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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007UHI

有価証券報告書抜粋 五洋建設株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当連結会計年度は、技術基盤の強化を技術開発方針として、ブランド技術の開発や技術提案力の向上に資する技術開発を推進した。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、1,730百万円であった。
また、当連結会計年度における主要な研究開発内容および成果は次のとおりである。

(国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業)
1.土木分野

(1)遠隔操作無人探査機を利用した大水深水中調査ロボットの開発

高度経済成長期を中心に整備された社会インフラは、老朽化が進行しており、効率的・効果的な維持管理を行う必要が生じている。構造物の維持管理を行う上で点検・調査が基本となるが、ダム堤体などの水深40m以上の大水深の条件では、安全面と効率面から潜水士による目視調査が難しいという課題がある。このような背景を踏まえ、遠隔操作無人探査機(Remotely operated vehicle : ROV)を利用した水中調査ロボットを開発した。
前連結会計年度に引き続き、国土交通省が公募した「次世代社会インフラ用ロボット現場検証」に参加し、ダムにおいて潜水士による近接目視の代替または支援ができる技術システムとして、一定の点検支援効果が確認されたため「試行的導入」を推薦する、との評価を受けた。
今後は、翌連結会計年度に国土交通省が予定している「試行的導入」に対応していくと共に、ROVに搭載する検査技術の高度化や自律航行技術の開発などを進め、様々な大水深域の構造物へ適用できるように、本技術の汎用性の向上に取り組んでいく予定である。

(2)3D維持管理システムの開発

国土交通省が推進するCIM(Construction Information Modeling)により、建設業では、全体の合理化を目的として調査設計から維持管理にわたる3次元モデルの活用が広がっている。ところがCIMで利用されているソフトウェアの多くは、利用者にとって、まだ扱いが難しいとの指摘が多い。そこで、CIMの新たな運用・利用方法として、インターネット上の3次元モデルを一般的なブラウザで利用することができる3D維持管理システムを開発した。
本システムは、顧客所有のパソコンやタブレット等に標準的に備えられているブラウザから利用することが可能で、特殊なソフトウェアをインストールする必要がない。利用者はインターネットブラウザを介し、遠隔地からまるで実物を目の前にしているように構造物の状態を確認することができ、写真や劣化診断データを3次元モデル上で立体表示することにより、これまで熟練者でなければ把握できなかった構造物全体の劣化の度合いを、誰もが直感的に把握することができる。今後、このシステムを用いて、民間の桟橋などをターゲットに維持管理CIMを展開していく。

(3)浚渫土の有効利用技術の開発

港湾工事から発生する浚渫土の有効利用技術の開発を継続的に行っている。この一環として、浚渫土と転炉系製鋼スラグを混合したカルシア改質土や浚渫土と製鋼スラグにさらに高炉スラグ微粉末を混合して製造した浚渫土人工石の開発に取り組んでおり、カルシア改質土は干潟の中詰材としての利用を、浚渫土人工石は漁礁や藻礁石としての利用を進めるための試験施工を実施した。今後、施工後の調査を実施しその有効性を検証していく。

(4)砂を主材とする固化処理土圧送工法の開発

大量に発生する浚渫土、また建設発生土等を処分するのでなく、良質化して有効利用することは、重要な技術的課題である。砂質土の有効利用技術として、水中に圧送施工可能な、材料分離防止性能と流動性を合わせ持つ固化処理土の製造・施工技術「FL-SAND工法」を開発した。この工法は、福島第一原子力発電所の港内の海底土を封じ込める目的の被覆工事に採用されている。さらに、港内に生息する魚類に対する対策のため、「FL-SAND工法」における添加材の配合量や、作製した材料の打設方法を改良し、防波堤港内側に設置された根固工の表面の空隙を充填、被覆することが可能な工法を実現した。


(5)新船種作業船の開発・建造

近年、工事の多様化と護岸の大水深施工が見込まれている。これらを競合他社より効率的に受注するために2隻の新しい作業船の開発・建造を実施した。
1隻は、港湾・河川から発生した軟弱土砂を、揚土・固化処理し、打設できるプレミックス船「PM-6001」の開発・建造である。「PM-6001」は軟弱浚渫土をセメントなどの固化材を混合することで、所定の強度や流動性を確保でき、揚土・混合処理・打設を安定的かつ連続的に行うと共に、大量急速施工が可能である。
もう1隻は、大水深にて多様な作業が行える多機能型バックホウ浚渫船「BHC-2401」の開発・建造である。近年、基礎捨石均しの深度が20mを超えてきており、潜水士での施工が困難になりつつある。「BHC-2401」は国内最長のロングアームを備えたバックホウを搭載し、浚渫のみならず各種アタッチメントにより最大水深24mまで作業を可能としている。
これらの新船種を保有作業船のラインナップに加え、今後も多種多様な工事に積極的に投入していく予定である。

2.建築分野

(1) RC梁合理化工法の実用化

躯体コストの相当分を占める型枠大工の省人化のためには、型枠量の多いRC造建物の梁部材の合理化工法が有効であると考えられる。そこで、プレキャスト(PCa)床版を製作する要領で梁の側版部分と底版部分(せん断補強筋内蔵)を作製し、これらを組み合わせて梁部材の外殻部分を形成するPCa工法について前連結会計年度より開発を開始した。当連結会計年度は、本工法による梁部材について構造性能確認実験を実施し、その性能が在来工法による梁部材と比べて遜色ないことを確認した。また、実大規模の梁を対象とした製作・施工実験を実施し、在来工法と比べて製作手間が少なく、施工性が良好であることを確認した。

(2)設計・施工へのBIM適用と効果検証

建築分野では各社ともBIMの有効活用に取り組んでいるが、建物のライフサイクルをとおしたBIM活用の中で、特に設計・施工一貫でのBIM活用は有効となる。
当社は、工程シミュレーションや仮設検討、施工納まり調整といった施工段階でのBIM活用から取組みを開始したが、当連結会計年度は、設計段階の納まり調整や実施設計図の作成に取り組み、3次元の設計BIMモデルから2次元の設計図を作成する際に必要となる設計テンプレートを開発し、実用化への検証を行った。
現在、設計段階で作成した設計BIMモデルから施工段階で使用する施工BIMモデルを作成し、さらに施工図へと一貫して繋げる仕組みづくりに取り組んでいる。

(3)動的破砕による杭頭処理・解体工法の最適化

動的破砕による杭頭処理工法については、これまでの杭施工前に装薬や準備作業を行う前施工方式から施工による影響を受け難い後施工方式に方向転回し、横孔を放射状に配置する装薬方法による破砕工法を確立した。当連結会計年度は、横孔を放射状に6本配置する標準工法から横孔4本でも破砕できる工法を確立するなど最適化を図った。
また、解体工事においてスラブ部分の外周に非火薬の破砕剤を一定間隔で装薬し、一気にスラブ外端部を全周分破砕し、その後露出した鉄筋を切断することで、スラブを1スパン分一度に解体する工法を確立した。

(4) ZEB(Zero Energy Building)化実現へ向けた省エネ技術の整備

各種省エネ技術を盛り込んだ本社別館や、土壌と熱交換を行うことにより外気に比べて安定した温度の空気を得る空調技術であるアースピット方式を採用した建物における省エネ効果を検証し、ZEB化実現に必要なデータの蓄積を図った。また、前連結会計年度から継続している空調方式に関する実大模擬実験室による効果検証に加え、自然換気制御方式に関する効果検証を開始した。


(5)五洋式解体工法の実用化

人荷用エレベーター(EV)などに用いられるラック&ピニオンを駆動機とする簡易EVにより解体重機を施工階である最上層まで揚重し、施工階の外周をやはりラック&ピニオンを駆動機とする閉鎖式仮囲いで養生する解体システムを確立した。簡易EVの適用により、従来、大型クレーンで解体重機を施工階に揚重していた施工方法を、大幅に省力化した。また、閉鎖型仮囲いは、1階部分で組み立てられ、最上層まで建て枠足場をガイドとして昇降する。2ヶ年にわたり、簡易EVおよび閉鎖式仮囲いともに、実装機を試作し、実荷重を積載した状態で基本動作を繰り返し、その精度と構造性能について検証した。

(6)再生骨材コンクリートの適用拡大

再生骨材H(高品質)に近い品質の再生粗骨材M(中品質)を用いたコンクリートの適切な品質管理方法を構築し、乾燥収縮の影響を受ける地上躯体に使用可能なコンクリートとして国土交通大臣認定を取得した。これにより、従来は場所打ち杭や地下躯体に限定されていた使用部位を地上躯体まで拡大した。
また、CFT造の充填コンクリートとして使用できる再生粗骨材Mを用いた再生骨材コンクリートの出荷範囲を広げることを目的に実験を行っており、翌連結会計年度には国土交通大臣認定を取得する予定である。

3.環境・リサイクル分野

(1)亜熱帯・遠隔離島の沿岸環境保全技術の開発

亜熱帯や遠隔離島の沿岸開発ではサンゴをはじめとする特有の生物の保全が不可欠なことは言うまでも無い。2004年度より小笠原や沖縄地区でサンゴの付着基盤や、サンゴ礁の地形成立に関する研究を実施してきた。さらに、これらの海域で波浪・濁りなどがサンゴや海草の分布に及ぼす影響を評価する技術について技術開発や現地データを用いた実証など、引き続き継続している。

(2)干潟・浅場等沿岸環境保全技術の開発

沿岸環境にとって干潟・浅場等の保全や再生は重要なテーマである。当社は数多くの人工干潟等を施工しており、東京湾奥部や瀬戸内海で施工した干潟や浅場の長期的な環境や機能の変化についてモニタリングを継続している。
また、前連結会計年度からは干潟のアサリ食害対策や仔稚魚の干潟浅場の活用状況調査など、干潟の機能維持にかかわる調査研究も進めている。

(3)ビオトープ関連技術の開発

生物多様性の保全が求められるなかで、栃木県那須塩原市の技術研究所の敷地内に設置したビオトープにおいて、長期的な生物調査を実施してビオトープ関連技術の開発を継続的に行っている。
造成後20年後の当連結会計年度の調査では、動植物の出現種数が増加していること、オオタカやクロゲンゴロウ、ギンラン等のレッドリストに該当する重要な種が出現することを確認した。また、技術研究所のホームページにおいて、こうした生物の出現状況やビオトープに設置したライブカメラの映像を公開している。

4.技術評価証等の取得
・乾燥収縮の影響を受ける地上躯体に使用できる再生骨材コンクリート:国土交通大臣認定を取得 2015年12月
・Fc130~Fc150N/mm2の高強度コンクリート:国土交通大臣認定を取得 2015年6月
・ひび割れ誘発目地付き耐力壁工法(CCB工法[Crack Control Bar]):国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に申請し、登録(登録番号:KT-150088-A) 2015年11月

なお、連結子会社においては、研究開発活動は特段行っていない。

(国内開発事業及びその他事業)
研究開発活動は特段行っていない。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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