しており、アセットライト、カーボンニュートラルへの貢献を目指した取り組みとして重要なトピックスとなっております。これに加え、新規分離膜の開発についても、大学および外部研究機関との共同研究を通じて、精製工程の省エネルギー化・高効率化に向けた検討を進めております。

[デジタル戦略推進センター]
デジタル戦略推進センターでは、企画から事業化までを一貫して支える技術基盤の構築を通じて、マーケティング業務およびエンジニアリング業務におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の強化に取り組んでおります。2025年度には、当社グループ専用の生成AI活用基盤である「DAICEL CHAT V2」を全社展開し、幅広い業務領域でデータ活用と業務効率化を推進しております。これらの取り組みと並行して、IPランドスケープ活用のためのツール開発をはじめ、プロセスシミュレーション、流体解析、計算科学、マテリアルズ・インフォマティクス等のAI技術基盤の整備を進めており、研究開発の高度化および事業創出の加速を支援しております。


BELLOCEAⓇ、One Time EnergyⓇ、DAISIⓇ、CAFBLOⓇ、DLAMPⓇは、株式会社ダイセルの日本およびその他の国における商標または登録商標です。

事業等のリスク株式の総数等


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