有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W2HQ (EDINETへの外部リンク)
東レ株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
当社グループは「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という企業理念の下、技術センターにすべての研究・技術開発機能を集約し、当社グループの総合力を結集してイノベーション創出に取り組んでおります。
将来にわたる持続的成長のために、研究・技術開発への継続的投資を行っており、コア技術である有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをベースに、重合、製糸、製膜など要素技術の深化と融合を進め、各事業セグメントで先端材料の創出、事業化を実現しております。近年では、素材に関するナノテクノロジーの極限を追求した「スーパーナノテクノロジー」ともいうべき独自技術の各種事業への実用化を加速させてきました。繊維分野での革新複合紡糸技術「NANODESIGN®」、樹脂分野での革新的微細構造制御技術「NANOALLOY®」、フィルム分野での革新的積層制御技術「ナノ積層/NANO-Multilayer」などです。これらの技術は従来になかった特性と特長を有する素材を創出し、社会に付加価値を生み出し続けております。
当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は以下のとおりです。
(1) 繊維事業
アパレル用新製品に向けたポリマー、紡糸の要素技術の深化に加え、環境調和型の新規繊維の創出や、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進しております。その成果として、当社が開発した「高機能快適繊維素材に資する超精密複合紡糸技術」が公益財団法人市村清新技術財団の第57回(2024年度)市村賞 市村産業賞において最高位である「本賞」を受賞しました。当社独自の複合紡糸技術NANODESIGN®の開発と、同技術を駆使した新規高機能繊維の工業化が顕著な業績として評価されました。本技術は、従来では組み合わせることが困難であった原料の複合化や複数種類の原料を用いた複合紡糸も可能とし、精密に制御された繊維断面と原料特性とのシナジーによる高機能新素材を実現します。衣料用途だけでなく、産業資材用途からライフサイエンスまで幅広く展開を進めています。
(2) 機能化成品事業
樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料の新製品開発、及び既存製品の高性能・高機能化を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、フィルム分野では、独自ポリマー設計技術と二軸延伸技術により、150℃耐熱を有する高耐電圧コンデンサ用フィルムを創出しました。燃料電池車などのモーターの駆動装置(インバータ)の動作を安定化する主要部品がフィルムコンデンサです。本フィルムを用いた150℃耐熱フィルムコンデンサを用いることで炭化ケイ素(SiC)パワー半導体搭載インバータの小型化・軽量化を可能とし、EV、船舶、空飛ぶクルマなどの電動モビリティや産業機械の低電費化を実現し、脱炭素社会実現や物流効率化等の社会課題の解決に貢献します。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けて、実用化に向けた研究開発を進めています。さらに電子情報材料分野では、AIの進展に伴って増加するデータセンターの電力負荷低減に向けて電気通信よりも低エネルギー損失である光通信をデータセンター内で適用するための開発が進んでいます。この実現に向けて、光通信技術(シリコンフォトニクス)に用いられる光半導体(InP(インジウムリン)等)をシリコン基板上に実装するための材料及び技術を開発しました。
(3) 炭素繊維複合材料事業
炭素繊維の高性能化と品質信頼性の追求により世界ナンバーワンを堅持するとともに、地球温暖化問題に貢献する複合材料事業の拡大を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。そのような中、当社の子会社である東レ・カーボンマジック㈱が持つ、レーシングカーをはじめとした高性能移動体開発技術を応用し、高強度・高弾性炭素繊維「T1100G、M40X、M46X」を効率的に配した複合材構造により、空力と構造の両面で最高性能を目指した革新的バイクを開発しました。比類なき運動性能と操縦性を実現し、パリで行われた国際大会自転車競技トラック種目での日本代表選手の入賞や世界選手権における金メダル獲得に貢献しました。
(4) 環境・エンジニアリング事業
水処理膜とエンジニアリングを軸に成長分野での事業拡大を目指し、研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、下廃水再利用プロセスにおいて高い除去性と透水性を両立し、長期間安定して良質な水を製造できる、限外ろ過(UF)膜を開発しました。世界各地の水需要拡大に対し、再利用水を飲料水や半導体製造に欠かせない超純水製造の水源とする取り組みがグローバルに始まっています。ナノ細孔形成過程を定量的に解析することで膜構造の詳細を分析し、ポリマー材料及び製造プロセスを精密に制御することで、孔径の微細化と微細孔の増量を同時に実現し、従来にない高除去UF膜を創出しました。これにより、造水コストを低減するだけでなく、RO膜の交換・廃棄に伴うCO₂排出量を30%以上削減することが期待できます。現在量産準備を進めており、2025年度末までに北米での発売を目指し、その後各地へ製品展開していく計画です。
(5) ライフサイエンス事業
ライフイノベーション事業拡大のため医薬品、医療機器、バイオツールの研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、バイオ医薬品の製造工程に用いるための高効率分離膜モジュールを開発しました。バイオ医薬品の製造工程における目詰まりを低減することで、従来製品と比較してろ過性能が2倍以上に向上し、バイオ医薬品の高収率化並びに精製度向上が期待できます。2025年度中の販売開始を目標に量産体制の構築を進めます。
(6) 基礎研究・基盤技術開発
カーボンニュートラルの実現に向けて、天然ガス田開発において求められる効率的なCO₂の分離・回収の実現に向けて、オールカーボンのCO₂分離膜の開発を進めています。東レが持つ中空糸の紡糸技術と薄層コーティング技術を深化させ、連続かつ安定した品質の製膜技術を構築し、同時にCO₂分離膜を束にする膜エレメントを製造する基本技術に目途を得ました。今後は、新たに導入するパイロット設備を活用して量産技術を構築するとともに、バイオガスや天然ガス生産の開発会社をはじめとするパートナー企業と幅広く連携して、スケールアップ試作や実証試験など実用化に向けた取り組みを加速します。また、循環型社会の実現に向けて、ナイロン66ケミカルリサイクル新技術を創出しました。主にエアバッグなどの自動車用繊維や樹脂成形品に用いられるナイロン66は、これまでケミカルリサイクルが困難と考えられていましたが、亜臨界水(注)を用いた独自の解重合新技術によりモノマー原料として回収できることを見出しました。まずは自動車素材をターゲットとして、使用済み原資に含まれる他素材の分離技術や、ナイロン66解重合、さらにはモノマーの分離及び精製技術を確立し、2025年に品質確認、顧客評価のためのサンプルワークができる体制を整え、2030年近傍にプラスチックリサイクルが法規制化される動きを見据えて、本格量産準備を進めていきます。
(注) 亜臨界水:水の臨界点(374℃、22MPa)よりもやや低い領域の高温・高圧状態の水であり、有機化合物を溶解、加水分解する等、常温常圧水とは異なる特性を有する。
当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、744億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は526億円)です。セグメント別には繊維事業に約10%、機能化成品事業に約26%、炭素繊維複合材料事業に約16%、環境・エンジニアリング事業に約7%、ライフサイエンス事業に約3%、本社研究・技術開発に約38%の研究開発費を投入しました。
当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,386件、海外で2,473件、登録された件数は国内で571件、海外で1,486件です。
将来にわたる持続的成長のために、研究・技術開発への継続的投資を行っており、コア技術である有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをベースに、重合、製糸、製膜など要素技術の深化と融合を進め、各事業セグメントで先端材料の創出、事業化を実現しております。近年では、素材に関するナノテクノロジーの極限を追求した「スーパーナノテクノロジー」ともいうべき独自技術の各種事業への実用化を加速させてきました。繊維分野での革新複合紡糸技術「NANODESIGN®」、樹脂分野での革新的微細構造制御技術「NANOALLOY®」、フィルム分野での革新的積層制御技術「ナノ積層/NANO-Multilayer」などです。これらの技術は従来になかった特性と特長を有する素材を創出し、社会に付加価値を生み出し続けております。
当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は以下のとおりです。
(1) 繊維事業
アパレル用新製品に向けたポリマー、紡糸の要素技術の深化に加え、環境調和型の新規繊維の創出や、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進しております。その成果として、当社が開発した「高機能快適繊維素材に資する超精密複合紡糸技術」が公益財団法人市村清新技術財団の第57回(2024年度)市村賞 市村産業賞において最高位である「本賞」を受賞しました。当社独自の複合紡糸技術NANODESIGN®の開発と、同技術を駆使した新規高機能繊維の工業化が顕著な業績として評価されました。本技術は、従来では組み合わせることが困難であった原料の複合化や複数種類の原料を用いた複合紡糸も可能とし、精密に制御された繊維断面と原料特性とのシナジーによる高機能新素材を実現します。衣料用途だけでなく、産業資材用途からライフサイエンスまで幅広く展開を進めています。
(2) 機能化成品事業
樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料の新製品開発、及び既存製品の高性能・高機能化を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、フィルム分野では、独自ポリマー設計技術と二軸延伸技術により、150℃耐熱を有する高耐電圧コンデンサ用フィルムを創出しました。燃料電池車などのモーターの駆動装置(インバータ)の動作を安定化する主要部品がフィルムコンデンサです。本フィルムを用いた150℃耐熱フィルムコンデンサを用いることで炭化ケイ素(SiC)パワー半導体搭載インバータの小型化・軽量化を可能とし、EV、船舶、空飛ぶクルマなどの電動モビリティや産業機械の低電費化を実現し、脱炭素社会実現や物流効率化等の社会課題の解決に貢献します。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けて、実用化に向けた研究開発を進めています。さらに電子情報材料分野では、AIの進展に伴って増加するデータセンターの電力負荷低減に向けて電気通信よりも低エネルギー損失である光通信をデータセンター内で適用するための開発が進んでいます。この実現に向けて、光通信技術(シリコンフォトニクス)に用いられる光半導体(InP(インジウムリン)等)をシリコン基板上に実装するための材料及び技術を開発しました。
(3) 炭素繊維複合材料事業
炭素繊維の高性能化と品質信頼性の追求により世界ナンバーワンを堅持するとともに、地球温暖化問題に貢献する複合材料事業の拡大を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。そのような中、当社の子会社である東レ・カーボンマジック㈱が持つ、レーシングカーをはじめとした高性能移動体開発技術を応用し、高強度・高弾性炭素繊維「T1100G、M40X、M46X」を効率的に配した複合材構造により、空力と構造の両面で最高性能を目指した革新的バイクを開発しました。比類なき運動性能と操縦性を実現し、パリで行われた国際大会自転車競技トラック種目での日本代表選手の入賞や世界選手権における金メダル獲得に貢献しました。
(4) 環境・エンジニアリング事業
水処理膜とエンジニアリングを軸に成長分野での事業拡大を目指し、研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、下廃水再利用プロセスにおいて高い除去性と透水性を両立し、長期間安定して良質な水を製造できる、限外ろ過(UF)膜を開発しました。世界各地の水需要拡大に対し、再利用水を飲料水や半導体製造に欠かせない超純水製造の水源とする取り組みがグローバルに始まっています。ナノ細孔形成過程を定量的に解析することで膜構造の詳細を分析し、ポリマー材料及び製造プロセスを精密に制御することで、孔径の微細化と微細孔の増量を同時に実現し、従来にない高除去UF膜を創出しました。これにより、造水コストを低減するだけでなく、RO膜の交換・廃棄に伴うCO₂排出量を30%以上削減することが期待できます。現在量産準備を進めており、2025年度末までに北米での発売を目指し、その後各地へ製品展開していく計画です。
(5) ライフサイエンス事業
ライフイノベーション事業拡大のため医薬品、医療機器、バイオツールの研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、バイオ医薬品の製造工程に用いるための高効率分離膜モジュールを開発しました。バイオ医薬品の製造工程における目詰まりを低減することで、従来製品と比較してろ過性能が2倍以上に向上し、バイオ医薬品の高収率化並びに精製度向上が期待できます。2025年度中の販売開始を目標に量産体制の構築を進めます。
(6) 基礎研究・基盤技術開発
カーボンニュートラルの実現に向けて、天然ガス田開発において求められる効率的なCO₂の分離・回収の実現に向けて、オールカーボンのCO₂分離膜の開発を進めています。東レが持つ中空糸の紡糸技術と薄層コーティング技術を深化させ、連続かつ安定した品質の製膜技術を構築し、同時にCO₂分離膜を束にする膜エレメントを製造する基本技術に目途を得ました。今後は、新たに導入するパイロット設備を活用して量産技術を構築するとともに、バイオガスや天然ガス生産の開発会社をはじめとするパートナー企業と幅広く連携して、スケールアップ試作や実証試験など実用化に向けた取り組みを加速します。また、循環型社会の実現に向けて、ナイロン66ケミカルリサイクル新技術を創出しました。主にエアバッグなどの自動車用繊維や樹脂成形品に用いられるナイロン66は、これまでケミカルリサイクルが困難と考えられていましたが、亜臨界水(注)を用いた独自の解重合新技術によりモノマー原料として回収できることを見出しました。まずは自動車素材をターゲットとして、使用済み原資に含まれる他素材の分離技術や、ナイロン66解重合、さらにはモノマーの分離及び精製技術を確立し、2025年に品質確認、顧客評価のためのサンプルワークができる体制を整え、2030年近傍にプラスチックリサイクルが法規制化される動きを見据えて、本格量産準備を進めていきます。
(注) 亜臨界水:水の臨界点(374℃、22MPa)よりもやや低い領域の高温・高圧状態の水であり、有機化合物を溶解、加水分解する等、常温常圧水とは異なる特性を有する。
当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、744億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は526億円)です。セグメント別には繊維事業に約10%、機能化成品事業に約26%、炭素繊維複合材料事業に約16%、環境・エンジニアリング事業に約7%、ライフサイエンス事業に約3%、本社研究・技術開発に約38%の研究開発費を投入しました。
当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,386件、海外で2,473件、登録された件数は国内で571件、海外で1,486件です。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00873] S100W2HQ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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